基本的なシステム管理の実行について
システム名
システム名(ホスト名とも呼ばれます)は、ネットワーク内のシステムを一意に識別するために使用します。システム名は CLI プロンプトに表示されます。名前を設定していない場合は、システムのデフォルト名である Router になります。
コマンド エイリアス
コマンド エイリアスを使用して、コマンドの代替構文を設定できます。よく使用するコマンドや複雑なコマンドのエイリアスを作成することもできます。たとえば、エイリアス save config を copy running-config startup-config コマンドに割り当てると、タイプ量を減らすことができます。また、ユーザーにとって save config コマンドの方が覚えやすいはずです。自分またはユーザ コミュニティのためにコマンド構文を調整する場合は、単語の置換または省略形を使用します。
設定するすべてのエイリアスはシステム上だけでイネーブルになること、および元のコマンド構文は設定ファイル内に表示されることに注意してください。
マイナー サービス
マイナー サービスは、ルーティング デバイス上で稼働する小規模なサービスであり、基本的なシステム テストおよび基本的なネットワーク機能の提供において役立ちます。マイナー サービスは、ネットワーク上の別のホストから接続テストを行う場合に便利です。
シスコのスモール サーバは、概念的にはデーモンと同じです。
Cisco IOS ソフトウェアベースのデバイスによって提供されるスモール サーバには、TCP、UDP、HTTP、ブートストラップ プロトコル(BOOTP)、Finger などがあります。HTTP サーバについては、『Cisco IOS Configuration Fundamentals Configuration Guide』の「Using the Cisco Web Browser User Interface」の章を参照してください。
TCP スモール サーバは、次のマイナー サービスを提供します。
-
chargen:ASCII データのストリームを生成します。このサービスをテストするには、リモートホストから telnet a.b.c.d chargen コマンドを発行します。
-
daytime:ネットワーク タイム プロトコル(NTP)が設定されている場合、または日付と時刻が手動で設定されている場合に、システムの日付と時刻を返します。このサービスをテストするには、リモートホストから telnet a.b.c.d daytime コマンドを発行します。
-
discard:入力内容をすべて破棄します。このサービスをテストするには、リモートホストから telnet a.b.c.d discard コマンドを発行します。
-
echo:すべての入力内容をエコー バックします。このサービスをテストするには、リモートホストから telnet a.b.c.d echo コマンドを発行します。
UDP スモール サーバは、次のマイナー サービスを提供します。
-
chargen:送信されたデータグラムを廃棄し、CR+LF(復帰と改行)で終端された 72 文字の ASCII 文字列で応答します。
-
discard:送信されたデータグラムを破棄します。
-
echo:送信されたデータグラムのペイロードをエコーします。
マイナー サービスはデフォルトで無効になっています。
Caution |
マイナー サービスをイネーブルにすると、特定のタイプのサービス拒絶(DoS)攻撃(UDP 診断ポート攻撃など)が発生する可能性が生まれます。したがって、UDP、TCP、BOOTP または Finger サービスを提供するすべてのネットワーク デバイスをファイアウォールで保護するか、これらのマイナー サービスをディセーブルにしておく必要があります。UDP 診断ポート攻撃の防止については、Cisco.com で入手できる「Defining Strategies to Protect Against UDP Diagnostic Port Denial of Service Attacks」というタイトルのホワイトペーパーを参照してください。 |
BOOTP サーバ
ルーティング デバイスの非同期回線ブートストラップ プロトコル(BOOTP)サービスをイネーブルまたはディセーブルにできます。このスモール サーバは、デフォルトでイネーブルになっています。セキュリティ上の考慮事項により、このサービスを使用しない場合はディセーブルにしておく必要があります。
DHCP は BOOTP に基づいているため、これらのサービスは、(インターネット標準および RFC に準拠して)ウェルノウン UDP サーバ ポート 67 を共有します。Cisco IOS ソフトウェアにおける DHCP コンフィギュレーションの詳細については、『Cisco IOS IP Addressing Configuration Guide』を参照してください。BOOTP の詳細については、RFC 951 を参照してください。BOOTP と DHCP の相互運用性は、RFC 1534 で規定されています。DHCP は、RFC 2131 で規定されています。
Finger プロトコル
