ネットワーク同期のサポート
ネットワークに提供されるほとんどのサービスは、正しく動作するように完全に同期化する必要があります。ネットワークを構成するネットワーク デバイスが同じクロック レートで動作しない場合は、ネットワークのパフォーマンスは低下し、結果としてネットワークが提供するサービスの品質が低下します。このマニュアルでは、Cisco ASR 1000 シリーズ アグリゲーション サービス ルータのネットワーク同期を設定する方法について説明します。
この章で紹介する機能情報の入手方法
ご使用のソフトウェア リリースで、このモジュールで説明されるすべての機能がサポートされているとは限りません。最新の機能情報と注意事項については、ご使用のプラットフォームとソフトウェア リリースに対応したリリース ノートを参照してください。このモジュールで説明される機能に関する情報、および各機能がサポートされるリリースの一覧については、「ネットワーク同期サポートの機能情報」を参照してください。
プラットフォーム サポートと Cisco ソフトウェア イメージ サポートに関する情報を入手するには、Cisco Feature Navigator を使用します。Cisco Feature Navigator には、 http://www.cisco.com/go/cfn からアクセスします。Cisco.com のアカウントは必要ありません。
ネットワーク同期化の概要
ネットワークの同期プランを設計するときには、次の目的を考慮に入れる必要があります。
• 独立した最小数のクロック ソースに最も多くのネットワーク要素を同期化します。すべてのネットワーク要素が 1 つのクロック ソースに同期されることが理想的です。
• 安定性および長期間の精度が高品質のクロック ソースを使用します。
• 同期の復元力、クロック ソースの起こり得る障害のための計画、ネットワーク要素およびネットワーク トランクを確認します。
G.8261、G.8262 などの Telecommunication Standardization Sector(ITU-T)規格で定義された Synchronous Ethernet(SyncE)は、リモート サイトへのクロック情報の送信にイーサネットの PHY レイヤを利用します。
SyncE は、Synchronous Optical Networking(SONET)ネットワークのコスト効率の良い代替手段となります。SyncE を機能させるには、同期パスの各ネットワーク要素が SyncE をサポートする必要があります。SyncE を実装するには、Primary Reference Clock(PRC)が追跡可能な信頼性の高いクロックに、イーサネットのビット クロックを合わせます。
Cisco ASR 1000 シリーズ アグリゲーション サービス ルータには、Synchronization Supply Unit(SSU)からのクロッキング情報を回復するための、ビット インターフェイスと呼ばれる専用外部インターフェイスがあります。ルータは SyncE に対してこのクロックを使用します。BITS インターフェイスは、E1(ヨーロッパ SSU)および T1(アメリカ BITS)フレーミングをサポートします。
表 1 に Cisco ASR 1002-X ルータ上の BITS ポートのフレーミング モードを示します。
表 1 Cisco ASR 1002-X ルータ上の BITS ポートのフレーミング モード
BITS または SSU ポートのサポート マトリクス
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T1 |
T1 ESF |
Yes |
Yes |
Yes |
T1 |
T1 SF |
Yes |
Yes |
Yes |
T1 |
T1 D4 |
Yes |
Yes |
Yes |
E1 |
E1 CRC4 |
Yes |
Yes |
Yes |
E1 |
E1 FAS |
Yes |
Yes |
Yes |
E1 |
E1 CAS |
Yes |
Yes |
Yes |
E1 |
E1 CAS CRC4 |
Yes |
Yes |
Yes |
2048 kHz |
2048 kHz |
Yes |
Yes |
Yes |
表 2 に、他の Cisco ASR 1000 シリーズ アグリゲーション サービス ルータ上の BITS ポートのフレーミング モードを示します。
表 2 他の Cisco ASR 1000 シリーズ アグリゲーション サービス ルータ上の BITS ポートのフレーミング モード
BITS または SSU ポートのサポート マトリクス
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T1 |
T1 ESF |
No |
No |
Yes |
T1 |
T1 SF |
No |
No |
Yes |
E1 |
E1 CRC4 |
No |
No |
Yes |
E1 |
E1 FAS |
No |
No |
Yes |
E1 |
E1 CAS |
No |
No |
Yes |
E1 |
E1 CAS CRC4 |
No |
No |
Yes |
2048 kHz |
2048 kHz |
No |
No |
Yes |
次のいずれかの機能を使用して、Cisco ASR 1000 シリーズ ルータのネットワーク同期を設定できます。
• SyncE からのクロック回復
SyncE 機能からのクロック回復機能が設定されている場合、システム クロックが SyncE クロッキング ソース(SyncE 対応インターフェイスのみ)から復元されます。ルータはこのクロックを、他のサポートされている SPA の Tx クロックとして使用します。
