仮想マシンの要件
Cisco IOS XRv 9000 ルータは、仮想マシンでのみ実行されます。ここでは、ルータの仮想マシンの要件について説明します。
仮想マシン
仮想マシン(VM)は、オペレーティング システム(OS)またはプログラムをインストールおよび実行できるコンピューティング環境のソフトウェア実装です。VM は通常、物理コンピューティング環境をエミュレートしますが、CPU、メモリ、ハードディスク、ネットワーク、およびその他のハードウェア リソースが必要です。これらは仮想化層によって管理され、仮想化層がこれらのリソースに対する要求を基盤となる物理ハードウェアへの要求に変換します。
VM を展開するために、Open Virtualization Archive(OVA)ファイルを使用できます。OVA ファイルは、新しい VM のパラメータとリソース割り当て要件の詳細定義を提供することにより、VM の展開プロセスを合理化します。
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ovf ファイル:記述子ファイル、つまり、パッケージに関するすべてのメタデータで構成された、拡張子 .ovf の xml ファイル。これは、すべての製品の詳細、仮想ハードウェア要件、およびライセンスをエンコードします。
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vmdk ファイル:VM から 1 つの仮想ディスクをエンコードするファイル形式。
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mf ファイル:パッケージング時に生成される SHA キーを保存するオプション ファイル。
.iso ファイルを使用して Cisco IOS XRv 9000 ルータをインストールし、ハイパーバイザに手動で VM を作成することもできます。
ハイパーバイザのサポート
ハイパーバイザは、単一のハードウェア ホスト マシンを複数のオペレーティング システムで共有できるようにします。各オペレーティング システムはホストのプロセッサ、メモリ、およびその他のリソースを専有するように見えますが、ハイパーバイザは、実際にはオペレーティング システムで必要なリソースのみを制御して割り当て、オペレーティング システム(VM)が相互に干渉しないことを保証します。
Cisco IOS XRv 9000 ルータのインストールは、選択した Type 1(ネイティブ、ベア メタル)ハイパーバイザ上でサポートされます。インストールは VMware Fusion、VMware Player、Virtual Box などの Type 2(ホスト型)ハイパーバイザではサポートされていません。次の表に、最新の Cisco IOS XR ソフトウェア リリースでサポートされるハイパーバイザのバージョンを示します。
Cisco IOS XR のバージョン |
VMWare ESXi |
カーネルベース仮想マシン(KVM) |
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リリース 7.3.1 |
バージョン 6.7 以降 |
次のものに基づいた Linux KVM
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ハイパーバイザで使用できる機能はタイプによって異なります。特定のバージョンでは、一部のハイパーバイザ機能がサポートされないことがあります。リストされているハイパーバイザ バージョンは、Cisco IOS XRv 9000 ルータで正式にテストされたサポート対象のバージョンです。詳細については、次の項を参照してください。
ハイパーバイザ NIC の要件
ハイパーバイザでサポートされる NIC の種類と NIC の最大数は、どのリリースの Cisco IOS XR を使用しているかによって異なります。一部の Cisco IOS XR ソフトウェア バージョンとハイパーバイザは、VM の電源を切ることなく NIC を追加および削除できる機能もサポートしています。この機能は、NIC のホット追加/削除と呼ばれます。
この表に、それぞれの VM インスタンスでサポートされる NIC を示します。
Cisco IOS XR リリース |
5.4 |
6.0.x、6.1.x、6.2.x、6.3.x、6.4.x、6.5.x |
24.1.1 |
VMware ESXi |
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サポートされる NIC の種類 |
E1000 |
E1000、トラフィック インターフェイス専用の VMXNET Generation 3(VMXNET3)。 |
E810(SR-IOV VF のみ)、X710、XXV710 |
VM インスタンスあたりの最大 NIC 数 |
11(管理用に 1 つ、2 つは予約済み、トラフィック用に 8 つ) |
11(管理用に 1 つ、2 つは予約済み、トラフィック用に 8 つ) |
11(管理用に 1 つ、2 つは予約済み、トラフィック用に 8 つ) |
NIC のホット追加/削除のサポート |
非対応 |
非対応 |
非対応 |
Single Root I/O Virtualization(SR-IOV)のサポート |
非対応 |
非対応 |
対応 |
物理 OIR のサポート |
非対応 |
非対応 |
VM の電源を切り、OIR プロセスを完了し、VM の電源を入れる必要があります。 |
KVM |
|||
サポートされる NIC の種類 |
VirtIO、ixgbe/ixgbevf |
VirtIO、ixgbe/ixgbevf |
VirtIO、ixgbe/ixgbevf |
VM インスタンスあたりの最大 NIC 数 |
11(管理用に 1 つ、2 つは予約済み、トラフィック用に 8 つ) |
11(管理用に 1 つ、2 つは予約済み、トラフィック用に 8 つ) |
11(管理用に 1 つ、2 つは予約済み、トラフィック用に 8 つ) |
NIC のホット追加/削除のサポート |
非対応 |
非対応 |
非対応 |
Single Root I/O Virtualization(SR-IOV)のサポート |
非対応 |
非対応 |
非対応 |
KVM 環境の Cisco IOS XRv 9000 ルータでサポートされる物理 NIC の詳細については、KVM のインストール要件の項を参照してください。
Cisco IOS XRv 9000 ルータとハイパーバイザの制限事項
Cisco IOS XRv 9000 ルータには次の制限があります。
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Cisco IOS XRv 9000 ルータ インターフェイスの帯域幅はすべての仮想化インターフェイスに関して、ハイパーバイザの物理 NIC 帯域幅に関係なく、デフォルトで 1 GB です。
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Cisco IOS XRv 9000 ルータが仮想化されたインターフェイスまたは仮想機能(物理パススルーではない)を使用していて、そのインターフェイスが物理ルータに直接接続されてそのルータの接続インターフェイスがダウンした場合、その変化は Cisco IOS XRv 9000 ルータには反映されません。これは、Cisco IOS XRv 9000 ルータが実際にはハイパーバイザの vSwitch に接続され、vSwitch のアップリンク ポートがルータの物理インターフェイスに接続されているからです。これは想定されている動作です。
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Cisco IOS XRv 9000 ルータは 64 ~ 9216 バイトの MTU 範囲を提供しますが、68 バイトの最小 MTU 値を使用することをお勧めします。ただし、VMWare ESXi vSwitches は最大 9000 バイトのフレーム サイズをサポートします。