電話システム連動の動作
電話システム連動は、次のコンポーネントが正常に動作しているかどうかに依存します。
• 物理的な接続(PIMG/TIMG 連動の場合)またはネットワーク接続(Cisco Unified Communications Manager、Cisco Unified Communications Manager Express、SIP Proxy Server、および QSIG 対応の電話システム)を行うために必要な回線とケーブル。電話システムは、連動の種類に応じて、さまざまな回線の組み合せによって接続されます。詳細については、次の該当する項を参照してください。
– 「Cisco Unified Communications Manager との連動」
– 「デジタル PIMG 装置とのデジタル連動」
– 「アナログ PIMG 装置との DTMF 連動」
– 「シリアル(SMDI、MCI、または MD-110)装置とアナログ PIMG 装置の連動」
– 「TIMG シリアル(SMDI、MCI、または MD-110)連動」
– 「TIMG のインバンド連動」
• 電話システムでの設定と Connection での設定。詳細については、「電話システムでの設定と Cisco Unity Connection での設定」を参照してください。
• 電話システムと Connection で交換される通話情報。詳細については、「電話システムと Cisco Unity Connection で交換される通話情報」を参照してください。
• 通話の状態を判断して制御するためのコール制御(通話の設定、監視、および切断に使用される信号)。詳細については、「コール制御」を参照してください。
Cisco Unified Communications Manager との連動
Cisco Unified Communications Manager、Cisco Unified Communications Manager Express、および SIP Proxy Server は、ネットワーク接続を使用して Cisco Unity Connection とのすべての通信を行います。図 7-1 に、Cisco Unified CM との連動で使用するネットワーク接続を示します。
図 7-1 Cisco Unified Communications Manager と連動する場合の接続
詳細については、「Cisco Unified Communications Manager との連動(SCCP または SIP を使用)」を参照してください。
デジタル PIMG 装置とのデジタル連動
電話システムは、デジタル回線を経由して、通話情報、MWI 要求、およびボイス接続を送信します。これにより、電話システムが PIMG 装置(メディア ゲートウェイ)に接続されます。PIMG 装置は、セッション開始プロトコル(SIP)を使用して、LAN または WAN 経由で Cisco Unity Connection サーバと通信します。図 7-2 に、デジタル PIMG 装置を使用したデジタル連動で使用される接続を示します。
図 7-2 デジタル PIMG 装置を使用したデジタル連動の接続
アナログ PIMG 装置との DTMF 連動
電話システムは、アナログ回線を経由して、通話情報、MWI 要求、およびボイス接続を送信します。これにより、電話システムが PIMG 装置(メディア ゲートウェイ)に接続されます。PIMG 装置は、セッション開始プロトコル(SIP)を使用して、LAN または WAN 経由で Cisco Unity Connection サーバと通信します。図 7-3 に、アナログ PIMG 装置を使用した DTMF 連動の接続を示します。
図 7-3 アナログ PIMG 装置を使用した DTMF 連動の接続
シリアル(SMDI、MCI、または MD-110)装置とアナログ PIMG 装置の連動
電話システムは、データ リンクを経由して、通話情報と MWI 要求を送信します。データ リンクとは、電話システムとマスターの PIMG 装置(メディア ゲートウェイ)を接続する RS-232 シリアル ケーブルです。電話システムと PIMG 装置の間のボイス接続は、アナログ回線を経由して送信されます。PIMG 装置は、Session Initialization Protocol(SIP)を使用して、LAN または WAN 経由で Cisco Unity Connection サーバと通信します。図 7-4 に、アナログ PIMG 装置を使用したシリアル連動の接続を示します。
図 7-4 アナログ PIMG 装置を使用したシリアル(SMDI、MCI、または MD-110)連動の接続
(注) 複数の PIMG 装置を使用する場合は、PIMG 装置の 1 つをマスター PIMG 装置に指定する必要があります。マスター PIMG 装置は電話システムからのシリアル ケーブルと接続します。PIMG 装置のシリアル ポートを「デイジー チェーン接続」することはできません。
連動にセカンダリのマスター PIMG 装置を追加できます。詳細については、『PIMG Integration Guide for Cisco Unity Connection Release 7.x』の付録「Appendix: Adding a Secondary Master PIMG Unit」を参照してください。
TIMG シリアル(SMDI、MCI、または MD-110)連動
回線交換電話システムと IP ネットワークの間の TIMG 連動では、1 つまたは複数の TIMG 装置を使用します。回線交換電話システム側には、T1-CAS インターフェイスがあります。IP 側には SIP インターフェイスがあり、これを使用して Cisco Unity Connection は TIMG 装置と通信します。Connection に対する連動は、基本的に SIP 連動です。Connection は、SIP プロトコルおよび RTP プロトコルを使用して、IP ネットワーク経由で TIMG 装置と通信します。TIMG 装置は、シリアル プロトコル(SMDI、MCI、または MD-110)を使用して、電話ネットワーク経由で回線交換電話システムと通信します。
