コール アドミッション制御
コール アドミッション制御は、広域(IP WAN)リンク上で同時にアクティブにするコール数を制限することにより、このリンクを経由するコールの音声品質およびビデオ品質を制御できます。たとえば、メイン キャンパスとリモート サイトを接続する 56 kb/s フレーム リレー回線の音声品質は、コール アドミッション制御で調整できます。
リンク上のアクティブ コール数が増えすぎて帯域幅の使用量が過剰になると、音声およびビデオの品質が低下し始める場合があります。コール アドミッション制御は、特定リンク上で同時にアクティブにするコール数を制限することにより、音声およびビデオの品質を調整します。コール アドミッション制御を使用して、リンク上で特定レベルの音声品質またはビデオ品質を保証することはできませんが、リンク上のアクティブ コールが消費する帯域幅を調整できます。
コール アドミッション制御は、帯域幅とポリシーでコールを拒否することによって機能します。コールがコール アドミッション制御によって拒否された場合、着信側の電話機は呼び出し音が鳴らず、発信者にはビジー トーンが聞こえます。また、発信側では、帯域幅不足などを示すメッセージが電話機に表示されます。
コール アドミッション制御を行わないと、IP 音声の品質と信頼性が低いものになることがあります。コール アドミッション制御を使用すると、time-division multiplexing(TDM; 時分割多重)処理に似た状況になり、ピーク時間帯にはより多くの帯域幅が必要なことがわかります。
この章では、Cisco Unified Communications Manager 環境で使用できる次の 2 種類のコール アドミッション制御について説明します。
• 「ロケーション」(集中型コール処理を行うシステム用)
• 「ゲートキーパーとトランク」(分散型コール処理を行うシステム用)
これらのコール アドミッション制御方式の一方を選択できますが、同じ Cisco Unified Communications Manager システム内で両方を組み合せて使用することはできません。IP WAN リンクで使用する帯域幅に制限のないシステムの場合は、このコール アドミッション制御を使用する必要はありません。
Cisco Unified Communications Manager は、追加の CAC メカニズムである、Resource Reservation Protocol(RSVP)もサポートしています。これは、フルメッシュ ネットワーク トポロジと大規模クラスタのための追加機能を提供します。RSVP についての詳細は、 「Resource Reservation Protocol」 を参照してください。
この章の構成は、次のとおりです。
ロケーション
• 「ロケーション設定チェックリスト」
• 「ロケーション」
• 「ロケーションとリージョン」
• 「帯域幅の計算」
• 「ロケーションに基づく MLPP」
• 「クラスタ間トランクでのロケーションに基づくコール アドミッション制御」
• 「参考情報」
ゲートキーパーおよびゲートキーパーによって制御されるトランク
• 「ゲートキーパーおよびゲートキーパーによって制御されるトランクの設定のチェックリスト」
• 「ゲートキーパーとトランク」
• 「ゲートキーパーのコール アドミッション制御のコンポーネント」
• 「参考情報」
ロケーション設定チェックリスト
Cisco Unified Communications Manager に組み込まれているロケーションは、コールを集中処理するシステムにコール アドミッション制御を提供します。コール アドミッション制御は、広域(IP WAN)リンク上で同時にアクティブにするコール数を制限することにより、このリンクを経由するコールの音声品質およびビデオ品質を制御できます。たとえば、メイン キャンパスとリモート サイトを接続する 56 kb/s フレーム リレー回線の音声品質は、コール アドミッション制御で調整できます。
リンク上のアクティブ コール数が増えすぎて帯域幅の使用量が過剰になると、音声およびビデオの品質が低下し始める場合があります。コール アドミッション制御は、特定リンク上で同時にアクティブにするコール数を制限することにより、音声およびビデオの品質を調整します。コール アドミッション制御を使用して、リンク上で特定レベルの音声品質またはビデオ品質を保証することはできませんが、リンク上のアクティブ コールが消費する帯域幅を調整できます。
コール アドミッション制御は、帯域幅とポリシーでコールを拒否することによって機能します。コールがコール アドミッション制御によって拒否された場合、着信側の電話機は呼び出し音が鳴らず、発信者にはビジー トーンが聞こえます。また、発信側では、帯域幅不足などを示すメッセージが電話機に表示されます。
コール アドミッション制御を行わないと、IP 音声の品質と信頼性が低いものになることがあります。コール アドミッション制御を使用すると、時分割多重(TDM)処理に似た状況になり、ピーク時間帯にはより多くの帯域幅が必要なことがわかります。IP WAN リンクで使用する帯域幅に制限のないシステムの場合は、このコール アドミッション制御を使用する必要はありません。
集中型システムでは、単一の Cisco Unified Communications Manager クラスタを使用してすべてのロケーションを制御します。詳細については、『 Cisco Unified Communications Manager アドミニストレーション ガイド 』の 「ロケーションの設定」 の項および『 Cisco Unified Communications Solution Reference Network Design (SRND) Based on Cisco Unified Communications Manager 』を参照してください。
コール アドミッション制御にロケーションを設定するかゲートキーパーとトランクを設定するかを選択できますが、同じ Cisco Unified Communications Manager システムでこれらを組み合わせることはできません。
(注) 非集中型システムの場合、Cisco Unified Communications Manager は代替の CAC 方式である Resource Reservation Protocol(RSVP)を提供します。RSVP についての詳細は、「Resource Reservation Protocol」を参照してください。
