セキュアな保留音と非セキュアな保留音
次に、セキュアおよび非セキュアな MOH がコールに挿入されるときにロック アイコンがどのように表示されるかを説明する例を示します。
セキュアな MLPP 優先コールが保留中の場合、Cisco Unified Communications Manager は、保留にされた側に、セキュアな MOH を挿入します。このメディアは、SRTP を介して保留された側に暗号化およびストリーミングされます。セキュアなロック アイコンが、ユーザの電話に表示されます。
例
次に、優先コールの暗号化 MOH の例を示します。
1. ユーザ 2000 が、77 1000 にダイヤルしてユーザ 1000 と接続します。Cisco Unified Communications Manager は、ユーザがプレフィックス 77 をダイヤルして MLPP 即時コールを開始できるように 77.XXXX のトランスレーション パターンを設定しています。
2. Cisco Unified Communications Manager はユーザ 1000 にダイヤルし、ユーザ 1000 はコールに対応します。
3. ユーザ 2000 とユーザ 1000 との間のメディアは、SRTP を介して設定されるので、セキュアなロック アイコンは、両方の IP Phone に表示されます。
4. ユーザ 2000 が、[保留(Hold)] キーを押すと、Cisco Unified Communications Manager は、ユーザ 2000 とユーザ 1000 との間のメディア接続を切断して、ユーザ 1000 のデバイスに MOH を挿入します。暗号化された MOH メディアは、SRTP を使用してユーザ 1000 にストリーミングされます。ユーザ 1000 の IP Phone のロック アイコンは、MOH 再生中、表示されたままです。
例
次に、非セキュアなコールの暗号化 MOH の例を示します。
1. ユーザ 1000 が、ユーザ 2000 にダイヤルします。
2. ユーザ 2000 がコールに対応します。
3. ユーザ 1000 とユーザ 2000 との間のメディア ストリーミングは、ユーザ 1000 の IP Phone がセキュアではないため、暗号化されません。
4. ユーザ 1000 が、[保留(Hold)] キーを押すと、Cisco Unified Communications Manager は、ユーザ 1000 とユーザ 2000 との間のメディア接続を切断します。Cisco Unified Communications Manager は、MOH をユーザ 2000 に挿入します。MOH サーバおよびユーザ 2000 のデバイスは両方とも暗号化に対応しているので、SRTP を使用して、MOH メディアがユーザ 2000 に再生されます。
例
次の例では、非セキュアなデバイスに暗号化されていない保留音を再生するセキュアな MOH の例について説明します。
電話がセキュアではない場合、デバイスのコールが保留にされると、挿入される MOH は、暗号化されていないメディアを電話にストリーミングします。
1. ユーザ 1000 が、ユーザ 2000 にダイヤルします。
2. ユーザ 2000 がコールに対応します。ユーザ 1000 の IP Phone は、非セキュアなデバイスです。
3. ユーザ 2000 とユーザ 1000 との間のメディア ストリームは、RTP で設定されます。
4. ユーザ 2000 が、[保留(Hold)] キーを押すと、Cisco Unified Communications Manager は、ユーザ 2000 とユーザ 1000 との間のメディア接続を切断して、ユーザ 1000 に保留音を挿入します。MOH は暗号化に対応しますが、受信デバイスが SRTP 対応ではないので、MOH は、RTP を使用してユーザ 1000 にストリーミングします。
例
次の例では、MOH のセキュリティが無効なときに、優先コールに挿入される非セキュアな MOH について説明します。
高度なサービス パラメータ [クラスタセキュリティが混合の場合にMOHを非セキュアにする(Make MOH Non-secure when Cluster Security is Mixed)] が [True] に設定されると、MOH サーバは、SRTP 対応デバイスとして Cisco Unified Communications Manager に登録できません。
1. ユーザ 2000 が、ユーザ 1000 にダイヤルします。
2. ユーザ 1000 がコールに対応します。
