拡張オブジェクト トラッキング機能の設定
• 「デフォルト設定」
• 「インターフェイス ライン プロトコルまたは IP ルーティング ステートの追跡」
• 「追跡リストの設定」
• 「HSRP オブジェクト トラッキングの設定」
• 「他のトラッキング特性の設定」
• 「IP SLA オブジェクト トラッキングの設定」
• 「スタティック ルーティング サポートの設定」
デフォルト設定
いかなるオブジェクト トラッキングのタイプも設定されていません
インターフェイス ライン プロトコルまたは IP ルーティング ステートの追跡
インターフェイス ライン プロトコル ステートまたはインターフェイス IP ルーティング ステートのいずれかを追跡できます。IP ルーティング ステートを追跡する場合、そのオブジェクトをアップにするには次の 3 つの条件が必要です。
• IP ルーティングがインターフェイス上でイネーブルおよびアクティブである必要があります。
• インターフェイス ライン プロトコル ステートがアップである必要があります。
• インターフェイス IP アドレスが既知である必要があります。
これら 3 つの条件がすべて満たされていない場合、IP ルーティング ステートはダウンします。
インターフェイスのライン プロトコル ステートまたは IP ルーティング ステートを追跡するには、特権 EXEC モードで次の手順を実行します。
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ステップ 1 |
configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
track object-number interface interface-id line-protocol |
(任意)インターフェイスのライン プロトコル ステートを追跡するためのトラッキング リストを作成して、トラッキング コンフィギュレーション モードを開始します。 • object-number :追加対象オブジェクトを識別します。指定できる範囲は 1 ~ 500 です。 • interface interface-id :追跡されたインターフェイスです。 |
ステップ 3 |
delay { up seconds [ down seconds ] | [ up seconds ] down seconds } |
(任意)追加対象オブジェクトのステート変化を通知する際の遅延時間を秒単位で指定します。指定できる範囲は 1 ~ 180 秒です。 |
ステップ 4 |
exit |
グローバル コンフィギュレーション モードに戻ります。 |
ステップ 5 |
track object-number interface interface-id ip routing |
(任意)インターフェイスの IP ルーティング ステートを追跡するためのトラッキング リストを作成して、トラッキング コンフィギュレーション モードを開始します。IP ルート トラッキングでは、ルーティング テーブル内の IP ルートおよびインターフェイスの IP パケット ルーティング機能を追跡します。 • object-number :追加対象オブジェクトを識別します。指定できる範囲は 1 ~ 500 です。 • interface interface-id :追跡されたインターフェイスです。 |
ステップ 6 |
delay { up seconds [ down seconds ] | [ up seconds ] down seconds } |
(任意)追加対象オブジェクトのステート変化を通知する際の遅延時間を秒単位で指定します。指定できる範囲は 1 ~ 180 秒です。 |
ステップ 7 |
end |
特権 EXEC モードに戻ります。 |
ステップ 8 |
show track object-number |
指定されたオブジェクトが追跡されていることを確認します。 |
ステップ 9 |
copy running-config startup-config |
(任意)コンフィギュレーション ファイルに設定を保存します。 |
次に、インターフェイス ライン プロトコル ステートのトラッキングを設定して、その設定を確認する例を示します。
Switch(config)# track 33 interface gigabitethernet0/1 line-protocol
Switch(config-track)# end
Interface GigabitEthernet0/1 line-protocol
Line protocol is Down (hw down)
1 change, last change 00:18:28
追跡リストの設定
オブジェクトの追跡リストは、ブール式、ウェイトしきい値、またはパーセントしきい値を使用して設定できます。追跡リストには、1 つまたは複数のオブジェクトが含まれます。オブジェクトが存在していないと、追跡リストに追加できません。
• 演算を指定するのにブール式を設定するときは、「AND」または「OR」演算子のどちらかを使用します。
• 追跡リスト ステートをウェイトしきい値を使用して測定するときは、追跡リスト内の各オブジェクトに重み番号を割り当てます。追跡リストのステートは、このしきい値に合致したかどうかで判別されます。各オブジェクトのステートは、すべてのオブジェクトの合計重みと各オブジェクトのしきい値の重みを比較して判別されます。
• 追跡リスト ステートをパーセントしきい値を使用して測定するときは、追跡リスト内の各オブジェクトにパーセントしきい値を割り当てます。各オブジェクトのステートは、各オブジェクトに割り当てられたパーセント値とリストを比較して判別されます。
ブール式を使用した追跡リストの設定