Finger プロトコルを使用すると、ネットワーク全体のユーザは、現在特定のルーティング デバイスを使用しているユーザのリストを取得できます。表示される情報には、システムで稼働しているプロセス、回線番号、接続名、アイドル時間、終端位置などがあります。この情報は、Cisco IOS ソフトウェアの show users EXEC コマンドを通じて提供されます。
Telnet アドレスの非表示化
Telnet セッションの確立を試行する間、アドレスを非表示にできます。非表示機能によって、アドレスの表示が抑制され、接続の試行時に通常表示されるその他のすべてのメッセージ(接続に失敗した場合の詳細なエラー メッセージなど)は引き続き表示されます。
EXEC 起動遅延
ノイズの多い回線での EXEC プロセスの起動を、回線がアイドルになるまで 3 秒間遅らせるには、グローバル コンフィギュレーション モードで service exec-wait コマンドを使用します。
このコマンドはモデム回線のノイズが多い場合や、回線に接続されたモデムで Microcom Networking Protocol(MNP)または V.42 ネゴシエーションを無視するように設定されている場合や、MNP または V.42 モデムがダイヤル イン方式で使用されている場合に便利です。これらのケースでは、ノイズや MNP/V.42 パケットが誤ってユーザ名やパスワードとして認識され、ユーザがユーザ名とパスワードを入力する前に認証に失敗する可能性があります。このコマンドは、非モデム回線や、ログインが設定されていない回線には役立ちません。
アイドル Telnet 接続
通常、現在は使用中でない Telnet 接続に送信されたデータは、受け入れ後に廃棄されます。service telnet-zero-idle コマンドがイネーブルになっていてセッションが中断状態になると(つまり、他の接続がアクティブになると)、TCP ウィンドウが 0 に設定されます。この処理により、リモート ホストは、接続が再開されるまでデータを送信できません。このコマンドは、ホストから送信されたすべてのメッセージをユーザに表示する必要があり、ユーザが複数のセッションを使用する可能性がある場合に使用します。ホストが最終的にタイムアウトし、ウィンドウの値が 0 の TCP ユーザがログアウトする場合は、このコマンドを使用しないでください。
負荷データの間隔
一連のデータを負荷統計情報の計算に使用する期間を変更できます。ダイヤル バックアップなどの決定は、この統計情報に基づいて行われます。負荷間隔の値を減らすと、平均統計情報の計算期間が短くなり、トラフィックのバーストに対する応答性が高まります。
TCP トランザクションの数
標準の TCP 実装を使用してマシン間のキーストロークを送信する場合、TCP は入力されたキーストロークごとに 1 パケットを送信する傾向があります。これにより、帯域幅を使い果たし、大規模ネットワークにおける輻輳の一因となる可能性があります。
John Nagle のアルゴリズム(RFC 896)は、TCP の小さなパケットの問題を軽減するうえで役立ちます。接続の確立後に入力された最初の文字は単一のパケットで送信されますが、TCP では、受信者が直前のパケットを確認するまで、その後入力されたすべての文字が保持されます。次に、より大きな 2 番めのパケットが送信され、確認応答が返信されるまで、その後入力されたすべての文字が保存されます。その効果は、文字をより大きなチャンクに蓄積し、任意の接続のラウンドトリップ時間と一致する速度にネットワークへの伝送速度を調整することです。この方法は、通常すべての TCP ベース トラフィックに推奨されます。
デフォルトでは、Nagle アルゴリズムはイネーブルになっていません。
スイッチングおよびスケジューリング プラオリティ
ネットワーク サーバの正常な動作では、スイッチング動作に必要なだけ中央処理装置を使用することが許容されます。プロセッサがルーティング プロトコルを処理する時間を許容しない、異常に重い負荷がネットワーク上で実行されている場合には、状況に応じて、システム プロセス スケジューラにプライオリティを与える必要があります。
システム バッファ サイズ
バッファ プールの初期設定および一時バッファを作成および破棄する際の制限値を調整できます。
通常のシステム運用においては、パブリック バッファ プールとインターフェイス バッファ プールの 2 つがあります。これらは、次のように動作します。
-
パブリック プール内のバッファは、要求に基づいて拡大および収縮します。一部のパブリック プールは一時的なものであり、必要に応じて作成および破棄されます。その他のパブリック プールは永続的に割り当てられているため、破棄できません。パブリック バッファ プールには、small、middle、big、very big、large、および huge のラベルが付けられています。
-
インターフェイス プールは静的です。つまり、すべて永続的です。インターフェイスごとに 1 つのインターフェイス プールが存在します。たとえば、Cisco 4000 1E 4T 構成には、1 つのイーサネット バッファ プールと 4 つのシリアル バッファ プールがあります。
サーバには、キューイング エレメントのプールが 1 つと、異なるサイズのパケット バッファのパブリック プールが 6 つあります。サーバは、プールごとに、未処理のバッファの数、フリー リスト上のバッファの数、およびフリー リストに許容される最大バッファ数を記録しています。