MLPP の概要
Multilevel Precedence and Preemption(MLPP)サービスを使用すると、優先コールをかけることができます。適切に検証されたユーザは、優先順位の低いコールよりも優先順位の高いコールを優先させることができます。認証されたユーザは、宛先ステーションへ、または完全にサブスクライブされた TDM トランクを介して、コールをプリエンプション処理することができます。この機能により、国家の非常事態やネットワークの機能低下など、ネットワークに負荷がかかっている場合に、優先順位の高いユーザが重要な組織や担当者への通信を確実に行うことができます。
次のトピックで、MLPP サービスについて説明します。
• 「MLPP の用語」
• 「優先順位」
• 「エクゼクティブ オーバーライド優先レベル」
• 「プリエンプション」
• 「ドメイン」
• 「リソース プライオリティ ネームスペース ネットワーク ドメイン」
• 「リソース プライオリティ ネームスペース ネットワーク ドメイン リスト」
• 「ロケーション ベースの MLPP」
• 「クラスタ間トランク経由の MLPP」
• 「MLPP 優先パターン」
• 「MLPP 表示対応」
• 「優先コールの設定」
• 「Alternate Party Diversion」
• 「MLPP プリエンプション対応」
• 「プリエンプションの詳細」
• 「MLPP アナウンス」
• 「優先順位パターン用の MLPP 番号計画アクセス制御」
• 「MLPP トランク選択」
• 「MLPP 階層設定」
• 「サービス パラメータの特別なトレース設定」
• 「優先コール用の CDR の録音」
• 「回線機能のインタラクション」
• 「コール保存」
• 「自動代替ルーティング」
• 「MGCP と PRI プロトコル」
• 「セキュアなエンドポイントとセキュアな通信」
• 「MLPP 優先順位と DSCP 値のマッピング」
MLPP の用語
MLPP サービスでは次の用語を使用します。
• コール:2 人以上のユーザ間または 2 つ以上のネットワーク エンティティ間の音声、ビデオ、またはデータの接続。これは、番号をダイヤルするか、または定義済みのダイヤル プランに従って宛先にルーティングすることで実現されます。
• 優先順位:コールに関連付けられた優先レベル。
• プリエンプション:優先順位の低い既存のコールを終了させ、優先順位の高いコールにターゲット デバイスを使用させるプロセス。
• 優先コール:最も低い優先レベルよりも高い優先レベルを持つコール。
• MLPP コール:優先レベルが確立された、設定中(つまり、アラート前)のコールまたは設定済みのコール。
• アクティブなコール:接続が確立され、発信側と着信側がアクティブになったコール。
• MLPP ドメイン ID:MLPP 加入者に関連付けられたデバイスとリソースの集合を指定します。特定のドメインに属す MLPP 加入者が、同じドメインに属す別の MLPP 加入者に優先コールをかけると、MLPP サービスは、着信側の MLPP 加入者の既存のコールを優先順位の高いコールに差し替えます。MLPP サービスは、異なるドメイン間では使用できません。
• リソース プライオリティ ネームスペース ネットワーク ドメイン:優先コールの際の SIP トランクの動作を指定するもので、既存コールを差し替えることができます。SIP シグナリングにおけるリソース プライオリティ ネームスペース ネットワーク ドメインは、レガシー TDM MLPP ネットワークで使用されている ISDN 優先の Information Element(IE; 情報要素)、および ISDN User Part(ISUP; ISDN ユーザ部)の優先パラメータに似ています。リソース プライオリティ ネームスペース ネットワーク ドメインは、発信コールに含まれており、コールを SIP トランクに転送するトランスレーション パターンまたはルート パターンに基づいています。着信コールに関しては、ネットワーク ドメインがリソース プライオリティ ネームスペース ネットワーク ドメイン リストに対して検証されます。このリストにネットワーク ドメインが存在しない場合、コールは拒否され、417 メッセージ(認識不能)が返されます。
• リソース プライオリティ ネームスペース ネットワーク ドメイン リスト:設定済みのリソース プライオリティ ネームスペース ネットワーク ドメインのリストで、着信コールの検証に使用します。
• MLPP 表示対応のデバイス:Cisco Unified Communications Manager で、デバイスと Cisco Unified Communications Manager によってデバイス制御プロトコルで優先順位とプリエンプションのシグナリング手順がサポートされ、Cisco Unified Communications Manager システムでそのように設定されているデバイス。
• MLPP プリエンプション対応のデバイス:Cisco Unified Communications Manager で、デバイスと Cisco Unified Communications Manager によってデバイス制御プロトコルでプリエンプションのシグナリング手順がサポートされ、Cisco Unified Communications Manager システムでそのように設定されているデバイス。Cisco Unified Communications Manager は、このインターフェイスでプリエンプションを開始できます。
優先順位
優先順位は、コールに関連付けられた優先レベルを示します。優先順位の割り当てはその場限りのものであり、ユーザは自分がかけようとしているコールに優先レベルを適用するかしないかを選択します。MLPP の優先順位は、コール アドミッション制御または拡張型緊急通報システム(E911)とは関係していません。ユーザは Cisco Unified Communications Manager の管理ページの専用ダイヤル パターンによって MLPP 要求を開始できます。発信側(デバイスや回線など)に関連付けられたコーリング サーチ スペース(CSS)の設定によって、発信側が優先パターンをダイヤルして優先コールを発信できるかどうかが制御されます。
Defense Switched Network(DSN)および Defense Red Switched Network(DRSN)は、初期 MLPP 配置用のターゲット システムを示します。通常は、優先レベルをコールに割り当てるメカニズムを適用しますが、Cisco Unified Communications Manager の管理ページでは、優先ダイヤル パターンやそのパターンへのアクセスを許可または制限するコーリング サーチ スペースを定義することによって、任意のダイヤル プランに優先レベルを割り当てることができます。DSN では、ストリング プレフィックス NP を使用して優先コールを要求できるようにダイヤル プランが定義されます。NP の P は優先レベルの要求を示し、N は事前設定された MLPP へのアクセス番号を示します。優先順位は次のとおりです。
• エクゼクティブ オーバーライド
• フラッシュ オーバーライド
• フラッシュ
• 即時
• 優先順位
• ルーチン
優先順位を呼び出さなければ、システムは通常のコール処理と自動転送を使用してコールを処理します。
デフォルトの割り当てまたはエクステンション モビリティでユーザ プロファイルが電話機に割り当てられている場合、電話機は、ユーザに関連付けられた CSS を含め、割り当てられたユーザの設定を継承します。ただし、電話機の CSS はユーザ プロファイルを上書きできます。Cisco Unified Communications Manager は、パターンが一致した場合に、ダイヤルされたパターンに関連する優先レベルをコールに割り当てます。システムは、割り当てられた優先レベルで、コール要求を優先コールとして設定します。
ある宛先に対して優先コールが発信されると、Cisco Unified Communications Manager は、優先コールの発信元または宛先のいずれかが MLPP 表示対応である場合に、発信元と宛先の両方に優先順位のインジケータを送信します。発信元の場合、このインジケータは、優先順位呼び戻し音と、デバイスで表示がサポートされている場合はコールの優先レベルまたはドメインの表示で示されます。宛先の場合、このインジケータは、優先順位呼び出し音と、デバイスで表示がサポートされている場合はコールの優先レベルまたはドメインの表示で示されます。
エクゼクティブ オーバーライド優先レベル
最高の優先レベルとしてエクゼクティブ オーバーライド優先レベルが指定されています。エクゼクティブ オーバーライド優先レベルが優先順位の低いコールを差し替えるときに、エクゼクティブ オーバーライド コールはその優先レベルをフラッシュ オーバーライド(次に高いレベル)に変更するため、後続のエクゼクティブ オーバーライド コールは最初の優先コールを差し替えることができます。
エクゼクティブ オーバーライド優先コールの差し替えには、Executive Override Call Preemptable サービス パラメータを [True] に設定する必要があります。このサービス パラメータを [False] に設定すると、エクゼクティブ オーバーライド優先コールはその優先レベルを保持するため、差し替えることができません。
図 35-1 に、2 つのエクゼクティブ オーバーライド優先コールの例を示します。一方は差し替えが可能で、もう一方は差し替えができません。
図 35-1 エクゼクティブ オーバーライド優先コールの例
この例では、Cisco Unified Communications Manager インストール 1 の Executive Override Call Preemptable サービス パラメータには [False] が指定されていますが、Cisco Unified Communications Manager インストール 2 では、Executive Override Call Preemptable サービス パラメータに [True] が指定されています。
ONA は T1 PRI 4ESS トランクを通して、インストール 1 からインストール 2 の DNA へのエクゼクティブ オーバーライド優先コールを開始します。DNA が応答し、コールが接続されます。
インストール 1 で、ONB がエクゼクティブ オーバーライド優先コールを使用して ONA にコールしようとすると、インストール 1 ではエクゼクティブ オーバーライド コールを差し替えることができないため、ONB はブロックされた優先権アナウンス(BPA)を受信します。ONB がエクゼクティブ オーバーライド優先コールを使用して DNA にコールしようとすると、インストール 2 ではエクゼクティブ オーバーライド コールを差し替えることができるため、ONA と DNA の間のコールは差し替えられます。同様に、エクゼクティブ オーバーライド優先コールを使用して DNB が DNA をコールすると、後続のエクゼクティブ オーバーライド優先コールは ONA と DNA の間のコールを差し替えます。
エクゼクティブ オーバーライド優先コールの設定
図 35-2 に、エクゼクティブ オーバーライド優先コールが行われた場合のイベントの例を示します。
図 35-2 エクゼクティブ オーバーライド優先コールの設定
この例では、電話機 1000 がオンフックになり、9*1001 をダイヤルします (ルート パターン 9*XXXX 設定にはエクゼクティブ オーバーライドが指定されています)。
発信元では、この優先コールが成功すると、Cisco Unified Communications Manager はユーザへの呼び戻し音を再生する信号を Cisco Unified IP Phone に送ります。Cisco Unified IP Phone 1000 が MLPP 表示対応の場合、優先順位呼び戻し音が再生されます。これ以外の場合は、通常の呼び戻し音が再生されます。
優先コールが接続できない場合、Cisco Unified IP Phone 1000 が MLPP 表示対応であれば、ブロックされた優先権アナウンス(BPA)が再生されます。これ以外の場合は、通常のリオーダー音が再生されます。
宛先では、エクゼクティブ オーバーライド優先コールが Cisco Unified IP Phone 1001 に正しく提供されると、デバイスで可聴呼び出し音を生成する信号が Cisco Unified Communications Manager によって宛先に送信されます。Cisco Unified IP Phone 1001 が MLPP 表示対応の場合、優先順位呼び出しが再生されます。これ以外の場合は、通常の呼び出し音が再生されます。
また、電話機 1001 が MLPP 表示対応である場合は、Cisco Unified IP Phone 1001 に優先情報(フラッシュ オーバーライド優先コール アイコンなど)が表示されます。これ以外の場合は、優先情報は表示されません。
PRI 4ESS インターフェイス間のエクゼクティブ オーバーライド優先コール
図 35-3 に、PRI 4ESS インターフェイス間のエクゼクティブ オーバーライド優先コールの例を示します。
図 35-3 PRI 4ESS インターフェイス間のエクゼクティブ オーバーライド優先コール
Cisco Unified Communications Manager では、PRI 4ESS インターフェイス間のエクゼクティブ オーバーライド優先コールを処理する際、PRI 4ESS UUIE を介した優先レベル以外は、他の優先コールの処理に使用する方法と同じ方法を使用します。
User-to-User を介した優先情報が渡されるのは、[サービスパラメータ設定(Service Parameter Configuration)] ウィンドウ上の [User-to-User IE Status] が [True] になっており、[ゲートウェイの設定(Gateway Configuration)] ウィンドウの [IEを介した優先レベルの通知(Passing Precedence Level Through UUIE)] が選択されている場合に限られます。
DRSN への PRI 4ES UUIE ベースの MLPP インターフェイス
Cisco Unified Communications Manager は、PRI 4ESS UUIE フィールド経由で MLPP 情報を渡すことができるようになりました。以前のリリースの Cisco Unified Communications Manager は、Defense Switched Network(DSN)スイッチに接続するために、ANSI T1.619a 仕様に従って開発された PRI インターフェイス用の MLPP を提供しました。Defense Red Switch Network(DRSN)スイッチは、ANSI T1.619a ベースの MLPP をサポートしていませんが、UUIE を使用することで PRI 4ESS インターフェイス上の MLPP をサポートしています。
プリエンプション
プリエンプション プロセスは、優先順位の高いコールがデバイスを使用できるように、現在ターゲット デバイスを使用している優先順位の低いコールを終了させます。プリエンプションには、プリエンプション処理されるユーザへの通知とそれに対する受信応答、およびプリエンプションの直後とコールの終了前の共有リソースの予約が含まれます。プリエンプションは、どのメソッドが起動するかに応じて、次のいずれかの形式をとります。
• ユーザ アクセス チャネル プリエンプション:このタイプのプリエンプションは、電話機およびその他のエンドユーザ デバイスに適用されます。また、着信側のユーザ アクセス チャネルを差し替える必要がある場合に、着信側と接続先の両方がプリエンプション通知を受信し、既存の MLPP コールがすぐにクリアされます。着信側は、優先順位の高いコールが実行される前に、プリエンプションに受信応答する必要があります。その後、着信側には新規 MLPP コールが提供されます。着信側がプリエンプションに受信応答しない場合、優先順位の高いコールは 30 秒後に実行されます。
• 共通ネットワーク ファシリティ プリエンプション:このタイプのプリエンプションは、トランクに適用されます。このタイプのプリエンプションは、ネットワーク リソースがコールで混雑しており、このうちの一部のコールの優先順位が、発信側が要求しているコールよりも低くなっていることを意味します。1 つまたは複数の優先順位の低いコールが、優先順位の高いコールに差し替えられます。
(注) 既存のコールを差し替えるためにコールが使用するすべてのデバイスでプリエンプションが有効になっていることを確認してください。発信側と着信側のデバイス(電話機)でプリエンプションが有効になっているだけでは不十分なので、コールに使用されるゲートウェイでもプリエンプションが有効になっていることを確認してください。
ドメイン
MLPP ドメインは、MLPP 加入者に関連付けられたデバイスとリソースの集合を指定したものです。特定のドメインに属す MLPP 加入者が、同じドメインに属す別の MLPP 加入者に優先コールをかけると、MLPP サービスは、着信側の MLPP 加入者の既存のコールを優先順位の高いコールに差し替えます。MLPP サービスは、異なるドメイン間では使用できません。