ヒント ロケーションと位置情報を混同しないでください。[システム(System)] > [ロケーション(Location)] メニュー オプションを使用して設定するロケーションでは、集中型コール処理システムがコール アドミッション制御(CAS)を提供するために使用するエンティティを定義できます。[システム(System)] > [位置情報の設定(Geo Location Configuration)] メニュー オプションを使用して設定する位置情報では、論理パーティションなどの機能用に Cisco Unified Communications Manager デバイスを関連付けるための地理上の位置を指定できます。
表 8-1 は、ロケーションに基づいてコール アドミッション制御を設定する一般的な手順を示しています。詳細については、「参考情報」を参照してください。
表 8-1 ロケーション設定チェックリスト
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ステップ 1 |
システム内で使用されているコーデックのタイプごとにリージョンを設定します。 |
「ロケーション」 「ロケーションとリージョン」 『 Cisco Unified Communications Manager アドミニストレーション ガイド 』の 「リージョンの設定」 |
ステップ 2 |
コール アドミッション制御を適用する IP WAN リンクごとに個別のロケーションを設定します。そのロケーションへのリンクを経由するコールに対して、使用可能な最大帯域幅を割り当てます。 を設定する場合は、そのロケーションの IP WAN リンクに使用可能な帯域幅が無制限に割り当てられ、無限数のアクティブ コールが許可されます。 |
『 Cisco Unified Communications Manager アドミニストレーション ガイド 』の 「ロケーションの設定」 |
ステップ 3 |
システム用のデバイス プールを設定し、それぞれに対して適切なリージョンを選択します。 |
『 Cisco Unified Communications Manager アドミニストレーション ガイド 』の 「デバイス プールの設定」 |
ステップ 4 |
電話機などのデバイスを設定し、それぞれのデバイスを適切なデバイス プールとロケーションに割り当てます。 に設定した場合は、無制限の帯域幅を使用できる無名のロケーションがそのデバイスに割り当てられ、無限数の発着信アクティブ コールがそのデバイスに対して許可されます。 |
「Cisco Unified IP Phone」 『 Cisco Unified Communications Manager アドミニストレーション ガイド 』の 「Cisco Unified IP Phone の設定」 |
ゲートキーパーおよびゲートキーパーによって制御されるトランクの設定のチェックリスト
コール アドミッション制御は、広域(IP WAN)リンク上で同時にアクティブにするコール数を制限することにより、このリンクを経由するコールの音声品質およびビデオ品質を制御できます。たとえば、メイン キャンパスとリモート サイトを接続する 56 kb/s フレーム リレー回線の音声品質は、コール アドミッション制御で調整できます。
リンク上のアクティブ コール数が増えすぎて帯域幅の使用量が過剰になると、音声およびビデオの品質が低下し始める場合があります。コール アドミッション制御は、特定リンク上で同時にアクティブにするコール数を制限することにより、音声およびビデオの品質を調整します。コール アドミッション制御を使用して、リンク上で特定レベルの音声品質またはビデオ品質を保証することはできませんが、リンク上のアクティブ コールが消費する帯域幅を調整できます。
コール アドミッション制御は、帯域幅とポリシーでコールを拒否することによって機能します。コールがコール アドミッション制御によって拒否された場合、着信側の電話機は呼び出し音が鳴らず、発信者にはビジー トーンが聞こえます。また、発信側には、電話機に「帯域幅不足です(Not enough bandwidth)」などのメッセージが表示されます。
コール アドミッション制御を行わないと、IP 音声の品質と信頼性が低いものになることがあります。コール アドミッション制御を使用すると、時分割多重(TDM)処理に似た状況になり、ピーク時間帯にはより多くの帯域幅が必要なことがわかります。IP WAN リンクで使用する帯域幅に制限のないシステムの場合は、このコール アドミッション制御を使用する必要はありません。
ゲートキーパーのコール アドミッション制御では、高い柔軟性が提供されます。
• ゲートキーパーを使用すると、IP WAN に接続したリモート Cisco Unified Communications Manager ごとに別々の H.323 デバイスを設定する必要がなくなるので、設定のオーバーヘッドが軽減される。
• ゲートキーパーは登録済みのデバイスの IP アドレスを判別でき、またユーザが IP アドレスを明示的に入力することも可能。
• ゲートキーパーは H.323 プロトコルをサポートし、H.225 プロトコルを使用してコールを発信する。
• ゲートキーパーは、コール アドミッション制御のほかに基本的なコール ルーティングを実行可能。
• 1 つのゲートキーパーに対して、最大 100 の Cisco Unified Communications Manager クラスタを接続可能。
(注) ゲートキーパーの設定、ゲートキーパーを使用する場合のダイヤル プランの考慮事項、およびゲートキーパーと Cisco Unified Communications Manager の相互対話の詳細については、『Cisco Unified Communications Solution Reference Network Design (SRND)』を参照してください。
表 8-2 では、ゲートキーパーとトランクに基づいてコール アドミッション制御を設定する一般的な手順を示しています。詳細については、「参考情報」を参照してください。
表 8-2 ゲートキーパーとトランクの設定チェックリスト
