インストールの準備

この章では、Cisco IOS XRv 9000 ルータ インストールの前提条件についての情報を提供します。

はじめに

Cisco IOS XRv 9000 ルータは、64 ビット IOS XR ソフトウェアを実行する x86 サーバ ハードウェアの仮想マシン(VM)インスタンスに展開されるクラウドベースのルータです。Cisco IOS XRv 9000 ルータは、仮想化されたフォーム ファクタで従来型のプロバイダー エッジ サービスを提供するとともに、仮想ルート リフレクタの機能も提供します。Cisco IOS XRv 9000 ルータは、Cisco IOS XR ソフトウェアに基づいているため、その他の IOS XR プラットフォームで使用可能な広範なルーティング機能を継承および共有しています。

Cisco IOS XRv 9000 ルータで使用可能な IOS XR 機能については、Cisco IOS XRV 9000 ルータの最新リリース ノートにある「サポートされる Cisco IOS XR テクノロジー」に関する項を参照してください。

表 1. 最新のリリース ノートの参照先

リリース

リリース ノートの参照先

7.3.1

Cisco IOS XRv 9000 ルータ リリース ノート、IOS XR リリース 7.3.1

6.4.2

Cisco IOS XRv 9000 ルータ リリース ノート、IOS XR リリース 6.4.2

6.4.1

Cisco IOS XRv 9000 ルータ リリース ノート、IOS XR リリース 6.4.1

6.3.2

Cisco IOS XRv 9000 ルータ リリース ノート、IOS XR リリース 6.3.2

6.3.1

Cisco IOS XRv 9000 ルータ リリース ノート、IOS XR リリース 6.3.1

6.2.3 Cisco IOS XRv 9000 ルータ リリース ノート、IOS XR リリース 6.2.3

6.2.25

Cisco IOS XRv 9000 ルータ リリース ノート、IOS XR リリース 6.2.25

6.2.2

Cisco IOS XRv 9000 ルータ リリース ノート、IOS XR リリース 6.2.2

6.2.1

Cisco IOS XRv 9000 ルータ リリース ノート、リリース 6.2.1

6.1.4

Cisco IOS XRv 9000 ルータ リリース ノート、リリース 6.1.4

(注)  

 

これは長期メンテナンス リリースです。

6.1.2

Cisco IOS XRv 9000 ルータ リリース ノート、リリース 6.1.2

6.0.2

Cisco IOS XRv 9000 ルータ リリース ノート、リリース 6.0.2

6.0.1

Cisco IOS XRv 9000 ルータ リリース ノート、IOS XR リリース 6.0.1

6.0.0

Cisco IOS XRv 9000 ルータ リリース ノート、リリース 6.0.0

5.4.0

Cisco IOS XRv 9000 ルータ リリース ノート、リリース 5.4.0

Cisco IOS XRv 9000 ルータ仮想 IOS XE ソフトウェアが VM 上に展開される場合、Cisco IOS XR ソフトウェアは、あたかも従来の Cisco IOS XR ハードウェア プラットフォーム上に展開されているかのように機能します。Cisco IOS XRv 9000 ルータは、ルート プロセッサ、ラインカード、および仮想化された転送機能を 1 つの中央集中型転送インスタンスにまとめます。Cisco IOS XRv 9000 ルータには、すべての機能を備えた高速仮想 x86 データ プレーンがあります。

図 1. Cisco IOS XRv 9000 ルータの仮想フォーム ファクタ


この図は、Cisco IOS XRv 9000 ルータの基本的な仮想フォーム ファクタを示しています。Cisco IOS XRv 9000 ルータは、ハイパーバイザ上の VM として展開されます。Cisco IOS XRv 9000 ルータは、さまざまな接続モデルを提供します。このモデルには、仮想スイッチ(vSwitch)に接続された仮想化インターフェイスや、パフォーマンスを最大化するために VM に直接入力される 10 G インターフェイスの物理パススルーが含まれます。

