GGSN サービスの設定
Cisco GGSN ソフトウェアは、 仮想テンプレート インターフェイス という論理インターフェイスを使用して、Cisco Service and Application Module for IP(SAMI)プロセッサで実行される Cisco IOS ソフトウェアのインスタンスを GGSN として設定します。
ここでは、GGSN サービスを設定するときに完了する必要がある主要なタスクについて説明します。以降の設定作業では、Cisco SAMI プロセッサ上の Cisco IOS インスタンスが GGSN として設定された場合に、GGSN からサービング GPRS サポート ノード(SGSN)および Public Data Network(PDN; 公衆データ網)への接続を確立する方法について説明します。
GGSN の設定では、次の要件を満たす必要があります。
• グローバル コンフィギュレーション モードで service gprs ggsn コマンドを使用して、Cisco IOS ソフトウェアのインスタンスごとに GGSN エンティティを 1 つだけ設定します。1 つの Cisco SAMI に最大 6 つの GGSN を設定できます(プロセッサごとに 1 つの GGSN)。
• 各 GGSN で、GTP カプセル化を使用して、単一のデフォルト仮想テンプレート インターフェイスを(仮想テンプレート番号 1 として)設定します。このデフォルト仮想テンプレート インターフェイスは、 gprs service ggsn がイネーブルであるかぎり、設定解除しないでください(GPRS Roaming Exchange(GRX; GPRS ローミング エクスチェンジ)トラフィックを分離するために、GTP カプセル化を使用するその他の仮想テンプレート インターフェイスを設定できます。GRX トラフィックの分離の詳細については、「GGSN Gn インターフェイスでの GRX トラフィックの分離」を参照してください)。
• ルータおよびメモリ サイズに応じて、メモリ保護しきい値が適切に設定されていることを確認します。メモリ保護しきい値の設定の詳細については、「GGSN メモリ保護モードしきい値の設定」を参照してください。
GGSN サービスのイネーブル
グローバル コンフィギュレーション モードで service gprs ggsn コマンドを使用して、Cisco SAMI プロセッサごとに GGSN エンティティを 1 つだけ設定します。
GGSN サービスをイネーブルにするには、グローバル コンフィギュレーション モードで次のコマンドを使用します。
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Router(config)# service gprs ggsn |
Cisco IOS ソフトウェア インスタンスが GGSN として機能することを指定します。 |
ループバック インターフェイスの作成
仮想テンプレートで IP アドレスを直接設定するのではなく、ループバック インターフェイスを作成し、 ip unnumbered loopback インターフェイス コンフィギュレーション コマンドを使用して、ループバック インターフェイス IP アドレスを GTP カプセル化に使用される仮想テンプレートに関連付けることを推奨します。
(注) ip unnumbered loopback コマンドを使用してループバック インターフェイスの IP アドレスを仮想テンプレート インターフェイスに割り当てない場合、パケットは Cisco Express Forwarding(CEF)スイッチドにならないため、パフォーマンスに影響を与えます。
ループバック インターフェイスは、常に稼動しているインターフェイスをエミュレートするソフトウェア専用インターフェイスであり、すべてのプラットフォームでサポートされる仮想インターフェイスです。インターフェイス数は、作成または設定するループバック インターフェイスの数です。作成できるループバック インターフェイスの数に制限はありません。GGSN は、ループバック インターフェイスを使用して複数の異なる機能の設定をサポートしています。
ループバック インターフェイスを作成するには、グローバル コンフィギュレーション モードで次のコマンドを使用します。
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ステップ 1 |
Router(config)# interface loopback number |
ループバック インターフェイスを作成します。ループバック インターフェイスは、常に稼動している仮想インターフェイスです。 |
ステップ 2 |
Router(config-if)# ip address ip-address mask |
ループバック インターフェイスに IP アドレスを割り当てます。 |
GGSN のデフォルト GTP 仮想テンプレート インターフェイスの作成
GGSN で GTP カプセル化を使用して、デフォルト GTP 仮想テンプレート インターフェイスを(仮想テンプレート番号 1 として)1 つだけ設定します。デフォルト GTP 仮想テンプレートは設定が必須であり、 service gprs ggsn が設定されている場合は設定を解除しないようにする必要があります。
(注) デフォルト GTP 仮想テンプレート(Virtual-Template 1)には、ip address または ip unnumbered コマンドを使用して有効な IP アドレスが関連付けられている必要があります。
GGSN のデフォルト GTP 仮想テンプレート インターフェイスを作成するには、グローバル コンフィギュレーション モードで次のコマンドを使用します。
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ステップ 1 |
Router(config)# interface virtual-template 1 |
仮想テンプレート インターフェイスを作成します。 number によって、仮想テンプレート インターフェイスが識別されます。このコマンドにより、インターフェイス コンフィギュレーション モードになります。 |
ステップ 2 |
Router(config-if)# description description |
インターフェイスの説明。 |
ステップ 3 |
Router(config-if)# ip unnumber loopback number |
以前に定義されたループバック IP アドレスを仮想テンプレート インターフェイスに割り当てます。 |
ステップ 4 |
Router(config-if)# encapsulation gtp |
仮想テンプレート インターフェイスで送信されるパケットのカプセル化タイプとして GTP を指定します。 |
ステップ 5 |
Router(config-if)# gprs access-point-list gprs |
新しいアクセス ポイント リストの名前を指定するか、既存のアクセス ポイント リストの名前を参照し、アクセス ポイント リスト コンフィギュレーション モードを開始します。 |
CEF スイッチングのイネーブル
CEF スイッチングは、Forwarding Information Base(FIB)テーブルおよび隣接関係テーブルを使用して、パケット スイッチングを行います。隣接関係テーブルは、レイヤ 3 ネットワーク アドレスによってインデックス化されており、パケットを転送するために対応するレイヤ 2 情報が含まれています。
CEF スイッチングによって、ルートキャッシュ テーブルの使用およびテーブル エントリのエージング アウトとテーブルへのデータの再入力に必要なオーバーヘッドはなくなります。FIB テーブルによって IP ルーティング テーブルの内容全体がミラーリングされるため、ルートキャッシュ テーブルは必要なくなります。
スイッチング パスの詳細については、『 Cisco IOS Switching Services Configuration Guide 』を参照してください。
CEF スイッチングを GGSN でグローバルにイネーブルにすると、GGSN のすべてのインターフェイスで CEF スイッチングが自動的にイネーブルになります。
(注) CEF スイッチングが正しく機能するようにするには、no ip cef コマンドを使用して CEF スイッチングをディセーブルにしたあと、少し待機してからイネーブルにします。
GGSN で CEF スイッチングをイネーブルにするには、グローバル コンフィギュレーション モードで次のコマンドを使用します。
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Router(config)# ip cef |
GGSN で CEF をイネーブルにします。 |
GGSN でのエコー タイミングの設定
GGSN は、エコー タイミングを使用して SGSN または外部課金ゲートウェイがアクティブかどうかを判別します。
GTP パスをアクティブにするには、SGSN がアクティブである必要があります。SGSN がアクティブであるかどうかを判別するために、GGSN と SGSN はエコー メッセージを交換します。GGSN はさまざまな方式のエコー メッセージ タイミングをサポートしますが、GGSN が SGSN にエコー要求メッセージを送信するときに、基本エコー フローが開始されます。SGSN は対応するエコー応答メッセージを GGSN に返送します。
特定の回数のリトライ(設定可能な値)後も GGSN が応答を受信しない場合、GGSN は SGSN がアクティブではないと想定します。これは GTP パス障害を意味し、GGSN はそのパスに関連付けられた Packet Data Protocol(PDP; パケット データ プロトコル)コンテキスト要求をすべてクリアします。
ここでは、GGSN でサポートされるさまざまな方式のエコー タイミングおよびその設定方法について説明します。内容は次のとおりです。
• 「GGSN でのエコー タイミングの概要」
• 「エコー タイミング設定の作業リスト」
• 「エコー タイミング設定の確認」
• 「ダイナミック エコー タイマーの設定例」
GGSN でのエコー タイミングの概要
GGSN は、デフォルト エコー タイマーとダイナミック エコー タイマーという 2 つの異なる方式のエコー タイミングをサポートしています。GGSN で一度に使用できるタイマーは 1 つだけです。次の項では、これら 2 つのタイマーについて説明します。
• 「デフォルト エコー タイマーの概要」
• 「ダイナミック エコー タイマーの概要」
(注) 完結に示すために、このマニュアルでは GGSN と SGSN 間のエコー タイミングの動作について説明します。GPRS/UMTS ネットワークで外部課金ゲートウェイが使用されている場合、GGSN は同じタイプのエコー タイマーを使用して課金ゲートウェイ パスを維持します。
デフォルト エコー タイマーの概要
