概要
GPRS および UMTS は、Global System for Mobile communication(GSM; モバイル通信用グローバル システム)ネットワークが進化したものです。GSM は、世界中で使用されているデジタル セルラー テクノロジーですが、主にヨーロッパとアジアで使用されています。GSM は、デジタル ワイヤレス通信において、世界をリードする規格です。
GPRS は、2.5G のモバイル通信テクノロジーです。2.5G を利用すると、モバイル ワイヤレス サービス プロバイダーは、GSM ネットワークを介したパケットベースのデータ サービスをモバイル加入者に対して提供できます。GPRS は、インターネット アクセス、イントラネットまたは企業内アクセス、インスタント メッセージ、マルチメディア メッセージなどに一般的に適用されています。GPRS は、European Telecommunications Standards Institute(ETSI; ヨーロッパ電気通信標準化協会)によって標準化されました。現在では、GPRS の標準化作業は Third Generation Partnership Program(3GPP; 第 3 世代パートナーシップ プロジェクト)で行われています。
UMTS は 3G のモバイル通信テクノロジーであり、Wideband Code Division Multiple Access(W-CDMA; 広帯域コード分割多重アクセス)無線テクノロジーを提供します。W-CDMA テクノロジーによって、より高いスループット、リアルタイム サービス、およびエンドツーエンドの Quality of Service(QoS)を実現できます。W-CDMA テクノロジーでは、モバイル ワイヤレス加入者に対して、画像、グラフィック、ビデオ通信などのマルチメディア情報、および音声、データを提供することもできます。UMTS は、3GPP によって標準化されました。
GPRS/UMTS パケット コアは、2 つの主要なネットワーク要素によって構成されています。
• ゲートウェイ GPRS サポート ノード(GGSN)
モバイル携帯電話ユーザに、Public Data Network(PDN; 公衆データ網)または指定されたプライベート IP ネットワークに対するアクセスを提供します。
Cisco GGSN は、Cisco IOS ソフトウェアによって実装されています。
• Serving GPRS Support Node(SGSN; サービング GPRS サポート ノード)
Radio Access Network(RAN; 無線アクセス ネットワーク)を GPRS/UMTS コアに接続します。SGSN では、次の処理が行われます。
– ユーザ セッションを GGSN にトンネリングします。
– Mobile Station(MS; モバイル ステーション)との間でデータを送受信します。
– モバイル ステーション(MS)の位置に関する情報を保持します。
– MS および GGSN と直接通信します。
SGSN のサポートは、シスコのパートナー、またはその他のベンダーによって提供されます。
図 1-1 は、Cisco 7600 シリーズ ルータの Cisco Service and Application Module for IP(SAMI)で GGSN が実装された場合のネットワーク構成要素を示しています。
図 1-1 Cisco 7600 シリーズ ルータの SAMI で GGSN が実装された場合の GPRS/UMTS ネットワーク構成要素
図 1-1 に示すように、RAN は、2.5G と 3G とでは異なる構成要素で構成されています。
2.5G 環境では、RAN は Base Transceiver Station(BTS; 無線基地局)に接続するモバイル ステーションで構成されています。BTS から Base Station Controller(BSC; ベース ステーション コントローラ)に接続されます。3G 環境では、RAN は Node B に接続するモバイル ステーションから構成されます。Node B から Radio Network Controller(RNC; 無線ネットワーク コントローラ)に接続されます。
RAN は、SGSN を介して GPRS/UMTS コアに接続します。SGSN は、サービス ネットワーク(インターネットやイントラネットなど)へのゲートウェイとして動作する GGSN にユーザ セッションをトンネリングします。SGSN と GGSN との間の接続は、GPRS Tunneling Protocol(GTP; GPRS トンネリング プロトコル)と呼ばれるトンネリング プロトコルを使用して確立されます。GTP バージョン 0(GTPv0)は 2.5G アプリケーションに対応し、GTP バージョン 1(GTPv1)は 3G アプリケーションに対応しています。GTP は、IP 上で伝送されます。
ネットワーク内の複数の SGSN および GGSN は、まとめて GPRS Support Node(GSN; GPRS サポート ノード)と呼ばれます。
(注) 事業者固有の設定に応じて、RAN、GPRS/UMTS コア、およびサービス ネットワークは、IP ネットワークまたは Multiprotocol Label Switching(MPLS; マルチプロトコル ラベル スイッチング)ネットワークとなります。
GGSN では、モバイル セッションに IP アドレスを割り当てる場合、アクセス ポイントに定義された次のいずれかの方法が使用されます。
• Dynamic Host Configuration Protocol(DHCP)
• Remote Authentication Dial-In User Service(RADIUS)サーバ
• GGSN 上に設定されたローカル アドレス プール
GGSN では、RADIUS サーバを使用して、リモート ユーザを認可および認証できます。DHCP および RADIUS は、グローバル レベルで設定することも、GGSN に設定されたアクセス ポイントごとに設定することもできます。
IPSec Virtual Private Network(VPN)Acceleration Services Module では、IPSec による暗号化が実行されます。
