コンフィギュレーションのコンテキスト差分ユーティリティ

コンフィギュレーションのコンテキスト差分ユーティリティ機能は、2 つのコンフィギュレーション ファイル(Cisco IOS XE Integrated File System(IFS)を通じてアクセス可能)を行ごとに比較し、その間の違いの一覧を生成する機能を提供します。生成される出力には、追加、変更、または削除されたコンフィギュレーション行に関する情報と、変更されたコンフィギュレーション行が存在するコンフィギュレーション モードが含まれます。

コンフィギュレーションのコンテキスト差分ユーティリティの前提条件

コンフィギュレーションのコンテキスト差分ユーティリティ機能で使用されるコンフィギュレーション ファイルの形式は、次に示す標準的な Cisco IOS XE コンフィギュレーション ファイルのインデント ルールに準拠している必要があります。

  • 新しい行のすべてのコマンドは、コマンドがコンフィギュレーション サブモードにない限り、インデントなしで開始します。

  • レベル 1 コンフィギュレーション サブモード内のコマンドは、スペース 1 個分インデントします。

  • レベル 2 コンフィギュレーション サブモード内のコマンドは、スペース 2 個分インデントします。

  • 以下、続くサブモード内のコマンドは、同じようにインデントします。

ルータには、比較対象の 2 つのコンフィギュレーション ファイルの合計サイズよりも大きい連続したメモリ ブロックが必要です。

コンフィギュレーションのコンテキスト差分ユーティリティの制限事項

比較対象の 2 つのコンフィギュレーション ファイルの合計サイズよりも大きい連続したメモリ ブロックがデバイスにない場合、diff 操作は失敗します。

コンフィギュレーションのコンテキスト差分ユーティリティについて

コンフィギュレーションのコンテキスト差分ユーティリティの利点

コンフィギュレーションのコンテキスト差分ユーティリティ機能は、2 つのコンフィギュレーション ファイル(Cisco IOS XE File System(IFS)を通じてアクセス可能)を行ごとに比較し、その間の違いの一覧を生成する機能を提供します。生成される出力には、次の項目に関する情報が含まれます。

  • 追加、変更、削除された設定行。

  • 変更された設定行が存在するコンフィギュレーション モード。

  • 順序に依存する設定行の場所の変更。たとえば、ip access-list コマンドと community-lists コマンドは、コンフィギュレーション ファイル内での、同じ種類の他の Cisco IOS コマンドとの相対的な順序による影響を受けます。

コンフィギュレーションのコンテキスト差分ユーティリティの出力形式

diff 操作

コンフィギュレーションのコンテキスト差分ユーティリティ機能は、2 つのコンフィギュレーション ファイルのファイル名を入力として使用します。show archive config differences コマンドの使用により、指定されたファイルに対して diff 操作を実行し、2 つのファイル間の差分のリストを出力として生成します。出力の解釈は、コマンドで指定される 2 つのファイルの順序に依存します。ここでは、最初に入力されたファイルのファイル名を file1、2 番目に入力されたファイルのファイル名を file2 と仮定します。生成される出力リストの各エントリの前には、見つかった差分の種類を示す固有のテキスト記号が付与されます。テキスト記号とその意味は次のとおりです。

  • マイナス記号(–)は、設定行が file1 に存在するが file2 には存在しないことを示します。

  • プラス記号(+)は、設定行が file2 に存在するが file1 には存在しないことを示します。

  • 感嘆符(!)と説明用のコメントは、順序による影響を受ける設定行の場所が、file1 と file2 で異なることを示します。

差分比較操作

アプリケーションによっては、diff 操作で生成される出力に、変更されていない(つまり、マイナス記号やプラス記号のない)コンフィギュレーション行を含める必要があります。これらのアプリケーションでは、指定されたコンフィギュレーション ファイルを実行コンフィギュレーションファイルと比較する show archive config incremental-diffs コマンドを使用して、増分の diff 操作を実行できます。

増分 diff 操作が実行されると、実行コンフィギュレーション ファイルに出現しない設定行(つまり、実行コンフィギュレーションと比較して指定されたファイルにのみ出現する設定行)のリストが出力として生成されます。感嘆符(!)と説明用のコメントは、順序による影響を受ける設定行の場所が、指定されたコンフィギュレーション ファイルと実行コンフィギュレーション ファイルで異なることを示します。