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ステップ 1 |
ゲートキーパー デバイス上で、ゲートキーパーへのコールをルーティングするそれぞれの Cisco Unified Communications Manager に対して、適切なゾーンと帯域幅の割り当てを設定します。 |
『 Cisco IOS H.323 Configuration Guide 』の「Configuring H.323 Gatekeepers and Proxies」 |
ステップ 2 |
Cisco Unified Communications Manager の管理ページ内でゲートキーパー設定値を設定します。 ゲートキーパーに登録するそれぞれの Cisco Unified Communications Manager について、このステップを繰り返します。ホスト名または IP アドレスの設定は、それぞれの Cisco Unified Communications Manager 上で必ず同じ値にします。 |
「ゲートキーパーとトランク」 『 Cisco Unified Communications Manager アドミニストレーション ガイド 』の 「ゲートキーパーの設定」 |
ステップ 3 |
適切なクラスタ間トランクまたは H.225 トランクを設定し、ゲートキーパー情報を指定します(ゲートキーパーによって制御されるトランクの場合)。 |
「ゲートキーパーとトランク」 『 Cisco Unified Communications Manager アドミニストレーション ガイド 』の 「トランクの設定」 |
ステップ 4 |
ゲートキーパーによって制御される各トランクへのコールをルーティングするためのルート パターンを設定します。 |
「ルート プランの概要」 『 Cisco Unified Communications Manager アドミニストレーション ガイド 』の 「ルート パターンの設定」 |
ロケーション
Cisco Unified Communications Manager に組み込まれているロケーション機能は、コールを集中処理するシステムがコール アドミッション制御を提供します。集中型システムでは、単一の Cisco Unified Communications Manager クラスタを使用してすべてのロケーションを制御します。 図 8-1 に、ロケーションを使用するコール アドミッション制御を示します。詳細については、『 Cisco Unified Communications Manager アドミニストレーション ガイド 』の 「ロケーションの設定」 の項および『 Cisco Unified Communications Solution Reference Network Design (SRND) Based on Cisco Unified Communications Manager 』を参照してください。非集中型システムの場合、Cisco Unified Communications Manager は代替の CAC 方式である Resource Reservation Protocol(RSVP)を提供します。RSVP についての詳細は、 「Resource Reservation Protocol」 を参照してください。
ヒント ロケーションと位置情報を混同しないでください。[システム(System)] > [ロケーション(Location)] メニュー オプションを使用して設定するロケーションでは、集中型コール処理システムがコール アドミッション制御(CAS)を提供するために使用するエンティティを定義できます。[システム(System)] > [位置情報の設定(Geo Location Configuration)] メニュー オプションを使用して設定する位置情報では、論理パーティションなどの機能用に Cisco Unified Communications Manager デバイスを関連付けるための地理上の位置を指定できます。
図 8-1 集中システムでのロケーションを使用したコール アドミッション制御
集中型コール処理システムでは、図 8-1 に示すように、メイン ロケーションに Cisco Unified Communications Manager クラスタが配置されていて、電話機やゲートウェイなどのデバイスも同様にメイン ロケーションに配置されています。営業所などのリモート ロケーションでは電話機などのデバイスも配備されていますが、コール処理機能をまったく備えていません。各リモート ロケーションは、IP WAN リンクを使用してメイン ロケーションに接続し、バックアップとして、PSTN や ISDN のリンクが使用される場合があります。また、相互間の接続にも、メイン ロケーション(中央キャンパス)を経由します。
同じロケーション内でのデバイス間のコールでは、コール アドミッション制御は必要ありません。LAN 上に存在するデバイス間では、使用する帯域幅に制限がないためです。ただし、異なるロケーションにまたがるデバイス間のコールでは、使用する帯域幅に制限のある IP WAN リンクを経由する必要があります。
Cisco Unified Communications Manager のロケーション機能を使用して、各ロケーションとのコールに使用できるオーディオ帯域幅(オーディオ コール用)およびビデオ帯域幅(ビデオ コール用)の最大消費量を指定することにより、アクティブにするコール数を制限して、IP WAN リンク上の帯域幅の過剰使用を制限することができます。
(注) 各オーディオ コールには、2 つのストリーム(それぞれの方向に 1 つずつ)があります。ビデオ コールには、4 または 6 ストリーム(上下それぞれに 2 または 3 ストリームずつ)があります。
たとえば、Cisco Unified Communications Manager の管理ページ内で、次のロケーションを設定したとします。
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San Francisco(メイン ロケーション) |
無制限 |
Austin(リモート ロケーション) |
160 |
Dallas(リモート ロケーション) |
200 |
