ゾーン分割の概要
ゾーン分割には、次の機能があります。
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ゾーンは、複数のゾーン メンバで構成されます。
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ゾーンのメンバ同士はアクセスできますが、異なるゾーンのメンバ同士はアクセスできません。
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ゾーン分割がアクティブでない場合、すべてのデバイスがデフォルト ゾーンのメンバとなります。
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ゾーン分割がアクティブの場合、アクティブ ゾーン(アクティブ ゾーン セットに含まれるゾーン)にないデバイスがデフォルト ゾーンのメンバーとなります。
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ゾーンのサイズを変更できます。
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デバイスは複数のゾーンに所属できます。
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ゾーン セットは、1 つまたは複数のゾーンで構成されます。
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ゾーン セットは、単一エンティティとしてファブリックのすべてのスイッチでアクティブまたは非アクティブにできます。
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アクティブにできるのは、常に 1 つのゾーン セットだけです。
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1 つのゾーンを複数のゾーン セットのメンバーにできます。
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MDS スイッチあたりの最大ゾーン セット数は 1000 です。
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ゾーン分割は、ファブリックの任意のスイッチから管理できます。
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任意のスイッチからゾーンをアクティブにした場合、ファブリックのすべてのスイッチがアクティブ ゾーン セットを受信します。また、ファブリック内のすべてのスイッチにフル ゾーン セットが配布されます(この機能が送信元スイッチでイネーブルである場合)。
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既存のファブリックに新しいスイッチが追加されると、新しいスイッチによってゾーン セットが取得されます。
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ゾーンの変更を中断せずに設定できます。影響を受けないポートまたはデバイスのトラフィックを中断させることなく、新しいゾーンおよびゾーン セットをアクティブにできます。
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ゾーン メンバーシップ基準は、WWN または FC ID に基づきます。
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Port World Wide Name(pWWN):スイッチに接続された N ポートの pWWN をゾーンのメンバとして指定します。
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ファブリック pWWN:ファブリック ポートの WWN(スイッチ ポートの WWN)を指定します。このメンバーシップは、ポートベース ゾーン分割とも呼ばれます。
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FC ID:スイッチに接続された N ポートの FC ID をゾーンのメンバとして指定します。
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インターフェイスおよび Switch WWN(sWWN):sWWN によって識別されたスイッチのインターフェイスを指定します。このメンバーシップは、インターフェイス ゾーン分割とも呼ばれます。
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インターフェイスおよびドメイン ID:ドメイン ID によって識別されたスイッチのインターフェイスを指定します。
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ドメイン ID およびポート番号:MDS ドメインのドメイン ID を指定し、他社製スイッチに属するポートを追加指定します。
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IPv4 アドレス:接続されたデバイスの IPv4 アドレス(およびオプションでサブネット マスク)を指定します。
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IPv6 アドレス:接続された複数のデバイスをコロンで区切った 16 進表記の 128 ビットの IPv6 アドレス。
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シンボル ノード名:メンバー シンボル ノード名を指定します。最大長は 240 文字です。