ブール式を使用して追跡リストを設定すると、「AND」または「OR」演算子を使用した演算が可能になります。たとえば、「AND」演算子を使用して 2 つのインターフェイスを追跡するとき、 up は両方のインターフェイスがアップであることを意味し、 down はいずれかのインターフェイスがダウンであることを意味します。
ブール式を使用してオブジェクトの追跡リストを設定するには、特権 EXEC モードで次の手順を実行します。
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ステップ 1 |
configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
track track-number list boolean { and | or } |
追跡リストのオブジェクトを設定して、トラッキング コンフィギュレーション モードを開始します。 track-number に指定できる値は 1 ~ 500 です。 • boolean :ブール式に基づいて追跡リストのステートを指定します。 • and :すべてのオブジェクトがアップであればリストはアップで、1 つまたは複数のオブジェクトがダウンであればリストはダウンであることを指定します。 • or :1 つのオブジェクトがアップであればリストはアップで、すべてのオブジェクトがダウンであればリストはダウンであることを指定します。 |
ステップ 3 |
object object-number [ not ] |
追跡されるオブジェクトを指定します。指定できる範囲は 1 ~ 500 です。キーワード not は、オブジェクトのステートを否定します。これは、オブジェクトがアップである場合に、追跡リストはそのオブジェクトをダウンとして検出することを意味します。 (注) オブジェクトが存在していないと、追跡リストに追加できません。 |
ステップ 4 |
delay { up seconds [ down seconds ] | [ up seconds ] down seconds } |
(任意)追加対象オブジェクトのステート変化を通知する際の遅延時間を秒単位で指定します。指定できる範囲は 1 ~ 180 秒です。 |
ステップ 5 |
end |
特権 EXEC モードに戻ります。 |
ステップ 6 |
show track object-number |
指定されたオブジェクトが追跡されていることを確認します。 |
ステップ 7 |
copy running-config startup-config |
(任意)コンフィギュレーション ファイルに設定を保存します。 |
追跡リストを削除する場合は、 no track track-number グローバル コンフィギュレーション コマンドを使用します。
次に、AND ブール式を使用して追跡リスト 4 を設定する例を示します。リストには 2 つのオブジェクトが含まれ、そのうち 1 つは否定されます。リストがアップである場合は、オブジェクト 2 がダウンであることを検出しています。
Switch(config)# track 4 list boolean and
Switch(config-track)# object 1
Switch(config-track)# object 2 not
Switch(config-track)# exit
ウェイトしきい値を使用した追跡リストの設定
ウェイトしきい値により追跡するには、オブジェクトの追跡リストを設定し、しきい値として重みが使用されることを指定して、リストの各オブジェクトに重み値を設定します。各オブジェクトのステートは、アップであるすべてのオブジェクトの合計重みと各オブジェクトのしきい値の重みを比較して判別されます。
ウェイトしきい値のリストには、ブール式の「NOT」演算子を使用できません。
ウェイトしきい値を使用してオブジェクトの追跡リストを設定し、各オブジェクトの重みを設定するには、特権 EXEC モードで次の手順を実行します。
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ステップ 1 |
configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
track track-number list threshold weight |
追跡リストのオブジェクトを設定して、トラッキング コンフィギュレーション モードを開始します。 track-number に指定できる値は 1 ~ 500 です。 • threshold :しきい値に基づいて追跡リストのステートを指定します。 • weight :しきい値が重みに基づくことを指定します。 |
ステップ 3 |
object object-number [ weight weight-number ] |
追跡されるオブジェクトを指定します。指定できる範囲は 1 ~ 500 です。任意の weight weight-number は、オブジェクトのしきい値の重みを指定します。指定できる範囲は 1 ~ 255 です。 (注) オブジェクトが存在していないと、追跡リストに追加できません。 |
ステップ 4 |
threshold weight { up number | [ down number ]} |
しきい値の重みを指定します。 • up number :指定できる範囲は、1 ~ 255 です。 • down number :(任意)指定できる範囲は、 up number で選択された数により異なります。 up number を 25 に設定した場合、down number の範囲は 0 ~ 24 となります。 |
ステップ 5 |
delay { up seconds [ down seconds ] | [ up seconds ] down seconds } |
