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この章では、Cisco ケーブル Wideband ソリューション Release 1.0 に使用されているアーキテクチャについて説明します。具体的な内容は次のとおりです。
DOCSIS 3.0 Downstream Channel Bonding 機能は、DOCSIS 1.x/2.0 のサービスおよびネットワークとの下位互換性があります。
DOCSIS 3.0 Downstream Channel Bonding 機能では、DOCSIS 3.0 ダウンストリーム チャネル ボンディング プロトコルの選択されたサブセットを使用します。
チャネル ボンディングでは、複数の RF チャネルを結合すなわちボンディングしてワイドバンド チャネルを作成することによって、帯域幅を拡大します。DOCSIS 3.0 Downstream Channel Bonding 機能は、CMTS やケーブル モデムのほか、プロビジョニングやネットワーク管理システムにも影響を与えます。
DOCSIS 3.0 Downstream Channel Bonding 機能のコアは、所定のサービス フローに従って、複数の RF チャネルをまたいで DOCSIS パケットを送信することです。Cisco Wideband SPA の送信フレーマが特定のフローに従って DOCSIS パケットを「ストライプ」に分割し、ワイドバンド チャネルの複数の RF チャネルに送信します。ワイドバンド ケーブル モデムでパケットを受信すると、モデムの受信フレーマが各 DOCSIS パケットに埋め込まれたシーケンス番号を使用し、パケットを再構成して元のフローにします。
ワイドバンド チャネル は、ダウンストリーム RF チャネルの一意の組み合せです。ワイドバンド CMTS は最大 24 のワイドバンド チャネルを管理します(Wideband SPA あたり 12 のワイドバンド チャネル)。ワイドバンド ケーブル モデムは、ワイドバンド チャネルを結合します。同じワイドバンド チャネルを、多くのワイドバンド ケーブル モデムが共有できます。
このマニュアルでは、 ワイドバンド チャネル 、 ボンディングされたチャネル と ボンディング グループ は同じ意味です。MPEG-TS パケットを伝送する 1 つまたは複数の物理 Radio Frequency(RF; 無線周波数)チャネルをまとめて論理グループにすることです。
DOCSIS 3.0 Downstream Channel Bonding 機能は、DOCSIS 2.0 システムの上にオーバーレイされ、DOCSIS 2.0 システムに対して透過的です。Cisco ケーブル Wideband ソリューション Release 1.0 では、これらのチャネルを次のとおり、ワイドバンド動作に使用します。
• ワイドバンド ダウンストリーム チャネルでは、Wideband SPA はギガビット イーサネット ポートを使用して、EQAM デバイスにデータ トラフィックを送信します。EQAM デバイスは、ワイドバンド チャネルの設定方法に応じて、1 つまたは複数の QAM 出力チャネルを使用し、ストライプに分割したパケットをワイドバンド ケーブル モデムに送信します。Release 1.0 では、チャネル ボンディングはダウンストリームのワイドバンド チャネルにのみ使用されます。
–Linksys WCM300-NA モデムの場合、ダウンストリーム ワイドバンド チャネルは、RF チャネルを 8 つまで結合できるので、総帯域幅は(6 MHz、256 QAM で)約 292 Mbps になります。
–Scientific Atlanta DPC2505 モデムの場合、ダウンストリーム ワイドバンド チャネルは、RF チャネルを 2 つまで結合できるので、総帯域幅は(6 MHz、256 QAM で)約 74 Mbps になります。
• 従来の DOCSIS 2.0 ダウンストリーム チャネルは、ワイドバンド チャネルに対応付けられ、MAC 管理およびシグナリング メッセージを伝送します。従来の DOCSIS 2.0 ダウンストリーム チャネルがボンディングされたトラフィックを伝送することはありません。このような形で使用される従来の DOCSIS ダウンストリーム チャネルを プライマリ ダウンストリーム チャネル といいます。