3. ユーザ 2000 とユーザ 1000 との間のメディア ストリームは、SRTP で設定されます。両方の IP Phone にロック アイコンが表示されます。
4. ユーザ 2000 が、[保留(Hold)] キーを押すと、Cisco Unified Communications Manager は、ユーザ 2000 とユーザ 1000 との間のメディア接続を切断して、ユーザ 1000 に MOH を挿入します。高度なサービス パラメータ [クラスタセキュリティが混合の場合にMOHを非セキュアにする(Make MOH Non-secure when Cluster Security is Mixed)] が [True] に設定されると、MOH は、RTP を使用してユーザ 1000 にストリーミングされます。
例
次の例では、Tone On Hold(TOH; 保留トーン)に挿入される暗号化アナンシエータについて説明します。
MOH が使用できない場合、アナンシエータが保留された側に挿入され、保留トーンが再生されることがあります。
アナンシエータの詳細については、を参照してください。
1. ローカル クラスタのユーザ 2000 が、2 つのクラスタシステムをリンクする SIP トランクを介して、86000 をダイヤルして、リモート クラスタのユーザ 6000 と接続します。
2. リモート クラスタのユーザ 6000 が、コールに対応します。
3. ユーザ 2000 とユーザ 6000 との間のメディア接続は、SRTP で設定されるので、両方の IP Phone に、セキュアなロック アイコンが表示されます。
4. リモート クラスタのユーザ 6000 が [保留(Hold)] キーを押します。
5. リモート クラスタの Cisco Unified Communications Manager は、ユーザ 2000 とユーザ 6000 との間のメディア接続を切断して、SIP トランクを介してアナンシエータをユーザ 6000 に挿入します。
例
次の例では、SRTP 対応デバイスへのセキュアなコールの打診転送について説明します。
セキュアなコールが転送され、コールを転送する発信者が [転送(Transfer)] キーを押すと、そのコールは事実上、保留状態になります。そのため、コールを転送する発信者が、再び [転送(Transfer)] キーを押して転送を完了するまで、MOH がコール挿入されます。
MOH サーバもセキュアなデバイスである場合、コールの転送先の発信者のセキュリティ ステータスは、ダウングレードされず、コールは、転送プロセス中そのセキュリティ ステータスを保持します。
1. ユーザ 2000 が、ユーザ 1000 にダイヤルします。
2. ユーザ 1000 がコールに対応します。
3. ユーザ 1000 とユーザ 2000 との間のメディア ストリーミングは、暗号化されます。両方のユーザの IP Phone に、セキュアなロック アイコンが表示されます。
4. ユーザ 2000 が [転送(Transfer)] キーを押します。
5. Cisco Unified Communications Manager は、ユーザ 1000 とユーザ 2000 との間のメディア接続を切断して、MOH をユーザ 1000 に挿入します。MOH サーバおよびユーザ 1000 の IP Phone は両方とも暗号化に対応しているので、SRTP を使用して、MOH メディアがユーザ 1000 に再生されます。ロック アイコンは、ユーザ 1000 の電話に表示されたままです。
6. ユーザ 2000 が、ユーザ 3000 にダイヤルします。
7. ユーザ 3000 がコールに対応します。
8. 暗号化されたメディア接続が、コンサルテーション コールに確立されます。ロック アイコンが、ユーザ 2000 とユーザ 3000 の両方の電話に表示されます。
9. ユーザ 2000 が、[転送(Transfer)] キーを再び押すと、Cisco Unified Communications Manager は、ユーザ 2000 とユーザ 3000 との間のメディア接続を切断します。その後、ユーザ 3000 とユーザ 1000 との間に暗号化されたメディアが確立されます。ロック アイコンが、ユーザ 3000 とユーザ 1000 の両方の IP Phone に表示されます。
例
次の例では、非セキュアなデバイスへのセキュアなコールの打診転送について説明します。
1. ユーザ 2000 が、ユーザ 1000 にダイヤルします。
2. ユーザ 1000 がコールに対応します。
