ゲートウェイ GPRS サポート ノード(GGSN)の GPRS トンネリング プロトコル(GTP)セッション冗長性の設定
この章では、2 つの Cisco Gateway GPRS Support Node(GGSN; ゲートウェイ GPRS サポート ノード)間に GPRS Tunneling Protocol Session Redundancy(GTP-SR; GPRS トンネリング プロトコル セッション冗長性)を設定する方法について説明します。
(注) Cisco GGSN では、IPv4 Packet Data Protocol(PDP; パケット データ プロトコル)コンテキストの場合にだけ GTP-SR がサポートされています。
この章に記載されている GGSN コマンドの詳細については、『 Cisco GGSN Command Reference 』を参照してください。
この章に記載されているその他のコマンドのマニュアルを参照するには、コマンド リファレンスのマスター インデックスを使用するか、またはオンラインで検索してください。GGSN の設定時に役立つその他の Cisco IOS ソフトウェア マニュアルのリストについては、「関連資料」を参照してください。
この章は、次の内容で構成されています。
• 「GTP-SR の概要」
• 「GTP セッション冗長性のイネーブル」
• 「GTP セッション冗長性のディセーブル」
• 「課金関連同期パラメータの設定」
• 「GTP-SR のモニタリングおよびメンテナンス」
• 「GTP-SR 環境での GGSN イメージのアップグレード」
• 「設定例」
GTP-SR の概要
Cisco GGSN でサポートされている GTP-SR を使用すると、別々の Cisco Service and Application Module for IP(SAMI)モジュールに設定されている 2 つの GGSN を 1 つのネットワーク エンティティとして示すことができます。冗長設定の一方の GGSN で障害が発生した場合でも、GTP-SR によって、モバイル加入者に引き続きサービスが提供されます。
GTP-SR 設定では、アクティブ GGSN が PDP セッションを確立および終了して、必要なステートフル データをスタンバイ GGSN に送信します。アクティブな PDP セッションの現在の状態を保持しておくために、スタンバイ GGSN はアクティブ GGSN によって送信されたステートフル データを受信します。スタンバイ GGSN は、アクティブ GGSN で障害が発生したことを検出するとアクティブになり、アクティブ GGSN の責務を引き継ぎます。
Cisco GGSN ソフトウェアでは、Cisco IOS Hot Standby Routing Protocol(HSRP; ホットスタンバイ ルーティング プロトコル)、Cisco IOS Check-point Facility(CF)と Redundancy Framework(RF)、および Stream Control Transmission Protocol(SCTP)を使用して、Layer 2(L2; レイヤ 2)のローカル GTP-SR および Layer 3(L3; レイヤ 3)の地理的 GTP-SR(リモート冗長性)の実装をサポートしています。
(注) 冗長 GGSN で GTP-SR をイネーブルにするには、GGSN 間に GTP-SR デバイス間インフラストラクチャを設定する必要があります。GTP-SR デバイス間インフラストラクチャの設定の詳細については、「GTP セッション冗長性デバイス間インフラストラクチャの設定」を参照してください。
GTP-SR の設定例(図 5-1 および図 5-2)では、次の点に注意してください。
• GTP-SR は、アクティブ/スタンバイ動作モード、ステートフル セッション同期、およびスイッチオーバー イベント検出とリカバリで構成されています。
• アクティブ/スタンバイ動作
– GGSN は設定に基づいてアクティブまたはスタンバイになります。
– 地理的冗長性を実装した場合、アクティブ GGSN はルート アドバタイズメントに基づいてルーティング プロトコル経由でパケットを受信します。ローカル冗長性を実装した場合、アクティブ GGSN は MAC アドレス挿入に基づいてパケットを受信します。
– アクティブ GGSN はコントロール メッセージを処理して加入者のデータ トラフィックをトンネリングします。
– スタンバイ GGSN はセッション状態および転送エントリを保持して、データ損失を最小限に抑えます。
• ステートフル セッション同期
– スイッチオーバーに対してセッション永続性が維持されます。
– 1 対 1 のステートフル セッション同期がサポートされています。
– アクティブ GGSN はすべてのセッションをスタンバイ GGSN にダウンロードします。
– ネットワーク帯域幅を最大限に利用するために、変更された状態およびバンドル イベントだけがメッセージで送信されます。
– 同期には信頼性の高いトランスポートが使用されます。
図 5-1に、ローカル GTP-SR の実装を示します。
図 5-1 ローカル GTP-SR の実装
ローカル GTP-SR の注意事項
• L2 HSRP によって、ローカル GTP-SR のサポートが提供されています。
• アクティブ GGSN およびスタンバイ GGSN は同じローカル サイト(同じ LAN)に配置されています。
• アクティブ GGSN およびスタンバイ GGSN は同じローカル HSRP グループに参加するように設定されています。
• HSRP トランスポートは L2 ベースのマルチキャスティングです。
図 5-2に、地理的 GTP-SR の実装を示します。
図 5-2 地理的 GTP-SR の実装
地理的 GTP-SR の注意事項
• L3 HSRP によって、地理的 GTP-SR のサポートが提供されています。
• アクティブ GGSN およびスタンバイ GGSN は、地理的に離れた場所に配置され、WAN で接続されています。
• アクティブ GGSN およびスタンバイ GGSN は同じ地理的 HSRP グループに参加するように設定されています。
• HSRP トランスポートは IP ユニキャスト ルーティングです。この場合、2 つの場所の間でユニキャスト IP アドレスをルーティングできる必要があります。
• L2 HSRP と L3 HSRP は相互排他的であるため、L3 HSRP がイネーブルの場合、L2 HSRP は自動的にディセーブルになります。
• Open Shortest Path First(OSPF)を Interior Gateway Protocol(IGP)として使用してルートをアドバタイズする必要があるのは、アクティブ GGSN だけです。したがって、スタンバイ GGSN として機能するときには OSPF 隣接関係を形成しないように、GGSN インターフェイスを設定する必要があります。
前提条件
Cisco GGSN の GTP-SR の要件は、次のとおりです。
• マルチレイヤ スイッチ フィーチャ カードを搭載した Cisco Supervisor Engine 720(Sup720)および Route Switch Processor(RSP)(シスコ製品 ID:SUP720-MSFC3-BXL)が搭載されている 2 台の Cisco 7600 シリーズ ルータ。
ローカル冗長性の場合、Sup720 で Cisco IOS リリース 12.2(33)SRB1 以降が稼動している必要があります。地理的冗長性の場合、Sup720 で Cisco IOS リリース 12.2(33)SRC 以降が稼動している必要があります。
• Cisco 7600 シリーズ ルータのそれぞれに 2 つの Cisco SAMI。Cisco SAMI プロセッサで同じ Cisco GGSN リリース、つまり、ローカル冗長性の場合は Cisco IOS リリース 12.4(15)XQ 以降、地理的冗長性の場合は Cisco IOS リリース 12.4(22)YE1 が稼動している必要があります。
