ブリッジ ドメイン インターフェイスの制限
ブリッジ ドメイン インターフェイスに関連する制約事項は次のとおりです。
• システムごとにサポートされるブリッジ ドメイン インターフェイスは 4096 のみです。
• ブリッジ ドメイン インターフェイスは次の機能をサポートしません。
– PPP over Ethernet(PPPoE)
– ホットスタンバイ ルータ プロトコル(HSRP)
– 仮想ルータ冗長プロトコル(VRRP)
– 双方向フォワーディング検出(BFD)プロトコル
– Netflow
– Network-Based Application Recognition(NBAR)または Advanced Video Coding(AVC)
– Multicast
• BDI の場合、最大伝送単位(MTU)サイズは 1500 および 9216 バイトの間で設定できます。
ブリッジ ドメイン インターフェイスに関する情報
ブリッジ ドメイン インターフェイスは、レイヤ 2 ブリッジ型ネットワークとレイヤ 3 のルーテッド ネットワーク トラフィック間のトラフィックの双方向フローを許可する論理インターフェイスです。ブリッジ ドメイン インターフェイスは、ブリッジ ドメインと同じインデックスによって識別されます。各ブリッジ ドメインは、レイヤ 2 ブロードキャスト ドメインを表します。ブリッジ ドメインに関連付けることができるブリッジ ドメイン インターフェイスは、1 つだけです。
ブリッジ ドメイン インターフェイスは次の機能をサポートします。
• IP 終了
• レイヤ 3 VPN の終了
• アドレス解決プロトコル(ARP)、G-ARP および P-ARP の処理
• MAC アドレスの割り当て
ブリッジ ドメイン インターフェイスを設定する前に、次の概念を理解しておく必要があります:
• 「イーサネット仮想回線の概要」
• 「ブリッジ ドメイン インターフェイスのカプセル化」
• 「MAC アドレスの割り当て」
• 「IP プロトコルのサポート」
• 「IP 転送のサポート」
• 「パケット転送」
• 「ブリッジ ドメイン インターフェイスの統計情報」
イーサネット仮想回線の概要
イーサネット仮想回線(EVC)は、プロバイダーがお客様に提供しているレイヤ 2 サービスの単一インスタンスのエンドツーエンド表現です。さまざまなパラメータが統合されて、サービスが提供されます。シスコ EVC フレームワークでは、ブリッジ ドメインは、サービス インスタンスと呼ばれているレイヤ 2 インターフェイス(1 つまたは複数)で構成されます。サービス インスタンスは、あるルータ上のあるポート上で EVC をインスタンス化したものです。サービス インスタンスは、設定に基づいてブリッジ ドメインに関連付けられます。
着信フレームは、次の基準に基づいてサービス インスタンスとして分類できます。
• シングル 802.1Q VLAN タグ、優先度タグ付き、または 802.1ad VLAN タグ
• 両 QinQ(内部および外部)VLAN タグ、または 802.1ad S-VLAN と C-VLAN タグの両方
• 外部 802.1p CoS ビット、内部 802.1p CoS ビット、またはその両方
• ペイロード イーサネット タイプ(5 つの選択肢をサポート:IPv4、IPv6、PPPoE-all、PPoE-discovery、PPPoE-session)
サービス インスタンスは、他のマッピング基準もサポートします。
• [Untagged]:802.1Q または 802.1ad ヘッダがないすべてのフレームにマッピングします。
• [Default]:すべてのフレームにマッピングします。
EVC アーキテクチャの詳細については、次の URL の『 Carrier Ethernet Configuration Guide 』の「Configuring Ethernet Virtual Connections on the Cisco ASR 1000 Router」の章を参照してください。
http://www.cisco.com/en/US/docs/ios-xml/ios/cether/configuration/xe-3s/ce-ether-vc-infra-xe.html
ブリッジ ドメイン インターフェイスのカプセル化
EVC はブリッジ ドメインに存在する各イーサネット フロー ポイント(EFP)で様々なカプセル化を使用する機能を提供します。パケットは異なるカプセル化を設定した 1 つまたは複数の EFP から出力されている可能性があるため、BDI 出力ポイントは出力パケットのカプセル化を認識しないことがあります。
ブリッジ ドメインでは、すべての EFP で異なるカプセル化がある場合、BDI のタグ付けを解除する必要があります(802.1Q タグなしを使用)。EFP でブリッジ ドメインのすべてのトラフィック(ポップまたはプッシュ)をカプセル化します。ブリッジ ドメインのトラフィックのカプセル化を可能にするためには、各 EFP で rewrite を設定します。