電話システムは、データ リンクを経由して、通話情報と MWI 要求を送信します。データ リンクとは、電話システムとマスターの TIMG 装置を接続する RS-232 シリアル ケーブルです。電話システムと TIMG 装置の間のボイス接続は、T1 デジタル回線を経由して送信されます。TIMG 装置は、Session Initialization Protocol(SIP)を使用して、LAN または WAN 経由で Cisco Unity Connection サーバと通信します。図 7-5 に、TIMG 装置を使用したシリアル連動の接続を示します。
図 7-5 TIMG 装置を使用したシリアル連動の接続
TIMG のインバンド連動
電話システムは、T1 デジタル回線を経由して、通話情報、MWI 要求、およびボイス接続を送信します。これにより、電話システムと TIMG 装置が接続されます。TIMG 装置は、Session Initialization Protocol(SIP)を使用して、LAN または WAN 経由で Cisco Unity Connection サーバと通信します。図 7-6 に、TIMG 装置を使用したインバンド連動に必要な接続を示します。
図 7-6 TIMG 装置を使用したインバンド連動の接続
電話システムと Cisco Unity Connection で交換される通話情報
電話システムと Cisco Unity Connection は、通話を管理し、連動機能を有効にするために、通話情報を交換します。通常、電話システムと Connection の間では、通話ごとに次の通話情報が渡されます。
• 着信側の内線番号。
• 発信側の内線番号(内線の場合)、または発信側の電話番号(外線の場合で、電話システムが発信者 ID をサポートしている場合)。
• 転送の理由(その内線番号が通話中である、応答しない、またはすべての通話を転送するように設定されている)。直接コールにも理由コードがあります。
また、Cisco Unified Communications Manager SCCP および SIP トランク連動では、次の通話情報を提供できます。
• 送信先番号
• 最初のリダイレクト番号
• 最後のリダイレクト番号
(注) Connection は、Cisco Unity Connection Administration の [システム設定] > [詳細設定] > [カンバセーション] ページにある [着信コールのルーティングに(最初ではなく)最後のリダイレクト番号を使用する] チェックボックスの設定に応じて、最初のリダイレクト番号または最後のリダイレクト番号のいずれかを使用できます。
電話システムが必要な情報を送信し、Connection が正しく設定されている場合は、連動によって次の連動機能が提供されます。
• パーソナル グリーティングへの自動転送
• 通話中グリーティングへの自動転送
• 発信者 ID
• メッセージへの簡単なアクセス(Connection は通話を発信した内線番号に基づいてユーザを識別するため、ユーザは ID を入力せずにメッセージを取得できる。パスワードが必要になる場合がある)
• 識別されたユーザのメッセージ(Connection は、通話を発信した内線に基づいて、内線の転送中にメッセージを残したユーザを識別する)
• Message waiting indicator(MWI; メッセージ受信インジケータ)
コール制御
電話システムでは、一連の信号を使用して通話のための接続を設定、監視、および解放します。Cisco Unity Connection はコール制御信号を監視して通話の状態を判断します。また、これらの信号を使用して電話システムのアクションに適切に対応し、電話システムと通信します。たとえば、メッセージを録音している発信者が電話を切ると、Connection は通話が終了したことを検出して録音を停止します。
電話システムに応じて、次の種類のコール制御信号が使用されます。
Cisco Unified Communications Manager
|
Skinny Call Control Protocol(SCCP)連動の場合、Cisco Unified Communications Manager は SCCP メッセージを生成します。このメッセージは Cisco Unity Connection によって変換されます。 SIP トランク連動の場合、Cisco Unified CM は SIP メッセージを送信し、Connection は通話の設定時または終了時に SIP 応答を送信します。 |
PIMG/TIMG 装置を使用した回線交換電話システム
|
電話システムは PIMG または TIMG 装置(メディア ゲートウェイ)にメッセージを送信し、メディア ゲートウェイは該当する SIP メッセージを Connection に送信します。Connection は通話の設定時または終了時に SIP 応答を送信し、PIMG または TIMG 装置はその電話システムと通信します。 |
電話システムからユーザへの通話パスの例
次の手順では、電話システムからユーザに移動する場合に外線着信が通る可能性があるパスの例を示します。
1. Cisco Unified Communications Manager の場合、外線通話が着信すると、ゲートウェイは LAN または WAN 経由で通話を Cisco Unified CM に送信します。Cisco Unified CM は Cisco Unity Connection ボイスメール パイロット番号に通話をルーティングします。
回路交換電話システムの場合、PSTN、TI/PRI、DID または LS/GS アナログ トランク経由で外線通話が着信すると、電話システムは通話を Cisco Unity Connection ボイスメール パイロット番号にルーティングします。
