Cisco IOS IP SLA 動作の設定
この章では、Cisco ME 3400E イーサネット アクセス スイッチにおける Cisco IOS IP Service Level Agreement(SLA; サービス レベル契約)および IETF Two-Way Active Measurement Protocol(TWAMP; 双方向アクティブ測定プロトコル)の使用方法について説明します。Cisco IP SLA は、シスコのお客様が IP アプリケーションおよび IP サービスの IP サービス レベルを分析し、ネットワーク パフォーマンスを測定できるようにするための機能で、Cisco IOS ソフトウェアの一部として組み込まれています。分析には、継続的かつ信頼性の高い確実な方法でトラフィックが生成されるアクティブ トラフィック モニタリングを使用します。Cisco IOS IP SLA を使用することで、サービス プロバイダーのカスタマーは、サービス レベル契約を評価してから提供できる一方、企業のお客様は、サービス レベルおよび外部委託しているサービス レベル契約を検証し、ネットワーク パフォーマンスを把握できます。Cisco IOS IP SLA を使用すると、ネットワーク アセスメントや QoS(Quality Of Service)の検証が可能で、新しいサービスの導入やネットワークに関するトラブルシューティングも容易になります。
(注) Cisco IP SLA の全機能を使用できるのは、メトロ IP アクセスまたはメトロ アクセス イメージが実行されているスイッチ上に限られます。ME 2400 など、メトロ ベース イメージが実行されているスイッチは IP SLA レスポンダ機能しかサポートしていないため、Cisco IP SLA の全機能をサポートしている別のテバイスを使用して設定する必要があります。
TWAMP は、このプロトコルをサポートする 2 つのデバイス間でのラウンドトリップ ネットワーク パフォーマンスの測定に関する規格を定めたものです。Cisco IOS リリース 12.2(52)SE 以降では、Cisco ME 3400E イーサネット アクセス スイッチ上に TWAMP を実装できます。
IP SLA の詳細については、次の URL にある『 Cisco IOS IP SLAs Configuration Guide 』 Release 12.4T を参照してください。
http://www.cisco.com/en/US/docs/ios/ipsla/configuration/guide/12_4t/sla_12_4t_book.html
構文の詳細については、次の URL にあるコマンド リファレンスを参照してください。
http://www.cisco.com/en/US/docs/ios/ipsla/command/reference/sla_book.html
この章で説明する内容は、次のとおりです。
• 「Cisco IOS IP SLA の概要」
• 「IP SLA 動作の設定」
• 「IP SLA 動作のモニタリング」
• 「TWAMP の概要」
• 「TWAMP の設定」
Cisco IOS IP SLA の概要
Cisco IOS IP SLA では、ネットワーク全体にデータを送信することで、複数のネットワーク間または複数のネットワーク パス間のパフォーマンスが測定されます。また、ネットワーク データおよび IP サービスのシミュレーションが行われ、ネットワーク パフォーマンスに関する情報がリアルタイムで収集されます。Cisco IOS IP SLA では、Cisco IOS デバイス間のトラフィック、または Cisco IOS デバイスからリモート IP デバイス(ネットワーク アプリケーション サーバなど)へのトラフィックが生成され、その解析が行われます。さまざまな Cisco IOS IP SLA 動作によって得られた測定結果は、トラブルシューティング、問題の分析、ネットワーク トポロジの設計などに利用できます。
実行される Cisco IOS IP SLA 動作の内容に応じて、シスコ製デバイス内部ではネットワーク パフォーマンスに関するさまざまな統計情報がモニタされ、Command-Line Interface(CLI; コマンドライン インターフェイス)および Simple Network Management Protocol(SNMP; 簡易ネットワーク管理プロトコル)の MIB に格納されます。IP SLA パケットには、送信元 IP アドレス、宛先 IP アドレス、User Datagram Protocol(UDP; ユーザ データグラム プロトコル)/TCP ポートの番号、Type Of Service(ToS; タイプ オブ サービス)バイト(Differentiated Services Code Point [DSCP; DiffServ コード ポイント] ビット、IP プレフィクス ビットなど)、Virtual Private Network(VPN; バーチャル プライベート ネットワーク)Routing/Forwarding Instance(VRF; ルーティング/フォワーディング インスタンス)、URL Web アドレスなど、IP レイヤおよびアプリケーション レイヤのさまざまな設定可能オプションを指定できます。
Cisco IP SLA はレイヤ 2 転送には依存しないため、異種ネットワーク間でエンドツーエンド動作を設定することで、エンド ユーザが経験する可能性が高いメトリックを最大限反映させられます。IP SLA では、次のような独自のパフォーマンス メトリックが収集されます。
