シスコ ネットワーキング デバイスの基本設定の概要

Cisco IOS ソフトウェアでは、Cisco IOS ベースのネットワーキング デバイスの設定を単純化するために、自動インストールとセットアップ モードの 2 つの機能が提供されています。自動インストールを使用すると、デバイス コンフィギュレーション ファイルを離れた場所から自動的にロードし、それを使用して複数のデバイスを同時に設定できます。セットアップは、システムの基本(スタートアップとも呼びます)設定をガイドする対話型の Cisco IOS ソフトウェア コマンドライン インターフェイス(CLI)モードですが、一度に設定できるのは 1 台のデバイスに制限されます。自動インストールは、設定するデバイスに対する自動的なプロセスですが、セットアップは設定するデバイスに対する手動のプロセスです。

このモジュールは各機能について紹介し、機能を詳細に説明するモジュールを示し、その使用方法について説明します。

初期設定という用語とスタートアップ コンフィギュレーションという用語は、同じ意味で使用されます。

シスコ ネットワーキング デバイスの基本設定における前提条件

Cisco IOS 自動インストールの前提条件

  • 「自動インストールを使用したシスコのネットワーキング デバイスのリモートでの設定」モジュールは、Cisco IOS Release 12.4(1) 以降が動作するネットワーキング デバイス向けに書かれています。しかし、このマニュアルのほとんどの情報は、自動インストールをサポートしている、Cisco IOS release 12.4(1) 以降が動作していないネットワーキング デバイスに対して使用できます。念頭に置くべき主な違いは次の 2 つです。
    • 一部のシスコ ネットワーキング デバイスは、DHCP の代わりに BOOTP を使用して、LAN インターフェイス上で IP アドレスを要求します。DHCP サーバーで BOOTP のサポートを有効にすることで、この問題が解決されます。
    • 一部のシスコ ネットワーキング デバイスでは、DHCP クライアント ID の形式が、Cisco IOS release 12.4(1) 以降が動作するネットワーキング デバイスのものと異なります。このマニュアルでは、Cisco IOS release 12.4(1) 以降が動作するネットワーキング デバイスで使用されている DHCP クライアント ID 形式についてだけ説明します。現在のシスコ ネットワーキング デバイスが使用している DHCP クライアント ID の形式を特定するには、「自動インストールを使用したシスコのネットワーキング デバイスのリモートでの設定」モジュールの「自動的な DHCP クライアント ID の特定」のセクションを参照してください
  • 自動インストールを使用して設定するネットワーキング デバイス上の NVRAM にコンフィギュレーション ファイルが存在しないこと。

  • 自動インストールを使用してネットワーキング デバイス上にロードするコンフィギュレーション ファイルが、ネットワークに接続されている TFTP サーバー上にあること。ほとんどの場合、ファイルは複数あります。たとえば、IP からホスト名へのマッピングが格納されたネットワーク ファイルと、デバイス固有のコンフィギュレーション ファイルです。

  • 自動インストールを使用して設定するネットワーキング デバイスをネットワークに接続して電源を投入するために、リモート サイトに誰かがいること。

  • 自動インストール プロセス中にネットワーキング デバイスが TFTP サーバーからコンフィギュレーション ファイルをロードできるように、ネットワークで IP 接続が可能であること。

  • LAN 接続経由で自動インストールを使用してネットワーキング デバイスに IP アドレスを付与するため、ネットワーク上で DHCP サーバーが利用できること。

Cisco IOS セットアップ モードの前提条件

  • 設定するデバイスのコンソール ポートに端末が接続されていること。

  • 設定するインターフェイスがわかっていること。

  • 有効にするルーティング プロトコルがわかっていること。

ルーティング プロトコルの詳細については、『Cisco IOS IP Routing Protocols Configuration Guide』を参照してください。

  • 設定するデバイスがブリッジングを実行するかどうかがわかっていること。

  • 設定するデバイスにプロトコル変換がインストールされているかどうかがわかっていること。

  • 設定するプロトコルのネットワーク アドレスがわかっていること。

ネットワーク アドレスについては、『Cisco IOS IP Addressing Services Configuration Guide』を参照してください。

  • ネットワーク環境のパスワード方針が決まっていること。

パスワードとデバイス セキュリティの詳細については、『Cisco IOS Security Configuration Guide』の「Configuring Security with Passwords, Privilege Levels, and Login User names for CLI Sessions on Networking Devices」を参照してください。

  • 設定する製品のマニュアルが手元にあるか、アクセスできること。

シスコ ネットワーキング デバイスの基本設定における制約事項

Cisco IOS 自動インストールの制約事項

  • (シリアル インターフェイスだけ)HDLC またはフレーム リレーを使用したシリアル インターフェイスでは、新しいデバイスの最初のシリアル ポート(シリアル インターフェイス 0 またはシリアル インターフェイス x/0)上だけで自動インストールを実行できます。

  • (LAN インターフェイスだけ)物理的なジャンパを使用してリング速度を設定した LAN トークン リング インターフェイスだけで自動インストールがサポートされます。

Cisco IOS セットアップ モードの制約事項

  • セットアップ モードはハードウェア依存です。設定する製品のマニュアルに記載されている手順に従う必要があります。

  • 一部のコンフィギュレーション パラメータは、ネットワーキング デバイスにプロトコル変換オプションがインストールされている場合にだけ適用されます。デバイスにプロトコル変換オプションがインストールされていない場合、これらのパラメータに対するプロンプトは表示されません。

シスコ ネットワーキング デバイスの基本設定に関する情報

基本設定を使用してネットワーキング デバイスを設定する前に、次の概念について理解し、要件に基づいて、自動インストールとセットアップ モードのどちらが最適な方法なのかを判断する必要があります。

