SIP と Cisco Unified Communications Manager
どのプロトコルを使用する場合も、コールを受信および発信するためには、シグナリング インターフェイス(トランク)またはゲートウェイのいずれかを作成する必要があります。SIP に関しては、SIP トランクを設定する必要があります。詳細については、『 Cisco Unified Communications Manager アドミニストレーション ガイド 』の 「トランクの設定」 を参照してください。
SIP トランクは、Cisco Unified Communications Manager ネットワークを SIP プロキシ サーバが提供する SIP ネットワークに接続します(図 40-1 を参照)。他のプロトコルと同様に、SIP コンポーネントは Cisco Unified Communications Manager アーキテクチャのデバイス層に適合します。H.323 プロトコルの場合、複数の論理 SIP トランクを Cisco Unified Communications Manager データベースに設定し、ルート グループ、ルート リスト、およびルート パターンに関連付けることができます。1 つの論理 SIP インターフェイスに障害が発生した場合に冗長性を提供できるように、他の論理 SIP インターフェイスは同一のルート グループ リストにサービスを提供します。複数の Cisco Unified Communications Manager ノードを SIP トランク デバイス プールに割り当てると、冗長性も実現できます。
(注) SIP ICT での外部番号への折返しはサポートされていません。
図 40-1 SIP と Cisco Unified Communications Manager の相互対話
SIP トランクは、複数ポート ベースのルーティングをサポートしています。Cisco Unified Communications Manager の複数の SIP トランクがポート 5060(デフォルト)を使用でき、このデフォルトは、[SIP トランク セキュリティ プロファイルの設定(SIP Trunk Security Profile Configuration)] ウィンドウから設定できます。TCP/UDP では、SIP トランクはリモート ホストおよびローカル リスニング ポートを使用してルーティングを行います(リモート ホストは、IP、FQDN、または SRV で構成できます)。TLS では、SIP トランクは、X.509 の件名を使用してルーティングを行います。
SIP トランクの場合、Cisco Unified Communications Manager は、設定された SIP トランクの宛先アドレスと IP アドレスが一致する SIP デバイスからのコールのみを受け入れます。また、SIP メッセージが着信するポートは、SIP トランク上で設定されたポートと一致している必要があります。コールが受け入れられると、Cisco Unified Communications Manager は SIP プロファイル設定の [着信要求を新規トランクへと再ルーティングする基準(Reroute Incoming Request to new Trunk based on)] の設定値(コールが着信する SIP トランク上に設定されている)を使用して、コールを別の SIP トランクに再ルーティングするかどうかを決定します。この設定値に応じて、Cisco Unified Communications Manager は次のいずれかのタスクを実行します。
• 別の SIP トランクに再ルーティングしない。
• contact ヘッダーにある IP アドレスまたはドメイン名とポート番号を解析し、その情報がいずれかの SIP トランクと一致するかどうかを確認する。SIP トランクが見つかった場合は、コールを再ルーティングします。SIP トランクが見つからない場合は、コールが着信した SIP トランクがコールを処理します。
• Call-Info ヘッダーの IP アドレスまたはドメイン名とポート番号を解析し、パラメータ purpose=x-cisco-origIP を探し、IP アドレスとポートがいずれかの SIP トランクに一致するかどうかを確認する。SIP トランクが見つかった場合は、コールを再ルーティングします。SIP トランクが見つからない場合、またはこのパラメータが Call-Info ヘッダー内に存在しない場合は、コールが着信した SIP トランクがコールを処理します。
メディア ターミネーション ポイント(MTP)デバイス
Cisco Unified Communications Manager SIP デバイス(回線およびトランク)が常に MTP を使用するように設定できます。MTP を使用しないように設定パラメータが設定されている場合(デフォルトの場合)、Cisco Unified Communications Manager は、コールの DTMF 方式に互換性がなければ、動的に MTP を割り当てようとします。たとえば、SCCP を実行する電話機はアウトオブバンドの DTMF だけをサポートし、SIP を使用する Cisco Unified IP Phone(7905、7912、7940、7960)は RFC2833 だけをサポートしています。DTMF 方式が同一でないため、Cisco Unified Communications Manager は MTP を動的に割り当てます。しかし、RFC2833 とアウトオブバンドをサポートし、SCCP を実行する電話機(Cisco Unified IP Phone 7971 など)が SIP を使用する Cisco Unified IP Phone 7940 にコールした場合、Cisco Unified Communications Manager は、両方の電話機が RFC2833 をサポートしているので、MTP を割り当てません。それぞれの電話機で同じタイプの DTMF 方式がサポートされているので、MTP は不要です。
(注) Cisco Unified Communications Manager には SIP IP Phone 用に [メディアターミネーションポイントが必須(Media Termination Point Required)] チェックボックスが用意されていますが、SIP を実行する Cisco Unified IP Phone に対してこのチェックボックスをオンにしないでください (このチェックボックスは、サードパーティの汎用 SIP IP Phone だけに使用してください)。このチェックボックスをオンにすると、シェアドラインなど、Cisco Unified Communications Manager の機能に問題が発生することがあります。このチェックボックスがオフである場合でも、Cisco Unified Communications Manager は必要に応じて動的に MTP を挿入します。したがって、Cisco Unified IP Phone に対して [メディアターミネーションポイントが必須(Media Termination Point Required)] チェックボックスをオンにする利点はほとんどあるいはまったくありません。
メディア ターミネーション ポイントが必須(Media Termination Point Required)オプションが有効である SIP デバイスのリージョン(リージョンの関係)の設定
リージョンの関係を設定する場合は、コールに使用されるすべてのデバイスにとって十分な帯域幅のオーディオ コーデックを選択する必要があります。これには、同じリージョンのデバイスおよび別のリージョンのデバイスに対するコーデックの設定が含まれます。SIP を使用するようにトランクまたはサードパーティの電話機を設定し、[メディアターミネーションポイントが必須(Media Termination Point Required)] が有効である場合、Cisco Unified Communications Manager の管理ページの [MTP優先発信コーデック(MTP Preferred Originating Codec)] フィールドでは G.711 コーデックしか選択できません。[メディアターミネーションポイントが必須(Media Termination Point Required)] オプションが有効な SIP トランクまたは SIP を実行するサードパーティ電話機をそのリージョンのデバイス プールに割り当てる場合は、SIP デバイスと MTP デバイスの間のリージョンの関係が、G.711 と同じまたはより広い帯域幅のコーデック(G.711 コーデックまたはワイドバンド/AAC コーデック)を使用するように設定されていることを確認する必要があります。
SIP サービス パラメータ
SIP タイマーとカウンタは、異なるサーバの機能に応じて個別に設定できます。サービス パラメータの設定方法の詳細については、『 Cisco Unified Communications Manager アドミニストレーション ガイド 』の 「サービス パラメータの設定」 を参照してください。
SIP の相互運用性
SIP Interoperability Enabled サービス パラメータは Cisco CallManager サービスをサポートしますが、このパラメータによって、SIP ステーションおよび SIP トランクの Session Initiation Protocol(SIP; セッション開始プロトコル)を Cisco Unified Communications Manager がサポートするかどうかが決まります。電話機やトランクなど、SIP を実行するデバイスには、このパラメータを [True] に設定する必要があります。このパラメータを [False] に設定すると、Cisco Unified Communications Manager は SIP メッセージを無視し、SIP デバイスは機能しません。つまり、SIP を実行する電話機が Cisco Unified Communications Manager に登録できず、SIP トランクが Cisco Unified Communications Manager とやり取りできません。デフォルト値は [True] です。このパラメータの値を変更した場合は、Cisco CallManager サービスを再起動する必要があります。
SIP タイマーとカウンタ
SIP タイマーとカウンタは、設定可能なサービス パラメータとして機能します。次の表では、各種の SIP タイマーとカウンタについて説明し、それぞれのデフォルト値と範囲値を示します。
表 40-1 Cisco Unified Communications Manager がサポートする SIP タイマー
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Trying |
500 ミリ秒 |
100 ~ 1000 |
Cisco Unified Communications Manager が INVITE を再転送するまで、100 応答を待機する時間。 |
Connect |
500 ミリ秒 |
100 ~ 1000 |
Cisco Unified Communications Manager が 2xx 応答を INVITE に再転送するまで、ACK 応答を待機する時間。 |
Disconnect |
500 ミリ秒 |
100 ~ 1000 |
Cisco Unified Communications Manager が BYE 要求を再転送するまで、2xx 応答を待機する時間。 |
Expires |
180000 ミリ秒 |
60000 ~ 300000 |
INVITE 要求に与えられた有効時間。 |
rel1xx |
500 ミリ秒 |
100 ~ 1000 |
Cisco Unified Communications Manager が reliable1xx 応答を再転送するまで待機する時間。 |
PRACK |
500 ミリ秒 |
100 ~ 1000 |
Cisco Unified Communications Manager が PRACK 要求を再転送するまで待機する時間。 |
PUBLISH |
500 ミリ秒 |
100 ~ 1000 |
このパラメータには、Cisco Unified Communications Manager が PUBLISH 要求を再送信するまでの最長待機時間をミリ秒単位で指定します。応答を受信しないまま、このタイマーで指定した期間が経過した場合、Cisco Unified Communications Manager はこのタイマーが時間切れになった時点で要求を再送信します。 |
(注) SIP デバイスが TCP 転送を使用しているときにタイマーがタイムアウトすると、SIP デバイスは再転送を行いません。デバイスの再試行は、TCP に依存します。
表 40-2 Cisco Unified Communications Manager がサポートする SIP 再試行カウンタ
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INVITE |