発信ユーザによる MLPP ドメインへの加入によって、コールのドメインとその接続が決まります。あるドメイン内の優先順位の高いコールだけが、同じドメイン内のコールが使用している接続を差し替えることができます。
管理者は、Cisco Unified Communications Manager の管理ページにゼロ以上の 16 進数としてドメインを入力します。
追加情報
「関連項目」を参照してください。
リソース プライオリティ ネームスペース ネットワーク ドメイン
リソース プライオリティ ネームスペース ネットワーク ドメインにより、SIP トランクを使用する Voice over Secured IP(VoSIP)ネットワーク向けのネームスペース ドメインを設定できるようになります。Cisco Unified Communications Manager が SIP シグナル化されたリソースに優先順位を付けることによって、電話回線、IP 帯域幅、およびゲートウェイに緊急事態や輻輳が発生した場合にこれらのリソースが最も効率的に利用されます。エンドポイントは、優先順位やプリエンプションに関する情報を受信します。これは、RFC 4411 および RFC 4412 に基づいて行われます。
SIP シグナリングは、リソース プライオリティ ヘッダーを含みます。リソース プライオリティ ヘッダーは、レガシー TDM MLPP ネットワークで使用されている ISDN 優先の情報要素(IE)、および ISDN ユーザ部(ISUP)の優先パラメータに似ています。リソース プライオリティ ヘッダーは、RFC 3261 (Section 20.26) のプライオリティ ヘッダーと関連していますが、同一ではありません。
RFC 3261 プライオリティ ヘッダーは、エンドポイントに対する SIP 要求の重要度を示します。たとえば、このヘッダーには、モバイル デバイスおよびアシスタントへのコール ルーティング、およびコールの接続先がビジーである場合のコール受理に関する決定事項が表示されます。RFC 3261 プライオリティ ヘッダーは、PSTN ゲートウェイまたはプロキシのリソースの使用には影響を及ぼしません。
RFC 3261 プライオリティ ヘッダーでは任意の値がアサートされますが、ネームスペース ネットワーク ドメインの Resource Priority ヘッダー フィールドは認証の対象になります。Resource Priority ヘッダー フィールドは、IP ルータの転送動作、またはパケット転送プライオリティなどの通信リソースの使用に対して、直接的な影響を与えません。
発信メッセージにおける RFC 4411 および RFC 4412 リソース プライオリティ ヘッダーは、コールを SIP トランクに転送するトランスレーション パターンまたはルート パターンに基づいています。Cisco Unified Communications Manager の管理ページで設定されたエンドポイントでコールが終端している場合は、着信コールがリソース プライオリティ ネームスペース ネットワーク ドメインのリストで検証されます。
次のメッセージには、Resource Priority ヘッダーが含まれています。
• INVITE
• UPDATE
• REFER
以下は、最優先事項(値は 4)を示すリソース プライオリティ ヘッダーを含む INVITE メッセージの例です。
INVITE sip:6000@10.18.154.36:5060 SIP/2.0Via: SIP/2.0/TCP 10.18.154.44;branch=z9hG4bK1636ee4aRemote-Party-ID: "Raleigh - 5001" <sip:5001@10.18.154.44>;party=calling;screen=yes;privacy=offFrom: "Raleigh - 5001" <sip:5001@10.18.154.44>;tag=936ad6ec-4d3c-4a42-a812-99ac56d972e1-14875646To: <sip:6000@10.18.154.36>
Date: Mon, 21 Mar 2005 14:39:21 GMTCall-ID: 1d13800-23e1dc99-4c-2c9a12ac@172.18.154.44Supported: 100rel,timer,replacesRequire: resource-priorityMin-SE: 1800User-Agent: Cisco-CCM5.0Allow: INVITE, OPTIONS, INFO, BYE, CANCEL, ACK, PRACK, UPDATE, REFER, SUBSCRIBE, NOTIFYCSeq: 101 INVITEContact: <sip:5001@10.18.154.44:5060;transport=tcp>Expires: 180Allow-Events: presence, dialog, kpmlCall-Info:<sip:10.18.154.44:5060>;method="NOTIFY;Event=telephone-event;Duration=500"Resource-Priority: namespace.4
Max-Forwards: 70Content-Type: application/sdpContent-Length: 269v=0o=CiscoSystemsCCM-SIP 2000 1 IN IP4 10.18.154.44s=SIP Callc=IN IP4 10.18.154.45t=0 0m=audio 19580 RTP/AVP 0 101a=rtpmap:0 PCMU/8000a=ptime:20a=rtpmap:101 telephone-event/8000a=fmtp:101 0-15
また、デフォルトのリソース プライオリティ ネームスペース ネットワーク ドメインを SIP プロファイルに追加して、誤って設定された着信のネームスペース ネットワーク ドメインを処理する際に使用することもできます。
(注) トランスレーション パターンとルート パターンの番号分析がサポートされています。
次の補足サービスがサポートされています。
• 優先コール待機
• コール転送
• 自動転送
• 三者通話
次のヘッダー、マッピング、およびキューイングはサポートされていません。
• Accept-Resource-Priority ヘッダー
• PRACK および ACK での RP ヘッダーの包含
• 各ネームスペースにおける優先レベルのマッピング
• コール キューイング、およびその他の MLPP 以外のサービス
リソース プライオリティ ネームスペース ネットワーク ドメイン リスト
リソース プライオリティ ネームスペース ネットワーク ドメイン リストは、許容可能なネットワーク ドメインを含んでおり、SIP プロファイルに追加されます。許容可能なネットワーク ドメインがこのリストに含まれている場合、着信コールはこのリストと比較された上で処理されます。着信コールが有効でない場合は、コールは拒否され、417 エラー応答(不明)が発信側に送信されます。
優先順位ベースの MLPP プリエンプション
8.6 よりも前のリリースでは、Cisco Unified Communications Manager は、新しい要求より優先順位が低いレベルのコールをランダムに選択してプリエンプション処理をしていました。優先レベルがルーチンおよびプライオリティの 2 つの既存のコールがあり、このロケーションにフラッシュ コールが着信した場合、Cisco Unified Communications Manager は、ルーチン コールまたはプライオリティ コールをプリエンプション処理する可能性があります。リリース 8.6 以降では、Cisco Unified Communications Manager は、常に、プライオリティ コールよりも前にルーチン コールをプリエンプション処理します。
CAC コール状態ベースの MLPP プリエンプション
同じロケーションに 2 つのコールがあり、優先順位が同じで、使用するメディア タイプ(オーディオまたはビデオ)も同じ場合、Cisco Unified Communications Manager は、すでに完了したコールを選択する前に、設定段階にあるコールをプリエンプション処理します。
ロケーション CAC は帯域幅をカウントするので、メディアが確立されたときに、帯域幅が使用されます。そのため、Cisco Unified Communications Manager は、コール設定が完了したと見なします。
プリエンプション処理するコール数の最小化
優先レベルとコール状態が同じで、使用するメディア タイプ(オーディオまたはビデオ)が同じコールでは、Cisco Unified Communications Manager は、プリエンプション処理するコールの数を最小限に押さえようとします。つまり、Cisco Unified Communications Manager は、少ない帯域幅のコールを複数選択するのではなく、大きい帯域幅のコールを選択します。
(注) 優先レベルの高いコールが選択される場合、Cisco Unified Communications Manager は、常に、低い優先レベルのコールをプリエンプション処理します。このルールは、優先レベルの高いコールが必要な帯域幅を満たす場合でも適用されます。
各コールは、異なるロケーションの 2 つのデバイスに接続するため、各ロケーションで、コールがプリエンプション処理されます。たとえば、あるロケーションで、フラッシュ コールがプリエンプション処理され、他のロケーションでは、プライオリティ コールがプリエンプション処理されない場合もあります。プリエンプション コールの例については、「ロケーションベースのプリエンプション」を参照してください。
帯域幅の割り当てまたは調整時のビデオ コールのプリエンプション処理
Cisco Unified Communications Manager 8.6(1) 以降では、新しい要求に対する帯域幅が十分にないときに、高い優先レベルのコールのビデオ帯域幅を割り当てまたは調整する場合、低い優先レベルのビデオ コールをプリエンプション処理します。ビデオ コールをプリエンプション処理する場合、Cisco Unified Communications Manager は、コールをクリアして、プリエンプション処理されるパーティに対してプリエンプション トーンを再生します。
アナンシエータまたは保留音に割り当てられる帯域幅のプリエンプション処理
Cisco Unified Communications Manager 8.6(1) 以降では、コールのプリエンプション処理を行うときに、アナンシエータまたは Music On Hold(MOH; 保留音)に割り当てられる帯域幅をプリエンプション処理しようとします。メディア リソース帯域幅が優先レベルの高いコールで必要な場合、アナンシエータまたは MOH が削除されるだけでなく、コール全体がクリアされます。アナンシエータまたは MOH がコールに挿入される場合、たとえば、MLPP コールの保留音や呼び出し音を再生する、プリエンプション処理を行う、リオーダー音を再生する場合、メディアがストリーミングされます。そのため、Cisco Unified Communications Manager は、接続されるコールを考慮して、同じ優先レベルのすべての警告コールの後にコールをプリエンプション処理します。ただし、アナンシエータまたは MOH が要求されたが、メディア ユーザ ロケーションまたはメディア リソース ロケーションのいずれでも十分な帯域幅が使用できない場合、アナンシエータまたは MOH の要求は失敗し、Cisco Unified Communications Manager は、アナンシエータまたは MOH の他のコールをプリエンプション処理しません。
プリエンプション処理されるすべてのコールと同様、これらのコールに割り当てられる帯域幅は、すぐに解放され、別のコールに割り当てられます。アナンシエータがプリエンプション トーン、またはコールを切断させる他のトーンで再生される場合、帯域幅がすでに解放されている場合でも、コールはしばらく再生されます。つまり、Cisco Unified Communications Manager が、プリエンプション トーンまたはリオーダー音に使用するアナンシエータを選択する場合、帯域幅は、コールが完全にクリアされる前に、しばらくの間、オーバーサブスクライブ(オーバーバジェット)になる可能性があります。
最大帯域幅の使用
Cisco Unified Communications Manager 8.6(1) 以降では、ロケーションに設定されている最大帯域幅が使用されます。これにより、コールが再開または転送されるときにコールがクリアされる可能性があります。また、新しい帯域幅要求が発生し、帯域幅がオーバーサブスクライブになると、複数のコールがクリアされることもあります。ロケーションの最大帯域幅を使用するには、サービス パラメータ Locations-based Maximum Bandwidth Enforcement Level for MLPP Calls および Locations-based MLPP Enable を [Strict Enforcement] に設定する必要があります。
Locations-based Maximum Bandwidth Enforcement Level for MLPP Calls サービス パラメータの値が [Lenient] から [Strict] に変更されると、コールが、割り当てられる最大帯域幅より多くなることがあります。ただし、Cisco Unified Communications Manager は、割り当て範囲内の帯域幅を使用するためのコールのプリエンプション処理を、すぐには実行せず、同じタイプのオーディオまたはビデオ コールで新しい帯域幅が要求されたときに実行します。プリエンプション処理が発生すると、1 つの可能性として、帯域幅使用率と最大割り当て数に大きな差が生じることがあります。
オーバーサブスクライブ状態でのプリエンプションを処理する場合、Cisco Unified Communications Manager は、最も低い優先レベルのコールから、すべての既存のコールを考慮します。このプリエンプションは帯域幅要求によりトリガーされますが、プリエンプション処理されるコールは、要求側コールより優先レベルが高いことがあります。
サービス パラメータ Locations-based Maximum Bandwidth Enforcement Level for MLPP Calls は、ロケーションの帯域幅使用率を設定された最大数内に制限するかどうかを決定します。
サービス パラメータの詳細については、『 Cisco Unified Communications Manager アドミニストレーション ガイド 』のを参照してください。
帯域幅調整時のオーディオ コールのプリエンプション処理
Cisco Unified Communications Manager は、着信側の対応、共有回線の保留と再開、転送、その他の機能のインタラクションの場合と同様に、コールが着信側に提供された後で帯域幅使用率が変わった場合、オーディオ コールの帯域幅を調整します。Cisco Unified Communications Manager は、他のコールをプリエンプション処理しようとしますが、可能な場合、プリエンプション処理されるコールの帯域幅が十分にない場合でも、新しい帯域幅要求の処理を許可します。
(注) サービス パラメータ Enforce Maximum Bandwidth for MLPP が [True] に設定されている場合、帯域幅要求が失敗し、コールがクリアされます。要求側コールは、原因コードおよびプリエンプション トーンが同じ他のロケーション プリエンプションとしてプリエンプション処理されるかのように、クリアされます。
コール レッグの結合後の帯域幅の更新
Cisco Unified Communications Manager 8.6(1) よりも前のリリースでは、実際の帯域幅使用率は、正確には反映されませんでした。たとえば、ユーザ B がユーザ A およびユーザ C を転送する場合、プライマリ コール(A および B)に予約されている帯域幅は割り当てられますが、セカンダリ コール(B および C)に予約されている帯域幅は解放されていました。
Cisco Unified Communications Manager 8.6(1) 以降では、結合操作後すぐに帯域幅が更新され、コールの正しい帯域幅使用率が反映されます。帯域幅が更新されると、2 つのコール レッグに割り当てられる既存の帯域幅が保持されます。一度メディアが接続されると、Cisco Unified Communications Manager は、正しい帯域幅使用率に合わせて調整します。つまり、帯域幅が結合操作の後に更新されると、コール レッグの一方でビデオの帯域幅が予約され、もう一方でオーディオの帯域幅が予約されることがあります。この場合、帯域予約のタイプが 2 つあるコールが存在することになりますが、メディア接続後、帯域幅は正しい使用率に合わせて調整されます。
(注) 帯域幅の更新では、どちらのロケーションでも追加の帯域幅が必要ないので、Cisco Unified Communications Manager はコールをプリエンプション処理しません。
発信側の新しい宛先へのリダイレクト