Cisco IOS 自動インストールと Cisco IOS セットアップ モードの比較

Cisco IOS 自動インストールを使用すると、デバイス コンフィギュレーション ファイルを離れた場所から自動的にロードし、それを使用して複数のデバイスを同時に設定できます。セットアップは、システムの基本(スタートアップとも呼びます)設定をガイドする対話型の Cisco IOS ソフトウェア CLI モードですが、一度に設定できるのは 1 台のデバイスに制限されます。自動インストールは自動プロセスで、セットアップは手動プロセスです。

Cisco IOS 自動インストール

自動インストールは、中央のロケーションからリモート ネットワーキング デバイスの設定を可能にする Cisco IOS ソフトウェア機能です。コンフィギュレーション ファイルは、セットアップのために自動インストールを使用しているデバイスからアクセスできる TFTP サーバーに保存する必要があります。

自動インストールは、LAN、ハイレベル データリンク コントロール(HDLC)カプセル化を使用したシリアル インターフェイス、WAN 用のフレーム リレー カプセル化を使用したシリアル インターフェイス、および WIC-1-DSU-T1v2 カード(他の T1E1 カードでは自動インストールはサポートされていません)に対し、イーサネット、トークンリング、FDDI インターフェイス上でサポートされています。

自動インストールは、リモート サイトでの設置の中央での管理を容易にするように設計されています。自動インストール プロセスは、Cisco IOS ソフトウェアベースのデバイスの電源をオンにし、NVRAM に有効なコンフィギュレーション ファイルがない場合に開始されます。ネットワーキング デバイスに Cisco ルータと Security Device Manager(SDM)または Cisco Network Assistant がすでにインストールされている場合には、自動インストールは開始されません。この場合、自動インストールを有効にするには、SDM を無効にする必要があります。

『Using AutoInstall to Remotely Configure Cisco Networking Devices』モジュールでは、AutoInstall の動作、SDM を無効にする方法、AutoInstall を使用するようにデバイスを設定する方法が説明されています。

Cisco IOS セットアップ モード

Cisco IOS セットアップ モードを使用すると、Cisco IOS CLI またはシステム設定ダイアログを使用して初期設定ファイルを作成できます。初期設定手順がダイアログに表示されるため、シスコの製品や CLI に慣れておらず、CLI によって提供される詳細なレベルでの設定変更が不要な場合に便利です。

セットアップは、デバイスの NVRAM にコンフィギュレーション ファイルがなく、Cisco SDM を使用するように工場で事前設定されていない場合に開始されます。セットアップが完了すると、システム設定ダイアログが表示されます。ダイアログに従ってデバイスとネットワークに関する基本的な情報を入力することで初期設定が行われ、初期設定ファイルが作成されます。ファイルが作成された後、CLI を使用して追加の設定を行うことができます。

『Using Setup Mode to Configure a Cisco Networking Device』では、セットアップを使用して基本設定を作成する方法と、設定を変更する方法について説明しています。

次の作業

「自動インストールを使用したシスコのネットワーキング デバイスのリモートでの設定」モジュールまたは「セットアップ モードを使用したシスコ ネットワーキング デバイスの設定」モジュールに進んでください。

その他の参考資料

このセクションでは、シスコ ネットワーキング デバイスの基本設定に関する参考資料について説明します。

関連資料

関連項目

マニュアル タイトル

Cisco IOS コマンド

『Cisco IOS Master Commands List, All Releases』

設定の基本的なコマンド

『Cisco IOS Configuration Fundamentals Command Reference』

Cisco IOS ソフトウェアの自動インストール機能を使用した初めてのネットワーキング デバイスの設定

Cisco IOS Configuration Fundamentals Configuration Guide』の「Using AutoInstall to Remotely Configure Cisco Networking Devices」モジュール

Cisco IOS セットアップ モードを使用したネットワーキング デバイスの設定

Cisco IOS Configuration Fundamentals Configuration Guide』の「Using Setup Mode to Configure a Cisco Networking Device」モジュール

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シスコ ネットワーキング デバイスの基本設定概要の機能情報

次の表に、このモジュールで説明した機能に関するリリース情報を示します。この表は、ソフトウェア リリース トレインで各機能のサポートが導入されたときのソフトウェア リリースだけを示しています。その機能は、特に断りがない限り、それ以降の一連のソフトウェア リリースでもサポートされます。

プラットフォームのサポートおよびシスコ ソフトウェアイメージのサポートに関する情報を検索するには、Cisco Feature Navigator を使用します。Cisco Feature Navigator にアクセスするには、www.cisco.com/go/cfn に移動します。Cisco.com のアカウントは必要ありません。
Table 1. 概要:シスコ ネットワーキング デバイスの基本設定の機能情報

機能名

リリース

機能情報

概要:シスコ ネットワーキング デバイスの基本設定

12.4(3)

Cisco IOS ソフトウェアでは、Cisco IOS ベースのネットワーキング デバイスの設定を単純化するために、自動インストールとセットアップ モードの 2 つの機能が提供されています。自動インストールを使用すると、デバイス コンフィギュレーション ファイルを離れた場所から自動的にロードし、それを使用して複数のデバイスを同時に設定できます。セットアップは、システムの基本(スタートアップとも呼びます)設定をガイドする対話型の Cisco IOS ソフトウェア コマンドライン インターフェイス(CLI)モードですが、一度に設定できるのは 1 台のデバイスに制限されます。自動インストールは、設定するデバイスに対する自動的なプロセスですが、セットアップは設定するデバイスに対する手動のプロセスです。