• 遅延(往復および一方向)
• ジッタ(方向性あり)
• パケット損失(方向性あり)
• パケット シーケンス(パケット順序)
• パス(ホップ単位)
• 接続性(方向性あり)
• サーバまたは Web サイトのダウンロード時間
Cisco IOS IP SLA は、SNMP によるアクセスが可能であるため、CiscoWorks Internetwork Performance Monitor(IPM; インターネットワーク パフォーマンス モニタ)やサードパーティ(シスコ パートナー)製パフォーマンス管理製品などのパフォーマンス モニタリング アプリケーションでも使用できます。Cisco IOS IP SLA を使用するネットワーク管理製品の詳細については、次の URL を参照してください。
http://www.cisco.com/go/ipsla
IP SLA には次のような特長があります。
• サービスレベル契約のモニタリング、評価、および検証が実行できる。
• ネットワーク パフォーマンス モニタリングを実行できる。
– ネットワーク内のジッタ、遅延、パケット損失を測定できる。
– 継続的かつ信頼性の高い確実な評価を実行できる。
• IP サービス ネットワーク ヘルス アセスメントにより、既存の QoS が新しい IP サービスに十分なものかどうかを検証できる。
• 予防的な検証を目的としたエッジ間におけるネットワーク可用性のモニタリングと、ネットワーク リソースの接続性テストを実行できる(リモート サイトから業務上の重要データを格納するために使用する NFS サーバのネットワーク可用性を確認するなど)。
• 整合性と信頼性を兼ね備えた測定結果を基にネットワーク動作に関するトラブルシューティングを実行できる。またそれによって、問題点を即座に特定しトラブルシューティングの所要時間を短縮できる。
• Multiprotocol Label Switching(MPLS; マルチプロトコル ラベル スイッチング)によるパフォーマンス モニタリングおよびネットワーク検証を実行できる(スイッチが MPLS をサポートしている場合)。
ここでは、次の IP SLA 機能について説明します。
• 「Cisco IOS IP SLA を使用したネットワーク パフォーマンスの測定」
• 「IP SLA レスポンダと IP SLA 制御プロトコル」
• 「IP SLA に対する応答時間の算出」
• 「IP SLA 動作のスケジューリング」
• 「IP SLA 動作のしきい値のモニタリング」
Cisco IOS IP SLA を使用したネットワーク パフォーマンスの測定
IP SLA を使用すると、物理プローブを導入することなく、コア、分散、エッジなど、ネットワーク内にある任意のエリア間のパフォーマンスをモニタできます。2 つのネットワーキング デバイス間におけるネットワーク パフォーマンスを測定する際には、それに使用するトラフィックが生成されます。図 41-1 は、生成されたパケットが送信元デバイスから宛先デバイスに送信された場合に、IP SLA がどのように開始されるかを示したものです。パケットを受信した宛先デバイスは、IP SLA 動作のタイプに応じて、タイムスタンプ情報を返します。送信元ではそれを基にしてパフォーマンス メトリックの値が算出されます。IP SLA 動作によるネットワーク測定は、UDP など特定のプロトコルを使用して、ネットワーク内の送信元デバイスから宛先デバイスへ向けて実行されます。
図 41-1 Cisco IOS IP SLA 動作
IP SLA ネットワーク パフォーマンス測定を実施する手順は次のとおりです。
1. 必要に応じて IP SLA レスポンダをイネーブルにします。
2. 目的の IP SLA 動作タイプを設定します。
3. 指定した動作タイプに対して使用できるオプションを設定します。
4. 必要に応じて、しきい値条件を設定します。
5. 動作の実行をスケジューリングしたあと、その動作を一定時間実行して統計情報を収集します。
6. Cisco IOS CLI または Network Management System(NMS; ネットワーク管理システム)から SNMP を使用して動作の結果を表示し、その内容を分析します。
各 IP SLA 動作の詳細については、次の URL にある『 Cisco IOS IP SLAs Configuration Guide 』の該当箇所を参照してください。
http://www.cisco.com/en/US/docs/ios/ipsla/configuration/guide/12_4t/sla_12_4t_book.html
(注) スイッチは、ゲートキーパー登録遅延動作測定を使用した IP SLA Voice over IP(VoIP)サービス レベルをサポートしていません。IP SLA アプリケーションを設定する前に、show ip sla application 特権 EXEC コマンドを使用して、動作タイプがソフトウェア イメージでサポートされているかどうかを確認してください。
IP SLA レスポンダと IP SLA 制御プロトコル
IP SLA レスポンダは、宛先のシスコ製デバイスに組み込まれているコンポーネントです。システムではこれを使用することで、IP SLA 要求パケットの到達を待ち、受信した時点でそれに応答します。レスポンダを使用すると、専用のプローブを使用することなく、正確な測定を実行できます。レスポンダは、Cisco IOS IP SLA 制御プロトコルに基づいた、受信および応答するポートを通知するためのメカニズムを備えています。宛先の IP SLA レスポンダに対する送信元として使用できるのは、Cisco IOS デバイスだけです。