2. 電話システムは通話を使用可能な Cisco Unity Connection ボイス メッセージ ポートにルーティングします。
3. Connection は通話に応答し、ガイダンスを再生します。
4. ガイダンスの間に、発信者は内線を入力します。たとえば、発信者は 1234 を入力してその内線の人にアクセスします。
5. Connection は、内線 1234 への通話があることを電話システムに通知します。
6. Connection にリリース転送が設定されているか、管理された転送が設定されているかに応じて、次の状況が発生します。
|
Connection は通話を電話システムに渡します。電話システムは、その回線が使用可能かどうかの判断を待たずに通話を内線 1234 に送信します。その後、電話システムと Connection はループから抜けます。この設定では、回線が通話中または応答しないときに Connection でメッセージを録音したい場合、回線が通話中または応答しないときに Connection に通話を転送するように各電話機で設定する必要があります。 |
|
Connection が通話を保留している間に、電話システムは内線 1234 との接続を確立しようとします。 回線が使用可能である場合、電話システムは Connection から内線 1234 への通話を接続します。電話システムと Connection がループから抜け出し、通話は元の発信者から内線 1234 に直接接続されます。 回線が通話中であるか応答しない場合、電話システムはその情報を Connection に提供し、Connection はユーザが指定した操作を実行します。たとえば、Connection はメッセージを録音します。 |
Cisco Unified Communications Manager との連動(SCCP または SIP を使用)
Cisco Unity Connection は、SCCP および SIP インターフェイスを使用した Cisco Unified Communications Manager との連動をサポートしています。 表 7-1 にこれらの連動方法の主な違いを示します。
表 7-1 SCCP と SIP の連動方法の違い(Cisco Unified Communications Manager との連動)
|
|
|
通信方法 |
SCCP プロトコル |
SIP トランク |
Cisco Unity Connection クラスタ(アクティブ/アクティブ高可用性) |
サポート済み |
サポート済み |
SCCP および SIP 電話機の使用 |
サポート済み |
サポート済み |
Cisco Unified CM のサポート バージョン |
バージョン 4.1(x) 以降 |
バージョン 5.x 以降 |
Cisco Unified CM の認証と暗号化 |
サポート済み |
サポート済み(Cisco Unity Connection Release 7.x 以降に限る) |
最初または最後のリダイレクト番号 |
サポート済み |
サポート済み |
QOS |
サポート済み |
サポート済み |
Connection と Cisco Unified CM のバージョンの互換性の詳細については、次のドキュメントを参照してください。
• 『 SCCP Compatibility Matrix: Cisco Unity Connection, Cisco Unified Communications Manager, and Cisco Unified Communications Manager Express 』( http://www.cisco.com/en/US/docs/voice_ip_comm/connection/compatibility/matrix/cucsccpmtx.html )
• 『 SIP Trunk Compatibility Matrix: Cisco Unity Connection, Cisco Unified Communications Manager, and Cisco Unified Communications Manager Express 』( http://www.cisco.com/en/US/docs/voice_ip_comm/connection/compatibility/matrix/cucsiptrunkmtx.html )
Connection と Cisco Unified CM の連動方法の詳細については、該当する Cisco Unity Connection Integration Guideを参照してください。このドキュメントは、 http://www.cisco.com/en/US/products/ps6509/products_installation_and_configuration_guides_list.html から入手可能です。
Connection と Cisco Unified CM を連動させる場合の SIP プロトコルの使用の詳細については、「SIP を使用した連動」を参照してください。
Cisco Unified CM に利用できるボイス メッセージ ソリューションの情報については、『 Cisco Unified Communications SRND Based on Cisco Unified Communications Manager 7.x 』の「Cisco Voice Messaging」の章を参照してください。このドキュメントは、 http://www.cisco.com/en/US/docs/voice_ip_comm/cucm/srnd/7x/vmessage.html から入手可能です。
Cisco Unified Communications Manager のセキュリティ機能
