この製品のマニュアルセットは、偏向のない言語を使用するように配慮されています。このマニュアルセットでの偏向のない言語とは、年齢、障害、性別、人種的アイデンティティ、民族的アイデンティティ、性的指向、社会経済的地位、およびインターセクショナリティに基づく差別を意味しない言語として定義されています。製品ソフトウェアのユーザーインターフェイスにハードコードされている言語、RFP のドキュメントに基づいて使用されている言語、または参照されているサードパーティ製品で使用されている言語によりドキュメントに例外が存在する場合があります。シスコのインクルーシブランゲージに対する取り組みの詳細は、こちらをご覧ください。
このドキュメントは、米国シスコ発行ドキュメントの参考和訳です。リンク情報につきましては、日本語版掲載時点で、英語版にアップデートがあり、リンク先のページが移動/変更されている場合がありますことをご了承ください。あくまでも参考和訳となりますので、正式な内容については米国サイトのドキュメントを参照ください。
この章では、Catalyst 4000 と Catalyst 6000 の新しい 2 つの音声モジュールを中心にして、Catalyst デジタル信号プロセッサ(DSP)リソースについて説明し、これらのリソースを供給する方法ついて説明します。これらの新しいモジュールは、Catalyst 4000 用 WS-X4604-GWY、および Catalyst 6000 用 WS-X6608-T1(ヨーロッパ各国には WS-X6608-E1)です。これらのモジュールは、Cisco CallManager Release 3.0(5) と一緒に使用できます。これらのモジュールは、PSTN ゲートウェイとして使用する(第 4 章「ゲートウェイの選択」を参照してください)以外に、電話会議サービス、およびメディア終端点(MTP)トランスコーディング サービスに使用できます。
Calayst 4000 と Catalyst 6000 の新しいゲートウェイ モジュールにある DSP リソースは、基本的には、Cisco CallManager が提供する IP テレフォニー機能に対して、ハードウェア サポートを提供します。これらの機能は、ハードウェアで実施できる音声電話会議であり、補足サービスとトランスコーディング サービスに対するハードウェア ベースの MTP サポートです。
Catalyst で実施できる電話会議とは、ハードウェアで音声電話会議をサポートする能力です。DSP を使用して、VoIP セッションを時分割多重(TDM)ストリームに変換し、このストリームを複数の参加者による電話会議に混合できます。
Catalyst MTP サービスは、オリジナルのソフトウェア MTP リソースのように、あるいはトランスコーディング MTP リソースとして動作できます。MTP サービスは、ホールド、転送、および電話会議などの補足サービスを提供する機能です。これらのサービスは、OpenLogicalChannel、および CloseLogicalChannel の H.323v2 機能を EmptyCapabilitiesSet と一緒にサポートしない、ゲートウェイとクライアントを使用するときに提供されます。MTP は、Cisco CallManager 上で、あるいは別個の Windows NT サーバ上で実行できるソフトウェア機能として使用できます。MTP を Cisco CallManager 上のソフトウェアで実行すると、24 の MTP セッションがサポートされます。別個の Windows NT サーバ上で MTP を実行すると、48 までの MTP セッションがサポートされます。新しい Catalyst モジュールは、この同じ機能をサポートしますが、ハードウエア上でサービスを提供します。
トランスコーディングとは、実質的に、IP から IP への音声ゲートウェイ サービスです。トランスコーディング ノードは、G.711 音声ストリームを G.729a のような低ビット レート(LBR)圧縮音声ストリームに変換できます。このことは、統合音声レスポンス(IVR)、音声メッセージ、および電話会議のようなアプリケーションを低速 WAN 上で使用可能にする上で、重要なことです。MTP トランスコーディングがサポートされているのは、現在 Catalyst 音声ゲートウェイ上だけです。
表 9-1は、Catalyst 音声サービス モジュール上で設定できる DSP リソースを示しています。
|
|
|
|
---|---|---|---|
次の機能も、トランスコーディングと電話会議に同時に適用されます。 • 物理ポート当たり 31 MTP トランスコーディング セッション |
IP テレフォニー システムを大企業の環境に拡大するには、ハードウェア ベースの電話会議を使用する必要があります。Catalyst 4000 と Catalyst 6000 のスイッチ ファミリーに使用される、この新しいハードウェアは、この要件を考慮して開発されました。これらの新しい Catalyst 音声モジュールは、ハードウェアで電話会議を処理することができ、IP テレフォニー ネットワークの Windows NT サーバ上で、ソフトウェアによる電話会議サービスを実行する必要性をなくします。