• HSRP バージョン 2。
• HSRP 対応インターフェイスの IP アドレスや SCTP 設定のリモート IP アドレスなど、区別が必要な特定のプロトコル関連設定を除いて、アクティブ GGSN とスタンバイ GGSN は同じ設定にする必要があります。各設定は、GTP-SR 設定の両方の GGSN に同じ順序で指定されている必要があります。
• 新しい Cisco GGSN イメージをロードまたはアップグレードする場合は、両方の GGSN を(実質的に)同時にロードする必要があります。
• Serving GPRS Support Node(SGSN; サービング GPRS サポート ノード)では、GTP N3 要求および T3 再送信の数に、スイッチオーバー タイマーの値よりも大きい値が設定されている必要があります。この設定により、スイッチオーバー時に送信された要求を廃棄せずに、新しいアクティブ GGSN でサービスできます。
• グローバル コンフィギュレーション モードで ip radius source-interface コマンドを使用して、指定されているインターフェイスの IP アドレスを、発信するすべての Remote Authentication Dial-In User Service(RADIUS)パケットに使用するように RADIUS が設定されている必要があります。
制限事項および制約事項
GTP-SR を設定する前に、次の制限事項および制約事項に注意してください。
• PDP コンテキスト:次のタイプの PDP コンテキストでは、冗長性はサポートされていません。スイッチオーバーと同時に、次の PDP コンテキストは、新しいアクティブ GGSN で再確立する必要があります。
– IPv6 PDP
– Point-to-Point Protocol(PPP; ポイントツーポイント プロトコル)タイプの PDP
– PPP 再生成/Layer 2 Tunneling Protocol(L2TP; レイヤ 2 トンネリング プロトコル)アクセスの PDP
– ネットワークにより開始された PDP
• タイマー:セッション タイマーを除いて、GGSN タイマーはスタンバイ GGSN と同期されません。スイッチオーバーが発生すると、新しいアクティブ GGSN のタイマーが増加的に再開されます。増加的にタイマーを再開することにより、タイマーが同時にタイムアウトしないようにします。
PDP コンテキストがスタンバイ GGSN で再作成されると、セッション タイマーは最初のセッション タイマーの値から経過時間を引いた時間で再開されます。スタンバイ GGSN でセッションがタイムアウトになると、PDP コンテキストは削除されます。
• カウンタ:スイッチオーバーが発生すると、「cgprsAccPtSuccMsActivatedPdps」などのステータス カウンタおよび一部の統計情報カウンタはゼロ以外の値になります。この値は、スイッチオーバーが発生したときのカウンタの値です。その他のカウンタはすべてゼロにリセットされます。
GGSN リロードが発生すると、すべてのカウンタがゼロに戻ります。
• GTP シグナリングおよびデータに関連するシーケンス番号は、アクティブ GGSN とスタンバイ GGSN の間で同期化されません。
• 課金:スタンバイ GGSN での PDP コンテキストの課金の確立に関連するすべての情報が同期化されます。ただし、PDP コンテキストのユーザ データ関連の課金情報は同期化されません。したがって、課金ゲートウェイに送信されていない以前のアクティブ GGSN の Call Detail Record(CDR; 呼詳細レコード)は、スイッチオーバーが発生するとすべて失われます。
• GTP-SR 設定が 2 つの GGSN 間で確立されると、片方の GGSN の設定変更によって、変更が保存される前に GGSN がリロードされる可能性があります。設定変更が失われないようにするには、GGSN の設定を変更する前に GTP-SR をディセーブルにします。GTP-SR をディセーブルにする方法の詳細については、「GTP セッション冗長性のディセーブル」を参照してください。
• GTP セッション冗長性(GTP-SR)環境では、スタンバイ GGSN で clear gprs gtp pdp-context コマンドを 使用しないでください 。このコマンドをスタンバイ GGSN で発行すると、コマンドが処理される前に確認を要求するプロンプトが表示されます。GGSN の冗長ステートがアクティブかスタンバイかを判断するには、 show gprs redundancy コマンドを使用します。
• 地理的冗長性の設定時には、次の点に注意してください。
– L2 HSRP と L3 HSRP は相互排他的です。
– L2 HSRP 設定から L3 HSRP 設定に移行するには、システム リロードが必要です。
– L3 HSRP を使用している場合、Cisco GGSN がスイッチオーバーしても Cisco Content Services Gateway - 2nd Generation はスイッチオーバーしません。したがって、ユーザは過剰請求される可能性があります。
– Cisco IOS リリース 12.2(33)SRC の 1 シャーシ当たりの制限は、Border Gateway Protocol(BGP; ボーダー ゲートウェイ プロトコル)ピアが 1000 個、または OSPF ネイバーが 1000 個です。したがって、Cisco SAMI PPC の 1 GGSN 当たりの制限は 160 個の BGP ピアまたは 160 個の OSPF ネイバーになります。
– 発信元のインターフェイス(RADIUS、課金、Diameter など)は、アクティブ GGSN とスタンバイ GGSN の両方で同じ IP アドレスを使用して設定され、OSPF ルーティング プロトコル経由で配信される必要があります。
GTP セッション冗長性のイネーブル
GTP-SR を設定するには、次の項の手順を記載されている順序で実行します。
• 「GTP セッション冗長性デバイス間インフラストラクチャの設定」
• 「インターフェイスでのパッシブ ルート抑制の設定」
• 「GGSN での GTP-SR のイネーブル」
GTP セッション冗長性デバイス間インフラストラクチャの設定
GTP-SR 機能では、Cisco IOS CF を使用して、冗長設定した GGSN に SCTP 経由でステートフル データを送信します。また、Cisco GGSN では Cisco IOS RF を Cisco IOS HSRP とともに使用して、アクティブ GGSN とスタンバイ GGSN での移行をモニタリングおよびレポートします。
冗長 GGSN で GTP-SR をイネーブルにする前に GTP-SR デバイス間インフラストラクチャを設定するには、次の項の手順を実行します。
• 「HSRP の設定」
• 「デバイス間冗長性のイネーブル」
• 「デバイス間通信トランスポートの設定」
HSRP の設定
HSRP は一般的に冗長性に使用されるプロトコルです。ネットワーク上のホストからの IP トラフィックをルーティングするときに単一ルータの可用性に依存しないため、HSRP では、高度なネットワーク可用性が提供されます。
HSRP は、ルータ グループ内におけるアクティブ ルータおよびスタンバイ ルータを選択するために使用されます。HSRP は、いずれかのインターフェイスがダウンしている場合に、デバイス全体がダウンしていると見なされるように、内部インターフェイスおよび外部インターフェイスの両方をモニタリングします。デバイスがダウンしていると見なされると、スタンバイ デバイスがアクティブになり、アクティブ デバイスの責務を引き継ぎます。
具体的には、HSRP により次の機能が提供されます。
• アクティブ/スタンバイのダイナミックなロール選択
• 障害検出用のハートビート
• アクティブ GGSN でだけパケットを受信する方法
レイヤ 3 の地理的冗長性をサポートするために、HSRP ではこれら 3 つの機能が次のように拡張されています。