(注) IP SLA レスポンダには、Catalyst 2960 スイッチや Cisco ME 2400 スイッチ、メトロ ベース イメージが実行される Cisco ME 3400 スイッチなどの Cisco IOS レイヤ 2 レスポンダ設定可能スイッチを使用できます。レスポンダは、IP SLA の全機能をサポートする必要はありません。
図 41-1 には、IP ネットワークにおける Cisco IOS IP SLA レスポンダの配置場所が示してあります。レスポンダは、IP SLA 動作により送信された制御プロトコル メッセージを特定のポート上で受信します。コントロール メッセージを受信すると、指定された UDP ポートまたは TCP ポートが、指定された時間にわたってイネーブルになります。レスポンダはイネーブルになっている間に、要求を受け取り、それに対する応答を行います。IP SLA パケットに応答するか、指定した時間が超過すると、ポートがディセーブルになります。コントロール メッセージに対しては、より一層のセキュリティ対策として、MD5 認証を使用できます。
宛先デバイス上のレスポンダは、すべての IP SLA 動作に対してイネーブルにする必要はありません。たとえば、宛先ルータですでに使用できるサービス(Telnet や HTTP など)に対しては、レスポンダは不要です。シスコ製以外のデバイス上では IP SLA レスポンダは設定できません。また Cisco IOS IP SLA から動作パケットを送信できるのは、こうしたデバイスに固有のサービスに対してだけです。
IP SLA に対する応答時間の算出
スイッチおよびルータでは、より優先度の高い処理がある場合、受信パケットの処理に数十ミリ秒程度かかることがあります。こうした遅延は応答時間に影響を与えます。これは、テスト パケットへの応答が、キューの中で処理されるのを待機している場合があるためです。このような場合、応答時間には実際のネットワーク遅延が正確には反映されません。IP SLA を使用すると、宛先デバイスだけでなく送信元デバイスでも、これらの処理遅延が最小限に抑えられるため(レスポンダが使用されている場合)、実際のラウンドトリップ時間を特定できます。IP SLA のテスト パケットでは、処理遅延を最小限に留めるための手段としてタイムスタンプが使用されます。
IP SLA レスポンダがイネーブルの場合、宛先デバイスでは、まずパケットがインターフェイスに到達した時点でタイムスタンプが割り込みレベルで記録され、その後パケットが送出された時点でも再びタイムスタンプが記録されます。処理時間は記録されません。このタイムスタンプは、サブミリ秒(ms)単位で設定されます。
図 41-2 は、レスポンダが動作するしくみを表したものです。ここでは、ラウンドトリップ時間の計算に 4 つのタイムスタンプが使用されています。レスポンダの機能がイネーブルになっている宛先ルータでは、タイムスタンプ 3(TS3)からタイムスタンプ 2(TS2)を差し引いて、テスト パケットの処理に要した時間 Δ (デルタ)が算出されます。次に、全ラウンドトリップ時間からこの Δ の値が差し引かれます。送信元ルータ上でも IP SLA によりこれと同じ原理が適用されます。送信元ルータでは正確を期すため、受信時のタイムスタンプ 4(TS4)が割り込みレベルで記録されています。
図 41-2 Cisco IOS IP SLA レスポンダのタイムスタンプ
宛先デバイスで 2 つのタイムスタンプを記録すると、一方向遅延、ジッタ、方向性を持つパケット損失などを追跡できるという利点もあります。ネットワーク動作はその多くが非同期であるため、こうした統計情報は非常に重要です。ただし、一方向遅延を測定するためには、送信元ルータと宛先ルータが同一のクロック ソースに同期するように、双方のルータに Network Time Protocol(NTP; ネットワーク タイム プロトコル)を設定する必要があります。一方向ジッタを測定する場合は、クロック同期は不要です。
IP SLA 動作のスケジューリング
IP SLA 動作を設定する場合は、統計情報の取得およびエラー情報の収集が開始される日時をスケジューリングする必要があります。動作は、ただちに開始されるようにスケジューリングできるほか、特定の月、日、および時刻に開始されるようスケジューリングすることもできます。一定期間をおいて動作が開始されるように設定する場合は、 保留 オプションを使用できます。この保留オプションとは、SNMP を介して認識できる動作の内部状態のことです。保留状態は、トリガされるのを待機しているリアクション(しきい値)動作に対しても使用できます。単独の IP SLA 動作をスケジューリングすることも、一度に複数の動作をスケジューリングすることもできます。
Cisco IOS CLI または CISCO RTTMON-MIB から単一のコマンドを使用して複数の IP SLA 動作をスケジューリングできます。これらの動作を複数回にわたり均等に分散して実行するようにスケジューリングすると、IP SLA のモニタリング トラフィックの量を制御できます。このように IP SLA 動作を分散して実行すると、CPU の利用率を最小限に抑制できるため、ネットワークのスケーラビリティが向上します。