GPRS インターフェイス リファレンス モデル
2.5G GPRS 規格および 3G UMTS 規格では、異なるネットワーク要素間の通信パスを指すために インターフェイス という用語が使用されます。GPRS/UMTS 規格では、これらのインターフェイスを介した異なる GPRS/UMTS ネットワーク要素間の通信における要件および特性が定義されています。GPRS/UMTS ネットワークの説明では、これらのインターフェイスについて頻繁に言及されます。
図 1-2 は、Cisco GGSN 機能に実装されている主なインターフェイスを示しています。
• Gn/Gp インターフェイス:GGSN と SGSN との間のインターフェイス。Gn インターフェイスは、GPRS/UMTS ネットワークの同じ Public Land Mobile Network(PLMN; パブリック ランド モバイル ネットワーク)内の 2 つの GSN 間のインターフェイスです。Gp インターフェイスは、異なる PLMN にある 2 つの GSN 間のインターフェイスです。GTP は、Gn/Gp インターフェイスで定義されたプロトコルです。
• Gi インターフェイス:GPRS/UMTS ネットワークと、外部 Packet Data Network(PDN; パケット データ ネットワーク)との間の参照ポイント。
• Ga インターフェイス:GPRS/UMTS ネットワーク内の、GGSN と課金ゲートウェイとの間のインターフェイス。
図 1-2 GGSN インターフェイス
Cisco GGSN 機能には、次のような追加のインターフェイスが実装されています。
• Gy:拡張サービス認識課金のための、Diameter Credit Control Application(DCCA)用の Diameter サーバへのインターフェイス。
• Gx:Policy and Charging Rules Function(PCRF; ポリシー/課金ルール機能)と Policy and Charging Enforcement Function(PCEF; ポリシー/課金実施機能)との間の参照ポイント。Gx インターフェイスは、Policy and Charging Control(PCC; ポリシー/課金制御)ルールのプロビジョニングおよび削除に使用されます。Gx インターフェイスでは、Diameter プロトコルが使用されます。
• AAA インターフェイス:Authentication, Authorization, and Accounting(AAA; 認証、認可、アカウンティング)サーバへのインターフェイス。AAA インターフェイスでは、RADIUS プロトコルが使用されます。
• DHCP:DHCP サーバ インターフェイス。
• NMS:ネットワーク管理インターフェイス。
仮想テンプレート インターフェイス
GGSN と SGSN との間、および GGSN と PDN との間の接続を設定するために、Cisco GGSN ソフトウェアでは、 仮想テンプレート インターフェイスという内部インターフェイスが使用されます。仮想テンプレートは、論理インターフェイスです。仮想テンプレートは、特定のインターフェイスには直接結び付けられませんが、インターフェイスにダイナミックに関連付けることができます。
仮想テンプレート インターフェイスには、ルータ上の物理インターフェイスと同様に IP アドレスを割り当てることができます。また、仮想テンプレート インターフェイスに IP ルーティング特性を設定することもできます。仮想テンプレート インターフェイスでは、特定の GPRS/UMTS 固有の要素を設定する必要があります。たとえば、GTP カプセル化を設定したり(SGSN との通信に必要です)、ネットワーク上のどの PDN がアクセス可能かを判断するために GGSN によって使用されるアクセス リストを設定したりする必要があります。
アクセス ポイント設定
GPRS/UMTS 規格では、Access Point Name(APN; アクセス ポイント ネーム)と呼ばれるネットワーク ID が定義されています。APN によって、ユーザが GPRS/UMTS ネットワーク内の GGSN から接続可能なサービスまたはネットワークが識別されます。
APN を設定するために、Cisco IOS GGSN ソフトウェアでは次の設定要素を使用します。
• アクセス ポイント:APN およびそれに関連付けられたアクセス特性を定義します。アクセス特性には、セキュリティやダイナミック アドレッシング方式などがあります。
• アクセス ポイント リスト:GGSN の仮想テンプレートに関連付けられる論理インターフェイス。アクセス ポイント リストには、1 つ以上のアクセス ポイントが含まれています。
• アクセス グループ:PDN との間のアクセスを制御するためにアクセス ポイントに追加で設定されるセキュリティ。従来の IP アクセス リストの定義に従って MS から GGSN へのアクセスを許可する場合、IP アクセス グループには(アクセス ポイントで)PDN へのアクセスを許可するかどうかも定義します。IP アクセス グループ設定では、PDN から MS へのアクセスを許可するかどうかも定義できます。
アクセス ポイント設定の詳細については、「GGSN でのアクセス ポイントの設定」を参照してください。
利点
2.5G GPRS テクノロジーには、次のような利点があります。
• 既存の回線交換 GSM ネットワーク上でパケットベースの無線インターフェイスを利用できます。これにより、無線帯域幅はパケットの送受信時にだけ使用されるため、無線スペクトラムの効率性が大幅に向上します。
• 現在広く導入されている GSM 上に GPRS サービスを追加することを希望するネットワーク サービス プロバイダーに対しては、既存の GSM ネットワーク インフラストラクチャに対するアップグレードがサポートされています。
• 従来の回線交換 GSM データ サービスよりも高速なデータ レートがサポートされています。
• Short Message Service(SMS; ショート メッセージ サービス)よりも長いメッセージがサポートされています。