(任意)追加対象オブジェクトのステート変化を通知する際の遅延時間を秒単位で指定します。指定できる範囲は 1 ~ 180 秒です。 |
ステップ 6 |
end |
特権 EXEC モードに戻ります。 |
ステップ 7 |
show track object-number |
指定されたオブジェクトが追跡されていることを確認します。 |
ステップ 8 |
copy running-config startup-config |
(任意)コンフィギュレーション ファイルに設定を保存します。 |
追跡リストを削除する場合は、 no track track-number グローバル コンフィギュレーション コマンドを使用します。
次に、ウェイトしきい値により追跡する追跡リスト 4 を設定する例を示します。オブジェクト 1 およびオブジェクト 2 がダウンである場合、オブジェクト 3 が up 30 というしきい値を満たすため、追跡リスト 4 はアップになります。ただし、オブジェクト 3 がダウンである場合、しきい値の重みを満たすには、オブジェクト 1 および オブジェクト 2 の両方がアップである必要があります。
Switch(config)# track 4 list threshold weight
Switch(config-track)# object 1 weight 15
Switch(config-track)# object 2 weight 20
Switch(config-track)# object 3 weight 30
Switch(config-track)# threshold weight up 30 down 10
Switch(config-track)# exit
この設定は、オブジェクト 1 およびオブジェクト 2 が 2 つの小さな帯域幅の接続を、オブジェクト 3 が大きな帯域幅の接続を表す場合に有効です。設定された down 10 の値は、追跡対象オブジェクトが一度アップになると、しきい値が 10 以下になるまでダウンしないということを意味します。この例の場合、10 以下はすべての接続がダウンすることを意味します。
パーセントしきい値を使用した追跡リストの設定
パーセントしきい値を使用して追跡するには、オブジェクトの追跡リストを設定し、しきい値としてパーセントを使用することを指定して、リスト内のすべてのオブジェクトにパーセント値を指定します。リストのステートは、各オブジェクトに割り当てられたパーセント値とリストを比較して判別されます。
パーセントしきい値のリストには、ブール式の「NOT」演算子を使用できません。
パーセントしきい値を使用してオブジェクトの追跡リストを設定するには、特権 EXEC モードで次の手順を実行します。
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ステップ 1 |
configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
track track-number list threshold percentage |
追跡リストのオブジェクトを設定して、トラッキング コンフィギュレーション モードを開始します。 track-number に指定できる値は 1 ~ 500 です。 • threshold :しきい値に基づいて追跡リストのステートを指定します。 • percentage :しきい値がパーセントに基づくことを指定します。 |
ステップ 3 |
object object-number |
追跡されるオブジェクトを指定します。指定できる範囲は 1 ~ 500 です。 (注) オブジェクトが存在していないと、追跡リストに追加できません。 |
ステップ 4 |
threshold percentage { up number | [ down number ]} |
しきい値のパーセンテージを指定します。 • up number :指定できる範囲は、1 ~ 100 です。 • down number :(任意)指定できる範囲は、 up number で選択された数により異なります。 up number を 25 に設定した場合、down number の範囲は 0 ~ 24 となります。 |
ステップ 5 |
delay { up seconds [ down seconds ] | [ up seconds ] down seconds } |
(任意)追加対象オブジェクトのステート変化を通知する際の遅延時間を秒単位で指定します。指定できる範囲は 1 ~ 180 秒です。 |
ステップ 6 |
end |
特権 EXEC モードに戻ります。 |
ステップ 7 |
show track object-number |
指定されたオブジェクトが追跡されていることを確認します。 |
ステップ 8 |
copy running-config startup-config |
(任意)コンフィギュレーション ファイルに設定を保存します。 |
追跡リストを削除する場合は、 no track track-number グローバル コンフィギュレーション コマンドを使用します。
次に、3 つのオブジェクトを持つ追跡リスト 4 および指定されたパーセント値を設定して、リストのステートを判定する例を示します。
Switch(config)# track 4 list threshold percentage
Switch(config-track)# object 1
Switch(config-track)# object 2
Switch(config-track)# object 3
Switch(config-track)# threshold percentage up 51 down 10