VM の要件と Cisco IOS XRv 9000 ルータの制限についての詳細は、仮想マシンの要件の項を参照してください。

Cisco IOS XRv 9000 ルータは、VMware または KVM のハイパーバイザ上に展開されます。サポートされるハイパーバイザの詳細は、ハイパーバイザのサポートの項を参照してください。

ソフトウェアの設定と管理

ソフトウェアの設定と Cisco IOS XRv 9000 ルータの管理には、次の方法があります。

  • VM にシリアルポートをプロビジョニングしてシリアルポートに接続し、Cisco IOS XR CLI コマンドにアクセスします。

  • VM コンソールまたは仮想シリアルポートのコンソールを使用して、Cisco IOS XR CLI コマンドにアクセスします。

    (注)  


    基盤となるハイパーバイザが VM とシリアルポートの関連付けをサポートしている場合にのみ、シリアルポートを使用して Cisco IOS XRv 9000 ルータ VM を管理できます。たとえば、Citrix XenServer 環境はシリアルポートの関連付けをサポートしていません。詳細については、ハイパーバイザのドキュメンテーションを参照してください。


  • リモート SSH/Telnet を使用して、Cisco IOS XR CLI コマンドにアクセスします。

    ルータ コンソールへのアクセス方法の詳細は、次を参照してください。 仮想シリアルポート経由の Cisco IOS XRv 9000 ルータへのアクセス

システム アップグレードの詳細については、『System Setup and Software Installation Guide for Cisco NCS 6000 Series Routers』を参照してください。

VM のプロビジョニング

Cisco ハードウェア ルータは、通常、Cisco IOS XR ソフトウェアをプレインストールして出荷されます。Cisco IOS XRv 9000 ルータはハードウェア ベースではないため、Cisco.com から Cisco IOS XR ソフトウェアをダウンロードして仮想マシン(VM)に直接インストールする必要があります。ただし、初期インストール プロセスの一環として、Cisco IOS XRv 9000 イメージをインストールして起動できるように、まず VM の属性(メモリやハード ディスクなど)をプロビジョニングする必要があります。

また、Cisco IOS XRv 9000 アプライアンスは、出荷時にベアメタル UCS サーバーハードウェアに事前にインストールされた Cisco IOS XRv 9000 ルータソフトウェアです。Cisco IOS XRv 9000 アプライアンスには、該当するすべてのライセンスが含まれています。アプライアンス パッケージにより、ハードウェアとソフトウェアの所有権についての運用上の心配をせずに、ネットワーク ルーティング機能を仮想化できます。

ルータ インターフェイス

Cisco IOS XRv 9000 ルータ インターフェイスはハードウェア ベースのシスコ ルータと同じ機能を実行します。Cisco IOS XRv 9000 インターフェイスの命名規則は次のとおりです。

  • インターフェイスは、GigabitEthernet インターフェイスとして論理的に命名されます。これらのインターフェイスは、VMXNET3 や E1000 などの仮想化されたインターフェイスか、PCI パススルー経由で VM に渡される物理 1 ギガビット インターフェイスのどちらかです。

  • PCI パススルー経由で VM に渡される物理 10 G インターフェイスの場合、インターフェイスは、TenGigabitEthernet インターフェイスとして論理的に命名されます。

  • インターフェイスの番号は 0 から始まり、次のように単調に増加します。

    
        interface GigabitEthernet 0/0/0/0
    		  interface GigabitEthernet 0/0/0/1
    		  interface GigabitEthernet 0/0/0/2
    		  
    10 ギガビット インターフェイスの場合は次のとおりです。
    interface TenGigabitEthernet 0/0/0/0
    interface TenGigabitEthernet 0/0/0/1
    		  
    		  

ルータ ネットワーク インターフェイスの VM ネットワーク インターフェイス カードへのマッピング

Cisco IOS XRv 9000 ルータは、論理仮想ネットワーク インターフェイス カード(vNIC)または VM に割り当てられた物理 NIC を、管理イーサネット インターフェイス、GigabitEthernet インターフェイス、または TenGigE インターフェイスにマッピングします。

