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この章では、企業が従来の PBX、およびその付属システム、主として、音声メッセ×ジング システムを IP テレフォニー ネットワークに移行する方法を説明します。この移行の方法には、4 モデルが示され、その各モデルには、各種の機能セットが含められています。また、各移行モデルを実現するためのステップを説明します。
IP ネットワークへ移行する予定の通常の音声ネットワークは、地理的に分散している、少なくとも単一の PBXから構成され、多くの場合複数の PBX から構成されています。PBX ネットワークでは、異なる PBX 間に機能を提供するために、特注による専用のネットワーキング プロトコルを使用しています。
音声ネットワークに音声メッセ×ジングがすでに組み込まれている場合、その音声メッセージング システムは、プロトコルとハードウェアのインターフェイスを使用して PBX に接続されています。複数の音声メッセ×ジング システムが、ネットワークに存在している場合は、それらのシステムは、ネットワークを介して接続されているので、ユーザにとっては、単一のメッセージング システムのように見えます。通常、接続に使用されるプロトコル、および音声メッセ×ジング システム間のネットワークは、それぞれ固有のものです。図 10-1を参照してください。
図 10-1 音声ネットワークにおけるクローズド・プロトコル対オープン・プロトコル
IP ネットワークがこのような環境に導入されている場合、IP ネットワーク上のユーザは、他の IP ネットワーク ユーザをコールするときに、普通に IP 機能を使用できます。同じように、PBX のユーザも、他の PBX ユーザをコールするときに、PBX が提供している機能を使用できます。しかしながら、IP のユーザと PBX ユーザ間コールは、お互いのシステムが提供する機能のサブセットだけを使用することができます。そのサブセットは、IP ネットワークと PBX 間で使用する音声インターフェイスの複雑さの度合いで定義されます。同様に、IP ネットワーク ユーザは、PBX の背後にある音声メッセ×ジング システムにアクセスできますが、通常、使用できる機能のセットは減ります。IP メッセージを使用する場合、そのメッセージを一定の度合いで従来の音声メッセ×ジング システムにネットワーク接続できる可能性があります。これらの機能をすべてサポートする機能のレベルは、IP ネットワークが従来の音声ネットワークに接続できるプロトコル、およびインターフェイスにより定義されます。
表 10-1では、PBX と音声メール システムのネットワーキングで通常使用される、インターフェイスとプロトコルの一部が要約されています。
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インターフェイス |
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AMIS-A1 |
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従来の音声ネットワークは、内部では専用のクローズド プロトコルを使用し、IP ネットワークとは、オープン プロトコルを介して接続しています。ベンダーの異なる機器をネットワークで接続する場合も同様です。オープン プロトコルでは、PBX 間の PRI(あるいは OSIG)、PBX と音声メール システム間の簡易メッセージ デスク インターフェイス(SMDI)、および音声システム間のオーディオ メッセージ交換仕様(AMIS)は、使用可能なインターフェイスの中で、最もパワフルなインターフェイスです。
次に示す 3 つの図は、従来の音声ネットワークから IP システムへ完全移行するフェーズを示しています。図 10-2は、移行前の音声ネットワークを示しています。
図 10-3 は、移行フェーズで、ユーザが PBX から IP ネットワークへブロック単位で移行している様子を示しています。
図 10-4は、移行が完了し、PBX が撤収されたときのネットワークの様子を示しています。
通常、従来の音声ネットワークから IP ネットワークへの移行は、次のようなフェーズで実行されます。
ステップ 1 パイロットのフェーズ:IP ネットワークが導入され、限定少数のユーザに限り IP サービスが提供されます。この初期の配備では、多くの場合、テレコムあるいは IT グループと協力し、ユーザは、各自が使用している従来の電話と IP 電話を併用することがあります。とはいえ、ユーザはいずれ新しいシステムに移行します。このパイロットの試用が数週間にわたり安定し、問題がない場合、次のフェーズに進みます。
ステップ 2 ユーザ ブロックの移行:ユーザ ブロックを従来の音声ネットワークから IP ネットワークに(通常は、週末を利用して)移します。地理的なグループ、ディレクトリ番号(DN)を共有するグループ、あるいは購買部といった業務部門単位をブロックとして選択できます。
ステップ 3 ユーザブ ロックの追加移行:ブロックで移行するユーザの数は、テレコム スタッフが週末に移行準備を行うユーザの最大数と、テレコム部門が移行準備にとれる週末数で決定されます。一般的に、移行はできる限り迅速に完了する必要があります。