Switch(config-track)# exit
HSRP オブジェクト トラッキングの設定
特定のオブジェクトを追跡し、そのオブジェクトのステートに基づいて HSRP プライオリティを変更するようスタンバイ HSRP グループを設定するには、特権 EXEC モードで次の手順を実行します。
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ステップ 1 |
configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
track object-number { interface interface-id { line-protocol | ip routing } | ip route ip-address/prefix-length { metric threshold | reachability } | list { boolean { and | or }} | { threshold { weight | percentage }}} |
(任意)設定されたステートを追跡するためのトラッキング リストを作成して、トラッキング コンフィギュレーション モードを開始します。 • object-number に指定できる範囲は 1 ~ 500 です。 • 追跡するインターフェイスを選択するには、 interface interface-id を入力します。 • インターフェイス ライン プロトコル ステートを追跡するには、 line-protocol を入力し、インターフェイス IP ルーティング ステートを追跡するには、 ip routing を入力します。 • IP ルートのステートを追跡するには、 ip route ip-address/prefix-length を入力します。 • しきい値のメトリックを追跡するには、 metric threshold を入力し、ルートが到達可能かどうかを追跡するには、 reachability を入力します。 デフォルトの up しきい値は 254、デフォルトの down しきい値は 255 です。 • リスト内の一連のオブジェクトを追跡するには、 list を入力します。リストはこれまでのページの説明に従って設定してください。 – boolean については、「ブール式を使用した追跡リストの設定」を参照してください。 – threshold weight については、「ウェイトしきい値を使用した追跡リストの設定」を参照してください。 – threshold percentage については、「パーセントしきい値を使用した追跡リストの設定」を参照してください。 (注) 追跡するインターフェイスごとにこの手順を繰り返してください。 |
ステップ 3 |
exit |
グローバル コンフィギュレーション モードに戻ります。 |
ステップ 4 |
interface interface-id |
インターフェイス コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 5 |
standby [ group-number ] ip [ ip-address [ secondary ]] |
HSRP グループの番号および仮想 IP アドレスを使用して、HSRP グループを作成(またはイネーブルに)します。 • (任意) group-number :HSRP をイネーブルにするインターフェイスのグループ番号を指定します。指定できる範囲は 0 ~ 255 で、デフォルト値は 0 です。HSRP グループが 1 つだけであれば、グループ番号を指定する必要はありません。 • (1 つのインターフェイスで必須、それ以外は任意) ip-address :ホット スタンバイ ルータ インターフェイスの仮想 IP アドレスを指定します。少なくとも 1 つのインターフェイスに対して仮想 IP アドレスを入力する必要があります。他のインターフェイスは、その仮想 IP アドレスを学習します。 • (任意) secondary :IP アドレスがセカンダリ ホット スタンバイ ルータ インターフェイスとなるように指定します。このキーワードが省略された場合、設定されたアドレスはプライマリ IP アドレスになります。 |
ステップ 6 |
standby [ group-number ] track object-number [ decrement [ priority-decrement ]] |
特定のオブジェクトを追跡して、そのオブジェクトのステートに基づいてホット スタンバイ プライオリティを変更するよう HSRP を設定します。 • (任意) group-number :トラッキングが適用されるグループ番号を入力します。 • object-number :追跡対象のオブジェクト番号を入力します。指定できる範囲は 1 ~ 500 で、デフォルトは 1 です。 • (任意) decrement priority-decrement :追跡対象オブジェクトがダウンした場合、または稼動状態に戻った場合に、ルータのホット スタンバイ プライオリティを減少または増加させる幅を指定します。指定できる範囲は 1 ~ 255 で、デフォルトは 10 です。 |
ステップ 7 |
end |
特権 EXEC モードに戻ります。 |
ステップ 8 |
show standby |
スタンバイ ルータの IP アドレスおよびトラッキング ステートを確認します。 |
ステップ 9 |
copy running-config startup-config |
(任意)コンフィギュレーション ファイルに設定を保存します。 |
他のトラッキング特性の設定
拡張オブジェクト トラッキングは、他の特性を追跡する場合にも使用できます。
