External Call Transfer Restrictions の概要
External Call Transfer Restrictions は、外部のユーザ間のコール転送をブロックします。サービス パラメータを設定し、ゲートウェイ、トランク、およびルート パターンを OffNet(外部)デバイスとして設定することで、外部コールの転送をブロックします。この機能を使用すると、OnNet または OffNet のアラート トーンがコールの着信側デバイスで聞こえます(OnNet または OffNet のどちらであるかは、デバイスの設定によって決まります)。この章では、次の用語を使用します。
OnNet デバイス:OnNet として設定されるデバイス。ネットワークの内部にあると見なされます。
OffNet デバイス:OffNet として設定されるデバイス。ルーティングされる場合は、ネットワークの外部にあると見なされます。
ネットワーク ロケーション:デバイスがある場所。ネットワークに対して OnNet または OffNet であると見なされます。
発信側デバイス:転送されるデバイス。システムはこのデバイスを OnNet または OffNet と見なします。
着信側デバイス:転送されたコールを受信するデバイス。システムはこのデバイスを OnNet または OffNet と見なします。
着信コール:OnNet または OffNet として分類する際に、ゲートウェイとトランクのコール分類設定だけが使用されるコール。ルート パターンのコール分類設定は、適用されません。
発信コール:トランク、ゲートウェイ、およびルート パターンのコール分類設定が適用されるコール。ルート パターンの[デバイスの上書きを許可(Allow Device Override)]設定により、ルート パターンのコール分類設定の代わりに、トランクまたはゲートウェイのコール分類設定のいずれかが使用されます。
ゲートウェイとトランク
ゲートウェイおよびトランクを OnNet(内部)または OffNet(外部)として設定するには、[ゲートウェイの設定(Gateway Configuration)]または[トランクの設定(Trunk Configuration)]を使用するか、あるいはクラスタ全体のサービス パラメータを設定します。この機能をクラスタ全体のサービス パラメータ Block OffNet to OffNet Transfer とともに使用した場合、コールがゲートウェイ経由で転送されるか、トランク経由で転送されるかは設定によって決定されます。
次のデバイスは、Cisco Unified CallManager の内部または外部として設定できます。
• H.323 ゲートウェイ
• MGCP FXO トランク
• MGCP T1/E1 トランク
• クラスタ間トランク
• SIP トランク
ルート パターン
コールを OnNet または OffNet として分類するには、[ルートパターンの設定(Route Pattern Configuration)]ウィンドウの[コールの分類(Call Classification)]フィールドを、それぞれ OnNet または OffNet に設定します。[ルートパターンの設定(Route Pattern Configuration)]ウィンドウの[デバイスの上書きを許可(Allow Device Override)]チェックボックスをオンにすると、ルート パターン設定を上書きして、トランクまたはゲートウェイ設定を使用できます。
詳細については、「External Call Transfer Restrictions の設定」を参照してください。
例
次の例では、発信者が転送を利用して、長距離電話の支払いを避ける方法について説明します。図20-1 に示すように、ニューヨークの ABC カンパニーのユーザ A がニュージーランドの友人ユーザ B に電話をかけます。コールが接続されたら、ユーザ A はコールを英国に住んでいる別の友人であるユーザ C に転送します。転送が完了すると、ユーザ B とユーザ C が接続され、ユーザ A は切断されます。この結果、ABC カンパニーは、ニュージーランドと英国間のコールの請求書を受け取ります。
図20-1 外部のユーザへの外部コールの転送
図20-2 では、ゲートウェイやトランクがどのように設定されているかに関わらず、ルート パターンが[OffNet]として設定され、サービス パラメータ Block OffNet to OffNet Transfer が[True]に設定されているため、外部のコールを外部のユーザに転送することはできません。
図20-2 外部のユーザへの外部コールの転送をブロックする
External Call Transfer Restrictions のシステム要件
External Call Transfer Restrictions を使用するには、次のソフトウェア コンポーネントが動作している必要があります。
• Cisco Unified CallManager 5.0
インタラクションおよび制限事項
次の項では、External Call Transfer Restrictions のインタラクションおよび制限事項について説明します。
• 「インタラクション」
• 「制限事項」
インタラクション
この項では、External Call Transfer Restrictions 機能と Cisco Unified CallManager アプリケーションおよびコール処理とのインタラクションを説明します。
Drop Conference
Drop Conference 機能は、会議に参加しているユーザが OffNet または OnNet のどちらに設定されているかをチェックすることで、既存の Ad Hoc 会議を終了する必要があるかどうかを判別します。この機能は、サービス パラメータ Drop Ad Hoc Conference を使用し、[When No OnNet Parties Remain in the Conference]オプションを選択することによって設定します。ユーザが使用しているデバイスまたはルート パターンをチェックすることで、各ユーザの OnNet ステータスを判別します。詳細については、『 Cisco Unified CallManager システム ガイド 』の「Ad Hoc 会議の設定」を参照してください。
Bulk Administration
Bulk Administration は、ゲートウェイ テンプレートにゲートウェイ設定(OffNet または OnNet)を挿入します。詳細については、『 Cisco Unified CallManager Bulk Administration ガイド 』を参照してください。
Dialed Number Analyzer(DNA)