Cisco Unified Communications Manager が、発信側を新しい宛先にリダイレクトする場合、IP Phone B に予約されている帯域幅は、Cisco Unified Communications Manager が IP Phone C の帯域幅を予約しようとするときに解放されます。
IP Phone C で予約に失敗した場合、IP Phone B の帯域幅が再び割り当てられます。即転送障害など、A から B へのコールが復元される場合、A から B へのコールの帯域幅が正しく反映されます。
CFNA 障害など、A から B へのコールが復元されない場合、IP Phone B の呼び出し音が停止した場合でも、IP Phone A と IP Phone B の両方の帯域幅は割り当てられたままになります。両方の IP Phone の帯域幅は、IP Phone A がコールを切断すると解放されます。
着信側の新しい宛先へのリダイレクト
着信側をリダイレクトする場合、Cisco Unified Communications Manager は、新しい宛先を呼び出す前に、元の着信側の 2 倍の帯域幅を予約します。2 倍の帯域幅を予約できるだけの帯域幅がない場合、リダイレクト操作は失敗します。Cisco Unified Communications Manager 8.6(1) 以降では、Cisco Unified Communications Manager は、新しい着信側の帯域幅を予約するときに、元の着信側の帯域幅予約(IP Phone B)を再使用します。ただし、リダイレクト アクションが成功し、IP Phone A および IP Phone D が同じロケーションにある場合、Cisco Unified Communications Manager では、両方の IP Phone の帯域幅が必要になります。
Phone D の新しい宛先の予約に失敗した場合、元の着信側に予約されている既存の帯域幅が再び割り当てられます。元の着信側および発信側のコールが復元されると、発信側および元の着信側の帯域幅予約が保持されます。
新しい宛先の予約が失敗し、元の A から B へのコールが復元されない場合、IP Phone A および IP Phone B の両方の帯域幅が解放されます。
クラスタ間トランク経由の MLPP
Cisco Unified Communications Manager は、クラスタ間トランク経由の MLPP 優先順位とプリエンプションをサポートしています。ダイヤルした数値によって優先レベルを通知します。ロケーション コール アドミッション制御メカニズムは、プリエンプションを制御します。アナウンスと MLPP 原因コードも、クラスタ間トランク経由で使用できます。
MLPP 優先パターン
MLPP 優先パターンを設定するには、Cisco Unified Communications Manager の管理ページの [トランスレーションパターンの設定(Translation Pattern Configuration)] ウィンドウにアクセスします。このウィンドウでは、次の MLPP 優先パターンを使用できます。
• エクゼクティブ オーバーライド(最高)
• フラッシュ オーバーライド
• フラッシュ
• 即時
• 優先順位
• 標準(最低)
• デフォルト(優先レベルが変更されないことを意味します)
詳細については、『 Cisco Unified Communications Manager アドミニストレーション ガイド 』の 「トランスレーション パターンの設定」 の項を参照してください。
MLPP 表示対応
MLPP 表示対応のデバイスには次の特徴があります。
• MLPP 表示対応のデバイスは、プリエンプション トーンを再生できます。
• MLPP 表示対応のデバイスは、アナウンス サーバが生成する MLPP プリエンプション アナウンスを受信できます。
• MLPP 表示対応のデバイスは、プリエンプションを受信できます。
デバイスを設定して MLPP 表示を有効にするには、各デバイスの設定ウィンドウを使用します。各デバイスの [MLPP表示(MLPP Indication)] フィールドで、値を [オン(On)] に設定します。
デバイスに対する MLPP 表示の設定の詳細については、次のトピックを参照してください。
• 『 Cisco Unified Communications Manager アドミニストレーション ガイド 』の 「デバイス プールの設定」
• 『 Cisco Unified Communications Manager アドミニストレーション ガイド 』の 「ゲートウェイの設定」
• 『 Cisco Unified Communications Manager アドミニストレーション ガイド 』の 「Cisco Unified IP Phone の設定」
• 『 Cisco Unified Communications Manager アドミニストレーション ガイド 』の 「デバイス プロファイルの設定」
• 『 Cisco Unified Communications Manager アドミニストレーション ガイド 』の 「デフォルト デバイス プロファイルの設定」
優先コールの設定
優先コールの設定では、次の一連のイベントが発生します。
1. ユーザが電話機をオフフックにして優先コールをダイヤルします。コール パターンは NP-XXX を指定しています。ここで、N は優先アクセス番号を示し、P はコールの優先レベルを示します。
2. 発信側は、コールの処理中に特別な優先順位呼び戻し音と優先順位表示を受信します。
3. 着信側は、優先コールを示す特別な優先順位呼び出し音と優先順位表示を受信します。
例
ユーザ 1000 がユーザ 1001 に優先コールをかけます。そのために、ユーザ 1000 は 90-1001 などの優先コール パターンをダイヤルします。
コールが処理されると、発信側の Cisco Unified IP Phone が優先順位呼び戻し音と優先順位表示を受信します。着信側が優先コールに受信応答すると、着信側の Cisco Unified IP Phone は、優先順位呼び出し音(特別な呼び出し音)と優先順位表示を受信します。
クラスタ間トランクの間での優先コールの設定
図 35-4 に、クラスタ間トランクの間での優先コールに使用できる設定例を示します。クラスタ間トランクの間には、優先情報要素のサポートは存在しないため、追加ディジットを転送することで優先情報を送信します。優先情報の送信を実行するには、両方のクラスタ環境でダイヤル プランを適切に設定する必要があります。
図 35-4 クラスタ間トランクの間での優先コールの設定例
この例では、1000 は 92-2000 をダイヤルします。これは両方のクラスタ環境の適切な優先パターンに一致しており、優先コールを設定します。
Alternate Party Diversion
Alternate Party Diversion(APD)は、特別なタイプの自動転送から構成されます。ユーザが APD に設定されている場合は、通話中または応答のない Directory Number(DN; 電話番号)に優先コールがかけられたときに APD が実行されます。
MLPP APD は優先コールだけに適用されます。MLPP APD コールは、優先コールの DN 無応答時転送の設定を無効にします。
通常、優先コールは、Use Standard VM Handling For Precedence Calls エンタープライズ パラメータの値で制御されるので、ボイスメール システムには転送されません。詳細については、「MLPP のエンタープライズ パラメータの設定」を参照してください。
APD を設定するために、管理者は、MLPP 優先コールのターゲットとなる電話番号の [電話番号の設定(Directory Number Configuration)] ウィンドウで [MLPP代替パーティの設定(MLPP Alternate Party Settings)] を設定します。詳細については、『 Cisco Unified Communications Manager アドミニストレーション ガイド 』の 「Cisco Unified IP Phone の設定」 の項を参照してください。
例
図 35-5 に、着信側が優先コールを受信し、Alternate Party Diversion の発信先が設定されている場合の Alternate Party Diversion を示します。
図 35-5 Alternate Party Diversion の例
この例では、発信側がユーザ 1000 に優先コールをかけます。着信側の 1000 には Call Forward Busy(CFB; 話中転送)用に 2000 が設定され、Call Forward Alternate Party(CFAP)用に 1001 が設定されています。この図には、この例の他のすべてのユーザの CFB 設定と CFAP 設定が示されています。
1000 が優先コールを受信したときに通話中である場合、コールはユーザ 2000 に送信されます。ユーザ 2000 も通話中である場合、コールはユーザ 3000 に送信されます。ユーザ 2000 もユーザ 3000 もコールに応答しない場合、コールはユーザ 1001 に送信されます。つまり、コールは、元の着信側に関連する話中転送ユーザに対して指定された代替パーティ ではなく 、元の着信側に対して指定された代替パーティに送信されます。
同様に、ユーザ 1001 が通話中でコールに応答しない場合、コールはユーザ 5000 に転送されます。ユーザ 5000 が通話中である場合、コールはユーザ 6000 に転送されます。ユーザ 5000 もユーザ 6000 もコールに応答しない場合、コールはユーザ 1001 の代替パーティであるユーザ 1002 に転送されます。ユーザ 1002 が通話中で応答しない場合、コールはユーザ 1002 の代替パーティであるユーザ 1003 に転送されます。
MLPP プリエンプション対応
MLPP プリエンプションを有効にするには、プリエンプション機能のあるデバイスでプリエンプションを明示的に設定します。
プリエンプションの受信
プリエンプションが無効になっているデバイス([MLPPプリエンプション(MLPP Preemption)] 値が [無効(Disabled)] に設定されているデバイス)は、MLPP ネットワークで優先コールを受信できますが、そのデバイス自体をプリエンプション処理することはできません。プリエンプションが無効になっているデバイスは(別のデバイスで)、差し替えられたコールに接続できます。この場合、デバイスはプリエンプションを受信します。
プリエンプション対応
デバイスでプリエンプションを有効にするには、デバイスの [MLPPプリエンプション(MLPP Preemption)] 値を [強制(Forceful)] または [デフォルト(Default)] に設定します。デバイスの [MLPPプリエンプション(MLPP Preemption)] 値が [強制(Forceful)] に設定されている場合、システムは、その独自のインターフェイスでデバイスをプリエンプション処理することができます。つまり、デバイスは、優先コールがデバイス リソースについて競合している場合にプリエンプション処理を受けることができます。
デバイスの [MLPPプリエンプション(MLPP Preemption)] 設定が [デフォルト(Default)] である場合、デバイスは共通デバイス設定から [MLPPプリエンプション(MLPP Preemption)] 設定を継承します。デバイスの共通デバイス設定の [MLPPプリエンプション(MLPP Preemption)] 設定が [強制(Forceful)] である場合や、共通デバイス設定の [MLPPプリエンプション(MLPP Preemption)] 設定が [デフォルト(Default)] で MLPP Preemption Setting エンタープライズ パラメータ値が [Forceful Preemption] である場合、デバイスは有効なプリエンプションを継承します。
デバイスを設定して MLPP プリエンプションを有効にするには、各デバイスの設定ウィンドウを使用します。各デバイスの [MLPPプリエンプション(MLPP Preemption)] フィールドで、値を [強制(Forceful)] または [デフォルト(Default)] に設定します。
デバイスに対する MLPP プリエンプションの設定の詳細については、次のトピックを参照してください。
• 『 Cisco Unified Communications Manager アドミニストレーション ガイド 』の 「共通デバイス設定」
• 『 Cisco Unified Communications Manager アドミニストレーション ガイド 』の 「ゲートウェイの設定」
• 『 Cisco Unified Communications Manager アドミニストレーション ガイド 』の 「Cisco Unified IP Phone の設定」
• 『 Cisco Unified Communications Manager アドミニストレーション ガイド 』の 「デバイス プロファイルの設定」
• 『 Cisco Unified Communications Manager アドミニストレーション ガイド 』の 「デフォルト デバイス プロファイルの設定」
プリエンプションの詳細
次の種類のプリエンプションが存在します。
• ユーザ アクセス プリエンプション
• 共通ネットワーク ファシリティ プリエンプション
• ロケーションベースのプリエンプション
ユーザ アクセス プリエンプション
低いレベルの優先コールがすでにアクティブであるユーザに優先コールを行う場合、ユーザアクセス プリエンプションが実行されます。いずれのコールも同じ MLPP ドメインに存在します。このタイプのプリエンプションは、MLPP システムで Cisco Skinny Client Control Protocol が制御する MLPP 表示対応の電話機に対して使用できます。Cisco Unified Communications Managerプリエンプションは、優先コール要求が検証された場合や、要求されたコールの優先順位が宛先の MLPP プリエンプション対応の電話機で接続されている既存のコールの優先順位よりも高い場合に実行されます。コール処理は、プリエンプション トーンを使用して接続先にプリエンプションを通知し、アクティブなコールをリリースします。着信側は電話を切ることによってプリエンプションに応答し、新規 MLPP コールを取得します。
ユーザ アクセス プリエンプションで実行される一連のステップを理解するために、次の例を参照してください。
例
図 35-6 に、ユーザ アクセス プリエンプションの例を示します。
図 35-6 ユーザ アクセス プリエンプションの例
このユーザ アクセス プリエンプションの例では、次の一連のイベントが発生します。
1. ユーザ 1000 がユーザ 1001 に優先レベルがフラッシュ オーバーライドの優先コールをかけ、ユーザ 1001 がそれに応答します。この例では、ユーザ 1000 が優先コールをかけるために 90-1001 をダイヤルします。
2. ユーザ 1002 が 9*-1001 をダイヤルしてユーザ 1001 に優先コールをかけます。このコールの優先レベルはエクゼクティブ オーバーライドであるため、アクティブな優先コールよりも優先順位の高いコールになります。
3. ユーザ 1001 にコールが送信されると、発信側は優先順位表示を受信(つまり、エクゼクティブ オーバーライド表示ではなく、フラッシュ オーバーライド表示)し、既存の優先順位の低いコールのユーザはどちらもプリエンプション トーンを受信します。
4. プリエンプションを実行するために、優先順位の低いコールのユーザ(ユーザ 1000 とユーザ 1001)が電話を切ります。
5. 優先順位の高いコールがユーザ 1001 に送信され、ユーザ 1001 は優先順位呼び出し音を受信します。発信側であるユーザ 1002 は、優先順位呼び戻し音を受信します。
このインスタンスでは別個のプリエンプションが実行されます。優先順位の高いコールの宛先ではないユーザに対しては、再利用以外のプリエンプション処理が実行されます。このインターフェイスではプリエンプションは実行されないので、このデバイスでプリエンプションが有効である必要はありません。優先順位の高いコールの宛先であるユーザに対しては、再利用のプリエンプション処理が実行されます。このインターフェイスではプリエンプションが実行されるので、このデバイスでプリエンプションが有効であることを確認してください。
User Access Channel Nonpreemptable
エンドユーザ デバイスは MLPP 表示対応として設定できますが、MLPP プリエンプション対応としては設定できません。この場合、電話機は(特別なプリエンプション トーンと呼び出し音を使用して)MLPP 表示を生成できますが、Cisco Unified Communications Manager のデバイス制御プロトコルではプリエンプションがサポートされていません。管理者は、Cisco Unified Communications Manager の管理ページが手順をサポートしている場合でも、電話機でプリエンプション手順を無効にできます。
以前から、ユーザ アクセス デバイス(電話機)では、複数の同時コールを処理するメカニズムが制限されているか、まったくありませんでした。コール待機機能でも、多数の電話機および関連するスイッチには、ユーザが同じ回線で複数のコールを同時に管理できるようなメカニズムはありません。