SCCP 連動の場合は Cisco Unified Communications ManagerRelease 4.1(3)以降、SIP トランク連動の場合は Cisco Unified Communications Manager Release 7.x 以降で、Cisco Unity Connection との接続をセキュリティの脅威から保護できます。Connection が利用できる Cisco Unified CM のセキュリティ機能を 表 7-2 に示します。
表 7-2 Cisco Unity Connection が使用する Cisco Unified Communications Manager のセキュリティ機能
|
|
シグナリング認証 |
Transport Layer Security(TLS; トランスポート層セキュリティ)プロトコルを使用して、シグナリング パケットが転送中に改ざんされていないことを検証します。シグナリング認証は Cisco Certificate Trust List(CTL; 証明書信頼リスト)ファイルの作成に依存します。 この機能によって、次の脅威から保護されます。 • Cisco Unified CM と Connection ボイス メッセージ ポートの間の情報フローを改変する中間者攻撃 • コール シグナリングの改変 • Connection ボイス メッセージ ポートの ID 盗用 • Cisco Unified CM サーバの ID 盗用 |
デバイス認証 |
デバイスの ID を検証します。この処理は、各デバイスが他のデバイスの証明書を受け入れるときに、Cisco Unified CM と Connection ボイス メッセージ ポートの間で行われます。証明書が受け入れられると、デバイス間に安全な接続が確立されます。デバイス認証は Cisco Certificate Trust List(CTL; 証明書信頼リスト)ファイルの作成に依存します。 この機能によって、次の脅威から保護されます。 • Cisco Unified CM と Connection ボイス メッセージ ポートの間の情報フローを改変する中間者攻撃 • メディア ストリームの改変 • Connection ボイス メッセージ ポートの ID 盗用 • Cisco Unified CM サーバの ID 盗用 |
シグナリング暗号化 |
暗号化の方法を使用して、Connection ボイス メッセージ ポートとCisco Unified CM の間で送信されるすべての SCCP および SIP シグナリング メッセージの機密を保護します。シグナリング暗号化によって、相手に関連する情報、相手が入力した DTMF 番号、通話の状態、メディア暗号キーなどの情報が意図しないアクセスや不正なアクセスから保護されることが保証されます。 この機能によって、次の脅威から保護されます。 • Cisco Unified CM と Connection ボイス メッセージ ポートの間の情報フローを監視する中間者攻撃 • Cisco Unified CM と Connection ボイス メッセージ ポートの間のシグナリング情報フローを監視するネットワーク トラフィック スニフィング |
メディアの暗号化 |
IETF RFC 3711 で定義されている Secure Real Time Protocol(SRTP)を使用して、目的の受信者だけが Connection ボイス メッセージ ポートとエンドポイント(電話機やゲートウェイなど)の間のメディア ストリームを解釈できることを保証します。暗号化されるのはオーディオ ストリームだけです。メディア暗号化では、デバイスのメディア マスターのキー ペアの作成、Connection とエンドポイントへのキーの配布、キーが転送される間のキーの配布のセキュリティの確保などが含まれます。Connection とエンドポイントは、そのキーを使用してメディア ストリームの暗号化と復号化を行います。 この機能によって、次の脅威から保護されます。 • Cisco Unified CM と Connection ボイス メッセージ ポートの間のメディア ストリームを傍受する中間者攻撃 • Cisco Unified CM が管理する Cisco Unified CM、Connection ボイス メッセージ ポート、および IP Phone の間を流れる電話通話を盗聴するネットワーク トラフィックのスニフィング メディア暗号化には認証とシグナリング暗号化が必要です。つまり、デバイスが認証とシグナリング暗号化をサポートしていない場合、メディア暗号化を行うことはできません。 |
Cisco Unified CM の認証と暗号化は Connection への通話だけを保護することに注意してください。Connection に録音されたメッセージは Cisco Unified CM の認証と暗号化によって保護することはできませんが、Connection の安全なメッセージング機能によって保護できます。
安全なメッセージングの詳細については、『 System Administration Guide for Cisco Unity Connection Release 7.x 』の「 Securing User Messages: Controlling Access and Distribution 」の章を参照してください。
SCCP 連動の場合、Connection と Cisco Unified CM の間のセキュリティ機能(認証および暗号化)には、次のものが必要です。
• セキュア クラスタ用に Cisco Unity Connection Administration に入力されたすべての Cisco Unified CM サーバを一覧表示する Cisco Unified CM CTL ファイル。
• 認証または暗号化(あるいはその両方)を使用する各 Connection サーバの Connection サーバ ルート証明書。ルート証明書は作成された時点から 20 年間有効です。
• Connection サーバのルート証明書をルートとし、ボイス メッセージ ポートが Cisco Unified CM への登録時に提示する、Connection ボイス メッセージ ポートまたはポート グループのデバイス証明書。