6 |
1 ~ 10 |
INVITE の再試行回数。 |
Response |
6 |
1 ~ 10 |
RESPONSE の再試行回数。 |
BYE |
10 |
1 ~ 10 |
BYE の再試行回数。 |
Cancel |
10 |
1 ~ 10 |
Cancel の再試行回数。 |
PRACK |
6 |
1 ~ 10 |
PRACK の再試行回数。 |
Rel1xx |
10 |
1 ~ 10 |
Reliable 1xx 応答の再試行回数。 |
PUBLISH |
6 |
1 ~ 10 |
このパラメータには、Cisco Unified Communications Manager が PUBLISH メッセージを再送信する回数を指定します。 |
サポートされるオーディオ メディア タイプ
次の表は、サポートされている各種オーディオ メディア タイプの説明です。
表 40-3 サポートされるオーディオ メディア タイプ
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G.711 u-law |
PCMU |
0 |
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GSM Full-rate |
GSM |
3 |
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G.723.1 |
G723 |
4 |
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G.711 A-law |
PCMA |
8 |
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G.722 |
G722 |
9 |
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G.728 |
G728 |
15 |
|
G.729 |
G729 |
18 |
annex A と B のすべての組み合せをサポート |
RFC2833 DTMF |
テレフォニー イベント |
動的に割り当て |
利用可能な範囲は 96 ~ 127 |
AAC |
mpeg4-generic |
動的に割り当て |
利用可能な範囲は 96 ~ 127 |
ILBC |
iLBC |
動的に割り当て |
利用可能な範囲は 96 ~ 127 |
サポートされるビデオ メディア タイプ
次の表は、サポートされている各種ビデオ メディア タイプの説明です。
表 40-4 サポートされるビデオ メディア タイプ
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H.261 |
H261 |
31 |
H.263 |
H263 |
34 |
H.263+ |
H263-1998 |
利用可能な範囲は 96 ~ 127 |
H.263++ |
H263-2000 |
利用可能な範囲は 96 ~ 127 |
H.264 |
H264 |
利用可能な範囲は 96 ~ 127 |
サポートされるアプリケーション メディア タイプ
次の表は、サポートされているアプリケーション メディア タイプの説明です。
表 40-5 サポートされるアプリケーション メディア タイプ
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H.224 FECC |
H224 |
利用可能な範囲は 96 ~ 127 |
サポートされる T38fax ペイロード タイプ
次の表は、サポートされているペイロード タイプの説明です。
表 40-6 サポートされる T38fax ペイロード タイプ
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T38fax |
該当なし |
適用外 |
トランクの SIP プロファイル
SIP トランクと SIP エンドポイントは、SIP プロファイルを使用します。SIP トランクは、SIP プロファイルを使用して [デフォルトMTPテレフォニーイベントペイロードタイプ(Default MTP Telephony Event Payload Type)]、[180で早期メディアを無効化(Disable Early Media on 180)]、および [着信要求を新規トランクへと再ルーティングする基準(Reroute Incoming Request to new Trunk based on)] 設定値を定義します。SIP プロファイルの詳細については、「エンドポイントの SIP プロファイル」および『 Cisco Unified Communications Manager アドミニストレーション ガイド 』の 「SIP プロファイルの設定」 を参照してください。
SIP トランク セキュリティ プロファイル
Cisco Unified Communications Manager の管理ページでは、SIP トランクのセキュリティ関連設定をグループ化し、単一のセキュリティ プロファイルとして複数の SIP トランクに割り当てることができます。セキュリティに関連する設定には、デバイス セキュリティ モード、ダイジェスト認証、および着信/発信転送タイプの設定があります。設定した値を SIP トランクに適用するには、[トランクの設定(Trunk Configuration)] ウィンドウでセキュリティ プロファイルを選択します。詳細については、『 Cisco Unified Communications Manager セキュリティ ガイド 』を参照してください。
SIP UDP ポート スロットリング
SIP UDP Port Throttle Threshold を使用すると、SIP トランクおよび SIP ステーションからの DoS(サービス拒絶)攻撃を防止するのに役立ちます。SIP ステーションや SIP トランクの UDP ポートの着信パケット レートが、設定されたしきい値を超えると、しきい値を超えたパケットが Cisco Unified Communications Manager でスロットリング(破棄)されます。これらのスロットルのしきい値は、SIP UDP ポートのみに適用され、SIP TCP ポートや TLS ポートには影響しません。
ヒント これらのパラメータ値を有効にするには、エンタープライズ パラメータ Denial-of-Service Protection Flag を [True] に設定する必要があります。
表 40-7 に、このしきい値に設定可能な値を示します。
表 40-7 SIP UDP ポート スロットリングのしきい値
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SIP Station UDP Port Throttle Threshold |
50 |
10 ~ 500 |
SIP Station UDP Port Throttle Threshold パラメータは、SIP ステーションの UDP ポート宛ての 1 つ(一意)の IP アドレスから Cisco Unified Communications Manager が 1 秒間に受信可能な最大着信パケット数を定義します。 しきい値を超えると、Cisco Unified Communications Manager はしきい値を超えたパケットをスロットリング(破棄)します。 |
SIP Trunk UDP Port Throttle Threshold |
200 |
10 ~ 500 |
SIP Trunk UDP Port Throttle Threshold は、SIP トランクの UDP ポート宛ての 1 つ(一意)の IP アドレスから SIP トランクが 1 秒間に受信できる最大着信パケット数を定義します。 しきい値を超えると、Cisco Unified Communications Manager はしきい値を超えたパケットをスロットリング(破棄)します。 |
ヒント 通常のトラフィック時に、SIP トランクの UDP ポートで 1 つの IP アドレスから着信したパケットのレートが SIP Trunk UDP Port Throttle Threshold の設定値を超えた場合は、しきい値を設定し直します。SIP トランクと SIP ステーションが同じ着信 UDP ポートを共有している場合、2 つのサービス パラメータ値の大きいほうの値に基づいて Cisco Unified Communications Manager はパケットのスロットリングを行います。これらのパラメータの変更を適用するには、Cisco CallManager サービスを再起動する必要があります。
Cisco Unified CallManager と Cisco Unified Communications Manager の各リリース間の SIP トランク
Cisco Unified Communications Manager リリース 6.0 以降および Cisco Unified CallManager リリース 4.0 以降(5.x を含む)は、SIP トランクで使用される場合、転送タイプとして TCP および UDP をサポートしています。ただし、リリース 4.x は SIP コールごとに TCP 接続を 1 つ使用します。リリース 5.x および 6.x 以降では、複数の SIP コールに同一の TCP 接続で対応できます(これは TCP 接続の再利用と呼ばれます)。
次のシスコ製品は TCP をサポートしていますが、すべてが TCP の再利用をサポートしているわけではありません(詳細については、 表 40-8 を参照してください)。
• Cisco Unified CallManager リリース 4.1:TCP 接続の再利用は不可
• Cisco Unified CallManager リリース 4.2:TCP 接続の再利用は不可
• Cisco Unified CallManager リリース 5.0(2):TCP 接続の再利用が可能
• Cisco Unified CallManager リリース 5.1(x):TCP 接続の再利用が可能
• Cisco Unified Communications Manager リリース 6.0(x) 以降:TCP 接続の再利用が可能
• Cisco IOS 12.3(8)T 以降:TCP の再利用が可能
• Cisco IOS 12.3(8)T より前:TCP の再利用は不可
表 40-8 に、Cisco Unified Communications Manager の各リリースおよび IOS ゲートウェイでサポートされる SIP トランク接続を示します。
表 40-8 SIP トランクの互換性マトリックス
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Cisco Unified CallManager リリース 4.x
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Cisco Unified CallManager 5.x および Cisco Unified Communications Manager 6.x
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Cisco Unified CallManager リリース 4.x |
UDP/TCP |
UDP のみ |
UDP のみ |
UDP/TCP |
Cisco Unified CallManager 5.x および Cisco Unified Communications Manager 6.x 以降 |
UDP のみ |
UDP/TCP |
UDP/TCP |
UDP のみ |
IOS 12.3(8)T |
UDP のみ |
UDP/TCP |
UDP/TCP |
UDP のみ |
|
UDP/TCP |
UDP のみ |
UDP のみ |
UDP/TCP |
リリース 6.x 以降のシステムが複数のコールを TCP ベースの SIP トランク経由で 4.x システムに発信した場合、4.x システムはコールを 1 つだけ接続します。残りのコールは接続されません。4.x システムと 6.x 以降のシステムの間で SIP トランクを使用する場合は、[発信トランスポートタイプ(Outgoing Transport Type)] として UDP を使用するように両方のシステムを設定して、リリース 4.x システムと 6.x 以降のシステムとの間のコールが適切に接続されるようにする必要があります ( 表 40-8 を参照してください)。
UDP を設定するには、Cisco Unified Communications Manager の管理ページを使用して次の作業を行います。
• Cisco Unified Communications Manager リリース 4.x システムに接続するリリース 6.0 以降のシステムでは、[SIPトランクセキュリティプロファイルの設定(SIP Trunk Security Profile Configuration)] ウィンドウで、[発信トランスポートタイプ(Outgoing Transport Type)] として UDP を選択します。