Cisco Unified Communications Manager は、帯域幅に余裕のある限り、新しいコールをリンクに受け入れ続けます。つまり、前述の例では、Austin ロケーションへのリンクに使用可能な帯域幅が 160 kb/s ある場合、そのリンクは各 80 kb/s の G.711 コールを 2 つ、各 24 kb/s の G.723 コールまたは G.729 コールを 6 つ、または各 29 kb/s の GSM コールを 5 つサポートできます。帯域幅の制限を超えるコールが試行された場合、そのコールはシステムに拒否され、発信側はリオーダー音を受信し、電話機にはテキスト メッセージが表示されます。
Cisco Unified Communications Manager の管理ページ内でロケーションを設定する際には、ロケーションに名前と最大オーディオ帯域幅を割り当てます。オーディオ帯域幅またはビデオ帯域幅の値に [無制限(Unlimited)] を設定する場合は、そのロケーションの IP WAN リンクに使用可能な帯域幅が無制限に割り当てられ、無限数のアクティブ コールが許可されます。ロケーションの設定では、ロケーションのビデオ帯域幅も割り当てます。ビデオ帯域幅の設定を [なし(None)] に設定すると、このロケーションとその他のロケーション間でビデオ コールは接続できませんが、このロケーション内では接続することができます。
Cisco Unified Communications Manager の管理ページで電話機またはその他のデバイスを設定する場合、それらをロケーションに割り当てることができます。ロケーションを [Hub_None] に設定した場合は、無制限の帯域幅を使用できる無名のロケーションがそのデバイスに割り当てられ、無限数の発着信アクティブ コールがそのデバイスに対して許可されます。
ロケーション予約は、コールのタイプを反映して移行されます。コールがビデオからオーディオ専用に変化すると、ロケーション予約はビデオ ロケーションからオーディオ ロケーションに移行されます。コールがオーディオ専用からビデオに変化すると、ロケーション予約はオーディオ ロケーションからビデオ ロケーションに移行されます。
ロケーションとリージョン
ロケーションは、リージョンと連動してネットワーク リンクの特性を指定します。リージョンはリンク上で使用される圧縮のタイプ(G.711、G.722、G.723、G.729、GSM、またはワイドバンド)を定義し、ロケーションはリンクに使用できる帯域幅の量を定義します。システム内の各デバイスには、リージョン(デバイス プールを使用して)とロケーションの両方を割り当てます。図 8-2 に示すように、リージョンとロケーションは、オーバーラップしたり交差させたりしてさまざまな方法で指定できます。詳細については、「リージョン」を参照してください。
図 8-2 ロケーションとリージョンの相互作用
帯域幅の計算
コール アドミッション制御に要するロケーションの帯域幅を計算するため、Cisco Unified Communications Manager は各コール ストリームで消費する帯域幅を次のように想定しています。
• G.711 コールは 80 kb/s を使用
• G.722 コールは 80 kb/s を使用
• G.723 コールは 24 kb/s を使用
• G.728 コールは 26.66 kb/s を使用
• G.729 コールは 24 kb/s を使用
• GSM コールは 29 kb/s を使用
• ワイドバンド コールは 272 kb/s を使用
• iLBC コールは 24 kb/s を使用
• AAC コールはビデオ回線で指定された値を使用
(注) 各オーディオ コールには、コール ストリームが 2 本あります。実際に消費される帯域幅は、データ パケット サイズなどの要因により、コールごとに異なります。 Cisco Unified Communications Manager では、これらの固定値をロケーション機能の帯域幅の計算を簡素化する目的に限り使用しています。
各ビデオ コールには、コール ストリームが 4 本または 6 本あります。ビデオ コールの場合、合計帯域幅はコールのオーディオ帯域幅とビデオ帯域幅の合計を表しますが、この合計にコール オーバーヘッドは含まれません。
ロケーションに指定したオーディオ帯域幅の値にオーバーヘッドは含まれますが、ロケーションに指定したビデオ帯域幅の値にオーバーヘッドは含まれません。ロケーションでビデオ コールに使用できる帯域幅は、オーディオ帯域幅とビデオ帯域幅の合計になります。詳細については、 「ビデオ テレフォニーの概要」 の章を参照してください。
Cisco Unified Communications Manager は、帯域幅に余裕がなくなるまで、新規コールがリンク上でのコールを確立することを許可します。帯域幅に余裕がなくなった時点で新たなコールは失敗し、発信側はリオーダー音を受信します。
ロケーションへのリンクがブロックされる場合は、帯域幅の漏れによりロケーションに使用できる帯域幅が減少していることが原因として考えられます。Cisco Unified Communications Manager サーバを再起動せずに、帯域幅の割り当てをロケーションの最大設定値に再同期化することができます。手順については、『 Cisco Unified Communications Manager アドミニストレーション ガイド 』のを参照してください。
(注) コールがリンクを使用しているときにロケーションの帯域幅を再同期化すると、リンクを使用しているコールがすべて切断されるまで、帯域幅が過剰になる場合があります。リンクが過剰になると、音声品質およびビデオ品質が低下します。そのため、ロケーションの帯域幅の再同期化は、リンクのトラフィックが少ない時間帯に行ってください。
Media Termination Point(MTP; メディア ターミネーション ポイント) およびトランスコーダは、これまで説明した帯域幅規則に関する例外です。MTP を経由して行われるコールは、帯域幅の制限を超えている場合でも確立できます。ただし、MTP を経由して行われるコールでビデオを提供することはできません。
注意 米国およびカナダでは、すでに帯域幅に余裕がなくなっているリンクに緊急番号 911 を発信すると、911 コールがブロックされることがあります。ネットワーク上の各ロケーションでは、911 コールは必ずローカル VoIP ゲートウェイ経由でローカル PSTN にルーティングしてください。