Connection ボイス メッセージ SCCP ポートの認証および暗号化処理は、次のように実行されます。
1. 各 Connection ボイス メッセージ ポートは TFTP サーバに接続し、TFTP ポート 69 を使用して CTL ファイルをダウンロードし、すべての Cisco Unified CM サーバの証明書を抽出します。
2. 各 Connection ボイス メッセージ ポートは Cisco Unified CM TLS ポートへのネットワーク接続を確立します。デフォルトでは、TLS ポートは 2443 ですが、ポート番号は設定可能です。
3. 各 Connection ボイス メッセージ ポートは Cisco Unified CM サーバへの TLS 接続を確立します。その時にデバイス証明書が確認され、ボイス メッセージ ポートが認証されます。
4. 各 Connection ボイス メッセージ ポートが Cisco Unified CM サーバに登録され、ボイス メッセージ ポートがメディア暗号化も使用するかどうかを指定します。
Connection ボイス メッセージ SIP ポート グループの認証および暗号化処理は、次のように実行されます。
1. 各 Connection ボイス メッセージ ポート グループは TFTP サーバに接続し、TFTP ポート 69 を使用して CTL ファイルをダウンロードし、すべての Cisco Unified CM サーバの証明書を抽出します。
2. 各 Connection ボイス メッセージ ポート グループは Cisco Unified CM TLS ポートへのネットワーク接続を確立します。デフォルトでは、TLS ポートは 2443 ですが、ポート番号は設定可能です。
3. 各 Connection ボイス メッセージ ポート グループは Cisco Unified CM サーバへの TLS 接続を確立します。その時にデバイス証明書が確認され、ボイス メッセージ ポート グループが認証されます。
4. 各 Connection ボイス メッセージ ポート グループが Cisco Unified CM サーバに登録され、ボイス メッセージ ポート グループがメディア暗号化も使用するかどうかを指定します。
データが暗号化される場合
Cisco Unity Connection と Cisco Unified CM の間で通話が行われる場合、コールシグナリング メッセージとメディア ストリームは次の方法で処理されます。
• 両方のエンドポイントが暗号化モードに設定されている場合、コールシグナリング メッセージとメディア ストリームが暗号化されます。
• 一方のエンドポイントが認証モードに設定され、もう一方のエンドポイントが暗号化モードに設定されている場合、コールシグナリング メッセージが認証されます。ただし、コールシグナリング メッセージもメディア ストリームも暗号化されません。
• 一方のエンドポイントが非セキュア モードに設定され、もう一方のエンドポイントが暗号化モードに設定されている場合、コールシグナリング メッセージもメディア ストリームも暗号化されません。
Cisco Unity Connection での Cisco Unified Communications Manager クラスタのセキュリティ モードの設定
Cisco Unity Connection Administration の [セキュリティ モード] の設定によって、ポートがコールシグナリング メッセージを処理する方法と、メディア ストリームの暗号化が可能かどうかが決まります。 表 7-3 では、SCCP 連動の各ポートに対する [テレフォニー統合] > [ポート] > [ポートの基本設定] ページの [セキュリティ モード] の設定の効果について説明します。
表 7-3 SCCP 連動でのボイス メッセージ ポートに対するセキュリティ モードの設定
|
|
[非セキュア] |
コールシグナリング メッセージがクリア(暗号化されていない)テキストとして送信され、認証された TLS ポートではなく非認証ポートを使用して Cisco Unified CM に接続されるため、コールシグナリング メッセージの完全性とプライバシーは保証されません。 また、メディア ストリームも暗号化できません。 |
[認証] |
コールシグナリング メッセージは認証された TLS ポートを使用して Cisco Unified CM に接続されるため、完全性が保証されます。ただし、クリア(暗号化されていない)テキストで送信されるため、コールシグナリング メッセージのプライバシーは保証されません。 また、メディア ストリームも暗号化されません。 |
[暗号化] |
コールシグナリング メッセージは認証された TLS ポートを使用して Cisco Unified CM に接続され、暗号化されるため、完全性とプライバシーが保証されます。 また、メディア ストリームも暗号化できます。
注意 メディア ストリームが暗号化されるようにするには、両方のエンドポイントが暗号化モードで登録されている必要があります。ただし、一方のエンドポイントが非セキュア モードまたは認証モードに設定され、もう一方のエンドポイントが暗号化モードに設定されている場合、メディア ストリームは暗号化されません。また、仲介デバイス(トランスコーダやゲートウェイなど)で暗号化が有効になっていない場合も、メディア ストリームは暗号化されません。
|
セキュリティの無効化と再有効化
Cisco Unity Connection と Cisco Unified CM の間の認証および暗号化機能を有効化または無効化するには、すべての Cisco Unified CM クラスタの [セキュリティ モード] を [非セキュア] に変更し、さらに Cisco Unified Communications Manager Administration で該当する設定を変更します。