• リリース 6.x 以降のシステムに接続する Cisco Unified CallManager リリース 4.0 以降のシステムでは、[トランクの設定(Trunk Configuration)] ウィンドウで、[発信トランスポートタイプ(Outgoing Transport Type)] として UDP を選択します。
SIP トランクと転送タイプの詳細については、『 Cisco Unified Communications Manager セキュリティ ガイド 』および『 Cisco Unified Communications Manager アドミニストレーション ガイド 』を参照してください。
SIP トランクでの SIP フォーク
SIP トランク上で Cisco Unified Communications Manager によって送信されるコール設定(INVITE)要求は、SIP プロキシで複製し、複数の宛先に転送することができます(この処理はフォークと呼ばれます)。 Cisco Unified Communications Manager はフォークをサポートしていますが、次の制限事項があります。
• Cisco Unified CallManager リリース 4.x は、6 つ以上の宛先からの暫定応答(180 Ringing など)を受け付けません。応答のあった最初の 5 つ以外の宛先から、成功応答(200 Ok)が返されても受け付けません。
• Cisco Unified CallManager リリース 5.x および Cisco Unified Communications Manager リリース 6.x は、21 以上の宛先からの暫定応答(180 Ringing など)を受け付けません。応答のあった最初の 20 個以外の宛先から、成功応答(200 Ok)が返されても受け付けません。
• セッション(メディア)記述を含む暫定応答(183 Session Progress)を受け付けた Cisco Unified CallManager リリース 4.x、Cisco Unified CallManager リリース 5.x、および Cisco Unified Communications Manager リリース 6.x は、同じ宛先からの成功(200 Ok)応答のみ受け付けます。セッション記述が暫定応答から成功応答に変更されても受け付けません。
• Cisco Unified CallManager リリース 4.x、Cisco Unified CallManager リリース 5.x、および Cisco Unified Communications Manager リリース 6.x が暫定応答に対して(SIP の PRACK メソッドを使用して)受信応答するように設定されている場合、Cisco Unified Communications Manager は最初に応答のあった宛先以外からの暫定応答および成功応答を受け付けません。
他の設定オプションは、Cisco Unified Communications Manager でのダウンストリーム SIP フォークのサポートには影響しません。
Cisco Unified Communications Manager がサポートする SIP 機能
Cisco Unified Communications Manager は、SIP コールに関して次の機能をサポートします。
• 「SIP エンドポイントと Cisco Unified Communications Manager 間の基本コール」
• 「SIP エンドポイントと Cisco Unified Communications Manager 間の DTMF リレー コール」
• 「MTP が割り当てられた場合に開始される補助サービス」
• 「ブラインド転送時の呼び出し音」
• 「SIP エンドポイントが開始する補助サービス」
• 「拡張されたコール識別サービス」
• 「RDNIS」
• 「リダイレクション」
• 「SIP トランクでの G.Clear コーデックのサポート」
• 「SIP トランクでの Multilevel Precedence and Preemption のサポート」
• 「SIP トランクでのセキュア V.150.1 Modem over IP のサポート」
• 「SIP トランクでの G.729a コーデックと G.729b コーデックのサポート」
• 「Microsoft Exchange を使用する場合の SIP T.38 相互運用のサポート」
SIP エンドポイントと Cisco Unified Communications Manager 間の基本コール
この項では、3 つの基本コールのシナリオについて説明します。2 つのシナリオでは着信および発信コールについて説明し、もう 1 つのシナリオでは初期メディアの使用(コールの接続または応答の前のメディア接続)について説明します。この項では、次のコールのシナリオについて説明します。
• 「基本の発信コール」
• 「基本の着信コール」
• 「初期メディアの使用」
基本の発信コール
任意の Cisco Unified Communications Manager デバイスから SIP デバイスに発信コールを開始できます。Cisco Unified Communications Manager デバイスには、Foreign Exchange Station(FXS)ゲートウェイに接続された SCCP または SIP IP Phone またはファックス デバイスが含まれます。たとえば、SCCP IP Phone は、SIP エンドポイントにコールできます。コールに応答する SIP デバイスが、メディアの確立に対するトリガーとなります。
基本の着信コール
FXS ゲートウェイに接続された SIP IP Phone またはファックス デバイスを含む SIP ネットワーク上の任意のデバイスが、着信コールを開始できます。たとえば、SIP エンドポイントは、SCCP IP Phone へのコールを開始できます。コールに応答する SCCP IP Phone が、メディアの確立に対するトリガーとなります。
初期メディアの使用
PSTN は、初期メディアにインバンドの進行情報(呼び出しトーンまたはビジー シグナルなど)のシグナリングを提供しますが、これは SIP では行われません。発信側は、コーデック使用状況、IP アドレス、ポート番号などの Session Description Protocol(SDP; セッション記述プロトコル)情報を、発信 INVITE メッセージに含めます。この応答として、終端側は自身のコーデック、IP アドレスおよびポート番号を 183 Session Progress メッセージで送信し、初期メディアの候補であることを示します。
183 Session Progress 応答は、メッセージ本体にメディア セッションに関する情報が含まれることを示します。180 Alerting および 183 Session Progress メッセージの両方に、コールへの応答が行われる前に初期メディア セッションの確立を許可する SDP を含めることができます。
初期メディアが、接続の前に SIP エンドポイントに配信される必要がある場合、Cisco Unified Communications Manager は常に SDP を含む 183 Session Progress メッセージを送信します。Cisco Unified Communications Manager は SDP を含む 180 Alerting メッセージを生成しませんが、SDP を含む 180 Alerting メッセージの受信はサポートしています。
[SIP プロファイルの設定(SIP Profile Configuration)] ウィンドウには、[180 で早期メディアを無効化(Disable Early Media on 180)] チェックボックスがあります。ローカル呼び出し音を着信側電話機で再生し、200OK 応答の受信と同時にメディアを接続するには、このチェックボックスをオンにします。『 Cisco Unified Communications Manager アドミニストレーション ガイド 』のを参照してください。
SIP エンドポイントと Cisco Unified Communications Manager 間の DTMF リレー コール
各エンドポイントで使用されている DTMF 方式に基づいて、MTP が必要に応じて動的に割り当てられるようになりました。
Dissimilar DTMF 方式の、SIP デバイスからゲートウェイまたは IVR システムへの DTMF ディジットの転送
次の例(図 40-2)は、Primary Rate Interface(PRI; 1 次群速度インターフェイス)ゲートウェイと通信を行うために、MTP ソフトウェア デバイスが SIP を実行している電話機からのインバンド DTMF ディジットを処理する例を示しています。RTP ストリームは、ダイナミック ペイロード タイプが示すように、RFC 2833 DTMF を伝送します。
図 40-2 DTMF ディジットの転送
図 40-2 では、メディア ストリーミングから開始し、MTP デバイスは DTMF がダイナミック ペイロード タイプであることを通知されています。
1. SIP を実行している電話機は、ユーザがキーパッドで番号を入力すると、ペイロード タイプの応答を開始します。SIP を実行している電話機は、DTMF インバンド ディジット(RFC 2833 による)を MTP デバイスに転送します。
2. MTP デバイスは、インバンド DTMF ディジットを抽出し、アウトバンドのディジットを Cisco Unified Communications Manager に渡します。
3. Cisco Unified Communications Manager は、次にアウトバンドの DTMF ディジットをゲートウェイまたは Primary Rate Interface(IVR; 対話型音声応答)システムにリレーします。
Dissimilar DTMF 方式の DTMF ディジットの生成
「SIP エンドポイントと Cisco Unified Communications Manager 間の DTMF リレー コール」の説明のように、SIP は、DTMF インバンド ディジットを送信し、Cisco Unified Communications Manager はアウトバンド ディジットだけをサポートします。ソフトウェア MTP デバイスは、アウトバンドの DTMF トーンを受信し、インバンドの DTMF トーンを SIP クライアントに生成します。
図 40-3 DTMF ディジットの生成
図 40-3 では、メディア ストリーミングから開始し、MTP デバイスには DTMF ダイナミック ペイロード タイプであることが通知されています。
1. SCCP IP Phone のユーザは、キーパッドでボタンを押します。 Cisco Unified Communications Manager は、SCCP IP Phone からアウトバンド ディジットを収集します。
2. Cisco Unified Communications Manager は、アウトバンド ディジットを MTP デバイスに渡します。
3. MTP デバイスは、ディジットを RFC 2833 RTP 準拠のインバンド ディジットに変換し、それを SIP クライアントに転送します。
MTP が割り当てられた場合に開始される補助サービス
システムは、SCCP エンドポイントが SIP コールで開始するすべての補助サービスをサポートしています。SCCP エンドポイントは、接続された SIP デバイスに影響を与えることなく Cisco Unified Communications Manager 内部で管理されます。当初の接続情報に加えられる変更は、Remote-Party-ID ヘッダーを使用する re-INVITE または UPDATE メッセージで更新されます。Remote-Party-ID ヘッダーの詳細については、『 SIP Extensions for Caller Identity and Privacy 』を参照してください。
「ブラインド転送時の呼び出し音」では、ブラインド転送について説明します。ブラインド転送は、Cisco Unified Communications Manager がメディア アナウンスを提供する必要があるため、補助サービスと同様に固有の動作になります。
ブラインド転送時の呼び出し音
SCCP が開始するブラインド転送では、コールが接続されてから Cisco Unified Communications Manager がトーンまたは呼び出し音を生成する必要があります。つまり、Cisco Unified Communications Manager は、ブラインド転送のメディア アナウンスを提供します。
ブラインド転送は、転送のターゲットがコールに応答する前に、転送側の電話機が発信者を宛先の回線に接続する際に行われます。ブラインド転送は、転送側の 1 つが呼び出し音の鳴っている電話機(呼び出し音が受信されている)に発信者を接続するか、または発信者を第三者に接続する前に第三者と話をする、打診転送(在席転送)とは異なります。
