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メディア リソースとは、ソフトウェア ベースまたはハードウェア ベースのエンティティであり、接続中のデータ ストリームに対してメディア処理を行うものです。メディア処理機能には、複数のストリームを混合して 1 つの出力ストリームを作成する機能(会議)、ある接続から別の接続(メディア終端点)にストリームを渡す機能、ある圧縮タイプから別の圧縮タイプにデータ ストリームを変換する機能(トランスコーディング)、エコー キャンセレーション、シグナリング、回線からの音声ストリームの終端、ストリームのパケット化などが含まれます。
ハードウェア ベースのメディア リソースは、デジタル信号プロセッサ(DSP)を使用して、メディア処理機能を実行します。 表 4-1 では、メディア リソースを備えた Cisco ハードウェア プラットフォームについて、各プラットフォームで使用可能な DSP の個数および DSP チップセットのタイプをリストしています。
プラットフォーム |
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セットのタイプ |
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音声終端、会議、およびトランスコーディング1 |
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7、9、または 102 |
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プラットフォームがサポートできる音声終端の数は、そのプラットフォームが使用しているチップセットによって異なります。DSP がサポートできる音声終端の数も、使用するコーデックの複雑度によって決まります。コーデックの複雑度とは、処理オーバーヘッドに応じてコーデックをグループ化する方法です。
DSP に対する処理オーバーヘッドに基づいて、コーデックに複雑度のレベルを割り当てることができます。複雑度が高い(高複雑度)コーデックは、複雑度が中程度(中複雑度)のコーデックに比べ、サポートできるコール数が少なくなります。新しいコールがあっても、コールのコーデック タイプに応じて必要とされる DSP リソースが不足していると、そのコールは拒否されます。したがって、複雑度レベルを割り当てる前に、DSP がサポートしなければならない各コーデック タイプのコール数を慎重に検討してください。
Cisco ハードウェア プラットフォームは、現在、3 つの DSP モデル(TI 549、TI 5421、および TI 5510)を使用します。
TI 549 と TI 5421 の DSP は、中複雑度と高複雑度のコーデックだけをサポートします。これらの DSP を使用する場合は、すべてのコーデックをこれらの 2 つの複雑度のどちらかとして定義する必要があります。TI 5421 は、基本的に、2 つの TI 549 を 1 つのパッケージに結合したものです。 表 4-2 では、TI 549 と TI 5421 でサポートするすべてのコーデック タイプ、および対応するチャネル数をリストしています。
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(各 DSP のチャネル数) |
(各 DSP のチャネル数) |
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711(A-law、mu-law) |
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G.723.1(5.3K、6.3K) |
3.すべてのハードウェア プラットフォームが、すべてのコーデック タイプまたは DSP タイプをサポートするわけではありません。各プラットフォームでサポートする DSP およびコーデックのタイプについては、表 4-1 を参照してください。 |
TI 5510 は、中複雑度と高複雑度、およびフレックス モードをサポートします。フレックス モードの設定時にはコーデックの複雑度を定義する必要はありませんが、代わりに、このモードの使用時には、DSP リソースのオーバーサブスクリプションが発生する可能性があります。
TI 5510 では、すべての G.729 コーデックは中複雑度として定義されます。 表 4-3 では、TI 5510 でサポートするすべてのコーデック タイプおよび対応するチャネル数をリストしています。
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G.726(32K、24K、16K) |
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G.728 |
NM-HD- xx では、現在、デジタルまたはアナログ インターフェイス用の音声終端のみ用意されています。NM-HD- xx は、TI 5510 チップセットを使用します。 表 4-3 では、中複雑度モードまたは高複雑度モードでサポートするコール数をリストしています。フレックス モードでサポートするコール数を判別するには、「フレックス モード」の項を参照してください。
NM-HD-1V および NM-HD-2V は、DSP にオーバーサブスクリプションすることなく、サポートする音声インターフェイス カード(VIC)をフル装備することができます。NM-HD-2VE は、オーバーサブスクリプションをもたない、アナログ ポートまたは単一の T1 の組み合せをサポートできます。これ以外の組み合せでは、DSP リソースがオーバーサブスクライブします。
TI 5510 DSP リソースがオーバーサブスクライブする場合、フレックス モードを使用して実行時に DSP リソースを再割り振りすれば、オーバーサブスクリプションがなくなります。
