SDM テンプレートの設定
『Catalyst 2960 and 2960-S Switch Command Reference』には、コマンド構文および使用方法が記載されています。特に明記しない限り、 スイッチ という用語は、スタンドアロン スイッチおよびスイッチ スタックを指します。
(注) スイッチにスタティック ルーティングを設定しない場合、Catalyst 2960-S スイッチに SDM テンプレートを設定する必要はありません。LAN Base イメージが実行されている Catalyst 2960-S スイッチでは、サポートされているすべての機能に必要な最大リソースが含まれているデフォルト テンプレートが使用されます。
• 「SDM テンプレートの概要」
• 「スイッチ SDM テンプレートの設定」
• 「SDM テンプレートの表示」
SDM テンプレートの概要
(注) LAN Lite イメージを実行する Catalyst 2960-S で使用されている SDM テンプレートはデフォルト テンプレートであり、設定することはできません。LAN Base イメージを実行する Catalyst 2960-S スイッチは、デフォルト テンプレートと lanbase-routing テンプレートのみをサポートします。
ネットワークでのスイッチの使用状況に応じて、SDM テンプレートを使用して、特定の機能に対するサポートを最適化するように Catalyst 2960 スイッチのシステム リソースを設定できます。一部の機能にシステムを最大限に利用させるようにテンプレートを選択したり、デフォルト テンプレートを使用してリソースを均衡化することができます。
Ternary CAM(TCAM)リソースをさまざまな用途に割り当てるために、スイッチ SDM テンプレートはシステム リソースにプライオリティを設定して、特定の機能のサポートを最適化します。Catalyst 2960 スイッチで SDM テンプレートを選択することにより、これらの機能を最適化できます。
• デフォルト:デフォルト テンプレートは、すべての機能に均等にリソースを割り当てます。
• デュアル:デュアル IPv4/IPv6 テンプレートを使用することにより、(IPv4 と IPv6 の両方をサポートする)デュアル スタック環境でスイッチを使用できるようになります。デュアル スタック テンプレートを使用すると、各リソースの TCAM の許容容量が少なくなります。IPv4 トラフィックだけを転送する場合は、デュアル スタック テンプレートを使用しないでください。
(注) IPv4 と IPv6 のデュアル テンプレートは、LAN Lite イメージを実行する Catalyst 2960 スイッチまたは Catalyst 2960-S スイッチではサポートされません。
• LAN ベース ルーティング:lanbase-routing テンプレートは、スタティック ルーティング SVI を設定するための IPv4 ユニキャスト ルートをサポートします。
(注) lanbase-routing テンプレートは、Cisco IOS Release 12.2(55)SE 以降と LAN Base イメージを実行するスイッチでのみサポートされます。
• QoS:QoS テンプレートは、Quality of Service(QoS)Access Control Entry(ACE; アクセス コントロール エントリ)のためのシステム リソースを最大にします。
表 8-1 各テンプレートに割り当てられた機能のリソースの概算
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ユニキャスト MAC アドレス |
8 K |
8 K |
8 K |
8 K |
4 K |
IPv4 IGMP グループ |
256 |
256 |
256 |
256 |
256 |
IPv4 ユニキャスト ルート |
0 |
256 |
0 |
0 |
4.25 K |
• ホストに直接接続 |
0 |
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0 |
0 |
4 K |
• 間接ルート |
0 |
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0 |
0 |
256 |
IPv6 マルチキャスト グループ |
0 |
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0 |
0 |
0 |
直接接続された IPv6 アドレス |
0 |
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0 |
0 |
0 |
間接 IPv6 ユニキャスト ルート |
0 |
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0 |
0 |
0 |
IPv4 ポリシーベース ルーティング ACE |
0 |
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0 |
0 |
0 |
IPv4 MAC QoS ACE |
128 |
384 |
384 |
0 |
128 |
IPv4 MAC セキュリティ ACE |
384 |
384 |
128 |
256 |
384 |
IPv6 ポリシーベース ルーティング |
0 |
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0 |
0 |
0 |
IPv6 QoS ACE |
0 |
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0 |
0 |
0 |
IPv6 セキュリティの ACE |
0 |
128 |
0 |
0 |
0 |
テーブル内の各行は、1 つのテンプレートを選択した場合の、ハードウェアの境界値セットの概数です。ハードウェア リソースのある部分がいっぱいの場合は、処理のオーバーフローはすべて CPU に送られ、スイッチのパフォーマンスに重大な影響が出ます。
SDM テンプレートとスイッチ スタック
(注) スタック構成をサポートしているのは、LAN Base イメージを実行している Catalyst 2960-S スイッチだけです。
すべてのスタック メンバは、スタック マスター上に格納されている同一の SDM テンプレートを使用します。新たなスイッチがスタックに追加されると、スイッチのコンフィギュレーション ファイルや VLAN データベース ファイルと同様に、スタック マスターに格納された SDM コンフィギュレーション ファイルによって、個々のスイッチに設定されているテンプレートが上書きされます。スタッキングの詳細については、「スイッチ スタックの管理」を参照してください。
show switch 特権 EXEC コマンドを使用すると、スタック メンバが SDM 不一致モードになっているかどうかを確認できます。この例は、SDM 不一致が存在するときの show switch 特権 EXEC コマンドの出力を示しています。
Switch# Role Mac Address Priority State
------------------------------------------------------------
*2 Master 000a.fdfd.0100 5 Ready
4 Member 0003.fd63.9c00 5 SDM Mismatch
次は、スタック マスターにスタック メンバが SDM 不一致モードであることを通知する Syslog メッセージの一例です。
!!!!!!!SDM MISMATCH !!!!!!!
