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この章では、IP テレフォニー ネットワークの設計に使用できるいくつかの基本モデルについて、その概要を説明します。この概要の章では、特定の設計を選択する場合とその理由について、いくつかのガイダンスを記述します。第 2 章以降では、最も簡単なモデルから始めて徐々に複雑なモデルへと、各ネットワークのモデルを詳細に掘り下げます。
図 1-1は、このマニュアルで説明するいくつかのネットワーク設計モデルの目標を図示した複合シナリオを示しています。このシナリオは、Cisco CallManager リリース 3.0(5) を使用して設計できるモデルを示しています。
IP テレフォニー ネットワークで達成する全体的な目標は、次のとおりです。
• 設置場所間のセカンダリ音声パスとして公衆電話交換網(PSTN)を使用する、プライマリ音声パスとしての IP WAN
Cisco CallManager リリース 3.0(5) に基づくIP テレフォニー ネットワークの実装では、次の 4 つの汎用設計モデルをほぼすべてのケースで適用できます。
図 1-2は、単一のキャンパスあるいはサイト内の IP テレフォニー ネットワークで使用するモデルを示しています。
• 単一の Cisco CallManager、あるいは Cisco CallManager クラスタを使用
• Cisco CallManager クラスタでは、最高 8 台のサーバ(プライマリ コール処理に 4 台のサーバ、バックアップ コール処理に 2 台のサーバ、データベース パブリッシャに 1 台のサーバ、そして TFTP に 1 台のサーバ)を使用
• Cisco CallManager に最高 2,500 ユーザまでを随時登録
• 電話会議にデジタル信号プロセッサ(DSP)のリソースを使用
• 音声メールと統合されたメッセージ処理のコンポーネントを使用
• すべての IP 電話コールに G.711 コード(コール当たり 80 Kbps の IP 帯域幅、圧縮解除)を使用
• 音声の品質を保証するために、最低 2 つのキューをもつ Cisco LAN スイッチを使用。詳細は、第 2 章「キャンパス インフラストラクチャでの考慮事項」を参照してください。
図 1-3は、それぞれが IP WAN で接続されていない、複数の独立したサイトで構成されているモデルを示しています。このモデルでは、それぞれのサイトに独自の Cisco CallManager、あるいは Cisco CallManager クラスタがあり、自身のサイトでのコール処理を取り扱います。
複数の独立サイトで使用するモデルには、設計に関して次の特性があります。
• それぞれのサイトには Cisco CallManager、あるいは Cisco CallManager クラスタがあり、拡張が容易なコール制御を提供
• 複数サイトのネットワーク、およびすべての外部コールに対して PSTN を使用
図 1-4は、分散型コール処理を行う複数サイトのモデルを示しています。
分散型コール処理を行う複数サイト IP WAN には、設計に関して次の特性があります。
• 場所ごとに Cisco CallManager、あるいは Cisco CallManager クラスタ(サイト当たり最高 10,000 ユーザ)を使用
• Cisco CallManager クラスタを単一キャンパスに制限し、WAN の拡大なし
• サイト間のプライマリ音声パスとして IP WAN を使用し、セカンダリ音声パスとして PSTN を使用
• IP WAN が利用できない場合は PSTN を透過的に使用
• Cisco IOS ゲートキーパーを E.164 アドレス 解決に使用
• Cisco IOS ゲートキーパーを IP WAN に対するアドミッション制御に使用
• ハブアンドスポークのトポロジを使用して、IP WAN 全体で最高 100 サイトを相互に接続
• 各サイトでの電話会議、および WAN のトランスコード化に DSP リソースを使用
• 各サイトで音声メッセージ、および統合されたメッセージ処理のコンポーネントを使用
• 音声とデータのトラフィックに必要な最小の帯域幅は 56 Kbps。音声、対話型映像、およびデータには、最低 768 Kbps が必要。それぞれのケースでは、音声、映像およびデータに割り当てられる帯域幅は、合計キャパシティの 75% を超えないようにする。
• 遠隔サイトは、Skinny Gateway Protocol に基づくゲートウェイと同じように、Cisco IOS を使用可能
図 1-5は、中央集中型コール処理を行う複数サイトのモデルを示しています。
中央集中型コール処理を行う複数サイト IP WAN には、設計に関して次の特性があります。
• 中央のサイトは、1 つのアクティブな Cisco CallManager だけをサポート。クラスタが使用するすべての IP 電話が、所定の時刻に同じ Cisco CallManager に登録されている限り、クラスタは第 2、第 3 の Cisco CallManager をもつことができる。このクラスタは、「中央集中型コール処理クラスタ」と呼ばれる。
• それぞれの中央集中型コール処理クラスタは、最高 2,500 ユーザをサポート(遠隔サイトの数に制限なし)。2,500 のユーザをサポートする複数の中央集中型コール処理クラスタを、H.323 を使用して、1 つの中央サイトで相互接続することができる。
• 遠隔サイトの IP 電話は、ローカルの Cisco CallManager を所有しない。
• コール アドミッション制御のメカニズムは、ロケーション別の帯域幅に依存。 「コール アドミッション制御」を参照。
• IP WAN が音声トラフィックに完全に登録されている場合、PSTN が手操作で利用可能(PSTN のアクセス コードは、話中信号後にダイヤルすること)。
• IP WAN が停止した場合、IP 電話サービスを WAN 全体で使用するには、ダイヤル バックアップが必要。
• 音声メール、統合されたメッセージ、および DSP リソースのコンポーネントは、中央サイトだけで使用可能。
• 音声とデータのトラフィックに必要な最小の帯域幅は 56 Kbps。音声、対話型映像、およびデータには、最低 768 Kbps が必要。それぞれのケースでは、音声、映像およびデータに割り当てられる帯域幅は、合計キャパシティの 75% を超えないようにする。
• 遠隔サイトは、Skinny Station Protocol に基づくゲートウェイと同じように Cisco IOS を使用可能。
• 音声メールを使用する場合、各サイトに固有の内部ダイヤル プランの番号範囲を割り当てる必要がある。音声メールが必要な場合、遠隔サイト間で内部ダイヤル プランを重複させることはできない(たとえば、2 つのサイトで 1XXX を共有することはできない)。