SCCP IP Phone が開始するブラインド転送は、最初に接続された SIP デバイス ユーザへの呼び出し音を許可します。Cisco Unified Communications Manager は、呼び出し音を実行するために、MTP デバイスとともに配置されることがあるアナンシエータ ソフトウェア デバイスを使用します。
アナンシエータを使用すると、Cisco Unified Communications Manager は、SCCP IP Phone、ゲートウェイ、およびその他の IP テレフォニー デバイスに対して事前定義されたトーンおよびアナウンスを再生できます。これらの事前定義されたトーンおよびアナウンスは、ユーザにコール ステータスに関する詳細情報を提供します。
SIP が開始するコール転送
Cisco Unified Communications Manager は、SIP が開始するコール転送をサポートし、REFER 要求または Replaces ヘッダーを含む INVITE メッセージを受信します。
コール保留
Cisco Unified Communications Manager は、SIP デバイスまたは Cisco Unified Communications Manager デバイスが開始するコール保留と取得をサポートします。たとえば、SCCP IP Phone のユーザが別のユーザが保留にしているコールを取得する場合、Cisco Unified Communications Manager は re-INVITE メッセージを SIP プロキシに送信します。re-INVITE メッセージには、現在の接続先を反映させるために、更新された Remote-Party-ID 情報が含まれています。Cisco Unified Communications Manager が最初にコールを開始した場合、Remote-Party-ID ヘッダーの Party フィールドには発信側が設定されます。そうでない場合は着信側が設定されます。Party フィールド パラメータの詳細については、「拡張されたコール識別サービス」を参照してください。
自動転送
Cisco Unified Communications Manager は、SIP デバイスまたは Cisco Unified Communications Manager デバイスが開始する自動転送をサポートします。SIP デバイスが自動転送のリダイレクションを要求すると、Cisco Unified Communications Manager が要求を処理します。Cisco Unified Communications Manager が開始する自動転送には、SIP のリダイレクション メッセージは使用されません。 Cisco Unified Communications Manager は、内部でリダイレクションを処理し、Remote-Party-ID ヘッダーを介して発信側の SIP エンドポイントに接続先の情報を伝送します。
拡張されたコール識別サービス
この項では、Cisco Unified Communications Manager の次の SIP 識別サービスおよび Cisco Unified Communications Manager が SIP にこれらの識別サービスを伝送する方法について説明します。
• 回線識別サービス
– Calling Line Identification Presentation(CLIP)および Calling Line Identification Restriction(CLIR)
– Connected Line Identification Presentation(COLP)および Connected Line Identification Restriction(COLR)
• 名前識別サービス
– Calling Name Identification Presentation(CNIP)および Calling Name Identification Restriction(CNIR)
– Connected Name Identification Presentation(CONP)および Connected Name Identification Restriction(CONR)
Cisco Unified Communications Manager では、これらの識別サービスを提供するための柔軟な設定オプションにより、コールごとの設定や、SIP シグナリング インターフェイスごとの静的な事前設定を行うことができます。
CLIP および CNIP
Cisco Unified Communications Manager は、Cisco Unified Communications Manager からの初期 INVITE メッセージの From ヘッダーおよび Remote-Party-ID ヘッダーに発信側回線(または番号)および発信者名の表示情報を含めます。From ヘッダーのフィールドは、要求の発信側を示します。 Cisco Unified Communications Manager は、18x、200、および re-INVITE メッセージの Remote-Party-ID ヘッダーを使用して、接続先の名前および識別情報を伝送します。Remote-Party-ID ヘッダーには、発信者 ID およびプライバシーの詳細も含まれます。 発信者 ID サービスの場合、 Cisco Unified Communications Manager は、Remote-Party-ID ヘッダーの Party フィールドに発信側を設定します。
(注) Remote-Party-ID ヘッダーの詳細については、『Cisco IOS SIP Configuration Guide』を参照してください。
例:
Bob Jones(外部電話番号=8005550100)が SIP シグナリング インターフェイスにダイヤルアウトします。From ヘッダーおよび Remote-Party-ID ヘッダーには、次の内容が含まれます。
From: “Bob Jones” <sip:8005550100@localhost>
Remote-Party-ID: “Bob Jones”<8005550100@localhost; user=phone>; party=calling;screen=no;privacy=off
CLIR および CNIR
発信側回線(または番号)および発信者名の制限設定は、SIP シグナリング インターフェイス レベルまたはコール単位で行われます。SIP トランク レベルの設定は、コール単位の設定より優先されます。コール単位で設定する方法については、『 Cisco Unified Communications Manager アドミニストレーション ガイド 』の「ルート グループの設定」を参照してください。
また、発信側回線および発信者の制限は、それぞれ個別に設定できます。たとえば、番号だけを制限し、名前の表示を許可するように選択できます。
例 1
発信者名を制限した場合、Cisco Unified Communications Manager は、From ヘッダー内の発信者名を設定可能な文字列に設定します。 Cisco Unified Communications Manager によって、Remote-Party-ID ヘッダーの表示フィールドには実際の名前が含まれるように設定されますが、Privacy フィールドは次のように name に設定されます。
From: “Anonymous” <sip:8005550100@localhost>
Remote-Party-ID: “Bob Jones”<sip:9728135001@localhost; ;user=phone>; party=calling;screen=no;privacy=name
例 2
発信番号を制限した場合、Cisco Unified Communications Manager は、From ヘッダーの発信側回線を省略します。ただし、Cisco Unified Communications Manager は、Remote-Party-ID ヘッダーには発信側回線を含め、Privacy フィールドを privacy=uri に設定します。
From: “Bob Jones” <sip:@localhost>
Remote-Party-ID: “Bob Jones”<sip:8005550100@localhost; ;user=phone>; party=calling;screen=no;privacy=uri
例 3
発信者の名前および番号を制限した場合、Cisco Unified Communications Manager は、Remote-Party-ID ヘッダー の Privacy フィールドを privacy=full に設定します。
From: “Anonymous” <sip:localhost>
Remote-Party-ID: “Bob Jones”<sip:8005550100@localhost;user=phone>; party=calling;screen=no;privacy=full
COLP および CONP
Cisco Unified Communications Manager は、接続先回線および名前の識別を補助サービスとして使用し、発信側に接続先の番号と名前を提供します。From ヘッダーのフィールドは、要求の発信側を示します。 Cisco Unified Communications Manager は、18x、200、および re-INVITE メッセージの Remote-Party-ID ヘッダーを使用して、接続先の情報を伝送します。 Cisco Unified Communications Manager は、Remote-Party-ID ヘッダーの Party フィールドに着信側を設定します。
例 1
Cisco Unified Communications Manager は、宛先アドレスが 800555 の INVITE メッセージを受信します。 Cisco Unified Communications Manager は、次のように接続先の名前を 18x および 200 メッセージに含めます。
Remote-Party-ID: “Bob Jones”<98005550100@localhost; user=phone>; party=called;screen=no;privacy=off
COLR および CONR
SIP トランク レベルまたはコール単位で接続先回線(または番号)および名前の制限を設定できます。SIP トランク レベルの設定は、コール単位の設定より優先されます。コール単位で設定する方法については、『 Cisco Unified Communications Manager アドミニストレーション ガイド 』の「ルート グループの設定」を参照してください。
発信者 ID サービスと同様に、ユーザは接続先の番号と名前をそれぞれ個別に制限できます。
例 1
Cisco Unified Communications Manager は、Remote-Party-ID ヘッダーの表示フィールドには実際の名前が含まれるように設定しますが、Privacy フィールドを privacy=name に設定します。
Remote-Party-ID: “Bob Jones”<8005550100@localhost; user=phone>; party=called;screen=no;privacy=name
例 2
接続先の番号を制限した場合、Cisco Unified Communications Manager は、Remote-Party-ID ヘッダーには接続先の番号を組み込みますが、Privacy フィールドを privacy=uri に設定します。
Remote-Party-ID: “Bob Jones”<8005550100@localhost; user=phone>; party=called;screen=no;privacy=uri
例 3
接続先の名前と番号を制限した場合、Cisco Unified Communications Manager は、Remote-Party-ID ヘッダーの Privacy フィールドを privacy=full に設定します。
Remote-Party-ID: “Bob Jones”<8005550100@localhost; user=phone>; party=called;screen=no;privacy=full
RDNIS
Cisco Unified Communications Manager は、初期 INVITE メッセージの SIP Diversion ヘッダーを使用して、利用可能な RDNIS 情報を伝送します。
(注) コールが DN からボイスメール サーバまたはボイスメール サービスにリダイレクトされる場合、そのサーバまたはサービスが、SIP トランクを使用する Cisco Unified Communications Manager と連動しているときは、電話機のボイスメール プロファイルのボイスメールボックス マスクに基づいて SIP の Diversion ヘッダーの転送番号が変更されます。この処理が実行されるのは、Cisco Unified Communications Manager サーバではメールボックスの選択に Diversion ヘッダーが使用されるためです。