• 外部インターフェイスからのクロック回復
外部インターフェイス機能からのクロック回復がイネーブルの場合、システム クロックが BITS クロック ソースから復元されます。
• GPS(10M)のソースからのクロック回復
(注) GPS(10M)のソース機能からのクロック回復機能は、Cisco ASR 1002-X ルータでのみサポートされます。
GPS のソース機能からのクロック回復がイネーブルの場合、システム クロックは、GPS(10M)クロック ソースから復元されます。
• 外部への回線
(注) 外部機能に対する回線は Cisco ASR 1002-X ルータではサポートされません。
外部への回線機能がイネーブルの場合、イーサネットから受信されたクロックが外部 SSU に転送されます。SyncE 機能はクロック クリーン アップの機能を提供します。同期チェーンの中のルータでは、受信されたクロックで許容されない誤動作およびジッターが発生することがあります。ルータは SyncE インターフェイスからクロックを回復し、BITS インターフェイスに必要な形式に変換し、BITS ポートから SSU に送信します。SSU は、クリーンアップを実行し、BITS インターフェイスにクロックを返します。クリーン アップされたクロックは、SSU から受信します。このクロックは、SyncE ポートの Tx クロックとして使用されます。Cisco ASR 1000 シリーズ ルータでは、クロックが復元されるインターフェイスと SSU への BITS ポートは、同じカード上に存在する必要があります。
SyncE 対応の Cisco ASR 1000 シリーズ ルータはスケルチ機能を提供します。この機能では、クロック ソースがダウンした場合にアラーム表示信号(AIS)が Tx インターフェイスに送信されます。外部機能に対する回線が設定されていると、回線ソースが時間のいずれかの時点でダウンした場合に、AIS が外部インターフェイスを介して SSU に送信されます。スケルチングは SSU および PRC などの外部デバイスでのみ実行されます。
最大 8 台のクロック ソースをルータに設定できます。ネットワーク同期機能をサポートするルータでは、クロック ソースの品質に基づいてクロック ソースの選択を設定できます。この機能が設定されている場合、最高品質を提供するクロック ソースがデフォルトのクロック ソースになります。最高レベルの品質が複数のクロック ソースによって提供される場合、品質が最高レベルのクロック ソース間で、優先順位が最高のクロック ソースがデフォルトのクロック ソースになります。また、次の管理オプションを使用して同期を管理できます。
• [Hold-Off Time]:クロック ソースがダウンすると、ルータはクロック選択プロセスからクロック ソースを削除する前に特定のホールドオフ時間を待機します。ホールドオフ時間のデフォルト値は 300 ミリ秒です。
• [Wait to Restore]:SyncE インターフェイスが起動すると、ルーターは SyncE インターフェイスが同期ソースであると判断するまでに、一定時間待機します。デフォルト値は 300 秒です。
• [Force Switch]:送信元が使用可能かまたは指定範囲内にあるかに関係なく同期ソースを強制的に選択します。
• [Manual Switch]:クロック ソースの品質レベルが現在アクティブなクロックより高い場合に、手動で同期ソースを選択します。
表 3 にネットワーク同期をサポートする SPA を示します。
表 3 ネットワーク同期をサポートする SPA
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Hybrid |
SPA_TYPE_HYBRID_2KP |
Prowler |
SPA_TYPE_PRO_1xCHOC3_STM1 |
Chopper |
SPA_TYPE_CHOP_1xCHOC12 |
CEOP |
SPA_TYPE_CEOP_1xOC3 |
SPA_TYPE_CEOP_24xT1E1 |
ATM |
SPA_TYPE_TATM_1xOC3 |
SPA_TYPE_TATM_2xOC3 |
SPA_TYPE_TATM_3xOC3 |
SPA_TYPE_TATM_1xOC12 |
POS |
SPA_TYPE_POS_2xOC3 |
SPA_TYPE_POS_4xOC3 |
SPA_TYPE_POS_1xOC12 |
SPA_TYPE_POS_2xOC12 |
SPA_TYPE_POS_MF_4xOC3 |
SPA_TYPE_POS_MF_8xOC3 |
SPA_TYPE_POS_MF_2xOC12 |
SPA_TYPE_POS_MF_4xOC12 |
SPA_TYPE_POS_MF_8xOC12 |
SPA_TYPE_POS_SRP_OC192 |
SPA_TYPE_POS_SRP_OC192_XFP |
SPA_TYPE_POS_SRP_1xOC48 |
SPA_TYPE_POS_SRP_2xOC48 |
SPA_TYPE_POS_SRP_4xOC48 |
同期ステータス メッセージおよびイーサネット同期メッセージング チャネル
ネットワーク クロッキングは、次のメカニズムを使用してネットワーク要素間のクロック品質レベルを交換します。
• 「同期ステータス メッセージ」
• 「イーサネット同期メッセージング チャネル」
同期ステータス メッセージ
