DPVM の概要
スイッチのポート VSAN メンバーシップは、ポート単位で割り当てられます。デフォルトでは、各ポートはデフォルト VSAN に属します。
VSAN をデバイス WWN に基づいて割り当てることにより、VSAN メンバーシップをポートに動的に割り当てることができます。この方法は Dynamic Port VSAN Membership(DPVM)機能といいます。DPVM により、柔軟性が高まり、ホストまたはストレージ デバイスの接続が 2 つの Cisco MDS スイッチ間またはスイッチ内の 2 つのポート間で移動される場合に、ファブリック トポロジを維持するためにポート VSAN メンバーシップを再設定する必要がなくなります。デバイスが接続されるか、移動されるかに関係なく、設定済みの VSAN が保持されます。VSAN を静的に割り当てるには、を参照してください。 ダイナミック VSAN の作成
DPVM 設定は、Port World Wide Name(pWWN)および Node World Wide Name(nWWN)の割り当てに基づきます。DPVM データベースには、各デバイスの pWWN/nWWN 割り当ておよび対応する VSAN のマッピング情報が含まれます。Cisco NX-OS ソフトウェアは、デバイス FLOGI 中にデータベースをチェックし、必要な VSAN の詳細を取得します。
pWWN はホストまたはデバイスを識別し、nWWN は複数のデバイスで構成されるノードを識別します。これらの ID のいずれかを割り当てるか、またはこれらの ID の組み合わせを割り当てて、DPVM をマッピングを設定できます。組み合わせて割り当てると、pWWN が優先されます。
DPVM は、Cisco Fabric Services(CFS)インフラストラクチャを使用して、データベースを効率的に管理および配信できるようにします。DPVM では、アプリケーション駆動の調整済み配信モードが使用され、配信範囲はファブリック全体に及びます(CFS の詳細については、『Cisco MDS 9000 Family NX-OS System Management Configuration Guide』を参照してください)。
(注) |
DPVM はデバイス アドレス指定への変更を引き起こしません。DPVM はデバイスの VSAN メンバーシップだけに関連し、スイッチ上のいずれのポートでもホストが同じ VSAN メンバーシップを確実に取得するようにします。たとえば、スイッチ上のポートでハードウェア障害が発生した場合は、ホスト接続をスイッチ上の別のポートに移動でき、VSAN メンバーシップを手動で更新する必要はありません。 |
(注) |
DPVM は FL ポートではサポートされません。DPVM がサポートされるのは F ポートだけです。 |
ここでは DPVM について、次の内容を説明します。
DPVM 設定の概要
DPVM 機能を設計どおりに使用するには、必ず次の要件が満たされていることを確認してください。
- ダイナミック デバイスが Cisco MDS 9000 ファミリ スイッチに接続するインターフェイスは、F ポートとして設定される必要があります。
- F ポートのスタティック ポート VSAN が有効になっている(分離されたり一時停止されたりしておらず、存在している)必要があります。
- DPVM データベースのデバイスに対して設定されているダイナミック VSAN が有効になっている(分離されたり一時停止されたりしておらず、存在している)必要があります。
(注) |
DPVM 機能は、既存のスタティック ポート VSAN メンバーシップ設定を上書きします。ダイナミック ポートに対応する VSAN が削除または一時停止されると、ポートはシャットダウンされます。 |
DPVM のイネーブル化
DPVM の設定を始めるには、ファブリック内の必要なスイッチで DPVM を明示的にイネーブルにする必要があります。デフォルトでは、この機能は Cisco MDS 9000 ファミリのすべてのスイッチでディセーブルになっています。
DPVM の設定および確認コマンドを使用できるのは、スイッチ上で DPVM がイネーブルに設定されている場合だけです。この機能をディセーブルにすると、関連するすべての設定が自動的に廃棄されます。
参加しているスイッチの DPVM を有効にするには、次の手順を実行します。
手順
ステップ 1 |
switch# config t コンフィギュレーション モードに入ります。 |
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ステップ 2 |
switch(config)# feature dpvm スイッチ上で DPVM をイネーブルにします。 |
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ステップ 3 |