DNA をゲートウェイの番号分析を実行するために使用すると、ゲートウェイとルート パターンに設定するための Call Classification が表示されます。詳細については、『 Cisco Unified CallManager Dialed Number Analyzer ガイド 』を参照してください。
制限事項
External Call Transfer Restrictions には、次の制限事項があります。
• Cisco Catalyst 6000 24 Port などの FXS ゲートウェイでは、[ゲートウェイの設定(Gateway Configuration)]ウィンドウに[コールの分類(Call Classification)]フィールドがないため、常に OnNet であると見なされます。
• システムは、[コールの分類(Call Classification)]フィールドがない Cisco VG-248 Gateway をサポートしていません。
• Cisco Unified CallManager は、OffNet(外部)として設定できないすべての Cisco Unified IP Phone および FXS ポートを OnNet(内部)と見なします。
External Call Transfer Restrictions のインストールとアクティブ化
External Call Transfer Restrictions をアクティブにするには、次の手順を実行します。
1. Block OffNet to OffNet Transfer サービス パラメータを[True]に設定します。
2. [ルートパターンの設定(Route Pattern Configuration)]ウィンドウで、[コールの分類(Call Classification)]フィールドを[OffNet]に設定します。[デバイスの上書きを許可(Allow Device Override)]チェックボックスはオフのままにしておくため、デバイスはルート パターンの[コールの分類(Call Classification)]設定を使用します。
3. OffNet として識別するトランクとゲートウェイを設定します。
詳細については、「External Call Transfer Restrictions の設定チェックリスト」を参照してください。
External Call Transfer Restrictions の設定
この項の内容は次のとおりです。
• 「External Call Transfer Restrictions の設定チェックリスト」
• 「External Call Transfer Restrictions のサービス パラメータの設定」
• 「ゲートウェイ設定の使用による転送機能の設定」
• 「トランク設定の使用による転送機能の設定」
• 「ルート パターン設定の使用による転送機能の設定」
External Call Transfer Restrictions の設定チェックリスト
表20-1 に、External Call Transfer Restrictions を設定するためのチェックリストを示します。
表20-1 External Call Transfer Restrictions の設定チェックリスト
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ステップ 1 |
外部コールが外部デバイスに転送されることをブロックするには、次の手順を実行します。 1. クラスタ全体のサービス パラメータ Block OffNet to OffNet Transfer を[True]に設定します。 2. 着信コールについて、個々のゲートウェイまたはトランクを[OffNet]に設定します。 3. 発信コールについて、ルート パターンの[コールの分類(Call Classification)]フィールドを[OffNet]に設定します。[デバイスの上書きを許可(Allow Device Override)]チェックボックスは、要件に従って、オンまたはオフに設定します(たとえば、チェックボックスがオンの場合、関連付けられているゲートウェイまたはトランクの設定が優先されます。オフの場合は、ルート パターンのコール分類値によってコールが分類されます)。 |
「Block OffNet to OffNet Transfer サービス パラメータの設定」 「ゲートウェイ設定の使用による転送機能の設定」 「トランク設定の使用による転送機能の設定」 『 Cisco Unified CallManager アドミニストレーション ガイド 』の「ルート パターンの設定」 |
ステップ 2 |
すべてのゲートウェイまたはトランクを OffNet(外部)または OnNet(内部)に設定するには、次の手順を実行します。 1. Cisco Unified CallManager のクラスタ全体のサービス パラメータ Call Classification を、[OffNet](すべてのゲートウェイとトランクが外部の場合)または[OnNet](すべてのゲートウェイとトランクが内部の場合)に設定します。 2. [コールの分類(Call Classification)]フィールドで、個々のゲートウェイまたはトランクを[Use System Default]に設定します。 |
「Call Classification サービス パラメータを使用した転送機能の設定」 「ゲートウェイ設定の使用による転送機能の設定」 「トランク設定の使用による転送機能の設定」 |
ステップ 3 |
[ルートパターンの設定(Route Pattern Configuration)]ウィンドウで、[コールの分類(Call Classification)]フィールドを[OffNet]に設定します。[デバイスの上書きを許可(Allow Device Override)]チェックボックスは、要件およびゲートウェイまたはトランクの設定に従ってオンまたはオフに設定します。 |
『 Cisco Unified CallManager アドミニストレーション ガイド 』の「ルート パターンの設定」 |
Call Classification サービス パラメータを使用した転送機能の設定
Cisco Unified CallManager クラスタ内のすべてのゲートウェイまたはトランクを OffNet(外部)または OnNet(内部)に設定するには、次の 2 つの手順を実行します。
1. Cisco Unified CallManager のクラスタ全体のサービス パラメータ Call Classification を使用して、[OffNet]または[OnNet]のいずれかを選択します(デフォルトは[OffNet])。
2. [ゲートウェイの設定(Gateway Configuration)]ウィンドウおよび[トランクの設定(Trunk Configuration)]ウィンドウの[コールの分類(Call Classification)]フィールドで、それぞれのゲートウェイとトランクに[Use System Default]を設定します(これは Call Classification サービス パラメータの設定を読み出し、ゲートウェイとトランクにその設定を使用します)。