ネットワーク要素は、Synchronization Status Message(SSM; 同期ステータス メッセージ)を使用して隣接する要素にクロックの Quality Level(QL; 品質レベル)について通知します。光インターフェイスおよび T1 または E1 SPA フレームなどの非イーサネット インターフェイスは、SSM を使用します。SSM の主な利点は次のとおりです。
• タイミング ループが回避されます。
• ネットワークの一部で障害が発生した場合に迅速に回復が行われます。
• ノードが、最も信頼性が高いクロック ソースからタイミングを得ます。
イーサネット同期メッセージング チャネル
同期ネットワーク接続で論理通信チャネルを保持するために、イーサネットは、IEEE 802.3 Organization Specific Slow Protocol(OSSP)標準に基づいた Ethernet Synchronization Messaging Channel(ESMC)と呼ばれるチャネルに依存します。ESMC は、物理レイヤの Ethernet Equipment Clock(EEC)の品質レベルを表す SSM コードをリレーします。
ESMC パケットは、クロック ソースとして設定されたポートに対してのみ受信され、システムのすべての SyncE インターフェイスで送信されます。これらのパケットは、ルート プロセッサ(RP)でクロック選択アルゴリズムによって処理され、最良のクロックを選択するために使用されます。Tx フレームは、選択されたクロック ソースの QL 値に基づいて生成され、すべてのイネーブルな SyncE ポートに送信されます。
クロック選択アルゴリズム
クロック選択アルゴリズムは、指定されたソースから最良の利用可能な同期ソースを選択します。このアルゴリズムは同じ QL 値を持つクロック ソース間で非リバーティブの動作を常に示し、最適な QL 値を持つ信号を選択します。クロック オプション 1 の場合、デフォルト値はリバーティブであり、クロック オプション 2 の場合、デフォルト値は非リバーティブです。
クロック選択プロセスは次のモードで機能します。
• 「QL-Enabled モード」
• 「QL-Disabled モード」
1 つのネットワーク要素で複数の選択プロセスが存在する場合、すべてのプロセスは同じモードで動作します。
QL-Enabled モード
QL-enabled モードでは、次のパラメータが選択プロセスに関係します。
• 品質レベル
• QL-FAILED による信号失敗
• 優先度
• 外部コマンド
外部コマンドがアクティブでない場合は、アルゴリズムにより、信号失敗の状況が発生しない、QL が最大である基準(クロック選択用)が選択されます。複数の入力の QL が同等に最高である場合、最も高い優先度を持つ入力が選択されます。優先度と QL が最高の入力が複数ある場合、既存の基準が維持されます(優先度と QL が最高のグループに属している場合)。それ以外の場合は、優先度と QL が最高のグループから任意の基準が選択されます。
QL-Disabled モード
QL-disabled モードでは、次のパラメータが選択プロセスに関係します。
• 信号失敗
• 優先度
• 外部コマンド
外部コマンドがアクティブでない場合は、アルゴリズムにより、信号失敗の状況が発生しない、優先度が最大である基準(クロック選択用)が選択されます。優先度が最高の入力が複数ある場合、既存の基準が維持されます(優先度が最高のグループに属している場合)。それ以外の場合は、優先度が最高のグループから任意の基準が選択されます。
制約事項および使用上の注意事項
ここでは、ルータのネットワーク同期の設定に関する制約事項および使用上のガイドラインを示します。
• ネットワーク同期を設定するときに使用できる、SPA のリストについては、表 3 を参照してください。
• ネットワーク クロック アルゴリズムがイネーブルの場合は、ルータのイーサネット インターフェイスの Tx クロック(同期モード)としてシステム クロックを使用します。インターフェイス単位の同期モードは変更できません。
• ルータのクロック ソースとして最大 8 個のポートを設定できます。
• SyncE 機能は SSO 共存、SSO 対応ではありません。クロック選択アルゴリズムは、スイッチオーバーで再び開始されます。スイッチオーバー中に、ルータはホールドオーバー モードになります。
• QL-enabled クロック選択で、WAN モードの SyncE インターフェイスを使用することはできません。QL-disabled モードのシステムでこれらのインターフェイスを使用するか、これらのインターフェイスで ESMC をディセーブルにし、これらのインターフェイスを QL-disabled インターフェイスとして使用する必要があります。
• TSM(メッセージのスイッチング遅延)に影響が出るため、同じ優先度を持つ複数の入力ソースを設定しないことが推奨されます。
• ネットワーククロック ベースのクロック選択アルゴリズムと新しいアルゴリズムを同時に実装することはできません。これら両方のアルゴリズムは同時に使用できません。
• クロック クリーン アップのための外部機能への回線は、回線インターフェイスと外部インターフェイスが同じメトロノーム SPA にある場合のみサポートされます。
(注) 外部機能に対する回線は Cisco ASR 1002-X ルータではサポートされません。
ネットワーク同期の設定
次のいずれかの手順を実行して、Cisco ASR 1000 シリーズ ルータのネットワーク同期を設定できます。
• 「SyncE からのクロック回復の設定」
• 「BITS ポートからのクロック回復の設定」
• 「外部機能への回線を使用した SyncE の設定」
SyncE からのクロック回復の設定