3. ユーザ 1000 とユーザ 2000 との間のメディア ストリーミングが暗号化され、ロック アイコンがユーザ 1000 とユーザ 2000 の IP Phone に表示されます。
4. ユーザ 2000 が [転送(Transfer)] キーを押します。
5. Cisco Unified Communications Manager は、ユーザ 1000 とユーザ 2000 との間のメディア接続を切断して、MOH をユーザ 1000 に挿入します。MOH サーバと受信側デバイスの両方が暗号化に対応しているので、SRTP を使用して、MOH メディアがユーザ 1000 に再生されます。ユーザ 1000 の IP Phone のロック アイコンは表示されたままです。
6. ユーザ 2000 が、ユーザ 3000 にダイヤルします。
7. ユーザ 3000 がコールに対応します。
8. ユーザ 3000 は SRTP に対応していないので、ユーザ 2000 とユーザ 3000 の IP Phone にはセキュアなロック アイコンは表示されません。
9. ユーザ 2000 が [転送(Transfer)] キーを再び押します。Cisco Unified Communications Manager は、ユーザ 2000 とユーザ 3000 との間のメディアを切断します。その後、暗号化されていないメディアが、ユーザ 3000 とユーザ 1000 との間で確立されます。ユーザ 1000 の IP Phone のロック アイコンは表示されなくなります。
例
次の例では、SRTP 対応デバイスへの非セキュアなコールの打診転送について説明します。
この例では、コールを転送する発信者が [転送(Transfer)] キーを押した直後にコールが転送された発信者のデバイスに、セキュアなロック アイコンが表示されます。
1. ユーザ 2000 が、ユーザ 1000 にダイヤルします。
2. ユーザ 1000 がコールに対応します。
3. ユーザ 1000 とユーザ 2000 との間のメディア ストリーミングは、ユーザ 2000 の IP Phone が SRTP 対応ではないため、暗号化されません。
4. ユーザ 2000 が [転送(Transfer)] キーを押します。
5. Cisco Unified Communications Manager は、ユーザ 1000 とユーザ 2000 との間のメディア接続を切断して、MOH をユーザ 1000 に挿入します。MOH サーバおよびユーザ 1000 の受信デバイスは両方とも暗号化に対応しているので、SRTP を使用して、MOH メディアがユーザ 1000 に再生されます。ロック アイコンが、ユーザ 1000 の IP Phone に表示されます。
6. ユーザ 2000 が、ユーザ 3000 にダイヤルします。
7. ユーザ 3000 がコールに対応します。
8. ユーザ 2000 が、[転送(Transfer)] キーを押すと、Cisco Unified Communications Manager は、ユーザ 2000 とユーザ 3000 との間のメディア接続を切断します。その後、両方のデバイスが SRTP に対応しているので、暗号化されたメディアが、ユーザ 3000 とユーザ 1000 との間で確立されます。ロック アイコンが、ユーザ 1000 とユーザ 3000 の IP Phone に表示されます。
例
次の例では、SRTP 対応デバイスへのセキュアなコールのブラインド転送について説明します。
コールを転送する発信者が、転送先の番号をダイヤルした直後に、[転送(Transfer)] キーを押すと、セキュアな MOH が一時的に挿入され、転送先で呼び出し音が鳴っている間に削除されます。コールの転送先の発信者が、呼び出し音を聞きます。コールの転送先の発信者にメディアが接続されないため、IP Phone にセキュアなロック アイコンは表示されません。ロック アイコンは、コールに対応された場合のみ表示されます。
1. ユーザ 2000 が、ユーザ 1000 にダイヤルします。
2. ユーザ 1000 がコールに対応します。
3. ユーザ 1000 とユーザ 2000 との間のメディア ストリーミングは、暗号化されます。ロック アイコンが、ユーザ 1000 とユーザ 2000 の IP Phone に表示されます。
4. ユーザ 2000 が [転送(Transfer)] キーを押します。