• データ ネットワークおよびサービスに対する幅広いアクセス方法がサポートされています。アクセス方法には、VPN や Internet Service Provider(ISP; インターネット サービス プロバイダー)を経由した企業サイト アクセスや、Wireless Application Protocol(WAP; ワイヤレス アプリケーション プロトコル)などがあります。
上記の利点に加えて、3G UMTS テクノロジーには次の利点があります。
• 約 256 Mbps というより高速なデータ レートがサポートされています。
• 指定された QoS での、コネクション型無線アクセス ベアラがサポートされており、これによりエンドツーエンドの QoS が確保されます。
Cisco IOS リリース 12.4(22)YE2 で導入された機能
Cisco GGSN リリース 9.2、Cisco IOS リリース 12.4(22)YE2 では、Cisco GGSN と Cisco CSG2 との間の 拡張 クォータ サーバ インターフェイス上でのサービス コントロール メッセージの交換がサポートされるようになりました。
このサポートにより、Cisco GGSN において、Cisco GGSN リリース 9.2 よりも前のリリースでサポートされていたサービス認識前払いユーザおよびサービス認識後払いユーザに加えて、次のタイプのユーザに対して eG-CDR を生成できるようになりました。
• サービス認識前払い(GTP)ユーザ
OCS アドレス選択を使用して実装されたサービス認識 GGSN では、GGSN は前払いユーザのクォータ サーバとして機能しません。OCS アドレス選択が実装されたサービス認識 GGSN では、Cisco CSG2 が、クォータを取得する OCS サーバとの直接の GTP 接続を確立します。GGSN は、拡張クォータ サーバ インターフェイス経由でサービス使用状況を取得して、eG-CDR を生成します。
• サービス認識後払いユーザ
GGSN は、サービス認識後払いユーザのクォータ サーバとして機能しません。GGSN は、拡張クォータ サーバ インターフェイスを使用して、Cisco CSG2 から使用状況を取得し、その使用状況を eG-CDR に追加します。
• ポリシー/課金制御(PCC)対応(Gx)ユーザ
Gx 対応ユーザが前払い(Gy)ユーザでもある場合は、eG-CDR 生成のサポートが Cisco IOS リリース 12.4(22)YE2 以前のリリースに存在しており、クォータ サーバ メッセージで受信した使用状況に基づいてサービス コンテナが eG-CDR に追加されます。
Gx ユーザが、CSG2 と OCS の直接インターフェイスが存在する実装での前払いユーザ、または(サービス認識または非サービス認識の)後払いユーザでもある場合、GGSN は拡張クォータ サーバ インターフェイス経由で CSG2 から使用状況を取得し、その使用状況を eG-CDR に追加します。
(注) Cisco IOS リリース 12.4(22)YE2 以降では、拡張クォータ サーバ インターフェイスが GGSN でイネーブルになっている場合、GGSN はサービス認識後払いユーザまたは Gx 後払いユーザのクォータ サーバとして機能しないため、これらのユーザは Cisco CSG2 で後払いとして設定する必要があります。Cisco CSG2 の設定の詳細については、『Cisco Content Services Gateway 2nd Generation - Release 3.5 Installation and Configuration Guide』を参照してください。
拡張クォータ サーバ インターフェイスの設定、およびサービス コントロール メッセージ交換のサポートのイネーブルについては、「GGSN でのクォータ サーバ インターフェイスの設定」を参照してください。
Cisco IOS リリース 12.4(22)YE1 で導入された機能
Cisco GGSN リリース 9.0、Cisco IOS リリース 12.4(22)YE1 では、次の機能のサポートが導入されました。
• レイヤ 3 地理的冗長性
• パッシブ ルート抑制
レイヤ 3 地理的冗長性
Cisco GGSN リリース 9.0、Cisco IOS リリース 12.4(22)YE1 では、レイヤ 3 地理的 GTP セッション冗長性のサポートが導入されました。
Cisco GGSN ソフトウェアでは、Cisco IOS Hot Standby Routing Protocol(HSRP; ホットスタンバイ ルーティング プロトコル)、Cisco IOS Check-point Facility(CF)と Redundancy Framework(RF)、および Stream Control Transmission Protocol(SCTP)を使用して、Layer 2(L2; レイヤ 2)のローカル GTP-SR および Layer 3(L3; レイヤ 3)の地理的 GTP-SR(リモート冗長性)の実装をサポートしています。
HSRP は、IP ネットワークにネットワーク冗長性を提供し、ネットワーク エッジ デバイスまたはアクセス回線における第 1 ホップの障害からユーザ トラフィックが即時かつ透過的に回復されることを保証します。
L3 HSRP を使用した地理的冗長性の実装では、アクティブ Cisco GGSN およびスタンバイ Cisco GGSN は、WAN を介して接続された Cisco SAMI 上に設定されます。Cisco GGSN ソフトウェアの以前のリリースでは、アクティブ GGSN とスタンバイ GGSN との間の接続は、LAN だけに制限されていました(L2 HSRP)。
ローカル冗長性または地理的冗長性を実装できますが、これらの実装は相互に排他的です(1 つの GGSN に、両方のタイプの冗長性を同時に設定することはできません)。
地理的冗長性設定の実装については、「ゲートウェイ GPRS サポート ノード(GGSN)の GPRS トンネリング プロトコル(GTP)セッション冗長性の設定」を参照してください。
Cisco IOS リリース 12.4(22)YE で導入された機能
Cisco GGSN リリース 9.0、Cisco IOS リリース 12.4(22)YE では、次の機能のサポートが導入されました。