• ロール選択は、リンクローカル マルチキャストではなく IP ユニキャスト ルーティングに基づいて行われます。
• ハートビートもリンクローカル マルチキャストではなくピア間の IP ユニキャスト メッセージであり、アクティブ GGSN をトリガしてルートをアドバタイズします。
• GGSN IP アドレスのルートおよび加入者ネットワークは、仮想 MAC アドレスをリッスンしてトラフィックをアクティブ GGSN にダイレクトするのではなく、(アクティブ GGSN によって)アドバタイズされます。
(注) HSRP では、仮想 IP アドレスおよび MAC アドレスはパケットを受信するために使用されます。これらのアドレスは、L3 の地理的冗長性にルーティングが使用される場合には不要です。したがって、L3 の地理的冗長性を実装する場合は、HSRP グループの仮想 IP アドレスをゼロに設定します。
制約事項および推奨事項
HSRP を設定する場合は、次の推奨事項および制約事項が適用されます。
• 最低でも、HSRP をイネーブルにして、HSRP プライマリ グループを GGSN インスタンスごとに 1 つのインターフェイス上で定義する必要があります。独自の個別 VLAN を使用する、GGSN 上のその他の各 HSRP インターフェイスは、 クライアント グループとして設定できます。
クライアント グループ機能を使用すると、クライアント グループとして設定されているすべてのインターフェイスでプライマリ グループの HSRP パラメータを共有できます。これにより、多数の GGSN インターフェイスおよび HSRP グループを含む環境で、簡単に HSRP グループを設定およびメンテナンスできるようになります。プライマリ グループおよび関連付けられているクライアント グループは、同じグループ追跡状態を共有して、同じ優先度を持ちます。
通常、HSRP グループは次のインターフェイスで必要となります。1 つのグループをプライマリ グループとして設定し、残りをクライアント グループとして設定します。各インターフェイスはそれぞれ異なる VLAN に設定する必要があります。
– Gn インターフェイス:プライマリ グループ
– Ga インターフェイス:クライアント グループ
– Dynamic Host Configuration Protocol(DHCP)(Gi インターフェイスと共有可能):クライアント グループ
– Gi Access Point Name(APN; アクセス ポイント ネーム)(VPN Routing and Forwarding(VRF; VPN ルーティングおよび転送)ごと):クライアント グループ
– RADIUS:クライアント グループ
– Diameter:クライアント グループ
– クォータ サーバ:クライアント グループ
その他のインターフェイスを HSRP クライアント グループとして設定するには、 standby インターフェイス コンフィギュレーション コマンドを使用し、プライマリ グループと同じグループ番号を使用して follow キーワード オプションを指定します。
• 各クライアント グループに対して、プライマリ グループに使用されているグループ番号と同じグループ番号を使用します。プライマリ グループとクライアント グループに同じグループ番号を使用すると、多数の GGSN インターフェイスおよび HSRP グループを含む環境で、簡単に HSRP グループを設定およびメンテナンスできるようになります。
• 同じ物理 VLAN にマップされる別のアクティブ/スタンバイ GGSN ペアでは、同じ HSRP グループを使用できません。
• HSRP をインターフェイスに設定している場合は、 standby preempt インターフェイス コンフィギュレーション コマンドを使用してプリエンプト遅延を設定できます。ただし、GTP-SR 設定では、必要不可欠な場合を除いてプリエンプト遅延を設定しないことを推奨します。プリエンプト遅延を設定しないことで、不要なスイッチオーバーを防ぐことができます。プリエンプト遅延を設定する必要がある場合は、プリエンプトが有効になる前にバルク同期を完了できるように、十分な遅延を指定するようにします。
• ローカル冗長性を実装するとき、 standby use-bia コマンドを使用せずにブリッジおよびゲートウェイで仮想 MAC アドレスを認識できるようにしている場合は、最適化のために standby mac-refresh コマンドでデフォルトより大きい値を設定します。デフォルトでは、メイン インターフェイス(gig 0/0)で 3 秒ごとに hello メッセージが送信されます。設定すると、すべての HSRP グループ(プライマリおよび follow)で、ノードがアクティブ モードの場合にだけ hello メッセージを送信します。
(注) HSRP 初期設定が設定されたあとにその他の HSRP 設定が追加されると、GGSN がリロードされます。
Cisco IOS HSRP の設定の詳細については、『 Cisco IOS IP Configuration Guide Release 12.3』の「Configuring the Hot Standby Router Protocol」の項を参照してください。
インターフェイスでの L2 HSRP のイネーブルおよびローカル HSRP プライマリ グループの設定
L2 HSRP はデフォルトの HSRP です。L2 HSRP はローカル冗長性(同じ LAN の 2 つの Cisco GGSN 間の冗長性)をサポートしています。
インターフェイスで L2 HSRP をイネーブルにしてプライマリ グループを設定するには、インターフェイス コンフィギュレーション モードで次のコマンドを使用します。
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ステップ 1 |
Router(config)# interface GigabitEthernet0 / number |
1000-Mbps イーサネット インターフェイスを設定し、インターフェイス コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
Router(config-if)# encapsulation dot1Q vlan_id |
仮想 LAN(VLAN)の指定したサブインターフェイス上のトラフィックの IEEE 802.1Q カプセル化をイネーブルにします。 |
ステップ 3 |
Router(config-if)# ip address ip address ip-address mask |
インターフェイスのプライマリ IP アドレスを設定します。 |
ステップ 4 |
Router(config-if)# standby version 2 |
HSRP バージョン 2 をイネーブルにします。 |
ステップ 5 |
Router(config-if)# standby [ group-number ] ip [ ip-address [ secondary ]] |
インターフェイスで HSRP をイネーブルにします。 |
ステップ 6 |
Router(config-if)# standby [ group-number ] priority priority |
(任意)アクティブ ルータの選択に使用するホットスタンバイ プライオリティを設定します。 優先度の値の範囲は、1 ~ 255 です。値 1 は優先度が最も低く、値 255 は優先度が最も高いことを示します。たとえば、ローカル ルータの優先度が現在のアクティブ ルータの優先度を上回っている場合、ローカル ルータはアクティブ ルータとして確立しようと試みます。 |
ステップ 7 |
Router(config-if)# standby [ group-number ] name name |
スタンバイ グループの名前を指定します。 |
ステップ 8 |
Router(config-if)# standby use-bia [ scope interface ] |