Cisco IOS XRv 9000 のルータが起動されるたびに、最初の NIC は仮想ルータの管理イーサネット インターフェイスとして使用され、2 番目および 3 番目の NIC は仮想ルータによって内部的に使用されます。この 3 つの NIC は、E1000 vNIC である必要があります。その他の NIC は、ライン インターフェイスとしてデータ プレーンにマッピングされます。

ライン インターフェイスの命名規則は、<GigabitEthernet | TenGigE> 0/0/0/<port number> です。

ポート番号は、NIC のタイプに割り当てられます。ポート番号の割り当てのルールを次に示します。

  • 低速のインターフェイスの前に、高速のインターフェイスが割り当てられます。たとえば、10GE インターフェイスは 1GE の前に割り当てられます。

  • 同じ速度の中では、高い PCI アドレスの前に、低いアドレスのものが割り当てられます。たとえば、04:00.0 は 04.00.1 の前に割り当てられます。

TegGigE NIC が 1 つ、物理 GigabitEthernet が 1 つ、およびデータ プレーンにマッピングされた仮想 NIC が 1 つあると仮定した場合、ライン インターフェイスの名前は次のようになります。

  • TenGigE NIC は TegGigE 0/0/0/0 という名前になります。

  • 物理 GigabitEthernet NIC は GigabitEthernet 0/0/0/1 という名前になります。

  • 仮想 NIC は GigabitEthernet 0/0/0/2 という名前になります。

この図では、Cisco IOS XRv 9000 のルータにマッピングされた 6 つの NIC(仮想および物理)の例が示されています。この図は、VMware および KVM ハイパーバイザに当てはまります。

図 2. NIC と Cisco IOS XRv 9000 ルータとのマッピング

XRv 9000 アプライアンスのインターフェイスマッピングについては、アプライアンスの物理的接続の概要を参照してください

Cisco IOS XRv 9000 インストール ファイル

Cisco IOS XRv 9000 ルータのソフトウェア イメージ パッケージには、次に示すファイル タイプが含まれています。これらのタイプは、サポート対象のハイパーバイザに Cisco IOS XRv 9000 ルータをインストールする際に使用します。

  • .iso:VM にソフトウェア イメージをインストールするために使用されます。これは、サポートされているハイパーバイザ環境で VM を作成するために使用できます。

  • .ova:VM での Open Virtualization Appliance(OVA)テンプレート(TAR 形式)の展開に使用されます。OVA イメージは、VMware ESXi ハイパーバイザに Cisco IOS XRv 9000 ルータを展開する場合に推奨されています。OVA ファイルには、Cisco IOS XRv 9000 ルータ ソフトウェアがインストールされた仮想マシンのディスク イメージ(VMDK)が含まれています。


    (注)  


    OVA ファイル内の VMDK ディスクは、ストリームに最適化された形式であり、直接起動することはできません。ストリームに最適化された VMDK ディスクを使用するには、そのディスクを標準の読み取り/書き込みディスク形式に変換する必要があります。OVA の導入時に、このディスクは ESXi によって透過的に標準の読み取り/書き込み VMDK 形式に変換されます。ストリームに最適化された VMDK は、標準のディスク ツール(qemu-img など)を使用して、標準の読み取り/書き込み VMDK ディスクまたは QCOW2 ディスクに変換することもできます。


  • .qcow2:KVM OpenStack 環境でソフトウェア イメージを起動するために使用します。qcow2 ディスク イメージには、インストール済みの Cisco IOS XRv 9000 ルータ ソフトウェアが含まれています。

  • virsh.xml:Virsh を使用して KVM 環境で Cisco IOS XRv 9000 ルータを起動するために使用できるサンプルの XML です。

  • CML2:CML2.1(Cisco Modeling Lab)でラボを作成し、CML で XRv 9000 ルータを起動できます。

インストール イメージのバリエーション

上記のイメージ タイプは default または vrr(仮想ルート リフレクタ)のバリエーションに含まれます。ファイル名に vrr が含まれていないイメージは、default のバリエーションです。

