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この章では、Cisco XR 12406 ルータの概要について説明します。ルータ ハードウェアおよび主要コンポーネントの物理構成、およびハードウェア関連の機能の概要が記載されています。
Cisco XR 12406 ルータ(図 1-1および図 1-2を参照)は、Cisco XR 12000 シリーズ ルータ ファミリの製品です。Cisco XR 12406 ルータは、インターネット サービス プロバイダー エッジの速度を、T3/E3(44.7/34.4 Mbps)から OC-192/STM-64 または 10GE(10 Gbps)にまで拡張します。
(注) わかりやすくするため、図では前面扉を省略しています。
図 1-1 Cisco XR 12406 ルータ ― 正面図
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図 1-2 Cisco XR 12406 ルータ ― 背面図
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シャーシの高さは 18.5 インチ(46.9 cm)で、単一の標準 7 フィート(2.15 m)装置ラックに 4 台のCisco XR 12406 ルータを搭載できます。
Cisco XR 12406 ルータは、ほとんどのCisco XR IOSソフトウェア アップグレードのシステム ソフトウェア ダウンロードをサポートしているので、新しいCisco XR IOSイメージをリモートでダウンロードして保存し、新しいイメージからブートできます。
Cisco XR 12406 ルータの主な機能は次のとおりです。
• Route Processor(RP; ルート プロセッサ)(PRP-2) ― スロット 5 (最下部のスロット)が第 1 RP 用の推奨スロットです。ルータに冗長 RP を備える場合には、5 つの標準ラインカード スロットのうち、任意のスロットに搭載できます。
• ラインカード ― OC-192 ラインカードを最大 5 枚、冗長 RP を装備する場合には最大 4 枚搭載できます。これらのスロットは活性挿抜(Online Insertion and Removal; OIR)機能をサポートしているので、搭載したカードのホットスワップが可能です。ルータの電源をオンにしたまま、障害のあるカードを取り外して交換できます。
• Clock Scheduler Card(CSC; クロック スケジューラ カード)と Switch Fabric Card(SFC; スイッチ ファブリック カード) ― CSC 専用のホットスワップ対応スロット× 2、SFC 専用のホットスワップ対応スロット× 3
(注) ルータを 1 枚の CSC で運用する場合は、EMI 規格に準拠するために、第 2 CSC スロットに CSC ブランク フィラー(MAS-GSR6-CSCBLNK=)を取り付ける必要があります。
• 専用アラーム カード スロット × 2(1+1 冗長構成対応)
• アラームおよび LED ― カード ケージ、CSC ベイ、SFC ベイの動作範囲に関するアラームおよび LED
• ホットスワップ対応の AC 入力電源モジュールまたは DC 入力 PEM(パワー エントリ モジュール) × 2
(注) ルータを 1 台の AC 入力電源モジュールまたは DC 入力 PEM で運用する場合は、EMI 規格に準拠するために、第 2 電源モジュール ベイにブランク フィラー(MAS-GSR-PWRBLANK=)を取り付ける必要があります。
• ブロワー モジュールと Power Distribution Unit(PDU; 配電ユニット)を除き、電源モジュールおよび他の Field Replaceable Unit(FRU; 現場交換可能ユニット)はすべて、シャーシ前面から取り外すことができます。
• 電源コネクタはすべて、シャーシ背面の PDU 上にあります(図 1-2を参照)。
• 新しいデザインの前面扉は、ルータのケーブル配線を隠すとともに、取り付けによって左右のどちら側からでも開くことができます。
• Network Equipment Building Systems ― Cisco XR 12406 ルータは、可燃性、構造、および電子基準について、SR-3580 に定義されている NEBS 基準レベル 3 の要件に準拠しています。
• 電磁適合性および Electrostatic Discharge(ESD; 静電放電)の準拠 ― Cisco XR 12406 ルータは、製品および梱包の両方について、エミッション規格、イミュニティ規格、および ESD 規格に準拠しています。
• ボンディングおよびアース ― ボンディグとアースは、安全性、回線保護、雑音電流、信頼性、および動作の規格に準拠しています。