認証および暗号化を再度有効にするには、[セキュリティ モード] を [認証] または [暗号化] に変更します。
(注) 認証および暗号化を無効にした場合や再度有効にした場合、Connection サーバ ルート証明書をエクスポートしてすべての Cisco Unified CM サーバにコピーする必要はありません。
複数のクラスタへの異なるセキュリティ モードの設定
Cisco Unity Connection に複数の Cisco Unified CM 電話システム連動が含まれている場合は、Cisco Unified CM 電話システム連動ごとに異なる [セキュリティ モード] の設定を保持できます。たとえば、1 番目の Cisco Unified CM 電話システム連動を [暗号化] に設定し、2 番目の Cisco Unified CM 電話システム連動を [非セキュア] に設定することができます。
個別のボイス メッセージ ポートの設定
トラブルシューティングを行う場合は、Cisco Unity Connection ボイス メッセージ ポートの認証および暗号化の有効と無効を個別に切り替えることができます。それ以外の場合は、Cisco Unified CM ポート グループ内のすべてのボイス メッセージ ポートを同一の [セキュリティ モード] 設定にしておくことをお勧めします。
パケット化
Real-Time Transport Protocol(RTP; リアルタイム転送プロトコル)は、IP ネットワーク上でのオーディオ パケットの送受信に使用されます。連続していない各パケットには固定サイズのヘッダーがありますが、パケット自体のサイズは転送されるオーディオ ストリームのサイズ(コーデックにより異なる)およびパケット化の設定によって異なります。この可変サイズ機能によって、ネットワークの帯域幅をより効率的に利用できます。通話ごとに作成されるパケット数を減らすと、ネットワーク上で送信される合計バイト数が少なくなります。
パケット化は、Cisco Unified CM サービス パラメータ、Preferred G711 Millisecond PacketSize パラメータ、および Preferred G729 Millisecond PacketSize パラメータで設定します。Cisco Unity Connection は、G.711 オーディオの場合は最大 30 ミリ秒のパケット サイズ、G.729a オーディオの場合は最大 60 ミリ秒のパケット サイズをサポートしています。いずれの場合もデフォルト設定は 20 ミリ秒で、設定値が低い場合は遅延の問題が発生する場合があります。
DSCP は各パケットでの優先設定です。DSCP を使用すると、中間のルータはネットワークの輻輳を管理し、他のパケットの前に優先させるパケットを知らせることができます。Cisco AVVID の規格に従い、Connection は SCCP と SIP のパケット(コール制御)にデフォルトの DSCP 値 24(TOS オクテットは 0x60)を使用してマークを付け、RTP パケット(オーディオ トラフィック)にはデフォルトの DSCP 値 46(TOS オクテットは 0xB8)を使用してマークを付けます。そのため、RTP オーディオ パケットはルータ設定を使用して他のパケットよりも高い優先順位を割り当てることができます。Cisco Unified CM では異なる DSCP 値を設定できますが、Connection と連動する場合は、Connection によって設定された DSCP 値が常に優先されることに注意してください。SCCP および SIP の両方のパケットへのマーク付けは、Cisco Unity Connection Administrationの [システム設定] > [詳細設定] > [テレフォニーの設定] ページの Connection で設定できます。
新しいオーディオ ストリームごとに(通話ごとに 1 回)、Cisco Unified CM は使用するパケット サイズを Connection に伝え、Connection はそのストリームの DSCP 優先順位を設定します。そのストリーム全体(コール)で、指定されたパケット サイズと優先順位が維持されます。たとえば、あるオーディオ ストリームがそれぞれ 30 ミリ秒のパケットに分割されたとします。30 ミリ秒の G.729a オーディオ ストリームは 30 バイトにパケットごとのヘッダーが加わり、30 ミリ秒の G.711 ストリームは 240 バイトにパケットごとのヘッダーが加わります。Cisco Unified CM のサービス パラメータの設定の詳細については、 http://www.cisco.com/en/US/products/sw/voicesw/ps556/tsd_products_support_series_home.html で Cisco Unified CM のドキュメントを参照してください。
(注) Cisco Unity Connection Administration の [テレフォニー統合] > [ポート グループ] > [コーデックのアドバタイズの編集] の設定ページで、Connection がアドバタイズするコーデックを変更できます。
サポート済みのアドバタイズされているオーディオ コーデック、または通話中のオーディオ コーデック、およびシステム レベルで録音しているオーディオ コーデックの詳細については、「オーディオ コーデック」を参照してください。
Cisco Unified Communications Manager Express との連動(SCCP または SIP を使用)
Cisco Unity Connection は、SCCP および SIP インターフェイスを使用した Cisco Unified Communications Manager Express との連動をサポートしています。図 7-7 に接続を示します。
図 7-7 LAN 上の Cisco Unified Communications Manager Express への Cisco Unity Connection SCCP 接続と SIP 接続