• プライマリ ダウンストリーム チャネルに対応付けられた従来の DOCSIS 2.0 アップストリーム チャネルは、リターン トラフィックおよびシグナリングを伝送します。
ワイドバンド チャネル、プライマリ ダウンストリーム チャネル、および対応付けられたアップストリーム チャネルは、ワイドバンド チャネルを提供するファイバ ノードごとに設定します。
図3-1 に、EQAM デバイス上でボンディングされた 4 つの RF チャネルからなるワイドバンド チャネルを示します。これらの RF チャネルは非同期であり、ボンディングされたトラフィックだけを伝送します。図3-1 に示すように、ワイドバンド チャネルに対応付けられた従来の DOCSIS 2.0 ダウンストリーム チャネルは、ワイドバンド チャネルに関する MAC レイヤ シグナリングを伝送します。ワイドバンド チャネルに対応付けられたアップストリーム チャネルは、従来の DOCSIS 2.0 アップストリームです。
図3-1 ワイドバンド チャネルを形成するチャネル ボンディング
uBR10012 ルータ上の Cisco Wideband SPA は、DOCSIS 3.0 Downstream Channel Bonding 機能に論理 RF チャネルを提供します。サービス プロバイダーはカスタマイズした Cisco IOS コマンド セットを使用して、ワイドバンド チャネル、対応付けられた DOCSIS 2.0 ダウンストリーム チャネル、およびアップストリーム チャネルごとに Wideband SPA を設定します。
ケーブル ネットワークにおいて、ファイバ ノードはファイバ トランクと同軸配線間のインターフェイス ポイントです。1 つのケーブル モデムは、1 つのファイバ ノードにのみ物理的に接続されます。ファイバ ノードのソフトウェア設定は、ケーブル ネットワークの物理トポロジを反映したものです。Cisco IOS CLI コマンドでファイバ ノードを設定する場合、ファイバ ノードは下記を定義するソフトウェア メカニズムになります。
• ファイバ ノードに流れるダウンストリーム RF チャネル セット
• ファイバ ノードに対応する 1 つ以上のプライマリ ダウンストリーム チャネル(従来の DOCSIS ダウンストリーム チャネル)
• ファイバ ノードに接続し、アップストリーム チャネルとして使用できる、ケーブル インターフェイス ラインカード上のアップストリーム チャネル ポート セット
DOCSIS 3.0 Downstream Channel Bonding 機能では、1 つ以上のプライマリ ダウンストリーム チャネル(従来の DOCSIS ダウンストリーム チャネル)にファイバ ノードを対応付ける必要があります。1 つのファイバ ノードは複数のプライマリ ダウンストリーム チャネルに対応付けることができますが、任意の 1 時点で使用されるプライマリ ダウンストリーム チャネルは 1 つだけです。uBR10-MC5X20 ケーブル インターフェイス カード上では、プライマリ ダウンストリーム チャネルごとに、ダウンストリーム ポートとスタティックに対応付けられたアップストリーム ポートを 1 つずつ使用します。
ファイバ ノードの設定については、『 Cisco uBR10012 Universal Broadband Router SIP and SPA Software Configuration Guide 』を参照してください。
Cisco IOS の仮想インターフェイス バンドリング機能は、ワイドバンド チャネルおよびプライマリ ダウンストリーム チャネルに使用されます。ワイドバンド チャネルとプライマリ ダウンストリーム チャネルの両方が同じ仮想バンドルに属していなければなりません。仮想インターフェイス バンドリングによって、バンドル内のラインカードの 1 つで障害または問題のある活性挿抜が発生しても、物理インターフェイスの接続損失が防止されます。
DOCSIS 3.0 Downstream Channel Bonding 機能を使用すると、次の状況でファイバ ノード上のワイドバンド チャネルとプライマリ ダウンストリーム チャネルの対応付けが可能です。