IP SLA の複数動作スケジューリング機能に関する詳細については、次の URL にある『 Cisco IOS IP SLAs Configuration Guide 』の「IP SLAs--Multiple Operation Scheduling」を参照してください。
http://www.cisco.com/en/US/docs/ios/ipsla/configuration/guide/12_4t/sla_12_4t_book.html
IP SLA 動作のしきい値のモニタリング
サービス レベル契約の適切なモニタリングをサポートするためには、違反があった場合にそれを即在に通知するメカニズムが必要です。IP SLA では、次のような状況でトリガされる SNMP トラップを送信できます。
• 接続の切断
• タイムアウト
• ラウンドトリップ時間のしきい値
• 平均ジッタのしきい値
• 一方向パケット損失
• 一方向ジッタ
• 一方向 Mean Opinion Score(MOS; 平均オピニオン評点)
• 一方向遅延
IP SLA のしきい値が超過した場合にも、別の IP SLA 動作をトリガしてより詳しい分析を行えます。たとえば、動作の頻度を高めたり、ICMP パス エコー動作または ICMP パス ジッタ動作を開始してトラブルシューティングを行ったりします。
しきい値のタイプや設定レベルは、決定する際に煩雑な作業を伴う場合があるうえ、ネットワーク内で使用している IP サービスのタイプにも依存します。Cisco IOS IP SLA 動作でしきい値を使用する詳しい方法については、次の URL にある『Cisco IOS IP SLAs Configuration Guide』の「IP SLAs--Proactive Threshold Monitoring」を参照してください。
http://www.cisco.com/en/US/docs/ios/ipsla/configuration/guide/12_4t/sla_12_4t_book.html
IP SLA 動作の設定
ここで説明する設定情報は、使用可能なすべての動作を網羅したものではありません。詳細な設定情報については、『 Cisco IOS IP SLAs Configuration Guide 』を参照してください。ここでは、レスポンダの設定、UDP ジッタ動作の設定(レスポンダが必要)、ICMP エコー動作の設定(レスポンダは不要)など、具体例として取り上げるいくつかの動作の設定について説明します。その他の動作の設定に関する詳細については、次の URL にある『 Cisco IOS IP SLAs Configuration Guide 』を参照してください。
http://www.cisco.com/en/US/docs/ios/ipsla/configuration/guide/12_4t/sla_12_4t_book.html
ここでは、次の情報について説明します。
• 「デフォルト設定」
• 「設定時の注意事項」
• 「IP SLA レスポンダの設定」
• 「UDP ジッタ動作による IP サービス レベルの分析」
• 「ICMP エコー動作による IP サービス レベルの分析」
デフォルト設定
IP SLA 動作は設定されていません。
設定時の注意事項
IP SLA コマンドの詳細については、次の URL にあるコマンド リファレンス『 Cisco IOS IP SLAs Command Reference 』 Release 12.4T を参照してください。
http://www.cisco.com/en/US/docs/ios/ipsla/command/reference/sla_book.html
詳細な説明および設定手順については、次の URL にある『 Cisco IOS IP SLAs Configuration Guide 』 Release 12.4T を参照してください。
http://www.cisco.com/en/US/docs/ios/ipsla/configuration/guide/12_4t/sla_12_4t_book.html
このガイドで説明されている IP SLA コマンドや IP SLA 動作の中には、スイッチ上でサポートされていないものも含まれます。スイッチでは、複数動作スケジューリング機能や、しきい値の予防的モニタリングのほか、UDP ジッタ、UDP エコー、HTTP、TCP 接続、ICMP エコー、ICMP パス エコー、ICMP パス ジッタ、FTP、DNS、DHCP などを使用することにより、IP サービス レベルの分析を行えます。スイッチは、ゲートキーパー登録遅延動作測定を使用した IP SLA VoIP サービス レベルをサポートしていません。
IP SLA アプリケーションを設定する前に、 show ip sla application 特権 EXEC コマンドを使用して、動作タイプがソフトウェア イメージでサポートされているかどうかを確認してください。次に、このコマンドの出力例を示します。
Switch# show ip sla application
Version: 2.2.0 Round Trip Time MIB, Infrastructure Engine-II
Time of last change in whole IP SLAs: 22:17:39.117 UTC Fri Jun
Estimated system max number of entries: 15801
Estimated number of configurable operations: 15801
Number of Entries configured : 0