Cisco Unified Communications Manager の管理ページは、コール待機機能を効果的に強化し、Cisco Unified IP Phone 7940、7942、7945、7960、7962、7965、および 7975 のユーザにこの機能を提供しています。これらの Cisco Unified IP Phone には、ユーザが Cisco Unified Communications Manager システムとインターフェイスする際に複数の同時コールを適切に制御するためのユーザ インターフェイスが含まれています。この拡張機能を使用すると、ユーザがすでに他のコールを管理している場合でも、これらのタイプの電話機に送信されたすべての優先コールにコール待機機能を適用できます。ユーザが優先コールを受信すると、宛先の電話機のユーザは、優先順位の低いコールを単にリリースするだけでなく、既存のコールをどう処理するかを決定できます。これらのデバイスのユーザに対して、Cisco Unified Communications Manager 管理者は、Cisco Unified Communications Manager でこの機能を利用するために、デバイスを非 MLPP プリエンプション対応として設定できます。
共通ネットワーク ファシリティ プリエンプション
共通ネットワーク ファシリティ プリエンプションは、MLPP システムでトランクなどのネットワーク リソースに適用されます。共通ネットワーク ファシリティでプリエンプションが行われると、既存のコールのユーザすべてがプリエンプションの通知を受信し、既存の接続がすぐに切断されます。新規コールは、新しい着信側への特別な通知なしで、プリエンプション処理されるファシリティを使用して通常どおり設定されます。ターゲット MGCP ゲートウェイ プラットフォーム上の PRI トランクと T1-CAS トランクは、Cisco Unified Communications Manager でこのタイプのプリエンプションをサポートします。
プリエンプションは、優先コール要求が検証された場合や、要求されたコールの優先順位が宛先の MLPP プリエンプション対応のトランクを介した既存のコールの優先順位よりも高く、トランクが完全に使用中である(つまり、コールをそれ以上処理できない)場合に実行されます。コール処理は、優先順位の低いコールを特定し、接続されたユーザに PRI トランク インターフェイスのプリエンプションを通知し、後続の使用のためにチャネルを予約し、選択された優先順位の低いコールを切断します。システムは予約されたチャネルを使用して、プリエンプションを起動した優先コール用にゲートウェイを介して接続を確立します。
共通ネットワーク ファシリティ プリエンプションで実行される一連のステップについては、次の例を参照してください。
例 1
図 35-7 に、共通ネットワーク ファシリティ プリエンプションの例を示します。
図 35-7 共通ネットワーク ファシリティ プリエンプションの例
この共通ネットワーク ファシリティ プリエンプションの例では、次の一連のイベントが発生します。
1. ユーザ 1000 がユーザ 2000 に優先レベルがフラッシュ オーバーライドの優先コールをかけ、ユーザ 2000 がそれに応答します。この例では、ユーザ 1000 が優先コールをかけるために 90-2000 をダイヤルします。優先レベルがフラッシュ オーバーライドのフラッシュ コールはアクティブを指定します。
コールは、2 つのゲートウェイが完全にサブスクライブされた TDM を定義する共通ネットワーク ファシリティを使用します。
2. ユーザ 1001 は次に、9*-2001 をダイヤルしてユーザ 2001 に優先順位の高い(エクゼクティブ オーバーライド)コールをかけます (フラッシュ コールがゲートウェイ A 上で最も優先順位の低いコールであることと、ユーザ 1000 とユーザ 1001 が同じ MLPP ドメイン内にあることを想定しています)。
ゲートウェイ A でプリエンプションが実行され、ゲートウェイ A が再利用のためプリエンプション処理されます。このインターフェイスではプリエンプションが実行されるので、このデバイスでプリエンプションが有効であることを確認する必要があります。ゲートウェイ B も再利用のためプリエンプション処理されますが、このインターフェイスではプリエンプションは実行されないので、このデバイスでプリエンプションを有効にする必要はありません。
ユーザ 1000 とユーザ 2000 の両方がプリエンプション トーンを受信します。どちらのデバイスも再利用のためのプリエンプション処理はされず、これらのインターフェイスではプリエンプションは実行されないので、これらのデバイスでプリエンプションを有効にする必要はありません。
この例では、ほとんどすべてのイベントが即時に発生します。共通ネットワーク ファシリティ プリエンプションを実行するために、ユーザが電話を切る必要はありません。
例 2
図 35-8 に、リトライ タイマー Trr のある共通ネットワーク ファシリティ プリエンプションの例を示します。リトライ タイマー Trr は、あるチャネルでプリエンプションが成功しなかった場合に別のチャネルでプリエンプションを再試行するメカニズムを提供します。このタイマーは、TDM トランクだけに適用されます。
図 35-8 リトライ タイマー Trr のある共通ネットワーク ファシリティ プリエンプション
このリトライ タイマー Trr のある共通ネットワーク ファシリティ プリエンプションの例では、次の一連のイベントが発生します。
1. 優先順位がフラッシュ オーバーライドの着信コールが PRI トランク デバイスに到着します。
着信コールによってチャネル 3 のプリエンプションが起動しますが、リトライ タイマー Trr で指定された時間内に応答がありません。
2. リトライ タイマー Trr が時間切れになります。
チャネル 3 でプリエンプションが実行されます。
3. このプリエンプションによって応答が行われ、チャネル 1 で優先コールが発信されます。
ロケーションベースのプリエンプション
次の例では、ロケーションベースのプリエンプションについて説明します。
例 1
次の例では、別のデバイスで新しいコールとロケーション優先コールが実行されます。この種類のロケーションベースのプリエンプションの例については、図 35-9 を参照してください。
図 35-9 別のデバイスにおけるロケーションベースのプリエンプション
この例では、ロケーションベースのプリエンプションのシナリオについて説明します。この例には、3 種類のロケーションが存在します。
• リモート ロケーション 0(RL0)には電話機 A があり、160K の帯域幅が使用可能
• リモート ロケーション 1(RL1)には電話機 B と電話機 C があり、80K の帯域幅が使用可能
• リモート ロケーション 2(RL2)には電話機 D があり、240K の帯域幅が使用可能
次の一連のイベントが順に発生します。
1. A はプライオリティ優先レベルで B へのコールを行い、このコールがアクティブになります。使用可能な帯域幅として、RL0 では 80K、RL1 では 0K、RL2 では 240K が指定されています。
2. D は、即時優先レベルで C にコールします。RL1 の帯域幅が足りず、D のコールの優先順位が高いため、D のコールは A と B の間のコールを差し替えます。
3. D と C の間のコールが実行されます。使用可能な帯域幅として、RL0 では 160K、RL1 では 0K、RL2 では 160K が指定されています。
例 2
次の例では、同一のデバイスで新しいコールとロケーション優先コールが実行されます。この種類のロケーションベースのプリエンプションの例については、図 35-10 を参照してください。
図 35-10 同一デバイスでのロケーションベースのプリエンプション
この例では、ロケーションベースのプリエンプションのシナリオについて説明します。この例には、3 種類のロケーションが存在します。
• リモート ロケーション 0(RL0)には電話機 A があり、160K の帯域幅が使用可能
• リモート ロケーション 1(RL1)には電話機 B があり、80K の帯域幅が使用可能
• リモート ロケーション 2(RL2)には電話機 D があり、240K の帯域幅が使用可能
次の一連のイベントが順に発生します。
1. A はプライオリティ優先レベルで B へのコールを行い、このコールがアクティブになります。使用可能な帯域幅として、RL0 では 80K、RL1 では 0K、RL2 では 240K が指定されています。
2. D は、即時優先レベルで B にコールします。RL1 の帯域幅が足りず、D のコールの優先順位が高いため、D のコールは A と B の間のコールを差し替えます。
3. B はまずプリエンプション トーンを受信して、次に [終了] ソフトキーが表示されます。
4. B は、[終了] ソフトキーを押し、電話を切るか、タイムアウトするまで待ちます。D から B へのコールは B に送信されます。D から B へのコールを実行すると、使用可能な帯域幅は、RL0 では 160K、RL1 では 0K、RL2 では 160K です。
例 3
次の例では、優先レベルに基づいた基本的な MLPP プリエンプションについて説明します。
ロケーションに次のコールが存在します。
エクゼクティブ オーバーライド:
• コール 1、80 kbps
• コール 2、8 kbps
フラッシュ オーバーライド:
• コール 3、8 kbps
• コール 4、8 kbps
フラッシュ:
• コール 5、8 kbps
• コール 6、8 kbps
即時:
• コール 7、8 kbps
• コール 8、8 kbps
プライオリティ:
• コール 9、8 kbps
• コール 10、8 kbps
ルーチン:
• コール 11、8 kbps
• コール 12、8 kbps
このロケーションではこれ以上の帯域幅を使用できません。
このロケーションで 80 kbps 帯域幅を必要とする新しいエクゼクティブ オーバーライド コールが試行されます。この場合、コール 3 ~ 12 がプリエンプション処理されます。
例 4
次に、Cisco Unified Communications Manager が複数の下位優先レベルのコールと 1 つの上位優先レベルのコールをプリエンプション処理する例について説明します。
ロケーションに次のコールが存在します。
エクゼクティブ オーバーライド:
• NA
フラッシュ オーバーライド:
• NA
フラッシュ:
• コール 1、80 kbps
• コール 2、8 kbps
即時:
• コール 3、8 kbps
• コール 4、8 kbps
• コール 5、8 kbps
• コール 6、8 kbps
• コール 7、8 kbps
• コール 8、8 kbps
プライオリティ:
• コール 9、8 kbps
• コール 10、8 kbps
ルーチン:
• コール 11、8 kbps
このロケーションではこれ以上の帯域幅を使用できません。
このロケーションで 80 kbps 帯域幅を必要とする新しいエクゼクティブ オーバーライド コールが試行されます。この場合、Cisco Unified Communications Manager は、コール 2 で使用できる帯域幅が十分にあるため、コール 2 ~ 11 をプリエンプション処理します。コール 1 には十分な帯域幅があります。
例 5
次の例に、Cisco Unified Communications Manager がエクゼクティブ オーバーライドまたは下位優先レベルのコールを他のコールの前にプリエンプション処理する方法について説明します。
ロケーションに次のコールが存在します。
エクゼクティブ オーバーライド:
• コール 1、80 kbps
• コール 2、8 kbps
フラッシュ オーバーライド:
• コール 3、80 kbps
• コール 4、8 kbps
フラッシュ:
• コール 5、8 kbps
• コール 6、8 kbps
即時:
• コール 7、8 kbps
• コール 8、8 kbps
プライオリティ:
• コール 9、8 kbps
• コール 10、8 kbps
ルーチン:
• コール 11、8 kbps
このロケーションではこれ以上の帯域幅を使用できません。
このロケーションで 80 kbps 帯域幅を必要とする新しいエクゼクティブ オーバーライド コールが試行されます。この場合、Cisco Unified Communications Manager は、コール 3 およびコール 5 ~ 11 をプリエンプション処理します。
例 6
次に、Cisco Unified Communications Manager が、最小の帯域幅で最大の帯域幅をプリエンプション処理する例について説明します。
ロケーションに次のコールが存在します。
フラッシュ:
• コール 3、80 kbps
• コール 4、8 kbps
• コール 5、8 kbps
• コール 6、8 kbps
このロケーションではこれ以上の帯域幅を使用できません。
このロケーションで 8 kbps 帯域幅を必要とする新しいエクゼクティブ オーバーライド コールが試行されます。この場合、Cisco Unified Communications Manager は、コール 4、5 または 6 のいずれか 1 つのコールをプリエンプション処理します。
例 7
次の例では、優先レベルに基づいたプリエンプションについて説明します。
設定
ロケーション(LOC-BR1)の合計オーディオ帯域幅は 100 kbps です。
地域コーデックは、最大オーディオ ビット レート 64 kbps を指定します。
IP Phone A および IP Phone B は、ロケーション Hub None にあり、IP Phone X および IP Phone Y は、ロケーション LOC-BR1 にあります。
1. IP Phone A(ロケーション Hub None)が、IP Phone X(ロケーション LOC-BR1)をコールします。コールは、ルーチン優先レベルで発信されます。LOC-BR1 では使用できるオーディオ帯域幅が十分にあるので、コールは、IP Phone X の警告を開始し、対応されます。
2. IP Phone B(ロケーション Hub None)が、IP Phone Y(ロケーション LOC-BR1)をコールします。コールは、プライオリティ優先レベルで発信されます。
3. セカンド コールを完了するために使用できる帯域幅は十分になく、セカンド コールが最初のコールより高い優先順位で発信されているので、最初のコールがプリエンプション処理されます。
4. IP Phone B および IP Phone Y 間のコールは完了し、IP Phone A および IP Phone X 間のコールはクリアされます。
例 8
次の例は、プリエンプション処理されないエクゼクティブ オーバーライド コールについて説明します。
設定
ロケーション(LOC-BR1)の合計オーディオ帯域幅は 100 kbps です。
地域コーデックは、最大オーディオ ビット レート 64 kbps を指定します。
サービス パラメータ Executive Override Call Preemptable は [False] に設定されます。
IP Phone A および IP Phone B は、ロケーション Hub None にあり、IP Phone X および IP Phone Y は、ロケーション LOC-BR1 にあります。
1. IP Phone A(ロケーション Hub None)が、IP Phone X(ロケーション LOC-BR1)をコールします。コールは、エクゼクティブ オーバーライド優先レベルで発信されます。LOC-BR1 では使用できるオーディオ帯域幅が十分にあるので、コールは、IP Phone X の警告を開始し、対応されます。
2. IP Phone B(ロケーション Hub None)が、IP Phone Y(ロケーション LOC-BR1)をコールします。コールは、エクゼクティブ オーバーライド優先レベルで発信されます。
3. セカンド コールを完了するために使用できる帯域幅が十分にないので、拒否されます。
4. IP Phone B および IP Phone Y 間のコールは拒否されます。
例 9
次の例は、エクゼクティブ オーバーライド コールのプリエンプション処理について説明します。
設定
ロケーション(LOC-BR1)の合計オーディオ帯域幅は 100 kbps です。
地域コーデックは、最大オーディオ ビット レート 64 kbps を指定します。
サービス パラメータ Executive Override Call Preemptable は [True] に設定されます。
IP Phone A および IP Phone B は、ロケーション Hub None にあり、IP Phone X および IP Phone Y は、ロケーション LOC-BR1 にあります。
1. IP Phone A(ロケーション Hub None)が、IP Phone X(ロケーション LOC-BR1)をコールします。コールは、エクゼクティブ オーバーライド優先レベルで発信されます。LOC-BR1 では使用できるオーディオ帯域幅が十分にないので、コールは、IP Phone X の警告を開始し、対応されます。
2. IP Phone B(ロケーション Hub None)が、IP Phone Y(ロケーション LOC-BR1)をコールします。コールは、エクゼクティブ オーバーライド優先レベルで発信されます。