• 環境モニタリング ― Cisco XR 12406 ルータは、動作温度と湿度、および処理温度と湿度(熱放散を除く)について、環境モニタリング基準に準拠しています。
• 衝撃および振動 ― Cisco XR 12406 ルータは、NEBS(Zone 4 per GR-63-Core)の動作範囲、運用規格、および耐震基準に基づく衝撃および振動のテストを実施済みです。これらのテストは、地震の環境と基準、オフィスの振動と基準、輸送時の振動と基準、梱包された機器の衝撃基準に基づいて実施されました。
• 光ファイバケーブルの管理 ― 光ファイバケーブルの管理では、高密度光ファイバ ファスト イーサネット(FE)ポートがサポートされています。
• ラインカード ケージは、現行の 1.275 インチ ピッチ ラインカードおよび付属の前面パネル アダプタ カバーに適合します。ラインカード アダプタ カバーは、1.275 インチ ライン カードに付属しています。
Cisco XR 12406 ルータを構成する主要コンポーネントは、次のとおりです。
• 最大 5 枚のラインカード(冗長 RP を搭載する場合は最大 4 枚)
このセクションでは、これらのコンポーネントとその機能について説明します。FRU の取り外しおよび交換の手順は、 第5章「ルータのメンテナンス」 を参照してください。
Cisco XR 12406 ルータの RP は、Performance Route Processor(PRP-2)です。PRP の詳細については、シスコのマニュアル『 Performance Route Processor Installation and Configuration Guide 』を参照してください。
• 電源投入時に、搭載されているすべてのラインカードに、オペレーティング システム ソフトウェア イメージをアップロード
• アウトオブバンド システム コンソール ポート、補助ポート、イーサネット ポートをルータのコンフィギュレーションおよびメンテナンス用に提供
• ラインカード、電源モジュール、ファンなどのシステム コンポーネントの電源および温度のモニタおよび管理
Cisco PRP-2 では、強化されたパフォーマンスおよび性能により、このすべての機能が実現されます。Cisco PRP-2 では次の機能強化も実現されています(実行しているソフトウェア バージョンによる)。
• 1 GB コンパクト イメージ フラッシュ メモリのサポート(オプション)
PRP-2 はスイッチ ファブリックまたは MBus を介してラインカードと通信します。スイッチ ファブリック接続が、ルーティング テーブルの配布、およびラインカードと PRP-2 間で送信されるパケットの主要データ パスです。MBus 接続により、PRP-2 がシステム ブートストラップ イメージをダウンロードして、診断情報の収集またはロードを行い、一般的な内部システム メンテナンス処理を実行できます。
PRP-2 は、Designated System Controller(DSC)または Secure Domain Router(SDR)のどちらかとして指定できます。
Cisco XR 12406 ルータは、発注した数量およびタイプのラインカードが搭載された状態で出荷されます。ラインカードと RP は、2 つの基本的な組み合わせで搭載し、RP の冗長性と各種の物理ネットワーク メディアをサポートできます。
• 非冗長 RP ― 1 台の RP と最大 5 枚のCisco XR 12000 シリーズ ルータ ラインカード
• 冗長 RP ― 2 台の RP と最大 4 枚のCisco XR 12000 シリーズ ルータ ラインカード
ラインカードは、カード ケージ内の任意のスロット(0 ~ 5)に搭載できます。スロット 5 は、推奨するデフォルトの RP スロットです。図 1-3に、シングルモードおよびマルチモードのラインカードを示します。
(注) サポート対象ラインカードの最新リストは、最新のソフトウェア リリース ノートを参照してください( マニュアルの入手方法、テクニカル サポート、およびセキュリティ ガイドラインを参照)。
ラインカードは、ルータの外部物理メディアへのインターフェイスです。外部接続では、シャーシ前面からラインカード前面プレート上のコネクタを接続します。ラインカードは、RP と通信し、スイッチ ファブリック/アラーム カード ケージ内の SFC を経由して、相互にパケット データを交換します。
ラインカード上の各ポートに接続したネットワーク インターフェイス ケーブルを整理して管理するには、各ラインカードの前面プレートにケーブル管理ブラケットを取り付けます。
ルータに搭載したラインカードは活性挿抜がサポートされるので、ルータの電源をオンにした状態で、ラインカードを取り外して交換できます。
(注) ラインカードの取り外し、交換、および設定の方法については、FRU として発注した各ラインカードに付属のコンフィギュレーション ノートを参照してください。