もちろん、移行を計画するときには考慮することが他にも多くあります。たとえば、ユーザが各自の従来のディレクトリ番号を使用するか、あるいは新規にディレクトリ番号を割り当ててほしい場合のほか、ユーザのトレーニング、課金システム、特殊な機能、フォールバック計画などがあります。
この項では、移行時のネットワーク構成として、次の 4 つの基本的なモデルを説明します。図 10-5は、基本の各モデルを示しています。
図 10-5で示した各モデルには、次の特性があります。
• モデル A は、最も簡単なモデルです。PBX サービスだけが関係しており音声メッセ×ジングをアドレスしません。
• モデル B には、PBX の背後に音声メッセ×ジング システムが配置されています。音声メール システムは、IP ネットワークへの接続にオープン インターフェイスを装備していないことを想定しています。したがって、IP ネットワークからのすべての音声メール トラフィックは、PBX を通過して配信される必要があります。
• モデル C には、IP ネットワークに接続されている音声メッセ×ジング システムが配置されています。IP ユーザには、強力な機能セットが提供されます。
• モデル D では、ユニファイド IP メッセージが、IP テレフォニーと同時に導入されています。従来の PBX と音声メールの組み合わせは取り外されています。
図 10-6 は、モデル A のトポロジを示しています。このトポロジは、PBX を実装していますが、音声メッセ×ジングは含んでいません。
図 10-6 移行モデル A : PBX のみ(音声メッセ-ジング無装備)
• トランク接続を移行の終了まで PBX に残すか、または、一部のトランクをユーザと共に IP ネットワークに移行するか。
• どの接続タイプを PBX と IP ネットワーク間で使用するか。
表 10-2は、各接続タイプがサポートする機能セットを示しています。
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オン/オフ |
起点 |
コスト |
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表 10-2に記載の機能について、次のように簡単にその重要性を説明します。
• 発信番号は、着信電話に表示されるだけではなく、課金と音声メールにも使用されます。
• 着信番号は、受信スイッチが、コールを最初にコンソール担当者で終了させるのではなく、電話に直接ルーティングしている場合に重要になります。また、着信番号は音声メールにも使用されます。
• 音声メール システムは、逸脱理由(話中、ベルは鳴っているが応答なし)を使用して、異なるグリーティングを再生できます。
• MWI オン/オフを使用すると、ユーザに新しいメッセージが着信したとき、電話上のメッセージ待機インジケータを点灯するように着信スイッチに指示できます。リンク上にこの機能がないと、音声メッセ×ジング システムからリモートにあるスイッチ上で、MWI を利用できません。
• 双方向の起点とは、同一トランク上でコールの発信と受信を行う機能を指しています。この機能は、通常、トランク接続を増やす必要をなくすので、トラフィックには望ましい機能です。
(注) QSIG は、Cisco CallManager Release 3.0(5) では使用できません。PRI は、現在利用できる最高の機能セットを提供します。
表 10-2は、通常、トランク インターフェイスを通過する要素を示しています。ただし、異なる PBX は、情報を使用して所定のトランク タイプに利用できる機能のすべてを実装できない可能性があります。表 10-3は、PRI 使用時に利用できる機能を示しています。
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1 方のシステムから発信されたコールが、もう一方のシステムにいったん渡されてから自動転送されて戻ってくる場合、2 つのチャネルが PRI 上で使用され、コールが取り除かれるか、リリースされるまで、使用中(tromboned; トロンボーンド)のままです。T1 環境でトラフィック処理に関する必須条件は、PRI リンク全体を使用できるコールは、11 コールだけということです。
PBX にトランクが残っているために、課金が 1 つのポイントで実行できる場合、IP から発信されたコールを発信番号で識別するのは困難です。
a. Cisco CallManager に PRI ゲートウェイを追加し、その設定を行います。
b. IP ネットワークに PBX PRI カードとケーブルを追加し、PBX 上に PRI を設定します。
c. PRI トランクに Cisco CallManager ルート グループを追加し、発信コールの制御を行います。
b. PBX のトランク ルートを修正して、ユーザ コールを IP ネットワークに誘導します。
c. ユーザの電話を Cisco CallManager に追加します。
ステップ 3 PSTN トランクをPBX から IP ネットワークに移動します。
a. PBX データベースからトランクとルートを削除します。
b. PBX にトランク グループを追加し、発信コールを IP ネットワークに誘導します。