3. セカンド コールを完了するために使用できる帯域幅が十分になく、Executive Override Call Pre-emptable サービス パラメータが [True] に設定されているので、最初のコールは、プリエンプション処理されます。
4. IP Phone B および IP Phone Y 間のコールは完了し、IP Phone A および IP Phone X 間のコールはクリアされます。
例 10
次に、Cisco Unified Communications Manager が帯域幅に基づいてコール プリエンプションを選択する例を示します。
設定
ロケーション(LOC-BR1)の合計オーディオ帯域幅は 140 kbps です。
地域コーデックは、最大オーディオ ビット レート 64 kbps を指定します。
LOC-BR1 には、次のコールが含まれます。
• フラッシュ オーバーライド優先レベルのコール 1。接続され、LOC-BR1 で 80 kbps(G.711)を使用します。
• フラッシュ オーバーライド優先レベルのコール 2。接続され、LOC-BR1 で 80 kbps(G.711)を使用します。
• フラッシュ オーバーライド優先レベルのコール 3。接続され、LOC-BR1 で 80 kbps(G.711)を使用します。
IP Phone B は、ロケーション Hub None にあり、IP Phone Y は、ロケーション LOC-BR1 にあります。
1. IP Phone B(ロケーション Hub None)が、IP Phone Y(ロケーション LOC-BR1)をコールします。コールは、エクゼクティブ オーバーライド優先レベルで発信され、地域コーデックは、64 kbps オーディオ ビット レートを指定します。
2. コールを完了するために使用できる帯域幅が十分にないので、コール 3 は、プリエンプション処理されます。
3. IP Phone B および IP Phone Y 間のコールは完了します。
例 11
次に、十分な帯域幅を取得できないため Cisco Unified Communications Manager がコールをプリエンプション処理しない例について説明します。
設定
ロケーション(LOC-BR1)の合計オーディオ帯域幅は 140 kbps です。
地域コーデックは、最大オーディオ ビット レート 64 kbps を指定します。
LOC-BR1 には、次のコールが含まれます。
• フラッシュ オーバーライド優先レベルのコール 1。接続され、LOC-BR1 で 80 kbps(G.711)を使用します。
• フラッシュ優先レベルのコール 2。接続され、LOC-BR1 で 24 kbps(G.729)を使用します。
• フラッシュ優先レベルのコール 3。接続され、LOC-BR1 で 16 kbps(G.728)を使用します。
IP Phone B は、ロケーション Hub None にあり、IP Phone Y は、ロケーション LOC-BR1 にあります。
1. IP Phone B(ロケーション Hub None)が、IP Phone Y(ロケーション LOC-BR1)をコールします。コールは、フラッシュ オーバーライド優先レベルで発信され、地域コーデックは、64 kbps オーディオ ビット レートを指定します。
2. コールを完了するために使用できる帯域幅が十分になく、コールをプリエンプション処理できないので、IP Phone B および IP Phone Y 間のコールは拒否されます。
例 12
次に、Cisco Unified Communications Manager が、可能な限り、必要な帯域幅だけをプリエンプション処理する例について説明します。
設定
ロケーション(LOC-BR1)の合計オーディオ帯域幅は 140 kbps です。
地域コーデックは、最大オーディオ ビット レート 64 kbps を指定します。
LOC-BR1 には、次のコールが含まれます。
• フラッシュ優先レベルのコール 1。接続され、LOC-BR1 で 80 kbps(G.711)を使用します。
• フラッシュ優先レベルのコール 2。接続され、LOC-BR1 で 24 kbps(G.729)を使用します。
• フラッシュ優先レベルのコール 3。接続され、LOC-BR1 で 16 kbps(G.728)を使用します。
IP Phone B は、ロケーション Hub None にあり、IP Phone Y は、ロケーション LOC-BR1 にあります。
1. IP Phone B(ロケーション Hub None)が、IP Phone Y(ロケーション LOC-BR1)をコールします。コールは、フラッシュ オーバーライド優先レベルで発信され、地域コーデックは、24 kbps オーディオ ビット レートを指定します。
2. コールを完了するために使用できる帯域幅が十分にないので、コール 2 は、プリエンプション処理されます。
3. IP Phone B および IP Phone Y 間のコールは完了します。
例 13
次に、すべてのコールがアラートを発生しているときに Cisco Unified Communications Manager が最小数のコールをプリエンプション処理する例について説明します。
設定
ロケーション(LOC-BR1)の合計オーディオ帯域幅は 140 kbps です。
地域コーデックは、最大オーディオ ビット レート 64 kbps を指定します。
LOC-BR1 には、次のコールが含まれます。
• フラッシュ優先レベルのコール 1。アラートを発生し、LOC-BR1 で 24 kbps(G.729)を使用します。
• フラッシュ優先レベルのコール 2。アラートを発生し、LOC-BR1 で 16 kbps(G.728)を使用します。
• フラッシュ優先レベルのコール 3。アラートを発生し、LOC-BR1 で 80 kbps(G.711)を使用します。
IP Phone B は、ロケーション Hub None にあり、IP Phone Y は、ロケーション LOC-BR1 にあります。
1. IP Phone B(ロケーション Hub None)が、IP Phone Y(ロケーション LOC-BR1)をコールします。コールは、フラッシュ オーバーライド優先レベルで発信され、地域コーデックは、24 kbps オーディオ ビット レートを指定します。
2. コールを完了するために使用できる帯域幅が十分にないので、コール 1 は、プリエンプション処理されます。
3. IP Phone B および IP Phone Y 間のコールは完了します。
例 14
次に、Cisco Unified Communications Manager が、同じ優先レベルで接続されているコールの前に、アラートを発生しているコールをプリエンプション処理する例について説明します。
設定
ロケーション(LOC-BR1)の合計オーディオ帯域幅は 140 kbps です。
地域コーデックは、最大オーディオ ビット レート 64 kbps を指定します。
LOC-BR1 には、次のコールが含まれます。
• フラッシュ優先レベルのコール 1。接続され、LOC-BR1 で 80 kbps(G.711)を使用します。
• フラッシュ優先レベルのコール 2。アラートを発生し、LOC-BR1 で 16 kbps(G.728)を使用します。
• フラッシュ優先レベルのコール 3。アラートを発生し、LOC-BR1 で 16 kbps(G.728)を使用します。
IP Phone B は、ロケーション Hub None にあり、IP Phone Y は、ロケーション LOC-BR1 にあります。
1. IP Phone B(ロケーション Hub None)が、IP Phone Y(ロケーション LOC-BR1)をコールします。コールは、フラッシュ オーバーライド優先レベルで発信され、地域コーデックは、24 kbps オーディオ ビット レートを指定します。
2. コールを完了するために使用できる帯域幅が十分にないので、コール 2 およびコール 3 は、プリエンプション処理されます。
3. IP Phone B および IP Phone Y 間のコールは完了します。
例 15
次に、Cisco Unified Communications Manager が上位優先レベルのコールの前に下位優先レベルのコールをプリエンプション処理する例について説明します。
設定
ロケーション(LOC-BR1)の合計オーディオ帯域幅は 140 kbps です。
地域コーデックは、最大オーディオ ビット レート 64 kbps を指定します。
LOC-BR1 には、次のコールが含まれます。
• フラッシュ オーバーライド優先レベルのコール 1。接続され、LOC-BR1 で 80 kbps(G.711)を使用します。
• フラッシュ優先レベルのコール 2。接続され、LOC-BR1 で 16 kbps(G.728)を使用します。
• フラッシュ優先レベルのコール 3。接続され、アラートを発生し、LOC-BR1 で 16 kbps(G.728)を使用します。
• フラッシュ優先レベルのコール 4。アラートを発生し、LOC-BR1 で 16 kbps(G.728)を使用します。
IP Phone B は、ロケーション Hub None にあり、IP Phone Y は、ロケーション LOC-BR1 にあります。
1. IP Phone B(ロケーション Hub None)が、IP Phone Y(ロケーション LOC-BR1)をコールします。コールは、エクゼクティブ オーバーライド優先レベルで発信され、地域コーデックは、24 kbps オーディオ ビット レートを指定します。
2. コールを完了するために使用できる帯域幅が十分にないので、コール 3 およびコール 4 は、プリエンプション処理されます。
3. IP Phone B および IP Phone Y 間のコールは完了します。
例 16
次の例では、元の優先順位と見なされる保留音を受信するコールについて説明します。
設定
ロケーション(LOC-BR1)の合計オーディオ帯域幅は 140 kbps です。
地域コーデックは、最大オーディオ ビット レート 64 kbps を指定します。
LOC-BR1 には、次のコールが含まれます。
• フラッシュ優先レベルのコール 1。現在、保留音を受信していて(ロケーション LOC-BR1)、LOC-BR1 で 80 kbps(G.711)を使用します。
• フラッシュ優先レベルのコール 2。接続され、LOC-BR1 で 16 kbps(G.728)を使用します。
• フラッシュ優先レベルのコール 3。接続され、LOC-BR1 で 16 kbps(G.728)を使用します。
IP Phone B は、ロケーション Hub None にあり、IP Phone Y は、ロケーション LOC-BR1 にあります。
1. IP Phone B(ロケーション Hub None)が、IP Phone Y(ロケーション LOC-BR1)をコールします。コールは、フラッシュ優先レベルで発信され、地域コーデックは、24 kbps オーディオ ビット レートを指定します。
2. コールを完了するために使用できる帯域幅が十分になく、コールをプリエンプション処理できないので、IP Phone B および IP Phone Y 間のコールは拒否されます。
例 17
次の例では、保留音を受信していて、MOH のロケーションのプリエンプションのためにプリエンプション処理されるコールについて説明します。
設定
ロケーション(LOC-BR1)の合計オーディオ帯域幅は 100 kbps です。
地域コーデックは、最大オーディオ ビット レート 64 kbps を指定します。
LOC-BR1 には、次のコールが含まれます。
• フラッシュ優先レベルのコール 1。現在、保留音を受信していて(ロケーション LOC-BR1)、LOC-BR1 で 80 kbps(G.711)を使用します。
• フラッシュ オーバーライド優先レベルのコール 2。接続され、LOC-BR1 で 16 kbps(G.728)を使用します。
エクゼクティブ オーバーライド優先レベルの新しいコールが、別のロケーションから LOC-BR1 に試行されます。ここでは、80 kbps が要求されます。
LOC-BR1 で使用できる帯域幅が十分にないので、コール 1 は、MOH ロケーションのプリエンプションのためにプリエンプション処理されます。最初の MOH よりも前のコールもプリエンプション処理されます。
(注) MOH およびアナンシエータの挿入により、コールが下位優先レベルであっても、別のコールがプリエンプション処理されることはありません。
例 18
次に、帯域幅が不十分なために呼び出し音の挿入が失敗する例について説明します。
設定
ロケーション(LOC-BR1)の合計オーディオ帯域幅は 100 kbps です。
地域コーデックは、最大オーディオ ビット レート 64 kbps を指定します。
LOC-BR1 には、次のコールが含まれます。
• フラッシュ優先レベルのコール 1。現在、LOC-BR1 で 80 kbps(G.711)を使用しています。
• フラッシュ オーバーライド優先レベルのコール 2。接続され、LOC-BR1 で 16 kbps(G.728)を使用します。
フラッシュ優先レベルの新しいコールが、LOC-BR1 から試行されます。ここでは、アナンシエータを LOC-BR1 に挿入して呼び出し音を再生する必要があります。
使用できる帯域幅が十分にないので、要求は拒否され、アナンシエータは挿入されません。
例 19
次の例では、帯域幅が不十分なため、アナンシエータにより再生されるプリエンプション トーンがプリエンプション処理される例について説明します。
設定
ロケーション(LOC-BR1)の合計オーディオ帯域幅は 120 kbps です。
地域コーデックは、最大オーディオ ビット レート 64 kbps を指定します。
LOC-BR1 には、次のコールが含まれます。
• フラッシュ優先レベルのコール 1。現在、プリエンプション トーンのアナンシエータ(ロケーション LOC-BR1)を使用し、LOC-BR1 で 80 kbps(G.711)を使用します。
• フラッシュ オーバーライド優先レベルのコール 2。接続され、LOC-BR1 で 16 kbps(G.728)を使用します。
• フラッシュ優先レベルのコール 3。接続され、LOC-BR1 で 16 kbps(G.728)を使用します。
新しいコールは、LOC-BR1 から別のロケーションに試行されます。コールは、80 kbps(G.711)を要求し、フラッシュ オーバーライド優先レベルを使用します。
LOC-BR1 で使用できる帯域幅が不十分なため、プリエンプション コールを受信しているコール 1 が、選択され、プリエンプション処理されます(プリエンプション トーンの再生は終了します)。
例 20
次の例では、帯域幅が不十分なため、アナンシエータにより再生されるプリエンプション トーンがプリエンプション処理される例について説明します。
設定
ロケーション(LOC-BR1)の合計オーディオ帯域幅は 120 kbps です。
地域コーデックは、最大オーディオ ビット レート 64 kbps を指定します。
LOC-BR1 には、次のコールが含まれます。
• フラッシュ優先レベルのコール 1。現在、プリエンプション トーンのアナンシエータ(ロケーション LOC-BR1)を使用し、LOC-BR1 で 80 kbps(G.711)を使用します。
• フラッシュ オーバーライド優先レベルのコール 2。アラートを発生し、LOC-BR1 で 16 kbps(G.728)を使用します。
• フラッシュ優先レベルのコール 3。アラートを発生し、LOC-BR1 で 16 kbps(G.728)を使用します。
新しいコールは、LOC-BR1 から別のロケーションに試行されます。コールは、80 kbps(G.711)を要求し、フラッシュ オーバーライド優先レベルを使用します。
LOC-BR1 で使用できる帯域幅が十分にないので、アラートを発生しているコール 3 は、プリエンプション処理され、プリエンプション トーンを受信しているコール 1 は、トーンの再生を継続します。
例 21
次の例では、発信側および受信側の両方でのプリエンプションについて説明します。
設定
ロケーション(LOC-BR1)の合計オーディオ帯域幅は 140 kbps です。
ロケーション(LOC-BR2)の合計オーディオ帯域幅は 140 kbps です。
地域コーデックは、最大オーディオ ビット レート 80 kbps を指定します。
システムには次のコールが存在します。
• 通常優先レベルのコール 1。80 kbps を使用して LOC-BR1 から LOC-BR2 に発信されます。
• 新しいコールが、80 kbps を使用して LOC-BR1 から LOC-BR2 にフラッシュ プライオリティ優先レベルで試行されます。
コール 1 がプリエンプション処理され、新しいコールが許可されます。
例 22
次の例では、帯域幅が割り当てられるときにビデオ コールがプリエンプション処理されます。
この例では、ビデオ コールに 384 K の帯域幅が必要です。ロケーション A では、最大で 500 K のビデオ帯域幅および 500 K のオーディオ帯域幅を使用できます。
SIP トランクは、ロケーション A のクラスタ 1 にあります。
次の一連のイベントが順に発生します。
1. IP Phone A が、プライオリティ優先レベルで、SIP トランクを介して、ビデオ コールを IP Phone B に発信します。コールが対応され、ビデオが確立されます。