デフォルト エコー タイマーは、GGSN で自動的にイネーブルになります。ただし、代わりにダイナミック エコー タイミング方式をイネーブルにすることを選択できます。
GGSN でデフォルト エコー タイマーを使用している場合、次のコマンドが適用されます。
• gprs gtp n3-requests :GGSN がエコー要求メッセージの送信を試行する最大回数を指定します。デフォルトは 5 回です。
• gprs gtp path-echo-interval :GGSN が SGSN または外部課金ゲートウェイからの応答を待機する秒数、および応答の受信後に GGSN が次のエコー要求メッセージを送信する前に待機する秒数を指定します。デフォルトは 60 秒です。
• gprs gtp t3-response :要求に対する応答を受信していない場合に、GGSN がシグナリング要求メッセージを再送信する前に待機する初期秒数を指定します。この時間は、リトライごとに倍になります。デフォルトは 1 秒です。
図 3-1 は、指定されたパス エコー間隔内に応答が正常に受信される場合のデフォルト エコー要求のシーケンスを示しています。GGSN は、パス エコー間隔( gprs gtp path-echo-interval コマンドで指定。デフォルトは 60 秒)内にエコー応答を受信した場合、別のエコー要求メッセージを 60 秒(または gprs gtp path-echo-interval コマンドで設定された時間)後に送信します。このメッセージ フローは、指定したパス エコー間隔で GGSN が SGSN からエコー応答メッセージを受信する間は継続されます。
図 3-1 パス正常モードのデフォルト GTP パス エコー間隔要求のシーケンス
図 3-2 は、指定されたパス エコー間隔内に GGSN がエコー要求に対する応答を受信できない場合のデフォルト エコー要求のシーケンスを示しています。GGSN は、パス エコー間隔内に SGSN からエコー応答メッセージを受信できない場合、N3 要求カウンタ( gprs gtp n3-requests コマンドで指定。デフォルトは 5)に達するまでエコー要求メッセージを再送信します。N3 要求カウンタには初期要求メッセージが含まれるため、リトライの総数は N3 - 1 です。T3 タイマーはリトライごとに 2 倍になります(この係数の値は設定可能ではありません)。
図 3-2 パス障害モードのデフォルト エコー タイミング要求のシーケンス
たとえば、N3 がデフォルトの 5 に設定され、T3 がデフォルトの 1 秒に設定されている場合、GGSN は 4 つのエコー要求メッセージを再送信します(初期要求 + 4 リトライ= 5)。GGSN は、SGSN から 60 秒のパス エコー間隔内にエコー応答を受信しない場合、パス エコー間隔が過ぎると即座に最初のエコー要求リトライ メッセージを送信します。GGSN がエコー応答を受信しない間は、T3 時間は追加のエコー要求ごとに 2 倍の秒数になります。したがって、GGSN は別のメッセージを 2 秒、4 秒、8 秒で再送信します。5 番めのメッセージのあと、GGSN はエコー応答を最後の間隔である 16 秒間待機します。
GGSN は、N3 要求カウンタの間隔内に SGSN からエコー応答メッセージを受信できない場合、PDP コンテキストをすべて削除し、GTP パスをクリアします。この例では、最初の要求メッセージが送信されてから PDP コンテキストがクリアされるまでの経過時間の合計は、次のとおりです。
60 + 2 + 4 + 8 + 16 = 90 秒
60 はパス エコー間隔の初期値であり、残りの 4 つの間隔は後続のリトライでの T3 タイマーの増加を示しています。パスは、さらに 60 秒後に(つまり、150 秒で)クリアされます。
GGSN は、N3 x T3 の送信時間内にエコー応答を受信した場合、エコー要求のシーケンスの正常モードに戻ります。
図 3-3 は、エコー要求の N3 x T3 の再送信内にエコー応答メッセージを受信する GGSN を示しています。このシナリオでは、5 回の N3 要求というデフォルト設定に従って、GGSN は初期エコー要求に続いて 4 つのリトライを送信しました(合計で 5 つの要求)。GGSN は、5 番めの最後のリトライのあと、残りの 16 秒のうちにエコー応答を受信します。これで GGSN は正常モードに戻り、60 秒( gprs gtp path-echo-interval コマンドの値)待機してから、次のエコー要求メッセージを送信します。
図 3-3 エコー応答が N3 x T3 の再送信内に受信されるデフォルト エコー タイミング
ダイナミック エコー タイマーの概要
GGSN のデフォルト エコー タイマーはネットワーク輻輳に対応するように設定できないため、GTP パスが早くクリアされることがあります。ダイナミック エコー タイマー機能により、GGSN はネットワーク輻輳中に GTP パスをより適切に管理できます。GGSN がダイナミック エコー タイミングを実行できるようにするには、 gprs gtp echo-timer dynamic enable コマンドを使用します。
ダイナミック エコー タイマーがデフォルト エコー タイマーと異なるのは、計算された Round-Trip Time(RTT; ラウンドトリップ時間)および RTT 統計に適用される設定可能な係数または乗数を使用するためです。パスによって RTT は異なる場合があるため、ダイナミック エコー タイマーはパスによって異なる場合があります。
GGSN でダイナミック エコー タイマーを使用している場合、次のコマンドが適用されます。
• gprs gtp echo-timer dynamic enable :GGSN でダイナミック エコー タイマーをイネーブルにします。
• gprs gtp echo-timer dynamic minimum :ダイナミック エコー タイマーの最小間隔(秒単位)を指定します。スムーズ係数が掛けられた RTT がこの値よりも小さい場合、GGSN はこのコマンドで設定された値を使用します。デフォルトは 5 秒です。
• gprs gtp echo-timer dynamic smooth-factor :ダイナミック エコー タイマーがパス エコー間隔内に SGSN から応答を受信しなかった場合、リトライの送信を待機する時間を計算するときにダイナミック エコー タイマーが使用する乗数を指定します。デフォルトは 2 です。
• gprs gtp n3-requests :GGSN がエコー要求メッセージの送信を試行する最大回数を指定します。デフォルトは 5 回です。
• gprs gtp path-echo-interval :GGSN が、SGSN または外部課金ゲートウェイからの応答を受信したあと、次のエコー要求メッセージを送信する前に待機する秒数を指定します。デフォルトは 60 秒です。
図 3-4 は、指定されたパス エコー間隔内に応答が正常に受信される場合のダイナミック エコー要求のシーケンスを示しています。デフォルト エコー タイミング方式と同様に、GGSN は、パス エコー間隔( gprs gtp path-echo-interval コマンドで指定。デフォルトは 60 秒)内にエコー応答を受信した場合、別のエコー要求メッセージを 60 秒(または gprs gtp path-echo-interval コマンドで設定された時間)後に送信します。このメッセージ フローは、指定したパス エコー間隔で GGSN が SGSN からエコー応答メッセージを受信する間は継続されます。
図 3-4 パス正常モードのダイナミック GTP パス エコー間隔要求のシーケンス
GGSN は、ダイナミック エコー タイマーが使用する RTT 統計を計算します。RTT は、特定のエコー要求メッセージの送信とそれに対応するエコー応答メッセージの受信との間の時間です。受信された最初のエコー応答に対して RTT が計算され(図 3-5 を参照)、GGSN でこの統計が記録されます。RTT 値は非常に小さい数字になる場合があるため、ダイナミック エコー タイマーが使用する最小時間があります。この値は、 gprs gtp echo-timer dynamic minimum コマンドを使用して設定されます。
図 3-5 ダイナミック エコー タイミング要求のシーケンスの RTT 計算
図 3-6 は、パス障害モードのダイナミック エコー タイミング要求のシーケンスを示しています。GGSN は、パス エコー間隔内に SGSN からエコー応答メッセージを受信できない場合、再送信つまりパス障害モードになります。パス障害モード中、GGSN は T-dynamic という値を使用します。T-dynamic は、dynamic minimum か、またはスムーズ係数が掛けられた RTT 統計のいずれか大きいほうになります。
図 3-6 パス障害モードのダイナミック エコー タイミング要求のシーケンス
T-dynamic は、基本的には、GGSN でデフォルト エコー タイマー方式で使用される gprs gtp t3-response コマンドの代わりに使用します。T-dynamic タイマーは、N3 要求カウンタに達するまで(N3 要求カウンタには初期要求メッセージが含まれます)、リトライごとに 2 倍になります(この係数も設定可能ではありません)。
たとえば、RTT が 6 秒、dynamic minimum が 5 秒、N3 が 5、およびスムーズ係数が 3 の場合、GGSN はパス障害モードで最大 4 つのエコー要求メッセージ(初期要求 + 4 リトライ = 5)を再送信します。GGSN は、SGSN から 60 秒のパス エコー間隔内にエコー応答を受信しない場合、パス エコー間隔が過ぎると即座に最初のエコー要求リトライ メッセージを送信します。RTT x スムーズ係数が 18 秒(6 x 3)であり、dynamic minimum の 5 秒よりも大きいため、dynamic minimum 値は使用されません。T-dynamic 値が 18(RTT x スムーズ係数)であるため、GGSN は別のリトライ エコー要求メッセージを 36 秒(18 x 2)、72 秒(18 x 4)、および 144 秒(18 x 8)で送信します。5 番めのメッセージのあと、GGSN はエコー応答を最後の間隔である 288 秒間(18 x 16)待機します。
GGSN は、この間隔内に SGSN からエコー応答メッセージを受信できない場合、GTP パスをクリアし、PDP コンテキストをすべて削除します。最初の要求メッセージが送信されてから PDP コンテキストがクリアされるまでの経過時間の合計は、次のとおりです。
60 + 36 + 72 + 144 + 288 = 600 秒
60 はパス エコー間隔の初期値であり、残りの 4 つの間隔は後続のリトライでの T-dynamic タイマーの増加を示しています。パスは、さらに 60 秒後に(つまり、660 秒で)クリアされます。
GGSN は、N3 x T-dynamic の送信時間内にエコー応答を受信した場合、エコー要求のシーケンスの正常モードに戻ります。正常モードでは、GGSN はエコー要求を開始し、図 3-4 に示されているように指定されたパス エコー間隔に従って応答を待機します。