リダイレクション
次のシナリオは、[SIP プロファイルの設定(SIP Profile Configuration)] ウィンドウの [アプリケーションによるリダイレクト(Redirect by Application)] チェックボックスをオフにした場合の動作です。以前は、SIP ネットワークからのリダイレクションは SIP スタック レベルで処理され、システムはリダイレクション応答内の連絡先へのリダイレクション要求をすべて受け取り、リダイレクション応答を受信した同じトランクへ転送していました。コールのリダイレクト方法を処理または制限するための追加ロジックが、参照されたり適用されたりすることはありませんでした。たとえば、発信 INVITE への 3xx 応答内のリダイレクション接続先が Cisco Unified Communications Manager に登録済みの電話機で、スタックがリダイレクションを処理している場合、コールは Cisco Unified Communications Manager 電話機へ直接ルーティングされずに、同じトランクへリダイレクトして戻されていました。制限された電話番号(国際電話番号など)へリダイレクトされると、スタック レベルでのリダイレクション処理により、コールがブロックされずにルーティングされます。
[SIP プロファイルの設定(SIP Profile Configuration)] ウィンドウにある [アプリケーションによるリダイレクト(Redirect by Application)] チェックボックスをオンにし、このオプションを SIP トランクに設定すると、Cisco Unified Communications Manager の管理者は次のことができます。
• 特定のコーリング サーチ スペースを、3xx 応答内で受信したリダイレクト接続先に適用する。
• コールが正しくルーティングされるよう、リダイレクト接続先に番号分析を適用する。
• サービス パラメータで設定できるリダイレクション(再帰リダイレクション)の番号を制限することで、DOS 攻撃を防止する。
• リダイレクションの実行中に、別の機能を起動できるようにする。
詳細については、『 Cisco Unified Communications Manager アドミニストレーション ガイド 』のおよび 「トランクの設定」 を参照してください。
SIP トランクでの G.Clear コーデックのサポート
G.Clear(クリア チャネル)コーデックを使用すると、SIP トランクおよび Cisco Unified Communications Manager を使用する音声ネットワークを通じて、Digital Signal 0(DS-0)データ回線のタンデム スイッチングを実現できます。G.Clear コーデックは、G.711 コーデックとほぼ同等の 64 kb/s の帯域幅(IP パケットのオーバーヘッドは含まず)を使用します。Cisco Unified Communications Manager は、音声コールのコーデックを選択し、メディア テーブルでの G.Clear コーデックの優先順位を G.711 mulaw コールおよび G.711 alaw コーデックよりも高くします。
G.Clear コーデックまたは G.729 コーデックが必要となるのは、リージョンの内部です。リモート リージョンへのコールには、他の低帯域幅コーデックを使用します。G.729 コーデックは音声用に最適化されており、使用帯域幅が G.Clear コーデックよりも大幅に小さくなります。G.Clear コーデックは、低帯域幅のリージョン内で実行することを明示的に許可することのみを目的としたオプションです。
G.Clear コーデックのコールでは、IP パケットのヘッダーに個別の DiffServ コード ポイント(DSCP)値が必要です。これは従来の音声コーデックおよびビデオ コールと異なり、MLPP 優先順位によって一意にタグ付けされる必要があります。これらの機能には、サービス パラメータが適用されます。
G.Clear コーデックのコールは、RTP ダイナミック ペイロード タイプ 125 を使用して、ゲートウェイを通じて一貫性が維持されます。このダイナミック ペイロード タイプは、Cisco Unified Communications Manager を使用して静的に割り当てられます。
G.Clear コーデックの SIP トランク サポートにより、クラスタ間での運用が実現されます。このコーデックは、SIP Session Description Protocol(SDP)メッセージでサポートされるメディア タイプとしてネゴシエートされ、RTP ペイロード タイプ 125 に静的に符号化されます。
(注) G.Clear コーデックは、メディア ターミネーション ポイントではサポートされません。
別の T1 PRI トランク上の VoIP ネットワークから発信される着信 ISDN データ コール(制限デジタル情報および無制限デジタル情報)に対する ISDN ベアラ機能は、サポートされています。
図 40-4 に、G.Clear コーデックを有効にした SIP トランクの一般的な配置を示します。
図 40-4 G.Clear Codec による SIP トランクの配置
SIP トランクで G.Clear コーデックを有効にするには、2 つの SIP サービス パラメータ SIP Route Class Naming Authority および SIP Clear Channel Data Route Class Label を使用します。SIP Route Class Naming Authority パラメータは、SIP シグナリングで使用される、ルート クラスを表すラベルの名前付け機関および名前付けコンテキストを表します。この値には、名前付け機関が所有するドメインの名前を指定します。デフォルトは cisco.com です。
特定のルート クラス値をシグナリングするため、Cisco Unified Communications Manager は、ドメイン名と適切なルート クラス ラベル(SIP Clear Channel Data Route Class Label サービス パラメータで定義されたもの)を SIP シグナリングに組み込みます。
SIP Clear Channel Data Route Class Label は、SIP シグナリングにおけるクリア チャネル データのルート クラスを表します。このパラメータと SIP Route Class Naming Authority パラメータによって、SIP クリア チャネル データのルート クラス値を表す完全なシグナリング構文が作成されます。デフォルトは ccdata です。
ルート クラス シグナリングが有用となるのは、ルート クラスおよびクリア チャネル データ ルート クラスに基づいてルーティング決定を行う TDM ネットワークとインターワーキングする場合です。このパラメータで指定されたデフォルト ドメイン名は、シスコ スイッチ間の相互対話に適用されます。このパラメータは、ベンダー(または配置)固有の要件に応じて変更できます。遠端のスイッチは、このパラメータで設定されたものと同一の値を受信します。
次のエンティティはサポートされていないか、無効になります。
• G.Clear コーデックを使用する H.323 ICT は、サポートされていません。
• G.Clear コーデックを使用する Skinny Client Control Protocol(SCCP)デバイスは、サポートされていません。
• G.Clear コーデックを使用する T1 および E1 CAS は、サポートされていません。
• G.Clear コーデックを使用する RSVP は、サポートされていません。
• E1 トランクでの MLPP はサポートされていません。
• 発信 G.Clear コーデック コールでのエコー キャンセレーションおよびゼロ抑止は無効になります。
• ITU H.244 で定義されている個々の DS-0 回線のボンディングは、端末装置が実行します。このため、VoIP ネットワークを通過し、個々の DS-0 回線を整列するためのフレームはサポートされていません。
• Cisco Unified Communications Manager の FastStart のオプションおよび [メディアターミネーションポイントが必須(Media Termination Point Required)] オプションは、G.Clear が有効になっている場合は適用されません。
G.Clearコールに対する早期オファー
Cisco Unified Communications Manager は、G.Clear データ コール(クリア チャネル)に対する制限付き早期オファーをサポートしています。G.Clear コールに対する早期オファー機能により、メディア ターミネーション ポイントを使用せずにデータ コールをネゴシエートする早期オファーを実行可能なサードパーティの SIP エージェントをサポートできます。MTP は、G.Clear コーデックをサポートしていません。
SIP デバイスに対して、[メディアターミネーションポイントが必須(Media Termination Point Required)] と [G.Clearコールに対する早期オファー(Early Offer for G.Clear Calls)] の両方を有効にすると、G.Clear コーデックがオファー内に存在する場合でも、MTP が割り当てられません。MTP が割り当てられるのは、コールが G.Clear ではなく、MTP が必要な場合だけです。
G.Clear コールに対する早期オファー機能は、標準ベースの G.Clear (CLEARMODE) と、CCD、G.nX64、X-CCD などの Cisco 独自の Session Description Protocol(SDP; セッション記述プロトコル)の両方をサポートしています。
[G.Clearコールに対する早期オファー(Early Offer for G.Clear Calls)] を有効または無効にするには、 Cisco Unified Communications Manager の管理の [SIPプロファイルの設定(SIP Profile Configuration)] ウィンドウで次のいずれかのオプションを選択します。
• 無効(デフォルト)
• CLEARMODE
• CCD
• G.nX64
• X-CCD
SIP トランクでの Multilevel Precedence and Preemption のサポート
Cisco Unified Communications Manager の管理機能は、SIP トランクで Multilevel Precedence and Preemption(MLPP)を使用する Voice over Secured IP(VoSIP)ネットワークをサポートしています。Resource Priority ヘッダーおよび SIP の Reason ヘッダーがメッセージに追加されます。SIP シグナリングに関係するリソースは、Cisco Unified Communications Manager によって優先順位が設定されます。これは、緊急の場合または輻輳が発生した場合に、これらのリソースを解放してネットワークが機能できるようにするためです。リソース優先名前空間ネットワーク ドメインおよびリソース優先名前空間リストを設定することで、必要に応じて優先順位設定を有効にできます。
リソース優先名前空間ネットワーク ドメイン
SIP シグナリングのリソース優先名前空間ネットワーク ドメインは、レガシー TDM MLPP ネットワークで使用される ISDN プレシデンス Information Element(IE; 情報要素)および ISDN User Part(ISUP; ISDN ユーザ パート)プレシデンス パラメータと似ています。
リソース優先名前空間ネットワーク ドメインは発信コールに含まれており、コールを SIP トランクに転送するためのトランスレーション パターンまたはルート パターンに基づいています。次のメッセージには、設定済みのリソース優先名前空間ネットワーク ドメインが含まれています。
• INVITE
• UPDATE
• REFERrefer
着信コールでは、このネットワーク ドメインが許容ネットワーク ドメインのリストと比較されます。着信コールのネットワーク ドメインが検証されるのは、コールが Cisco Unified Communications Manager エンドポイントで終端する場合のみです。他のコール タイプの場合、このネットワーク ドメインは、いずれもローカル設定と照合して検証されません。許容されるネットワーク ドメインの設定は、SIP プロファイルに追加されている必要があります。
SIP トランクは、更新されたプレシデンス シグナルおよび次の補助サービスに応答できます。
• プレシデンス コール待機
• コール転送
• 自動転送
• 3 方向コール
次のヘッダー、マッピング、およびキューイングはサポートされていません。