• 「粒状課金およびストレージ」
• 「GRX トラフィック分離」
• 「Gx インターフェイス」
• 「Gy インターフェイス」
• 「合法的傍受」
• 「P-CSCF ロード バランシング」
• 「スタンドアローン GGSN の前払いクォータ実施」
次の既存の機能の拡張も導入されました。
• 「デバッグ」
• 「DFP 重み」
• 「HSPA QoS 拡張機能」
• 「管理情報ベース(MIB)」
• 「モバイル ステーション背後の複数のサブネット」
• 「統計情報」
粒状課金およびストレージ
Cisco GGSN では、グローバル レベルおよびアクセス ポイント レベル(粒状課金)の 2 つのレベルにおける課金設定がサポートされています。
粒状課金では、GGSN ごとに最大 30 個の 課金グループ を設定できます。各グループでは、一意のプライマリ、セカンダリ、およびターシャリの課金ゲートウェイと、iSCSI ターゲットを定義できます。また、課金グループは、APN と関連付けることができます。
課金グループを使用すると、課金レコードを所属先の APN ごとに異なる宛先に送信できます。
APN に関連付けられている課金グループがない場合は、デフォルトの課金グループが使用されます。デフォルトの課金グループとは、グローバル レベルで設定された課金ゲートウェイ、iSCSI ターゲット、スイッチオーバー優先度などを指します。
課金グループ 0 が、グローバル レベルで定義されるデフォルト課金グループです。これ以外に、課金グループ 1 ~ 29 を設定して、APN と関連付けることができます。
粒状課金およびストレージについては、「粒状課金およびストレージの設定」を参照してください。
GRX トラフィック分離
Cisco GGSN は、Gn および Gp インターフェイスで SGSN からのトラフィックを受信します。Gn トラフィックは、同じ PLMN 内の SGSN から受信します。Gp トラフィックは、異なる PLMN 内の SGSN から受信します。これらのトラフィックは、GPRS Roaming Exchange(GRX)経由で GGSN に着信します。
プライバシーやセキュリティを確保するために、Cisco GGSN では、Gn インターフェイスにおいて VPN Routing and Forwarding(VRF; VPN ルーティングおよび転送)がサポートされています。Gn インターフェイスで VRF がサポートされているため、GRX トラフィックを分離して、異なるルーティング テーブルに属するものとすることができます。
Gn インターフェイスで GRX トラフィックを分離するための VRF の設定については、「GGSN Gn インターフェイスでの GRX トラフィックの分離」を参照してください。
Gx インターフェイス
Cisco GGSN リリース 9.0 以降、APN をポリシー/課金制御(PCC)対応にすることができます。
PCC 対応 APN(Gx インターフェイス)は、PCRF と PCEF との間の参照ポイントです。PCC ファイルを PCRF から PCEF にプロビジョニングおよび削除するために使用されます。
Cisco GGSN における PCC 対応 APN については、「APN での PCC のイネーブル」を参照してください。
Gy インターフェイス
Cisco Content Services Gateway - 2nd Generation(CSG2)アプリケーションと連携するように設定された場合、Cisco GGSN ではオンライン課金がサポートされます。Cisco GGSN では、Diameter Credit Control Application(DCCA)インターフェイスにおいて Cisco IOS Diameter プロトコルを使用したオンライン課金がサポートされています。DCCA インターフェイスは、Gy インターフェイスとも呼ばれます。
以前のリリースでは、Cisco GGSN は汎用 DCCA(RFC 4006『 Diameter Credit-Control Application 』に定義されています)、および一部の 3GPP アトリビュート(3GPP 技術仕様書 32.299『 Telecommunication Management; Charging management; Diameter Charging Applications 』に定義されています)をサポートしていました。
Cisco GGSN リリース 9.0 以降では、Gy インターフェイスは、次の追加の 3GPP 機能をサポートするように拡張されました。
• 前払い Packet Data Protocol(PDP; パケット データ プロトコル)の次のトリガー タイプでのトリガー タイプ AVP のサポート。
– CHANGE_IN_SGSN_IP_ADDDRESS
– CHANGE_IN_QOS
– CHANGE_IN_LOCATION
– CHANGE_IN_RAT
3GPP トリガー タイプ AVP は、Multiple-Service-Credit-Control(MSCC; 複数サービス信用管理)AVP に含まれています。MSCC AVP は、DCCA サーバから Cisco GGSN 機能に送信される Credit Control Answer(CCA; クレジット制御応答)内にあります。Cisco GGSN は、DCCA クライアントとして動作します。
CCA は、複数の MSCC AVP を含むことができます。サポートされているカテゴリのいずれかを GGSN が受信すると、関連する各カテゴリに対してトリガーがイネーブルになります。これらのカテゴリは、Cisco GGSN コマンドを使用してイネーブルにすることもできます。詳細については、『 Cisco GGSN Configuration Guide 』の「Configuring Enhanced Service-Aware Billing」を参照してください。
MSCC AVP で与えられたクォータは、カテゴリ(つまりサービス)と関連付けられています。各 MSCC AVP は、3GPP トリガー タイプ AVP を含むことができます。これらの 3GPP トリガー タイプ AVP では、関連付けられたクォータを DCCA クライアントが再認可する原因となるイベントが指定されます。