再送信のシーケンス番号付け
GGSN は、再送信中にエコー要求メッセージのシーケンス番号を増やしません。したがって、GGSN がエコー応答を受信していない間は、N3 要求制限に達するか応答が受信されるまで、GGSN はすべてのエコー要求リトライに対して同じシーケンス番号を使用し続けます。応答が受信されると、次のエコー要求メッセージのシーケンス番号は 1 増加します。
GGSN が、シーケンス番号の大きいエコー要求メッセージを送信したにもかかわらず、現在のエコー要求メッセージよりも小さいシーケンス番号のエコー応答を受信した場合、その応答は無視されます。
デフォルト エコー タイマーのカスタマイズ
デフォルト エコー タイミング方式は、GGSN で自動的にイネーブルになります。デフォルト エコー タイマーを使用する場合は、必要に応じて次のコマンドを変更してネットワークを最適化することを推奨します。
GGSN でデフォルト エコー タイミング方式をカスタマイズするには、グローバル コンフィギュレーション モードで次のコマンドを使用します。
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ステップ 1 |
Router(config)# gprs gtp n3-requests requests |
(任意)GGSN がシグナリング要求の SGSN への送信を試行する最大回数を指定します。デフォルトは 5 です。 |
ステップ 2 |
Router(config)# gprs gtp path-echo-interval interval |
(任意)GGSN が、SGSN または外部課金ゲートウェイからの応答を受信したあと、次のエコー要求メッセージを送信する前に待機する秒数を指定します。デフォルトは 60 秒です。 |
ステップ 3 |
Router(config)# gprs gtp t3-response response-interval |
(任意)要求に対する応答を受信していない場合に、GGSN がシグナリング要求メッセージを再送信する前に待機する初期時間を指定します。この時間は、リトライごとに倍になります。デフォルトは 1 秒です。 |
ダイナミック エコー タイマーの設定
GGSN でダイナミック エコー タイミング方式を有効化するには、ダイナミック エコー タイマーをイネーブルにする必要があります。ダイナミック エコー タイマーを有効化したあと、対応するオプションを変更してネットワークのタイミング パラメータを最適化できます。
GGSN でダイナミック エコー タイミング方式を設定するには、グローバル コンフィギュレーション モードで次のコマンドを使用します。
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ステップ 1 |
Router(config)# gprs gtp echo-timer dynamic enable |
GGSN でダイナミック エコー タイマーをイネーブルにします。 |
ステップ 2 |
Router(config)# gprs gtp echo-timer dynamic minimum number |
(任意)ダイナミック エコー タイマーで使用される最小間隔を指定します。デフォルトは 5 秒です。 |
ステップ 3 |
Router(config)# gprs gtp echo-timer dynamic smooth-factor number |
(任意)ダイナミック エコー タイマーのリトライの送信を待機する時間を計算するために GGSN が使用する乗数を指定します。デフォルトは 2 です。 |
ステップ 4 |
Router(config)# gprs gtp n3-requests requests |
(任意)GGSN がシグナリング要求の SGSN への送信を試行する最大回数を指定します。デフォルトは 5 です。 |
ステップ 5 |
Router(config)# gprs gtp path-echo-interval interval |
(任意)GGSN が、SGSN または外部課金ゲートウェイからの応答を受信したあと、次のエコー要求メッセージを送信する前に待機する秒数を指定します。デフォルトは 60 秒です。 |
エコー タイマーのディセーブル化
何らかの理由で GGSN による SGSN または外部課金ゲートウェイのエコー処理の実行をディセーブルにする必要がある場合、パス エコー間隔に 0 秒を指定できます。
エコー タイマーをディセーブルにするには、グローバル コンフィギュレーション モードで次のコマンドを使用します。
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Router(config)# gprs gtp path-echo-interval 0 |
(任意)0 秒のパス間隔を指定します。これにより、GGSN によるエコー処理の実行はディセーブルになります。 |
エコー タイミング パラメータの確認
GGSN がエコー タイミングに使用しているパラメータを確認するには、 show gprs gtp parameters または show running-config 特権 EXEC コマンドを使用します。
GGSN は、ダイナミック エコー タイマーがイネーブルではない場合でも、ダイナミック エコー タイマーに適用されるパラメータに対してデフォルト値を自動的に設定します。したがって、 show gprs gtp parameters コマンドでは、どちらのエコー タイミング方式が現在有効になっているかはわかりません。
デフォルト エコー タイミング パラメータの確認
デフォルト エコー タイマーで使用されているパラメータを確認するには、 show gprs gtp parameters 特権 EXEC コマンドを使用し、次の太字で表示されているパラメータを確認します。
Router# show gprs gtp parameters
GTP path echo interval = 60
GTP signal max wait time T3_response = 1
GTP max retry N3_request = 5
GTP dynamic echo-timer minimum = 5
GTP dynamic echo-timer smooth factor = 2
GTP buffer size for receiving N3_buffer = 8192
GTP max pdp context = 45000
ダイナミック エコー タイミング パラメータの確認
ダイナミック エコー タイマーで使用されているパラメータを確認するには、 show gprs gtp parameters 特権 EXEC コマンドを使用し、次の太字で示されているパラメータを確認します。
Router# show gprs gtp parameters
GTP path echo interval = 60
GTP signal max wait time T3_response = 1
GTP max retry N3_request = 5
GTP dynamic echo-timer minimum = 5
GTP dynamic echo-timer smooth factor = 2
GTP buffer size for receiving N3_buffer = 8192
GTP max pdp context = 45000
GTP パスごとのダイナミック エコー タイマーの確認
show running-config 特権 EXEC コマンドを使用すると、ダイナミック エコー タイマーがイネーブルかどうかを確認できます。
ダイナミック エコー タイマーの値は、GGSN での GTP パスごとに異なります。GGSN でダイナミック エコー タイマーがイネーブルかどうか、およびダイナミック エコー タイマー(T-dynamic)の値(秒単位)を確認するには、 show gprs gtp path 特権 EXEC コマンドを使用します。
ダイナミック エコー タイマーが有効ではない場合、ダイナミック エコー タイマー出力フィールドの対応するパスの横に「Disabled」と表示されます。
ステップ 1 ダイナミック エコー タイマーがイネーブルであることを確認するには、 show running-config コマンドを使用し、次の出力例の最後の方に太字で示されているように gprs gtp dynamic echo-timer enable コマンドが表示されることを確認します。
Router# show running-config
Current configuration : 6769 bytes
service timestamps debug uptime
service timestamps log uptime
no service password-encryption
ip address 10.41.41.1 255.255.255.0
interface Virtual-Template1
gprs access-point-list gprs
gprs access-point-list gprs
access-point-name gprs.cisco.com
access-point-name gprt.cisco.com
access-mode non-transparent
aaa-group authentication test2
aaa-group accounting test2
ip-address-pool dhcp-proxy-client
dhcp-gateway-address 10.65.0.1
gprs ms-address exclude-range 10.21.1.0 10.21.1.5
gprs gtp echo-timer dynamic enable
gprs gtp echo-timer dynamic smooth-factor 5
gprs gtp echo-timer dynamic minimum 10
gprs gtp response-message wait-accounting
ステップ 2 対応する GTP パスの T-dynamic 値を確認するには、 show gprs gtp path all 特権 EXEC コマンドを使用します。
次の例は、GGSN でダイナミック エコー タイマーがイネーブルであり、T-dynamic 値の 5 秒および 2 秒が対応するパスに対して使用されていることを示しています。
Router# show gprs gtp path all
Local address Remote address GTP version Dynamic echo timer
10.41.41.1(3386) 10.18.18.200(3386) 0 5
10.10.10.1(2123) 10.10.10.4(2123) 1 2
GGSN 設定のカスタマイズ
ここでは、デフォルト設定をさらにカスタマイズするために GGSN で設定できるオプションの一部について説明します。
GPRS/UMTS 課金オプションの設定の詳細については、「課金オプションのカスタマイズ」を参照してください。