(任意)事前に割り当てられている MAC アドレスを使用する代わりに、インターフェイスの Burned-In Address(BIA; バーンドイン アドレス)を仮想 MAC アドレスとして使用するように設定します。 |
次に、L2 HSRP の設定例を示します。
interface GigabitEthernet0/0.7
ip address 172.2.2.1 255.255.0.0
インターフェイスでの L3 HSRP のイネーブルおよび地理的 HSRP プライマリ グループの設定
L3 HSRP では、地理的冗長性がサポートされています。地理的冗長性は、地理的に離れた場所に配置され、WAN で接続されている 2 つの Cisco GGSN 間の冗長性です。
地理的冗長性の実装では、ルーティング アップデートを送信する必要があるのはアクティブ デバイスだけです。したがって、L3 HSRP グループを設定する場合、GGSN がスタンバイ GGSN のときにはルーティング アップデートを送信しないようにインターフェイスを設定する必要もあります。パッシブ ルート抑制をイネーブルにする方法の詳細については、「インターフェイスでのパッシブ ルート抑制の設定」を参照してください。
インターフェイスで L3 HSRP をイネーブルにしてプライマリ グループを設定するには、インターフェイス コンフィギュレーション モードで次のコマンドを使用します。
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ステップ 1 |
Router(config)# interface GigabitEthernet0 / number |
1000-Mbps イーサネット インターフェイスを設定し、インターフェイス コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
Router(config-if)# encapsulation dot1Q vlan_id |
仮想 LAN(VLAN)の指定したサブインターフェイス上のトラフィックの IEEE 802.1Q カプセル化をイネーブルにします。 |
ステップ 3 |
Router(config-if)# ip address ip address ip-address mask |
インターフェイスのプライマリ IP アドレスを設定します。 |
ステップ 4 |
Router(config-if)# standby version 2 |
HSRP のバージョンを HSRP バージョン 2 に変更します。 |
ステップ 5 |
Router(config-if)# standby [ group-number ] ip none |
インターフェイスで HSRP をイネーブルにして、HSRP メッセージからの Virtual IP(VIP; 仮想 IP)ラーニングをディセーブルにします。VIP ラーニングは L3 HSRP には使用しません。 |
ステップ 6 |
Router(config-if)# standby [ group-number ] priority priority |
(任意)アクティブ ルータの選択に使用するホットスタンバイ プライオリティを設定します。 優先度の値の範囲は、1 ~ 255 です。値 1 は優先度が最も低く、値 255 は優先度が最も高いことを示します。たとえば、ローカル ルータの優先度が現在のアクティブ ルータの優先度を上回っている場合、ローカル ルータはアクティブ ルータとして確立しようと試みます。 |
ステップ 7 |
Router(config-if)# standby [ group-number ] name name |
スタンバイ グループの名前を指定します。 |
ステップ 8 |
Router(config-if)# standby group-number unicast destination destination-ip [ source source-ip ] |
IP ユニキャスト ルーティングを使用するように HSRP グループを設定し、ピア デバイスの宛先アドレスおよび送信元アドレスを設定します。 最大で 4 つの宛先を定義できます。 standby unicast コマンドを設定すると、仮想 IP(VIP)が 0.0.0.0 に、仮想 MAC アドレスがインターフェイスのアドレスに設定されます。 ユニキャスト トランスポートをイネーブルにすると、元々の L2 ベースのマルチキャスト トランスポートが自動的にディセーブルになります。 source ip-address キーワード オプションを指定する場合は、HSRP パケットの送信元 IP アドレスを指定します。指定しない場合、送信元 IP アドレスは対応するインターフェイスの設定から取得されます。 |
次に、L3 HSRP の設定例を示します。
プライマリ GGSN
interface GigabitEthernet0/0.7
ip address 10.0.0.3 255.255.0.0
standby 1 unicast destination 172.0.0.1
スタンバイ GGSN
interface GigabitEthernet0/0.8
ip address 172.0.0.1 255.255.0.0
standby 1 unicast destination 10.0.0.3
HSRP クライアント グループの設定
GGSN インターフェイスで HSRP をイネーブルにしてプライマリ グループを設定したあと、その他の GGSN インターフェイスを HSRP クライアント グループとして設定すると、プライマリ グループの HSRP パラメータを共有するようにこれらのインターフェイスを設定できます。
GGSN インターフェイスをクライアント グループとして設定するには、 standby コマンドを使用し、プライマリ グループと同じグループ番号および名前を使用して follow キーワードを指定します。
これらのインターフェイスはグループ追跡状態を共有し、同じ優先度を持ちます。
(注) 優先度、名前、トラッキング、およびタイマーなどの HSRP グループ パラメータは、プライマリ グループだけで設定します。これらのパラメータはプライマリ グループから継承されるため、クライアント グループでは設定しないでください。
プライマリ グループに従うようにインターフェイスを設定するには、インターフェイス コンフィギュレーション モードで次のコマンドを使用します。
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ステップ 1 |
Router(config-if)# standby group-number ip [ virtual-ip-address | none ] |
グループ番号および次の内容を指定します。 • virtual-ip-address :L2 HSRP の場合、クライアント グループの仮想 IP アドレスを指定します(指定するグループ番号は、プライマリ グループ番号と同じである必要があります)。 • none :L3 HSRP の場合、HSRP メッセージからの仮想 IP(VIP)ラーニングをディセーブルにします。 |
ステップ 2 |
Router(config-if)# standby group-number follow group-name |
クライアント グループが従い、ステータスを共有するプライマリ グループの番号および名前を指定します。 (注) 指定するグループ番号は、プライマリ グループ番号と同じである必要があります。 |
デバイス間冗長性のイネーブル
HSRP プライマリ グループは、2 つの GGSN 間のセッション冗長性をイネーブルにするために Cisco IOS RF と関連付けられます。
デバイス間冗長性をイネーブルにするには、グローバル コンフィギュレーション モードで次のコマンドを使用します。
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ステップ 1 |