Cisco XR 12406 ルータのスイッチ ファブリック回路では、ラインカードと RP 間に、ギガビット速度の同期相互接続が提供されます。スイッチ ファブリック回路は、5 つのファブリック カード スロット(2 つのCSC スロットと 3 つの SFC スロット、図 1-4を参照)内に配置されています。
CSC は、シャーシの左下に配置され、RP/ラインカード ケージの下でアラーム カード ベイのすぐ上にある CSC 0 および CSC 1 というラベルの半幅スロットに搭載します。3 つの SFC は、シャーシの右下にある SFC 0、SFC 1、および SFC 2 というラベルの半幅スロットに搭載します。
(注) Cisco XR 12406 ルータを運用するには、SFC およびアラーム カードのほかに、最低 1 つの CSC カードを搭載する必要があります。
• システム クロック ― システム クロックは、スイッチ ファブリックを介して、ラインカード間またはラインカードと RP 間のデータ転送を同期化します。冗長 CSC を搭載したシステムでは、一方のシステム クロックの障害時に他方のクロックが引き継げるように、2 つのシステム クロックが同期化されます。システム クロックの信号は、すべてのラインカード、RP、および SFC に送信されます。
• スケジューラ ― スケジューラは、ラインカードからのスイッチ ファブリックへのアクセス要求を処理します。スケジューラは、ラインカードからスイッチ ファブリックへのアクセス要求を受信すると、ラインカードにスイッチ ファブリックへのアクセスを許可するタイミングを判別します。
• スイッチ ファブリック ― スイッチ ファブリックは、ラインカード間およびラインカードと RP 間のユーザ トラフィックを伝送します。SFC にはスイッチ ファブリック回路だけが含まれ、CSC からスケジューリング情報とシステム クロック情報を受信します。
SFC に内蔵されているのは、ラインカード間またはラインカードと RP 間のユーザ トラフィックを伝送するスイッチ ファブリック回路だけです。SFC は CSC から送信されるスケジューリング情報およびシステム クロックを受信します。
Cisco XR 12406 ルータは、10 Gbps スイッチ ファブリックを基盤とし、各 CSC または SFC により、システム上の各ライン カードに 10 Gbps 全二重接続が提供されます。10 Gbps スイッチ ファブリックは、CSC(製品番号:GSR6-CSC=[オリジナル ファブリック バージョン]、12406E-CSC=[拡張ファブリック バージョン] )および SFC(製品番号 GSR6-SFC=[オリジナル ファブリック バージョン]、12406E-SFC=[拡張ファブリック バージョン])で構成されます。10 Gbps SFC のラベルは、単純に CSC および SFC です。
(注) 2.5 Gbps SFC と 10 Gbps SFC を、同じシャーシ上に混在させることはできません。SFC のタイプが混在していると、ルータは動作しません。
ルータに 2 つの CSC を搭載すると、データ パス、スケジューラ、および基準クロックが冗長構成されます。ラインカードとスイッチ ファブリック間のインターフェイスは、常時、モニタされています。ルータが Loss of Synchronization(LOS; 同期損失)を検出すると、冗長 CSC のデータ パスが自動的にアクティブになり、データは冗長パス上で転送されます。冗長 CSC への切り換えは 0.5 秒以内に行われるので、データ損失はほとんど、またはまったく生じません。
(注) 拡張 Cisco XR 12406 シャーシ(12406/120 ファブリック オプションで構成された XR-12000/6)は、システムのハイ アベイラビリティの維持に必要となる冗長 CSC が搭載されて出荷されます。
Cisco XR 12406 ルータには、2 つのアラーム カード スロットがあります(図 1-5を参照)。各アラーム カードは、次の機能を実行するか、または次の状態を通知します。
冗長アラーム カードには、OIR メンテナンス(ホットスワップ対応)機能を含め、完全なアラーム機能が実装されています。
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(注) EMI 規格に準拠するために、Cisco XR 12406 ルータには 2 つのアラーム カードを実装する必要があります。
アラーム出力機能は、リレー、LED、および MBus モジュール上の出力ポートに接続された関連ドライバのセットによって構成されます。
アラーム出力機能は、RP 上のソフトウェアによって制御されます。RP から信号を受信すると、アラーム カード上の MBus モジュールにより特定のリレーがアクティブ化され、アラーム状態が通知されます。アラーム状態には、3 つの重大度があります。クリティカル、メジャー、およびマイナーです。クリティカル、メジャー、およびマイナーのアラーム LED は、1 つの LED の障害に備えて 2 つずつ用意されています。