(注) サポートされていない 3GPP トリガー タイプが指定された MSCC を受信した場合、GGSN はこれらの MSCC を無視します。サポートされていないトリガー タイプを受信した場合は、以前にインストールされたトリガーが適用されます。
• 次の再認可しきい値のサポート。
– Time-Quota-Threshold
– Volume-Quota-Threshold
– Time-Quota-Mechanism
任意で、DCCA サーバは、上記の 3GPP AVP を含む MSCC AVP が設定された CCA を送信できます。これらの AVP は、GGSN に対して、クォータのしきい値に達した場合に再認可を要求するように指示します。
(注) Time-Quota-Mechanism は、Cisco GGSN リリース 9.0 では完全にはサポートされていません。
詳細については、「DCCA メッセージのベンダー固有 AVP のサポートのイネーブル」を参照してください。
Cisco GGSN Gy インターフェイスに対する拡張をサポートするために、次のコマンドが変更されました。
• content postpaid
• gprs charging service-record include
• gprs dcca
• trigger
合法的傍受
合法的傍受によって、裁判所または行政機関による命令を根拠として、Law Enforcement Agency(LEA; 司法当局)が個人に対して電子監視を実施できます。合法的傍受プロセスを容易にするために、特定の法律および規制によって、Service Provider(SP; サービス プロバイダー)およびインターネット サービス プロバイダー(ISP)に対して、認可された電子監視を明示的にサポートするようにネットワークを実装することが定められています。
Cisco GGSN リリース 9.0 以降では、Cisco GGSN に合法的傍受のサポートを実装できます。Cisco GGSN における合法的傍受のサポートの詳細については、「Cisco GGSN での合法的傍受サポートの実装」を参照してください。
P-CSCF ロード バランシング
Cisco GGSN では、Proxy Call Session Control Function(P-CSCF)ロード バランシングがサポートされています。
P-CSCF ロード バランシングがイネーブルになっている場合、Cisco GGSN では、ラウンドロビン アルゴリズムを使用して、PDP コンテキストの作成応答で送信する P-CSCF サーバを選択します。P-CSCF サーバは、PDP コンテキストの作成要求に Protocol Configuration Option(PCO; プロトコル設定オプション)Information Element(IE; 情報エレメント)の P-CSCF アドレス要求フィールドが含まれている場合に送信されます。
P-CSCF ロード バランシングがイネーブルになっていない場合、Cisco GGSN は事前に設定されたすべての P-CSCF サーバのリストを送信します。
P-CSCF ロード バランシングのイネーブルについては、「APN での Proxy-CSCF 検出サポートの設定」を参照してください。
スタンドアローン GGSN の前払いクォータ実施
Cisco GGSN では、2 種類の前払いクォータ実施がサポートされています。
前払いクォータ実施は、eGGSN 設定(Cisco CSG2 と連携するように設定された Cisco GGSN)またはスタンドアローン モードで動作する Cisco GGSN によって行うことができます。
スタンドアローン モードの Cisco GGSN で前払いクォータ実施を行う場合、GGSN は、データ量ベース、時間ベース、またはその両方で前払い加入者のデータ パケットをモニタリングします。
スタンドアローン GGSN 前払いクォータ実施の設定については、「スタンドアローン GGSN の前払いクォータ実施の設定」を参照してください。
デバッグ
Cisco リリース 9.0 では、次のデバッグ アクションを実行できます。
• debug gprs verbose 特権 EXEC コマンドを使用した、デバッグ コマンドの詳細レベルの制御。
• next-call キーワード オプションを指定して debug condition 特権 EXEC コマンドを使用することによる、GGSN に対する next-call 条件付きデバッグの設定。
最大 5 つの next-call 条件付きデバッグ設定、または next-call デバッグ条件が設定された PDP を任意のタイミングで設定できます。
next-call 条件付きデバッグをモニタリングおよびメンテナンスするには、次のコマンドを使用します。
– 既存の next-call デバッグ条件または next-call デバッグ条件が設定された PDP を表示する場合は、 show debugging condition コマンド
– 既存の PDP に設定されているデバッグをクリアする場合は clear gprs gtp debug next-call コマンド
– next-call デバッグ条件を削除する場合は、 next-call キーワードが指定された no debug condition コマンド
DFP 重み
Cisco GGSN Dynamic Feedback Protocol(DFP)サポートが拡張されました。Cisco GGSN リリース 9.0 では、CPU およびメモリの負荷が、DFP の重み計算の要素として組み込まれています。
GTP ロード バランシングでは、Cisco IOS SLB が DFP マネージャとして定義され、サーバ ファームの各 GGSN に DFP エージェントが定義されます。DFP エージェントは、GGSN の重みをレポートします。DFP エージェントは、CPU 使用率、プロセッサ メモリ、および各 GGSN に対して開始できる PDP コンテキストの最大数に基づいて各 GGSN の重みを計算します。
各 GGSN の重みは、主に、許可されている PDP コンテキストの最大数に対する GGSN 上の既存の PDP コンテキストの比率に基づいています。