• track ip route reachability グローバル コンフィギュレーション コマンドを使用すると、IP ルートの到達可能性を追跡できます 。
• track ip route metric threshold グローバル コンフィギュレーション コマンドを使用すると、ルートがしきい値を越えているか下回っているかを判別できます。
• track resolution グローバル コンフィギュレーション コマンドを使用すると、ルーティング プロトコルのメトリック解決のデフォルト値を変更できます。
• track timer グローバル コンフィギュレーション コマンドを使用すると、トラッキング プロセスで追跡対象オブジェクトを定期的にポーリングするよう設定できます。
拡張オブジェクト トラッキングの設定を確認する場合は、 show track 特権 EXEC コマンドを使用します。
拡張オブジェクト トラッキングおよびその設定に使用するコマンドの詳細については、次の URL を参照してください。
http://www.cisco.com/en/US/products/sw/iosswrel/ps1839/products_feature_guide09186a00801541be.html
IP SLA オブジェクト トラッキングの設定
Cisco IOS IP Service Level Agreement(IP SLA)は、ネットワーク パフォーマンスの測定および診断ツールであり、ネットワーク パフォーマンスを測定するためのトラフィックを生成することによって、アクティブ モニタリングが使用されます。Cisco IP SLA の動作により、ネットワークのトラブルシューティング、設計、および分析に利用可能なリアルタイムのメトリックが収集されます。
スイッチ上の Cisco IP SLA の詳細については、 第 41 章「Cisco IOS IP SLA 動作の設定」 を参照してください。IP SLA のコマンドについては、次の URL にある、『 Cisco IOS IP SLAs Command Reference 』 Release 12.4T を参照してください。
http://www.cisco.com/en/US/docs/ios/ipsla/command/reference/sla_book.html
IP SLA のオブジェクト トラッキングの動作により、クライアントは、IP SLA オブジェクトからの出力を追跡し、その情報を使用してアクションをトリガーできます。すべての IP SLA の動作により、 OK や OverThreshold などの SNMP 動作のリターンコード値が保持されます。この値はトラッキング プロセスによって解釈されます。ステートと到達可能性という、IP SLA の動作の 2 つの面を追跡できます。ステートについては、リターン コードが OK の場合、追跡ステートはアップの状態であり、リターン コードが OK でない場合は、追跡ステートはダウンの状態です。到達可能性については、リターン コードが OK または OverThreshold の場合、到達可能性はアップの状態であり、OK でない場合は、到達可能性はダウンの状態です。
IP SLA 動作のステートまたは IP SLA IP ホストの到達可能性を追跡するには、特権 EXEC モードで、次の手順を実行します。
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ステップ 1 |
configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
track object-number rtr operation-number state |
IP SLA 動作のステートを追跡するには、トラッキング コンフィギュレーション モードを開始します。 • object-number に指定できる範囲は 1 ~ 500 です。 • operation-number に指定できる範囲は 1 ~ 2147483647 です。 |
ステップ 3 |
delay { up seconds [ down seconds ] | [ up seconds ] down seconds } |
(任意)追加対象オブジェクトのステート変化を通知する際の遅延時間を秒単位で指定します。指定できる範囲は 1 ~ 180 秒です。 |
ステップ 4 |
exit |
グローバル コンフィギュレーション モードに戻ります。 |
ステップ 5 |
track object-number rtr operation-number reachability |
IP SLA IP ホストの到達可能性を追跡するには、トラッキング コンフィギュレーション モードを開始します。 • object-number に指定できる範囲は 1 ~ 500 です。 • operation-number に指定できる範囲は 1 ~ 2147483647 です。 |
ステップ 6 |
delay { up seconds [ down seconds ] | [ up seconds ] down seconds } |
(任意)追加対象オブジェクトのステート変化を通知する際の遅延時間を秒単位で指定します。指定できる範囲は 1 ~ 180 秒です。 |
ステップ 7 |
end |
特権 EXEC モードに戻ります。 |
ステップ 8 |
show track object-number |
設定を確認するためのトラッキング情報を表示します。 |
ステップ 9 |
copy running-config startup-config |
(任意)コンフィギュレーション ファイルに設定を保存します。 |
次に、IP SLA ステート トラッキングを設定および表示する例を示します。
Switch(config)# track 2 200 state