Router(config)# redundancy inter-device |
冗長性を設定し、デバイス間コンフィギュレーション モードを開始します。 すべてのデバイス間設定を削除するには、コマンドの no フォームを使用します。 |
ステップ 2 |
Router(config-red-interdevice)# scheme standby standby-group-name |
使用する冗長性スキームを定義します。現在サポートされているスキームは、「standby」だけです。 • standby-group-name : standby name コマンド(「HSRP の設定」を参照)で指定したスタンバイ名と一致している必要があります。また、スタンバイ名は冗長設定の両方の GGSN で同じである必要があります。 |
ステップ 3 |
Router(config-red-interdevice)# exit |
グローバル コンフィギュレーション モードに戻ります。 |
デバイス間通信トランスポートの設定
デバイス間冗長性には、冗長 GGSN 間の通信に使用するトランスポートが必要です。このトランスポートは、Interprocess Communication(IPC; プロセス間通信)コマンドを使用して設定します。
2 つの GGSN 間のデバイス間通信トランスポートを設定するには、グローバル コンフィギュレーション モードで次のコマンドを使用します。
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ステップ 1 |
Router(config)# ipc zone default |
Interdevice Communication Protocol(IPC; デバイス間通信プロトコル)を設定し、IPC ゾーン コンフィギュレーション モードを開始します。 このコマンドを使用して、アクティブ GGSN とスタンバイ GGSN 間の通信リンクを開始します。 |
ステップ 2 |
Router(config-ipczone)# association 1 |
2 つの GGSN 間のアソシエーションを設定し、IPC アソシエーション コンフィギュレーション モードを開始します。 IPC アソシエーション コンフィギュレーション モードで、アソシエーションの詳細を設定します。これらの詳細には、トランスポート プロトコル、ローカル ポートとローカル IP アドレス、およびリモート ポートとリモート IP アドレスが含まれています。 有効なアソシエーション ID の範囲は、1 ~ 255 です。デフォルト値はありません。 |
ステップ 3 |
Router(config-ipczone)# no shutdown |
ディセーブルにされているアソシエーションおよび関連付けられているトランスポート プロトコルを再開します。 (注) トランスポート プロトコルのパラメータを変更するには、アソシエーションをシャットダウンする必要があります。 |
ステップ 4 |
Router(config-ipczone-assoc)# protocol sctp |
SCTP をこのアソシエーションのトランスポート プロトコルとして設定し、SCTP プロトコル コンフィギュレーション モードをイネーブルにします。 |
ステップ 5 |
Router(config-ipc-protocol-sctp)# local-port local_port_num |
ローカル SCTP ポート番号を定義し、IPC トランスポート - SCTP ローカル コンフィギュレーション モードをイネーブルにします。ローカル SCTP ポートは、冗長ピアとの通信に使用されます。 有効なポート番号の範囲は、1 ~ 65535 です。デフォルトはありません。 (注) ローカル ポート番号は、ピア ルータのリモート ポート番号と同じである必要があります。 |
ステップ 6 |
Router(config-ipc-local-sctp)# local ip ip_addr |
冗長ピアとの通信に使用されるローカル IP アドレスを定義します。ローカル IP アドレスは、ピア ルータのリモート IP アドレスと一致している必要があります。 |
ステップ 7 |
Router(config-ipc-local-sctp)# keepalive [ period [ retries ]] |
(任意)キープアライブ パケットをイネーブルにします。任意で、インターフェイスまたは特定のインターフェイスのトンネル プロトコルをダウンする前に、Cisco IOS ソフトウェアが応答なしでキープアライブ パケットの送信を試みる回数を指定します。 period の有効な値は、0 より大きい整数値(秒数)です。デフォルトは 10 です。 retries の有効な値は、1 より大きくかつ 355 より小さい整数値です。デフォルトは以前に使用された値です。以前に指定された値がない場合は 5 です。 |
ステップ 8 |
Router(config-ipc-local-sctp)# retransmit-timeout interval |
(任意)メッセージ再送信時間を設定します。 有効な範囲は、300 ~ 60000 ミリ秒です。デフォルトは、最小が 300、最大が 600 です。 |
ステップ 9 |
Router(config-ipc-local-sctp)# path-retransmit number |
(任意)対応する宛先アドレスに非アクティブのマークが付けられるまでのキープアライブ再試行の最大回数を設定します。 有効な範囲は、2 ~ 10 です。デフォルトは 4 です。 |
ステップ 10 |
Router(config-ipc-local-sctp)# assoc-retransmit number |
(任意)アソシエーションが失敗と宣言されるまでの宛先アドレス全体に対する再送信の最大回数を定義します。 有効な範囲は、2 ~ 20 です。デフォルトは 4 です。 |
ステップ 11 |
Router(config-ipc-local-sctp)# max-inbound-streams max-streams |
(任意)ローカル ポートに許可されるインバウンド ストリームの最大数を設定します。 有効な範囲は、2 ~ 25 です。デフォルトは 17 ストリームです。 |
ステップ 12 |
Router(config-ipc-local-sctp)# init-timeout msec |
(任意)init パケットの再送信タイムアウト値の最大間隔を設定します。 有効な範囲は、1000 ~ 60000 ミリ秒です。デフォルトは 1000 ミリ秒です。 |
ステップ 13 |
Router(config-ipc-local-sctp)# exit |
IPC トランスポート - SCTP ローカル コンフィギュレーション モードを終了します。 |
ステップ 14 |
Router(config-ipc-protocol-sctp)# remote-port port_nun |
リモート SCTP ポート番号を定義し、IPC トランスポート - SCTP リモート コンフィギュレーション モードをイネーブルにします。リモート SCTP ポートは、冗長 GGSN との通信に使用されます。 有効なポート番号の範囲は、1 ~ 65535 です。デフォルトはありません。 (注) リモート ポート番号は、ピア GGSN のローカル ポート番号と同じである必要があります。 |
ステップ 15 |
Router(config-ipc-remote-sctp)# remote-ip ip_addr |
ローカル デバイスとの通信に使用される冗長 GGSN のリモート IP アドレスを定義します。すべてのリモート IP アドレスで同じ GGSN を参照している必要があります。 |
アソシエーションを削除するには、コマンドの no フォームを使用します。
インターフェイスでのパッシブ ルート抑制の設定