2. IP Phone C が、フラッシュ優先レベルで、SIP トランクを介してビデオ コールを IP Phone D に発信します。
3. C から D のビデオ コールの帯域幅を予約する間、C から D のコールは、A から B のコールをプリエンプション処理します。これは、A から B のコールの優先レベルが低く、C から D のコールで 384 K の帯域幅を必要とするためクラスタ 1 のロケーション A に A から B のコールに使用できる帯域幅が十分にないためです。
4. A から B のコールはクリアされます。
例 23
次の例では、帯域幅が調整されるときにオーディオ コールがビデオ コールにエスカレートされます。
この例では、ビデオ コールに 384 K の帯域幅が必要です。ロケーション A では、最大で 500 K のビデオ帯域幅および 500 K のオーディオ帯域幅を使用できます。
SIP トランクは、ロケーション A のクラスタ 1 にあります。
次の一連のイベントが順に発生します。
1. IP Phone A が、プライオリティ優先レベルで、SIP トランクを介して、コールを IP Phone B に発信します。
2. IP Phone C が、フラッシュ優先レベルで、SIP トランクを介してコールを IP Phone D に発信します。
3. オーディオのメディアが、両方のコールに対して正常に確立されます。
4. A から B のコールが、IP Phone B によりビデオ コールにエスカレートされます。ビデオ接続が正常に確立されます。
5. C から D のコールが、IP Phone D によりビデオ コールにエスカレートされます。メディアが C から D のビデオに接続され、A から B のコールがプリエンプション処理されます。これは、A から B の優先レベルが、C から D の優先レベルより低く、A から B のコールに保持できる帯域幅がロケーション A に十分にないためです。
6. C から D のビデオ コールが、正常に確立されます。
例 24
次の例では、プリエンプション処理できる帯域幅が十分にない場合、ビデオ コールは、フロー制御付きの新しいビデオ コールにエスカレートされます。
この例では、新しいビデオ コールには、768 K の帯域幅が必要で、既存のビデオ コールには、384 K の帯域幅が予約されています。ロケーション A では、最大で 400 K のビデオ帯域幅および 400 K のオーディオ帯域幅を使用できます。
SIP トランクは、ロケーション A にあります。
次の一連のイベントが順に発生します。
1. IP Phone A が、プライオリティ優先レベルで、SIP トランクを介して、コールを IP Phone B に発信します。
2. IP Phone C が、フラッシュ優先レベルで、SIP トランクを介してコールを IP Phone D に発信します。
3. オーディオのメディアが、両方のコールに対して正常に確立されます。
4. A から B のコールが、IP Phone B によりビデオ コールにエスカレートされます。ビデオ接続が正常に確立されます。
5. C から D のコールが、IP Phone D によりビデオ コールにエスカレートされます。メディアが、C から D のコールのビデオに接続されます。C から D のビデオ コールで使用できる帯域幅が十分にないので、A から B のコールはプリエンプション処理されません。
6. フロー制御が発生し、C と D との間のコールはオーディオ コールとして設定されます。
(注) オーディオ帯域幅は、手順 5. で説明されているように、ビデオにエスカレートされるときに解放されます。プリエンプション処理が実行できない場合、フロー制御が発生します。この時点でオーディオ帯域幅が使用できない場合、オーディオ帯域幅はオーバーサブスクライブになります。
例 25
次の例では、プリエンプション処理されるコールがない場合、ビデオ コールは、フロー制御付きの新しいビデオ コールにエスカレートされます。
この例では、新しいビデオ コールには、384 K の帯域幅が必要で、既存のビデオ コールには、384 K の帯域幅が予約されています。ロケーション A では、最大で 384 K のビデオ帯域幅および 300 K のオーディオ帯域幅を使用できます。
SIP トランクは、ロケーション A にあります。
次の一連のイベントが順に発生します。
1. IP Phone A が、プライオリティ優先レベルで、SIP トランクを介して、コールを IP Phone B に発信します。
2. IP Phone C が、プライオリティ優先レベルで、SIP トランクを介してコールを IP Phone D に発信します。
3. オーディオのメディアが、両方のコールに対して正常に確立されます。
4. A から B のコールが、IP Phone B によりビデオ コールにエスカレートされます。ビデオ接続が正常に確立されます。
5. C から D のコールが、IP Phone D によりビデオ コールにエスカレートされます。メディアが、C から D のコールのビデオに接続されます。C から D のコールと同じ優先レベルなので、A から B のコールはプリエンプション処理されません。
6. C から D のビデオ コールの帯域幅が十分にないので、フロー制御が発生し、C と D の間のコールはオーディオ コールとして設定されます。
例 26
次の例では、使用できる帯域幅が十分にない場合、ビデオ コールは、フロー制御付きの新しいビデオ コールにエスカレートされます。
この例では、ビデオ コールに 384 K の帯域幅が必要です。ロケーション A では、最大で 200 K のビデオ帯域幅および 200 K のオーディオ帯域幅を使用できます。
SIP トランクは、ロケーション A にあります。
次の一連のイベントが順に発生します。
1. IP Phone A が、プライオリティ優先レベルで、SIP トランクを介して、コールを IP Phone B に発信します。
2. オーディオのメディアが正常に確立されます。
3. A から B のコールが、IP Phone B によりビデオ コールにエスカレートされます。メディアが、A から B のコールのビデオに接続されます。A から B のビデオ コールの帯域幅が十分にないので、プリエンプション処理されるコールはありません。フロー制御が発生し、A と B との間のコールはオーディオ コールとして設定されます。
例 27
次の例では、シェアドラインを使用した保留/再開機能について説明します。
この例では、各ビデオ コールに 384 K の帯域幅が必要です。この例には、2 種類のロケーションが存在します。
• ロケーション A
• ロケーション B
ロケーション A では、最大で 1500 K のビデオ帯域幅および 400 K のオーディオ帯域幅を使用できます。
ロケーション B では、最大で 400 K のビデオ帯域幅および 400 K のオーディオ帯域幅を使用できます。
IP Phone A、C および F は、クラスタ 1 にあります。
IP Phone B および D は、クラスタ 2 のロケーション A にあります。
IP Phone B には、クラスタ 2 のロケーション B のシェアドライン B1 があります。
IP Phone E は、クラスタ 2 のロケーション B にあります。
次の一連のイベントが順に発生します。
1. IP Phone A が、フラッシュ優先レベルで、SIP トランクを介して、ビデオ コールを IP Phone B に発信します。コールが対応され、ビデオが正常に確立されます。IP Phone C が、プライオリティ優先レベルで、SIP トランクを介してビデオ コールを IP Phone D に発信します。
2. C から D および A から B のビデオ コールがアクティブになります。
3. IP Phone F は、プライオリティ優先レベルで、SIP トランクを介して、IP Phone E に対してビデオ コールを発信します。F および E 間のビデオ コールがアクティブになります。
4. IP Phone B が、コールを保留し、A から B のコールのビデオが停止します。
5. B1(シェアドライン)は、フラッシュ優先レベルでコールを再開します。
6. A から B1 のコールより優先レベルが低いので、F から E のコールがプリエンプション処理されます。F から E のコールがクリアされます。
7. A から B1 のコールがアクティブになります。
例 28
次の例では、コール転送を使用したプリエンプションについて説明します。
この例では、各ビデオ コールに 384 K の帯域幅が必要です。ロケーション A では、最大で 500 K のビデオ帯域幅および 500 K のオーディオ帯域幅を使用できます。
IP Phone A、C および E は、ロケーション A にあります。
次の一連のイベントが順に発生します。
1. IP Phone A が、プライオリティ優先レベルで、SIP トランクを介して、オーディオ コールを IP Phone B に発信します。コールが対応され、A から B のオーディオ コールがアクティブになります。
2. IP Phone C が、プライオリティ優先レベルで、SIP トランクを介してビデオ コールを IP Phone D に発信します。
3. C から D のコールがアクティブになります。
4. IP Phone A が、IP Phone E にコールを転送します(フラッシュ コール)。
5. IP Phone が、コールに対応します。IP Phone A が、転送を完了して、B から E のビデオ コールが設定されます(フラッシュ優先レベル)。
6. C から D のコールがプリエンプション処理されます。
7. B から E のビデオ コールがアクティブになります。
例 29
次の例では、フロー制御付きのコール転送を使用したプリエンプション処理について説明します。
この例では、各ビデオ コールに 384 K の帯域幅が必要です。ロケーション A では、最大で 500 K のビデオ帯域幅および 500 K のオーディオ帯域幅を使用できます。
IP Phone A、C および E は、ロケーション A にあります。
次の一連のイベントが順に発生します。
1. IP Phone A が、プライオリティ優先レベルで、SIP トランクを介して、オーディオ コールを IP Phone B に発信します。コールが対応され、A から B のオーディオ コールがアクティブになります。
2. IP Phone C が、プライオリティ優先レベルで、SIP トランクを介してビデオ コールを IP Phone D に発信します。
3. C から D のコールがアクティブになります。
4. IP Phone A が、IP Phone E にコールを転送します(フラッシュ コール)。
5. IP Phone が、コールに対応します。IP Phone A が、転送を完了して、B から E のビデオ コールが設定されます(フラッシュ優先レベル)。
6. C から D のコールがプリエンプション処理されます。
7. B から E のビデオ コールがアクティブになります。
例 30
次の例では、コール保留中のビデオ コール プリエンプション処理について説明します。
この例では、各ビデオ コールに 384 K の帯域幅が必要です。ロケーション A では、最大で 800 K のビデオ帯域幅および 500 K のオーディオ帯域幅を使用できます。
IP Phone A、C および E は、ロケーション A にあります。
次の一連のイベントが順に発生します。
1. IP Phone A が、プライオリティ ビデオ コールを IP Phone B に発信します。IP Phone B がコールに対応し、ビデオが確立されます。
2. IP Phone C が、フラッシュ ビデオ コールを IP Phone D に発信します。IP Phone D がコールに対応し、ビデオが確立されます。
3. IP Phone A が、A から B のコールを保留します。この時点では、A から B のビデオ コールのビデオ プールには、帯域幅は解放されません。
4. IP Phone E が、フラッシュ ビデオ コールを IP Phone F に発信します。
5. ロケーション A に十分な帯域幅がないので、A から B のコールがプリエンプション処理されます。
6. E から F のビデオ コールがアクティブになります。
例 31
次に、メディア接続時に最大帯域幅を使用する例について説明します。
次の一連のイベントが順に発生します。
1. IP Phone A が IP Phone B にコール、IP Phone B がコールに対応します。
2. IP Phone B が、IP Phone C に打診転送します。
3. IP Phone B が転送を完了します。
設定
Location-based Maximum Bandwidth Enforcement Level for MLPP Calls サービス パラメータは [Strict] に設定され、Location Based MLPP Pre-emption サービス パラメータは [True] に設定されています。
サービス パラメータの詳細については、を参照してください。
ロケーション 1(Loc1)およびロケーション 2(Loc2)間のコールでは、80 K の帯域幅が必要です。
ロケーション 2(Loc2)およびロケーション 3(Loc3)間のコールでは、24 K の帯域幅が必要です。
ロケーション 1(Loc1)およびロケーション 3(Loc3)間のコールでは、80 K の帯域幅が必要です。
|
|
Loc1 |
160 K |
Loc2 |
160 K |
Loc3 |
24 K |
手順 1. の後、IP Phone A と IP Phone C の間のコールに必要な帯域幅は、80 K ですが、使用できる帯域幅は、24 K だけです。Cisco Unified Communications Manager8.6(1) 以降では、Location-based Maximum Bandwidth Enforcement Level for MLPP Calls サービス パラメータが [Strict] に設定され、Location Based MLPP Pre-emption サービス パラメータが [True] に設定されている場合、コールがクリアされます。
例 32
次に、複数のコールがプリエンプション処理されるが、新しいコールが失敗する例について説明します。
設定
ロケーション(LOC-BR1)の合計オーディオ帯域幅は 140 kbps です。
地域コーデックは、最大オーディオ ビット レート 64 kbps を指定します。
LOC-BR1 には、次のコールが含まれます。
フラッシュ優先レベルのコール 1。アラートを発生し、LOC-BR1 で 24 kbps(G.729)を使用します。
フラッシュ優先レベルのコール 2。アラートを発生し、LOC-BR1 で 16 kbps(G.728)を使用します。
フラッシュ優先レベルのコール 3。アラートを発生し、LOC-BR1 で 80 kbps(G.711)を使用します。
IP Phone B は、ロケーション Hub None にあり、IP Phone Y は、ロケーション LOC-BR1 にあります。
次の一連のイベントが順に発生します。
1. ロケーション LOC-BR1 のオーディオ帯域幅が 10 kbps に変更されます。
2. IP Phone B が、IP Phone Y をコールしようとします。
3. LOC-BR1 のオーディオ帯域幅がオーバーサブスクライブの場合、コール 1 ~コール 3 がプリエンプション処理されます。
4. プリエンプション処理の後、IP Phone B と IP Phone & との間の新しいコールを完了する帯域幅が十分にないので、新しいコールは拒否されます。
(注) 新しいコールは、ルーチン優先レベルのコールの場合もあります。この場合、ルーチン優先レベル コールは、上位優先レベルの複数のコールをプリエンプション処理し、プリエンプション トーンが再生されます。
例 33
次に、複数のコールがプリエンプション処理され、新しいコールが正常に発信される例について説明します。
設定
ロケーション(LOC-BR1)の合計オーディオ帯域幅は 140 kbps です。
地域コーデックは、最大オーディオ ビット レート 64 kbps を指定します。
LOC-BR1 には、次のコールが含まれます。
フラッシュ優先レベルのコール 1。アラートを発生し、LOC-BR1 で 24 kbps(G.729)を使用します。
フラッシュ優先レベルのコール 2。アラートを発生し、LOC-BR1 で 16 kbps(G.728)を使用します。
フラッシュ優先レベルのコール 3。アラートを発生し、LOC-BR1 で 80 kbps(G.711)を使用します。
IP Phone B は、ロケーション Hub None にあり、IP Phone Y は、ロケーション LOC-BR1 にあります。
次の一連のイベントが順に発生します。
1. ロケーション LOC-BR1 のオーディオ帯域幅が 80 kbps に変更されます。
2. IP Phone B が、エクゼクティブ オーバーライド優先レベルで、IP Phone Y をコールしようとします。
3. LOC-BR1 のオーディオ帯域幅がオーバーサブスクライブの場合、コール 3 がプリエンプション処理されます。