Number of active Entries : 0
Number of pending Entries : 0
Number of inactive Entries : 0
Supported Operation Types
Type of Operation to Perform: 802.1agEcho
Type of Operation to Perform: 802.1agJitter
Type of Operation to Perform: dhcp
Type of Operation to Perform: dns
Type of Operation to Perform: echo
Type of Operation to Perform: ftp
Type of Operation to Perform: http
Type of Operation to Perform: jitter
Type of Operation to Perform: pathEcho
Type of Operation to Perform: pathJitter
Type of Operation to Perform: tcpConnect
Type of Operation to Perform: udpEcho
IP SLAs low memory water mark: 21741224
IP SLA レスポンダの設定
IP SLA レスポンダは、Catalyst 2960 スイッチや Cisco ME 2400 スイッチ、メトロ ベース イメージが実行される Cisco ME 3400 スイッチなど、Cisco IOS ソフトウェア ベースのデバイス上に限って使用できます。これらのデバイスには、IP SLA 機能を部分的にサポートする一部のレイヤ 2 スイッチも含まれます。宛先デバイス(動作のターゲット)上で IP SLA レスポンダを設定するには、特権 EXEC モードで次の手順を実行します。
|
|
|
ステップ 1 |
configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
ip sla responder { tcp-connect | udp-echo } ipaddress ip-address port port-number |
スイッチを IP SLA レスポンダとして設定します。 キーワードの意味は次のとおりです。 • tcp-connect :レスポンダの TCP 接続動作をイネーブルにします。 • udp-echo :レスポンダの UDP エコー動作または UDP ジッタ動作をイネーブルにします。 • ipaddress ip-address :宛先 IP アドレスを入力します。 • port port-number :宛先のポート番号を入力します。 (注) IP アドレスおよびポート番号は、対象の IP SLA 動作用に送信元デバイス上で設定されたものと同じであることが必要です。 |
ステップ 3 |
end |
特権 EXEC モードに戻ります。 |
ステップ 4 |
show ip sla responder |
デバイス上の IP SLA レスポンダの設定を確認します。 |
ステップ 5 |
copy running-config startup-config |
(任意)コンフィギュレーション ファイルに設定を保存します。 |
IP SLA レスポンダをディセーブルにする場合は、 no ip sla responder グローバル コンフィギュレーション コマンドを入力します。次に、デバイスを IP SLA の UDP ジッタ動作用のレスポンダとして設定する例を示します。手順については以下で説明します。
Switch(config)# ip sla responder udp-echo 172.29.139.134 5000
UDP ジッタ動作による IP サービス レベルの分析
ジッタとは、パケット間遅延のばらつきのことです。送信元から宛先へ複数のパケットが 10 ミリ秒間隔で連続的に送信される場合、ネットワークが正常に動作していれば、宛先ではそれらのパケットが 10 ミリ秒間隔で受信されます。しかし、ネットワーク内で遅延(キューイング、代替ルート経由での転送など)が発生すると、パケットの到達間隔が 10 ミリ秒より長くなったり短くなったりすることがあります。パケットの到達間隔が 10 ミリ秒より長い場合、ジッタ値は正となります。パケットが 12 ミリ秒間隔で到達した場合、ジッタ値は +2、パケットが 8 ミリ秒間隔で到達した場合ジッタ値は -2 となります。遅延に影響されやすいネットワークの場合、ジッタ値は 0 となることが理想的で、正の値になることは好ましくありません。
ジッタのモニタリング以外にも、多目的なデータ収集動作として、IP SLA の UDP ジッタ動作を使用できます。送信元と動作ターゲットとの間で送受信されるシーケンス情報やタイムスタンプは、IP SLA で生成されるパケットにより搬送されます。UDP ジッタ動作では、これらの情報に基づいて、次のようなデータが測定されます。
• 方向別ジッタ(送信元から宛先および宛先から送信元)
• 方向別パケット損失
• 方向別遅延(一方向遅延)
• ラウンドトリップ遅延(平均ラウンドトリップ時間)
データの送信および受信に使用するパスは異なる場合があるため(非対称)、方向別のデータを使用することで、ネットワーク内の輻輳などの問題点がある場所をより迅速に特定できます。