この項は、次の内容で構成されています。
• 「GTP シグナリング オプションの設定」
• 「GGSN での PDP コンテキストの最大数の設定」
• 「GGSN でのセッションの制御」
• 「GTP エラー メッセージのフロー制御の設定」
• 「GGSN での削除済み SGSN パスの履歴維持の設定」
• 「SGSN ごとのエコー要求の抑制」
GTP シグナリング オプションの設定
GGSN サポート用の Cisco IOS ソフトウェアのインスタンスを設定するために使用されるコマンド以外に、GGSN 機能では、GTP 設定をカスタマイズするために使用できる複数のオプション コマンドがサポートされています。
特定の GTP 処理オプションについては、デフォルト値が推奨値を表しています。その他のオプション コマンドもデフォルト値に設定されていますが、必要に応じて、またはハードウェアに応じてこれらのコマンドを変更して、ネットワークを最適化することを推奨します。ここでは、GTP シグナリングを最適化するために使用を検討する必要があるコマンドの一部について説明します。
GTP シグナリング設定を最適化するには、グローバル コンフィギュレーション モードで次のコマンドを使用します。
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Router(config)# gprs gtp n3-requests requests |
(任意)GGSN がシグナリング要求の送信を試行する最大回数を指定します。デフォルトは 5 です。 |
Router(config)# gprs gtp path-echo-interval interval |
(任意)GGSN が GTP パス障害をチェックするエコー要求メッセージを送信する前に待機する秒数を指定します。デフォルトは 60 秒です。 |
Router(config)# gprs gtp t3-response response_interval |
(任意)要求に対する応答を受信していない場合に、GGSN がシグナリング要求メッセージを再送信する前に待機する初期秒数を指定します。この時間は、リトライごとに倍になります。デフォルトは 1 秒です。 |
(注) これらの GTP シグナリング コマンドは、GGSN でエコー タイミングをサポートするためにも使用されます。GGSN でのエコー タイミングの詳細については、「GGSN でのエコー タイミングの設定」を参照してください。
その他の GTP シグナリング オプションの設定
ここでは、ネットワークのニーズに対応するために必要に応じて変更可能な、その他の GTP シグナリング オプションの一部について説明します。
その他の GTP シグナリング オプションを設定するには、グローバル コンフィギュレーション モードで次のコマンドを使用します。
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Router(config)# gprs gtp map signalling tos tos-value |
(任意)GTP シグナリング パケットの IP Type of Service(ToS; サービス タイプ)マッピングを指定します。デフォルトは 5 です。 |
Router(config)# gprs gtp n3-buffer-size bytes |
(任意)GGSN が GTP シグナリング メッセージおよびトンネリング プロトコルで送信されるパケットを受信するために使用する受信バッファのサイズを指定します。デフォルトは 8192 バイトです。 |
Router(config)# gprs gtp response-message pco ipcp nack |
(任意)与えられた値(ゼロ以外)が要求された値と異なる IP Control Protocol(IPCP; IP コントロール プロトコル)オプションを返すときに、GGSN が PDP コンテキストの作成応答の GTP Protocol Configuration Option(PCO; プロトコル設定オプション)Information Element(IE; 情報エレメント)で IPCP Conf-Nack(コード 03)を返すことを指定します(返されるアドレス値がゼロのオプションの場合は、IPCP Conf-Reject(コード 04))。 GGSN でサポートされる、要求されたすべての IPCP アドレス オプションについて、デフォルトでは、GGSN は PDP コンテキストの作成応答の PCO IE で IPCP Conf-Ack(コード 2)を送信します(返される値は、要求された値と同じか、異なる場合があり、またゼロの場合もあります)。 |
Router(config)# gprs gtp response-message pco ipcp message-length |
IPCP オプションを返すときに PDP コンテキストの作成応答の PCO IE のヘッダーに追加される、メッセージの長さを示す追加フィールドを設定します。 |
GGSN での PDP コンテキストの最大数の設定
GGSN でサポートされる PDP コンテキストの最大数の実質的な上限は、使用されるメモリおよびプラットフォームと GGSN 設定によって異なります(Point-to-Point Protocol(PPP; ポイントツーポイント プロトコル)の方式が端末装置およびモバイル終端を超えてパケットを転送するように設定されているかどうか、Dynamic Feedback Protocol(DFP)が使用されているか、またはメモリ保護機能がイネーブルか、サポートされている PDP コンテキスト作成のレートなどによって異なります)。
(注) DFP では、PPP PDP を IP PDP と比較します。1 つの PPP PDP は 8 つの IPv4 PDP と等価です。1 つの IPv6 PDP は 8 つの IPv4 PDP と等価です。
表 3-1 は、1 GB のメモリ オプションの Cisco SAMI でサポートできる PDP コンテキストの最大数を示しています。 表 3-2 は、2 GB のメモリ オプションの Cisco SAMI でサポートできる最大数を示しています。
表 3-1 1 GB の SAMI でサポートされる PDP 数
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IPv4 |
66,000 |
400,000 |
IPv6 |
8,000 |
48,000 |
PPP 再生成 |
16,000 |
96,000 |
PPP |
8,000 |
48,000 |
表 3-2 2 GB の SAMI でサポートされる PDP 数
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|
|
IPv4 |
136,000 |
816,000 |
IPv6 |
16,000 |
96,000 |
PPP 再生成 |
32,000 |
192,000 |
PPP |
16,000 |
96,000 |
(注) PDP コンテキストが許可可能な最大数に達すると、GGSN はセッションが使用可能になるまで新しい PDP コンテキストを拒否します。
GGSN で PDP コンテキストの最大数を設定するには、グローバル コンフィギュレーション モードで次のコマンドを使用します。
|
|
Router(config)# gprs maximum-pdp-context-allowed pdp-contexts |
GGSN で有効化できる PDP コンテキストの最大数を指定します。 |
DFP をロード バランシングとともに使用する場合の PDP コンテキストの最大数の設定
DFP を GPRS/UMTS ロード バランシングとともに使用する場合も、GGSN ごとの PDP コンテキストの最大数を指定する必要があります。デフォルト値である 10000 PDP コンテキストを使用しないでください。45000 が推奨値です。非常に小さい値は、GPRS/UMTS ロード バランシング環境のパフォーマンスに影響します。
(注) GPRS/UMTS ロード バランシングの設定の詳細については、Cisco.com の次の URL で「IOS Server Load Balancing」12.1(9)E ドキュメントを参照してください。
http://www.cisco.com/univercd/cc/td/doc/product/software/ios121/121newft/121limit/121e/121e9/index.htm
DFP の GGSN で PDP コンテキストの最大数を設定するには、グローバル コンフィギュレーション モードで次のコマンドを使用します。
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|
Router(config)# gprs maximum-pdp-context-allowed 45000 |
GGSN で有効化できる PDP コンテキストの最大数として 45000 を指定します。 |
GGSN でのセッションの制御
GPRS/UMTS では、常時オンのサービスがモバイル ユーザに提供されます。GGSN は、一定の数の PDP コンテキストだけをサポートできます。サポートされる PDP コンテキスト数は、設定およびプラットフォームのメモリ リソースによって異なります。
ネットワーク接続を提供する GGSN とのセッションは、そのセッションでアクティビティが発生しなくても確立できます。GGSN で PDP コンテキストが確立されたあとは、セッションにアクティビティがあるかどうかに関係なく、リソースは GGSN で使用されています。したがって、GGSN でセッションを確立しておく時間を制御するセッション タイマーを設定し、そのあとは PDP コンテキストがクリアされるようにする場合があります。
また、特定のメンテナンス機能(Access Point Name(APN; アクセス ポイント ネーム)設定の変更など)を実行する場合は、PDP コンテキストを手動で削除できます。
この項は、次の内容で構成されています。
• 「セッション タイマーの設定」
• 「GGSN でのセッションの削除」
GGSN でのセッション アイドル タイマーおよび絶対セッション タイマーの概要
GGSN では、セッション アイドル タイマー(RADIUS アトリビュート 28)および絶対セッション タイマー(RADIUS アトリビュート 27)の時間を設定することによって、PDP コンテキストのクリアを制御できます。セッション アイドル タイマーおよび絶対セッション タイマーによって、GGSN がモバイル セッションをパージするまでに待機する時間が指定されます。