これらの連動方法の違いについては、 表 7-4 を参照してください。
表 7-4 SCCP と SIP の連動方法の違い(Cisco Unified Communications Manager Express との連動)
|
|
|
通信方法 |
SCCP |
SIP トランク |
Cisco Unity Connection クラスタ(アクティブ/アクティブ高可用性) |
サポート済み |
サポート済み |
SCCP および SIP 電話機の使用 |
サポート済み |
一部の SCCP 電話機では Media Termination Point(MTP; メディア ターミネーション ポイント)が必要 |
Cisco Unified CM Express のサポート バージョン |
すべてのバージョン |
バージョン 3.4 以降 |
Cisco Unified CM Express の認証と暗号化 |
未サポート |
未サポート |
最初または最後のリダイレクト番号 |
サポート済み |
サポート済み |
QOS |
サポート済み |
サポート済み |
Connection と Cisco Unified Communications Manager Express のバージョンの互換性の詳細については、以下を参照してください。
• 『 SCCP Compatibility Matrix: Cisco Unity Connection, Cisco Unified Communications Manager, and Cisco Unified Communications Manager Express 』( http://www.cisco.com/en/US/docs/voice_ip_comm/connection/compatibility/matrix/cucsccpmtx.html )
• 『 SIP Trunk Compatibility Matrix: Cisco Unity Connection, Cisco Unified Communications Manager, and Cisco Unified Communications Manager Express 』( http://www.cisco.com/en/US/docs/voice_ip_comm/connection/compatibility/matrix/cucsiptrunkmtx.html )
Connection と Cisco Unified CM Express の連動方法の詳細については、該当する Cisco Unity Connection Integration Guideを参照してください。このドキュメントは、 http://www.cisco.com/en/US/products/ps6509/products_installation_and_configuration_guides_list.html から入手可能です。
Connection と Cisco Unified CM Express を連動させる場合の SIP プロトコルの使用の詳細については、「SIP を使用した連動」を参照してください。
1 つの Cisco Unity Connection サーバと連動する複数の Cisco Unified Communications Manager Express ルータ
一元化された 1 つの Cisco Unity Connection サーバを複数の Cisco Unified CM Express ルータで使用できます。この設定では、1 つの Cisco Unified CM Express ルータを Connection サーバとして同じ LAN 上に配置し、この Cisco Unified CM Express ルータにすべての Connection ボイス メッセージ ポートを登録する必要があります。この Cisco Unified CM Express ルータ(SIP MWI サーバ)は、Connection サーバと他のすべての Cisco Unified CM Express ルータ(SIP MWI クライアント)の間の SIP MWI メッセージをリレーするプロキシ サーバです。Connection ボイス メッセージ ポートは、SIP MWI サーバ(Connection サーバと同じ LAN にあるCisco Unified CM Express ルータ)にだけ登録され、SIP MWI クライアントには登録されないことに注意してください。図 7-8 を参照してください。
図 7-8 複数の Cisco Unified CM Express ルータと 1 つの Cisco Unity Connection サーバ間の接続
複数の Cisco Unified CM Express ルータをサポートするための Connection の設定の詳細については、該当する Cisco Unity Connection Integration Guide を参照してください。このドキュメントは http://www.cisco.com/en/US/products/ps6509/products_installation_and_configuration_guides_list.html から入手可能です。
Cisco Unity Connection と Cisco Unified Survivable Remote Site Telephony(Cisco Unified SRST)の連動
Cisco Unified Survivable Remote Site Telephony(SRST)では、Cisco Unified CM のフォールバック中に Cisco Unity Connection からのボイス メッセージを送受信できます。WAN がダウンしたときに Connection が Basic Rate Interface(BRI; 基本速度インターフェイス)または Primary Rate Interface(PRI; 1 次群速度インターフェイス)によって Cisco Unified SRST システムにアクセスできる場合、Connection は ISDN シグナリングを使用します(図 7-9 を参照)。