UDP ジッタ動作では、疑似的な UDP トラフィックが生成され、大量の UDP パケットが送信されます。各パケットは、サイズが指定され、送信元ルータから宛先ルータへ指定された時間間隔(ミリ秒単位)で送信されます。さらにこうしたパケットの送信が、指定された時間間隔で繰り返し実行されます。デフォルトでは、ペイロード サイズが 10 バイトのパケット フレームが 10 ミリ秒間隔で計 10 個生成され、60 秒ごとにこの動作が繰り返し実行されます。これらの各パラメータを設定することにより、目的の IP サービスを的確にシミュレーションできます。
一方向遅延を正確に測定するには、送信元と宛先デバイスとの間に、NTP などによる時刻同期が必要です。一方向ジッタおよび一方向パケット損失の測定には、時刻同期は不要です。送信元デバイスと宛先デバイスとの間で時刻が同期していない場合、一方向ジッタおよび一方向パケット損失に関するデータは取得できますが、UDP ジッタ動作による一方向遅延の測定では、値 0 が返されます。
(注) 送信元デバイス上で UDP ジッタ動作を設定する場合は、あらかじめ宛先デバイス(動作のターゲット)上で IP SLA レスポンダをイネーブルにしておく必要があります。
送信元デバイス上で UDP ジッタ動作を設定するには、特権 EXEC モードで次の手順を実行します。
|
|
|
ステップ 1 |
configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
ip sla operation-number |
IP SLA 動作を作成し、IP SLA コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 3 |
udp-jitter { destination-ip-address | destination-hostname } destination-port [ source-ip { ip-address | hostname }] [ source-port port-number ] [ control { enable | disable }] [ num-packets number-of-packets ] [ interval interpacket-interval ] |
IP SLA 動作を UDP ジッタ動作として設定し、UDP ジッタ コンフィギュレーション モードを開始します。 • destination-ip-address | destination-hostname :宛先の IP アドレスまたはホスト名を指定します。 • destination-port :宛先のポート番号を、1 ~ 65535 の範囲で指定します。 • (任意) source-ip { ip-address | hostname } : 送信元の IP アドレスまたはホスト名を指定します。送信元の IP アドレスまたはホスト名を指定しない場合は、宛先に最も近い IP アドレスが IP SLA によって選択されます。 • (任意) source-port port-number :送信元のポート番号を、1 ~ 65535 の範囲で指定します。ポート番号を指定しない場合は、使用可能なポートが IP SLA によって選択されます。 • (任意) control :IP SLA レスポンダへの IP SLA コントロール メッセージの送信をイネーブルまたはディセーブルにします。デフォルトでは、IP SLA レスポンダとの接続を確立するため、IP SLA コントロール メッセージが宛先デバイスに送信されます。 • (任意) num-packets number-of-packets :生成するパケットの数を入力します。指定できる範囲は 1 ~ 6000 で、デフォルト値は 10 です。 • (任意) interval inter-packet-interval :パケットの送信間隔をミリ秒単位で入力します。指定できる範囲は 1 ~ 6000 で、デフォルト値は 20 ミリ秒です。 |
ステップ 4 |
frequency seconds |
(任意)指定された IP SLA 動作を繰り返し実行する周期を設定します。指定できる範囲は 1 ~ 604800 秒で、デフォルトは 60 秒です。 |
ステップ 5 |
exit |
UDP ジッタ コンフィギュレーション モードを終了し、グローバル コンフィギュレーション モードに戻ります。 |
ステップ 6 |
ip sla monitor schedule operation-number [ life { forever | seconds }] [ start-time { hh : mm [: ss ] [ month day | day month ] | pending | now | after hh:mm:ss ] [ ageout seconds ] [ recurring ] |
個々の IP SLA 動作に対してスケジューリング パラメータを設定します。 • operation-number :Response Time Reporter(RTR)エントリ番号を入力します。 • (任意) life :動作を無制限( forever )または特定の 秒 数(seconds)実行するかを設定します。指定できる範囲は 0 ~ 2147483647 です。デフォルトは 3600 秒(1 時間)です。 • (任意) start-time :情報収集を開始する動作の時間を入力します。 – 特定の時間に開始するには、時間、分、秒(24 時間式)および日付を入力します。月を指定しない場合、現在の月がデフォルトとして設定されます。 – 開始時間を選択するまで情報を収集しないように選択するには pending を入力します。 – 動作を即座に開始するには now を入力します。 – 入力した時間が経過した後に動作を開始するには、 after hh:mm:ss を入力します。 • (任意) ageout seconds :情報をアクティブに収集していない場合に動作をメモリに保存しておく秒数を入力します。指定できる範囲は 0 ~ 2073600 秒で、デフォルトは 0 秒(無期限に保持)です。 • (任意) recurring :動作が毎日自動的に実行されるよう設定します。 |