1. 1 つのワイドバンド チャネル上で複数の WCM が同じプライマリ ダウンストリーム チャネルを使用
2. 1 つのワイドバンド チャネル上で複数の WCM が異なるプライマリ ダウンストリーム チャネルを使用
3. 異なるワイドバンド チャネル上で複数の WCM が同じプライマリ ダウンストリーム チャネルを使用
図3-2 に、ファイバ ノードにおけるワイドバンド チャネルとプライマリ ダウンストリーム チャネル間の対応付けの例を示します。
• ワイドバンド チャネル WB1 は、プライマリ ダウンストリーム チャネル PDC1 および PDC2 に対応付けられています。
• ワイドバンド チャネル WB2 は、プライマリ ダウンストリーム チャネル PDC1 にのみ対応付けられています。
図3-2 ファイバ ノード上のワイドバンド チャネルおよびプライマリ ダウンストリーム チャネル
ファイバ ノード上の WCM は、WB1/PDC1、WB1/PDC2、または WB2/PDC1 でオンラインになります。CMTS 上では、WB1、WB2、PDC1、および PDC2 のすべてが同じ仮想インターフェイス バンドルに属しています。
仮想バンドル インターフェイスの設定については、『 Cisco uBR10012 Universal Broadband Router SIP and SPA Software Configuration Guide 』を参照してください。
Cisco ケーブル Wideband ソリューション Release 1.0 では、ある種のモジュラ CMTS(M-CMTS)アーキテクチャを使用します。モジュラ CMTS アーキテクチャでは、CMTS のダウンストリーム PHY(物理レイヤ)は別個のネットワーク要素であるエッジ QAM デバイスに配置されます。CableLabs によって DOCSIS 仕様の 1 つである M-CMTS アーキテクチャが定義されています。M-CMTS アーキテクチャとワイドバンド(DOCSIS 3.0)チャネル ボンディングは、密接に関連したテクノロジーです。
M-CMTS アーキテクチャに関する CableLabs の仕様では、エッジ QAM デバイスに対する変更が定義され、DOCSIS 認識機能および DOCSIS サブシステムへの同期機能の両方が必要になっています。Cisco ケーブル Wideband ソリューション Release 1.0 で実装される M-CMTS アーキテクチャは、エッジ QAM デバイスにこれらの要件を求めません。
シングル ワイドバンド チャネルに関して、図3-3 に、Cisco ケーブル Wideband ソリューション Release 1.0 で使用されている M-CMTS アーキテクチャを示します。この例では、2 つのダウンストリーム RF チャネルがボンディングされて、1 つのワイドバンド チャネルを形成します。ギガビット イーサネット(GE)スイッチはオプションです。
図3-3 Cisco ケーブル Wideband M-CMTS のアーキテクチャ
Cisco ケーブル Wideband ソリューション Release 1.0 に使用する M-CMTS アーキテクチャでは、従来の CMTS 機能が次のように、2 つのネットワーク要素に分割されています。
• M-CMTS コア -- ダウンストリーム PHY を除き、CMTS の従来の機能が組み込まれています。M-CMTS コアは、DOCSIS Media Access Control(MAC; メディア アクセス制御)、アップストリーム QPSK および QAM 復調などの CMTS 機能を提供します。DOCSIS MAC には、アップストリームおよびダウンストリーム パケット送信サービス、ケーブル モデムとの MAC 管理メッセージ交換が含まれます。Cisco ケーブル Wideband ソリューション では、Cisco uBR10012 ルータが M-CMTS コア デバイスです。
• エッジ QAM ( EQAM ) デバイス -- M-CMTS コアに接続し、QAM モジュレータなどの PHY 関連ハードウェアからなります。入力に関して、EQAM デバイスは冗長ギガビット イーサネット インターフェイスを使用して M-CMTS と通信します。さらに出力用として、EQAM デバイスには Hybrid Fiber Coaxial(HFC; 光ファイバ/同軸ハイブリッド)ネットワークに接続する、複数の QAM 変調装置および RF アップコンバータがあります。Cisco ケーブル Wideband ソリューション では、ソリューション コンポーネントとの相互運用性について、4 種類の EQAM デバイスがテスト済みです。