ここでは、SyncE メソッドを使用して、クロック回復を設定する方法について説明します。
手順の概要
1. configure terminal
2. network-clock synchronization automatic
3. network-clock synchronization ssm option {1 | 2 {GEN1 | GEN2}}
4. interface gigabitethernet slot/card/port
5. synchronous mode
6. exit
7. network-clock input-source priority {interface interface-name slot/card/port | {external slot/card/port }}
8. exit
例
次に、SyncE からのクロック回復を設定する例を示します。
Router# configure terminal
Router(config)# network-clock synchronization automatic
Router(config)# network-clock synchronization ssm option 2 GEN1
Router(config)# interface gigabitethernet 0/2/0
Router(config-if)# synchronous mode
Router(config)# network-clock input-source 1 interface gigabitethernet 0/2/0
入力送信元の BITS ポートからのクロック回復
ここでは、入力送信元の BITS ポートからのクロック回復を設定する方法について説明します。
手順の概要
1. configure terminal
2. network-clock synchronization automatic
3. network-clock synchronization ssm option option-id generation-id
4. network-clock input-source priority {external slot/card/port }
5. exit
例
次に、メトロノーム SPA の BITS ポートからのクロック回復を設定する例を示します。
Router# configure terminal
Router(config)# network-clock synchronization automatic
Router(config)# network-clock synchronization ssm option 2 GEN1
Router(config)# network-clock input-source 1 external 0/3/0 t1 esf
次に、デュアル RP を備えた Cisco ASR 1000 シリーズ アグリゲーション サービス ルータの RP BITS の BITS ポートからのクロック回復を設定する例を示します。
Router# configure terminal
Router(config)# network-clock synchronization automatic
Router(config)# network-clock synchronization ssm option 2 GEN
Router(config)# network-clock input-source 1 External R0 t1 esf
次に、E1 Common Channel Signal モードの Cisco ASR 1002-X シリーズ アグリゲーション サービス ルータの入力送信元の BITS によるクロック回復を設定する例を示します。
Router# configure terminal
Router(config)# network-clock synchronization automatic
Router(config)# network-clock synchronization ssm option 2 GEN
Router(config)# network-clock input-source 1 external r0 e1 cas crc4 120 linecode
出力送信元の BITS ポートからのクロック回復
ここでは、出力送信元の BITS ポートからのクロック回復を設定する方法について説明します。
(注) 出力送信元としての BITS 設定は Cisco ASR 1002-X ルータでのみサポートされます。
手順の概要
1. configure terminal
2. network-clock synchronization automatic
3. network-clock synchronization ssm option option-id generation-id
4. network-clock output-source priority {external slot/card/port }
5. exit
例
次に、メトロノーム SPA の BITS ポートからのクロック回復を設定する例を示します。
Router# configure terminal
Router(config)# network-clock synchronization automatic
Router(config)# network-clock synchronization ssm option 2 GEN1
Router(config)# network-clock output-source 1 external 0/3/0 t1 esf
