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この章では、IP テレフォニー ネットワークを公衆電話交換網(PSTN)、あるいはレガシー PBX(構内交換網)システム、およびキー システムに接続するときに選択する、ゲートウェイについて説明します。20 ほどもある候補のゲートウェイ、つまり、特殊な、エントリ レベルのスタンドアロン型音声ゲートウェイから、ハイエンドな、多機能統合ルータと Catalyst ゲートウェイまでの中から 1 つを選択することは、気が遠くなるような作業です。
特定の VoIP を実装するには、特別なゲートウェイ要件を必要としますが、次のような機能が一般的な要件です。
• クラスタ化した Cisco CallManager システムを処理する能力
企業ネットワーク用に選択されるすべてのゲートウェイは、前記の機能をサポートできることが必須です。さらに、それぞれの実装には、オプションを削除する際に役立つ、サイト固有の機能要件があります。
この章は、共通機能とサイト固有機能の要件を説明する次のセクションで構成されています。
• 「補足サービス」
Cisco CallManager Release 3.0(5) を使用すると、次の 3 つのタイプのゲートウェイ プロトコルがサポートされます。
• Skinny Gateway Protocol:Cisco Access Digital Trunk Gateway DT-24+ および DE-30+ 、ならびにCisco Catalyst 6000 Voice Gateway モジュールを含む、デジタル ゲートウェイが使用
• メディア ゲートウェイ コントロール プロトコル(MGCP):新しい
Cisco Voice Gateway 200(VG200)スタンドアロン型アナログ ゲートウェイを制御するために、Cisco CallManager が使用
• H.323: Cisco CallManager と通信するために、Cisco IOS 統合ルータ ゲートウェイが使用
これら 3 つのタイプの中で、Cisco IOS H.323 ゲートウェイだけが、現在、VoIP ゲートウェイ機能に加えて、すべてのフィーチャを備えたルーティング機能を提供できます。Skinny Gateway Protocol と VG200 MGCP ゲートウェイに基づく双方のゲートウェイは、スタンドアロン型のアプリケーション特有のゲートウェイとして動作します。
表 4-1は、各ゲートウェイ上でサポートされているプロトコルを示しています。次のセクションでは、これらのプロトコルのそれぞれが、中核となる 3 つのゲートウェイ機能をサポートする状況について説明します。
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(注) VG200 は、MGCP モジュールの Foreign Exchange Station(FXS)、および Foreign Exchange Office(FXO)のインタフェースだけをサポートします。VG200 を H.323V2 で設定すると、インターフェイスの選択肢が広がります。Cisco AS5300 は、MGCP をサポートしていますが、現在のところ、Cisco CallManager と両立性がありません。
Cisco 3810、2600、 および 3600 製品には、Cisco IOS Release 12.1(3)T 中にアナログ インターフェイス用 MGCP が含まれていますが、これらの製品は、今後のリリースで、MGCP 管理インターフェイスが拡張され、より多数のアナログ インターフェイスが包含されるまでは、Cisco CallManager によってサポートされません。
DTMF は、音声帯域内の周波数の特定ペアを信号方式に使用します。64 Kbps のパルス符号変調(PCM)音声チャネル上で、これらの信号を支障なく搬送できます。ただし、低ビットレート コーデックを音声圧縮に使用すると、DTMF 信号の欠落あるいはひずみを起こす可能性があります。帯域外の信号方式を使用して、DTMF トーンを VoIP インフラストラクチャ上に搬送することにより、これらのコーデックによって発生する症状に対して洗練されたソリューションを提供できます。
Cisco Access Digital Trunk Gateway DT-24+、Cisco Access Digital Trunk Gateway DE-30+、および Catalyst 6000 ゲートウェイは、Skinny Gateway Protocol を使用して、TCP ポート 2002 上に DTMF 信号を帯域外で搬送します。帯域外 DTMF は、デフォルトのゲートウェイ設定モードです。
Cisco 1750、2600、3600、7200、および AS5300 シリーズの製品は、H.323 を使用して Cisco CallManager と通信します。Cisco CallManager Release 3.0(5) と
Cisco IOS Release 12.0(7)T の両方には、DTMF 信号を帯域外で交換する拡張 H.245 機能が含まれています。次の例は、Cisco IOS ゲートウェイ上での帯域外 DTMF 設定を示しています。