セッション アイドル時間に対して指定される時間は、セッションに属するすべての PDP コンテキストで同じですが(GTPv1 モバイル セッションには複数の PDP コンテキストがある場合があります)、そのセッションの PDP コンテキストごとに個別のタイマーが開始されます。したがって、セッション アイドル タイマーは PDP ごとですが、タイマー時間はセッションごとです。絶対セッション タイマーはセッションに基づいており、セッション(アクティブまたは非アクティブ)の絶対時間が制御されます。絶対セッション タイマーを超過すると、GGSN はセッションの PDP コンテキスト(同じ International Mobile Subscriber Identity(IMSI)または Mobile Station(MS; モバイル ステーション)アドレスを持つコンテキスト)をすべて削除します。
(注) セッション アイドル タイムアウト(RADIUS アトリビュート 28)サポートは、IP PDP、GGSN で終端する PPP PDP、および PPP 再生成 PDP(PPP Layer 2 Tunneling Protocol(L2TP; レイヤ 2 トンネリング プロトコル)PDP ではありません)に適用されます。絶対セッション タイムアウト(アトリビュート 27)サポートは、IP PDP および GGSN で終端する PPP PDP(PPP 再生成または PPP L2TP PDP ではありません)に適用されます。設定されると、セッション アイドル タイマーは PDP コンテキストごとに開始され、絶対セッション タイマーはセッションに基づいて開始されます。
すべてのアクセス ポイントで発生するセッションに対して GGSN でタイマーをグローバルに設定できます。また、特定のアクセス ポイントに対してタイマーを設定できます。GGSN で設定できるセッション アイドル タイマーおよび絶対セッション タイマー以外に、RADIUS サーバはセッション タイムアウト アトリビュートも指定できます。
次のリストは、GGSN がタイマーを実装する順序を示しています。
1. RADIUS サーバ:非透過的アクセス モードに対してアクセス ポイントが設定されており、RADIUS サーバによってタイムアウト アトリビュートが返される場合、GGSN は RADIUS サーバから送信されるアトリビュートに基づいてタイムアウト値を設定します。RADIUS サーバのタイムアウト アトリビュートは、秒単位で指定されます。RADIUS サーバによって返される値が 30 秒未満の場合、GGSN はタイムアウト値を 30 秒に設定します。値が 30 秒を超える場合、GGSN はタイムアウト値を RADIUS サーバによって返される値と同じ値に設定します。
2. アクセス ポイント:透過的アクセス モードに対してアクセス ポイントが設定されているか、またはアクセス ポイントが非透過的アクセス モードであり、RADIUS サーバによってタイムアウト値が返されない場合、GGSN は gtp pdp-context timeout session コマンドまたは gtp pdp-context timeout idle コマンドに対して指定された値を使用します。
3. グローバル タイマー:GGSN は、RADIUS サーバまたはアクセス ポイントからタイムアウト値を受信しない場合、 gprs gtp pdp-context timeout session コマンドまたは gprs gtp pdp-context timeout idle コマンドに対して指定された値を使用します。
要約すると、RADIUS サーバからのタイムアウト値が GGSN でのタイマー設定よりも優先され、特定のアクセス ポイントのタイマーがグローバルに設定されたタイマーよりも優先されます。
pdp-context timeout session コマンドおよび gtp pdp-context timeout idle コマンドの値は、 gprs gtp pdp-context timeout session コマンドまたは gprs gtp pdp-context timeout idle コマンドの値を上書きします。
(注) セッション タイマー(アイドルまたは絶対)をイネーブルにすると、タイマーが期限切れになったために PDP コンテキストの終端に対してトリガーされた GGSN CDR(G-CDR)は、「managementIntervention」という原因値を持ちます。
セッション アイドル タイマーの設定
GGSN は、RADIUS Idle-Timeout(アトリビュート 28)フィールドをサポートします。GGSN は、Authentication, Authorization, and Accounting(AAA; 認証、許可、アカウンティング)サーバによって送信されたアクセス要求パケット内にアトリビュート 28 値がある場合、それを格納します。PDP コンテキストがこのコマンドで指定された時間よりも長い時間アイドルであった場合、GGSN はコンテキストを終了します。
タイマーに対して指定された時間はセッションのすべての PDP コンテキストに適用されますが、タイマーは PDP コンテキストごとに開始されます。
セッション アイドル タイマーは、グローバルに設定することも、APN で設定することもできます。APN レベルで設定された値によって、グローバルに設定された値が上書きされます。
(注) PDP コンテキストに対して開始されたセッション アイドル タイマーは、Transport Protocol Data Unit(TPDU; 転送プロトコル データ ユニット)トラフィックおよびその PDP コンテキストの GTP シグナリング メッセージによってリセットされます。たとえば、PDP コンテキストの更新要求が受信された場合、セッション アイドル タイマーはその PDP コンテキストに対してリセットされます。
GGSN でのセッション アイドル タイマーのグローバルな設定
GGSN が PDP コンテキストをパージする前に、任意のアクセス ポイントでコンテキストがアイドルであることを許可する時間を設定するには、グローバル コンフィギュレーション モードで次のコマンドを使用します。
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Router(config)# gprs gtp pdp-context timeout idle seconds [ uplink ] |
GGSN が PDP コンテキストをパージする前に、任意のアクセス ポイントでコンテキストがアイドルであることを許可する時間(秒単位)を指定します。有効な範囲は、30 ~ 429467 です。デフォルトは 259200 秒(72 時間)です。 任意で、 uplink キーワード オプションを指定して、アップリンク方向だけでセッション アイドル タイマーをイネーブルにします。 uplink キーワード オプションを指定しない場合、セッション アイドル タイマーは両方向(アップリンクおよびダウンリンク)でイネーブルになります。 |
(注) 代わりに、グローバル コンフィギュレーション モードで gprs idle-pdp-context purge-timer hours コマンドを使用して、セッション アイドル タイマーをグローバルに設定できます。ただし、2 つの方式を同時に設定することはできません。
GGSN のアクセス ポイントでのセッション アイドル タイマーの設定
GGSN が PDP コンテキストをパージする前に、特定のアクセス ポイントでコンテキストがアイドルであることを許可する時間を設定するには、アクセス ポイント コンフィギュレーション モードで次のコマンドを使用します。
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Router(config-access-point)# gtp pdp-context timeout idle seconds [ uplink ] |
GGSN が PDP コンテキストをパージする前に、特定のアクセス ポイントでコンテキストがアイドルであることを許可する時間(秒単位)を指定します。有効な範囲は、30 ~ 429467 です。デフォルトは 259200 秒(72 時間)です。 任意で、 uplink キーワード オプションを指定して、アップリンク方向だけでセッション アイドル タイマーをイネーブルにします。 uplink キーワード オプションを指定しない場合、セッション アイドル タイマーは両方向(アップリンクおよびダウンリンク)でイネーブルになります。 |
(注) 代わりに、session idle-time hours アクセス ポイント コンフィギュレーション コマンドを使用して、アクセス ポイントでセッション アイドル タイマーを設定できます。ただし、2 つの方式を同時に設定することはできません。
GGSN でのセッション アイドル タイマーのディセーブル化
デフォルトでは、すべてのアクセス ポイントについて、GGSN はセッションのアイドルな PDP コンテキストを 72 時間後にパージします。PDP コンテキストがアイドルであることを無期限に許可する場合は、RADIUS サーバ上のユーザ プロファイルでセッション アイドル時間として 0 を設定して、特定のユーザのタイマーをディセーブルにすることができます。ユーザが RADIUS によって認証されていない場合は、セッション アイドル タイマーをディセーブルにすることはできません。
絶対セッション タイマーの設定
GGSN は、RADIUS Session-Timeout(アトリビュート 27)フィールドをサポートします。絶対セッション タイマーをイネーブルにすると、GGSN は、AAA サーバによって送信されたアクセス要求パケット内にアトリビュート 27 値がある場合、それを格納します。セッションの時間がこのコマンドで指定された値を超過すると、GGSN はセッションに属する PDP コンテキスト(同じ IMSI または MS アドレスを持つコンテキスト)をすべて終了します。
絶対セッション タイマーは、グローバルに、および APN で設定できます。APN レベルで設定された値によって、グローバルに設定された値が上書きされます。
デフォルトでは、絶対セッション タイマーはディセーブルです。
(注) GGSN 絶対セッション タイマーでは、GGSN をイネーブルにし、グローバル コンフィギュレーション モードで gprs radius attribute session-timeout コマンドを使用して、Session-Timeout(アトリビュート 27)を RADIUS 要求に含めておく必要があります。
GGSN での絶対セッション タイマーのグローバルな設定
GGSN がセッションを終了し、そのセッションに属する PDP コンテキストをすべてパージする前に、任意のアクセス ポイントでセッションが存在することを許可する時間を設定するには、グローバル コンフィギュレーション モードで次のコマンドを使用します。
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Router(config)# gprs gtp pdp-context timeout session seconds |