次に、デュアル RP を備えた Cisco ASR 1000 シリーズ アグリゲーション サービス ルータの RP BITS の BITS ポートからのクロック回復を設定する例を示します。
Router# configure terminal
Router(config)# network-clock synchronization automatic
Router(config)# network-clock synchronization ssm option 2 GEN
Router(config)# network-clock output-source 1 external R0 t1 esf
次に、E1 Common Channel Signal モードの Cisco ASR 1002-X シリーズ アグリゲーション サービス ルータの出力送信元の BITS によるクロック回復を設定する例を示します。
Router# configure terminal
Router(config)# network-clock synchronization automatic
Router(config)# network-clock synchronization ssm option 2 GEN
Router(config)# network-clock output-source 1 external r0 e1 cas crc4 120 linecode
外部機能への回線を使用した SyncE の設定
ここでは、外部機能への回線を使用してネットワーク同期を設定する方法について説明します。
(注) 外部機能に対する回線は Cisco ASR 1002-X ルータではサポートされません。
手順の概要
1. configure terminal
2. network-clock synchronization automatic
3. network-clock synchronization ssm option {1 | 2 {GEN1 | GEN2}}
4. interface gigabitethernet slot/card/port
5. synchronous mode
6. exit
7. network-clock output-source line priority {interface interface-name } {external slot/card/port }
8. exit
例
次に、外部メソッドへの回線を使用して SyncE を設定する例を示します。
Router# configure terminal
Router(config)# network-clock synchronization automatic
Router(config)# network-clock synchronization ssm option 2 GEN1
Router(config)# interface gigabitethernet 0/2/0
Router(config-if)# synchronous mode
Router(config)# network-clock output-source line 1 interface gigabitethernet 0/2/0 external 0/3/0
Cisco ASR 1000 シリーズ ルータでの同期の管理
次の管理コマンドを使用して、Cisco ASR 1000 シリーズ ルータで同期を管理します。
• QL-enabled モードのクロック選択
QL-enabled モードの自動選択プロセスを設定するには、グローバル コンフィギュレーション モードで network-clock synchronization mode QL-enabled コマンドを使用します。これは、SyncE インターフェイスが SSM を送信できる場合にのみ成功します。次に、グローバル コンフィギュレーション モードでネットワーク クロック同期(QL-enabled モード)を設定する例を示します。
Router(config)# network-clock synchronization mode QL-enabled
• ESMC プロセス
システム レベルで ESMC プロセスをイネーブルにするには、グローバル コンフィギュレーション モードで esmc process コマンドを使用します。コマンドの no 形式を使用すると、ESMC プロセスがディセーブルになります。コマンドの no 形式は、プラットフォームに SyncE 対応インターフェイスがインストールされている場合は失敗します。次に、グローバル コンフィギュレーション モードで ESMC をイネーブルにする例を示します。
Router(config)# esmc process
• ESMC モード
インターフェイス レベルで ESMC プロセスをイネーブルにするには、インターフェイス コンフィギュレーション モードで esmc mode [tx | rx] コマンドを使用します。コマンドの no 形式を使用すると、ESMC プロセスがディセーブルになります。次に、インターフェイス コンフィギュレーションモードで ESMC をイネーブルにする例を示します。
Router(config-if)# esmc mode tx
• ネットワーク クロック ソースの品質レベル
gigabitethernet ポートの ESMC に対して QL 値を設定 するには、インターフェイス コンフィギュレーション モードで network-clock quality-level コマンド を使用します。この値は、グローバル インターワーキング オプションに基づきます。