(注) 以前の Cisco 3810 バージョンで使用されていた TI542 DSP 上でのメモリ制限により、新しい音声圧縮モジュールを使用する Cisco 3810 V3 だけが、H.245 DTMF リレーをサポートします。
VG200 は、MGCP を使用して Cisco CallManager と通信します。MGCP は、「パッケージ」の概念を使用します。VG200 は DTMF パッケージを始動時にロードします。帯域外 DTMF 機能が、Cisco CallManager MGCP ゲートウェイのユーザ インターフェイスで設定されると、VG200 は、「シンボル」をユーザ データグラム プロトコル(UDP)制御チャネル上に送信して、VG200 が受信するすべての
DTMF トーンを表現します。Cisco CallManager は、これらのシンボルを解釈して、DTMF 信号を帯域外で信号方式の終端点に渡します。次のコマンドは、VG200 上で DTMF リレーを行うグローバル設定コマンドです。
追加の設定パラメータを、Cisco CallManager MGCP ゲートウェイの設定インターフェースに入力する必要があります。
Cisco IP テレフォニー ソリューションへ統合すると、高価で所有権のある従来の PBX システムに代わって、低コストの分散型 PC ベースのシステムを提供します。この分散設計は、クラスタ化した Cisco CallManager の堅牢で、フォールト トレラントのアーキテクチャに有用です。最も単純な形態の 2 システムのクラスタであっても、セカンダリの Cisco CallManager は、プライマリの
Cisco CallManager が初めに管理していたすべてのゲートウェイ制御を、受け継げるはずです。
Cisco Access Digital Trunk Gateway DT-24+、Cisco Access Digital Trunk Gateway
DE-30+、および Catalyst 6000 デジタル ゲートウェイをブートすると、
Cisco CallManager ロケーション情報がそれぞれに提供されます。これらのゲートウェイを初期化すると、Cisco CallManager 冗長性グループと呼ばれる
Cisco CallManager のリストが、ゲートウェイにダウンロードされます。このリストが、優先順位をつけ、プライマリ Cisco CallManager とセカンダリ
Cisco CallManager に区分されます。プライマリ Cisco CallManager が通信不能になると、ゲートウエイがセカンダリ Cisco CallManager に登録されます。
Cisco IOS ゲートウェイは、Cisco IOS Release 12.1(2)T の dial-peer と voice class のコマンドに加えられたいくつかの改良を使用して、冗長的な Cisco CallManagers をサポートできるようになりました。新しいコマンド、 h225 tcp timeout seconds が追加されました。このコマンドは、Cisco IOS ゲートウェイが、H.323 コール セットアップのために H.225 制御接続を確立するのに必要な時間を指定します。Cisco IOS ゲートウェイが、プライマリ Cisco CallManager への H.225 接続を確立できない場合、他の dial-peer ステートメントで定義されている 2 番目の
Cisco CallManager への接続を試行します。Cisco IOS ゲートウェイは、次に順位の最も高い preference 設定値を持つ dial-peer ステートメントに移動します。
次の例は、H.323 ゲートウェイのフェールオーバーに対する設定を示しています。
(注) トラブルシューティングとファイアウォールを簡素化するため、新しいコマンドvoip-gateway voip bind srcaddr
を使用して、コール セットアップ時に、H.323 が常に特定のソース IP アドレスを使用するように強制することを、シスコはお勧めします。このコマンドを使用しないと、セットアップ時に使用されるソース アドレスは、プロトコル(RAS、H.225、H.245、あるいは RTP)に応じて変わる可能性があります。
MGCP を VG200 および Cisco CallManager に追加することで、このスタンドアロンのゲートウェイは、プライマリ Cisco CallManager との通信が切断した場合、セカンダリの Cisco CallManager に切り替えることができます。VG200 コンフィギュレーション ファイル内では、Cisco CallManager は、 call-agent hostname コマンドを使用して識別され、セカンダリ Cisco CallManager システムのリストが、
