SMDI ボイスメールの統合
Simplified Message Desk Interface(SMDI)は、電話機システムが、着信コールをインテリジェントに処理するために必要な情報を、ボイスメール システムに提供する方式を定義します。電話機システムは、コールをルーティングするたびに EIA/TIA-232 接続経由で SMDI メッセージをボイスメール システムに送信し、使用している回線、転送しているコールのタイプ、およびコールの発信元と宛先に関する情報を通知します。
SMDI 対応のボイスメール システムを Cisco Unified CallManager に接続するには、次の 2 通りの方法があります。
• Cisco Unified CallManager への標準シリアル接続を使用する。
• Cisco アナログ FXS ゲートウェイへの POTS 回線接続を使用する。
この章の構成は、次のとおりです。
• 「SMDI ボイスメールの統合の要件」
• 「SMDI 用のポートの設定」
• 「Cisco Messaging Interface の冗長化」
• 「SMDI 設定チェックリスト」
• 「参考情報」
SMDI ボイスメールの統合の要件
Cisco Messaging Interface サービスを使用すると、Cisco CallManager Release 3.0 以降の環境で外部ボイスメール システムを使用できます。
このボイスメール システムは、次の要件を満たしている必要があります。
• ボイスメール システムには、ヌル モデム EIA/TIA-232 ケーブル(および使用可能なシリアル ポート)を使用してアクセスできる simplified message desk interface(SMDI)が必要。EIA/TIA-232 ケーブルを Cisco Unified CallManager リリース 5.0 以降に接続するには、シスコ認定のシリアル/USB アダプタを使用します。
• ボイスメール システムでは、音声回線の接続にアナログ ポートが必要。
• Cisco Unified CallManager サーバには、SMDI 接続に使用するシリアル ポートまたは USB ポートが必要。
• FXS ポートが設定されている Cisco Access Analog Station Gateway、Cisco Catalyst 6000 24 ポート FXS ゲートウェイ、Cisco VG200 ゲートウェイ、または Cisco Catalyst 6000 8 ポート T1 ゲートウェイがインストールされていて、設定済みであることが必要。
• ゲートウェイがルート パターンに設定されていることを確認することが必要。詳細については、『 Cisco Unified CallManager アドミニストレーション ガイド 』の「ルート パターンの設定」の章を参照してください。
SMDI 用のポートの設定
Cisco Unified CallManager の以前のリリースでは、SMDI と Cisco Messaging Interface を使用して、ボイスメールの統合のために特別な設定を行う必要がありました。この FXS ポートに対する従来の設定方式では、アナログ アクセス ゲートウェイ(Cisco AS-2、Cisco AS-4、Cisco AS-8、または Cisco Catalyst 6000 24 ポート FXS ゲートウェイ)の個々のポートをルート グループの別々のエントリとして、明示的に設定しなければなりませんでした。各アナログ アクセス ポートのルート リストまたはルート グループ内での相対的な位置が、Cisco Messaging Interface によって報告される SMDI ポート番号を決定していました。
Cisco CallManager リリース 3.0(5) 以降では、Cisco Unified CallManager の管理ページを使用して SMDI ポート番号を設定できます。
ボイスメール システムとのインターフェイスに Cisco Catalyst 6000 8 ポート T1 ゲートウェイ(6608)を使用する場合は、T1 スパンごとに SMDI ベース ポートを設定する必要があります。
新しい SMDI ポート番号の設定を使用する手順は、次のとおりです。
1. ボイスメール システムに接続する各アナログ アクセス ポートを変更して、SMDI ポート番号の設定値をアナログ アクセス ポートの接続先であるボイスメール システムの実際のポート番号と同じ値にする。
この最初のステップでは、ルート リストまたはルート グループを変更する必要はありません。新しく設定した SMDI ポート番号が、ボイスメール システムに接続するデバイスに対して設定されたルート リストまたはルート グループの既存設定を上書きします。
2. この新しい設定を利用して Cisco Unified CallManager のシグナリング要件を低減するには、従来の設定方式用にセットアップされているルート グループ内のアナログ アクセス デバイスをそれぞれ変更する。ルート グループ内でデバイスの個々のポートを識別している複数のエントリを 1 つのエントリに変更し、そのエントリでポートの選択として 「すべてのポート」を指定します。
これらの各デバイス エントリの選択は、異なる順序にも、同じ順序にもできます。
Cisco Messaging Interface の冗長化
EIA/TIA-232 シリアル ケーブル(従来の呼称は RS-232 ケーブル)を使用して電話機システムと通信するほとんどのボイスメール システムには、シリアル ポートが 1 つだけあります。Cisco Unified CallManager クラスタ内の別々のサーバ上で複数の Cisco Messaging Interface サービスを実行して、後述するデータ スプリッタなどの追加ハードウェアを使用することにより、Cisco Messaging Interface を冗長化できます。