ブリッジ ドメインでは、すべての EFP で同じカプセル化がある場合は、 encapsulation コマンドを使用して BDI 上にカプセル化を設定します。BDI でのカプセル化をイネーブルにすると、タグのプッシングまたはポッピングが有効になり、それにより EFP で rewrite コマンドを設定する必要がなくなります。BDI でのカプセル化の設定の詳細については、 「ブリッジ ドメイン インターフェイスの設定方法」 を参照してください。
MAC アドレスの割り当て
Cisco ASR 1000 シャーシ上のすべてのブリッジ ドメインは、同じ MAC アドレスを共有します。最初のブリッジ ドメイン インターフェイスに MAC アドレスが割り当てられます。その後、同じ MAC アドレスが、そのブリッジ ドメインで作成されたすべてのブリッジ ドメイン インターフェイスに割り当てられます。
(注) mac-address コマンドを使用して、ブリッジ ドメイン インターフェイスにスタティック MAC アドレスを設定できます。
IP プロトコルのサポート
ブリッジ ドメイン インターフェイスは、Cisco ASR 1000 シリーズ アグリゲーション サービス ルータをイネーブルにし、次の IP 関連プロトコルのレイヤ 2 ブリッジ ドメインのレイヤ 3 のエンド ポイントとして機能します。
• ARP
• DHCP
• HTTP
• ICMP
• NTP
• RARP
• SNMP
• TCP
• Telnet
• TFTP
• UDP
IP 転送のサポート
ブリッジ ドメイン インターフェイスは次の IP 転送機能をサポートします。
• IPv4 の入力および出力アクセス コントロール リスト(ACL)
• IPv4 の入力および出力 QoS ポリシー。ブリッジ ドメイン インターフェイスの入力および出力サービス ポリシーでサポートされる動作は次のとおりです。
– 分類
– マーキング
– ポリシング
• IPv4 L3 VRF
パケット転送
ブリッジ ドメイン インターフェイスはレイヤ 2 およびレイヤ 3 ネットワーク インフラ間のブリッジングおよび転送サービスを提供します。
レイヤ 2 から 3
レイヤ 2 ネットワークからレイヤ 3 ネットワークへのパケット フローの間に、着信パケットの宛先 MAC アドレスがブリッジ ドメイン インターフェイスの MAC アドレスと一致するか、宛先 MAC アドレスがマルチキャスト アドレスの場合、パケットまたはパケットのコピーがブリッジ ドメイン インターフェイスに転送されます。
(注) MAC アドレス ラーニングは、ブリッジ ドメイン上のインターフェイスで実行できません。
(注) ブリッジ ドメインでは、未知のユニキャスト フレームをフラッディングすると、ブリッジ ドメインのインターフェイスは含まれません。
レイヤ 3 からレイヤ 2
パケットがルータの物理インターフェイスのレイヤ 3 に到達すると、ルート検索アクションが実行されます。ルート検索がブリッジ ドメイン インターフェイスに向かうと、ブリッジ ドメイン インターフェイスはレイヤ 2 カプセル化を追加し、対応するブリッジ ドメインにフレームを転送します。バイト カウンタが更新されます。
ブリッジ ドメイン インターフェイスが属するブリッジ ドメインでのレイヤ 2 検索中に、ブリッジ ドメインは、宛先 MAC アドレスに基づいて適切なサービス インスタンスにパケットを転送します。
ブリッジ ドメインとブリッジ ドメイン インターフェイスのステートをリンクする
ブリッジ ドメイン インターフェイスはレイヤ 3 のルーティング可能な IOS インターフェイスおよびブリッジ ドメインのポートとして機能します。ブリッジ ドメイン インターフェイスとブリッジ ドメインのいずれも、個々の管理状態で動作します。
ブリッジ ドメイン インターフェイスをシャットダウンすると、レイヤ 3 データ サービスは停止しますが、関連するブリッジ ドメインの状態は上書きされず、影響を受けません。
ブリッジ ドメインをシャットダウンすると、サービス インスタンスやブリッジ ドメイン インターフェイスを含むすべての関連メンバへのレイヤ 2 転送が停止します。ブリッジ ドメインの動作状態は、関連するサービス インスタンスによって影響を受けます。ブリッジ ドメイン インターフェイスは、関連するサービス インスタンスの 1 つが起動しない限り、動作することはできません。
(注) ブリッジ ドメイン インターフェイスは内部インターフェイスであるため、ブリッジ ドメイン インターフェイスの動作状態はブリッジ ドメインの動作状態には影響しません。
BDI の初期状態
BDI 最初の管理ステートは、BDI の作成方法によって異なります。BDI がスタートアップ コンフィギュレーションのブート時に作成された場合、BDI のデフォルトの管理ステートは、スタートアップ コンフィギュレーションに shutdown コマンドが含まれている場合を除き、このステートを維持します。この動作は、他のすべてのインターフェイスと一致します。BDI がユーザによって AT コマンド プロンプトで動的に作成される場合、デフォルトの管理ステートはダウンです。
BDI のリンク状態