  • デフォルト:仮想プロバイダーエッジ(vPE)ルータとして動作するように調整されています。vPE は、コントロールプレーンの vRR に対してデータプレーンの CPU が多くなります。VPE は、ESXI などの他のハイパーバイザのデフォルトプロファイルです。VPE は高速ルーティングに使用します。

  • vrr:仮想ルートリフレクタ(vRR)として動作するように調整されています。vRR は、ベアメタルアプライアンスのデフォルトプロファイルです。

default タイプのインストール イメージは次のとおりです。

  • xrv9k-fullk9-x.iso

  • xrv9k-fullk9-x.ova

  • xrv9k-fullk9-x.qcow2

  • xrv9k-fullk9-x.virsh.xml

vrr タイプのインストール イメージは次のとおりです。

  • xrv9k-fullk9-x.vrr.iso

  • xrv9k-fullk9-x.vrr.ova

  • xrv9k-fullk9-x.vrr.qcow2

  • xrv9k-fullk9-x.vrr.virsh.xml

xrv9k-li-x.pkg:合法的傍受のためのオプション パッケージ。

Cisco IOS XR ソフトウェア リリース 7.2.1 以降、xrv9k-full(k9).iso ビルドは廃止されました。Cisco IOS XR ソフトウェア リリース 7.2.1 以降、ポストビルドの一部として GISO イメージを構築しており、これらのイメージも xrv9k-fullk9-iso イメージに名前が変更されています。Cisco IOS XR ソフトウェア リリース 7.8.1 XRv 9000 プラットフォームは LJAM ビルドに移行し、LJAM の移行により、自動 GISO ポストビルドスクリプトは廃止されました。そのため、xrv9k-mini.iso と必要な RPM を含む GISO ツールを使用して GISO を構築する必要があります。Cisco.com の xrv9k-full および xrv9k-fullk9.iso は使用しないでください。

xrv9k-mini.iso と必要な RPM を含む GISO ツールを使用して GISO イメージを構築し、アップグレード/ダウングレードのインストールを試行します。

GISO ツールリンク:GitHub から gisobuild.py をダウンロード

制限事項はゴールデン ISO ワークフローを参照してください。

コンソール イメージのバリエーション

シリアルポートを介してログインしたくない場合は、VGA コンソールを提供する VGA イメージを使用できます。ファイル名に vga が含まれるインストール イメージは、コンソール イメージのバリエーションです。ルータのインストールに VGA イメージが使用されると、XR コンソールは VGA コンソールにマッピングされます。それ以外の場合は、XR コンソールが最初のシリアルポートにマッピングされます。インストール手順は、VGA イメージの有無にかかわらず同じです。

コンソール イメージのバリエーションは次のとおりです。

  • xrv9k-fullk9_vga-x.iso

  • xrv9k-fullk9_vga-x.ova

  • xrv9k-fullk9_vga-x.qcow2

  • xrv9k-fullk9_vga-x.vrr.iso

  • xrv9k-fullk9_vga-x.vrr.ova

  • xrv9k-fullk9_vga-x.vrr.qcow2

  • xrv9k-fullk9-x_vga.virsh.xml

  • xrv9k-fullk9-x.vrr_vga.virish.xml

Cisco IOS XRv 9000 ルータのインストール

Cisco IOS XRv 9000 ルータは、VMware か KVM ハイパーバイザのどちらかにインストールされます。Cisco IOS XRv 9000 ルータのインストールの詳細については、次のセクションを参照してください。

  • Cisco IOS XRv 9000 ルータを VMware ESXi 環境にインストールする

  • Cisco IOS XRv 9000 ルータを KVM 環境にインストールする

XRv 9000 アプライアンスソフトウェアのインストールについては、アプライアンスの設定を参照してください