Master Template is lanbase-routing & Local Template is default
Reloading because of sdm template mismatch
スイッチ SDM テンプレートの設定
• 「デフォルトの SDM テンプレート」
• 「SDM テンプレートの設定時の注意事項」
• 「SDM テンプレートの設定」
デフォルトの SDM テンプレート
Catalyst 2960 スイッチおよび 2960-S スイッチのデフォルト テンプレートは、デフォルト デスクトップ テンプレートです。
SDM テンプレートの設定時の注意事項
(注) SDM テンプレートは、Catalyst 2960-S スイッチで設定します。LAN Base イメージが実行されている Catalyst 2960-S スイッチでは、サポートされているすべての機能に必要な最大リソースが含まれているデスクトップのデフォルト テンプレートが使用されます。ただし、スタティック ルーティングをイネーブルにするには、lanbase-routing テンプレートを設定する必要があります。
• SDM テンプレートの選択と設定を行う際、設定を有効にするため、スイッチをリロードする必要があります。
• スイッチ上でルーティングがイネーブルになっていない場合、ルーティング テンプレートを使用しないでください。 sdm prefer lanbase routing グローバル コンフィギュレーション コマンドを使用すると、ルーティング テンプレート内でユニキャスト ルーティングに割り当てられたメモリを他の機能が使用できなくなります。
• デュアル IPv4/IPv6 テンプレートを選択する前に IPv6 機能の設定を試みると、警告メッセージが表示されます。
(注) デュアル テンプレートは、LAN Lite イメージを実行するスイッチではサポートされず、Catalyst 2960-S スイッチでは必要ありません。
• デュアル スタック テンプレートを使用すると、リソースごとに使用可能な TCAM 容量が少なくなるため、IPv4 トラフィックだけを転送する場合は、このテンプレートを使用しないでください。
SDM テンプレートの設定
SDM テンプレートを使用して機能動作を最適にサポートするには、特権 EXEC モードで次の手順を実行します。
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ステップ 1 |
configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
sdm prefer { default | dual -ipv4-and-ipv6 default | lanbase-routing | qos } |
スイッチで使用する SDM テンプレートを指定します。 キーワードの意味は次のとおりです。 • default :すべての機能に均等にリソースを割り当てます。 • dual-ipv4-and-ipv6 default :スイッチがデュアル スタック環境で使用できます(IPv4 および IPv6 がサポートされます)。 • lanbase-routing :SVI でのスタティック ルーティングのためのユニキャスト ルートの設定をサポートします。 • qos :QoS ACE 用のシステム リソースを最大にします。 スイッチをデフォルト テンプレートに設定するには、 no sdm prefer コマンドを使用します。デフォルト テンプレートは、システム リソースを均等に割り当てます。 (注) Catalyst 2960-S スイッチは、デフォルト テンプレートと lanbase-routing テンプレートのみをサポートします。 |
ステップ 3 |
end |
特権 EXEC モードに戻ります。 |
ステップ 4 |
reload |
OS(オペレーティング システム)をリロードします。 |
システムの再起動後、 show sdm prefer 特権 EXEC コマンドを使用して、新しいテンプレート設定を確認できます。 reload 特権 EXEC コマンドを入力する前に、 show sdm prefer コマンドを入力すると、 show sdm prefer コマンドにより、現在使用しているテンプレートおよびリロード後にアクティブになるテンプレートが表示されます。
SDM テンプレートの表示
アクティブ テンプレートを表示するには、パラメータを指定せずに show sdm prefer 特権 EXEC コマンドを使用します。
指定されたテンプレートでサポートされているリソース数を表示するには、 show sdm prefer [ default | dual-ipv4-and-ipv6 default | lanbase-routing | qos ] 特権 EXEC コマンドを使用します。
(注) Catalyst 2960-S スイッチは、デフォルト テンプレートと lanbase-routing テンプレートのみをサポートします。
次に、使用中のテンプレートを表示する show sdm prefer コマンドの出力例を示します。
The current template is "lanbase-routing" template.
The selected template optimizes the resources in
the switch to support this level of features for
8 routed interfaces and 255 VLANs.
number of unicast mac addresses: 4K
number of IPv4 IGMP groups + multicast routes: 0.25K
number of IPv4 unicast routes: 4.25K
number of directly-connected IPv4 hosts: 4K
number of indirect IPv4 routes: 0.25K
number of IPv4 policy based routing aces: 0
number of IPv4/MAC qos aces: 0.125k
number of IPv4/MAC security aces: 0.375k