新しい Catalyst 音声モジュールを設計する上での機能と要件を要約すると、次のようになります。
• Catalyst 4000 WS-4604-GWY モジュールは、モジュール当たり 24 電話会議参加者をサポートします。
• Catalyst 4000 WS-X4604-GWY モジュールは、G.711 音声ストリームによる電話会議だけをサポートします。電話会議のために、トランスコーディングを使用して、G.729a あるいは G.723.1 を G.711 に変換できます。
• Catalyst 6000 WS-X6608-T1、あるいは WS-6608-E1 モジュールは、物理ポート当たり 32(モジュール当たり 256)の G.711、あるいは G.723 による電話会議参加者をサポートし、物理ポート当たり 24(モジュール当たり 192)の G.729 による電話会議参加者をサポートします。
• Catalyst 6000 WS-X6608-T1、あるいは WS-X6608-E1 モジュールは、圧縮解除された VoIP 電話会議、および圧縮された VoIP 電話会議の両方をサポートできます。
• DSP リソースは、一度に 1 つの Cisco Callmanager にしか登録できないので、各 Cisco CallManager には独自の電話会議リソース、および MTP トランスコーディング リソースを割り当てておく必要があります。Cisco CallManager は、DSP リソースを共有できません。
Catalyst 4000 モジュールの WS-X4604-GWY は、それぞれが 6 参加者の電話会議を同時に 4 つまでサポートできます。Catalyst 6000 T1、あるいは E1 の PSTN ゲートウェイ モジュールの WS-X6608 にも、電話会議をサポートする機能があります。WS-X6608 に T1 あるいは E1 の Cisco AVVID ゲートウェイを追加すると、WS-X6608 には、ポート別に電話会議サービスを設定できます。Catalyst 6000 電話会議モジュールは、電話会議当たり最高 6 の参加者までサポートします。ただし、設定した論理ポート当たりの G.711、あるいは G.723 の電話会議の同時発信者は最高 32 までです。この結果、G.711 コール、あるいは G.723 コールを行う、モジュール当たりの最高電話会議参加者は、256 となります。
各モジュールに対する電話会議の密度の要約は、表 9-1を参照してください。
WS-X4604-GWY、および WS-X6608-T1(あるいは WS-X668-E1)の両方のモジュールは、電話会議あるいはトランスコーディングのサービスを提供するとき、Skinny Station Protocol を使用して、Cisco CallManager と通信します。Catalyst 6000 の音声電話会議ソリューションは、圧縮された電話会議出席者、および圧縮解除された電話会議出席者の両方をサポートできます。
Catalyst 4000 では、G.711 によるコール、あるいは圧縮解除されたコールだけが電話会議に参加できます。電話会議サービスを、Skinny Station Protocol を使用して Cisco CallManager に登録すると、Cisco CallManager は、G.711 音声コールだけを接続できることを宣言します。圧縮コールが電話会議への参加を要求すると、Cisco CallManager は、まずそのコールをトランスコーディング ポートに接続して、圧縮音声コールを G.711 に変換します。G.711 接続が特定の電話会議セッション(電話会議当たり最高 6 参加者)に関連付けられている場合、このコールは TDM ストリームに変換され、ストリームを結合する加算論理に渡されます。すべての電話会議者を混合できる WS-X6608-X1 と異なり、Catalyst 4000
WS-X4604-GWY モジュールは、3 つの優勢な話者だけを合計します。
WS-X4604-GWY は優勢な話者を動的に調整し、バックグラウンドのすべてのノイズを含めずに、主として音量で優勢順位を決定します。
電話会議サービスを設定するとき、次の推奨事項も遵守する必要があります。
• 電話会議ポートを企業に提供するとき、圧縮された Cisco CallManager 地域から電話会議への参加を試行する発信者の数を最初に判断します。圧縮された発信者の数を判断できれば、MTP トランスコーディング リソースを正確に供給できます。
• 電話会議用ブリッジを一度に複数の Cisco CallManager に登録できません。また、Cisco CallManager は DSP リソースを共有できません。したがって、クラスタ内の Cisco CallManager ごとに電話会議モジュールを別個に設定する必要があります。
図 9-1は、Catalyst 電話会議サービスで使用されるコンポーネントを示しています。