コンフィギュレーションのコンテキスト差分ユーティリティの使い方

コンフィギュレーションのコンテキスト差分ユーティリティを使用した行ごとのファイル比較の実行

SUMMARY STEPS

  1. enable
  2. 次のいずれか 1 つを入力します。
    • show archive config differences [file1 [file2]]
    • show archive config incremental-diffs file
  3. exit

DETAILED STEPS

  Command or Action Purpose

Step 1

enable

Example:


Device> enable

特権 EXEC モードを有効にします。

  • パスワードを入力します(要求された場合)。

Step 2

次のいずれか 1 つを入力します。

  • show archive config differences [file1 [file2]]
  • show archive config incremental-diffs file

Example:


Device# show archive config differences running-config startup-config

Example:


Device# show archive config incremental-diffs nvram:startup-config

2 つのコンフィギュレーション ファイル(Cisco IOS File System を通じてアクセス可能)を行ごとに比較し、その間の差分の一覧を生成します。

または

実行コンフィギュレーションファイルに対して、指定されたコンフィギュレーション ファイルの行ごとの比較を実行し、実行コンフィギュレーションファイルに出現しないコンフィギュレーション行のリストを生成します。

Step 3

exit

Example:


Device# exit

ユーザー EXEC モードに戻ります。

コンフィギュレーションのコンテキスト差分ユーティリティの設定例

差分操作の例

この例では、実行コンフィギュレーション ファイルとスタートアップ コンフィギュレーションに対して比較操作を行います。次の表は、この例で使用しているコンフィギュレーション ファイルを示しています。

Table 1. diff 操作で使用するコンフィギュレーション ファイルの例

実行コンフィギュレーション ファイル

スタートアップ コンフィギュレーション ファイル


no ip subnet-zero

ip cef

interface FastEthernet1/0

 ip address 10.7.7.7 255.0.0.0

 no ip route-cache

 no ip mroute-cache

 duplex half

no ip classless

snmp-server community public RO

ip subnet-zero

ip cef

ip name-server 10.4.4.4

voice dnis-map 1

 dnis 111

interface FastEthernet1/0

 no ip address

 no ip route-cache

 no ip mroute-cache

 shutdown

 duplex half

ip default-gateway 10.5.5.5

ip classless

access-list 110 deny   ip any host 10.1.1.1

access-list 110 deny   ip any host 10.1.1.2

access-list 110 deny   ip any host 10.1.1.3

snmp-server community private RW

次に、show archive config differences コマンドの出力例を示します。この出力例は、以下の表のコンフィギュレーション ファイルに対して実行された diff 操作の結果を示しています。


Device# show archive config differences system:running-config nvram:startup-config

+ip subnet-zero

+ip name-server 10.4.4.4

+voice dnis-map 1 

 +dnis 111

interface FastEthernet1/0

 +no ip address

 +shutdown

+ip default-gateway 10.5.5.5

+ip classless

+access-list 110 deny ip any host 10.1.1.1

+access-list 110 deny ip any host 10.1.1.2

+access-list 110 deny ip any host 10.1.1.3

+snmp-server community private RW

-no ip subnet-zero

interface FastEthernet1/0

 -ip address 10.7.7.7 255.0.0.0

-no ip classless

-snmp-server community public RO

差分比較操作の例

この例では、スタートアップ コンフィギュレーション ファイルと実行コンフィギュレーション ファイルに対して増分 diff 操作を行います。次の表は、この例で使用しているコンフィギュレーション ファイルを示しています。