4. プリエンプション処理後、IP Phone B および IP Phone Y の間の新しいコールの完了に使用できる帯域幅が十分にないので、コール 1 および 2 がプリエンプション処理されます。
5. 新しいコールの通過が許可されます。
許可されていない優先レベルの使用アナウンス
ユーザは、自分の回線に許可された最高の優先レベルよりも高い優先レベルのコールをかけようとすると、許可されていない優先レベルの使用アナウンスを受信します。ユーザは、自分に権限のない発信パターンを使用して優先コールをダイヤルしたときに、許可されていない優先レベルの使用アナウンスを受信します。
Cisco Unified Communications Manager は、パターンと一致してコールをブロックする理由が示されたコールの試行をブロックするように特定のパターンまたはパーティションが設定されている場合だけ、Precedence Level Exceeded の条件を認識します。
許可された発信パターンを割り当てるには、Cisco Unified Communications Manager の管理ページの [ルートパターンの設定(Route Pattern Configuration)] ウィンドウまたは [ハントパイロットの設定(Hunt Pilot Configuration)] ウィンドウと [トランスレーションパターンの設定(Translation Pattern Configuration)] ウィンドウを使用します。MLPP Precedence Level Exceeded の条件を設定するには、Cisco Unified Communications Manager の管理ページで、[ルートパターンの設定(Route Pattern Configuration)] ウィンドウまたは [ハントパイロットの設定(Hunt Pilot Configuration)] ウィンドウと [トランスレーションパターンの設定(Translation Pattern Configuration)] ウィンドウの [ルートオプション(Route Option)] フィールドを使用して [このパターンをブロック(Block this pattern)] オプションを選択します。ドロップダウン リスト ボックスで、[Precedence Level Exceeded] を選択します。詳細については、『 Cisco Unified Communications Manager アドミニストレーション ガイド 』の 「ルート パターンの設定」 の項および 「トランスレーション パターンの設定」 の項を参照してください。
例
図 35-11 に、許可されていない優先レベルの使用アナウンスを受信するユーザの例を示します。
図 35-11 許可されていない優先レベルの使用アナウンスの例
この例では、ユーザ 1002 が優先コールを開始するために 90 をダイヤルします。9 は優先順位アクセス番号を示し、0 はユーザが使おうとしている優先レベルを示します。このユーザはフラッシュ オーバーライド優先コール(優先レベル 0 のコール)を許可されていないので、ユーザは許可されていない優先レベルの使用アナウンスを受信します。
ブロックされた優先権アナウンス
優先コールの宛先がオフフックである場合や、宛先が同等かそれ以上の優先順位の優先コールで通話中で、コール待機機能も自動転送機能もなく、Alternate Party Diversion(APD)の発信先も指定されていない場合、あるいは共通ネットワーク リソースがない場合、ユーザはブロックされた優先権アナウンスを受信します。
例
図 35-12 に、ブロックされた優先権アナウンスの例を示します。
図 35-12 ブロックされた優先権アナウンスの例
この例では、ユーザ 1000 が 90-1001 をダイヤルしてユーザ 1001 に優先コールをかけます。ユーザ 1001 は、オフフックまたは同等以上の優先レベルの優先コールで通話中であり、コール待機機能も自動転送機能もなく、Alternate Party Diversion の発信先も指定されていないため、ユーザ 1000 はブロックされた優先権アナウンスを受信します。
優先処理非対応の通話中の番号アナウンス
ユーザは、ダイヤルした番号がプリエンプション対応ではない場合に、このアナウンスを受信します。つまり、ダイヤルした番号が通話中で、コール待機機能や自動転送機能がなく、Alternate Party Diversion の発信先も指定されていない場合です。
クラスタ間トランクを経由したアナウンス
図 35-13 に、クラスタ間トランクを経由して配信される MLPP アナウンスのインスタンスを示します。
図 35-13 クラスタ間トランクを経由した MLPP アナウンスの例
この例では、クラスタ間トランクが接続する 2 つのクラスタ上に電話機 1000 と 2000 が存在します。ユーザ 2000 には、コール待機や自動転送などの機能は設定されていません。
次の一連のイベントが順に発生します。
1. ユーザ 2000 は、電話機をオフフックしてダイヤルを開始します (ユーザ 2000 のステータスは発信側ビジーとプリエンプション非対応が指定されています)。
2. ユーザ 1000 はクラスタ間トランク経由でユーザ 2000 に優先コールをダイヤルします。ユーザ 2000 は通話中であり、プリエンプション対応ではないため、コールは拒否されます。
3. ユーザ 1000 が優先コールを発信したため、コールは優先処理を受信し、リモート クラスタ上のアナウンス サーバは適切なブロックされた優先権アナウンス(BPA)をスイッチ名とクラスタのロケーションとともにユーザ 1000 に送信します。
セキュアな(暗号化された)アナウンスおよび保留音
Cisco Unified Communications Manager 8.6(1) 以降では、アナンシエータおよび Music On Hold(MOH; 保留音)の Secure Real-Time Protocol(SRTP)がサポートされます。アナウンスまたは MOH がユーザに再生される場合、Cisco Unified Communications Manager は、アナンシエータと MOH およびユーザのデバイスのセキュリティ機能をチェックします。すべてのデバイスが SRTP をサポートする場合、アナウンスまたは MOH メディアが、ユーザのデバイスへのストリーミングの前に暗号化され、セキュアなロック アイコンが Cisco Unified IP Phone に表示されます。
セキュアおよび非セキュアなアナウンスが優先コールに挿入される場合にロック アイコンがどのように表示されるかを説明する例については、を参照してください。セキュアおよび非セキュアな MOH が優先コールに挿入される場合にロック アイコンがどのように表示されるかを説明する例については、「保留音」を参照してください。
優先順位パターン用の MLPP 番号計画アクセス制御
MLPP は、ユーザに対して定義されたコーリング サーチ スペースとパーティションを使用して MLPP コールを認証および検証し、優先順位パターンにアクセス制御を提供します。
ユーザの最高優先順位は、ユーザ設定時に設定されます。MLPP 機能を備えたすべてのステーション デバイスが、MLPP 対応または MLPP 非対応として設定されます。ユーザ プロファイルが適用されるデバイスは、そのデバイスから開始される優先コールに関して、そのユーザの優先レベルを継承します。デフォルト ユーザが割り当てられたデバイスは、デフォルト ユーザの標準優先レベルを継承します。
発信側に関連付けられたコーリング サーチ スペース(CSS)の設定によって、ユーザが優先パターンをダイヤル(優先コールを発信)できるかどうかが制御されます。Cisco Unified Communications Manager には、許可される最高の優先順位値を明示的に示す設定はありません。
次の例に、第 3 のユーザにプライオリティ レベルの優先コールをかけようとする 2 人のユーザについて、優先コールへのアクセスの違いを示します。
例
図 35-14 に、優先順位パターン用の MLPP 番号計画アクセス制御の例を示します。
図 35-14 優先順位パターン用の MLPP 番号計画アクセス制御の例
次の表で、この例の 3 人のユーザを定義します。
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General |
1000 |
ルーチン |
フラッシュ オーバーライド |
Major |
2000 |
ルーチン |
優先順位 |
Private |
3000 |
ルーチン |
ルーチン |
この例では、パーティションとコーリング サーチ スペースを使用して優先コールへのアクセスを制御する方法を示します。
Private 3000 が優先順位パターン 93 をダイヤルして優先コールをかけると、次のイベントが発生します。
• コール処理は、Private 3000 のコーリング サーチ スペースを検索し、Routine CSS を検出します。
• Private 3000 の Routine CSS 内で、コール処理は Block Priority パーティションを検出します。
• Block Priority パーティションで、コール処理はパターン 93 を検出し、トランスレーション パターン 93 に移動します。
• トランスレーション パターン 93 は、優先コールがこのユーザ(DN)に対してブロックされることを決定し、コール処理は許可されていない優先レベルの使用アナウンス(UPA)を発行します。
Major 2000 が番号 931000 をダイヤルして優先コールをかけると、次のイベントが発生します。
• コール処理は、Major 2000 のコーリング サーチ スペースを検索し、Priority CSS を検出します。
• Major 2000 の Priority CSS 内で、コール処理は Priority パーティションを検出します。
• Priority パーティションで、コール処理はパターン 93.XXXX を検出し、トランスレーション パターン 93.XXXX に移動します。
• トランスレーション パターン 93.XXXX は、優先コールがこのユーザ(DN)に対して許可されることを決定します。したがって、コール処理は、ユーザ General 1000 へのプライオリティ レベルの優先コールを実行します。
MLPP トランク選択
MLPP トランク選択では、ルート リストとルート グループを使用して使用可能なトランクのハントが実行されます。Cisco Unified Communications Manager の管理ページでは、単一のダイヤル パターンを介して複数のゲートウェイにコールをルーティングし、使用可能なチャネルを検索するようにルート リストおよび関連するルート グループを設定することができます。ルート リストには、ルート リストがコールをルーティングできる多数のトランク リソースがありますが、個々のリソースは多数のゲートウェイに分散している場合があります。
ゲートウェイの集合(つまり、ルート リストとルート グループの設定)で使用可能なトランク リソースを特定できない場合、Cisco Unified Communications Manager は、集合内で優先レベルの低い共有リソースのプリエンプションの開始を試みます。ルート リストとルート グループの設定でプリエンプション対応のチャネルをさらに検索する方法は 2 つあります。
方法 1
ルート リストおよび単一のルート グループを設定します。ルート グループにトランク インターフェイス(ゲートウェイ)を追加し、Direct Route ゲートウェイをルート グループ内の最初のゲートウェイとして位置決めします。ルート グループをルート リストに関連付け、Top Down 分散アルゴリズムを選択します。この設定を使用して、システムはまずルート グループ内のすべてのゲートウェイでアイドル状態のチャネルを検索します。ルート グループ内のどのゲートウェイにもアイドル状態のチャネルがない場合は、次のように、ルート グループ内の最初のゲートウェイ(つまり、Direct Route ゲートウェイ)で優先的なトランク選択が開始されます。
• コール処理は、分散アルゴリズムに基づいて集合から現在のルートを選択し、ゲートウェイ デバイスがプリエンプションを開始できるかどうかを判別するために、このゲートウェイ デバイスへコールを発信します。
• 現在のゲートウェイ デバイスが優先コール要求を拒否した場合(つまり、ゲートウェイ デバイスがプリエンプションを開始できない場合)、コール処理は集合内の次のゲートウェイを現在のルートとして選択し、ゲートウェイ デバイスがプリエンプションを開始するか、ルート リストとルート グループの集合内のすべてのゲートウェイ デバイスが検索されるまで、この手順を続行します。
方法 2
使用可能なルート(トランク インターフェイス)ごとに、ルート リストおよび個別のルート グループを設定します。1 つのルート グループを Direct ルート グループとして指定し、残りのルート グループを Alternate ルート グループとして指定します。Direct Route トランク インターフェイス(ゲートウェイ)を Direct ルート グループの唯一のメンバとして追加します。Alternate Route ゲートウェイを個々の Alternate ルート グループに追加します。ルート グループをルート リストに関連付け、Direct ルート グループをルート リスト内の最初のルート グループとして設定し、ルート グループの関連付けごとに Top Down 分散アルゴリズムを選択します。
この設定を使用して、まず Direct ルート グループ内の Direct ゲートウェイでアイドル状態のチャネルが検索されます。Direct ゲートウェイ内にアイドル状態のチャネルがない場合、システムは次のように、この Direct ゲートウェイに対して優先的なトランク選択を開始します。
• コール処理は、Direct ルートを選択し、このゲートウェイ デバイスにコールを発信して、ゲートウェイ デバイスがプリエンプションを開始できるかどうかを判別します。
• Direct ゲートウェイ デバイスが優先コール要求を拒否した場合(つまり、ゲートウェイ デバイスがプリエンプションを開始できない場合)は、ルート リスト内の次のルート グループが現在のルートとして選択されます。現在のゲートウェイでアイドル状態のチャネルが見つかるか、現在のゲートウェイ デバイスがプリエンプションを開始するか、ルート リストとルート グループの集合内のすべてのゲートウェイ デバイスが検索されるまで、この手順が続行されます。
例
次の例は、フラッシュ レベルの着信優先コールが使用可能なトランク デバイスを探している場合に、使用可能なトランク デバイスを検索する 2 つの方法を示しています。
図 35-15 に、ルート リストとルート グループを使用して使用可能なトランク デバイスをハントする MLPP トランク選択の例を示します。
図 35-15 MLPP トランク選択(ハント)の例
方法 1 では、次の一連のイベントが発生します。
1. フラッシュ レベルの着信優先コールがルート リスト RL に到達します。これには、ルート グループ RG1 だけが含まれています。
2. ルート グループ RG1 には 3 つのトランク デバイスが含まれています。
RG1 内の 3 つのトランク デバイスのうち、トランク デバイス 1 とトランク デバイス 2 は通話中なので、システムは使用可能なトランク デバイス 3 にコールを発信します。
方法 2 では、次の一連のイベントが発生します。
1. フラッシュ レベルの着信優先コールがルート リスト RL に到達し、まずルート グループ RG1 へ移動します。ここで、コールはトランク デバイス 1 へ送信されますが、トランク デバイス 1 は通話中です。
トランク デバイス 1 の場合、このデバイスを使用しているコールを差し替えるには、フラッシュよりも優先順位の高いコールである必要があります。
2. コールはルート リスト RL 内で次のルート グループを探し、ルート グループ RG2 を検出します。ルート グループ RG2 にはトランク デバイス 2 が含まれています。これも通話中ですが、プライオリティよりも優先レベルの高い優先コールであれば、トランク デバイス 2 でプリエンプションを実行できます。
このコールの方が優先順位が高いので、トランク デバイス 2 の既存のコールが差し替えられます。
MLPP 階層設定
デバイスの MLPP 設定は次の階層に従っています。
• デバイスの [MLPP表示(MLPP Indication)] が [オフ(Off)] に設定されている場合、デバイスは MLPP コールのインジケータを送信できません。デバイスの [MLPPプリエンプション(MLPP Preemption)] が [無効(Disabled)] に設定されている場合、デバイスはコールを差し替えることができません。これらの設定は、デバイスの共通デバイス設定項目を上書きします。
• デバイスの [MLPP表示(MLPP Indication)] が [オン(On)] に設定されている場合、デバイスは MLPP コールのインジケータを送信できます。デバイスの [MLPPプリエンプション(MLPP Preemption)] が [強制(Forceful)] に設定されている場合、デバイスはコールを差し替えることができます。これらの設定は、デバイスの共通デバイス設定項目を上書きします。