–Scientific Atlanta Continuum DVP eXtra Dense QAM Array 24(XDQA24)
–Harmonic Narrowcast Services Gateway(NSG)9116
–Harmonic Narrowcast Services Gateway(NSG)9000
–Vecima Networks VistaLynx VL1000
Cisco ケーブル Wideband ソリューション Release 1.0 では、MSO の既存ネットワークを利用できます。DOCSIS 1.x/2.0 CMTS として使用するように導入された uBR10012 ルータは、ハードウェア(Cisco Wideband SIP および SPA)を追加し、ソフトウェアをアップグレードすることによって、ワイドバンド ケーブルをサポートするモジュラ CMTS にアップグレードできます。Video on Demand(VoD; ビデオ オンデマンド)に使用する既存の外部 QAM アレイ デバイスも、ソフトウェアのアップグレードによって、エッジ QAM デバイスとして使用できるものがあります。相互運用性のテストが完了しているエッジ QAM デバイスについては、「外部エッジ QAM デバイス」を参照してください。
MSO は既存のファイバ ノードを含め、ワイドバンド ケーブル対応として、既存のネットワーク インフラストラクチャの用途を変更できます。M-CMTS アーキテクチャの利点は、次のとおりです。
• 低費用、低所要電力、高密度のエッジ QAM デバイスの利点を活用できます。
• ダウンストリーム ワイドバンド チャネルに安価な外部 QAM アレイを使用できます。このため、CMTS シャーシにダウンストリーム QAM を配置するより、費用効率が向上します。
• 配線を変更し、新システムに顧客を移行させなくてもすむため、運用コストを節減できます。
従来の CMTS アーキテクチャでは、ワイドバンド チャネル用のダウンストリーム RF チャネルを追加するには、複数のアップストリームも追加しなければなりませんでした。M-CMTS アーキテクチャでは、アップストリームを追加しなくても、複数のダウンストリーム RF チャネルを 1 つのワイドバンド チャネルに集約できます。こうした独立性の高いダウンストリーム チャネルの拡張機能により、経済的にもワイドバンド チャネルの実現が可能になります。
M-CMTS アーキテクチャでは、外部エッジ QAM デバイスを使用することによって、MSO が VoD ネットワークと シスコのワイドバンド ケーブル ネットワークに同じネットワーク リソースを使用できます。最新のファームウェアでは、一部のエッジ QAM デバイスを VoD およびワイドバンド チャネルに使用できますが、デバイスの個々の出力 QAM チャネルを共有することはできません。
ワイドバンド チャネルでは、ダウンストリーム データ トラフィックにエッジ QAM デバイスを使用し、アップストリーム トラフィック、およびダウンストリーム MAC 管理およびシグナリング メッセージに、M-CMTS の uBR10-MC5X20 ケーブル インターフェイス ラインカードを使用します。
Cisco ケーブル Wideband ソリューション Release 1.0 では、CMTS は従来の DOCSIS 1.x/2.0 サービスをサポートします。これらのサービスには、エッジ QAM デバイスではなく、uBR10-MC5X20 ケーブル インターフェイス ラインカードを使用します。
ワイドバンド チャネル上で統合 IP トリプル プレー(音声、データ、およびビデオ サービス)が可能なマルチサービス アーキテクチャ(図3-4 を参照)を実現することが DOCSIS 3.0 サービスの最終的な目標です。