• Accept-Resource-Priority ヘッダー
• PRACK および ACK への RP ヘッダーの挿入
• 名前空間の間での優先順位のマッピング
• コール キューイング、およびその他の MLPP 以外のサービス
SIP トランクでのセキュア V.150.1 Modem over IP のサポート
セキュア V.150.1 のサポートは、SIP トランクおよびクラスタ間 SIP トランクを介した IP Secure Terminal Equipment(STE)およびレガシー(BRI またはアナログ)STE 間での Modem over IP(MoIP)通信に基づいていました。SIP トランクは、発信コールの Session Description Protocol(SDP; セッション記述プロトコル)情報を転送し、着信コールの MoIP SDP 情報が受信されたときは Cisco Unified Communications Manager に通知します。デバイスは、SIP を使用して V.150.1 セキュア コールをネゴシエートすることで、クラスタ間でコールを発信できます。
(注) SIP トランクでの MoIP については、設定は不要です。
SIP トランクでの G.729a コーデックと G.729b コーデックのサポート
G.729a および G.729b は、SIP トランクを通じて開始されるコールに使用可能な、低帯域幅のコーデックです。この機能を必要とするのは、遅延メディア コールをサポートせず、G.711 などの高帯域幅コーデックを使用しないエンドポイントであることに注意してください。
早期提供コールの場合は、MTP が事前に割り当てられている必要があるため、この機能を使用するには、外部の MTP デバイスまたはトランスコーダ デバイスを設定する必要があります。ソフトウェア MTP は、SIP トランクでの G.729 をサポートしていません。
この機能は、4 つの G.729 コーデック(G.729、G.729a、G.729b、および G.729ab)をすべてサポートしていますが、システムでは、G.729 と G.729a、および G.729b と G.729ab を区別できません。したがって、これらのコーデックを SIP トランクに対して設定するためのオプションは、Cisco Unified Communications Manager の管理ページでは 2 つのみ提供されます(G729/G729a と G729b/G729ab)。
SIP トランクに G.729 コーデックが適用されるのは発信コールのみで、着信コールには影響しません。コール中に、システムがコーデックを G.729 から他のコーデックに切り替えることはできません。
Microsoft Exchange を使用する場合の SIP T.38 相互運用のサポート
T.38 標準は、IP ネットワークを使用した Group 3 ファクシミリ(ファックス)通信のための ITU-T 勧告に基づいています。Cisco Unified Communications Manager には、Microsoft Exchange との T.38 相互運用が実装されており、コールをオーディオから T.38 ファックスに切り替えることができます。
次に、Microsoft Exchange Server がファックス機へのコールを確立する手順を示します。
a. Exchange サーバが、ファックス機とのオーディオ コールを確立します。
b. ファックス機が、ファックス トーン(CNG)を Exchange サーバに送信します。
c. Exchange サーバがファックス トーンを認識し、コールを T.38 ファックス(または T.38 ファックス リレー)コールとして再ネゴシエートしようとします。
Cisco Unified Communications Manager の管理を使用して、T.38 ファックス通信をサポートする SIP プロファイルを設定できます。このプロファイルは、SIP トランクにのみ適用され、SIP を実行する電話機およびエンドポイントには適用されません。
SIP PUBLISH
SIP PUBLISH は、IP Phone のプレゼンス情報を Cisco Unified Communications Manager リリース 6.0 以降から Cisco Unified Presence リリース 6.0 以降に SIP トランク経由で送信するための最適なメカニズムを提供します。このメカニズムによって、パフォーマンスが向上します。また、サイレントやモビリティなどの回線ごとのプレゼンス情報も提供します。サポートされるのは発信 PUBLISH だけです (Cisco Unified Communications Manager リリース 6.0 以降は、プレゼンスに関して Cisco Unified Presence Release 1.0 と通信するときに SUBSCRIBE/NOTIFY を使用します)。
PUBLISH は、イベント状態を発行するための SIP メソッドです。イベント状態をユーザ エージェントから発行するためのフレームワークは、RFC 3903 で規定されています。発行先となるのは、このイベント状態を集約し、関係するパーティに SIP Events フレームワークを通じて配信するエンティティです。RFC 3903 に記述されているメカニズムを拡張すると、適切なイベント パッケージで処理される任意のイベント状態を発行することができます。
また、RFC 3903 は、プレゼンス ユーザ エージェントによってプレゼンス集約側にプレゼンス状態を発行するための、このフレームワークの厳格な使用方法も定義しています。
SIP トランクは、Cisco Unified Communications Manager に登録されている電話機のプレゼンス情報を Cisco Unified Presence と連携して提供します。リリース 5.0 では、Cisco Unified Presence はプレゼンス情報を Cisco Unified CallManager から SIP 登録メカニズムを通じて取得していました。
Cisco Unified Communications Manager から Cisco Unified Presence への相互対話は、SIP 登録メカニズムが使用されている場合は正常に機能しますが、このメカニズムはパフォーマンスの低下の原因になります。Cisco Unified Communications Manager と Cisco Unified Presence の両方が、監視対象となる電話機ごとに、それぞれ個別の登録ダイアログを維持する必要があります。さらに、1 台の電話機を 2 人のユーザが監視し、各ユーザの監視ルールが異なっている場合、Cisco Unified Presence は同じ番号に関する 2 つの SUBSCRIBE 要求を Cisco Unified Communications Manager SIP トランクに発行します。
Cisco Unified Communications Manager リリース 6.0 以降では、SIP トランクは PUBLISH を Cisco Unified Presence とのプレゼンス相互対話のメカニズムとして使用できます。 Cisco Unified Communications Manager は Event Publication Agent(EPA; イベント発行エージェント)として動作し、管理対象の電話機のプレゼンス情報を発行します。Cisco Unified Presence は Event State Compositor(ESC; イベント状態集約システム)として動作し、発行されたプレゼンス情報を受信および集約して、監視者の電話機の表示を更新します。
Cisco Unified Communications Manager および Cisco Unified Presence の高レベル アーキテクチャの概要
図 40-5 に、Cisco Unified Communications Manager、Cisco Unified Presence、および Cisco Unified IP Phone がどのように連携して動作するかを示します。
• Cisco Unified Communications Manager がすべての IP Phone を管理し、Cisco Unified Communications Manager が SIP または SCCP インターフェイスを使用して電話機を制御します。
• IP Phone と Cisco Unified Presence の間には HTTP インターフェイスも存在します。このインターフェイスは、電話機の画面を更新するために Cisco Unified Presence で使用されます。また、ユーザのログイン/ログアウト アクティビティの検出にも使用されます。
• SIP トランク インターフェイスは、プレゼンス データを Cisco Unified Communications Manager と Cisco Unified Presence の間で交換するために使用されます。
図 40-5 SIP PUBLISH の高レベル アーキテクチャ
Cisco Unified Communications Manager の管理における PUBLISH の設定のヒント
Cisco Unified Communications Manager の管理で SIP トランクを PUBLISH 用に設定するときは、次の設定のヒントを参考にしてください。
• SIP の [トランクの設定(Trunk Configuration)] ウィンドウで、Cisco Unified Presence(宛先アドレス)にアクセスするように SIP トランクを設定します。
ヒント マルチノード クラスタでの分散処理のパフォーマンスを最大限まで高めるには、デフォルトのデバイス プールを使用するように SIP トランクを設定することをお勧めします。
• Cisco CallManager サービスの [サービスパラメータ設定(Service Parameters Configuration)] ウィンドウにある [CUP PUBLISH Trunk] フィールドで、設定済みの SIP トランクを選択します。
• Cisco Unified Presence エンド ユーザを設定し([ユーザ管理(User Management)] > [エンドユーザの設定(End User Configuration)])、ライセンス ユニットをユーザに割り当てます([システム(System)] > [ライセンス(Licensing)] > [機能割り当て(Capabilities Assignment)])。
• エンド ユーザをライン アピアランスに関連付けます([デバイス(Device)] > [電話の設定(Phone Configuration)])。[電話の設定(Phone Configuration)] ウィンドウで、ユーザが Cisco Unified Presence へのアクセスに使用する DN をクリックします。[エンドユーザの関連付け(Associate End Users)] ボタンをクリックします。 [ユーザの検索と一覧表示(Find and List Users)] ウィンドウで、Cisco Unified Presence にアクセスするエンド ユーザを選択します。
(注) 1 つのライン アピアランスを 5 人までのエンド ユーザに関連付けることができます。
• SIP Trunk PUBLISH での DND サポート:DND は、リリース 6.0 以降ではデバイス単位で適用されます。このため、デバイスが DND 状態に移行した場合、このデバイスに関連付けられている Cisco Unified Presence 対応のすべてのライン アピアランスが発行される可能性があります。デバイスが DND 状態に移行した場合は、DND に加えてビジー/アイドル ステータスも一緒に発行されるため、Cisco Unified Presence で柔軟にデータを処理することができます。
• シェアドライン:電話機 A と電話機 B が DN 1000 を共有している場合、ユーザが電話機 A の受話器を取って回線 1000 上でコールを発信すると、Cisco Unified Communications Manager は回線 1000 がビジーであることを Cisco Unified Presence に通知します。この情報によって、監視者は DN 1000 のすべての回線がビジーになっていると誤解します。電話機 B の回線 1000 はアイドルのままであるため、これは正確な情報を表していません。 Cisco Unified Communications Manager は、電話機 A の回線 1000 がビジーであることを Cisco Unified Presence に通知します。リリース 6.0 以降では、Cisco Unified Communications Manager はライン アピアランス別に発行を行います。システムは、ライン アピアランスを(DN とデバイスの)ペアと見なします。