(注) 一部のCisco XR 12000 シリーズ ルータのアラーム カードには、可聴アラームと可視アラームの両方のインジケータがあります。Cisco XR 12406 ルータのアラーム カードの場合は、ルータの異常状態をローカルで警告する可視アラーム インジケータだけです。
発生したアラーム状態がクリティカル、メジャー、またはマイナーのどれにあたるのかは、RP 上で実行する IOS XR ソフトウェアによって判別されます。show コマンドの sh gsr table および sh env all を入力すると、LED の制限および現在の状態を示すテーブルが表示されます。
アラーム カードは、システム上のすべての CSC および SFC について、OK および FAIL の状態を通知します。ファブリック カードからの冗長信号が、各アラーム カードの LED に送信されます。アラーム カードは、これらの LED の使用を制御しません。
MBus 補助電源モジュールは、50 W DC-DC 電源と電流共有回路で構成されています。アラーム カードはこの電源から給電されるので、オンボード MBus モジュールがこの電源の問題を通知するのは、シャーシに冗長アラーム カードが搭載され、MBus に給電している場合だけです。
アラーム カードのステータスは、MBUS ラベルが付いている 1 対のLED(ENABLED/FAIL)で通知されます。グリーンの ENABLED LED は、アラーム カード上の MBus モジュールが正常に動作していることを示します。イエローの FAIL LED は、アラーム カードそのもの、または MBus 電源モジュールにエラーが検出されたことを示します。
アラーム カードは、標準動作範囲以外の状態が発生すると、電源モジュールおよび信号を監視します。次のような問題が判別されます。
ルータのアラーム インジケータの信号がルータ以外の別の場所で反復されるように、ルータに外部アラーム装置を接続するには、アラーム カードの前面プレート上にある 9 ピン D タイプ アラーム リレー コンタクト コネクタを使用します(図 1-5を参照)。
このコネクタのピンには、クリティカル、メジャー、およびマイナーのアラーム リレー コンタクト(ノーマル オープン、ノーマル クローズ、コモン)が直接割り当てられています。アラーム カードの前面プレート上のアラーム LED を点灯させるイベントが発生すると、対応するリレー コンタクト クロージャもアクティブになります。リレー インターフェイスの定格は、最大 2 A、60 V、または 50 VA のどちらか大きいほうです。
アラーム コンタクト ケーブルは、設置場所の環境に応じてまったく異なるので、シスコではアラーム コネクタ ケーブルを提供していません。アラーム コネクタの接続要件およびアラーム コネクタ インターフェイスのピン割り当てについては、「アラーム カードのアラーム リレー コネクタの仕様」を参照してください。
Cisco XR 12406 ルータには、次のセクションで説明するように、AC または DC のどちらかの電源サブシステムを使用できます。
• 「配電」
(注) Cisco XR 12406 ルータには、AC 電源または DC 電源のどちらかを搭載できますが、両方のタイプの電源モジュールを同時に搭載することはできません。
(注) 拡張 Cisco XR 12406 シャーシ(12406/120 ファブリック オプションで構成された XR-12000/6)は、システムのハイ アベイラビリティの維持に必要となる冗長電源モジュールが搭載されて出荷されます。
(注) AC 電源で運用しているCisco XR 12406 ルータを、DC 電源に変更できます。また、DC 電源から AC 電源に変更することもできます。電源の変更は設置場所で実行できますが、システムの電源をオフにする必要があります。
AC 電源サブシステムは、次のシステム コンポーネントで構成されています。
• AC 入力電源モジュール(非冗長の場合は 1 台、冗長構成の場合は 2 台)
AC 電源モジュールが搭載されたCisco XR 12406 ルータは、シャーシ背面パネル上の AC PDU (図 1-6を参照)を介して、設置場所の AC 電源に接続します。
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出荷時のルータには、ルータの電源を非冗長構成にするか冗長構成にするかに応じて、PDU を設置場所の AC 電源に接続するための 14 フィート(4.3 m) AC 電源コードが 1 本または 2 本、付属しています。AC 電源コードの AC 電源プラグは、いくつかのタイプが用意されています( AC 電源プラグを参照)。
(注) 本来の冗長構成にするには、各電源モジュールを、独自の回路ブレーカーで保護された個別の電力回路に接続してください。