switch(config)# no feature dpvm スイッチ上の DPVM をディセーブルにします(デフォルト)。
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DPVM データベースの概要
DPVM データベースは、一連のデバイス マッピング エントリで構成されます。各エントリは、デバイス pWWN または nWWN 割り当て、および割り当てられるダイナミック VSAN で構成されます。最大 16,000 の DPVM エントリを DPVM データベース内で設定できます。このデータベースは、スイッチ全体(およびファブリック)に対してグローバルであり、VSAN ごとには保持されません。
DPVM 機能は、これらのデータベースを使用して、設定を受け入れ、実装します。
- コンフィギュレーション(config)データベース:配信がディセーブルになっている場合、設定の変更はすべてコンフィギュレーション データベースに格納されます。
- アクティブ データベース:ファブリックが現在実行しているデータベース。
- 保留データベース:配信がイネーブルになっている場合、設定の変更はすべて DPVM 保留データベースに格納されます(DPVM データベース配信 を参照)。
DPVM コンフィギュレーション データベースの変更は、DPVM コンフィギュレーション データベースをアクティブにするまでは、アクティブ DPVM データベースに反映されません。DPVM 保留データベースの変更は、DPVM 保留データベースをコミットするまでは、コンフィギュレーション データベースまたはアクティブ DPVM データベースに反映されません。このデータベース構造により、複数のエントリを作成し、変更を確認し、DPVM コンフィギュレーション データベースおよび保留データベースを有効にすることができます。
DPVM コンフィギュレーション データベースおよび保留データベースの設定
DPVM コンフィギュレーション データベースと保留データベースの作成および入力を行う手順は、次のとおりです。
手順
ステップ 1 |
switch# config terminal switch(config)# コンフィギュレーション モードに入ります。 |
ステップ 2 |
switch(config)# device-alias mode enhanced switch(config)# device-alias commit 拡張デバイス エイリアス モードを有効にします。これは、DPVM データベースのデバイス エイリアス設定に必要です。 |
ステップ 3 |
switch(config)# dpvm database switch(config-dpvm-db)# DPVM コンフィギュレーション データベースを作成します。 |
ステップ 4 |
switch(config)# no dpvm database (任意)DPVM コンフィギュレーション データベースを削除します。 |
ステップ 5 |
switch(config-dpvm-db)# pwwn 12:33:56:78:90:12:34:56 vsan 100 指定したデバイス pWWN を VSAN 100 にマッピングします。 |
ステップ 6 |
switch(config-dpvm-db)# no pwwn 12:33:56:78:90:12:34:56 vsan 101 (任意)DPVM コンフィギュレーション データベースから指定されたデバイス pWWN マッピングを削除します。 |
ステップ 7 |
switch(config-dpvm-db)# nwwn 14:21:30:12:63:39:72:81 vsan 101 指定したデバイス nWWN を VSAN 101 にマッピングします。 |
ステップ 8 |
switch(config-dpvm-db)# no nwwn 14:21:30:12:63:39:72:80 vsan 101 (任意)DPVM コンフィギュレーション データベースから指定されたデバイス nWWN マッピングを削除します。 |
ステップ 9 |
switch(config-dpvm-db)# device-alias device1 vsan 102 指定したデバイス エイリアスを VSAN 102 にマッピングします。 |
ステップ 10 |
switch(config-dpvm-db)# no device-alias device1 vsan 102 (任意)DPVM コンフィギュレーション データベースから指定されたデバイス エイリアス マッピングを削除します。 |
DPVM コンフィギュレーション データベースのアクティブ化