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デフォルト ゾーン メンバーシップには、特定のメンバーシップとの関係を持たないすべてのポートまたは WWN が含まれます。デフォルト ゾーン メンバ間のアクセスは、デフォルト ゾーン ポリシーによって制御されます。
(注) |
ゾーン、ゾーン メンバー、およびゾーン セットの数の設定時の制限については、『Cisco MDS NX-OS Configuration Limits』を参照してください。 |
ゾーン分割の例
図 1 に、ファブリックの 2 つのゾーン(ゾーン 1 およびゾーン 2)で構成されるゾーン セットを示します。ゾーン 1 は、3 つすべてのホスト(H1、H2、H3)からストレージ システム S1 と S2 に存在するデータへのアクセスを提供します。ゾーン 2 では、S3 のデータに H3 からだけアクセスできます。H3 は両方のゾーンに存在することに注意してください。
このファブリックをゾーンに分割する方法は他にもあります。図 2 に、その他の方法を示します。新しいソフトウェアをテストするために、ストレージ システム S2 を分離する必要があると想定します。これを実行するために、ホスト H2 とストレージ S2 だけを含むゾーン 3 が設定されます。ゾーン 3 ではアクセスを H2 と S2 だけに限定し、ゾーン 1 ではアクセスを H1 と S1 だけに限定できます。
ゾーン実装
Cisco MDS 9000 シリーズのすべてのスイッチは、以下の基本ゾーン機能を自動的にサポートします(追加の設定は不要です)。
- ゾーンが VSAN に含まれます。
- ハード ゾーン分割をディセーブルにできません。
- ネーム サーバ クエリーがソフト ゾーン分割されます。
- アクティブ ゾーン セットだけが配布されます。
- ゾーン分割されていないデバイスは、相互にアクセスできません。
- 各 VSAN に同一名のゾーンまたはゾーン セットを含めることができます。
- 各 VSAN には、フル データベースとアクティブ データベースがあります。
- アクティブ ゾーン セットを変更するには、フル ゾーン データベースをアクティブ化する必要があります。
- アクティブ ゾーン セットは、スイッチの再起動後も維持されます。
- フル データベースに加えた変更は、明示的に保存する必要があります。
- ゾーンを再アクティブ化(ゾーン セットがアクティブの状態で、別のゾーン セットをアクティブ化する場合)しても、既存のトラフィックは中断しません。
必要に応じて、さらに次のゾーン機能を設定できます。
- VSAN 単位ですべてのスイッチにフル ゾーン セットを伝播します。
- ゾーン分割されていないメンバのデフォルト ポリシーを変更します。
- VSAN を interop モードに設定することによって、他のベンダーと相互運用できます。相互に干渉することなく、同じスイッチ内で 1 つの VSAN を interop モードに、別の VSAN を基本モードに設定することもできます。
- E ポートを分離状態から復旧します。
ゾーン メンバー設定に関する注意事項
ゾーンのすべてのメンバーは互いに通信できます。メンバー数が N のゾーンの場合、N*(N-1) のアクセス権限をイネーブルにする必要があります。単一ゾーン内にターゲットまたは発信元を多数設定しないことを推奨します。多数設定してしまうと、実際には互いに通信することのない通信ペア(発信側と発信側間、ターゲットとターゲット間)の多くがプロビジョニング/管理の対象となるため、スイッチ リソースの浪費になります。この理由から、1 つの発信側に対して1 つのターゲットを設定するのが最も効率的なゾーン分割方法といえます。
ゾーン メンバーを作成するときは、以下の注意事項について検討する必要があります。
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ゾーンに対して 1 つの発信側と 1 つのターゲットだけ設定すると、スイッチ リソースの使用率が最も効率的になります。
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複数のターゲットに同じ発信側を設定することは許容されます。
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複数のターゲットに複数の発信側を設定することは推奨されません。
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インターフェイスに基づいてゾーン メンバーを設定するときには、ファブリック内でインターフェイス数が最も多い可能性があるファブリック スイッチを常に選択してください。
アクティブ ゾーン セットおよびフル ゾーン セットに関する考慮事項
ゾーン セットを設定する場合は、次の点に注意してください。
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各 VSAN は、複数のゾーン セットを持つことができますが、アクティブにできるのは常に 1 つのゾーン セットだけです。
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ゾーン セットを作成すると、そのゾーン セットは、フル ゾーン セットの一部となります。
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ゾーン セットがアクティブな場合は、フル ゾーン セットのゾーン セットのコピーがゾーン分割に使用されます。これは、アクティブ ゾーン セットと呼ばれます。アクティブ ゾーン セットは変更できません。アクティブ ゾーン セットに含まれるゾーンは、アクティブ ゾーンと呼ばれます。