ccm-manager redundant-host コマンドを使用して追加されます。アクティブに関連付けられる Cisco CallManager とのキープアライブは、MGCP アプリケーション レベルのキープアライブ メカニズムを使用して実現されます。そしてこのメカニズムにより、ゲートウェイは、空の MGCP NTFY メッセージを
Cisco CallManager に送信し、確認応答を待ちます。バックアップ
Cisco CallManager とのキープアライブは、TCP キープアライブ メカニズム(UDP は、以降のバージョンで使用予定)を使用して実現されます。
プライマリ Cisco CallManager が後に利用できるようになれば、VG200 はこの最初の Cisco CallManager に復帰できます。このフォールバックは、即時に、設定可能な時間が過ぎた後で、あるいはすべての接続セッションがリリースされた場合にだけ、のいずれかによって発生します。この動作は、次の VG200 グローバル設定コマンドにより可能となります。
ccm-manager redundant-host { hostname1 | ipaddress1 } [ hostname2 | ipaddress2 ]
[ no ] call-manager redundancy switchback [ immediate | graceful | delay delay-time ]
補足サービスは、保留、転送、および電話会議などのユーザ機能を提供します。これらのサービスは、すべての音声インストレーションで基本的な要件です。Cisco AVVID ネットワークでの使用を目的として評価されるすべてのゲートウェイは、ソフトウェア メディア終端点(MTP)を使用せずに、補足サービスをネイティブにサポートする必要があります。
Cisco Access Digital Trunk Gateway DT-24+ および DE-30+ の製品、ならびに、Catalyst 6000 シリーズ ゲートウェイのすべては、補足サービスを完全にサポートします。これらのゲートウェイは、ゲートウェイと Cisco Callmanager 間の信号伝送チャネル、および Skinny Gateway Protocol を利用して、すべてのコール制御パラメータを交換します。詳細については、「追加情報」を参照してください。
Cisco CallManager Release 3.0 以前は、H.323v1 だけがサポートされていました。H.323v1 コール セットアップ後、リアルタイム転送プロトコル(RTP)ストリームの宛先を変更できないことは、保留、自動転送、および転送などの補足サービスの妨げとなりました。H.323vl が、最初のコール セットアップ後、RTP ストリームを 1 つの宛先から別の宛先へ移動する機能を提供しないため、ソフトウェア MTP ツールを使用して、Cisco IOS ゲートウェイに補足サービスのサポートを提供しました。
Cisco CallManager サーバ上、あるいは別個の Windows NT 4.0 サーバ上のいずれかで、ソフトウェア プロセスとして動作する MTP は、Cisco IOS ゲートウェイからの RTP ストリーム、および IP 電話からの RTP ストリームを終端させます。MTP から Cisco IOS ゲートウェイへの RTP ストリームは、コールが完了するまで修正されることがないため、Cisco IOS VoIP ゲートウェイの使用時、このMTPを利用することで IP 電話が補足サービスをサポートできるようにします。すべての RTP ストリーム変更は、MTP 接続のスキニー ステーションで実行されます。ソフトウェア MTP を使用する上でさらに重要な注意点は、このソフトウエアが、G.711 音声ストリームだけをサポートしていることです。つまり、圧縮された音声コールはサポートされていないことです。このことは、WAN システムを大きく制限します。
Cisco IOS ゲートウェイと Cisco CallManager Release 3.0(5) によって、H.323v2 をCisco IOS Release 12.0(7)T と上記(特に、OpenLogicalChannel、CloseLogicalChannel、および emptyCapabilitySet 機能)の中で使用すると、補足サービスを提供する MTP の要件が削除されます。 IP 電話と Cisco IOS ゲートウェイの両方からの G.711 RTP ストリームを終端させるのに MTP が不要となったため、圧縮された音声コール(G.723.1 と G.729a)が現在、Cisco IOS ゲートウェイと Cisco CallManager 終端点との間でサポートされています。
Cisco CallManager を H.323 プロキシとして使用して、Cisco IOS ゲートウェイと IP 電話の間に H.323v2 コールを設定すると、IP 電話はベアラ接続の修正を要求できます。RTP ストリームは、Cisco IOS ゲートウェイから IP 電話に直接接続されているため、サポートする音声コーデックを取り決めることができます。
次のステップは、IP 電話 1 が Cisco IOS ゲートウェイからのコールを IP 電話 2 へ転送する場合に発生するプロセスを示しています。