• デバイスの [MLPP表示(MLPP Indication)] が [デフォルト(Default)] に設定されている場合、デバイスはそのデバイスの共通デバイス設定から、MLPP コールのインジケータの送信の設定を継承します。デバイスの [MLPPプリエンプション(MLPP Preemption)] が [デフォルト(Default)] に設定されている場合、デバイスは共通デバイス設定から、コールの差し替えの設定を継承します。
共通デバイス設定の MLPP 設定は次の階層に従っています。
• 共通デバイス設定の [MLPP表示(MLPP Indication)] が [オフ(Off)] に設定されている場合、共通デバイス設定内のデバイスは MLPP コールのインジケータを送信できません。共通デバイス設定の [MLPPプリエンプション(MLPP Preemption)] が [無効(Disabled)] に設定されている場合、共通デバイス設定内のデバイスはコールを差し替えることができません。これらの設定は、MLPP エンタープライズ パラメータ設定を上書きします。
• 共通デバイス設定の [MLPP表示(MLPP Indication)] が [オン(On)] に設定されている場合、共通デバイス設定内のデバイスは MLPP コールのインジケータを送信できます。共通デバイス設定の [MLPPプリエンプション(MLPP Preemption)] が [強制(Forceful)] に設定されている場合、共通デバイス設定内のデバイスはコールを差し替えることができます。これらの設定は、MLPP エンタープライズ パラメータ設定を上書きします。
• 共通デバイス設定の [MLPP表示(MLPP Indication)] が [デフォルト(Default)] に設定されている場合、デバイスは MLPP Indication Status エンタープライズ パラメータから、MLPP コールのインジケータの送信の設定を継承します。共通デバイス設定の [MLPPプリエンプション(MLPP Preemption)] が [デフォルト(Default)] に設定されている場合、共通デバイス設定は MLPP Preemption Setting エンタープライズ パラメータから、コールの差し替えの設定を継承します。
MLPP Indication Status エンタープライズ パラメータは、エンタープライズ内の共通デバイス設定および共通デバイス設定のインジケータ ステータスを定義しますが、共通デバイス設定および個々のデバイスのデフォルト以外の設定でその値を上書きできます。このエンタープライズ パラメータのデフォルト値は、[MLPP Indication turned off] です。
MLPP Preemption Setting エンタープライズ パラメータは、エンタープライズ内のデバイスおよび共通デバイス設定のプリエンプション機能を定義しますが、共通デバイス設定および個々のデバイスのデフォルト以外の設定でその値を上書きできます。このエンタープライズ パラメータのデフォルト値は、[No preemption allowed] です。
MLPP Domain Identifier エンタープライズ パラメータは、MLPP ドメインを指定します。MLPP サービスはドメインだけに適用されます。つまり、特定のドメインに属す加入者と、ネットワークおよびアクセス リソースだけに適用されます。MLPP 加入者からのコールに属す接続とリソースには、優先レベルと MLPP ドメイン識別子のマークが付けられます。同じドメイン内の MLPP ユーザからの優先順位の高いコールだけが、同じドメイン内の優先順位の低いコールを差し替えることができます。
サービス パラメータの特別なトレース設定
MLPP は、トレース用のサービス パラメータを発行します。
詳細については、『 Cisco Unified Serviceability Administration Guide 』を参照してください。
優先コール用の CDR の録音
MLPP 優先コールは、Call Detail Records(CDR; 呼詳細レコード)を生成します。CDR は、優先コールの優先レベルを示します。
通常は、同じ優先レベルのコール レッグが適用されます。転送コールや会議コールでは優先レベルが異なる場合があるので、Cisco Unified Communications Manager CDR はコールの各レッグの優先レベルを示します。
Cisco Unified Communications Manager CDR は、差し替えられたコールの切断のプリエンプション値を記録します。
詳細については、『 Cisco Unified Serviceability Administration Guide 』を参照してください。
自動転送
MLPP は、次のリストで説明しているように、自動転送機能と通信します。
• コールの話中転送
– オプションで、任意の MLPP 対応ステーションに対して事前設定の Precedence Alternate Party ターゲットを設定できます。
– Cisco Unified Communications Manager は、コールに Precedence Alternate Party Diversion 手順を適用する前に、通常の方法で優先コールを転送する話中転送機能を適用します。
– 着信優先コールの優先順位が既存のコールの優先順位と同じかそれより低い場合、コール処理は通常の自動転送機能を呼び出します。
– 優先コールの宛先ステーションがプリエンプション対応ではない場合(つまり、MLPP が設定されていない場合)、コール処理は自動転送機能を呼び出します。
– システムは、転送された複数のコール間でのコールの優先順位を保存します。
– 着信優先コールの優先順位が既存のコールの優先順位より高い場合は、プリエンプションが実行されます。優先コールが送信されたステーションの電話が切られるまで、アクティブなコールによって差し替えられるコールの両方のユーザに、連続的なプリエンプション トーンが再生されます。電話を切ると、優先コールが送信されたステーションに優先順位呼び出し音が再生されます。宛先ステーションは、オフフックになると、優先コールに接続されます。
• コールの無応答時転送
– コールの優先レベルがプライオリティ以上である場合、コール処理は、自動転送プロセスでコールの優先レベルを保存し、転送先のユーザの差し替えを試みます。
– 優先コールの宛先に対して Alternate Party が設定されている場合、コール処理は、Precedence Call Alternate Party タイムアウトの期限が切れた後に、優先コールを代替パーティに転送します。
優先コールの宛先に対して Alternate Party が設定されていない場合、コール処理は、優先コールを Call Forward No Answer(CFNA; 無応答時転送)設定に転送します。
– 優先コールは通常、ボイスメール システムではなくユーザにルーティングされます。管理者は、優先コールがボイスメール システムに転送されるのを避けるため、Use Standard VM Handling For Precedence Calls エンタープライズ パラメータを設定します。詳細については、「MLPP のエンタープライズ パラメータの設定」を参照してください。
コール転送
MLPP は、コール転送機能と通信します。ブラインド転送と打診転送の場合は、コンサルト コールも含め、転送されるコールの各接続が、コールが確立されたときに接続に割り当てられた優先順位を維持します。
シェアドライン
MLPP は、シェアドラインと通信します。保留中のコールがあるシェアドライン アピアランスは、同じ電話番号(DN)を持つ別の端末への優先順位の高いコールを確立するため、差し替えられる可能性があります。この場合、保留中の元のコールは切断されず、優先コールが接続されます。優先コールが終了すると、ユーザは保留中の元のコールを取得できます。
コール待機
MLPP は、次のリストで説明しているように、コール待機機能と通信します。
• ネットワーク リソースの不足のためコール待機ステータスと MLPP 優先コールの間に競合が発生した場合、コールは差し替えられます。
• コール待機が設定された宛先ステーションに優先コールが発信されると、次のイベントが発生します。
– 要求された優先順位が既存のコールの優先順位よりも高い場合、既存のコールは差し替えられます。宛先ユーザがプリエンプション対応ではない場合、コール処理は、通常のコール待機機能とアラートを呼び出します。優先コールの優先レベルがプライオリティ以上である場合、宛先ユーザは優先コール待機トーンとケイデンスを受信します。
– 要求された優先レベルが既存のコールの優先順位と同じである場合、コール処理は、通常のコール待機機能を呼び出します。優先コールの優先順位が標準である場合、コール処理は、標準コール待機トーンで宛先に警告します。優先コールの優先順位がプライオリティ以上である場合、コール処理は、優先コール待機トーンで宛先に警告します。
– 要求された優先レベルが既存のコールの優先順位より低い場合、コール処理は、通常のコール待機機能を呼び出します。優先コールの優先順位が標準である場合、コール処理は、標準コール待機トーンで宛先に警告します。優先コールの優先順位がプライオリティ以上である場合、コール処理は、優先コール待機トーンで宛先に警告します。
– デバイスに複数の表示がある場合、宛先ユーザは、優先順位の低いコールを保留にし、優先順位の高いコールに受信応答することができます。優先順位の高いコールが終了すると、宛先ユーザは、保留にした優先順位の低いコールを再開できます。
コール保存
Cisco Unified Communications Manager コール保存機能によって保存される MGCP トランク コールまたは接続は、コール保存機能が呼び出された後、優先レベルと MLPP ドメインを保存します。デバイスが Cisco Unified Communications Manager に登録された後、システムは、保存されたコールを Cisco Unified Communications Manager システムのデバイス層だけに保存します。そのため、保存されたコールは 2 つの半々のコールとして扱われます。これらのデバイスでプリエンプションが実行された場合、一方のレッグだけが他方のレッグへのプリエンプション プロトコルに従うことができます。システムは、RTP ポートのクローズによってしかコールの終了を検知できません。
自動代替ルーティング
AAR の拡張機能である Automated Alternate Routing (AAR) for Insufficient Bandwidth 機能は、ロケーションの帯域幅が不十分で Cisco Unified Communications Manager がコールをブロックした場合に、代替番号を使用し、Public Switched Telephone Network(PSTN)またはその他のネットワークを介してコールを再ルーティングするため、自動的にフォールバックするメカニズムを提供します。この機能を使用すると、発信者は電話を切ったり着信側に再びダイヤルしたりする必要がなくなります。
優先コールの試みが AAR サービスの起動条件と一致した場合、優先コールは AAR 設定の指定に従い、PSTN またはその他のネットワークを介して再ルーティングされます。Cisco Unified Communications Manager は、コールがルーティングされたネットワーク インターフェイスの MLPP 表示対応および MLPP プリエンプション対応の設定に基づいて、コールが最初から PSTN またはその他のネットワークを介してルーティングされた場合と同じように、コールの優先順位を処理します。
自動代替ルーティングの設定の詳細については、『 Cisco Unified Communications Manager アドミニストレーション ガイド 』のを参照してください。
MGCP と PRI プロトコル
MLPP は、Cisco Unified Communications Manager が MGCP プロトコルを使用して制御し、MLPP プリエンプション対応として設定されたターゲット Voice over IP ゲートウェイ上の T1-CAS および T1-PRI(北米)インターフェイスに対してだけ、共通ネットワーク ファシリティ プリエンプションをサポートします。
セキュアなエンドポイントとセキュアな通信
Department of Defense(DOD; 米国国防総省)の TDM ネットワークでは、従来のアナログ Secure Telephone Unit(STU)と BRI Secure Telephone Equipment(STE)をセキュアなエンドポイントとして使用しています。これらはセキュアな通信には重要です。IP STE でも、従来の設備の必要性を削減するためのサポートが必要です。Cisco Unified Communications Manager は、これらのデバイスの Skinny Client Control Protocol をサポートしています。モデム リレーは、従来の V.150 または V.150.1 Minimal Essential Requirements(MER)プロトコルを使用しており、セキュアな通信を提供しています。
(注) トランクで V.150.1 Modem over IP(MOIP)コールをサポートするには、ゲートウェイの Digital Access PRI/T1 ポート設定の Cisco Unified Communications Manager の管理 の [V150(サブセット)(V150 (subset))] チェックボックスをオンにする必要があります。また、mgcp package-capability mdste-package CLI コンフィギュレーション コマンドを使用して、ゲートウェイの MDSTE パッケージを有効にする必要もあります。詳細については、『Cisco Unified Communications Manager アドミニストレーション ガイド』を参照してください。
MLPP 優先順位と DSCP 値のマッピング
Cisco Unified Communications Manager は、IP ネットワーク内のコールに優先順位を付けるために、MLPP 優先レベルを IP ヘッダーの ToS フィールドの DSCP 値にマッピングします。次の優先レベルを DSCP 値にマッピングできます。
• エクゼクティブ オーバーライド
• フラッシュ オーバーライド
• フラッシュ
• 即時
• 優先順位
ネットワーク内のすべての Cisco Unified Communications Manager クラスタで同一になるように、MLPP 優先レベルを DSCP 値にマッピングする必要があります。
MLPP 優先レベルを DSCP 値にマッピングするには、サービス パラメータの [Clusterwide Parameters (System-QoS)] セクションで各優先レベルにマッピングする DSCP 値を選択します。変更を保存するには、[保存(Save)] ボタンをクリックします。
設定する DSCP 値は、SCCP 電話機にも適用されます。
手順
ステップ 1 [エンタープライズパラメータ(Enterprise Parameter)] > [MLPPパラメータ(MLPP Parameters)] を選択して、MLPP 表示ステータスを [MLPP表示オン(MLPP Indication turned on)] に設定します。
ステップ 2 SCCP 電話機で、[電話の設定(Phone Configuration)] > [MLPP情報(MLPP Information)] > [MLPP表示(MLPP Indication)] を選択して、[MLPP表示オン(MLPP Indication turned on)] に設定します。
前述の例で、[MLPP表示(MLPP Indication)] が [オン(On)] に設定されていない場合、オーディオ コールの DSCP に対応する DSCP 値が使用されます。
表 35-2 に、Media Resource デバイスのリストおよび [MLPP優先度(MLPP Precedence)] に基づいた DSCP タギングのサポートを示します。
表 35-2 Media Resource デバイスのリストおよび [MLPP優先度(MLPP Precedence)] に基づいた DSCP タギングのサポート
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ハードウェア(IOS ゲートウェイ)ベースのリソース タイプのサポート
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[メディアターミネーションポイント(Media Termination Point)] |
する |
する |
[保留音(Music on Hold)] |
する |
しない |
[アナンシエータ(Annunciator)] |
する |
NA |
[トランスコーダ(Transcoder)] |
NA |
する |
[会議ブリッジ(Conference Bridge)] |
する |
する |
[Video Conference Bridge] |
NA |
する |
表 35-2 で説明されているデバイスに関する MLPP 優先コールは、対応する MLPP 優先度のサービス パラメータ ページで設定される DSCP 値を使用します。