GGSN がセッションを終了し、同じ IMSI または MS アドレスを持つ PDP コンテキストをすべてパージする前に、任意のアクセス ポイントでセッションが存在することを許可する時間(秒単位)を指定します。有効な範囲は、30 ~ 4294967 秒です。 |
GGSN のアクセス ポイントでの絶対セッション タイマーの設定
GGSN がセッションを終了し、そのセッションに属する PDP コンテキストをすべてパージする前に、特定のアクセス ポイントでセッションが存在することを許可する時間を設定するには、アクセス ポイント コンフィギュレーション モードで次のコマンドを使用します。
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Router(config-access-point)# gtp pdp-context timeout session seconds |
GGSN がセッションを終了し、同じ IMSI または MS アドレスを持つ PDP コンテキストをすべてパージする前に、特定のアクセス ポイントでセッションが存在することを許可する時間(秒単位)を指定します。有効な範囲は、30 ~ 4294967 秒です。 |
GGSN での絶対セッション タイマーのディセーブル化
デフォルトでは、GGSN で絶対セッション タイマーはディセーブルです。絶対セッション タイマーをイネーブルにしたあとでデフォルト設定に戻すには、グローバル コンフィギュレーション コマンドまたはアクセス ポイント コンフィギュレーション コマンドの no フォーム( no gprs gtp pdp-context timeout session または no gtp pdp-context timeout session )を使用します。
タイマー設定の確認
特定の PDP コンテキストのタイマー情報を表示するには、 show gprs gtp pdp-context コマンドおよび tid キーワードまたは imsi キーワードを使用します。次の例は、セッション アイドル タイマーが 200 時間(720000 秒)、絶対セッション タイマーが 24 時間(86400 秒)に設定された PDP コンテキストに対する show gprs gtp pdp-context tid コマンドの出力例を示しています。タイマーの値は、 session timeout フィールドおよび idle timeout フィールドに太字で表示されています。
Router#show gprs gtp pdp-context tid 1111111111111111
TID MS Addr Source SGSN Addr APN
1111111111111111 10.1.1.1 Radius 10.8.8.1 dns.com
current time :Mar 18 2002 11:24:36
user_name (IMSI):1111111111111111 MS address:10.1.1.1
MS International PSTN/ISDN Number (MSISDN):ABC
sgsn_addr_signal:10.8.8.1 sgsn_addr_data:10.8.0.1
control teid local: 0x63493E0C
control teid remove: 0x00000121
data teid local: 0x63483E10
data teid remote: 0x00000121
signal_sequence: 0 seq_tpdu_up: 0
upstream_signal_flow: 1 upstream_data_flow: 2
downstream_signal_flow:14 downstream_data_flow:12
pdp_create_time: Mar 18 2002 09:58:39
last_access_time: Mar 18 2002 09:58:39
mnrgflag: 0 tos mask map:00
gprs qos_req:091101 canonical Qos class(req.):01
gprs qos_neg:25131F canonical Qos class(neg.):01
rcv_pkt_count: 0 rcv_byte_count: 0
send_pkt_count: 0 send_byte_count: 0
cef_up_pkt: 0 cef_up_byte: 0
cef_down_pkt: 0 cef_down_byte: 0
cef_drop: 0 out-sequence pkt: 0
Src addr violation: 2 paks, 1024 bytes
Dest addr violation: 2 paks, 1024 bytes
Redirected mobile-to-mobile traffic: 2 paks, 1024 bytes
charging characteristics: 0
charging characteristics received: 0
Framed_route 5.5.5.0 mask 255.255.255.0
** Network Init Information **
MNRG Flag: 0 PDU Discard Flag: 0
SGSN Addr: 172.16.44.1 NIP State: NIP_STATE_WAIT_PDP_ACTIVATION
GGSN でのセッションの削除
必要に応じて、 clear gprs gtp pdp-context 特権 EXEC コマンドを使用して、PDP コンテキストを手動で削除できます。
PDP コンテキストは、Terminal Identifier(TID; 端末 ID)、IMSI 値、またはアクセス ポイント(IP バージョン別またはそのアクセス ポイントでアクティブなすべての PDP)別に削除できます。
Third Generation Partnership Program(3GPP)規格で定義されているように、デフォルトでは、GGSN は PDP コンテキストの削除要求を SGSN に送信し、SGSN からの応答を待機してから PDP コンテキストを削除します。また、複数の PDP コンテキストを削除する場合、一度に削除できるのは特定の数の PDP コンテキストだけです。
SGSN が GGSN の PDP コンテキストの削除要求に応答しない場合、タスクの完了が大きく遅延する場合があります。Fast PDP Delete 機能( no-wait-sgsn および local-delete アクセス ポイント キーワード オプション)を使用して、この遅延をなくすことができます。Fast PDP Delete 機能を使用すると、GGSN で SGSN からの応答を待機しないで APN 内の PDP コンテキストを削除するか、または GGSN で PDP コンテキストの削除要求を SGSN に送信しないで PDP コンテキストをローカルで削除できます。
Fast PDP Delete 機能を使用する場合は、次の点に注意してください。
• Fast PDP Delete 機能は、APN または GGSN がメンテナンス モードの場合にだけ使用できます。したがって、 no-wait-sgsn および local-delete キーワード オプションは、APN または GGSN がメンテナンス モードの場合にだけ使用できます。
• no-wait-sgsn および local-delete キーワード オプションを指定してこのコマンドを入力すると、GGSN で次の注意が表示されます。
Deleting all PDPs without successful acknowledgements from the SGSN will result in the SGSN and GGSN going out of sync. Do you want to proceed ? [n]:
デフォルトは no です。削除を取り消すには、 n を入力して Enter キーを押します。削除を続行するには、 y を入力して Enter キーを押します。
• サービス認識 PDP を処理する場合、Fast PDP Delete 機能が使用されていて GGSN が SGSN からの応答を待機していないときは、GGSN は Cisco Content Services Gateway(CSG)および Diameter サーバからの応答を待機する必要があります。したがって、Fast PDP Delete 機能はサービス認識 PDP に対してはそれほど有効ではありません。
• PDP コンテキストの削除要求が失われた場合、SGSN は PDP コンテキストを削除できなくなります。この状態により、GGSN と SGSN で生成される Call Detail Record(CDR; 呼詳細レコード)に不整合が発生する場合があります。
• no-wait-sgsn キーワード オプションが指定された場合、GGSN は SGSN への PDP コンテキストの削除要求を調整しないため、GGSN が SGSN を PDP コンテキストの削除要求でフラッドさせる場合があります。
• Fast PDP Delete 機能は、 clear gprs gtp-context 特権 EXEC コマンドで開始された PDP 削除だけに適用されます。障害状態中の PDP 削除など、その他の状況による PDP 削除には影響しません。
PDP コンテキストを手動で削除するには、特権 EXEC モードで次のコマンドを使用します。
|
|
Router(config-access-point)#
clear gprs gtp pdp-context
{
tid
tunnel-id
|
imsi
imsi_value
|
path
ip-address
[
remote_port_num
] |
access-point
access-point-index
[
no-wait-sgsn
|
local-delete
] | pdp-type
{
ipv6
|
ipv4}
|
all
}
|
1 つ以上のパケット データ プロトコル(PDP)コンテキスト(モバイル セッション)を TID、IMSI 値、パス、またはアクセス ポイント(IP バージョン別またはアクティブなすべての PDP)別にクリアします。 |
APN をメンテナンス モードにする方法の詳細については、「APN メンテナンス モードの設定」を参照してください。
GTP エラー メッセージのフロー制御の設定
GTP エラー通知メッセージは、SGSN が送信した PDP コンテキストのデータを GGSN が見つけられないときに、GGSN から SGSN に送信されます。このエラー通知メッセージは、PDP コンテキストが見つからないため、SGSN 側で PDP コンテキストを消去できることを SGSN に通知します。
デフォルトでは、GGSN は GTP エラー メッセージのフロー制御をディセーブルにします。
グローバル コンフィギュレーション モードで gprs gtp error-indication-throttle コマンドを使用して、GTP エラー メッセージの送信のフロー制御をイネーブルにすることができます。このコマンドによって、エラー通知メッセージが送信されるたびに減少するカウンタの初期値が設定されます。カウンタがゼロに達すると、GGSN はエラー通知メッセージの送信を停止します。1 秒後に、GGSN はこのカウンタを設定されたスロットル値にリセットします。