– オプション 1 が設定された場合、利用可能な値は QL-PRC、QL-SSU-A、QL-SSU-B、QL-SEC、および QL-DNU です。
– オプション 2 が GEN 2 で設定された場合、利用可能な値は QL-PRS、QL-STU、QL-ST2、QL-TNC、QL-ST3、QL-SMC、QL-ST4、および QL-DUS です。
– オプション 2 が GEN1 で設定された場合、利用可能な値は QL-PRS、QL-STU、QL-ST2、QL-SMC、QL-ST4、および QL-DUS です。
次に、インターフェイス コンフィギュレーション モードで ネットワーク クロック ソースの品質レベル を設定する例を示します。
Router(config-if)# network-clock source quality-level QL-PRC rx
BITS ポートの SSM に対して QL 値を設定するには、グローバル コンフィギュレーション モードで network-clock quality-level コマンドを使用します。次に、グローバル コンフィギュレーション モードで network-clock quality-level を設定する例を示します。
Router(config)# network-clock quality-level rx qL-pRC external R0 2048k
• wait-to-restore タイマー
wait-to-restore 時間を設定するには、network-clock wait-to-restore timer global コマンドを使用します。wait-to-restore 時間は 0 ~ 86400 秒の任意の値を設定できます。デフォルト値は 300 秒です。wait-to-restore タイマーは、グローバル コンフィギュレーション モードとインターフェイス コンフィギュレーション モードで設定できます。次に、グローバル コンフィギュレーション モードで wait-to-restore タイマーを設定する例を示します。
Router(config)# network-clock wait-to-restore 10 global
次に、インターフェイス コンフィギュレーション モードで wait-to-restore タイマーを設定する例を示します。
Router(config)# interface gigabitethernet 0/2/0
Router(config-if)# network-clock wait-to-restore 10
• ホールドオフ時間
ホールドオフ時間を設定するには、network-clock hold-off timer global コマンドを使用します。ホールドオフ時間は、0 または 50 ~ 10,000 ミリ秒の任意の値を設定できます。デフォルト値は 300 ミリ秒です。network-clock hold-off timer は、グローバル コンフィギュレーション モードとインターフェイス コンフィギュレーション モードで設定できます。次に、hold-off タイマーを設定する例を示します。
Router(config-if)# network-clock hold-off 50 global
• 強制切り替え
ソースが利用できるか、および範囲内にあるかに関係なく強制的に同期ソースを選択するには、network-clock switch force コマンドを使用します。次に、強制切り替えを設定する例を示します。
Router# network-clock switch force interface gigabitethernet 0/2/0
• 手動切り替え
クロック ソースの品質レベルが現在アクティブなクロックより高い場合に、手動で同期ソースを選択するには、network-clock switch manual コマンドを使用します。次に、手動切り替えを設定する例を示します。
Router# network-clock switch manual interface gigabitethernet 0/2/0
• 手動および強制切り替えのクリア
手動および強制切り替えをクリアするには、network-clock clear switch controller-id コマンドを使用します。次に、切り替えをクリアする例を示します。
Router# network-clock clear switch t0
• 送信元のロック アウト
クロック ソースをロック アウトするには、network-clock set lockout コマンドを使用します。ロックアウトと示されたクロック ソースは SyncE に対して選択されません。ソースに対するロックアウトをクリアするには、network-clock clear lockout コマンドを使用します。次に、クロック ソースをロックアウトする例を示します。
Router# network-clock set lockout interface gigabitethernet 0/2/0
次に、クロック ソースに対するロックアウトをクリアする例を示します。
Router# network-clock clear lockout interface gigabitethernet 0/2/0
ネットワーク同期の設定の確認
ネットワーク同期の設定を確認するには、次のコマンドを使用します。
• 出力を表示するには、show network-clock synchronization コマンドを使用します。
Router# show network-clock synchronization
