Cisco CallManager について
CallManager には、従来の PBX システムと同様の機能があります。CallManager では、TCP/IP、(パケットベース マルチメディア通信システム用の)H.323 規格、Media Gateway Control Protocol(MGCP)などのオープン スタンダードが採用されています。CallManager を使用することで、音声アプリケーションの展開、およびテレフォニー システムとイントラネット アプリケーションの統合が可能になります。CallManager ソフトウェアは、Cisco Media Convergence Server(MCS)にインストールする必要があります。
CallManager は、IPCC システムにおけるスイッチング機能を処理します。CallManager は、Microsoft Internet Information Server(IIS)を利用して標準の Web ブラウザによるリモート管理を可能にし、IP 電話で必要となる基本的なサービス(IP アドレスと特定のデバイスおよび内線とのマッピング、Cisco Voice Gateway の管理など)を提供します。
CallManager は、Cisco IP-IVR や他のアプリケーションの展開に必要な Java Telephony Application Programming Interface(JTAPI)をサポートしています。JTAPI 仕様に準拠しているテレフォニー アプリケーションには、Java のクロスプラットフォームの利点があります。
IPCC Enterprise で使用する Cisco CallManager をインストールする方法
『CallManager インストレーション ガイド』 に記載されている Cisco CallManager のインストール手順に従ってください。 CallManager に関連する IPCC 固有のインストール手順はありません。
インストールが完了したら、次の項の説明に従って IPCC で使用する CallManager を設定します。設定を開始する前に、次の点を確認してください。
• CallManager で CallManager インスタンスが作成されていること。
• CallManager で必要とされる CallManager サービスおよびサード パーティ サービスがすべて実行されていること。
• CallManager に BAT ツールがインストールされていること。
『CallManager インストレーション ガイド』
『Cisco CallManager Bulk Administration Tool ユーザ ガイド』
IPCC Enterprise で使用する CallManager を設定する方法
インストールが完了したら、次の表に記載されている作業を完了して、IPCC Enterprise 環境で使用する CallManager を設定します。これらの作業は、記載されている順序どおりに実行する必要があります。各作業の手順は、この項の後半に記載されています。
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1. エージェント用 IP Phone を設定します。 |
この作業を行う前に、Cisco IP Phone をネットワーク上に設置しておく必要があります。詳細については、Cisco IP Phone に同梱されているマニュアルを参照してください。 |
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2. CTI ルート ポイントを設定します。 |
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3. CTI ポートを設定します。 |
ISN を展開する場合にだけ必要です。 |
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4. JTAPI ユーザ アカウントを作成して、JTAPI Phone、ルート ポイント、およびポートに関連付けます。 |
電話機および CallManager PG に関連付けるアカウントと、IP IVR および CTI ポートに関連付けるアカウントを 1 つずつ作成します。 |
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CallManager Administration ユーティリティについて
この章で説明されている作業の大半は、
CallManager
Administration ユーティリティで行います。
CallManager
Administration はすべての CallManager にインストールされます。
CallManager
Administration にアクセスするには、[Start]>
[Programs]>[Cisco
CallManager]>
[Administration]の順に選択します。または
Web ブラウザで、
http://<callmanagerservername>/ccmadmin と入力します。
IPCC Enterprise で使用するエージェント用 IP Phone を設定する方法
CallManager でエージェント用 IP Phone を設定する方法
IPCC Enterprise システム内の Cisco IP Phone を Cisco CallManager で管理するには、それぞれの IP
Phone を CallManager Administration データベースに登録して設定する必要があります。この作業には、次の 3 つの方法があります。
a. 手動設定:手動設定の場合は、エージェント用 IP Phone を個別に設定します。この章で説明されているのは、この設定方法です。
b. 自動登録:自動登録の場合は、Cisco IP Phone を IP テレフォニー ネットワークに接続すると、その電話機が自動的に Cisco CallManager データベースへ追加されます。自動登録では、利用可能な連番のディレクトリ番号が各電話に割り当てられます。各電話機に特定の番号を割り当てたい場合などには、自動登録は使用しないでください。自動登録の設定方法は、本ガイドでは説明していません。詳細については、 『Cisco CallManager アドミニストレーション ガイド』 を参照してください。
c. 一括設定:CallManager Bulk Administration Tool は、複数の Cisco IP Phone の追加、変更、削除を一括して行うためのプラグイン アプリケーションです。Bulk Administration Tool の使用方法は、本ガイドでは説明していません。詳細については、 『Cisco CallManager Bulk Administration Tool ユーザ ガイド』 を参照してください。