GTP エラー メッセージのフロー制御を設定するには、グローバル コンフィギュレーション モードで次のコマンドを使用します。
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Router(config)# gprs gtp error-indication-throttle window-size size |
GGSN が 1 秒間に送信するエラー通知メッセージの最大数を指定します。size は 0 ~ 256 の整数です。デフォルト値はありません。 |
GGSN での削除済み SGSN パスの履歴維持の設定
削除済み SGSN パスについて収集された統計情報を格納するように Cisco GGSN を設定できます。
GGSN で統計情報の履歴を格納する削除済み SGSN パス エントリの最大数を設定するには、グローバル コンフィギュレーション モードで次のコマンドを使用します。
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|
Router(config)# gprs gtp path history number |
GGSN で統計情報の履歴を格納する削除済み SGSN パス エントリの最大数を設定します。有効な値は、1 ~ 1000 です。デフォルトは 100 です。 |
(注) エントリ数を小さい値に変更すると、古い値は削除されます。
SGSN ごとのエコー要求の抑制
オペレータは、グローバル コンフィギュレーション モードで gprs gtp path sgsn コマンドを使用して、他の SGSN のエコー要求をそのまま維持しながら、GGSN からのエコー要求に応答できない GSN のエコー要求を選択的にディセーブルにすることができます。また、GSN の特定のポートについてエコー要求をディセーブルにすることもできます。
新しいパスが作成されると、 gprs gtp path コマンドを使用してエコー要求を抑制する場合、GGSN はパス パラメータ(つまり宛先アドレスおよびポート)が設定済みの条件のいずれかに一致するかどうかをチェックします。パラメータが一致した場合、GGSN はそのパスのパス エコー間隔を 0 に設定します。一致しない場合、グローバルなパス エコー間隔設定がエコー要求の送信に使用されます。
IP アドレスの範囲または単一の IP アドレスに対して、任意でポート番号を指定して、エコー要求をディセーブルにすることができます。
エコー要求を抑制するには、グローバル コンフィギュレーション モードで次のコマンドを使用します。
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Router(config)#
gprs gtp path sgsn
start-ip-address [
end-ip-address ] [
UDP port ]
echo 0
|
start-ip-address から end-ip-address の範囲の設定された User Datagram Protocol(UDP; ユーザ データグラム プロトコル)ポートに対応するすべての SGSN について、作成されたパスのエコー間隔要求が 0(ディセーブル)であることを指定します。 |
次の例は、1 つの SGSN のエコー要求をディセーブルにします。
Router(config)# gprs gtp path sgsn 10.10.10.10 echo 0
次の例は、1 つの SGSN のポート 4000 だけのエコー要求をディセーブルにします。
Router(config)# gprs gtp path sgsn 10.10.10.10 4000 echo 0
GGSN が開始する PDP コンテキストの更新要求のサポートの設定
(注) GGSN が開始する PDP コンテキストの更新要求は、GTPv1 PDP コンテキストに対してサポートされます。
Cisco GGSN リリース 8.0 以降、Cisco GGSN は PDP コンテキストの更新要求(3GPP TR 29.060 v7.5.1、section 7.3.3 で定義)を SGSN に送信して、PDP コンテキストの QoS をネゴシエーションできます。
Gx 環境の Cisco Content Services Gateway(CSG)などの外部エンティティは、新しい QoS プロファイルを GGSN にプッシュして、特定の PDP コンテキストで適用できます。次に、GGSN は SGSN への PDP コンテキストの更新要求で、変更を Radio Access Network(RAN; 無線アクセス ネットワーク)にプッシュします。
また、PDP コンテキストに対して直接トンネルが使用されている場合、Radio Network Controller(RNC; 無線ネットワーク コントローラ)からのエラー通知メッセージのために、GGSN は PDP コンテキストの更新要求を SGSN に送信します。
GGSN では、次の情報エレメント(IE)が PDP コンテキストの更新要求に含まれています。
• リカバリ
• Network Service Access Point Identifier(NSAPI; ネットワーク サービス アクセス ポイント ID)
• QoS プロファイル
• 直接トンネル フラグ(RNC から受信された直接トンネル エラー通知により更新要求が開始された場合)
QoS が再ネゴシエーションされると、SGSN は PDP コンテキストの更新応答を GGSN に返してプロセスを完了します。SGSN からの PDP コンテキストの更新応答の Cause 値が「Request Accepted」の場合、次のアクションのいずれかが発生します。
• PDP コンテキストの更新要求が RNC からのエラー通知メッセージによって開始された場合、PDP コンテキストは維持されます。
• PDP コンテキストの更新要求が新しい QoS を含む Change of Authorization(CoA; 認証の変更)によって開始された場合、新しい QoS を通信するために Interim-Acct-Update メッセージが送信されます(PDP コンテキストの更新要求で指定される QoS 値は、SGSN によって下方にネゴシエーションされている場合があります)。GGSN は Acct-Update メッセージで同じ内容通知します。
PDP コンテキストの更新応答の Cause 値が「Request Accepted」以外の場合、次のアクションのいずれかが発生します。
• PDP コンテキストの更新要求が RNC からのエラー通知によって開始された場合、PDP はローカルで削除されます。
• PDP コンテキストの更新要求がグローバル コンフィギュレーション モードで CoA コマンドによって開始された場合は、次のとおりです。
– gprs gtp update qos-fail delete グローバル コンフィギュレーション コマンドまたは gtp update qos-fail delete アクセス ポイント コンフィギュレーション コマンドが設定されている場合、GGSN は PDP コンテキストを削除し、Acct-Stop メッセージで更新失敗の通知を送信します。
– gprs gtp update qos-fail delete グローバル コンフィギュレーション コマンドまたは gtp update qos-fail delete アクセス ポイント コンフィギュレーション コマンドが設定されていない場合、GGSN は PDP コンテキストを維持し、ネゴシエーションされた QoS 値でアカウンティング中間レコードを生成します。
– すべての失敗において、失敗を示すエラー メッセージが記録されます。
(注) 直接トンネル PDP コンテキストの更新要求の失敗に対して、エラー メッセージの syslog は生成されません。
GGSN が開始する PDP コンテキストの更新要求をグローバルにイネーブルにするには、グローバル コンフィギュレーション モードで次のコマンドを発行します。
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Router(config)# gprs gtp update qos-fail delete |
GGSN が開始する QoS 更新が失敗し、APN で gtp update qos-fail アクセス ポイント コンフィギュレーション コマンドを使用して、GGSN が開始する PDP コンテキストの更新要求の失敗アクションが設定されていない場合に、PDP コンテキストを削除するように GGSN を設定します。 |
GGSN が開始する PDP コンテキストの更新要求を APN でイネーブルにするには、アクセス ポイント コンフィギュレーション モードで次のコマンドを発行します。
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Router(config-access-point)# gtp update qos-fail delete |
GGSN が開始する QoS 更新が失敗した場合に、PDP コンテキストを削除するように GGSN を設定します。 |
サービス モード機能の使用
GGSN サービス モード機能を使用すると、GGSN でのすべてのアクティブなセッションに影響を与えずに、設定変更およびコールのテストを行うことができます。サービス モード状態は、グローバルに、アクセス ポイントで、および GGSN 課金機能に対して設定できます。運用およびメンテナンスという 2 つのサービス モード状態があります。デフォルトのモードは運用です。
グローバル メンテナンス モードの設定
GGSN をグローバル メンテナンス モードにすると、新しい PDP コンテキストの作成要求はすべて拒否されます。したがって、グローバル メンテナンス モードの間は、GGSN 全体で新しい PDP コンテキストは有効化されません。
次の項では、グローバル メンテナンス モードの使用方法の例を示します。
新しい GGSN の追加
1. GGSN サービスをイネーブルにし、GGSN をメンテナンス モードにします。
Router(config)# service ggsn
Router(config)# gprs service-mode maintenance
2. 使用するネットワーク用に GGSN を設定します。
3. GGSN を運用モードにします。
Router(config)# gprs service-mode operational
GGSN の変更
1. GGSN をメンテナンス モードにします。
Router(config)# gprs service-mode maintenance