Symbols: En - Enable, Dis - Disable, Adis - Admin Disable
* - Synchronization source selected
# - Synchronization source force selected
& - Synchronization source manually switched
Automatic selection process : Enable
Equipment Clock : 1544 (EEC-Option2)
Hold-off (global) : 300 ms
Wait-to-restore (global) : 300 sec
Number of synchronization sources: 2
sm(netsync NETCLK_QL_ENABLE), running yes, state 1A
Last transition recorded: (src_rem)-> 1A (src_added)-> 1A (src_rem)-> 1A (src_added)-> 1A (ql_change)-> 1A (sf_change)-> 1A (force_sw)-> 1C (clear_sw)-> 1A (sf_change)-> 1A (sf_change)-> 1A
Interface SigType Mode/QL Prio QL_IN ESMC Tx ESMC Rx
Internal NA NA/Dis 251 QL-ST3 NA NA
Gi1/2/0 NA Sync/En 1 QL-FAILED - -
*External R0 T1 ESF NA/En 2 QL-STU NA NA
• 次の例に示すように、グローバルおよびインターフェイス レベルでのネットワーク クロック同期パラメータの全細部を表示するには、show network-clock synchronization detail コマンドを使用します。
Router# show network-clock synchronization detail
Symbols: En - Enable, Dis - Disable, Adis - Admin Disable
* - Synchronization source selected
# - Synchronization source force selected
& - Synchronization source manually switched
Automatic selection process : Enable
Equipment Clock : 1544 (EEC-Option2)
Hold-off (global) : 300 ms
Wait-to-restore (global) : 300 sec
Number of synchronization sources: 2
sm(netsync NETCLK_QL_ENABLE), running yes, state 1A
Last transition recorded: (src_rem)-> 1A (src_added)-> 1A (src_rem)-> 1A (src_added)-> 1A (ql_change)-> 1A (sf_change)-> 1A (force_sw)-> 1C (clear_sw)-> 1A (sf_change)-> 1A (sf_change)-> 1A
Interface SigType Mode/QL Prio QL_IN ESMC Tx ESMC Rx
Internal NA NA/Dis 251 QL-ST3 NA NA
Gi1/2/0 NA Sync/En 1 QL-FAILED - -
*External R0 T1 ESF NA/En 2 QL-STU NA NA
---------------------------------------------
Local Interface: Internal
QL Transmit Configured: -
Mode: Synchronous(Ql-enabled)
QL Receive Overrided: QL-FAILED
QL Transmit Configured: -
Local Interface: External R0
QL Transmit Configured: -
• ESMC 設定の出力を表示するには、show esmc コマンドを使用します。
Interface: GigabitEthernet0/0/0
Administative configurations:
ESMC Information rate: 1 packet/second
Interface: GigabitEthernet0/0/0
Administrative configurations:
ESMC Information rate: 1 packet/second
• 次の例に示すように、グローバル レベルおよびインターフェイス レベルで ESMC パラメータのすべての細部を表示するには、show esmc detail コマンドを使用します。
Interface: GigabitEthernet0/0/0
Administative configurations:
ESMC Information rate: 1 packet/second
ESMC Tx interval count: 1
ネットワーク同期設定のトラブルシューティング
(注) トラブルシューティングを行う前に、すべてのネットワーク同期設定が完了していることを確認します。
表 4 にネットワーク同期を設定中発生する可能性のあるトラブルシューティング シナリオに関する情報を示します。