c. IP ゲートウェイのハードウェアとソフトウェアを設定します。
e. Cisco CallManager にトランク グループとルートを設定します。
f. IP ネットワークにコール詳細レコード(CDR)を設定します。
この設定シナリオは、ユーザが移行後も同じディレクトリ番号を持ち続け、ユーザの移行後トランクが移動されることを想定しています。これ以外のシナリオの場合、IP 電話を事前に設定して、ユーザが、2 台のオフィス用電話を移行期間中、各自のデスクに配置できるようになります。ただし、ダイヤルイン方式(DID)サービスを使用するほとんどのユーザは、本人のディレクトリ番号を維持することを望んでいます。
次のリストは、モデル A システムのコストを要約しています。
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図 10-7 は、モデル B のトポロジを示しています。このトポロジは、PBX と音声メッセ×ジングの両方を実装しています。
図 10-7 移行モデル B : 音声メッセ×ジングを装備した PBX
モデル B のテレフォニー機能に関する考慮事項は、モデル A の考慮事項と同じですが、音声メッセ×ジングの導入については、さらに考慮する事項があります。一般的に、音声メッセ×ジング システムでは、コール応答サービスとコール検索サービスが提供されています。また、メッセージ待機インジケータのオンとオフの切り替えを PBX に指示する機能や、外部コール サービスも提供されています。この外部コール サービスでは、音声メールボックスからユーザ本人に宛てられたメールを他の電話へ転送する機能が組み込まれています。(この機能は、音声メッセ×ジング システムに組み込まれている、自動コンソール アテンダント機能と同様の機能です。)
モデル B ネットワークに実装される IP テレフォニー アプリケーションには、次の 3 つの重要な要件があります。
• ユーザが IP 電話でコールし、そのコールが音声メールに転送されると、その発信者には、コールの応答に関する IP ユーザへのグリーティングが聞こえてきます。このことは、問題となる可能性があります。つまり、PBX は、IP ネットワークからのコールをトランク コールとして認知するので、コール上の最初の送信先番号を保存していない可能性があります。この場合、発信者には、一般的なグリーティング(たとえば、「シスコへのお電話ありがとうございます」)が聞こえてきます。
• IP ユーザが本人のメッセージ キーを押すと、パスワードが求められます。つまり、音声メッセ×ジング システムでは、コールと正しいメール ボックスを識別する発信番号に対応付ける情報を提供する必要があります。
• IP 電話の MWI のオンとオフを切り替えて、ユーザの音声メールボックスの状態を反映する必要があります。
一般的に、IP ネットワークと PBX 間のリンクが PRI で、モデル A システムの設定シーケンスを使用しているモデル B の簡易システムでは、上記 3 つの機能のいずれも達成することはできません。ただし、PBX でより複雑な設定変更を行えば、最初の 2 つの機能は達成できます。
このモデル B の実装には、PBX 上にファントム電話ユーザを設定することが必要不可欠です。メンテナンスの容易性を考慮して、IP ユーザのディレクトリ番号に関係するディレクトリ番号のブロックを選択するのが便利です。たとえば、IP ディレクトリ番号 32XX に対して、同等の PBX ファントム ユーザ 52XX を作成します。ファントム電話は、いつも音声メッセ×ジングに自動転送されます。IP ネットワークでは、音声メッセ×ジングに関しては、ファントム ディレクトリ番号に自動転送されるように電話を設定します。電話の短縮ダイヤル キーでファントム ディレクトリ番号にダイヤルするように設定して、この自動転送を実行します。このキーに、音声メッセ×ジング用のラベルを貼ることができます(CiscoIP Phone 7960 は 除く )。これにより、コール応答とメッセージ検索コールの両方が、直接ユーザの音声メールボックスに接続されます。
代用策もありますが、これには、 余分な管理とユーザの労力を必要とする、不都合な点があります。IP ユーザのメールボックスに、電話のディレクトリ番号と異なる番号を割り当てる必要があります。また、一部の PBX では、ファントム電話用に実際のラインカードを設定する必要があります。移行時、ユーザの PBX ディレクトリ番号をファントム ディレクトリ番号として PBX に保持し、IP ネットワークで新しいディレクトリ番号をユーザに割り当てることが可能であれば、管理者の作業は軽減します。トランクを IP ネットワークに切り替え、着信番号変換を使用すれば、オリジナルのダイヤルイン方式(DDI)を保持できます。ただし、このことは、ユーザのディレクトリ番号、ダイヤルイン方式(DDI)、および音声メールボックス番号が一致していない状況を永続させることになります。
情報が PRI を通過して PBX に送信されないため、音声メッセ×ジング システムが、IP ユーザに対する適切なグリーティング(「話し中」、「応答なし」あるいは「すべてコール」)を選択することはできません。