デフォルトでは、CPU 使用率およびメモリ使用率は、使用率が 85% を超えてからでないと DFP の重み計算に組み込まれません。Cisco GGSN リリース 9.0 では、CPU およびメモリの負荷が重み付け計算で考慮される基準となる利用率を設定できます。使用率をカスタマイズするには、 cpu-load および mem-load キーワード オプションを指定して gprs dfp グローバル コンフィギュレーション コマンドを使用します。
gprs dfp コマンドは、DFP 重みの拡張機能をサポートするように変更されています。
DFP 重みの設定については、「GGSN での DFP サポートの設定」を参照してください。
HSPA QoS 拡張機能
High-Speed Uplink Packet Access(HSUPA; 高速アップリンク パケット アクセス)と High-Speed Downlink Packet Access(HSDPA; 高速ダウンリンク パケット アクセス)は、あわせて High-Speed Packet Access(HSPA; 高速パケット アクセス)と呼ばれます。
HSPA は、W-CDMA におけるパケットベースのデータ サービスであり、次の機能によって既存のプロトコルのパフォーマンスを拡張および向上するものです。
• 5 MHz 帯域幅において、最大 8 ~ 256 Mbps のデータ転送をサポートします。
• モバイル デバイスが、ビデオ クリップなどの大容量のデータを PDN との間で送受信することを可能にします。
• ビデオ会議などの、大量のデータをやり取りするサービスをサポートします。
Cisco GGSN は、MS によってネットワークに送信されるサービス リクエスト内の QoS 情報を受信します。QoS 情報によって、MS が要求するサービスのタイプが決定されます。GGSN は、現在の動作状態に基づいて、ネゴシエーションされた QoS を返します。ネゴシエーションされた QoS によって、ユーザが実際に経験するサービスの品質が決定されます。
(注) HSPA は、GTPv1 PDP コンテキストでだけサポートされています。
CAC 最大 QoS ポリシーの設定については、「CAC 最大 QoS ポリシーの設定」を参照してください。
次の Cisco GGSN CAC 最大 QoS ポリシー コンフィギュレーション コマンド が変更されて、HSPA 用の大きな値がサポートされるようになりました。
• gbr traffic-class
• mbr traffic-class
管理情報ベース(MIB)
Cisco GGSN リリース 9.0 以降では、CISCO-ISCSI MIB がサポートされています。
モバイル ステーション背後の複数のサブネット
Cisco GGSN ソフトウェアの以前のリリースでは、モバイル ステーション背後へのルーティング機能においては、MS 背後に 1 つのサブネットだけを設定できました。Framed-Route(アトリビュート 22)に複数のルートが含まれている場合、GGSN では最初のルートが使用され、後続のすべてのルートは無視されていました。
Cisco GGSN リリース 9.0 以降、Cisco GGSN では、MS あたり最大 16 のサブネットを設定できます。
MS 背後での複数のサブネットの設定については、「APN でのモバイル ステーション背後へのルーティングの設定」を参照してください。
統計情報
Cisco GGSN リリース 9.0 では、次の統計情報拡張のサポートが導入されました。
• GPRS スループット
gprs throughput intervals グローバル コンフィギュレーション コマンドを使用して設定された 2 つの間隔の間に収集されたスループット統計情報で保持する履歴項目数を設定するには、グローバル コンフィギュレーション モードで gprs throughput history コマンドを使用します。
最新のスループット統計情報を表示するには、 show gprs throughput history 特権 EXEC コマンドを使用します。スループット統計情報の履歴を表示するには、 show gprs throughput history 特権 EXEC コマンドを使用します。
• コール セットアップ レート
APN のコール レート統計情報が収集される間隔を設定するには、グローバル コンフィギュレーション モードで gprs callrate interval コマンドを使用します。設定された間隔の間に収集されたコール レート統計情報で保持する履歴項目数を設定するには、グローバル コンフィギュレーション モードで gprs callrate history コマンドを使用します。
最新のコール レート統計情報を表示するには、 show gprs callrate 特権 EXEC コマンドを使用します。コール レート統計情報の履歴を表示するには、 show gprs callrate history コマンドを使用します。
以前のリリースで導入された機能
Cisco GGSN では、以前のリリースで導入された次の機能もサポートしています。
• Release 99(R99)、Release 98(R98)、および Release 97(R97)のサポートと準拠
• GTPv0 および GTPv1 メッセージング
• IP PDP および PPP PDP タイプ
• GTPv0 と GTPv1 の両方、および IP PDP タイプと PPP PDP タイプに対する Cisco Express Forwarding(CEF)スイッチング
• GTPv1 PDP では、最大 11 のセカンダリ PDP コンテキストのサポート
• 仮想 APN
• APN ごとの VPN ルーティングおよび転送(VRF)
• VRF インスタンスあたり複数の APN
• VPN サポート
– Generic Routing Encapsulation(GRE; 総称ルーティング カプセル化)トンネリング
– PPP PDP タイプの Layer 2 Tunneling Protocol(L2TP; レイヤ 2 トンネリング プロトコル)拡張機能
– IP PDP タイプの PPP 再生成
– 802.1Q Virtual LAN(VLAN; 仮想 LAN)