次の注意事項が、Catalyst 電話会議サービスに適用されます。
• Catalyst 4000 電話会議サービスは、MTP トランスコーディング サービスが使用されていない限り、G.711 だけをサポートします。
• Catalyst 6000 では、電話会議サービスがポートの境界を越えることはできません。
• Cisco CallManager ごとに、独自の電話会議リソースを設定する必要があります。
IP WAN を通過する電話会議については、次のセクション、「Catalyst MTP トランスコーディング サービス」で説明します。
IP テレフォニーの実装に WAN を導入する場合、音声圧縮の問題が否応なしに発生します。このマニュアルの前の部分で示した設計では、すべてのキャンパス指向音声を圧縮解除して(G.711)、複雑な問題を招くこともほとんどなく、最高の品質を提供できました。WAN を使用したネットワークを実装すると、サイト間の音声圧縮には推奨された設計を選択することになります。この場合、G.711 音声接続だけをサポートする電話会議サービス、あるいは IP 対応のアプリケーションを、WAN のユーザが、どのように使用するのか問題となります。このソリューションは、ハードウェアベースの MTP トランスコーディングを使用して、圧縮音声ストリームを G.711 に変換することです。
MTP トランスコーディングを設計する上での機能と要件を要約すると、次のようになります。
• IP WAN 発信者の数に適した MTP トランスコーディング リソースを G.711 エンドポイントに提供します。
• Catalyst 4000 WS-4604-GWY モジュールは、モジュール当たり 16 トランスコーディング セッションをサポートします。
• Catalyst 6000 WS-X6608-T1、あるいは WS-6608-E1 モジュールは、G.711 あるいは G.723 によるトランスコーディング セッションを、物理ポート当たり 31(モジュール当たり 248)、あるいは G.729 から G.711 へのトランスコーディング セッションを、物理ポート当たり 24(モジュール当たり 192)サポートします。
• トランスコーディングは、低ビット レートから高ビット レート(G.729a あるいは G.723.1 から G.711 へ)への設定、あるいはその逆の設定だけでサポートされます。
• Cisco CallManager ごとに、独自の MTP トランスコーディング リソースを設定する必要があります。
IP 電話間の音声圧縮は、Cisco CallManager にある地域とロケーションを使用して容易に設定できます。しかしながら、Catalyst の電話会議サービスと一部のアプリケーションは、現在、G.711 接続、あるいは圧縮解除接続だけをサポートします。これらの状況から、MTP トランスコーディング、あるいはパケットツーパケット ゲートウェイの機能を、Catalyst 4000 と Catalyst 6000 用の新しい 2 つのモジュールに追加しました。パケットツーパケット ゲートウェイは、DSP を使用するデバイスで、このデバイスは、異なる圧縮アルゴリズムを使用する音声ストリーム間で、トランスコーディングを行う役目をもちます。つまり、リモート ロケーションの IP 電話のユーザが、中央ロケーションのユーザをコールすると、Cisco CallManager は、WAN コールに対しては圧縮音声、あるいは G.729a だけを使用するように、リモート IP 電話に指示を与えます。ただし、中央サイトの着信側が使用できない場合、コールは、G.711 だけをサポートするアプリケーションへロールする可能性があります。この場合、パケットツーパケット ゲートウェイは、G.729a 音声ストリームを G.711 に変換して、音声メッセージ サーバにメッセージを預けます。図 9-2を参照してください。
図 9-2 中央集中型コール処理を行う WAN における、ゲートウェイによる IP から IP へのパケット トランスコーディング
電話会議のために IP WAN を介してサイト間を接続する場合、そのシナリオは複雑になります。このシナリオでは、Catalyst モジュールは、WAN IP 音声接続の圧縮を解除する IP から IP へのトランスコーディング サービスばかりではなく、電話会議サービスを実行する必要があります。図 9-3は、リモート ユーザが、中央ロケーションでの電話会議に加入していることを示しています。この 3 参加者電話会議は、Catalyst 4000 モジュールの 7 つの DSP チャネル、および Catalyst 6000 モジュールの 3 つの DSP チャネルを使用しています。チャネルの用途は、次のとおりです。
–1 つの DSP チャネルにより IP WAN G.729a 音声コールを G.711 に変換します。
–3 つの電話会議 DSP チャネルにより G.711 ストリームを TDM に変換して、加算 DSP に送ります。
–加算 DSP からの 3 つのチャネルにより、3 つの発信者を 1 つに混合します。