(注) Cisco ケーブル Wideband ソリューション Release 1.0 では、uBR10012 ルータが現在ワイドバンド チャネル上でサポートしているのは、データ サービスのみです。Cisco ケーブル Wideband ソリューション Release 1.0 システムは、現在のところ、ワイドバンド チャネル上でのビデオまたは音声をサポートしません。
ここでは、M-CMTS およびワイドバンド ケーブル モデム間の相互作用について説明します。
• 「セキュリティ」
• 「QoS」
DOCSIS MAC ドメインは、CMTS の論理サブコンポーネントであり、一連のダウンストリーム チャネルおよびアップストリーム チャネルにおける、あらゆる DOCSIS 機能の実装を担当します。すべての MAC ドメイン操作は、コア CMTS の uBR10-MC5X20 ケーブル インターフェイス ラインカードで実行されます。CMTS MAC ドメインには、1 つ以上のダウンストリーム チャネルと 1 つ以上のアップストリーム チャネルが含まれます。各ダウンストリーム チャネルまたはアップストリーム チャネルは、1 つの MAC ドメインだけに含まれます。
MAC ドメインは、その MAC ドメインに登録されている一連のケーブル モデムに対する、あらゆる MAC 管理メッセージを受け持ちます。1 つのケーブル モデムは 1 つの MAC ドメインにのみ登録されます。
MAC ドメインは、CMTS とその MAC ドメインに登録されている一連のケーブル モデム間の、レイヤ 2 データ転送サービスを提供します。
ダウンストリーム方向では、MAC ドメインがパケット内のレイヤ 2、3、および 4 情報に基づいて、ダウンストリーム パケットをダウンストリーム サービス フローに分類します。MAC ドメインはさらに、各ダウンストリーム サービス フローのパケットを MAC ドメインのダウンストリーム チャネル セットにスケジューリングします。
CMTS はダウンストリーム サービス フローを、単一のダウンストリーム RF チャネルか、またはワイドバンド チャネルに対応するダウンストリーム ボンディング グループに割り当てます。ボンディングされたパケットのダウンストリーム シーケンスは、ボンディング グループ ID(BG ID)によって、CMTS とワイドバンド ケーブル モデムで識別されます。異なるワイドバンド ケーブル モデム宛てのパケット間で、BG ID を共有できます。CMTS はダウンストリーム サービス フローを、単一のダウンストリーム RF チャネルか、またはワイドバンド チャネルに対応するダウンストリーム ボンディング グループに割り当てます。
Scientific Atlanta DPC2505 または EPC2505 ワイドバンド ケーブル モデムの場合、モデムのユニキャスト サービス フローそれぞれがボンディングされたグループとして送信され、モデムのボンディングされたダウンストリーム チャネルに結合されます。ボンディングされたユニキャスト パケットのダウンストリーム シーケンスは、固有のダウンストリーム サービス識別情報(DSID)によって、CMTS とケーブル モデムで識別されます。ボンディングされたダウンストリーム チャネル上のマルチキャスト トラフィックはサポートされません。ボンディングされたダウンストリーム チャネル上でモデムが認識したマルチキャスト サービス フローは廃棄されます。
アップストリーム方向では、トラフィックの動作および CMTS による処理は、DOCSIS 2.0 の動作および処理と同じです。
アドレッシングはすべて、イーサネットおよび IP アドレスを使用して行います。ワイドバンド ケーブル モデムでは、標準のケーブル モデムと同じ IP アドレス空間を使用するので、同じ DHCP 手順で IP アドレスを取得できます。
DOCSIS 3.0 Downstream Channel Bonding 機能では、ダウンストリーム チャネル上に存在できるワイドバンド ケーブル モデム数に制限はありません。限度は帯域幅のアベイラビリティ、または DOCSIS 2.0 の 8175 というサービス ID(SID)数制限のどちらかによって設定されます。
ワイドバンド チャネルと従来の DOCSIS チャネルは、同じサブネット内に存在できるので、ホーム ネットワークの IP アドレス スペースを変更しなくても、サービス間でワイドバンド ケーブル モデムを移動させることができます。