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管理者は、同一名のゾーン セットがアクティブであっても、フル ゾーン セットを変更できます。ただし、加えられた変更が有効になるのは、再アクティブ化したときです。
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アクティブ化が実行されると、永続的なコンフィギュレーションにアクティブ ゾーン セットが自動保存されます。これにより、スイッチのリセットにおいてもスイッチはアクティブ ゾーン セット情報を維持できます。
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ファブリックのその他すべてのスイッチは、アクティブ ゾーン セットを受信するので、それぞれのスイッチでゾーン分割を実行できます。
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ハードおよびソフト ゾーン分割は、アクティブ ゾーン セットを使用して実装されます。変更は、ゾーン セットのアクティブ化によって有効になります。
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アクティブ ゾーン セットに含まれない FC ID または Nx ポートは、デフォルト ゾーンに所属します。デフォルト ゾーン情報は、他のスイッチに配信されません。
(注) |
1 つのゾーン セットがアクティブな場合に、別のゾーン セットをアクティブにすると、現在アクティブなゾーン セットが自動的に非アクティブになります。新しいゾーン セットをアクティブにする前に、現在のアクティブ ゾーン セットを明示的に非アクティブにする必要はありません。 |
次の図に、アクティブにされたゾーン セットに追加されるゾーンを示します。
Quick Config ウィザードの使用
(注) |
Quick Config ウィザードは、スイッチ インターフェイス ゾーン メンバーだけをサポートします。 |
Cisco SAN-OS Release 3.1(1) および NX-OS Release 4.1(2) 以降では、Cisco MDS 9124 スイッチの Quick Config ウィザードを使用して VSAN ごとにゾーン メンバーの追加または削除を行えます。Quick Config ウィザードを使用してインターフェイスベースのゾーン分割を実行し、Device Manager を使用して複数の VSAN にゾーン メンバーを割り当てることができます。
(注) |
Quick Config ウィザードは、Cisco MDS 9124、MDS 9134、MDS 9132T、MDS 9148、MDS 9148S、MDS 9148T、MDS 9396S、および MDS 9396T ファブリック スイッチ、Cisco Fabric Switch for HP c-Class BladeSystem、ならびに Cisco Fabric Switch for IBM BladeCenter でサポートされます。 |
注意 |
Quick Config ウィザードは、スイッチで既存のゾーン分割が定義されていないスタンドアロン スイッチでだけ使用できます。 |
Cisco MDS 9124 スイッチで Device Manager を使用して、ゾーンにポートを追加またはゾーンからポートを削除し、特定の VSAN 内のデバイスだけをゾーン分割する手順は、次のとおりです。
手順
ステップ 1 |
[FC] > [Quick Config] を選択するか、またはツールバーの [Zone] アイコンをクリックします。 すべてのコントロールがディセーブルになっている Quick Config ウィザード(図 2 を参照)およびすべてのサポートされていない設定を表示する [Discrepancies] ダイアログボックス(図 1 を参照)が表示されます。
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ステップ 2 |
[OK] をクリックして作業を続行します。 [Quick Config Wizard] ダイアログボックスが表示されます(図 2 を参照)。
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ステップ 3 |
ゾーンに追加する、またはゾーンから削除するポートの [Ports Zoned To] 列のチェックボックスをオンにします。一致するポートのチェックボックスが同様に設定されます。選択されたポート ペアがゾーンに追加またはゾーンから削除され、2 デバイス ゾーンが作成されます。 [VSAN] ドロップダウン メニューには、選択された VSAN 内のデバイスだけをゾーン分割できるフィルタが用意されています。 |
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ステップ 4 |
列の表示と非表示を切り替えるには、列の名前を右クリックします。 |
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ステップ 5 |
[Next] をクリックして変更の確認を行います。 [Confirm Changes] ダイアログボックスが表示されます(図 3 を参照)。 |
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ステップ 6 |
CLI コマンドを表示する場合は、このダイアログボックスを右クリックして、ポップアップ メニューで [CLI Commands] をクリックします。 |
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ステップ 7 |
設定変更を保存するには、[Finish] をクリックします。 |