NM-HD-2VE には、720 MIPS(millions of instructions per second)のバジェットがあります。DSP は、新しいチャネルがアクティブになるたびに MIPS 計算を実行します。また、新しいコールが開始されるたびに、MIPS クレジットをバジェットから差し引きます。 表 4-4 に示されているように、1 つのコールによって消費される MIPS 数は、使用するコーデックのタイプによって異なります。新しいコールを受け入れる前に、バジェットに 16 以上の MIPS が残っている限り、DSP はそのコールを許可します。
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モデム リレー6 |
ここでは、IP テレフォニー システムの会議とトランスコーディング要件をサポートするのに必要な DSP リソース数の計算方法を説明します。
NM-HDV と NM-HDV-FARM は、音声終端、会議、またはトランスコーディングに使用できる DSP リソースを備えています。NM-HDV および NM-HDV-FARM モジュールをサポートしているハードウェア プラットフォームは、次のとおりです。
• Cisco 3620、3640、3645、および 3660
NM-HDV と NM-HDV-FARM モジュールを同じシャーシ内で組み合せることができますが、常にすべてのシャーシがこれらのモジュールを完全に収容できるわけではありません。 表 4-5 では、各タイプのハードウェア プラットフォームがサポートするモジュール数を示しています。
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NM-HDV-FARM 最大モジュール数 |
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Cisco 37259 |
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Cisco 37453 |
7.VG200 は、Cisco 2610 ルータに置き換えられたので、販売終了になりました。VG200 の既存のモデルは、引き続き IP テレフォニー設置環境でご使用いただけます。 8.IP テレフォニー アプリケーションには、Cisco 2600XM ルータを使用してください。Cisco 2600 ルータのメモリの考慮事項については、次の Web サイトの製品速報をご覧ください。http://www.cisco.com/warp/customer/cc/pd/rt/2600/prodlit/1675_pp.htm 9.IP テレフォニー アプリケーションの場合、Cisco 3700 シリーズのルータは、Cisco 3600 シリーズよりパフォーマンスが優れています。 |
NM-HDV または NM-HDV-FARM にはそれぞれ、1 ~ 5 台のパケット音声/データ モジュール
(PVDM)を収容できます。各 PVDM は、DSP を 3 個備えた固定構成です。
1 つの DSP は、次の機能のうちいずれか 1 つをサポートできます。
NM-HDV または NM-HDV-FARM 上の DSP は、1 ~ 6 名の参加者によるコンファレンス ブリッジを 1 つサポートできます。
NM-HDV または NM-HDV-FARM 上の DSP は、G.711 から他の任意のコーデック タイプ(GSM を除く)への 4 つのトランスコーディング セッションをサポートできます。G.711 から GSM へのトランスコーディングの場合、1 つの DSP は 3 つのトランスコーディング セッションをサポートできます。
NM-HDV 上の DSP は、使用するコーデックのタイプに応じて、2 ~ 4 の音声終端をサポートできます( 表 4-2 の TI 549 の列を参照)。
音声アクティビティ検出(VAD)を有効または無効にしたサンプル レート 20、30、40、60 ms の場合(または、VAD を有効にした 10 ms の場合)、PVDM を 5 台フル装備した NM-HDV または
NM-HDV-FARM を構成して、使用可能な DSP リソースを 60 得ることが可能です。
所定のアプリケーションに必要な DSP の個数を計算するには、必要な会議の数、音声終端用の DSP の個数、およびトランスコーディング セッション用の DSP の個数を加算します。トランスコーディングに必要な DSP の個数は、必要なトランスコーディング セッション数を 4 で除算して、その結果を切り上げた整数と等しくなります。
PVDM の固定構成では DSP を 3 個備えているので、必要な PVDM 数は、DSP の個数を 3 で除算して、その結果を切り上げた整数と等しくなります。
最後に、必要な NM-HDV または NM-HDV-FARM モジュールの数は、PVDM 数を 5 で除算して、その結果を切り上げた整数と等しくなります。
VAD を無効にした 10 ms サンプリング レートの場合、フル装備の NM-HDV 上のすべての DSP を利用することは不可能です。パケット レートが、NM-HDV のキャパシティである毎秒 6600 パケット(pps)を超えないことを確認するには、さらに次の計算が必要です。
100 pps ∗(音声終端数)+ 600 pps ∗(会議数)+ 200 pps ∗(トランスコーディング セッション数) < 6600 pps
表 4-6 では、指定されたプラットフォーム上でコーデック タイプごとの会議の最大参加者数をリストしています。
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最大参加者数 |
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ここでは、Cisco IP テレフォニー配置モデルに基づいた、会議リソースのガイドラインを説明します。