CallManager でエージェント用 IP Phone を手動で設定するには、IPCC Enterprise システム内のエージェント用 IP Phone ごとに、次の手順を実行してください。
1. CallManager Administration で、[Device]>[Add a Device]を選択します。
2. [Device Type]から、[Phone]を選択します。[Next]をクリックします。
3. [Phone Type]から、設定する Cisco IP Phone のモデルを選択します。[Next]をクリックします。
Cisco 7960
4. [MAC Address]フィールドに、電話機の MAC アドレスを入力します。IP Phone の MAC アドレスを確認するには、電話機の背面にあるステッカーを見るか、電話機で[Settings]>[Network Configuration]>[Select]を選択します。
5. [Device Pool]から、[Default]を選択します。
6. [Insert]をクリックします。この電話機の回線 1 に今すぐディレクトリ番号を追加するかどうかを確認するメッセージが表示されます。[OK]をクリックします。
7. [Directory Number]に、この電話機のディレクトリ番号を入力します。これは、エージェントが電話機にログインする際の ID になります。
1001
8. この電話機を使用するエージェントに応じて、次のように設定します。
–IPCC のアウトバウンド オプション機能を使用するエージェントの場合は、[Call Waiting]フィールドを オン に設定します。
–IPCC のアウトバウンド オプション機能を使用しないエージェントの場合は、[Call
Waiting]フィールドを オフ に設定します([Call Waiting]をオフにすると、forward on busy オプションが使用可能になります)。
(注) この Cisco CallManager で管理するエージェントの中にアウトバンド オプション タスクを処理するエージェントが 1 人もいない場合は、Cisco CallManager のシステム デフォルトで[Call Waiting Enable]をオフに設定できます。CallManager のシステム デフォルトを設定する方法については、CallManager Administration のオンライン ヘルプ を参照してください。
9. [Insert]をクリックします。CallManager データベース内にデバイス レコードが作成されたことを確認するメッセージが表示されます。[OK]をクリックします。
10. 必要に応じて、他の電話機を追加します。
3 台の電話機(ID 1002、1003、および 1004)を追加します。
IP Phone でエージェント用 IP Phone の設定を行う方法
IP Phone が Cisco CallManager を検出して接続できるようにするには、エージェント用 IP Phone ごとに次の設定を行う必要があります。IPCC Enterprise システム内にある各エージェント用 IP Phone で、次の手順を実行します。
1. [Settings]を押します。
2. 「**#」を押して、設定のロックを解除します。
3. [Settings]>[Network Configuration]>[Select]を選択します。
4. [Alternative TFTP]を[Yes]に設定します。
5. [Save]を押した後、[Exit]を押します。
6. 電話機の電源を切り、再び電源を投入します。電源プラグを使用している場合は、電話機からコードを抜いて、再び接続します。インライン電源を使用している場合は、ネットワーク ケーブルを抜いて、再び接続します。
CallManager Extension Mobility 機能について
Cisco CallManager には、Extension Mobility 機能があります。ユーザは、この機能を使用して、他の Cisco IP Phone から自分の Cisco IP Phone の設定(ライン アピアランス、サービス、短縮ダイヤルなど)にアクセスできます。Extension Mobility を有効にすると、複数のエージェントが同じ IP Phone を共有でき、各エージェントの個人設定が維持されます。IPCC Enterprise システムの場合、Extension Mobility 機能を持つ IP Phone の動作および機能は、通常の IP Phone と同じになります。Extension Mobility を有効にする方法は、本ガイドでは説明していません。詳細については、 『Cisco CallManager 機能およびサービス ガイド』 を参照してください。
CTI ルート ポイントを設定する方法
CTI ルート ポイントは、複数のコールを同時に受信して、アプリケーション制御によるリダイレクトを行うための仮想デバイスです。コールはルート ポイントに送信された後、利用可能な CTI ポート(リダイレクト用アプリケーションのフロントエンド)にルーティングされます。CTI ルート ポイントは、発信者がアプリケーションにアクセスするためにダイヤルする番号です。リダイレクト用アプリケーションごとに、1 つ以上の CTI ルート ポイントを設定する必要があります。IPCC Enterprise 環境の場合、これらのアプリケーションには、(ICM CallManager PG 上の)IP IVR および ICM ソフトウェアの Cisco JTAPI などが含まれます。
CTI ルート ポイントを作成したら、回線(ディレクトリ番号)を追加して設定できます。
CTI ルート ポイントは、ICM でのポストルーティングに使用されます。Cisco CallManager PIM の PG がダウンした場合や、ICM がコールをルーティングできない場合は、他の CTI ルート ポイントにコールをポストルートできます。
CTI ルート ポイントを設定する方法は次のとおりです。
1. CallManager Administration で、[Device]>[Add New Device]を選択します。
2. [Device Type]から、[CTI Route Point]を選択します。[Next]をクリックします。
3. [Device Name]に、ルート ポイント名を入力します。
inbound_post
5. [Device Pool]から、[Default]を選択します。
6. [Insert]をクリックします。CallManager データベース内にデバイス レコードが作成されたことを確認するメッセージが表示されます。[OK]をクリックします。
7. [Directory Number]に、このデバイスの番号を入力します。
1601
8. [Call Waiting]から、[On]を選択します。
(注) この設定は非表示で、CCM 4.0(1) ではデフォルトでオンに設定されています。