ステップ 7 |
end |
特権 EXEC モードに戻ります。 |
ステップ 8 |
show ip sla configuration [ operation-number ] |
(任意)すべての IP SLA 動作または特定の動作のすべてのデフォルト値を含む、設定値を表示します。 |
ステップ 9 |
copy running-config startup-config |
(任意)コンフィギュレーション ファイルに設定を保存します。 |
IP SLA 動作をディセーブルにするには、no ip sla operation-number グローバル コンフィギュレーション コマンドを入力します。次に、IP SLA の UDP ジッタ動作を設定する方法の例を示します。
Switch(config)# ip sla 10
Switch(config-ip-sla)# udp-jitter 172.29.139.134 5000
Switch(config-ip-sla-jitter)# frequency 30
Switch(config-ip-sla-jitter)# exit
Switch(config)# ip sla schedule 5 start-time now life forever
Switch# show ip sla configuration 10
IP SLAs, Infrastructure Engine-II.
Type of operation to perform: udp-jitter
Target address/Source address: 1.1.1.1/0.0.0.0
Target port/Source port: 2/0
Request size (ARR data portion): 32
Operation timeout (milliseconds): 5000
Packet Interval (milliseconds)/Number of packets: 20/10
Type Of Service parameters: 0x0
Operation frequency (seconds): 30
Next Scheduled Start Time: Pending trigger
Randomly Scheduled : FALSE
Entry Ageout (seconds): never
Recurring (Starting Everyday): FALSE
Status of entry (SNMP RowStatus): notInService
Threshold (milliseconds): 5000
Number of statistic hours kept: 2
Number of statistic distribution buckets kept: 1
Statistic distribution interval (milliseconds): 20
ICMP エコー動作による IP サービス レベルの分析
ICMP エコー動作では、シスコ製デバイスと、IP を使用する任意のデバイスとの、エンドツーエンドの応答時間が測定されます。応答時間は、宛先へ ICMP エコー要求メッセージを送信してから ICMP エコー応答を受信するまでの所要時間を測定して算出されます。送信元 IP SLA デバイスと宛先 IP デバイスの間の応答時間を測定する際、多くのお客様が、ICMP ベースの IP SLA 動作、社内 ping テスト、または ping ベースの専用プローブを使用しています。IP SLA の ICMP エコー動作は、ICMP ping テストと同じ仕様に準拠しているため、応答時間の測定結果は、どちらの方法を使用しても同じです。
(注) ICMP エコー動作では、IP SLA レスポンダをイネーブルにする必要はありません。
送信元デバイス上で ICMP エコー動作を設定するには、特権 EXEC モードで次の手順を実行します。
|
|
|
ステップ 1 |
configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
ip sla operation-number |
IP SLA 動作を作成し、IP SLA コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 3 |
icmp-echo { destination-ip-address | destination-hostname } [ source-ip { ip-address | hostname } | source-interface interface-id ] |