• ユーザ用に少なくとも次の会議リソースを用意することをお勧めします。
–ユーザ ベースの 5% 以上に相当する Ad Hoc 会議リソース
–ユーザ ベースの 5% 以上に相当する Meet-Me 会議リソース
• 一般に、メディア リソース グループ(MRG)とメディア リソース グループ リスト(MRGL)を使用して、複数の Cisco CallManager 間でリソースを共有し、ロード バランシングを行います。MRG と MRGL を使用しない場合、リソースは、1 つの Cisco CallManager からしか使用できません。
• また、MRG と MRGL を使用すると、地理的なロケーションに基づいてリソースを分離できます。その結果、WAN 帯域幅を節約できる場合もあります。
• このモデルでは、音声トラフィックは IP WAN を通過しません。したがって、1 つのタイプのコーデック(通常、G.711) を使用してください。トランスコーディング リソースは必要ありません。
• ソフトウェアとハードウェアのどちらの会議でも使用できます。ただしソフトウェア会議は、小規模な配置のみに使用してください。
集中型コール処理を使用するマルチサイト WAN 配置用の会議ガイドライン
• このモデルでは、コール処理は中央サイトでローカライズされます。MTP、トランスコーディング、および会議の各サービスは、中央で処理するか、分散させるか、または両方を組み合せることもできます。
–これらのリソースの 1 つを使用するすべてのコールで、WAN が使用されます。
–多くの場合、リモート サイトは、WAN を介して低ビット レート(LBR)コーデックを使用します。したがって、集中型コール処理モデルの電話会議には、一般にトランスコーディング リソースも必要です。専用のトランスコーダーを必要としないハードウェア会議リソースは、このシナリオでは理想的な選択です。
–リソースを中央に配置すると、ローカル コールも WAN を通過するので、帯域幅の使用量に対する影響を検討する必要があります(「集中型コール処理に対するコール アドミッション制御」 を参照)。
–あるリモート サイトが別のリモート サイトにあるリソースを使用できないように、そのロケーションに基づいてリソースを MRGL にグループ化してください。この方法は、サイト間のコール アドミッション制御を管理するのに役立ちます。
–複数のタイプのコーデック(たとえば、G.711 と G.729)がクラスタに含まれている場合は、ハードウェア会議リソースを使用してください。
分散型コール処理を使用するマルチサイト WAN 配置用の会議ガイドライン
• このモデルでは、各サイトの Cisco CallManager クラスタに、独自の会議リソースがある場合があります。
• 各クラスタは、複数のタイプのコーデックを使用する可能性があります。一般に、クラスタ間の WAN 上では G.729、クラスタ内では G.711 です。
• 複数の Cisco CallManager クラスタ間での会議では、会議主催者の ID により、どの会議リソースが電話会議に割り当てられるかが決まります。
• WAN を通過するストリームの本数は、会議の主催者、およびその他の参加者のロケーションによって異なります。主催者と別のクラスタ内にいる各参加者は、WAN 上のストリームを追加し、そのストリームは、主催者のクラスタ内のリソースで終端します。コール アドミッション制御を設定する際には、これらの要素を考慮してください(「分散型コール処理に対するコール アドミッション制御」 を参照)。
• 1 つのクラスタ内で、会議の最大参加者数は 6 名です。しかし、参加者が複数のクラスタにわたっている場合は、7 名以上の参加者を電話会議に追加できます。1 つのクラスタ内では、会議の主催者だけが参加者を追加できます。しかし、会議の主催者とは所属クラスタが異なる会議参加者は、自身のクラスタ内に使用可能な会議リソースがあれば、参加者を追加できます。こうした電話会議を拡張できるのは、着信コールが別のクラスタ内の既存会議の一部であることをクラスタが認識せず、各クラスタは 6 名の参加者を追加できるからです。
表 4-7 では、プラットフォームとコーデック タイプごとのメディア終端点(MTP)とトランスコーディング セッションの最大数をリストしています。
ソフトウェア MTP リソースには、次のガイドラインが適用されます。
• トランスコーディングを通常必要としない単一サイト配置に適しています。
• 単一サイト配置では、ソフトウェア MTP リソースは、H.323v2 に準拠していないデバイス(たとえば、バージョン 3.1 より前の Microsoft NetMeeting)をサポートするためだけに必要です。
• IP 音声メディア ストリーミング アプリケーションは、コール処理を担当するパブリッシャ、または任意の Cisco CallManager とは異なるサーバ上で実行することを強くお勧めします。MTP セッションによる CPU 負荷が増加すると、コール処理のパフォーマンスに悪影響が発生する可能性があります。ユーザ データグラム プロトコル(UDP)トラフィックは、Cisco CallManager サーバ上で受信されなければならないので、セキュリティ上の問題が発生する恐れがあります。
ハードウェア MTP リソースには、次のガイドラインが適用されます。
• 一部のリソース(たとえば、Cisco 会議リソース)には、G.711 音声ストリームのみを使用する機能があります。
• 音声ストリームを圧縮する場合は、G.711 以外のコーデックを使用してください。
• 圧縮された音声ストリームを、G.711 のみをサポートするデバイスに接続する場合、ハードウェア ベースの MTP とトランスコーディング サービスを使用して、圧縮された音声ストリームを G.711 に変換してください。