最新のリリースについては、『 Cisco Unified Communications Solution Reference Network Design (SRND) 』の「IP Video Telephony」のセクション「Administration Considerations」にある「Regions」という項を参照してください。ここでは、リージョンおよびロケーションにビデオ帯域幅を設定する方法の推奨事項が記載されています。これらの推奨事項に従うことで、ビデオ コールのビデオ部分を成功させ、ビデオコールが拒否されたり、オーディオ専用コールとして設定されたりしないようにできます。
ロケーションに基づく MLPP
Cisco Unified Communications Manager は SCCP および TDM(PRI/CAS)トランクを実行する電話機上で MLPP をサポートします。 Cisco Unified Communications Manager は WAN リンク上でも MLPP をサポートします。ロケーションに基づいたコール アドミッション制御(CAC)では、Cisco Unified Communications Manager の WAN リンク帯域幅が管理されます。拡張されたロケーションではコールの優先順位が考慮され、優先順位の高いコールに対応するため、必要に応じて低い優先順位のコールが割り込みを受けます。
ロケーションの拡張とは、優先度の高いコールが到着し、そのコールを宛先のロケーションに接続する十分な帯域幅がないときに、Cisco Unified Communications Manager が最も優先順位の低いコールを見つけ、そのコールに割り込むことによって、優先度の高いコールで十分な帯域幅を使用できるようにすることです。このような優先処理手順を実行しても必要な帯域幅を確保できない場合、新たに行われたコールは失敗します。
詳細については、『 Cisco Unified Communications Manager 機能およびサービス ガイド 』の 「Multilevel Precedence and Preemption」 の章を参照してください。
クラスタ間トランクでのロケーションに基づくコール アドミッション制御
クラスタ間トランク(ICT)を介して別のクラスタに発信されたコールが同じクラスタの同じロケーションまたはサイトに戻される場合、メディアは同じサイトまたはロケーション内の 2 つのエンドポイントで交換されますが、Cisco Unified Communications Manager ロケーション コール アドミッション制御(CAC)の以前の設計では、発信コールと着信コール用に 2 度ロケーションの帯域幅が差し引かれました。その結果に帯域幅の消費が正しく反映されず、サイトまたはロケーション間での新規コールが拒否される原因となっていました。
帯域幅の計算の問題を解決するために、この機能では、Cisco Unified Communications Manager が、H.323 プロトコルまたは SIP を使用して、ICT を介した発信側と着信側の間でロケーション情報、ロケーション レコードの主キー ID(PKID)およびロケーション名を独自の情報要素(IE)として受け渡せるようにしています。これで、どちらのエンドポイントも、ICT のロケーション情報ではなく、当事者(エンドポイント)の真のロケーション情報を認識します。
Cisco Unified Communications Manager は、以前、Hub_None を、無制限の帯域幅を持つデフォルト ロケーションとして識別し、かつ、ユーザがデバイスを割り当てて、帯域幅を設定できる任意のユーザ作成ロケーションとしても識別しました。
Cisco Unified Communications Manager ロケーションは、このタイプの用途のために ICT 専用に作成されます。Phantom ロケーションとして指定されるこのロケーションも無制限の帯域幅を使用できます。ロケーション サーバは、Phantom ロケーションに割り当てられたデバイスの帯域幅は差し引きません。Phantom ロケーションに割り当てられる ICT などのデバイスは、独自のロケーションまたは接続されたデバイスの真のロケーションを使用できます。同様に、発信 ICT は独自のロケーションまたは着信側のロケーションを使用して、着信 ICT は独自の場所または発信側のロケーションを使用して、帯域幅を差し引いたり調整したりすることができます。
メディアが接続すると、Cisco Unified Communications Manager は、ネゴシエートされたメディア コーデックに従って、割り当てられたロケーション帯域幅を調整します。 Cisco Unified Communications Manager は、発信コールに関して受け取った着信側ロケーション情報に基づくロケーション帯域幅だけを正しく読み取れます。この機能強化は、コール セットアップ時間中に帯域幅を予約した発信コールが、同じサイトまたはロケーションに戻される場合に、帯域幅を 0 に調整するのに便利です。
転送など、一部の補足サービスでも、初期コール セットアップ処理後に同じサイトまたはロケーションにコールを戻すことができます。Notify 信号(H.323)および re-INVITE 信号(SIP)を使用して発信側クラスタに最終宛先のロケーション情報を渡して、帯域幅を正しい値に調整する必要もあるので注意してください。
ロケーション レコードの PKID は、Cisco Unified Communications Manager エンタープライズ環境内で一意に定義されるので、Cisco Unified Communications Manager は、ロケーション レコードの PKID を使用して、ICT を介したコールがロケーションベースの CAC 用に同じクラスタにループバックされたかどうかを識別します。Cisco Voice Proxy(CVP)などの他のアプリケーションが Cisco Unified Communications Manager データベースにアクセスして、文字と数字のストリングで構成されるロケーション レコードの PKID 情報を取得できない場合、これらのアプリケーションは、CAC 用に渡されるロケーション名情報を信頼する必要があります。2 つの異なる Cisco Unified Communications Manager クラスタで、異なるロケーション PKID を持つ2 つのロケーションに同じロケーション名が存在する場合、アプリケーションで混乱が生じる可能性があります。