地理的冗長性の実装では、アクティブ GGSN だけがルートをアドバタイズします。したがって、GGSN がスタンバイ GGSN になったときにはルートの再配信を停止するようにインターフェイスを設定する必要があります。
インターフェイスにパッシブ ルート抑制を設定するには、ルータ コンフィギュレーション モードで次のコマンドを使用します。
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Router(config-router)# passive-interface [ default ] interface-type interface-number [ on-standby ] |
インターフェイスにルーティング アップデートの抑制を設定します(OSPF 隣接はスーパーバイザのネイバーでは形成されません)。任意で、 on-standby キーワード オプションを指定して、スタンバイ モード時だけインターフェイスでのルーティング アップデートを抑制するように設定します。 |
次の例では、GGSN がスタンバイ GGSN の場合にルーティング アップデートを抑制するように 2 つの GigabitEthernet インターフェイスを設定しています。
redistribute static subnets
passive-interface GigabitEthernet0/0.100 on-standby
network 10.0.0.0 0.0.0.255 area 0
network 1.1.1.10.0.0.0 area 0
router ospf 200 vrf Gi-VRF
redistribute static route-map xxx
passive-interface GigabitEthernet0/0.200 on-standby
network 11.0.0.0 0.0.0.255 area 1
GGSN での GTP-SR のイネーブル
GTP-SR をイネーブルにするには、各冗長 GGSN で、グローバル コンフィギュレーション モードで次のコマンドを使用します。
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Router(config)# gprs redundancy |
GGSN で GTP-SR をイネーブルにします。 |
GTP セッション冗長性のディセーブル
GTP-SR を(GGSN アプリケーション レベルとデバイス間インフラストラクチャ レベルの両方で)ディセーブルにするには、次の作業を記載されている順序で実行します。次の作業を開始するときには、GGSN がスタンバイ モードになっていることを確認してください。
1. GGSN がスタンバイ モードになっていることを確認して、GGSN アプリケーションレベルの冗長性をディセーブルにします。
Router(config)# show gprs redundancy
Router(config)# no gprs redundancy
GGSN はスタンドアローンのアクティブ GGSN になります。
2. デバイス間コンフィギュレーション モードで、設定済みのスタンバイ スキームを削除します。
Router(config)# redundancy inter-device
Router(config-red-interdevice)# no scheme standby HSRP-Gn
3. 設定変更をメモリに保存します。
Router(config)# write memory
4. ルータをリロードします。
GGSN が稼動状態に戻ったあと、GGSN をリロードせずにその他の設定変更を実行および保存できます。
5. 2 つのデバイス間のアソシエーションをディセーブルにし、SCTP の設定を解除することで、SCTP をディセーブルにします。
Router(config)# ip zone default
Router(config-ipczone)# association 1
Router(config-ipczone-assoc)# shutdown
Router(config-ipczone-assoc)# no protocol sctp
6. インターフェイスに関連付けられている HSRP 設定を削除するには、関連する HSRP コマンドの no フォームを使用します。クライアント グループの HSRP グループ設定を最初に削除します。
Router(config)# interface GigabitEthernet0/0.56001
Router(config-if)# no standby 52 ip 172.90.1.52
Router(config-if)# no standby 52 follow HSRP-Gn
Router(config-if)# no standby version 2
Router(config)# interface GigabitEthernet0/0.401
Router(config-if)# no standby 52 ip 192.1268.1.52
Router(config-if)# no standby 52 name HSRP-Gn
Router(config-if)# no standby version 2
7. 設定変更をメモリに保存します。
Router(config)# write memory
課金関連同期パラメータの設定
PDP コンテキストの課金の確立に必要な課金関連のデータは、スタンバイ GGSN と同期化されます。このデータには次の内容が含まれます。
– PDP コンテキストと関連付けられる Charging Identity(CID; 課金 ID)
– ローカル シーケンス番号
– レコード シーケンス番号
– GTP シーケンス番号
– サービスごとのローカル シーケンス番号
(注) 地理的冗長性の場合、アクティブ GGSN とスタンバイ GGSN の両方で同じ IP アドレスを使用して課金元インターフェイスを設定する必要があり、また、アドレスは OSPF ルーティング プロトコル経由で配信される必要があります。
課金 ID(CID)およびローカル レコード シーケンス番号
確立された PDP コンテキストが同期化されると、PDP コンテキストの呼詳細レコード(CDR)に割り当てられている CID もスタンバイ GGSN と同期化されます。スタンバイ GGSN で PDP コンテキストの同期化データを受信したときに、提供された CID 値がグローバル CID カウンタの現在値よりも大きかった場合、スタンバイ GGSN はグローバル CID カウンタにその値を書き込みます。スイッチオーバーが発生した場合、新しいアクティブ GGSN は、書き込み済みの最新の CID 値と、新しいアクティブ GGSN で作成される新しい PDP コンテキストすべてのウィンドウ/オフセットから開始されます。
アクティブ GGSN の CID タイマーがタイムアウトになり、アクティブ GGSN がグローバル CID カウンタ値をメモリに書き込むと、CID 値およびローカル レコード シーケンス(設定している場合)は、スタンバイ GGSN と同期化され、スタンバイ GGSN が情報をメモリに書き込みます。ローカル シーケンス番号も設定されている場合、ローカル シーケンス番号に関連付けられている書き込みタイマーがタイムアウトになると、CID とローカル シーケンス番号の両方がスタンバイ GGSN と同期化されます。スタンバイ GGSN がアクティブになると、ローカル レコード シーケンス番号、メモリに書き込まれている最新の CID 値、新しいアクティブ GGSN で作成される後続の PDP コンテキストのウィンドウ/オフセットが使用されます。
レコード シーケンス番号
課金ゲートウェイはレコード シーケンス番号を使用して、PDP コンテキストに関連付けられている重複 CDR を検出します。
スタンバイ GGSN と同期化されるデータ量を最小化するために、レコード シーケンス番号は CDR が閉じるたびに同期化されるわけではありません。代わりに、レコード シーケンス番号のウィンドウしきい値が、CDR が閉じるたびに同期化されます。