また MWI 情報が、PRI を PBX から IP ネットワークへ渡すこともできません。したがって、モデル B システムの IP ユーザは、メッセージ指示機能を使用できません。
モデル B のシステムを設定する手順は、次のとおりです。手順には、前述した代用策を含める必要があります。
ステップ 1 PRI リンクの設定:モデル A システムに関する設定内容と同じです。
ステップ 2 各ユーザの移行:モデル A システムに関する移行内容と同じです。
ステップ 3 ファントム ディレクトリ番号を PBX 上に設定
a. 電話を PBX に追加して、音声メールに自動転送します。
c. IP トランクのルートを修正して、自動転送したコールを PBX に送信します。
ステップ 4 PSTN トランクを PBX から IP ネットワークへ移動:モデル A システムに関する内容と同じです。
次のリストでは、モデル B システムのコストを要約しています。
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次のリストは、モデル B システムに関する評価を要約しています。
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図 10-8は、モデル C のトポロジを示しています。このトポロジでは、PBX と音声メッセ×ジングを実装しています。このモデルでは、追加の SMDI と音声メッセ×ジング システムから IP ネットワークへ、アナログの直接リンクが使用されています。
図 10-8 モデル C :IP ネットワークへの個別リンクを装備した PBX と音声メッセージング システム
モデル C のテレフォニー機能に関する考慮事項は、モデル A の考慮事項と同じです。
音声メッセ×ジングに関しては、モデル C では、モデル B での不都合を修正しています。音声メッセ×ジング システムは、PBX と IP ネットワークを別個のシステムとして処理するため、IP ネットワークに到達するコールは、PBX を介してルートバック(返送)されることなく、音声メッセ×ジングに直接自動転送されます。これにより、通常のコール応答機能、およびメッセージ検索機能のすべての機能が可能となります。さらに、音声メッセ×ジング システムは、SMDI を使用して IP ネットワークと直接接続されているので、音声メッセ×ジング システムは、MWI オン あるいは オフ のメッセージを IP ネットワークに送信して、IP 電話のインジケータを適切に制御できます。
このモデル C が作動するには、音声メッセ×ジング システムが、次の 2 つの必要条件を満たす必要があります。最初に、システムは、メール システムのデータベースで 2 つの PBX を同時にサポートし、それぞれのメールボックスを正しい PBX に対応させて、MWI 情報を正しいリンクに送信できるようにする必要があります。次に、IP ネットワークを音声メッセ×ジング システムに物理的に接続すると同時に、PBX への既存のリンクを維持できるようにする必要があります。すべての音声メッセ×ジング システムが、このタイプの統合をサポートすることはできないので、お客様が、このモデルの実装を続行する場合は、事前に音声メールのベンダーに確認しておく必要があります。
ステップ 1 PRI リンクの設定:モデル A システムに関する設定内容と同じです。
ステップ 2 各ユーザの移行:モデル A システムに関する移行内容と同じです。
ステップ 3 音声メールのユーザを移行: PBX ではなく、IP ネットワークへのリンクを参照するように、メールボックスを変更します。
ステップ 4 PSTN トランクを PBX から IP ネットワークへ移動:モデル A システムに関する移行内容と同じです。
次のリストは、モデル C システムのコストを要約しています。
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次のリストは、モデル C システムに関する評価を要約しています。
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• モデル A システムと同じように、音声機能が欠けている。 • モデル B システムより音声メッセ×ジング システムの管理が複雑になるが、PBX の管理は軽減される。 • 原則的には、ダイヤルイン方式(DDI)トランクを、PBX から IP ネットワークへ、ユーザに続いて移動する。移動しなければ、一部の機能が失われることがある。 |
図 10-9は、モデル D のトポロジを示しています。このトポロジでは、Cisco uOne 統一メッセージを使用して IP ネットワークへ移行する、音声メッセ×ジング システムに接続している PBX が実装されています。このモデルの説明では、Cisco uOne の音声メッセ×ジング コンポーネントの説明に焦点を当てています。
図 10-9 モデル D :音声メッセ×ジングを装備した PBX と、Cisco uOne メッセージへの移行
モデル D のテレフォニー機能に関する考慮事項は、モデル A の考慮事項と同じです。
音声メッセ×ジングに関しては、IP ユーザは Cisco uOne システムを使用していますが、一方、PBX のユーザは音声メッセ×ジング システムを使用しています。PBX ユーザを IP ネットワークへ移動すると、音声メールボックスは、音声メッセ×ジング システムから削除され、新しい音声メールボックスが、Cisco uOne に追加されます。