Cisco Unified Communications Manager の管理設定のヒント
[ロケーションの設定(Location Configuration)] ウィンドウでは、Hub_None ロケーションの他に、Phantom ロケーションも選択可能なロケーションとして指定されています。管理者は、Phantom ロケーションを削除できません。
管理者は、Hub_None ロケーションと同様に、Phantom ロケーションにデフォルト ロケーションを作成できます。Phantom ロケーションには、無制限のオーディオおよびビデオ帯域幅値が含まれ、管理者はこのオーディオおよびビデオ帯域幅値を変更できません。ユーザは、このロケーションと他の既存のロケーション間にロケーション ペア RSVP ポリシーを割り当てることができます。
この機能には、Cisco Unified Communications Manager の管理の追加メニュー オプションやフィールドは含まれません。Phantom 値は、[ロケーション(Location)] ドロップダウン リスト ボックスでロケーションを指定したすべてのエンティティに追加されます。[ロケーション(Location)] フィールドは、[デバイスプール設定(Device Pool Configuration)]、[アナンシエータの設定(Annunciator Configuration)]、[保留音(MOH)サーバの設定(Music On Hold (MOH) Server Configuration)]、[会議ブリッジの設定(Conference Bridge Configuration)]、[ボイスメールポートの設定(Voice Mail Port Configuration)]、[Ciscoボイスメールポートウィザード(Cisco Voice Mail Port Wizard)]、[CTIルートポイントの設定(CTI Route Point Configuration)]、[ゲートウェイの設定(Gateway Configuration)]、[電話の設定(Phone Configuration)]、[トランクの設定(Trunk Configuration)] および [パイロットポイントの設定(Pilot Point Configuration)] ウィンドウにあります。
Cisco Unified Communications Manager では、移行中 Phantom ロケーションの RSVP ポリシーが維持されます。
ヒント クラスタ間トランクまたは H.323 ゲートウェイが Phantom ロケーション以外のロケーションで設定されている場合、この機能は動作しません。また、クラスタ間トランクが、SIP または H.323 信号に含まれるシスコ固有のロケーション情報を認識および受け渡ししないサードパーティ システムに接続する場合も、この機能は動作しません。
ゲートキーパーとトランク
Cisco Multimedia Conference Manager(MCM)はゲートキーパー デバイスの 1 つで、コールを分散処理するシステムにコール アドミッション制御を提供しています。分散システムでは、各サイトに独自のコール処理機能が配置されています。たとえば、図 8-3 に示す 2 つのサイトでは、各サイトに独自の Cisco Unified Communications Manager が配置されていて、サイト間は IP WAN リンクにより接続されています。この例では、ゲートキーパーは IP WAN リンクに対してコール アドミッション制御を行っています。
ゲートキーパーはコール アドミッション制御のほかに、E.164 アドレス解決を実行して各サイト間でコールをルーティングしています。たとえば、図 8-3 では、一方の Cisco Unified Communications Manager の内線範囲は 1XXX で、他方は 2XXX です。両方とも、コール アドミッション制御のためにゲートキーパーに登録されています。各 Cisco Unified Communications Manager は、それぞれのダイヤル プラン ルート パターン設定のエントリにより、他方の Cisco Unified Communications Manager の内線番号範囲をゲートキーパーに指示します。実際には、ユーザ 1001 がユーザ 2002 にダイヤルすると、Cisco Unified Communications Manager 1XXX はアドレス解決のために 2002 をゲートキーパーに送信します。コールがコール アドミッション制御の基準を満たしている場合、ゲートキーパーは Cisco Unified Communications Manager 2XXX の IP アドレスを Cisco Unified Communications Manager 1XXX に返します。その後、Cisco Unified Communications Manager 2XXX の IP アドレスを使用して、Cisco Unified Communications Manager 1XXX は電話番号 2002 へのコールを確立します。
図 8-3 分散システムでのゲートキーパーを使用したコール アドミッション制御
このシナリオで IP WAN が使用できない場合、コールはダイヤル先に到達できません。ダイヤル プランを簡単にし、さらに PSTN へのフォールバックを可能にするには、10 桁のダイヤルを使用(または各国のダイヤル プランに準拠)します。たとえば、North American Numbering Plan(NANP; 北米番号計画)に準拠する場合は、ルート パターン XXXXXXXXXX を使用して、アドレス解決のためにコールをゲートキーパーに送信します。WAN 経由でのコールの発信がゲートキーパーにより許可されない場合、Cisco Unified Communications Manager は電話番号にプレフィックス番号 91 を追加して、PSTN 経由でコールの再ルーティングを行うことができます。