• セキュリティ機能
– 重複 IP アドレス保護
– PLMN 範囲チェック
– 外部モバイル ステーションのブロック
– スプーフィング防止機能
– モバイル ステーション間のリダイレクション
• QoS
– UMTS クラス、およびディファレンシエーテッド サービス(DiffServ)とのインターワーキング
– 遅延 QoS
– 標準 QoS
– GPRS QoS(R97 および R98)から UMTS QoS(R99)、およびその逆への変換
– Call Admission Control(CAC; コール アドミッション制御)
– Per-PDP ポリシング
• ダイナミック アドレス割り当て
– 外部 DHCP サーバ
– 外部 RADIUS サーバ
– ローカル プール
• APN ごとの統計情報
• 匿名アクセス
• RADIUS 認証およびアカウンティング
• アカウンティング
– 待機アカウンティング
– PDP ごとのアカウンティング
– APN にマッピングされた RADIUS サーバ グループを使用した認証およびアカウンティング
– IP PDP タイプの 3GPP Vendor-Specific Attribute(VSA; ベンダー固有アトリビュート)
– 透過モード アカウンティング
– クラス アトリビュート
– 中間更新
– セッション アイドル タイマー
– Packet of Disconnect(PoD; パケット オブ ディスコネクト)
• ダイナミック エコー タイマー
• 2.5G および 3G SGSN 間での GGSN インターワーキング、および次の方向での Registration Authority(RA; 登録局)更新
– 2.5G SGSN から 2.5G SGSN
– 2.5G SGSN から 3G SGSN
– 3G SGSN から 3G SGSN
– 3G SGSN から 2.5G SGSN
• 課金
– 時間トリガー
– 課金プロファイル
– ターシャリ課金ゲートウェイ
– プライマリ課金ゲートウェイへのスイッチバック
• メンテナンス モード
• 複数の信頼できる PLMN ID
• GGSN-IOS SLB メッセージング
• セッション タイムアウト
• HSDPA および(必要に応じて)関連する 3GPP R5
• 拡張仮想 APN
• SGSN から送信される新しい IE(ユーザ位置、Radio Access Technology(RAT; 無線アクセス テクノロジー)、MS Time Zone(MSTZ; MS タイム ゾーン)、Customized Application for Mobile Enhanced Logic (CAMEL)課金情報、およびユーザ位置情報の各種 IE)
• GTP SLB スティッキ性
• GGSN が開始する PDP コンテキストの更新要求
• P-CSCF 検出
• 次の用途の拡張 MIB
– Cisco Content Services Gateway(CSG)
– DCCA
– APN レベルの定期アカウンティング タイマー
– PPP 再生成のスケーラビリティ
– 直接トンネル
– Change of Authorization(CoA; 認可の変更)
– GGSN が開始する PDP コンテキストの更新
• RADIUS 認可の変更メッセージ
RADIUS 認可の変更(CoA)メッセージには、セッションの認可をダイナミックに変更するための情報が含まれています。CoA メッセージは、ポート 1700 で受信されます。
Cisco GGSN では、RFC 3576 に定義されている RADIUS CoA メッセージをサポートするために、基本の Cisco IOS AAA が使用されます。また、Cisco GGSN では、更新された QoS を示す追加の 3GPP QoS アトリビュート、および PDP コンテキストを識別する Acct-Session-ID が使用されます。
QoS VSA は、各バイトが QoS アトリビュートでエンコードされたストリングです(3GPP TS 24.008 に定義されています)。Accounting-session-id は、標準アトリビュート タイプ 44 を使用するストリングです。
AAA および RADIUS の詳細については、『 Cisco IOS Security Configuration Guide, Release 12.4』を参照してください。
CoA 手順の一環として中間アカウンティング レコードが生成されるようにするには、次の条件が満たされていることを確認してください。
– aaa accounting update newinfo グローバル コンフィギュレーション コマンドがグローバルに設定されていること
– APN で、 interim update キーワード オプションを指定して aaa-accounting アクセス ポイント コンフィギュレーション コマンドが設定されていること
• ダウンロード可能な QoS プロファイル
Cisco GGSN では、AAA サーバからの QoS プロファイルのダウンロードがサポートされています。
APN が非透過モードで設定されている場合、ユーザは PDP コンテキストが作成される前に認証されます。GGSN は、ユーザが指定した PCO オプションにパラメータを含めて access-request を AAA サーバに送信します。または、APN で匿名ユーザがイネーブルになっている場合は、匿名認証を使用して access-request を AAA サーバに送信します。
RADIUS からの access-accept では、セッション タイムアウト値やアイドル タイムアウト値などのユーザ固有アトリビュートをダウンロードして、PDP コンテキストに適用できます。さらに、QoS プロファイルは QoS VSA 経由でもダウンロードできます(3GPP TS 24.0008 に定義されています)。3GPP QoS プロファイル アトリビュートが AAA サーバからの access-accept で受信された場合、GGSN はアトリビュートを取得して、PDP コンテキストに適用します。アトリビュートが有効でない場合、またはアトリビュートにフォーマット エラーがある場合、このアトリビュートは無視されて、SGSN によって要求された QoS プロファイルが QoS ネゴシエーションに使用されます。