レコード シーケンス番号の現在値および最後に同期化された PDP コンテキストのレコード番号がチェックされます。これらの値の差がウィンドウ サイズに設定されている値の場合、現在のレコード シーケンス番号がスタンバイ GGSN と同期化されます。スタンバイ GGSN がアクティブ GGSN になると、同期化された最後の値とウィンドウ サイズから開始されます。
CDR レコード シーケンス番号がスタンバイ GGSN といつ同期化されるかを決定するウィンドウ サイズを設定するには、グローバル コンフィギュレーション モードで次のコマンドを使用します。
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Router# gprs redundancy charging sync-window cdr rec-seqnum size |
CDR レコード シーケンス番号がいつ同期化されるかを決定するために使用されるウィンドウ サイズを設定します。有効な範囲は、1 ~ 20 です。デフォルトは 10 です。 |
GTP シーケンス番号
課金ゲートウェイは、GTP シーケンス番号を使用して、パケットの重複を防ぎます。GGSN は、PDP コンテキストに関連付けられている符号化 CDR を GTP パケットに含めて課金ゲートウェイに送信します。課金ゲートウェイは GTP パケットを確認応答すると、メモリからパケットを削除します。確認応答されなかった場合、パケットは再送信されます。シーケンス番号が繰り返していた場合、課金ゲートウェイは GTP パケットを確認応答できません。
スタンバイ GGSN と同期化されるデータ量を最小化するために、GTP シーケンス番号は CDR が閉じるたびに同期化されるわけではありません。代わりに、GTP シーケンス番号のウィンドウしきい値が、CDR メッセージが送信されるたびに同期化されます。GTP シーケンス番号の現在値および最後に同期化された PDP コンテキストの GTP シーケンス番号がチェックされます。これらの値の差がウィンドウ サイズに設定されている値の場合、GTP プライム シーケンス番号がスタンバイ GGSN と同期化されます。スタンバイ GGSN がアクティブ GGSN になると、同期化された最後の値とウィンドウ サイズから開始されます。
GTP シーケンス番号がスタンバイ GGSN といつ同期化されるかを決定するウィンドウ サイズを設定するには、グローバル コンフィギュレーション モードで次のコマンドを使用します。
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Router# gprs redundancy charging sync-window gtpp seqnum size |
GTP シーケンス番号がいつ同期化されるかを決定するウィンドウ サイズを設定します。有効な範囲は、5 ~ 65535 です。デフォルトは 10000 です。 (注) GGSN は、確認応答なしで 128 GTP パケットを送信できます。したがって、ウィンドウ サイズが 128 より大きくなるように設定することを推奨します。 |
サービスごとのローカル シーケンス番号
課金ゲートウェイはサービスごとのローカル シーケンス番号を使用して、PDP コンテキストに関連付けられている重複サービス コンテナを検出します。
スタンバイ GGSN と同期化されるデータ量を最小化するために、サービスごとのローカル シーケンス番号は拡張 GGSN CDR(eG-CDR)が閉じるたびに同期化されるわけではありません。代わりに、ローカル シーケンス番号の現在値および最後に同期化された PDP コンテキストのローカル シーケンス番号がチェックされ、その差が設定されているウィンドウ サイズよりも大きい場合、現在のローカル シーケンス番号がスタンバイ GGSN と同期化されます。スタンバイ GGSN がアクティブ GGSN になると、同期化された最後の値とウィンドウ サイズから開始されます。
サービスごとのローカル シーケンス番号がスタンバイ GGSN といつ同期化されるかを決定するウィンドウ サイズを設定するには、グローバル コンフィギュレーション モードで次のコマンドを使用します。
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Router# gprs redundancy charging sync-window svc-seqnum size |
サービスごとのローカル シーケンス番号がスタンバイ GGSN といつ同期化されるかを決定するウィンドウ サイズを設定します。有効な値は、1 ~ 200 の数値です。デフォルトは 50 です。 |
GTP-SR のモニタリングおよびメンテナンス
次の特権 EXEC show コマンドを使用して、GTP-SR 設定のさまざまな要素をモニタリングできます。
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Router# show gprs redundancy |
GTP-SR に関連する統計情報を表示します。 |
Router# show redundancy [clients | counters | events | history | states | switchovers] |
現在または過去のステータスや、計画または記録されているハンドオーバーの関連情報を表示します。 |
Router# show standby |
HSRP 情報を表示します。 |
GTP-SR 環境での GGSN イメージのアップグレード
Cisco SAMI で新しい Cisco GGSN イメージにアップグレードするには、次の作業を実行します。
1. Link Control Protocol(LCP; リンク制御プロトコル)(PPC0)コンソールで show version コマンドを使用して、SAMI 上のすべてのアプリケーション エンティティ(GGSN イメージ)を識別します。
2. Cisco IOS SLB の no inservice コマンドを使用して、スーパーバイザの GTP Server Load Balancing(SLB; サーバ ロード バランシング)リストから Cisco SAMI プロセッサ上のすべての GGSN を削除します。これにより、GGSN は新しい PDP コンテキスト作成要求を受信しなくなりますが、既存の PDP コンテキストのサービスは続行できます。
3. すべての PDP コンテキストがクリアされるまで待つか、または clear gprs gtp pdp-context コマンドを使用して手動で PDP コンテキストをクリアします。
4. 新しいイメージを SAMI にロードし、『 Cisco Service and Application Module for IP User Guide 』の説明に従って SAMI をリセットします。
5. イメージのリロードが完了したあと、スーパーバイザで Cisco IOS SLB の inservice コマンドを使用して GGSN を GTP SLB リストに戻します。
Cisco SAMI でアプリケーション イメージをアップグレードする方法の詳細は、『 Cisco Service and Application Module for IP User Guide 』を参照してください。
設定例
ここでは、次の設定例を示します。
• 「ローカル GTP-SR の例」
• 「地理的 GTP-SR の例」
(注) ここに示す設定例は、あくまでも設定のサンプルです。実際の設定は、ネットワーク設計によって異なります。
プライマリ スーパーバイザの設定例
次の例は、プライマリ スーパーバイザの設定例の一部を示しています。GTP-SR の設定に使用するいくつかのコマンドは、太字で強調表示されています。
sup-primary# show running-config
Building configuration...