5. Cisco Unified Communications Manager は、ユーザ 1000 とユーザ 2000 との間のメディア接続を切断して、MOH をユーザ 1000 に挿入します。MOH サーバおよびユーザ 1000 の受信デバイスは両方とも暗号化に対応しているので、SRTP を使用して、MOH メディアがユーザ 1000 に再生されます。ロック アイコンが、ユーザ 1000 の IP Phone に表示されます。
6. ユーザ 2000 が、ユーザ 3000 にダイヤルして、[転送(Transfer)] キーを再び押します。
7. ユーザ 3000 の IP Phone が鳴ります。Cisco Unified Communications Manager は、ユーザ 1000 から MOH を削除し、ユーザ 3000 の IP Phone が鳴っている間、ユーザ 1000 の IP Phone で呼び出し音が鳴ります。ロック アイコンは、ユーザ 1000 の IP Phone から削除されます。
8. ユーザ 3000 がコールに対応します。
9. 暗号化されたメディア接続が、ユーザ 1000 とユーザ 3000 の IP Phone 間で確立されます。ロック アイコンが、ユーザ 1000 とユーザ 3000 の IP Phone に表示されます。
例
次の例では、リモート クラスタのセキュアなコールのブラインド転送について説明します。
この例では、ユーザ 5000 は、ユーザ 6000 にコールをブラインド転送すると、リモート クラスタの Cisco Unified Communications Manager は、最初に、ローカル クラスタのユーザ 2000 に MOH を挿入してから、これを削除し、アナンシエータをユーザ 2000 に挿入して呼び出し音を再生します。ユーザ 6000 がコールに対応すると、ユーザ 2000 とユーザ 6000 との間のメディア接続が確立されます。
アナンシエータ、MOH、およびリモート クラスタのユーザ 6000 はすべて SRTP をサポートしているので、ブラインド転送プロセス全体で、ユーザ 2000 の IP Phone にロック アイコンが表示されます。
アナンシエータの詳細については、を参照してください。
1. ユーザ 2000 は、85000 にダイヤルして、リモート クラスタのユーザ 5000 に接続します。
2. リモート クラスタのユーザ 2000 が、コールに対応します。
3. 暗号化されたメディアが、リモート クラスタのユーザ 2000 とユーザ 5000 との間で確立されます。ロック アイコンが、ユーザ 2000 とユーザ 5000 の IP Phone に表示されます。
4. リモート クラスタのユーザ 5000 が [転送(Transfer)] キーを押します。
5. リモート クラスタの Cisco Unified Communications Manager は、ローカル クラスタのユーザ 5000 とユーザ 2000 との間のメディアを切断して、ローカル クラスタのユーザ 2000 に MOH を挿入します。MOH サーバおよびユーザ 2000 の受信 IP Phone は両方とも暗号化に対応しているので、SRTP を使用して、MOH メディアがユーザ 2000 に再生されます。ロック アイコンは、ユーザ 2000 の IP Phone で保持されます。
6. ユーザ 5000 が、ユーザ 6000 にダイヤルして、[転送(Transfer)] キーを再び押します。
7. リモート クラスタの Cisco Unified Communications Manager が、ユーザ 6000 にダイヤルします。
8. リモート クラスタの Cisco Unified Communications Manager が、MOH を削除して、アナンシエータをユーザ 2000 に挿入し、インバンド呼び出し音を再生します。アナンシエータとユーザ 2000 の IP Phone は両方とも暗号化に対応しているので、SRTP を使用して、呼び出し音が再生されます。電話が呼び出し音を受信する場合、ロック アイコンが、ユーザ 2000 の IP Phone で保持されます。
9. リモート クラスタのユーザ 6000 が、コールに対応します。
10. 暗号化されたメディアが、リモート クラスタのユーザ 2000 とユーザ 6000 との間で確立されます。ロック アイコンが、ユーザ 2000 とユーザ 6000 の IP Phone に表示されます。
(注) SIP トランクが暗号化モードに設定されていることを確認して、[SIPトランク(SIP trunk)] ページの [SRTPを許可(SRTP Allowed)] チェックボックスをオンにします。