Table 2. 差分比較操作の例で使用するコンフィギュレーション ファイル

スタートアップ コンフィギュレーション ファイル

実行コンフィギュレーション ファイル


ip subnet-zero

ip cef

ip name-server 10.4.4.4

voice dnis-map 1

 dnis 111

interface FastEthernet1/0

 no ip address

 no ip route-cache

 no ip mroute-cache

 shutdown

 duplex half

ip default-gateway 10.5.5.5

ip classless

access-list 110 deny   ip any host 10.1.1.1

access-list 110 deny   ip any host 10.1.1.2

access-list 110 deny   ip any host 10.1.1.3

snmp-server community private RW

no ip subnet-zero

ip cef

interface FastEthernet1/0

 ip address 10.7.7.7 255.0.0.0

 no ip route-cache

 no ip mroute-cache

 duplex half

no ip classless

snmp-server community public RO

次に、show archive config incremental-diffs コマンドの出力例を示します。この出力例は、以下の表のコンフィギュレーション ファイルに対して実行された増分 diff 操作の結果を示しています。


Device# show archive config incremental-diffs startup-config

ip subnet-zero

ip name-server 10.4.4.4

voice dnis-map 1 

 dnis 111

interface FastEthernet1/0

 no ip address

 shutdown

ip default-gateway 10.5.5.5

ip classless

 access-list 110 deny   ip any host 10.1.1.1

 access-list 110 deny   ip any host 10.1.1.2

 access-list 110 deny   ip any host 10.1.1.3

snmp-server community private RW

その他の参考資料

次の項に、コンフィギュレーション パーティショニング機能に関する参考資料を示します。

関連資料

関連項目

マニュアル タイトル

実行コンフィギュレーションのパフォーマンス強化:インターフェイスの parserconfigcache

コンフィギュレーション生成のパフォーマンス拡張

カスタマー サービスのプロビジョニング、コンフィギュレーション ロールバック、コンフィギュレーション ロッキング、およびコンフィギュレーション アクセス コントロール

コンフィギュレーションのコンテキスト差分ユーティリティ

コンフィギュレーション管理:コンフィギュレーション変更およびロギング

コンフィギュレーション変更通知およびロギング

コンフィギュレーション管理:コンフィギュレーション変更およびロギングのクイック保存:1.

コンフィギュレーション ロガー永続性

Cisco IOS ソフトウェア コンフィギュレーション アクセス制御およびコンフィギュレーション セッション ロック(「Config ロック」)。

排他的設定変更アクセスとアクセス セッション ロック

1 「コンフィギュレーション ロガー永続性」機能により、スタートアップ コンフィギュレーション全体を保存するのではなく、最後の startup-config ファイルが生成された時点から入力されたコマンドだけを保存できます。

標準

標準

タイトル

この機能に関連付けられている規格はありません。

--

MIB

MIB

MIB のリンク

この機能によってサポートされる新しい MIB または変更された MIB はありません。またこの機能による既存 MIB のサポートに変更はありません。

--

RFC

RFC

タイトル

この機能によりサポートされた新規 RFC または改訂 RFC はありません。またこの機能による既存 RFC のサポートに変更はありません。

--

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コンフィギュレーションのコンテキスト差分ユーティリティの機能情報

次の表に、このモジュールで説明した機能に関するリリース情報を示します。この表は、ソフトウェア リリース トレインで各機能のサポートが導入されたときのソフトウェア リリースだけを示しています。その機能は、特に断りがない限り、それ以降の一連のソフトウェア リリースでもサポートされます。

プラットフォームのサポートおよびシスコ ソフトウェアイメージのサポートに関する情報を検索するには、Cisco Feature Navigator を使用します。Cisco Feature Navigator にアクセスするには、www.cisco.com/go/cfn に移動します。Cisco.com のアカウントは必要ありません。
Table 3. コンフィギュレーションのコンテキスト差分ユーティリティの機能情報

機能名

リリース

機能情報

コンフィギュレーションのコンテキスト差分ユーティリティ

Cisco IOS XE リリース 2.1

コンフィギュレーションのコンテキスト差分ユーティリティ機能は、2 つのコンフィギュレーション ファイルを行ごとに比較し、その間の違いの一覧を生成する機能を提供します。生成される出力には、追加、変更、または削除されたコンフィギュレーション行に関する情報と、変更されたコンフィギュレーション行が存在するコンフィギュレーション モードが含まれます。

この機能は、Cisco IOS XE Release 2.1 で、Cisco ASR 1000 シリーズ ルータに導入されました。

この機能により、次のコマンドが変更されました。show archive config differences show archive config incremental-diffs