IP アドレス スペースは同質なので、ワイドバンド ケーブル モデムに NAT 機能を持たせる必要はありません。ワイドバンド ケーブル モデムを使用するホーム ネットワークの IP アドレス配布規則は、DOCSIS 2.0 ケーブル モデムを使用する場合と同じです。
ワイドバンド チャネルでは、リンク レベルの暗号化に Baseline Privacy Plus(BPI+; ベースライン プライバシー プラス)を使用します。DOCSIS 2.0 の場合と同様、BPI+ はワイドバンド ケーブル モデムとワイドバンド CMTS 間のトラフィック フローを暗号化することにより、ケーブル ネットワーク全体にわたって、ケーブル モデム ユーザにデータ プライバシーを提供します。BPI+ はさらに、サービス盗難から MSO を保護します。
ワイドバンド ケーブル モデムでは、従来の DOCSIS チャネル上で使用するのと同じ BPI+ 鍵をワイドバンド チャネルで使用します。ワイドバンド ケーブル モデムでは、ワイドバンド チャネル上のサービス フローに関して、従来の DOCSIS ダウンストリーム チャネルのプライマリ サービス フローでネゴシエーションした BPI+ 鍵を使用します。
ワイドバンド ダウンストリーム チャネル上の QoS(Quality of Service)では、ワイドバンド ケーブル モデムに複数のサービス フローを割り当てることができます。現在サポートされているのは、ベスト エフォート(BE)サービス フローだけです。CMTS は、保証されないベスト エフォート方式でデータ トラフィックを送信します。
ワイドバンド チャネルと対応付けられた従来の DOCSIS アップストリーム チャネルに関して、サポートされる QoS 機能は DOCSIS 2.0 の場合と同じです。
ギガビット イーサネット(GE)スイッチは、Cisco Wideband SPA から受信したダウンストリーム パケットをエッジ QAM デバイスに渡す、オプションの装置です。ギガビット イーサネット スイッチの用途は、次のとおりです。
• 複数のギガビット イーサネット リンクのトラフィックをより少ないギガビット イーサネット リンクに集約させたうえで、エッジ QAM デバイスに光ファイバで転送する
• ダウンストリーム ギガビット イーサネット リンクに 1+1 または N+1 の冗長性を持たせる
• ワイドバンド DOCSIS トラフィックとビデオ トラフィックを同じエッジ QAM デバイスに多重化する
2 つの Wideband SPA に 3 つ以上の EQAM デバイスが必要な場合は、SPA を EQAM デバイスに接続するためにギガビット イーサネット スイッチが必要です。
VoD トラフィックおよびワイドバンド チャネルの RF チャネルが同一 EQAM デバイス上に混在する場合、ギガビット イーサネット スイッチが必要です。
uBR10012 ルータ上で Cisco IOS コマンドを使用してワイドバンド チャネルに対応する RF チャネルを設定する場合で、なおかつスイッチがレイヤ 2 GE スイッチの場合は、 rf-channel コマンドの mac-address 引数で、スイッチ上のネクストホップ インターフェイスの MAC アドレスを指定します。 rf-channel コマンドの ip-address 引数で、エッジ QAM デバイス上のギガビット イーサネット インターフェイスの IP アドレスを指定します。スイッチの MAC アドレスおよび EQAM デバイスの IP アドレスを使用して、RF チャネルのダウンストリーム トラフィックが正しい宛先にルーティングされます。
エッジ QAM(EQAM)デバイスは、ギガビット イーサネット インターフェイスで、MPEG-TS over IP としてワイドバンドを受信します。エッジ QAM デバイスは、MPEG-TS over IP ストリームから MPEG-TS パケットを抽出し、HFC プラントへの適切な QAM RF 出力にルーティングして、ワイドバンド ケーブル モデムに伝送されるようにします。
エッジ QAM デバイスは、ワイドバンド チャネルに関連する帯域幅または QoS の積極的な管理には関与しません。エッジ QAM デバイスは、ワイドバンド ケーブル モデムが使用する IP アドレッシングを認識しません。