ゲートキーパーの設定、ゲートキーパーを使用する場合のダイヤル プランの考慮事項、およびゲートキーパーと Cisco Unified Communications Manager の相互対話の詳細については、『 Cisco Unified Communications Solution Reference Network Design (SRND) 』を参照してください。
場合によっては、匿名の H.323 デバイス(Cisco Unified Communications Manager にとって未知のデバイス)が Cisco Unified Communications Manager でコールを開始(送信または受信)しようとすることがあります。その匿名デバイスは、Cisco IOS 製品(ゲートウェイなど)やサードパーティの H.323 デバイスである可能性もあります。
H.323 ゲートウェイは、ゲートキーパーによって制御されるように設定することも、ゲートウェイとしてローカルに設定することもできます。ゲートキーパー制御で設定する場合、または匿名 H.323 デバイスを設定する場合は、次の手順を実行します。
1. [デバイス(Device)] > [トランク(Trunk)] を選択します。
2. [トランクタイプ(Trunk Type)] ドロップダウン リスト ボックスで [H.225 Trunk (Gatekeeper Controlled)] を選択します。
3. [トランクの設定(Trunk Configuration)] ウィンドウが表示されたら、該当する各フィールドを設定します。
Cisco Unified Communications Manager がサポートするリモート エンドポイントを設定するには、管理者は次の手順を実行します。
1. [デバイス(Device)] > [トランク(Trunk)] を選択します。
2. [トランクタイプ(Trunk Type)] ドロップダウン リスト ボックスで [Inter-Cluster Trunk (Gatekeeper Controlled)] を選択します。
3. [トランクの設定(Trunk Configuration)] ウィンドウが表示されたら、該当する各フィールドを設定します。
リモート クラスタ内にある 2 つの Cisco Unified Communications Manager を接続するには、次の手順を実行します。
1. [デバイス(Device)] > [トランク(Trunk)] を選択します。
2. [トランクタイプ(Trunk Type)] ドロップダウン リスト ボックスで [Inter-Cluster Trunk (Non-Gatekeeper Controlled)] を選択します。
3. [トランクの設定(Trunk Configuration)] ウィンドウが表示されたら、該当する各フィールドを設定します。
「ルータ上でのゲートキーパーとトランクの設定」を参照してください。リモート WAN リンク上でのクラスタ間コールのルーティング用に、ゲートキーパーによって制御されるクラスタ間トランクを設定する方法については、『 Cisco Unified Communications Manager アドミニストレーション ガイド 』の 「トランクの設定」 の章および『 Cisco Unified Communications Solution Reference Network Design (SRND) 』を参照してください。
ゲートキーパーのコール アドミッション制御のコンポーネント
ゲートキーパーのコール アドミッション制御では、高い柔軟性が提供されます。
• ゲートキーパーを使用すると、IP WAN に接続したリモート Cisco Unified Communications Manager ごとに別々の H.323 デバイスを設定する必要がなくなるので、設定のオーバーヘッドが軽減される。
• ゲートキーパーは登録済みのデバイスの IP アドレスを判別でき、またユーザが IP アドレスを明示的に入力することも可能。
• ゲートキーパーは H.323 プロトコルをサポートし、H.225 プロトコルを使用してコールを発信する。
• ゲートキーパーは、コール アドミッション制御のほかに基本的なコール ルーティングを実行可能。
• 1 つのゲートキーパーに対して、最大 100 の Cisco Unified Communications Manager クラスタを接続可能。
次の項では、ゲートキーパーのコール アドミッション制御のコンポーネントについて説明します。
• 「ルータ上でのゲートキーパーとトランクの設定」
• 「Cisco Unified Communications Manager でのゲートキーパーとトランクの設定」
ルータ上でのゲートキーパーとトランクの設定
ゲートキーパー用に推奨されるプラットフォームは、Cisco IOS リリース 12.1(3)T 以上を搭載した Cisco 2600、3600、3700、7200 ルータなどです。これらのルータ上でゲートキーパー機能を設定する際には、コール アドミッション制御用のゾーンのセットを定義します。各ゾーンの固有の名前には、そのゾーンに登録されている各 Cisco Unified Communications Manager の IP アドレス、ゾーン プレフィックス(電話番号範囲)、およびそのゾーンに割り当てられている帯域幅が指定されています。
Cisco Unified Communications Manager は、IP アドレスを使用してゲートキーパーに登録されます。IP アドレスは次のいずれかの方法で指定できます。
• ゲートキーパー上で gw-type-prefix コマンドを使用して、それぞれの Cisco Unified Communications Manager の IP アドレスを明示的に指定します。