–3 つの電話会議 DSP チャネルを使用します。Catalyst 6000 では、すべてのトランスコーディングと加算が実行される単一の論理電話会議ポートに、すべての音声ストリームが送信されます。
図 9-3 中央集中型 MTP トランスコーディング サービス、および電話会議サービスを行う複数サイト WAN
H.323v2 クラスタ間トランクを使用して、Cisco CallManager クラスタを接続します。トランスコーディング サービスがクラスタ間で必要となった場合、クラスタ間トランクを MTP を使用して設定します。この場合、クラスタ間のすべてのコールは、各クラスタ内の MTP とトランスコーディング デバイスを介してルーティングされます。Catalyst 6000 モジュールでは、特定のクラスタ間コールにトランスコーディングが必要かどうかに関係なく、MTP サービスが使用されます。以前のバージョンと異なり、Cisco CallManager Release 3.0(およびそれ以降)は、ハードウェア MTP が使用されていれば、MTP サービスを介した圧縮音声コール接続をサポートします。図 9-4は、クラスタ間のコール フローを示しています。
図 9-4 トランスコーディングを行うクラスタ間のコール フロー
クラスタ間の MTP とトランスコーディングに関する詳細は、次のとおりです。
• Cisco CallManager クラスタ間でトランスコーディングが必要な場合、MTP リソースを使用して H.323 クラスタ間トランクを設定する必要があります。
• Cisco CallManager クラスタ間のすべてのコールは、MTP を介して送受信されます。
• クラスタ間の発信コールは、コールを発信した Cisco CallManager から得た MTP、およびトランスコーディングのリソースを使用します。
• クラスタ間の着信コールは、クラスタ間着信トランクを終端する
Cisco CallManager から得た MTP、およびトランスコーディングのリソースを使用します。
• 追加 DSP MTP とトランスコーディング リソースは、H.323 クラスタ間トランクを終端する Cisco Callmanager に割り当てる必要があります。
次の注意事項の要約が、Catalyst MTP トランスコーディングに適用されます。
• Catalyst MTP トランスコーディング サービスは、LBR コーデックから G.711 への変換、あるいはその逆の変換だけをサポートします。LBR から LBR へのコーデック変換はサポートしません。
• Catalyst 6000 では、トランスコーディング サービスがポートの境界を越えることはできません。
• Cisco CallManager ごとに、独自の MTP トランスコーディング リソースを設定する必要があります。
• Cisco CallManager クラスタ間でトランスコーディングが必要な場合、MTP リソースを使用して H.323 クラスタ間トランクを設定する必要があります。Cisco CallManager クラスタ間のすべてのコールは MTP を介して送受信されます。
• すべての n 個の MTP トランスコーディング セッションが使用され、n + 1 個の接続が試行されると、この最後のコールは、MTP トランスコーディング リソースを使用せずに完了します。このコールが、ソフトウェア MTP 機能を使用して補足サービスの提供を試みると、コールは接続しますが、補足サービスを使用するためのすべての試行は失敗し、結果としてコールの接続解除となります。このコールがトランスコーディング機能の使用を試みると、そのコールは直接接続しますが、音声は聞こえません。
モジュールごとのトランスコーディング機能については、表 9-1を参照してください。
Catalyst 4003 および Catalyst 4006 のスイッチ用の PSTN ゲートウェイと音声サービスのモジュールは、それぞれ 2 つのポートがある 3 つのアナログ音声インターフェイス カード(VIC)、あるいは 2 つのポートのある 1 つの T1/E1 カード、および 2 つの VIC をサポートします。VIC インターフェイスは、Foreign Exchange Office(FXO)、Foreign Exchange Station(FXS)、あるいは Ear & Mouth(E&M)のすべての組み合わせを提供できます。さらに、コマンド行インターフェイス(CLI)から IP テレフォニー ゲートウェイとして設定すると、このモジュールは、電話会議サービス、およびトランスコーディング サービスをサポートできます。
Catalyst 4000 音声ゲートウェイ モジュールは、トール バイパス モード、あるいはゲートウェイ モードのいずれにも設定できます。ただし、モジュールの電話会議とトランスコーディングのリソースが設定できるのは、ゲートウェイ モードでだけです。ゲートウェイ モードが使用可能になると、モジュールの 24 DSP(おのおの 6 DSP をもつ 4 つの SIMM)が、次のように自動的に設定されます。