1 つの QAM の総帯域幅を分割し、複数のワイドバンド チャネルにスタティックに割り当てることができます。CMTS 上でワイドバンド チャネルを設定した場合、そのワイドバンド チャネルは Wideband SPA 上で指定された複数の論理 RF チャネルを使用します。各 RF チャネルはエッジ QAM デバイスの QAM 出力と対応付けられます。RF チャネル(および QAM)に割り当てられた総帯域幅が 100% を超えないかぎり、RF チャネルの帯域幅を複数のワイドバンド チャネル間で分割できます。RF チャネル設定の詳細については、『 Cisco uBR10012 Universal Broadband Router SIP and SPA Software Configuration Guide 』を参照してください。
エッジ QAM デバイス上の QAM チャネルは、隣接している必要はありません。特定の QAM チャネルが非 DOCSIS 用としてすでに割り当てられている場合、DOCSIS 3.0 Downstream Channel Bonding 機能は使用可能なチャネルを使用します。場合によってはシステムからの制約があります。たとえば、QAM が周波数スタッキングの場合、一部の QAM を隣接させる必要があります。
ワイドバンド ケーブル モデムは、業界標準 DOCSIS 2.0 互換 CMTS との相互運用が可能なスタンドアロン デバイスですが、ワイドバンド CMTS と組み合わせて使用した場合、ワイドバンド動作をサポートします。ワイドバンド ケーブル モデムは、任意の 1 時点で、次のいずれかの動作を行います。
• 従来の DOCSIS 2.0 ケーブル モデムとして動作し、従来型ダウンストリーム上で、あらゆるダウンストリーム トラフィックをボンディングされていないトラフィックとして受信します。
• ワイドバンド ケーブル モデムとして動作し、あらゆるダウンストリーム トラフィックをボンディングされたトラフィック、すなわち 1 つまたは複数の RF ダウンストリームからなるワイドバンド チャネルとして受信します。
ここでは、ワイドバンド ケーブル モデムとしての役割に絞って説明します。これは一般的な説明であり、Cisco ケーブル Wideband ソリューション Release 1.0 でサポートされるすべてのワイドバンド ケーブル モデムに当てはまります。
ワイドバンド ケーブル モデム機能は、ワイドバンド ケーブル モデムによって異なる場合があります。特定のワイドバンド ケーブル モデムの実装情報については、「ワイドバンド ケーブル モデムの動作」を参照してください。
ワイドバンド ケーブル モデムは、DOCSIS 2.0 との下位互換性があり、DOCSIS 2.0 コアがすべて含まれています。ワイドバンド チャネルが使用できない場合、ワイドバンド ケーブル モデムは純粋に DOCSIS 2.0 ケーブル モデムとして動作可能です。図3-5 に、ワイドバンド ケーブル モデムの概略図を示します。
ワイドバンド ケーブル モデムには、ボンディングされたチャネルの複数の RF チャネルを受信する、ワイドバンド レシーバがあります。さらに、ワイドバンド レシーバからの信号をデコードして、10/100/1000 Mbps イーサネット ホーム ネットワークのパケットを抽出する、ワイドバンド フレーマがあります。
ワイドバンド ケーブル モデムは、設定プロセスの間に、ワイドバンド対応として認識されます。したがって、DOCSIS TFTP プロビジョニング サーバでワイドバンド モードを有効または無効にしたり、適切な設定パラメータを選択したりできます。
ワイドバンド チャネルでは、従来の DOCSIS チャネルと同じ DOCSIS フレーム フォーマットを使用します。チャネルの帯域幅が多いというだけです。ワイドバンド用に新しく拡張されたヘッダーが DOCSIS プロトコルに追加されています。拡張ヘッダーでは、ワイドバンド ケーブル モデムがワイドバンド パケットの再組み立て時に使用する、論理ワイドバンド チャネルおよびシーケンス番号を定義します。
ワイドバンド ケーブル モデム用の CISCO-CABLE-WIDEBAND-MODEM-MIB がサポートされます。これは、既存のケーブル モデム MIB の拡張機能です。