すべての APN の既存の PDP が正常に解放され(平均セッション時間は約 1 時間)、バッファリングされた CDR が課金ゲートウェイに送信されるのを待機します。アクティブな課金ゲートウェイがないために CDR が課金ゲートウェイに送信されない場合は、 gprs charging service-mode コマンドを使用して課金機能をメンテナンス モードにし、 clear gprs charging cdr all no-transfer コマンドを発行して CDR を手動でクリアします。課金機能をメンテナンス モードにする方法の詳細については、「課金メンテナンス モードの設定」を参照してください。
2. 必要に応じて GGSN 設定を変更します。
3. GGSN を運用モードに戻します。
Router(config)# gprs service-mode operational
GGSN の無効化
1. GGSN をメンテナンス モードにします。
Router(config)# gprs service-mode maintenance
すべての APN の既存の PDP が正常に解放され(平均セッション時間は約 1 時間)、バッファリングされた CDR が課金ゲートウェイに送信されるのを待機します。アクティブな課金ゲートウェイがないために CDR が課金ゲートウェイに送信されない場合は、 gprs charging service-mode コマンドを使用して課金機能をメンテナンス モードにし、 clear gprs charging cdr all no-transfer コマンドを発行して CDR を手動でクリアします。課金機能をメンテナンス モードにする方法の詳細については、「課金メンテナンス モードの設定」を参照してください。
2. GGSN をサービスから削除します。
Router(config)# no service gprs ggsn
GGSN のグローバルなサービス モード状態を設定するには、グローバル コンフィギュレーション モードで次のコマンドを使用します。
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Router(config)# gprs service-mode [ operational | maintenance ] |
グローバルなサービス モード状態を設定します。デフォルトは運用モードです。 |
(注) GGSN がグローバル メンテナンス モードの場合、すべての APN もメンテナンス モードになります。
APN メンテナンス モードの設定
GGSN の他の APN のセッションに影響を与えずに新しい APN の追加または既存の APN の変更を行えるように、APN のサービス モード状態を設定できます。
APN がメンテナンス モードの場合、PDP コンテキストの作成要求は受け入れられません。アクティブな PDP コンテキストが解放されると(または clear gprs gtp pdp-context access-point コマンドを使用して手動でクリアされると)、APN 関連のすべてのパラメータは設定または変更可能になり、APN は運用モードに設定されます。
また、APN を追加および設定すると、グローバル コンフィギュレーション モードで gprs service-mode test imsi コマンドを使用してテスト ユーザを(GGSN ごとに 1 つ)設定し、PDP コンテキスト作成を実行して、設定を確認できます。
(注) gprs service-mode test imsi コマンドを使用してテスト ユーザから PDP コンテキスト作成をテストするには、GGSN が運用モード(gprs service-mode operational コマンド)である必要があります。
APN を削除するには、APN サービス モード状態をメンテナンス モードに変更し、既存のすべての PDP が解放されるのを待機してから、 no access-point-name コマンドを使用して APN を削除します。
APN のサービス モード状態を設定するには、アクセス ポイント コンフィギュレーション モードで次のコマンドを使用します。
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Router(config-access-point)# service-mode [ operational | maintenance ] |
APN のサービス モード状態を設定します。 |
次の項では、APN メンテナンス モードの使用方法の例を示します。
新しい APN の追加
1. 新しい APN を追加し、メンテナンス モードにします(デフォルトでは、APN は運用モードです)。
Router(config-access-point)# access-point-name apn-num
Router(config-access-point)# service-mode maintenance
2. APN を設定します。
3. APN 設定のテスト用の PDP コンテキストを作成します。
Router(config)# gprs service-mode test imsi imsi-value
4. APN を運用モードにします。
Router(config-access-point)# service-mode operational
APN の変更
1. APN をメンテナンス モードにします。
Router(config-access-point)# service-mode maintenance
PDP コンテキストが解放されるのを待機するか、 clear gprs gtp pdp-contexts access-point コマンドを使用して手動でクリアします。
2. APN を変更します。
3. APN 設定のテスト用の PDP コンテキストを作成します。
Router(config)# gprs service-mode test imsi imsi-value
4. APN を運用モードにします。
Router(config-access-point)# service-mode operational
APN の削除
1. APN をメンテナンス モードにします。
Router(config-access-point)# service-mode maintenance
PDP コンテキストが解放されるのを待機するか、 clear gprs gtp pdp-contexts access-point コマンドを使用して手動でクリアします。
2. APN を削除します。
Router(config-access-point)# no access-point-name apn-num
課金メンテナンス モードの設定
GGSN の課金機能は主に、呼詳細レコード(CDR)の収集と課金ゲートウェイへの CDR の送信で構成されます。GGSN 課金機能のサービス モード状態は、CDR の収集には影響しません。ただし、課金機能がメンテナンス サービス モード状態になると、CDR は課金ゲートウェイに送信されません。
課金機能がメンテナンス モードの場合、課金ゲートウェイを追加、削除、または変更できます(たとえば、課金ゲートウェイの IP アドレス、優先度、および番号を変更します)。課金機能がメンテナンス モードのときに新しいプライマリ課金ゲートウェイが設定された場合、GGSN の課金機能が運用モードに戻されると、累積されたすべての CDR は新しい課金ゲートウェイに送信されます。
メンテナンス モード中は、収集されたすべての CDR および保留キューの CDR は GGSN 上に格納されます。必要に応じて、 clear gprs charging cdr all no-transfer コマンドを使用して、これらの格納された CDR をクリアできます。クリアされると、課金機能が運用モードに戻されたときに、課金ゲートウェイに送信されません。
次の課金機能コンフィギュレーション コマンドでは、課金機能はメンテナンス モードである必要があります。
• gprs charging path-protocol
• gprs charging header short
• gprs charging map data tos
• gprs charging message transfer-request command-ie
• gprs charging message transfer-response number-responded
• gprs charging port
• gprs default charging-gateway
• gprs charging send-buffer
デフォルトでは、課金機能は運用モードです。課金機能のサービス モード状態を設定するには、グローバル コンフィギュレーション モードで次のコマンドを使用します。
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Router(config)# gprs charging service-mode [ operational | maintenance ] |
GGSN の課金機能のサービス モード状態を設定します。 |
次の項では、課金メンテナンス モードの使用方法の例を示します。
課金ゲートウェイの変更
1. GGSN 課金機能をメンテナンス モードにします。
Router(config)# gprs charging service-mode maintenance
CDR は収集されますが、送信されません。収集されバッファリングされたすべての CDR は、課金機能が運用モードに戻されるまで格納されます。運用モードになったときに、課金ゲートウェイに送信されます。
2. 課金設定(ゲートウェイ数、パス プロトコル、順序など)を変更します。
3. 必要に応じて、格納された CDR および保留中の CDR をすべてクリアして、課金機能が運用モードに戻されたときに課金ゲートウェイに送信されないようにします。
Router(config)# clear gprs charging cdr all no-transfer
4. 課金機能を運用モードに戻します。
Router(config)# gprs charging service-mode operational
GGSN に格納された CDR および保留キューの CDR を手動ですべてクリアするには、グローバル コンフィギュレーション モードで次のコマンドを使用します。
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Router(config)# clear gprs charging cdr all no-transfer |
課金機能がメンテナンス モードのときに、格納された CDR および保留キューの CDR をクリアします。 |
(注) CDR をクリアするには、GGSN はグローバル メンテナンス モード(gprs service-mode maintenance コマンドを使用)および課金メンテナンス モード(gprs charging service-mode maintenance コマンドを使用)である必要があります。
(注) GGSN が課金メンテナンス モードおよびグローバル メンテナンス モードの場合、GGSN は既存の PDP に対して CDR を作成しません。