• Cisco Unified Communications Manager の管理ページ内で [デバイス(Device)] > [トランク(Trunk)] を選択して、[テクノロジープレフィックス(Technology Prefix)] フィールドに 1#* と入力し、ゲートキーパー上でコマンド gw-type-prefix 1#* default-technology を入力します。Cisco Unified Communications Manager がゲートキーパーに登録されると、その IP アドレスと指定したテクノロジー プレフィックスがゲートキーパーに送信されます。その後、この Cisco Unified Communications Manager は、ゲートキーパーによって制御される有効な VoIP デバイスとしてゲートキーパーに登録されます。
次の手順を実行し、Cisco Unified Communications Manager の IP アドレスを特定のゾーンに関連付けます。
• ゲートキーパー上で zone local コマンドを使用して、ローカル ゾーンを定義します。[ゾーン(Zone)] フィールドにゾーン名を入力します。
• Cisco Unified Communications Manager の管理ページ内で [デバイス(Device)] > [トランク(Trunk)] を選択し、[ゾーン(Zone)] フィールドにゾーン名を入力します。Cisco Unified Communications Manager がゲートキーパーに登録されると、その IP アドレスと指定したゾーン名がゲートキーパーに送信されます。その後、それぞれの Cisco Unified Communications Manager はゲートキーパーに登録され、適切なゾーンに関連付けられます。
特定の Cisco Unified Communications Manager に対して電話番号範囲を指定するには、 zone prefix コマンドを使用してゲートキーパー上で範囲を設定します。たとえば次のコマンドは、ゾーン LHR の DN 範囲を 3000 ~ 3999 に指定します。
ゾーンごとに許可されるアクティブ コールの最大数は、各コールに使用されるコーデック、およびゾーンに割り当てられている帯域幅によって決まります。Cisco Unified Communications Manager に対し、G.711 コールは 128 kb/s を必要とし、G.723 と G.729 のコールは 20 kb/s を必要とします。Cisco Unified Communications Manager 内でリージョンを使用してコーデック タイプを指定し、ゲートキーパー上で bandwidth total zone コマンドを使用して、使用可能な帯域幅を指定します。たとえば、次のコマンドは LHR ゾーンに 512 kb/s を割り当てます。
bandwidth total zone LHR 512
この例で 512 kb/s を割り当てられた LHR ゾーンは、同時に 4 つまでの G.711 コールをサポートできます。
ゲートキーパーのプログラミングの詳細については、『 Cisco IOS H.323 Configuration Guide 』の「Configuring H.323 Gatekeepers and Proxies」の項を参照してください。
Cisco Unified Communications Manager でのゲートキーパーとトランクの設定
Cisco Unified Communications Manager の管理ページでは、次のどちらかの動作をするようにゲートキーパーおよびトランクを設定します。
ゲートキーパーによって制御されないトランク
このケースでは、IP WAN 経由でローカル Cisco Unified Communications Manager からのコールが可能なそれぞれのリモート デバイス クラスタに対して、別個のクラスタ間トランクを明示的に設定します。また、各種のクラスタ間トランクとの間でコールをルーティングするために必要な、ルート パターンとルート グループを設定します。クラスタ間トランクは、リモート デバイスの IP アドレスを静的に指定します。この方法を選択するには、Cisco Unified Communications Manager の管理ページ内で [デバイス(Device)] > [トランク(Trunk)] を使用して、[Inter-Cluster Trunk (Non-Gatekeeper Controlled)] を選択します。
(注) ゲートキーパーによって制御されないローカルのクラスタ間トランクの場合は、ゲートキーパーによって制御されないリモート クラスタ間トランクのデバイス プールに所属するすべてのリモート Cisco Unified Communications Manager ノードの IP アドレスを指定する必要があります。
ゲートキーパーによって制御されるトランク
このケースでは、1 つのクラスタ間トランクで、すべてのリモート クラスタと通信できます。同様に、ゲートキーパーによって制御される任意の H.323 エンドポイントと通信するには、1 つの H.225 トランクが必要です。ゲートキーパーとの間のコールをルーティングするためのルート パターンまたはルート グループも設定します。この構成では、リモート デバイスに対する各コールの宛先に該当する IP アドレスはゲートキーパーにより動的に判別され、ローカル Cisco Unified Communications Manager はその IP アドレスを使用してコールを確立します。
この構成は、大規模なシステムと同様に小規模なシステムでも有効です。多くのクラスタが存在する大規模なシステムの場合、この構成を使用すると、各クラスタ間に個々のクラスタ間トランクを設定する手間が省けます。この方法を選択するには、Cisco Unified Communications Manager の管理ページ内で [デバイス(Device)] > [トランク(Trunk)] を使用して、[Inter-Cluster Trunk (Gatekeeper Controlled)] を選択します。
ゲートキーパーによって制御されるトランクを設定する場合、Cisco Unified Communications Manager によって自動的に仮想トランク デバイスが作成されます。このデバイスの IP アドレスは、ゲートキーパーにより決定されたリモート デバイスの IP アドレスを反映して動的に変更されます。ゲートキーパーとの間でコールをルーティングするためのルート パターンまたはルート グループを設定する際には、トランクを使用します。