表 4 トラブルシューティング シナリオ
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クロック選択 |
• インターフェイスでアラームが存在しないことを確認します。確認するには、show network-clock synchronization detail コマンドを使用します。 • 非リバーティブの設定が適切であることを確認します。 |
不正な QL 値 |
SSM オプションのフレーミング不一致がないことを確認します。 |
不適切なクロック制限セットまたはキュー制限のディセーブル モード |
• インターフェイスでアラームが存在しないことを確認します。確認するには、show network-clock synchronization detail RP コマンドを使用します。 • show network-clock synchronization コマンドを使用してシステムがリバーティブ モードまたは非リバーティブ モードであることを確認し、次の例のように非リバーティブ設定を確認します。 RouterB#show network-clocks synchronization Symbols: En - Enable, Dis - Disable, Adis - Admin Disable NA - Not Applicable * - Synchronization source selected # - Synchronization source force selected & - Synchronization source manually switched Automatic selection process : Enable Equipment Clock : 1544 (EEC-Option2) Clock Mode : QL-Enable ESMC : Enabled SSM Option : GEN1 T0 : External R0 t1 esf Hold-off (global) : 300 ms Wait-to-restore (global) : 300 sec Tsm Delay : 180 ms Revertive : No Force Switch: FALSE Manual Switch: FALSE Number of synchronization sources: 2 sm(netsync NETCLK_QL_ENABLE), running yes, state 1A Last transition recorded: (src_rem)-> 1A (src_added)-> 1A (src_rem)-> 1A (src_added)-> 1A (ql_change)-> 1A (sf_change)-> 1A (force_sw)-> 1C (clear_sw)-> 1A (sf_change)-> 1A (sf_change)-> 1A |
show network-clock synchronization detail コマンドを使用すると不正な QL 値が観察される。 |
network clock synchronization SSM ( option 1 |option 2 )コマンドを使用して、フレーミングの不一致がないことを確認します。 show run interface コマンドを使用して、特定のインターフェイスのフレーミングを検証します。SSM オプション 1 の場合、フレーミングは SDH または E1 である必要があり、SSM オプション 2 の場合、フレーミングは T1 である必要があります。 |
その他の参考資料
関連資料
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Cisco IOS コマンド |
『Cisco IOS Master Commands List, All Releases』 |
ネットワーク同期サポートの機能情報
表 5 に、このモジュールで説明した機能をリストし、特定の設定情報へのリンクを示します。
プラットフォームのサポートおよびソフトウェア イメージのサポートに関する情報を検索するには、Cisco Feature Navigator を使用します。Cisco Feature Navigator を使用すると、ソフトウェア イメージがサポートする特定のソフトウェア リリース、フィーチャ セット、またはプラットフォームを確認できます。Cisco Feature Navigator には、 http://www.cisco.com/go/cfn からアクセスします。Cisco.com のアカウントは必要ありません。
(注) 表 5 は、ソフトウェア リリース トレインで各機能のサポートが導入されたときのソフトウェア リリースだけを示しています。その機能は、特に断りがない限り、それ以降の一連のソフトウェア リリースでもサポートされます。
表 5 ネットワーク同期サポートの機能情報
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ネットワーク同期のサポート |
Cisco IOS XE 3.2S |
この機能は、Cisco IOS XE Release 3.2S で、Cisco ASR 1000 シリーズ ルータに導入されました。 |
ネットワーク同期のサポート |
Cisco IOS XE 3.7S |
Cisco IOS XE Release 3.7S では、この機能の設定のためのコマンドが、Cisco ASR 1002-X ルータの導入とともに追加されました。 |