AC 入力電源モジュールは、シャーシ前面の一番下にある 2 つのベイの 1 つに搭載する着脱式の電源モジュールです(図 1-1を参照)。この電源モジュールは活性挿抜をサポートしているので、ホットスワップ対応です(図 1-7を参照)。
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(注) ルータを 1 台の電源モジュールで運用する場合は、EMI 規格に準拠するために、第 2 電源モジュール ベイにブランク フィラー(MAS-GSR-PWRBLANK=)を取り付ける必要があります。
AC 入力電源モジュールの機能は次のとおりです(図 1-7を参照)。
• オリジナル シリーズのCisco XR 12406 ルータ:Power Factor Corrector(PFC; 力率補正回路)により、電源モジュールは、100 ~ 120 VAC 20 A(北米)および 185 ~ 264 VAC 16 A(国際標準)の AC 電源からの AC 電源電圧に対応しています。
• 拡張シリーズのCisco XR 12406 ルータ:20 A(北米)および 16 A(国際標準)の供給を必要とする 220 VAC だけをサポートしています。
• 各 AC 入力電源モジュールの重量は約 14 ポンド(6.4 kg)で、オリジナル バージョンのルータで最大 1400 W、拡張バージョンのルータで最大 1950 W を配電できます。
• 各 AC 入力電源モジュールには、専用の 20 A 電源(北米)または 16 A 電源(国際標準)が必要です。
• 前面プレートの電源スタンバイ スイッチは、AC 入力電源モジュールの DC 出力電力回路を一時的にディセーブルにします。
(注) このスイッチは、AC 入力電源モジュールの AC 入力電力を遮断するわけではありません。ルータに AC 電源が接続されているかぎり、電源モジュールの回路には AC 電力が給電されています。
• 電源モジュールには、取り外しおよび交換が容易にできるようにハンドルが付いています。
• 電源モジュールのイジェクト レバーは、非脱落型ネジにより電源モジュール ベイに固定されています。
• 前面プレートの 2 つの LED は、ステータス情報を表示します。 表1-1 に、これらのインジケータの意味を示します。
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DC 電源サブシステムは、次のシステム コンポーネントで構成されています。
• DC 入力 PEM(非冗長の場合は 1 台、冗長構成の場合は 2 台)
DC 電源モジュールが搭載されたルータは、DC PDU のコネクタ ブロックを介して、設置場所の DC 電源に接続します(図 1-8を参照)。
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DC 入力電源は、シャーシ背面パネルの DC PDU を介して接続します。DC PDU には、2 つの DC 電源コネクタ ブロックがあります。各 DC 電源コネクタ ブロックには、3 つの端子ポートがあります。DC 電源からのリード線は、端子ブロックに接続する必要があります。マイナス線を上側のポート、プラス線を中央のポート、アース線を下側のポートに接続します。
DC 入力 PEM(図 1-9を参照)は、シャーシ前面の一番下にある 2 つのベイの 1 つに搭載する着脱式の電源モジュールです(図 1-1を参照)。この電源モジュールは活性挿抜をサポートしているので、ホットスワップ対応です。
(注) ルータを 1 台の電源モジュールで運用する場合は、EMI 規格に準拠するために、第 2 電源モジュール ベイにブランク フィラー(MAS-GSR-PWRBLANK=)を取り付ける必要があります。
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DC 入力 PEM(図 1-9を参照)の機能は次のとおりです。
• 前面プレート上の回路ブレーカー スイッチは、PEM のオンとオフを切り換えます。
• PEM には、取り外しおよび交換を容易にするためのハンドルが付いています。
• PEM イジェクト レバーは、非脱落型ネジにより PEM ベイに固定されています。
• 前面プレート上の 3 つの LED は、ステータス情報を表示します。 表1-2 に、これらのインジケータの意味を示します。
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• 各 PEM の重量は 10.5 ポンド(4.76 kg)で、最大 1400 W(-48 VDC)を配電できます。
• 各 PEM は、設置場所の DC 電源とルータの DC PDU を、DC 入力電源コードで接続する必要があります。PDU に接続する DC 電源コードは、6 AWG の撚り線ワイヤを使用してください。