Cisco uOne と音声メッセ×ジング システムとの間にリンクがないため、2 つのユーザ グループは別個の存在で、音声メッセ×ジングで相互に対話することができません。たとえば、音声メッセ×ジングのユーザが配信リストを使用している場合、IP ユーザをそのリストに含めることはできません。同様に、「送信者への応答」機能は、その他多くの機能と同様に、2 つのグループの間では動作しません。ただ、音声メッセ×ジング システムを Cisco uOne に代えたとしても、この状況は一時的な問題解決案でしかありません。
音声メッセ×ジング システムのオーディオ メッセージ交換仕様アナログ(AMIS-A)ネットワーキングは、Cisco uOne の今後のリリースで実装が予定されています。このネットワーキングが使用できるようになったとき、Cisco uOne と音声メッセ×ジング システムの両方をネットワーキングに設定すれば、基本音声メール メッセージ機能をシステムを越えて提供できるようになります(ただし、音声メッセ×ジング システムが AMIS-A をサポートしていることが条件です)。
ステップ 1 PRI リンクの設定:モデル A システムに関する設定内容と同じです。
ステップ 2 各ユーザの移行:モデル A システムに関する移行内容と同じです。
a. 音声メッセ×ジング システム上のメールボックスを削除します。
ステップ 4 PSTN トランクを PBX から IP ネットワークへ移動:モデル A システムに関する移動内容と同じです。
次のリストは、モデル D システムのコストを要約しています。
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次のリストは、モデル D システムに関する評価を要約しています。
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• モデル A システムと同じように、音声機能が欠けている。 • 音声メッセ×ジングと Cisco uOne の間での音声メールによる相互対話がない。 • 原則的には、ダイヤルイン方式 |
Digital PBX Adapter 7630(DPA 7630)を使用すると、Cisco CallManager システムを Octel 音声メール システムと統合できます。また、Octel 音声メール システムは、Lucent Definity PBX システムと接続することもできます。このように構成したサードパーティ製のテレフォニー システムを、 Cisco IP テレフォニー システムと一緒に使用する場合は、Cisco CallManager システムと共存させて使用することが可能です。
たとえば、Octel 音声メッセ×ジ用メッセージ待機インジケータなどのランプを Cisco IP 電話(Cisco CallManager に接続)や、従来のテレフォニー電話(Lucent PBX システムに接続)上で点灯させることができます。
DPA 7630 を使用すると、次のシステムを統合できます。
• Octel 200、および Octel 300 音声メッセ×ジング システム(APIC を使用した統合)
• Octel 250、および Octel 350 音声メッセ×ジング システム(FLT-A/PIC-A を使用した統合)
次の項では、DPA 7630 の概要を説明します。また、従来のテレフォニー ネットワーク、および IP テレフォニー ネットワーク内のその他のコンポーネントと DPA 7630 との相互対話についても説明します。
Cisco DPA 7630 を使用すると、既存の Octel 音声メールと Lucent PBX システムを Cisco CallManager と統合できます。DPA 7630 の基本的な機能は、デジタル電話または PBX システムをエミュレートすることです。このエミュレート機能により、Cisco DPA は、Cisco CallManager、Octel、 および Lucent のシステム デバイスと見なされます。
既存のテレフォニー システムを Lucent Definity G3 PBX から Cisco CallManager に移行する場合、Cisco CallManager へ一気にカットオーバーするか、あるいは徐々に移行するかを決める必要があります。Cisco CallManager、および Cisco uOne(シスコの音声メール ソリューション)へ一気にカットオーバーする場合、DPA 7630 は必要ありません。ただし、システムを徐々に移行する場合は、Lucent PBX の一部の電話を維持する一方で、新しい電話を Cisco CallManager システムにインストールしたり、 既存の Octel 音声メール システムを Cisco CallManager システムで使用したりする必要がある場合があります。そのような場合は、DPA 7630 は、Cisco CallManager への移行に必要になります。