• PSTN ゲートウェイ: 96 チャネルの G.711 音声、および
• 電話会議: 24 チャネルの G.711 電話会議、および
• MTP トランスコーディング: 16 チャネルの LBR-G.711 トランスコーディング
図 9-5は、ゲートウェイ モードでの Catalyst 4000 音声ゲートウェイの物理的な表示です。
図 9-5 ゲートウェイ モードでの Catalyst 音声ゲートウェイ モジュール
ゲートウェイ モードがデフォルトの設定です。Catalyst 4000 モジュールの今後のリリースでは、CLI から電話会議対トランスコーディングの比率を変更できるようになります。
次の設定ガイドが Catalyst 4000 モジュールに適用されます。
• WS-X4604-GWY は、Cisco IOS インターフェイスを初期設定に使用します。音声機能用の追加設定のすべては、Cisco CallManager で実行します。すべての PSTN ゲートウェイ機能に対しては、Catalyst 4000 モジュールは、H.323v2 を使用し、Cisco IOS ゲートウェイとまったく同じに設定されます。
Cisco CallManager の設定画面から、Catalyst 4000 ゲートウェイを、H.323 ゲートウェイとして単に追加するだけです。
• WS-X4604-GWY は、ハードウェアベースのトランスコーダ、あるいは電話会議ブリッジ(ゲートウェイ モード)としてだけではなく、PSTN ゲートウェイ(トール バイパス モード)として動作します。このモジュールを DSP ファーム(ゲートウェイ モード)として設定するには、次の CLI コマンドの 1 つあるいは 2 つを入力します。
• WS-X4604-GWY は、Cisco CallManager の IP アドレスに加え、このモジュール独自のローカル IP アドレスを必要とします。ローカル Signaling Connection Control Part(SCCP)に対して、ループバック IP アドレスを指定することも賢明な方策です。
• プライマリ、セカンダリ、およびターシャリ(第 3)の Cisco CallManager を電話会議サービス、および MTP トランスコーディング サービスの両方に定義できます。
WS-6608-T1(あるいは、ヨーロッパ用 WS-6608-E1)は、T1 あるいは E1の PSTN ゲートウェイ サポートを Catalyst 6000 に提供する、第 4 章「ゲートウェイの選択」で説明したものと同じモジュールです。このモジュールには、それぞれに独自の CPU と DSP をもつ、8 つのチャネル連携信号(CAS)、あるいは PRI のインターフェイスがあります。カードが、Cisco CallManager から音声ゲートウェイとして追加されていると、カードを電話会議、あるいは MTP トランスコーディングのノードとして設定できます。それぞれのポートは、モジュール上の他のポートに関係なく動作します。特に各ポートは、PSTN ゲートウェイ インターフェイス、電話会議ノード、あるいは MTP トランスコーディング ノード専用として設定できます。ほとんどの設定では、トランスコーディング ノードは、それぞれの電話会議ノードに対して設定されることになります。
(注) 電話会議サービスと MTP トランスコーディング サービスは、ポートの境界を越えることはできません。
PSTN ゲートウェイ、電話会議リソース、あるいは MTP トランスコーディング リソースのいずれで動作するにしても、モジュール上の各ポートは、ポート独自の IP アドレスを必要とします。静的 IP アドレス、あるいは DHCP が提供する IP アドレスのいずれをもつようにも、ポートを設定できます。ポートは、実際にはすべての設定情報をダウンロードした TFTP 構成ファイルから取得するので、静的 IP を入力すると、TFTP サーバ アドレスも追加する必要があります。各ポートは、Cisco CallManager インターフェイスを介して設定されると、次の設定の 1 つをサポートできます。
• PSTN ゲートウェイモード: WS-6608-T1 モジュール上では 24 セッション、WS-6608-E1 では 30 セッション
• 電話会議モード: G.711 あるいは G.723 には 32 電話会議セッション、G.729 には 24 電話会議セッション
• MTP モード: G.723 から G.711 へは、31 MTP トランスコーディング セッション、G.729 から G.711 へは、24 MTP トランスコーディング セッション
図 9-6は、Catalyst 6000 音声ゲートウェイ モジュールで可能な 1 つの設定を示しています。この図では、モジュールに 8 つのポートがあり、その内の 2 つが PSTN ゲートウェイ モード、 3 つが電話会議モード、および 3 つが MTP トランスコーディング モードに設定されています。
図 9-6 Catalyst 6000 音声ゲートウェイ モジュール