• PEM に接続できるのは、UL1950、CSA950、EN60950、および IEC950 の Safety Extra-Low Voltage(SELV; 安全超低電圧)要件に準拠している DC 電源だけです。
• ルータには、DC 電源用の専用 45 A DC 回路ブレーカーが必要です。この回路ブレーカーにより、United States National Electrical Code NFPA 70(米国)、Canadian Electrical Code, part I, CSA C22.1(カナダ)、および IEC 364(その他の国)に従って、ショートおよび過電流障害から保護されます。
(注) 停電時の保護として、Uninterruptible Power Source(UPS; 無停電電源)を取り付けることを推奨します。
ルータ シャーシのバックプレーンからは、ルータ全体およびカード ケージ内のすべてのカードに対して、-48 VDC の電力が配電されます。
カードにはすべて、-48 VDC を +2.5 VDC、+3.3 VDC、+5 VDC、およびラインカードに必要な他の電圧に変換する複数の DC/DC コンバータが付いています。DC/DC コンバータは、RP および MBus ソフトウェアの制御のもとで、MBus モジュールによってオンに設定されます。
ブロワー モジュールの電力は、バックプレーンからブロワー モジュールに DC 電圧を渡す PDU 上のコネクタにより、バックプレーンから直接、配電されます。ブロワー モジュールのブロワー モジュール コントローラ カードは、-48 VDC を DC 電圧に変換し、ブロワー モジュール ファンに配電します。
Cisco XR 12406 ルータは、シャーシ内に空気を送り込むブロワー モジュールを備えています。ブロワー モジュールは、シャーシの背面にあります(図 1-2を参照)。ブロワー モジュールは、シャーシ側面の 2 つのエアー フィルタからシャーシ内に空気を取り込み、シャーシのカード ケージ全体に空気を送り込んで、ブロワー モジュール背後の排気口から排出します(図 1-10を参照)。
RP およびラインカード ケージ内の温度が上昇すると、過熱による装置の損傷を防ぐために、システム環境モニタによって、すべての内部電源がシャットダウンされます。
ブロワー モジュール内の 3 つのファンのいずれかに障害が検出されると、コンソール画面に警告メッセージが表示されます。複数のファンに障害が検出されると、装置の損傷を防ぐために、システムがシャットダウンされます。
ブロワー モジュールの 2 つの LED は、ブロワー モジュールのステータスを示す可視インジケータです。ブロワー モジュール上のこれらの LED は、シャーシ背面から確認できます。
• OK ― 左側の LED:グリーン。この LED が点灯していれば、ブロワー モジュールは正常に動作しています。この LED は、ブロワー モジュールが取り付けられ、バックプレーン コネクタから給電されると、すぐに点灯します。
• FAIL ― 右側の LED:レッド。正常に動作している場合、レッドの LED は消灯したままです。レッドの LED が点灯した場合、ブロワー モジュールでファンの故障またはその他の障害が検出されています。既存のブロワー モジュールを、スペアのモジュールと交換してください。
Cisco XR 12406 ルータのカード ケージはすべて、シャーシ背面のパッシブ システム バックプレーンを介して電気的に結合しています。シャーシ上のほとんどすべての配線および回路は、シャーシのバックプレーン内にあるか、またはバックプレーンに接続されています。シャーシのバックプレーンは、シャーシ内のすべてのカードおよびブロワー モジュールに DC 電力を配電し、内部システム メンテナンス バス(MBus)を通して、カード間にネットワーク データおよびシステム通信の両方の物理通信パスを提供します。
メンテナンス バスおよび MBus モジュールは、システムのメンテナンス機能を管理します。MBus はバックプレーンに統合され、2 つの個別バス構成により、MBus の冗長性が実現されています。
両方の MBus ネットワークは、次のすべてのコンポーネントにリンクされます。
各コンポーネント上に配置された MBus モジュールは、MBus を経由して通信し、アラーム カードから直接、DC 電圧が供給されます。MBus は、各コンポーネントの電源のオン/オフ制御、コンポーネント(デバイス)検出、コードのダウンロード、診断、環境モニタリングとアラームの機能を実行します。
各 MBus モジュールは、そのモジュールが配置されているコンポーネントがオンボード EPROM および RP から受信するコマンドに基づいて、コンポーネント上の DC/DC コンバータを直接制御します。各 MBus モジュールには、アラーム カードからの DC 電圧が直接供給されます。