• 複数パーティション:Cisco Unified Communications Manager は DN のプレゼンス ステータスを発行し、DN が関連付けられているパーティションも示します。
• ユーザ名の関連付け:シェアドラインと複数パーティションがサポートされている場合、Cisco Unified Presence は、電話機ごとに 1 つの DN という前提で動作できません。また、Cisco Unified Communications Manager システム全体にわたって 1 つのパーティションという前提で動作することもできません。リリース 6.0 以降では、ライン アピアランスをエンド ユーザに関連付けることができるため、ライン アピアランスに関連付けられているエンド ユーザに代わって SIP トランクがそのライン アピアランスのステータスを発行します。つまり、このステータスを使用して Cisco Unified Presence 対応の回線を識別できます。ライン アピアランスがエンド ユーザに関連付けられている場合、システムは Cisco Unified Presence 対応であると見なされます。したがって、そのライン アピアランスのプレゼンス情報が発行されます。
PUBLISH のサービス パラメータ
PUBLISH の設定には、次の Cisco CallManager サービス パラメータが使用されます。
• CUPS PUBLISH Trunk
• Default PUBLISH Expiration Timer
• Minimum PUBLISH Expiration Timer
• Retry Count for SIP Publish
• SIP Publish Timer
Serviceability のパフォーマンス カウンタ
Cisco Unified サービスアビリティは、PUBLISH に関連する次のパフォーマンス カウンタを収集し、表示します。
• SIP_StatsPublishIns
• SIP_StatsPublishOuts
• SIP_StatsRetryPublishOuts
• SIP_StatsRetryRequestsOut
Cisco Unified CallManager リリース 5.x には次のパフォーマンス カウンタがありますが、これらの値は PUBLISH 機能の影響を受けます。
• SIP_SummTotalOutReq
• SIP_SummTotalInRes
• SIP_StatsRetryRequestsOut
セキュリティ上の推奨事項
RFC 3903 では、アクセス制御、DoS 攻撃(サービス拒絶攻撃)、リプレイ アタック、および中間者攻撃などの問題に対処するため、TLS とダイジェスト認証の使用が推奨されています。Cisco Unified Communications Manager および Cisco Unified Presence は TLS とダイジェスト認証をサポートしているため、リリース 6.0 での変更点はありません。管理者は、Cisco Unified Communications Manager および Cisco Unified Presence で TLS とダイジェスト認証を設定し、有効にすることができます。また、IPSec を TLS の代替手段として使用することもできます。
BAT のサポート
Cisco Unified Presence ユーザを Cisco Unified Communications Manager に移行する場合は、次の BAT ツールが役立ちます。
• BAT では、Cisco Unified Communications Manager を 5.x から 6.0 以降にアップグレードした後に、すべての Cisco Unified Presence ライセンス取得済みユーザ、それらのユーザのプライマリ内線番号、およびそれらのユーザに関連付けられるデバイス ライン アピアランスを検証するためのツールが提供されます。このツールが必要になるのは、(すべてのバックエンド登録が削除され、Cisco Unified Presence ユーザの新しいライン アピアランス ベースのプレゼンスを使用できるようにする必要があるため)Cisco Unified Presence のアップグレードまたは移行中に Cisco Unified Communications Manager に接続するときです。移行を実行するため、BAT はエクスポート機能と更新機能を使用します。エクスポート csv の形式は、User ID、Device、Directory Number、および Partition です。最後の 3 つのカラムがライン アピアランスを形成します。
• エクスポート ウィンドウおよび更新ウィンドウにアクセスするには、[一括管理(Bulk Administration)] > [ユーザ(Users)] > [ラインアピアランス(Line Appearance)] >[ラインアピアランスのエクスポート(Export Line Appearance)] および [一括管理(Bulk Administration)] > [ユーザ(Users)] > [ラインアピアランス(Line Appearance)] > [ラインアピアランスの更新(Update Line Appearance)] を選択します。
• エクスポート ウィンドウおよび更新ウィンドウには、[CUPユーザのラインアピアランスのみエクスポート(Export line appearances for CUP users only)] チェックボックス(および [CUPユーザのラインアピアランスのみ更新(Update line appearance for CUP users only)] チェックボックス)があります。このチェックボックスをオンにすると、Cisco Unified Presence ユーザのエクスポート操作または更新操作が実行されます。Cisco Unified Presence ユーザ以外のユーザは、エクスポートおよび更新されません。
SIP を実行している電話機でサポートされる Cisco Unified Communications Manager の機能
次の Cisco Unified Communications Manager 機能が Cisco Unified IP Phone でサポートされます。
• 「ダイヤル プラン」
• 「サイレント」
• 「PLAR」
• 「ソフトキー処理」
• 「DSCP 設定」
• 「エンドポイントの SIP プロファイル」
• 「Network Time Protocol(NTP)」
• 「CTI サポート」
• 「ワンボタン割り込み/C 割り込み」
• 「参加および回線をまたいで参加」
• 「プログラム可能な回線キー」
• 「迷惑呼 ID(MCID)」
• 「単一コール UI」
• 「ダイレクト コール ピックアップ」
• 「Unified Mobile Communications Server(UMCS)との連動」
• 「サイレント(DND)によるコール拒否」
• 「BLF コール ピックアップ」
• 「発信側正規化」
• 「E.164」
ダイヤル プラン
SCCP を実行している電話機とは異なり、SIP を実行している電話機は番号をローカルで収集してから、その番号を Cisco Unified Communications Manager へ送信します。SIP を実行している電話機はローカル ダイヤル プランを使用して、十分な番号がいつ入力されたかを認識し、収集された番号を使用して INVITE をトリガーします。SRST モードで SIP を実行している電話機は、Cisco Unified Communications Manager から受信した設定済みダイヤル プランを使用し続けます。詳細については、「SIP ダイヤル ルール」を参照してください。
サイレント
Cisco Unified Communications Manager は、SIP デバイスまたは Cisco Unified Communications Manager デバイスが開始するサイレント(DND; Do Not Disturb)をサポートします。DND ステータスの変化は、SIP デバイスから、SIP PUBLISH メソッドを使用して Cisco Unified Communications Manager にシグナリングされます。DND ステータスの変化は、Cisco Unified Communications Manager から、dndupdate Remote-cc REFER 要求を使用して SIP デバイスにシグナリングされます。 また、 Cisco Unified Communications Manager はデバイスの DND ステータスとともにデバイスのビジー/アイドル ステータスを発行することもできます。
PLAR
Private Line Automatic Ringdown(PLAR)とは、従来のテレフォニー システムで使用される用語で、ユーザが電話機をオフフックすると、常に電話機が事前に設定された番号をすぐにダイヤルするような電話機の設定のことです。ユーザは、その電話機(または回線)から別の番号をダイヤルできません。これは、Cisco Unified Communications Manager でパーティション、コーリング サーチ スペース(CSS)、およびトランスレーション パターンを使用して SCCP IP Phone に実装されます。電話機に PLAR がセットアップされていることは、デバイス設定にも回線設定にも表示されません。
管理者は SIP ダイヤル ルールを使用して、SIP を実行する電話機に PLAR を設定します。PLAR に設定された電話機は、適切なターゲット パターンを指定する、1 回線ダイヤル プランが設定されます。ユーザがオフフックすると、電話機は INVITE にターゲット文字列を含めて、すぐに要求を Cisco Unified Communications Manager へ送信します。ユーザは、番号を入力しません。詳細については、『 Cisco Unified Communications Manager アドミニストレーション ガイド 』のを参照してください。
ソフトキー処理
管理者は、Cisco Unified Communications Manager の管理を使用すると、電話機に表示されるソフトキー セットを変更できます。キーの追加と削除、およびキー位置の変更ができます。このデータはデータベースに書き込まれ、電話機の登録/初期化プロセスの一部として、Station メッセージで SCCP を実行する電話機へ送信されます。しかし、SIP をサポートする Cisco Unified IP Phone では Station メッセージでキーが送信されず、Cisco Unified Communications Manager TFTP サーバがソフトキー セットの含まれたファイルを作成します。SIP を実行する電話機はそのファイルを TFTP サーバから取得し、電話機に内蔵されたソフトキー セットが、新しいソフトキー セットで上書きされます。このようにして、Cisco Unified Communications Manager はデフォルトのソフトキーを変更できます。また、Cisco Unified Communications Manager はソフトキー イベントを操作することで、一部の電話機レベルの機能を直接制御できます。
[ソフトキーテンプレートの設定(Softkey Template Configuration)] ウィンドウを使用して設定した機能が SIP を実行する電話機でサポートされていない場合、そのソフトキーは表示されますが、そのキーが有効でないというメッセージが電話機に表示されます。この動作は、SCCP を実行する電話機の動作と一貫性があります。
[ダイヤル] ソフトキーは、SIP を実行している電話機が SRST モードで動作しているときに、デフォルトのソフトキー セットの一部として表示されます。
(注) SIP を実行している Cisco Unified IP Phone 7905、7912、7940、および 7960 は、ソフトキーをダウンロードしません。これらの電話機では、ソフトキーが電話機のファームウェアに内蔵されています。
DSCP 設定
SIP を実行している Cisco Unified IP Phone は、デバイスにダウンロードされたコンフィギュレーション ファイルから DSCP 情報を取得します。DSCP 設定はデバイスに適用されますが、SCCP を実行している電話機はコール用に DSCP 設定を取得できます。DSCP 値は、[エンタープライズ パラメータ設定(Enterprise Parameters Configuration)] ウィンドウと Cisco Unified Communications Manager の [サービス パラメータ設定(Service Parameter Configuration)] ウィンドウで設定されます。
エンドポイントの SIP プロファイル