追加情報
「関連項目」を参照してください。
Block OffNet to OffNet Transfer サービス パラメータの設定
Cisco Unified CallManager のクラスタ全体のサービス パラメータ Block OffNet to OffNet Transfer を使用すると、ユーザが外部コールを他の外部番号へ転送することを防止できます。このパラメータには[True]または[False]を指定します。パラメータを[True]に設定すると、外部コールを他の外部デバイスに転送できなくなります。デフォルト値は[False]に設定されています。Block OffNet to OffNet Transfer サービス パラメータの変更には、[サービスパラメータ設定(Service Parameter Configuration)]ウィンドウを使用します。
サービス パラメータ Block OffNet to OffNet Transfer が[True]に設定されている場合に、ユーザが OffNet のゲートウェイまたはトランクのコールを転送しようとすると、ユーザの電話機には、コールを転送できないことを示すメッセージが表示されます。
追加情報
「関連項目」を参照してください。
ゲートウェイ設定の使用による転送機能の設定
[OffNet]、[OnNet]、または[Use System Default]としてゲートウェイを設定するには、次の手順を実行します。システムは、このように設定されたゲートウェイを通じてネットワークに着信するコールを、それぞれ OffNet または OnNet と見なします。
手順
ステップ 1 Cisco Unified CallManager の管理ページで、 [デバイス] >[ゲートウェイ] を選択します。
[ゲートウェイの検索と一覧表示(Find and List Gateway)]ウィンドウが表示されます。
ステップ 2 設定済みのゲートウェイを一覧表示するには、 [検索] をクリックします。
Cisco Unified CallManager で設定されたゲートウェイが表示されます。
ステップ 3 [OffNet]または[OnNet]として設定するゲートウェイを選択します。
ステップ 4 [コールの分類(Call Classification)]フィールドで、設定を選択します。これらの設定の説明については、 表20-2 を参照してください。
ステップ 5 [保存] をクリックします。
トランク設定の使用による転送機能の設定
[OffNet]、[OnNet]、または[Use System Default]としてトランクを設定するには、次の手順を実行します。システムは、このように設定されたトランクを通じてネットワークに着信するコールを、それぞれ OffNet または OnNet と見なします。
手順
ステップ 1 Cisco Unified CallManager の管理ページで、 [デバイス] >[トランク] を選択します。
[トランクの検索と一覧表示(Find and List Trunks)]ウィンドウが表示されます。
ステップ 2 設定済みのトランクを一覧表示するには、 [検索] をクリックします。
Cisco Unified CallManager で設定されたトランクが表示されます。
ステップ 3 [OffNet]または[OnNet]として設定するトランクを選択します。
ステップ 4 [コールの分類(Call Classification)]フィールドで、設定を選択します。これらの設定の説明については、 表20-2 を参照してください。
ステップ 5 [保存] をクリックします。
表20-2 [コールの分類(Call Classification)]の設定項目
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OffNet |
この設定は、ゲートウェイを外部ゲートウェイとして識別します。[OffNet]に設定されたゲートウェイからコールが着信すると、システムは宛先デバイスに外部の呼び出し音を送信します。 |
OnNet |
この設定は、ゲートウェイを内部ゲートウェイとして識別します。[OnNet]に設定されたゲートウェイからコールが着信すると、システムは宛先デバイスに内部の呼び出し音を送信します。 |
Use System Default |
この設定は、Cisco Unified CallManager のクラスタ全体のサービス パラメータ Call Classification を使用します。 |
ルート パターン設定の使用による転送機能の設定
[ルートパターンの設定(Route Pattern Configuration)]ウィンドウには、次のフィールドがあります。
• [コールの分類(Call Classification)]:このルート パターンを使用するコールを OffNet または OnNet に分類するには、このドロップダウン リスト ボックスを使用します。
• [外部ダイヤルトーンの提供(Provide Outside Dial Tone)]:[コールの分類(Call Classification)]が[OffNet]に設定されると、このチェックボックスがオンになります。
• [デバイスの上書きを許可(Allow Device Override)]:このチェックボックスがオンの場合、システムは[ルートパターンの設定(Route Pattern Configuration)]ウィンドウの[コールの分類(Call Classification)]設定の代わりに、ルート パターンに関連付けられたトランクまたはゲートウェイの[コールの分類(Call Classification)]設定を使用します。
追加情報
「関連項目」を参照してください。
関連項目
• 『 Cisco Unified CallManager アドミニストレーション ガイド 』の「ルート パターンの設定」
• 『 Cisco Unified CallManager アドミニストレーション ガイド 』の「ゲートウェイの設定」
• 『 Cisco Unified CallManager アドミニストレーション ガイド 』の「トランクの設定」
• 『 Cisco Unified CallManager アドミニストレーション ガイド 』の「サービス パラメータの設定」
• 『 Cisco Unified CallManager システム ガイド 』の「Conference Bridge」
その他のシスコ マニュアル
• Cisco Unified CallManager Dialed Number Analyzer ガイド
• Cisco Unified CallManager Bulk Administration ガイド