各 Cisco Messaging Interface のコピーは、それぞれプライマリとバックアップの Cisco Unified CallManager に接続され、同一の VoiceMailDn および VoiceMailPartition サービス パラメータの値を使用して Cisco Unified CallManager に登録されます。サービス優先順位の高い Cisco Messaging Interface(アクティブ Cisco Messaging Interface サービス)が、SMDI の処理を受け持ちます。この Cisco Messaging Interface に問題が発生した場合は、別の Cisco Messaging Interface が処理を引き受けることができます。図30-1 に、Cisco Messaging Interface を冗長化するためのさまざまなレイアウトのうちの一例を示します。
図30-1 Cisco Messaging Interface の冗長化
(注) Cisco Messaging Interface を冗長化するには、図30-1 に示すデータ スプリッタなどのデバイスを使用して、SMDI メッセージングを各種 Cisco Messaging Interface サービスから分離する必要があります。通常の Y 型シリアル ケーブルを使用して EIA/TIA-232 ストリームを結合することはできません。
ボイスメール システムに接続するデータ スプリッタ、たとえば、B&B Electronics モデム データ スプリッタ(モデル 232MDS および 9PMDS)は、次の特性を備えている必要があります。
• 高信頼性
• バイディレクショナル 通信
• 最小の伝搬遅延
• 外部ソフトウェアのサポートが不要(推奨)
• 余分な EIA/TIA-232 制御回線動作がない(推奨)
232MDS は、DB25 オス型ポート 2 つと DB25 メス型ポート 1 つを備えています。9PMDS は、このモデム データ スプリッタの DB9 バージョンです。これらのスイッチを使用し、ValidateDNs Cisco Messaging Interface サービス パラメータを[ False ]に設定すると、次の制限のもとで Cisco Messaging Interface を冗長化できます。
• 2 つの Cisco Messaging Interface が SMDI メッセージを同時に伝送できない。極端な状況下では、Cisco Unified CallManager クラスタが接続不可の 2 つの部分に分断されるネットワーク障害が発生することがあります。万一この状況が発生した場合、両方の Cisco Messaging Interface のコピーがアクティブになって、ボイスメール システムに SMDI メッセージを同時に送信する可能性があります。この場合、衝突によりボイスメール システムに不正確なメッセージが送信されるため、コールが正常に処理されないことがあります。
SMDI 設定チェックリスト
表30-1 に、SMDI を使用しているボイスメール システムを統合するために必要な手順の概要を示します。
表30-1 SMDI 設定チェックリスト
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ステップ 1 |
ゲートウェイ ポートを追加し、設定します。 Octel システムを設定していて、かつ Cisco Catalyst 6000 24 ポート FXS アナログ インターフェイス モジュールまたは AST ポートを使用する場合は、各ポートの Call Restart Timer フィールドを 1234 に設定する必要があります。 |
『 Cisco Unified CallManager アドミニストレーション ガイド 』の「Cisco Unified CallManager へのゲートウェイの追加」 |
ステップ 2 |
ルート グループを作成し、ステップ 1 で設定したゲートウェイ ポートをルート グループに追加します。 |
『 Cisco Unified CallManager アドミニストレーション ガイド 』の「ルート グループの設定」 |
ステップ 3 |
ステップ 2 で設定したルート グループを含むルート リストを作成します。 |
『 Cisco Unified CallManager アドミニストレーション ガイド 』の「ルート リストの追加」 |
ステップ 4 |
ルート パターンを作成します。 |
『 Cisco Unified CallManager アドミニストレーション ガイド 』の「ルート パターンの設定」 |
ステップ 5 |
Cisco Messaging Interface サービスを有効にし、設定して、実行します。 |
『 Cisco Unified CallManager Serviceability アドミニストレーション ガイド 』 『 Cisco Unified CallManager アドミニストレーション ガイド 』の「サービス パラメータの設定」 |
ステップ 6 |
Cisco Messaging Interface トレース パラメータを設定します。 |
『 Cisco Unified CallManager Serviceability アドミニストレーション ガイド 』 『 Cisco Unified CallManager Serviceability システム ガイド 』 |
ステップ 7 |
ボイスメール システムを設定し、EIA/TIA-232 ケーブルを使用してボイスメール システムを Cisco Unified CallManager に接続します。EIA/TIA-232 ケーブルを Cisco Unified CallManager リリース 5.0 以降に接続するには、シスコ認定のシリアル/USB アダプタを使用します。 |
システムに付属の資料を参照してください。 |
参考情報
参考資料
• 『 Cisco Unified CallManager アドミニストレーション ガイド 』の「サービス パラメータの設定」
• Cisco Unified CallManager Serviceability アドミニストレーション ガイド
• Cisco Unified CallManager Serviceability システム ガイド
• Cisco Unified Communications ソリューション リファレンス ネットワーク デザイン(SRND)