移行で難しい問題が 1 つあります。それは、Octel のような音声メール システムは、一度に統合できる PBX が 1 台だけと設計されている点です。この難問を解決するには、簡易メッセージ デスク インターフェイス(SMDI)が使用されます。このインターフェイスは、複数のクライアントが統合された音声メール サービスを使用するように設計されています。
ただし、SMDI を使用するには、音声メール システムが次に示す仕様をすべて満たす必要があります。
• システムのデータベースに 2 つの PBX システムを同時にサポートする十分な能力が必要です。また、MWI 情報を正しいリンクに送信するために、それぞれのメールボックスを正確な PBX に対応させる必要があります。
• PBX への既存の物理的なリンクを維持する一方で、IP ネットワークを音声メッセ×ジング システムに物理的に接続する必要があります。
特に、Octel システムでデジタル インターフェイスを使用している場合、SMDI をオプションとすることはできません。デジタルのラインカードを使用する Octel システムでは、デジタル電話をエミュレートします。これにより PBX が、デジタル電話をポート別統合カード、あるいは PBX 統合カード(PIC)と呼ばれるデジタル内線電話と見なします。PIC システムでは、音声とデータは同じパスを通ります。MWI は、機能のアクセス コードを介して専用のポート上で設定、およびクリアされます。これらの PIC ポートは、固有のインターフェイスを使用しているので、標準のインターフェイスを使用してポートを Cisco CallManager システムと接続することはできません。
しかし、DPA7630 では、これらのインターフェイスを変更して Octel、Lucent、および Cisco CallManager システムの間での通信を可能にします。使用しているネットワークのニーズに応じて、最適のモードを複数の異なる統合モードから選択できます。
使用している IP テレフォニー ネットワークのニーズに基づいて、次の統合モードを選択します。
• シンプル:Cisco CallManager と既存の Octel メール システムとを統合するために使用します。このソリューションでは、Lucent PBX システムを使用していないか、または、使用中の IP テレフォニー システムと統合しない場合の選択です。「シンプル統合モードの使用」を参照してください。
• ハイブリッド:Cisco CallManager を既存の Octel メール システム、および Lucent PBX システムと統合するために使用します。「ハイブリッド統合モードの使用」を参照してください。
• マルチ:シンプルおよびハイブリッドのシナリオを組み合わせて使用して、複数の DPA 7630 システムを必要とする大規模ネットワークに、システムを統合するために使用します。「マルチ統合モードの使用」を参照してください。
シンプル統合モードでは、DPS 7630 は、Octel と Cisco CallManager システム間とのすべてのコール処理と信号処理を行います(図 10-10を参照してください)。
図 10-10 Cisco CallManager と Octel システムのシンプル統合
Cisco CallManager を Octel 音声メールと Lucent PBX システムに接続する場合は、ハイブリッド統合モードを使用する必要があります。ハイブリッド設定では、DPS 7630 は、Octel、Lucent と Cisco CallManager システム間とのコール処理と信号処理を行います(図 10-11を参照してください)。
図 10-11 Cisco CallManager、Octel、および Lucent システムのハイブリッド統合
使用中のシステムが、ハイブリッド統合モードで提供される機能以上を必要とする場合、複数の DPA 7630 システムをネットワークに追加することが可能です(図 10-12を参照してください)。
図 10-12 複数 DPA 7630 システムを使用したマルチ統合
1 台の DPA 7630 が能力一杯に使用されていて、さらに次の機能を必要とする場合、複数の DPA システムを使用中のネットワークに追加することができます。
Lucent システムにより多くの MWI ポートが必要な場合、追加 DPA 7630 をハイブリッド モードに追加します。ただし、24 のポートすべては、Lucent MWI に使用できません。ハイブリッド統合のガイドラインに従い、8 つまでのポートを使用して、DPA 7630 を設定する必要があります。
• Cisco CallManager と Octel システム間のコール処理に使用する 9 個以上のポート
Cisco CallManager と Octel システム間でコールを処理するために 9 個以上のポートを必要とする場合、もう 1 つの DPA 7630 を簡易モードに追加します。これにより、別の 24 ポートのすべてが、2 つのシステム間のコール処理専用として提供されます。
代わりに、追加 DPA を使用して高度なフォールト トレランスを実現することもできます。この状況で、2 つの DPA デバイスをパラレルで使用して、2 つの装置間で MWI 回線を共有できます。1 つの装置が故障した場合、Octel はその時点で使用可能な回線だけを使用して、音声メールが正常に機能できるようにします。