ルータに電力が供給されると、すべての MBus モジュールの電源がただちにオンになります。RP および CSC 上の MBus モジュールは、DC/DC コンバータをすぐにオンにして、それぞれのカードの電源をオンにします。ラインカードの MBus モジュールは、RP からコマンドを受信するまで待機してから、ラインカードの電源をオンにします。
RP は、MBus を使用して、システム構成を検出します。RP は、MBus 上にメッセージを送信して、搭載されているすべてのデバイスの識別情報を要求します。応答には、コンポーネントのタイプと、ラインカード、CSC、SFC、およびアラーム カードのスロット番号が含まれています。
ラインカード オペレーティング ソフトウェアの一部は、MBus を経由して RP からラインカードにダウンロードできます。MBus はスイッチ ファブリックよりも処理速度が遅いので、ラインカードにダウンロードされるのは、スイッチ ファブリックにアクセスしてダウンロードを完了するために必要な最小限のコードだけです。
各コンポーネントの MBus モジュールは、そのコンポーネントの環境を次のようにモニタします。
• ラインカードと RP は、各カードに搭載された 2 つの温度センサーによって温度がモニタされます。MBus モジュールは、ソフトウェアによって +2.5 VDC、+3,3 DVC、および +5 DVC DC/DC コンバータの電圧を調整します。
• CSC および SFC は、各カードに搭載された 2 つの温度センサーによって温度がモニタされます。MBus モジュールは、ソフトウェアによって +2.5 VDC および +3.3 VDC コンバータの電圧を調整します。
Cisco XR 12406 ルータには、2 枚のユーザによるメンテナンスが可能なエアー フィルタが取り付けられています(図 1-11を参照)。
エアー フィルタは、シャーシ前面の右側に取り付けられています。エアー フィルタは、バネ方式で開閉する扉の内側に収納されています。
エアー フィルタを取り外した状態でルータを稼働させないでください。エアー フィルタは、月に一度(空気が汚れている環境ではさらに頻繁に)点検して清掃する必要があります。
Cisco XR 12406 ルータのケーブル管理システムは、ケーブルが極端に曲がったり、作業の邪魔にならないように、システムに接続するインターフェイス ケーブルを整理するためのものです。
ケーブル管理システム(図 1-12を参照)は、次のコンポーネントで構成されています。
• 各ラインカードのラインカード ケーブル管理ブラケット× 1
シャーシのケーブル管理ブラケットは、ルータ シャーシの前面に向かって左側にあり、ラインカード/RP カード ケージに隣接して取り付けられています。シャーシのケーブル管理ブラケットを使用して、ラインカードおよび RP のケーブルの曲げを防ぎ、メンテナンスおよび LED の確認などでシャーシ前面の作業が必要なときに邪魔にならないようにケーブルを収納します。
ラインカード ケーブル管理ブラケットは、非脱落型ネジにより、各ラインカードに取り付けられています。ブラケットのケーブル タイで、ネットワーク インターフェイス ケーブルを固定し、ケーブルが割り当てられたコネクタに対して正しい位置で維持されるようにします。また、ラインカード上のコネクタに接続するときのケーブルの曲げ半径を調整します。
複数ポートのあるラインカードの場合は、ラインカードの取り外し/取り付け時に、ラインカード ケーブル管理ブラケットを使用して、ネットワーク インターフェイス ケーブルがばらばらにならないようにします。ラインカードからラインカード ケーブルを取り外す際、ラインカードのコネクタから取り外したネットワーク インターフェイス ケーブルをブラケットで束ねたままにしておくことができます。こうすると、ラインカードを取り付けるときに、ネットワーク インターフェイス ケーブルはラインカード ケーブル コネクタとすでに対応している状態になります。
Cisco XR 12406 ルータの Field Replaceable Unit(FRU; 現場交換可能ユニット)には、次のユニットが含まれます。
(注) FRU の発注の詳細については、代理店にお問い合わせください( マニュアルの入手方法、テクニカル サポート、およびセキュリティ ガイドラインを参照)。
Cisco XR 12000 シリーズ ルータは、ラインカードおよびソフトウェア イメージを更新することにより、Cisco XR 12406 ルータにアップグレードできます。サポートされるラインカードおよびソフトウェアのアップグレード手順など、このプロセスの詳細については、シスコのマニュアル『 Upgrading a Cisco 12000 Series Router from Cisco IOS Software to Cisco IOS XR Software 』を参照してください。
Cisco XR 12406 ルータの技術仕様および適合規格については、 付録A「Cisco XR 12406 ルータの技術仕様および警告」 を参照してください。