すべての Cisco IOS インターフェイスと同様に BDI は、管理上のダウン状態、動作上のダウン状態、アップ状態の 3 種類のステートからなるリンク状態を維持します。BDI のリンク状態は、対応するユーザによって設定された BDI 管理状態セットおよびインターフェイス ステートの下位レベルの障害表示の状態の 2 つの独立する入力から得られます。BDI のリンク状態は、2 つの入力の状態に基づいて定義されます。
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-- |
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Admin-down |
Up |
At least one fault asserted
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Admin-down |
Operationally-down |
ブリッジ ドメイン インターフェイスの統計情報
ブリッジ ドメイン インターフェイスなどの仮想インターフェイスの場合は、プロトコル カウンタは QFP から定期的に検索されます。
パケットがレイヤ 2 ブリッジ ドメイン ネットワークからドメインのインターフェイスを介してレイヤ 3 のルーティング ネットワークに流れると、パケットはブリッジ ドメイン インターフェイスの入力パケットおよびバイトとして処理されます。パケットがレイヤ 3 インターフェイスに到達し、ブリッジ ドメイン インターフェイスを介してレイヤ 2 ブリッジ ドメインに転送されると、パケットは出力パケットおよびバイトとして処理され、カウンタが適宜更新されます。
BDI はすべての Cisco IOS インターフェイスで、ケースとしてレイヤ 3 パケット カウンタの標準セットを維持します。レイヤ 3 のパケット カウンタを表示するには、show interface コマンドを使用します。
カウンタの表記法は、レイヤ 3 クラウドに関連します。たとえば、input はレイヤ 2 BD からレイヤ 3 クラウドに入るトラフィックを示し、output はレイヤ 3 クラウドからレイヤ 2 BD に向かうトラフィックを示します。
BDI ステータスの統計情報を表示するには、 show interfaces accounting コマンドを使用します。送受信されるパケットおよびバイト全体のカウントを表示するには、 show interface <if-name> コマンドを使用します。
ブリッジ ドメイン インターフェイスの設定方法
ブリッジ ドメイン インターフェイスを設定するには、次の手順を実行します。
手順の概要
1. configure terminal
2. interface BDI interface number
3. encapsulation encapsulation dot1q <first-tag> [second-dot1q <second-tag>]
4. ip address ip-address mask
5. mac-address {mac-address}
6. no shut
7. shut
手順の詳細
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ステップ 1 |
configure terminal
Router# configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
interface BDI {interface number}
Router(config)# interface BDI3 |
Cisco ASR 1000 シリーズ アグリゲーション サービス ルータで、ブリッジ ドメイン インターフェイスを指定します。 |
ステップ 3 |
encapsulation encapsulation dot1q <first-tag> [second-dot1q <second-tag>]
Router(config-if)#encapsulation dot1Q 1 second-dot1q 2 |
カプセル化タイプを定義します。 例では、カプセル化タイプとして dot1q を定義しています。 |
ステップ 4 |
ip address ip-address mask または ipv6 address { X:X:X:X::X link-local | X:X:X:X::X / prefix [ anycast | eui-64 ] | autoconfig [ default ]}
Router(config-if)# ip address 2.2.2.1 255.255.255.0 |
ブリッジ ドメイン インターフェイスの IPv4 または IPv6 アドレスを指定します。 |
ステップ 5 |
mac-address {mac-address} Router(config-if)# mac-address 1.1.3 |
ブリッジ ドメイン インターフェイスの MAC アドレスを指定します。 |
ステップ 6 |
hostname(config-if)#
no
shut