3GPP QoS アトリビュートには、vendor-id として 10415 が、code として 5 が設定されています。
• PPP 再生成のスケーラビリティ:Cisco GGSN では、ソフトウェア Interface Description Block(IDB; インターフェイス デスクリプション ブロック)上で動作する PPP セッションに PDP を再生成できます。PPP セッションがソフトウェア IDB 上で動作することを許可すると、サポートされる最大セッション数が増加します。
• PPP 再生成の匿名ユーザ アクセス
PPP が再生成された PDP で匿名ユーザ アクセスをサポートすると、ユーザ名およびパスワードを送信できないユーザに対して PDP を作成できます。たとえば、WAP ユーザはユーザ名およびパスワードを送信できません。
PPP 再生成が設定された APN で anonymous user アクセス ポイント ユーザ コンフィギュレーション コマンドが設定されている場合、PPP が再生成された PDP でユーザ名およびパスワードが PCO IE に含まれていない PDP コンテキストの作成要求を受信すると、その APN の匿名ユーザ設定が LNS に認証用として送信されます。PCO IE にユーザ名およびパスワードが含まれている場合は、APN に匿名ユーザが設定されていても、指定されたユーザ名とパスワードを使用して LNS へのトンネルが作成されます。
PDP コンテキストの作成要求内のユーザ名とパスワードは、匿名ユーザ設定よりも優先されます。
APN における匿名ユーザ アクセスの設定については、「追加の実アクセス ポイント オプションの設定」を参照してください。
• ダウンロード可能なプール名のサポート
APN で ip-address-pool radius-client アクセス ポイント コンフィギュレーション コマンドが設定されている場合、ユーザの認証中に Access-Accept メッセージの一部としてアドレス プール名が受信されたときは、そのアドレス プールがモバイル ステーションへの IP アドレスの割り当てに使用されます。Access-Accept メッセージに IP アドレスも含まれている場合は、アドレス プール名よりも IP アドレスが優先されます。つまり、プールからアドレスが割り当てられるのではなく、Access-Accept メッセージの IP アドレスが使用されます。
ダウンロード可能なプール名を設定する場合は、APN で radius-client キーワード オプションを指定して ip-address pool アクセス ポイント コンフィギュレーション コマンドが設定されていることを確認してください。
gprs access-point-list gprs
access-point-name qos1.com
ip-address-pool radius-client
ip local pool pool1500 ipaddress ipaddress
ip-address-pool アクセス ポイント コンフィギュレーション コマンドの詳細については、「追加の実アクセス ポイント オプションの設定」を参照してください。RADIUS の設定の詳細については、『 Cisco IOS Security Configuration Guide 』を参照してください。
• 直接トンネルのサポート
直接トンネル機能によって、SGSN は、RNC と GGSN との間に直接のユーザ プレーン トンネルを確立できます。
SGSN は、RNC とコア ネットワークとの間のゲートウェイとして動作します。直接トンネル機能では、シグナリング トラフィック(モバイル デバイスの位置を追跡するためのトラフィック)、およびモバイル デバイスとインターネットとの間で交換される実際のデータ パケットの両方が処理されます。
Cisco GGSN リリース 8.0 よりも前のリリースでは、トンネルは GGSN と SGSN との間、および SGSN と RNC との間にだけ存在できました。このようなトンネル設定では、すべてのデータ パケットが SGSN を通過する必要があります。SGSN は、一方のトンネルの終端となり、パケットを抽出して、他方のトンネルに送出する必要があります。この処理には時間と処理パワーが必要となります。
直接トンネルのサポートにより、SGSN は RNC と GGSN との間で直接トンネルを開始でき、SGSN でデータ パケットを処理する必要がなくなります。SGSN では、他の RNC によってカバーされているエリアにモバイル デバイスが移動した場合でも、トンネルを変更することによって、引き続き場所の移動に関する問題への対応が行われます。
具体的には、直接トンネル処理は次のように実行されます。
a. SGSN は、次の要素を含む PDP コンテキストの更新要求とともに、直接トンネルを開始します。
- DTI ビットが 1 に設定された直接トンネル フラグ IE。
- RNC ユーザ トラフィック アドレス。
- データ TEID。
- GGSN によって、RNC ユーザ トラフィック アドレスおよび Data TEID が更新されます。MS への G-PDU を送信する場合、GGSN は更新された情報を使用します。
b. RNC ユーザ トラフィック アドレスからエラー通知メッセージを受信すると、GGSN は PDP コンテキストの更新要求を開始します。この PDP コンテキストの更新要求には、エラー通知ビットが設定された直接トンネル フラグ IE が含まれています。
c. SGSN から PDP コンテキストの更新応答を受信するまでの間、GGSN では MS アドレスに対する後続のパケットが廃棄されます。
d. SGSN から PDP コンテキストの更新応答を受信します。原因が「Request Accepted」である場合、PDP は維持されます。原因が「Not Request Accepted」である場合、PDP はローカルで削除されます。
(注) 直接トンネルのサポートは、国際的なローミングには適用されません。また、直接トンネルのサポートは、SGSN が前払いシステムによってトラフィック フローのカウントを依頼された場合には適用されません。