SIP 属性はほとんど変更されないため、Cisco Unified Communications Manager は SIP プロファイルを使用して、SIP トランクおよび Cisco Unified IP Phone に関連した SIP 属性を定義します。これらの属性を、すべての SIP トランクと SIP を実行する電話機に個別に追加することなく、プロファイルの中に入れておくと、管理者は SIP デバイスの設定に費やす時間を減らすことができ、デバイス グループの値を変更できるようになります。SIP プロファイルは、SIP のトランクと電話機を設定するときの必須フィールドなので、Cisco Unified Communications Manager にはデフォルトの SIP プロファイルが用意されていますが、管理者はカスタマイズした SIP プロファイルを作成できます。SIP プロファイルを SIP デバイスに割り当てるには、Cisco Unified Communications Manager の管理を使用します。
SIP を実行している電話機のソフトウェアは、各電話機へ TFTP で送信された SIP 値の大部分を使用します。
SIP プロファイルの設定方法については、『 Cisco Unified Communications Manager アドミニストレーション ガイド 』のを参照してください。
Network Time Protocol(NTP)
Cisco Unified Communications Manager の管理ページで電話用 Network Time Protocol(NTP)参照先を設定し、SIP を実行している Cisco Unified IP Phone が日付と時刻を、必ず NTP サーバから取得するようにできます。すべての NTP サーバから応答がない場合、SIP を実行している電話機は、日付と時刻の REGISTER メッセージに対する 200 OK 応答内の日付ヘッダーを使用します。
電話用 NTP を Cisco Unified Communications Manager の管理ページに追加した後、それを日時グループに追加する必要があります。日時グループ内では、電話機が連絡する最初のサーバから順に、電話用 NTP に優先順位を付けます。
日時グループの設定はデバイス プール内で指定され、デバイス プールは電話機ウィンドウで指定されます。
NTP 参照先の設定方法については、『 Cisco Unified Communications Manager アドミニストレーション ガイド 』の 「電話用 NTP リファレンスの設定」 の章を参照してください。
CTI サポート
回線側 SIP には CTI 機能が含まれます。この機能を使用すると、Cisco Unified Communications Manager Assistant などの CTI アプリケーションで、SIP を実行している Cisco Unified IP Phone(Cisco Unified IP Phone 7961 など)をサポートできます。SIP を実行している電話機の CTI 機能は、SCCP を実行している電話機のものと同等ですが、いくつかの例外があります。 SIP を実行している電話機でサポートされる CTI 機能には、テキストの表示、ランプの設定、トーンの再生、コール パーク、およびプライバシーのサポートが含まれます。CTI および Cisco Unified Communications Manager の詳細については、 「コンピュータ テレフォニー統合」 を参照してください。
ワンボタン割り込み/C 割り込み
Cisco Unified Communications Manager は、SIP デバイスから開始されるワンボタン割り込みと C 割り込みをサポートしています。SIP を実行している電話機のワンボタン割り込み/C 割り込み機能は、SCCP を実行している電話機のものと同等です。ワンボタン割り込み/C 割り込み機能を使用すると、ユーザは進行中のコールのシェアドライン ボタンを押すだけで、自分自身をそのコールに自動的に追加できます。
参加および回線をまたいで参加
参加機能の動作は、SIP を実行している電話機で、アドホック会議機能のインスタンスが 1 つ以上存在している場合と同様です。ただし、打診コールが開始されることはありません。回線をまたいで参加の機能を使用すると、複数の電話回線(電話番号が異なる回線または電話番号が同じでパーティションが異なる回線)上のコールを参加させ、会議を作成できます。
参加機能、または回線をまたいで参加機能をユーザが実行した場合、SIP を実行している電話機は、既存のソフトキーが SIP を実行している電話機から Cisco Unified Communications Manager に送信されるときと同じ方法で [参加] ソフトキー メッセージを使用し、選択されている回線で参加機能を実行します。
プログラム可能な回線キー
Cisco Unified IP Phone は、回線ボタン(ディスプレイの右側にあるボタン)をサポートしています。このボタンを使用すると、特定の回線上でコールを開始、応答、または切り替えることができます。短縮ダイヤル、エクステンション モビリティ、プライバシー、BLF 短縮ダイヤル、DND、サービス URL など、限られた数の機能をこれらのボタンに割り当てることができます。これらの各機能は、SIP を実行している電話機でサポートされており、Cisco Unified Communications Manager で設定できます。
PLK 機能については、「プログラム可能な回線キー」を参照してください。
迷惑呼 ID(MCID)
Cisco Unified Communications Manager は、SIP を実行している電話機上で MCID 機能をサポートしています。SIP を実行している電話機の MCID 機能は、SCCP を実行している電話機のものと同等です。 MCID 機能は、迷惑電話または脅迫電話をトラッキングする有効な方法を提供します。この類のコールを受信したユーザが [迷惑呼] ソフトキーを押すと、新しい Remote-cc REFER softkeyevent 要求が Cisco Unified Communications Manager に送信されます。この結果、Cisco Unified Communications Manager でコールが記録されます。ユーザには確認音が再生され、MCID 通知が受信されたことを示すテキスト メッセージが送信されます。この確認音は、電話機への Remote-cc playtonereq によって生成されます。テキスト メッセージは、「迷惑呼IDの処理完了」という内容の Remote-cc statuslineupdate です。
単一コール UI
Cisco Unified Communications Manager は、SIP を実行している電話機上で、回線ロールオーバーによる単一コール UI をサポートしています。回線ロールオーバーが発生するのは、max-calls-per-line および busy-trigger の値が 1/1 に設定されている場合です。転送機能および会議機能では、プライマリ コールで max-calls-per-line の値に達した場合、電話機は、コールが発生していない直近の回線ボタンまたは別パーティションの同一 DN に対して打診コールをロールオーバーすることができます。max-calls-per-line および busy-trigger の値が 2/1 に設定されている場合、発信の打診コールは同じボタンに転送されます。
ダイレクト コール ピックアップ
Cisco Unified Communications Manager は、SIP を実行している電話機上でダイレクト コール ピックアップ機能をサポートしています。SIP を実行している電話機のダイレクト コール ピックアップ機能は、SCCP を実行している電話機のものと同等です。ダイレクト コール ピックアップでは、[Gピック] ソフトキーを押して電話番号を入力することで、その DN のアラート中のコールを直接ピックアップできます。SIP を実行している電話機は、Cisco Unified Communications Manager に対して、ピックアップ対象となる電話機の DN が含まれた INVITE を送信します。
Unified Mobile Communications Server(UMCS)との連動
Cisco Unified Communications Manager は、UMCS と連動することで、Cisco Unified Communications Manager の機能を Cisco Unified Mobile Communicator デバイスまで拡張できます。UMCS は、1 つ以上の TCP 接続上で SIP を使用して、Cisco Unified Communications Manager と通信します。各 TCP 接続は、複数のユーザで共有できます。
サイレント(DND)によるコール拒否
DND 機能については、Cisco Unified CM のユーザ オプションで 2 つのオプションのいずれか 1 つに設定できます。設定できるのは、[呼出音オフ(Ringer Off)] または [コール拒否(Call Reject)] です。[コール拒否(Call Reject)] は、SCCP を実行している電話機と SIP を実行している電話機の両方でサポートされます。DND がアクティブで [コール拒否(Call Reject)] が選択されている場合、着信コール、オーディオ通知、およびビジュアル通知が電話機に表示されません。
BLF コール ピックアップ
Cisco Unified Communications Manager では、回線キーを BLF コール ピックアップ キーとして割り当てることができます。BLF コール ピックアップ キーの動作は、SIP を実行している電話機の BLF 短縮ダイヤル キーと同等です。回線キーには、設定されている DN の BLF ステータスが表示されます。この回線キーを押すと、設定されている DN への短縮ダイヤルが実行されます。BLF コール ピックアップでは、BLF コール ピックアップ DN として設定されている DN でコールのアラートが発生すると、アラート通知が追加されます。アラート中のコールに応答するには、コールがアラート状態となっている間に、BLF コール ピックアップ DN を押します。
BLF コール ピックアップ機能で監視されている DN については、サブスクリプション タイプ PRESENCE+ALTERTING を使用して、SIP デバイス レイヤがコールのプレゼンス ステータスとアラート ステータスをサブスクライブします。PRESENCE+ALTERTING のサブスクリプションは、監視されている DN 回線の回線制御によって処理されます。サブスクライブされている DN でコールが受信されると、回線制御によって Subscription Manager に通知されます。
発信側正規化
Cisco Unified Communications Manager では、ゲートウェイを介して受信したコールの発信側番号をグローバル化できます。発信側番号を電話機に表示する前に変換して、E.164 形式にすることができます。電話機には、このグローバル化された番号が提供されます。ユーザは、番号編集の機能を使用しなくても、受信した番号に折り返しのコールを発信できます。
グローバル化された番号のオプションの URI パラメータ(x-cisco-callback-number)が RPID ヘッダーに追加されます。ローカライズされた番号は、SIP URI のユーザ部分として指定されます。Cisco Unified Communications Manager によって電話機に送信される From ヘッダーでも、同じ SIP URI が指定されます。折り返しダイヤル機能を起動すると、電話機は同じ SIP URI を要求 URI としてCisco Unified Communications Manager に INVITE でエコー バックします。Cisco Unified Communications Manager の SIP デバイス レイヤは、グローバル化された番号が含まれている URI パラメータの要求 URI を解析し、ルーティングに使用します。この URI が見つからない場合、SIP デバイス レイヤは、SIP URI のユーザ部分にある番号のローカライズ形式を使用します。
x-cisco-callback-number パラメータはオプションであり、会議コールの RPID ヘッダーには含まれず、コールが非通知としてマーキングされている場合には含まれていないことに注意してください。
E.164
Cisco Unified Communications Manager では、ゲートウェイを介して受信したコールの発信側番号をグローバル化できます。この処理には、E.164 形式の番号(+14085551234 など)にある「+」記号の追加を含みます。SIP を実行している電話機が、通話履歴ログにある番号への折り返しダイヤル機能を起動した場合、Cisco Unified Communications Manager にはグローバル化された番号がルーティング用として返されます。E.164 のサポートによって、SIP デバイス レイヤは、グローバル化された番号文字列全体(+ を含む)を DA に渡すことができます。