Current configuration : 7144 bytes
! Last configuration change at 12:28:26 UTC Tue Oct 21 2003
! NVRAM config last updated at 13:32:08 UTC Thu Oct 16 2003
service timestamps debug uptime
service timestamps log uptime
no service password-encryption
svclc multiple-vlan-interfaces
svclc module 7 vlan-group 71,73
svclc vlan-group 71 71 svclc vlan-group 73 95,100,101
interface GigabitEthernet2/1
description "VLAN for Inter-dev SCTP"
switchport access vlan 498
interface FastEthernet3/25
description "VLAN for Gn"
switchport access vlan 410
interface FastEthernet3/26
description "VLAN for Gi"
switchport access vlan 420
description "Virtual LAN for Gn interface for all GGSNs on an SAMI"
ip address 10.20.21.1 255.255.255.0
description "One Gi Vlan all GGSN images of mwmam"
ip address 10.20.51.1 255.255.255.0
description "VLAN for Inter-dev_SCTP"
ip address 10.70.71.1 255.255.255.0
summary-address 10.20.30.0 255.255.255.0
redistribute static subnets route-map GGSN-routes
network 10.20.1.0 0.0.0.255 area 1
ip route 0.0.0.0 0.0.0.0 128.107.234.100
ip route 1.8.0.0 255.255.0.0 1.8.0.1
ip route 1.12.0.0 255.255.0.0 1.12.0.1
ip route 10.2.5.0 255.255.255.0 10.2.15.1
ip route 10.20.30.11 255.255.255.255 10.20.21.81
ip route 10.20.30.12 255.255.255.255 10.20.21.82
ip route 10.20.30.13 255.255.255.255 10.20.21.83
ip route 10.20.30.14 255.255.255.255 10.20.21.84
ip route 10.20.30.15 255.255.255.255 10.20.21.85
ip route 110.1.0.0 255.255.0.0 10.20.51.91
ip route 120.1.0.0 255.255.0.0 10.20.51.92
ip route 128.107.241.185 255.255.255.255 128.107.234.161
ip route 130.1.0.0 255.255.0.0 10.20.51.93
ip route 140.1.0.0 255.255.0.0 10.20.51.94
ip route 150.1.0.0 255.255.0.0 10.20.51.95
ip route 172.19.23.55 255.255.255.255 172.19.24.1
ip route 223.0.0.0 255.0.0.0 1.8.0.1
ip route 223.0.0.0 255.0.0.0 1.12.0.1
access-list 1 permit 10.20.30.0 0.0.0.255
access-list 101 permit ip 128.107.234.160 0.0.0.31 any
access-list 102 permit ip any 128.107.234.160 0.0.0.31
arp 127.0.0.22 0000.2200.0000 ARPA
route-map GGSN-routes permit 10
transport input lat pad mop telnet rlogin udptn nasi
プライマリ GGSN の設定例
Active_GGSN# show running-config
Building configuration...
Current configuration : 2942 bytes
service timestamps debug datetime msec
service timestamps log datetime msec
no service password-encryption
retransmit-timeout 300 10000
description VT address of processor3:GGSN"
ip address 10.20.30.12 255.255.255.255
description "Loopback of GTP-SLB for dispatch mode"
ip address 10.20.30.91 255.255.255.255
interface GigabitEthernet0/0
interface GigabitEthernet0/0.3
description "VLAN for Gn interface of UMTS"
ip address 10.20.21.52 255.255.255.0
interface GigabitEthernet0/0.31
description "VLAN for Gi interface of UMTS"
ip vrf forwarding internet
ip address 10.30.21.52 255.255.255.0
interface GigabitEthernet0/0.71
description "VLAN for inter-dev_SCTP"
ip address 10.70.71.5 255.255.255.0
interface Virtual-Template1
gprs access-point-list gprs
ip local pool APN1 110.1.0.1 110.1.10.255
gprs access-point-list gprs
ip-address-pool local APN1
gprs gtp path-echo-interval 0
セカンダリ GGSN の設定例
Standby_GGSN# show running config
Building configuration...
Current configuration : 2823 bytes
service timestamps debug datetime msec
service timestamps log datetime msec
no service password-encryption
retransmit-timeout 300 10000
description VT address of processor3:GGSN"
ip address 10.20.30.12 255.255.255.255
description "Loopback of GTP-SLB for dispatch mode"
ip address 10.20.30.91 255.255.255.255
interface GigabitEthernet0/0
interface GigabitEthernet0/0.3
description "VLAN for Gn interface of UMTS"
ip address 10.20.21.62 255.255.255.0
interface GigabitEthernet0/0.31
description "VLAN for Gi interface of UMTS"
ip vrf forwarding internet
ip address 10.30.21.62 255.255.255.0
interface GigabitEthernet0/0.71
description "VLAN for inter-dev_SCTP"
ip address 10.70.71.9 255.255.255.0
interface Virtual-Template1
gprs access-point-list gprs
ip local pool APN1 110.1.0.1 110.1.10.255
gprs access-point-list gprs
ip-address-pool local APN1
GGSN インターフェイスの設定例
プライマリ GGSN インターフェイスの設定例
description GGSN Loopback i/f
ip address 1.1.1.1 255.255.255.255
interface GigabitEthernet0/0.100
ip address 10.0.0.1 255.255.255.0
standby 1 unicast destination 20.0.0.2
interface GigabitEthernet0/0.200
ip address 11.0.0.1 255.255.255.0
interface Virtual-Template1
gprs access-point-list APLIST
セカンダリ GGSN インターフェイスの設定例
description GGSN Loopback i/f
ip address 2.2.2.2 255.255.255.255
interface GigabitEthernet0/0.300
ip address 20.0.0.2 255.255.255.0
standby 1 unicast destination 10.0.0.1
interface GigabitEthernet0/0.400
ip address 21.0.0.2 255.255.255.0
interface Virtual-Template1
gprs access-point-list APLIST
スーパーバイザ ルーティングの設定例
プライマリ スーパーバイザの設定例
ip address 11.0.0.10 255.255.255.0
router ospf 200 vrf Gi-VRF
network 11.0.0.0 0.0.0.255 area 1
セカンダリ スーパーバイザ ルーティングの設定例
ip address 21.0.0.20 255.255.255.0
router ospf 400 vrf Gi-VRF
network 21.0.0.0 0.0.0.255 area 3
GGSN ルーティングの設定例
プライマリ GGSN ルーティングの設定例
redistribute static subnets
passive-interface GigabitEthernet0/0.10 on-standby
network 10.0.0.0 0.0.0.255 area 0
network 1.1.1.1 0.0.0.0 area 0
router ospf 20 vrf Gi-VRF
redistribute static route-map xxx
passive-interface GigabitEthernet0/0.20 on-standby
network 11.0.0.0 0.0.0.255 area 1
セカンダリ GGSN ルーティングの設定例
redistribute static subnets
passive-interface GigabitEthernet0/0.30 on-standby
network 20.0.0.0 0.0.0.255 area 2
network 2.2.2.2 0.0.0.0 area 2
router ospf 40 vrf Gi-VRF
redistribute static route-map xxx
passive-interface GigabitEthernet0/0.40 on-standby
network 21.0.0.0 0.0.0.255 area 3