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Cisco ASR 1000 シリーズ アグリゲーション サービス ルータで、ブリッジ ドメイン インターフェイスをイネーブルにします。 |
ステップ 7 |
hostname(config-if)#
shut
|
Cisco ASR 1000 シリーズ アグリゲーション サービス ルータで、ブリッジ ドメイン インターフェイスをディセーブルにします。 |
例
次に、IP アドレス 2.2.2.1 255.255.255.0 でブリッジ ドメイン インターフェイスを設定する例を示します。
Router# configure terminal
Enter configuration commands, one per line. End with CNTL/Z.
Router(config)# interface BDI3
Router(config-if)# encapsulation dot1Q 1 second-dot1q 2
Router(config-if)# ip address 2.2.2.1 255.255.255.0
Router(config-if)# mac-address 1.1.3
Router(config-if)# no shut
show コマンドを使用して、ブリッジ ドメイン インターフェイスの設定情報を表示できます。
• show interfaces bdi: 対応する BDI の設定情報の概要を表示します。
例:
Router# show interfaces BDI3
• show platform software interface fp active name :フォワーディング プロセッサのブリッジ ドメイン インターフェイスの設定を表示します。
例:
Router# show platform software interface fp active name BDI4
• show platform hardware qfp active interface if-name: データ パスのブリッジ ドメイン インターフェイス コンフィギュレーションを表示します。
例:
Router# show platform hardware qfp active interface if-name BDI4
次の debug コマンドを使用してブリッジ ドメイン インターフェイスの設定をデバッグできます。
• debug platform hardware qfp feature :Cisco Quantum Flow Processor(QFP)機能をデバッグします。
次に、すべてのクライアントの l2bd をデバッグする例を示します。
Router# debug platform hardware qfp active feature l2bd client all
選択した CPP L2BD Client のデバッグがオンになります。
• platform trace runtime process forwarding-manager module :Forwarding Manager プロセスの Forwarding Manager Route Processor および Embedded Service Processor のトレース メッセージをイネーブルにします。
次の例では、スロット 0 の ESP プロセッサの Forwarding Manager フォワーディング プロセッサ モジュールのトレース レベルを情報トレース レベル(info)に設定します。
Router(config)# platform trace runtime slot F0 bay 0 process forwarding-manager module interfaces level info
• platform trace boottime process forwarding-manager module interfaces :ブートアップ中の Route Processor Forwarding Manager プロセスの Forwarding Manager Route Processor および Embedded Service Processor のトレース メッセージをイネーブルにします。
次の例では、スロット R0 の ESP プロセッサの Forwarding Manager フォワーディング プロセッサ モジュールのトレース レベルを情報トレース レベル(max)に設定します。
Router(config)# platform trace boottime slot R0 bay 1 process forwarding-manager forwarding-manager level max
各コマンドに使用できるコマンドおよびオプションの詳細については、次の URL で『 Cisco IOS Configuration Fundamentals Command Reference Guide 』を参照してください。
http://www.cisco.com/en/US/docs/ios/fundamentals/command/reference/cf_book.html