1. IP 電話 1 は、Skinny Station Protocol を使用して、転送要求を Cisco CallManager に発行します。
2. Cisco CallManager は、この要求を H.323v2 CloseLogicalChannel 要求に翻訳して、Cisco IOS ゲートウェイに対して適切なセッション ID を要求します。
3. Cisco IOS ゲートウェイは、IP 電話 1 に対する RTP チャネルを閉じます。
4. Cisco CallManager は、Skinny Station Protocol を使用して、IP 電話 2 に対して、Cisco IOS ゲートウェイへの RTP 接続をセットアップする要求を出します。同時に、Cisco CallManager は、新しい宛先パラメータ、および同じセッション ID を使用して、OpenLogicalChannel 要求を Cisco IOS ゲートウェイに対して出します。
5. Cisco IOS ゲートウェイが要求の確認応答をすると、RTP 音声ベアラ チャネルが、IP 電話 2 と Cisco IOS ゲートウェイの間に設定されます。
VG200 は、MGCP を使用して、保留、転送、および電話会議の機能を完全にサポートします。MGCP は、基本的には、Cisco CallManager が、すべてのセッション インテリジェンスを制御する、マスタースレーブ間プロトコルのため、MGCP は、容易に VG200 接続を処理できます。Cisco AVVID 終端点がセッションを修正する必要がある(たとえば、コールを他の Cisco AVVID 終端点へ転送する)場合、終端点は、Skinny Station Protocol を使用して Cisco CallManager に通知します。Cisco CallManager は、その後、MGCP UDP 制御接続を使用して、セッション ID に関連する現在の RTP ストリームを終了し、新しい終端点情報をもつ新しいメディア セッションを開始するように、VG200 に通知します。
DMTF リレーと補足サービスの必要性以外に、それぞれの Cisco IP テレフォニーの実装には、独自のゲートウェイ要件があります。次のリストは、Cisco IP テレフォニーのゲートウェイを選択する前に、考慮する必要がある必須機能に関する質問の例です。
• ゲートウェイでの使用を予定している接続のタイプは何か(たとえば、FXO グランド スタート、E1_R2、ネットワーク側あるいはユーザ側 PRI)
• 音声圧縮も設計内容に含めるか。含める場合、そのタイプは何か
DID は、オペレータを使用することなく、外部へのコールを直接ステーション回線に送れる構内交換機(PBX)、あるいは Centrex の機能です。
CLID は、発信側番号を着信側に知らせる、デジタル電話ネットワーク上で利用できるサービスです。中央局の機械が、発信側の電話番号を識別し、発信者の情報をコール自体と一緒に送付できるようにします。CLID は、ANI(自動番号識別機能)と同期しています。
• 優先的に使用するネットワーク管理インターフェイスのタイプは何か
• 必要なゲートウェイ、ルータおよびスイッチのすべてを収容できるラック スペースがあるか
この機能リストは、非常に長くなるかもしれませんが、可能な選択肢を絞り込むために役立つ出発点となるものです。機能を定義したら、さまざまな規模と複雑性をもつ単一サイトの企業システムから、複数サイトの企業システムの範囲までの構成に必要なゲートウェイを選択できます。これらのカテゴリは、次のセクションでより詳しく定義します。
焦点の絞り込みに役立てるため、サイト特有の機能リストを表 4-2および表 4-3と比較できます。これらの表は、それぞれサポートされるテレフォニー機能をアナログ ゲートウェイ、およびデジタル ゲートウェイに相関させています。
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1.PBX 信号方式。E & M スーパバイザ信号方式は、音声と信号の両方を同じワイヤ上に重ねる代わりに、音声と信号に個別のパスを使用します。E & M の文字は、単語 ear と mouth に由来し、信号の受信と信号の送信のそれぞれに使用するリード線を表しています。 |
(注) 所定の機能、たとえば、FXS あるいは FXO には、必要最低限の Cisco IOS バージョンが必要です。
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ワーク側 PRI |
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ワーク側 BRI |
CLID 6 |
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表 4-4には、サポートされているデータ インターフェイス、PSTN インターフェイス、および音声圧縮と一緒に、各タイプのゲートウェイが記載されています。
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