Response Time Reporter 1 state
1 change, last change 00:00:47
Latest operation return code: over threshold
次に、ルートが到達可能であるかどうかを示す出力の例を示します。
Switch(config)# track 3 500 reachability
Response Time Reporter 1 reachability
1 change, last change 00:00:47
Latest operation return code: over threshold
スタティック ルーティング サポートの設定
拡張オブジェクト トラッキングを使用したスタティック ルーティング サポートは、スイッチが、ICMP ping によって、事前に設定されたスタティック ルートまたは DHCP ルートがダウンしたタイミングを特定することを可能にする機能を備えています。トラッキングをイネーブルにすると、システムによってルートのステートが追跡され、そのステートが変わるとクライアントに対して通知が行われます。スタティック ルート オブジェクト トラッキングでは、Cisco IP SLA が使用され、プライマリ ゲートウェイへの接続のステートを監視するための ICMP ping が生成されます。
• スイッチ上の Cisco IP SLA サポートの詳細については、 第 41 章「Cisco IOS IP SLA 動作の設定」 を参照してください。
• スタティック ルート オブジェクト トラッキングの詳細については、次の URL を参照してください。
http://www.cisco.com/en/US/docs/ios/12_3/12_3x/12_3xe/feature/guide/dbackupx.html
スタティック ルート オブジェクト トラッキングを設定するには、次の手順を実行します。
ステップ 1 スタティック ルーティングまたは DHCP のプライマリ インターフェイスを設定します。
ステップ 2 プライマリ インターフェイスを使用して IP アドレスに対する ping を実行するための IP SLA エージェントと、そのエージェントのステートを監視するための追跡オブジェクトを設定します。
ステップ 3 セカンダリ インターフェイスを使用して、デフォルト スタティック デフォルト ルートを設定します。このルートは、プライマリ ルートが削除された場合にだけ使用されます。
プライマリ インターフェイスの設定
スタティック ルーティングのプライマリ インターフェイスを設定するには、特権 EXEC モードで次の手順を実行します。
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ステップ 1 |
configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
interface interface-id |
プライマリまたはセカンダリ インターフェイスを選択して、インターフェイス コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 3 |
description string |
インターフェイスに対して説明を追加します。 |
ステップ 4 |
ip address ip-address mask [secondary] |
インターフェイスのプライマリまたはセカンダリ IP アドレスを設定します。 |
ステップ 5 |
exit |
グローバル コンフィギュレーション モードに戻ります。 |
DHCP のプライマリ インターフェイスを設定するには、特権 EXEC モードで次の手順を実行します。
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ステップ 1 |
configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
interface interface-id |
プライマリまたはセカンダリ インターフェイスを選択して、インターフェイス コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 3 |
description string |
インターフェイスに対して説明を追加します。 |
ステップ 4 |
ip dhcp client route track number |
追加したルートを指定した追跡番号に関連付けるには、DCHP クライアントを設定します。有効な番号は 1 ~ 500 です。 |
ステップ 5 |
ip address dhcp |
イーサネット インターフェイス上で DHCP から IP アドレスを取得します。 |
ステップ 6 |
exit |
グローバル コンフィギュレーション モードに戻ります。 |
Cisco IP SLAs Monitoring Agent および追跡オブジェクトの設定
Cisco IP SLA を使用したネットワーク モニタリングを設定するには、特権 EXEC モードで次の手順を実行します。
ステップ 1 |
configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
ip sla operation-number |
Cisco IP SLA 動作の設定を開始して、IP SLA コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 3 |
icmp-echo { destination-ip-address | destination hostname [ source- ipaddr { ip-address | hostname source-interface interface-id ] |