IP SLA 動作を ICMP エコー動作として設定し、ICMP エコー コンフィギュレーション モードを開始します。 • destination-ip-address | destination-hostname :宛先の IP アドレスまたはホスト名を指定します。 • (任意) source-ip { ip-address | hostname } : 送信元の IP アドレスまたはホスト名を指定します。送信元の IP アドレスまたはホスト名を指定しない場合は、宛先に最も近い IP アドレスが IP SLA によって選択されます。 • (任意) source-interface interface-id :この動作に使用する送信元のインターフェイスを指定します。 |
ステップ 4 |
frequency seconds |
(任意)指定された IP SLA 動作を繰り返し実行する周期を設定します。指定できる範囲は 1 ~ 604800 秒で、デフォルトは 60 秒です。 |
ステップ 5 |
exit |
UDP ジッタ コンフィギュレーション モードを終了し、グローバル コンフィギュレーション モードに戻ります。 |
ステップ 6 |
ip sla schedule operation-number [ life { forever | seconds }] [ start-time { hh : mm [: ss ] [ month day | day month ] | pending | now | after hh:mm:ss ] [ ageout seconds ] [ recurring ] |
個々の IP SLA 動作に対してスケジューリング パラメータを設定します。 • operation-number :Response Time Reporter(RTR)エントリ番号を入力します。 • (任意) life :動作を無制限( forever )または特定の 秒 数(seconds)実行するかを設定します。指定できる範囲は 0 ~ 2147483647 です。デフォルトは 3600 秒(1 時間)です。 • (任意) start-time :情報収集を開始する動作の時間を入力します。 – 特定の時間に開始するには、時間、分、秒(24 時間式)および日付を入力します。月を指定しない場合、現在の月がデフォルトとして設定されます。 – 開始時間を選択するまで情報を収集しないように選択するには pending を入力します。 – 動作を即座に開始するには now を入力します。 – 入力した時間が経過した後に動作を開始する場合は、 after hh:mm:ss を入力します。 • (任意) ageout seconds :情報をアクティブに収集していない場合に動作をメモリに保存しておく秒数を入力します。指定できる範囲は 0 ~ 2073600 秒で、デフォルトは 0 秒(無期限に保持)です。 • (任意) recurring :動作が毎日自動的に実行されるよう設定します。 |
ステップ 7 |
end |
特権 EXEC モードに戻ります。 |
ステップ 8 |
show ip sla configuration [ operation-number ] |
(任意)すべての IP SLA 動作または特定の動作のすべてのデフォルト値を含む、設定値を表示します。 |
ステップ 9 |
copy running-config startup-config |
(任意)コンフィギュレーション ファイルに設定を保存します。 |
IP SLA 動作をディセーブルにするには、 no ip sla operation-number グローバル コンフィギュレーション コマンドを入力します。次に、IP SLA の ICMP エコー動作を設定する方法の例を示します。
Switch(config)# ip sla 12
Switch(config-ip-sla)# icmp-echo 172.29.139.134
Switch(config-ip-sla-echo)# frequency 30
Switch(config-ip-sla-echo)# exit
Switch(config)# ip sla schedule 5 start-time now life forever
Switch# show ip sla configuration 22
IP SLAs, Infrastructure Engine-II.
Type of operation to perform: echo
Request size (ARR data portion): 28
Operation timeout (milliseconds): 5000
Type Of Service parameters: 0x0
Operation frequency (seconds): 60
Next Scheduled Start Time: Pending trigger
Randomly Scheduled : FALSE
Entry Ageout (seconds): never
Recurring (Starting Everyday): FALSE
Status of entry (SNMP RowStatus): notInService
Threshold (milliseconds): 5000
Number of statistic hours kept: 2
Number of statistic distribution buckets kept: 1
Statistic distribution interval (milliseconds): 20
Number of history Lives kept: 0
Number of history Buckets kept: 15
History Filter Type: None