9. [Forward All]、[Forward Busy]、[Forward No Answer]、および[Forward on Failure]に、ICM がコールをルーティングできない場合の転送先とするデバイスの電話番号を入力します。
これらのフィールドは空白にしておいてください。
10. [Insert]をクリックします。
11. 設定が完了したら、CTI Route Point Configuration の各フィールドを確認します。
12. 他の CTI ルート ポイントを作成する場合は、この手順を繰り返します。たとえば、着信コール用のルート ポイントを 2 つ(ポストルート用と、変換ルート用)作成し、IP IVR 用のルート ポイントを 2 つ(ポストルート用と、IVR への転送用)作成します。
次のデバイス名/説明/ディレクトリ番号を使用して、この他に 3 つの CTI ルート ポイントを作成します。
1602/inbound_translation/1602
1701/ivr_post/1701
1702/transfer_ivr/1702
CTI ポートを設定する方法
CTI ポートは、従来の ACD または PBX におけるトランク回線に類似した仮想ポートです。CTI ポートを使用すると、IP IVR のポスト ルーティング機能にアクセスできるようになります。CTI ポートが必要になるのは、IPCC Enterprise システムで IP IVR を展開する場合だけです。
設定するポートの数は、各環境の要件とライセンス数に応じて異なります。
CTI ポートを設定する方法は次のとおりです。
1. CallManager Administration で、[Device]>[Phone]を選択します。
2. [Add a New Phone]をクリックします。
3. [Phone Type]から、[CTI Port]を選択します。[Next]をクリックします。
4. [Device Name]に、一意のデバイス名を入力します。
1501
(注) 入力した CTI ポートのデバイス名を記録しておいてください。IP IVR で CTI ポートを設定する際に、この値を入力する必要があります。
5. [Description]で、"Post Route Port" に続けてデバイス名を入力します。
6. [Device Pool]から、[Default]を選択します。
7. [Insert]をクリックします。CallManager データベース内にデバイス レコードが作成されたことを確認するメッセージが表示されます。[OK]をクリックします。
8. [Directory Number]に、先ほど入力したデバイス名を入力します。
1501
9. [Call Waiting]から、[Off]を選択します。
(注) この設定は非表示で、CCM 4.0(1) ではデフォルトでオンに設定されています。
10. [Insert]をクリックします。電話番号が現在のデバイスに割り当てられたことを確認するメッセージが表示されます。[OK]をクリックします。
11. 他のルート ポイントを作成する場合は、この手順を繰り返します。
ディレクトリ番号として 1502 ~ 1506 を使用して、この他に 5 つの CTI ポートを設定します。
JTAPI Phone、CallManager PG、および IP IVR 用の JTAPI ユーザを設定する方法
CallManager は、テレフォニー アプリケーションの展開に必要な Java Telephony Application
Programming Interface(JTAPI)をサポートしています。IPCC は、JTAPI を介して Cisco CallManager ディレクトリにアクセスします。JTAPI は、このディレクトリを使用して、どの IPCC デバイスを制御する権限が与えられているかを確認します。
各 JTAPI デバイスには、ユーザ アカウントが関連付けられている必要があります。IPCC Enterprise では、1)ICM ソフトウェア(CallManager PG)への接続、および 2)IP IVR への接続(IP IVR を展開する場合)のために、JTAPI ユーザを作成する必要があります。
(注) CallManager PG に JTAPI クライアントをインストールする方法については、「IPCC Enterprise で使用する Cisco ICM のインストールと設定」を参照してください。
CallManager PG および IP IVR 用の JTAPI ユーザを設定する方法は次のとおりです。
1. CallManager Administration で、[User]>[Add a New User]を選択します。
2. ユーザの姓名を入力します。
3. [UserID]に、CallManager PG ユーザのユーザ ID を入力します。
cm_pg_user(CallManager PG ユーザ)
4. [User Password]に、パスワードを入力します。[Confirm Password]に、パスワードを再度入力します。
5. [PIN]に、IP Phone のパスワードを入力します(5 文字以上)。[Confirm PIN]に、パスワードを再度入力します。このフィールドを空白にすることはできません。
(注) 手順 2 で入力した CallManager PG および IP IVR 用の JTAPI ユーザのユーザ名とパスワードを記録しておいてください。ICM 設定および IP IVR で、CallManager PIM を含む PG 用の JTAPI ユーザを設定する際に、これらのユーザ名およびパスワードを入力する必要があります。
6. [Enable CTI Application Use]を選択します。
7. [Insert]をクリックします。
8. [Application Profiles]で、[Device Association]をクリックします。
9. [Select Devices]をクリックします。すべてのデバイス名と内線が表示されます。
10. このユーザが制御するデバイスをすべて選択します。
–CallManager PG ユーザの場合は、IP Phone および CallManager PG のルート ポイントを選択します。
–IP IVR PG ユーザの場合は、IP IVR のルート ポイントおよびポートを選択します。
このユーザを、電話機および CallManager PG のルート ポイント(1601、1602)に関連付けます。
11. [No Primary Extension]オプション ボタンを選択します。
12. [Update]をクリックします。
13. 他の CallManager PG ユーザおよび IP IVR PG ユーザを作成するには、IP IVR システムごとにこの手順を繰り返します。
ipivr_pg_user という名前の IP IVR PG ユーザを作成して、そのユーザを IP IVR のルート ポイント(1701、1702)およびポートに関連付けます。