Cisco IP SLA のエンドツーエンド ICMP エコー要求時間動作を設定し、IP SLA ICMP エコー コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 4 |
timeout milliseconds |
動作が、その要求パケットからの応答を待機する時間を設定します。 |
ステップ 5 |
frequency seconds |
動作がネットワークに送信されるレートを設定します。 |
ステップ 6 |
threshold milliseconds |
リアクション イベントを生成し、動作の履歴情報を保存する上昇しきい値(ヒステリシス)を設定します。 |
ステップ 7 |
exit |
IP SLA ICMP エコー コンフィギュレーション モードを終了します。 |
ステップ 8 |
ip sla schedule operation-number [ life { forever | seconds }] start-time time | pending | now | after time ] [ ageout seconds ] [ recurring ] |
単一の IP SLA 動作のスケジューリング パラメータを設定します。 |
ステップ 9{ |
track object-number rtr operation-number { state | reachability } |
Cisco IOS IP SLA 動作のステートを追跡し、トラッキング コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 10 |
end |
特権 EXEC モードに戻ります。 |
ステップ 11 |
show track object-number |
設定を確認するためのトラッキング情報を表示します。 |
ステップ 12 |
copy running-config startup-config |
(任意)コンフィギュレーション ファイルに設定を保存します。 |
ルーティング ポリシーおよびデフォルト ルートの設定
オブジェクト トラッキングを使用してスタティック ルーティングをバックアップするルーティング ポリシーを設定するには、特権 EXEC モードで次の手順を実行します。この手順で使用するコマンドの詳細については、次の URL を参照してください。
http://www.cisco.com/en/US/docs/ios/12_3/12_3x/12_3xe/feature/guide/dbackupx.html
ステップ 1 |
configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
access-list access-list-number |
拡張 IP アクセス リストを定義します。任意の特性を設定します。 |
ステップ 3 |
route-map map-tag [ permit | deny ] [ sequence-number ] |
ルートマップ コンフィギュレーション モードを開始し、あるルーティング プロトコルから別のルーティング プロトコルにルートを再配信するための条件を定義します。 |
ステップ 4 |
match ip address { access-list number | access-list name } |
標準または拡張アクセス リストによって許可されるか、あるいは、パケット上のポリシー ルーティングを実行する、宛先ネットワーク番号アドレスを持つルートを配信します。複数の番号または名前を入力できます。 |
ステップ 5 |
set ip next-hop dynamic dhcp |
DHCP ネットワーク専用です。DHCP によって直近に学習されたゲートウェイへのネクスト ホップを設定します。 |
ステップ 6 |
set interface interface-id |
スタティック ルーティング ネットワーク専用です。ポリシー ルーティング用のルート マップの match 文を渡す出力パケットの送信先を示します。 |
ステップ 7 |
exit |
ルートマップ コンフィギュレーション モードを終了します。 |
ステップ 8 |
ip local policy route-map map-tag |
ローカル ポリシー ルーティング用に使用するルート マップを特定します。 |
ステップ 9{ |
ip route prefix mask { ip-address | interface-id [ ip-address ]} [ distance ] [ name ] [ permanent | track track-number ] [ tag tag ] |
スタティック ルーティング ネットワーク専用です。スタティック ルートを確立します。 track track-number を入力すると、設定された追跡オブジェクトがアップの場合にだけスタティック ルートがインストールされるように指定されます。 |
ステップ 10 |
end |
特権 EXEC モードに戻ります。 |
ステップ 11 |
show ip route track table |
IP ルート追跡テーブルに関する情報を表示します。 |
ステップ 12 |
copy running-config startup-config |
(任意)コンフィギュレーション ファイルに設定を保存します。 |
設定例については、次の URL を参照してください。
http://www.cisco.com/en/US/docs/ios/12_3/12_3x/12_3xe/feature/guide/dbackupx.html