DPVM コンフィギュレーション データベースを明示的にアクティブにすると、DPVM コンフィギュレーション データベースはアクティブ DPVM データベースになります。DPVM コンフィギュレーション データベースと現在のアクティブ DPVM データベースの間で矛盾するエントリが見つかった場合、アクティブ化は失敗することがあります。ただし、アクティブ化を強制的に実行して、矛盾するエントリを上書きできます。
DPVM を無効にするには、 no dpvm activate コマンドを実行して、現在アクティブな DPVM データベースを明示的に非アクティブにする必要があります。
DPVM コンフィギュレーション データベースをアクティブにするには、次の手順を実行します。
手順
ステップ 1 |
switch# config t switch(config)# コンフィギュレーション モードに入ります。 |
ステップ 2 |
switch(config)# dpvm activate DPVM コンフィギュレーション データベースをアクティブにします。 |
ステップ 3 |
switch(config)# no dpvm activate 現在アクティブな DPVM データベースを非アクティブにします。 |
ステップ 4 |
switch(config)# dpvm activate force 競合するエントリを上書きするため、DPVM コンフィギュレーション データベースを強制的にアクティブにします。 |
自動学習エントリの概要
DPVM データベースは、各 VSAN 内の新規デバイスについて自動的に学習(自動学習)するように設定できます。自動学習機能は、いつでもイネーブルまたはディセーブルにすることができます。学習済みエントリは、アクティブ DPVM データベース内でデバイス pWWN および VSAN に入力することによって作成されます。自動学習をイネーブルにするには、アクティブ DPVM データベースが使用可能になっている必要があります。
自動学習をイネーブルにする場合、学習済みエントリをアクティブ DPVM データベースから削除できます。これらのエントリは、自動学習をディセーブルにする場合に限り、アクティブ DPVM データベース内で固定になります。
(注) |
自動学習がサポートされるのは F ポートに接続されているデバイスの場合だけです。DPVM は FL ポートではサポートされていないため、FL ポートに接続されているデバイスは DPVM データベースに入力されません。 |
学習済みエントリには次の条件が適用されます。
- 自動学習がイネーブルになっているときにデバイスがログアウトした場合、そのエントリはアクティブ DPVM データベースから自動的に削除されます。
- 同じデバイスが異なるポートを通じてスイッチに複数回ログインした場合、最後のログインに対応する VSAN が認識されます。
- 学習済みエントリは、以前に設定されてアクティブにされたエントリを上書きしません。
- 学習は、自動学習をイネーブルにした後に自動学習をディセーブルにするという 2 つの部分から成るプロセスです。auto-learn オプションがイネーブルの場合、次のようになります。
- 現在ログインされているデバイスの学習:自動学習がイネーブルにされた時点から行われます。
- 新規デバイスのログインの学習:新規デバイスがスイッチにログインした時点で行われます。
自動学習のイネーブル化
自動学習をイネーブルにするには、次の手順を実行します。
手順
ステップ 1 |
switch# config t switch(config)# コンフィギュレーション モードに入ります。 |
ステップ 2 |
switch(config)# dpvm auto-learn スイッチ上で学習をイネーブルにします。 |
ステップ 3 |
switch(config)# no dpvm auto-learn スイッチ上で学習を無効にします(デフォルト)。 |
ステップ 4 |
switch(config)# clear dpvm auto-learn 自動学習エントリのリストをクリアします。 |
ステップ 5 |
switch(config)# clear dpvm auto-learn pwwn pwwn 分散 DPVM データベースの自動学習 pWWN エントリのリストをクリアします。 |
学習エントリの消去
2 つの方法のいずれかを使用して DPVM エントリをアクティブ DPVM データベースから消去できます(自動学習がイネーブルになっている場合)。
- 1 つの自動学習エントリを消去するには、clear dpvm auto-learn pwwn コマンドを使用します。
switch# clear dpvm auto-learn pwwn 55:22:33:44:55:66:77:88
- すべての自動学習エントリを消去するには、clear dpvm auto-learn コマンドを使用します。
switch# clear dpvm auto-learn
(注) |
これらの 2 つのコマンドはセッションを開始せず、ローカル スイッチ内だけで発行できます。 |