SNMP のサポート
ネットワーク管理システム(NMS)は、ネットワーク デバイス間の管理情報を交換するための業界標準のインターフェイスである SNMP を使用します。TCP/IP プロトコル スイートの一部である SNMP を使用すると、システム管理者は、リモートからネットワーク パフォーマンスの管理、ネットワークの問題の検出と解決、およびネットワークの拡張計画を行うことができます。
SNMP の基本
SNMP 管理対象ネットワークは、管理対象デバイス、エージェント、ネットワーク管理システムの 3 つの主要なコンポーネントから構成されます。
• 管理対象デバイスは、SNMP エージェントを含み管理対象ネットワークに常駐するネットワーク ノードを示します。管理対象デバイスは、管理情報を収集して格納し、SNMP を使用してその管理情報を使用できるようにします。
• ネットワーク管理ソフトウェアとしてのエージェントは、管理対象デバイスに常駐します。エージェントには、管理情報のローカルな知識が含まれており、それを SNMP と互換性がある形式に変換します。
• ネットワーク管理システム(NMS)は、SNMP 管理アプリケーションと、それが動作しているコンピュータで構成されます。NMS は、管理対象デバイスをモニタして制御するアプリケーションを実行します。NMS は、ネットワーク管理に必要な処理とメモリ リソースの大部分を提供します。次の NMS は、Cisco CallManager と互換性があります。
–CiscoWorks2000
–HP OpenView
–SNMP および Cisco CallManager SNMP インターフェイスをサポートするサードパーティ アプリケーション
SNMP 管理情報ベース(MIB)
MIB は、階層的に構成された情報の集合を示します。MIB へのアクセスは、ネットワーク管理プロトコルである SNMP を使用します。MIB は、オブジェクト識別子により識別される管理対象オブジェクトから構成されます。
管理対象オブジェクト(MIB オブジェクトまたはオブジェクトと呼ばれる場合もある)は、管理対象デバイスが持つ多数の固有の特性のうち 1 つを所有します。管理対象デバイスは、本質的には変数である、1 つまたは複数のオブジェクト インスタンスから構成されています。
Cisco CallManager は、次の MIB をサポートしています。
• CISCO-CCM-MIB:Cisco CallManager SNMP 拡張エージェントを使用して、ローカルの Cisco CallManager について、および電話、ゲートウェイなどの関連デバイスについての、設定済みの情報とリアルタイム ステータス情報を取得します。
• CISCO-CDP-MIB:Cisco CallManager CDP SNMP 拡張エージェントを使用して、Cisco Discovery Protocol MIB、CISCO-CDP-MIB を読み取ります。この MIB を使用すると、Cisco CallManager をネットワーク上の他の Cisco デバイスにアドバタイジングできます。
• SYSAPPL-MIB:SysApp SNMP 拡張エージェントを使用して、インストール済みのアプリケーション、アプリケーション コンポーネント、およびシステム上で動作しているプロセスなどの情報を SYSAPPL-MIB から取得します。
SNMP トラップ
SNMP エージェントは、ネットワーク管理者への重要なシステム イベントを識別するトラップを送信できます。次に、トラップ受信側として指定された NMS に送信される Cisco CallManager SNMP トラップ メッセージを示します。
• Cisco CallManage が失敗した。
• 電話機が失敗した。
• 電話機のステータスが更新された。
• ゲートウェイが失敗した。
• メディア リソースがすべて使用された。
• ルート リストがすべて使用された。
• ゲートウェイ レイヤ 2 が変更された。
• 品質レポート。
• 悪意のあるコール。
SNMP エージェントは、アラーム条件を検出すると、設定済みの IP アドレスに送信されるトラップ(通知メッセージ)を生成します。
SNMP コミュニティ ストリング
SNMP コミュニティ ストリングは、MIB オブジェクトと機能へのアクセスを組み込みパスワードとして認証します。「SNMP 設定のチェックリスト」の項では、Cisco CallManager へのコミュニティ ストリングを設定する手順について説明します。
SNMP エージェント
Microsoft Windows 2000 SNMP サービス(SNMP サービスと呼ばれる)は、SNMP に対するフレームワークを提供し、SNMP 拡張エージェントとのインターフェイスとなる SNMP エージェントを提供します。Cisco MIB をサポートするための SNMP 拡張エージェントが用意されています。SNMP サービスは、Cisco SNMP 拡張エージェントをロードします。SNMP サービスは、適切な拡張エージェント API をコールして、各 SNMP 要求を処理します。また、SNMP サービスは、SNMP 拡張エージェントから適切なトラップ受信側にトラップを転送します。
SNMP コミュニティ名とトラップが設定された後、システムがブートされると SNMP サービスは自動的に開始されます。管理者は、問題が発生した場合や自動的に起動しなかった場合に、SNMP サービスを再起動または停止できます。
(注) SNMP の詳細については、Microsoft Windows 2000 オンライン ヘルプを参照してください。
図 18-1 は、Cisco CallManager SNMP の実装を示しています。
図 18-1 Cisco CallManager SNMP の実装
Cisco Real-Time Information Server データ コレクタ
Cisco Real-Time Information Server(RIS)データ コレクタは、Microsoft Windows 2000 上で動作し、Cisco CallManager データベースから RIS データベースに設定された情報を送信する役割を果たします。Cisco CallManager は、アラーム インターフェイスを介して動的な情報をすべて RIS データベースに送信します。
SNMP 設定のチェックリスト
表 18-1 に、SNMP を設定する手順の概要を示します。
表 18-1 SNMP 設定のチェックリスト
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ステップ 1 |
Microsoft Windows 2000 SNMP サービスが Cisco CallManager ネットワーク上にインストールされていることを確認します。 |
Microsoft Windows 2000 のオンライン ヘルプを参照してください。 |
ステップ 2 |
SNMP エージェントのセキュリティを設定します。 |
『 Cisco CallManager Serviceability アドミニストレーション ガイド 』の「 SNMP セキュリティの設定 」 |
ステップ 3 |
SNMP サービスを開始します。 |
『 Cisco CallManager Serviceability アドミニストレーション ガイド 』の「 Cisco CallManager SNMP 拡張エージェントの開始 」 |
ステップ 4 |
トラップを設定します。 |
『 Cisco CallManager Serviceability アドミニストレーション ガイド 』の「 SNMP トラップ受信側の設定 」 『 Cisco CallManager Serviceability アドミニストレーション ガイド 』の「 Cisco CallManager トラップの設定 」 |
ステップ 5 |
Cisco Real-Time Information Server(RIS)データ コレクタを設定して、 Cisco CallManager データベースから RIS データベースに設定された情報を送信します。
(注) Cisco CallManager SNMP エージェントをロードするには、Cisco RIS データ コレクタ サービスがアクティブであることを確認します。
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『 Cisco CallManager Serviceability アドミニストレーション ガイド 』の「 Cisco RIS データ コレクタの開始 」 |