図 7-9 BRI または PRI を使用した Cisco Unified Communications Manager のフォールバック
WAN がダウンしたときに Connection が Foreign Exchange Office(FXO)または Foreign Exchange Station(FXS)によって公衆電話交換網(PSTN)にアクセスできる場合、Connection はインバンド Dual Tone MultiFrequency(DTMF)シグナリングを使用します(図 7-10 を参照)。
図 7-10 PSTN を使用した Cisco Unified Communications Manager のフォールバック
どちらの設定でも、電話機のメッセージ ボタンはアクティブのままで、通話中または応答しない番号への通話は Connection に転送されます。インストール担当者は、ダイヤル ピアからボイス メール システムへのアクセスを設定し、通話中と未応答のコール用、およびメッセージ ボタン用に Connection へのルーティングを設定する必要があります。
Connection が FXO または FXS 経由でアクセスされる場合、適切なボイスメール システムのメールボックスにアクセスできるように、Connection に指示(DTMF パターン)を設定する必要があります。
Cisco Unified SRST を Connection と一緒に使用する場合、WAN が停止している場合の連動に次のような制限事項があります。
• 通話中グリーティングへの自動転送 :Cisco Unified SRST ルータが PSTN に対して FXO/FXS 接続を使用し、通話が支社から Connection に転送される場合は、通話中グリーティングを再生できません。
• 内線グリーティングへの自動転送 :Cisco Unified SRST ルータが PSTN に対して FXO/FXS 接続を使用し、通話が支社から Connection に転送される場合は、内線グリーティングを再生できません。PSTN は FXO 回線の発番号を提供するため、発信者はユーザとして識別されません。
• 着信転送 :PSTN に到達するにはアクセス コードが必要であるため、Connection から支社への着信転送は失敗します。
• 識別されているユーザのメッセージ :Cisco Unified SRST ルータが PSTN に対して FXO/FXS 接続を使用し、支社のユーザがメッセージを残したり通話を転送したりする場合、そのユーザは識別されません。発信者は身元不明発信者として表示されます。
• メッセージ受信の表示 :支社の電話機では MWI が更新されないため、新規メッセージが到着した場合やすべてのメッセージを聞き終えた場合に MWI に正しく反映されません。WAN のリンクが再確立された後で、MWI を再同期化することをお勧めします。
• メッセージの到着通知 :PSTN に到達するにはアクセス コードが必要であるため、Connection から支社への着信転送は失敗します。
• ルーティング ルール :Cisco Unified SRST ルータが PSTN に対して FXO/FXS 接続を使用し、支社から Connection への通話(直接コールまたは転送コール)を着信した場合、ルーティング ルールが失敗します。
Cisco Unified SRST ルータが PRI または BRI 接続を使用している場合、支社から Connection への通話の発信者 ID が PSTN によって提供される完全な番号(局番および内線)になる場合があるため、Connection ユーザの内線と一致しない場合があります。その場合は、代行内線番号を使用して Connection に発信者 ID を認識させることができます。
Cisco Unified SRST を使用する場合は、Redirected Dialed Number Information Service(RDNIS)をサポートする必要があります。
Cisco Unified SRST ルータの設定については、『Cisco Unified SRST System Administrator Guide』の「Integrating Voice Mail with Cisco Unified SRST」の章を参照してください。このドキュメントは、 http://www.cisco.com/en/US/products/sw/voicesw/ps2169/products_installation_and_configuration_guides_list.html から入手可能です。
AAR によって転送されるボイスメール コールに与える RDNIS の送信不能の影響
Automated Alternate Routing(AAR; 自動代替ルーティング)を使用する場合は、RDNIS がサポートされている必要があります。
AAR では、WAN が加入過多の状態になった場合に、PSTN を経由して通話を転送できます。ただし、PSTN を介して通話が再転送される場合は、RDNIS が影響を受けることがあります。Cisco Unity Connection がそのメッセージ クライアントに対してリモートである場合は、RDNIS 情報に誤りが生じることにより、AAR が PSTN を介して再転送するボイスメール コールが影響を受けることがあります。RDNIS 情報が誤っている場合、発信者はダイヤル先のユーザのメールボックスに到達しませんが、代わりに自動応答のプロンプトを受信します。その場合、発信者は、到達先のパーティの内線番号を再入力するように要求されることがあります。この動作が問題となるのは、主に、電話通信事業者がネットワークを介した RDNIS を保証できない場合です。通信事業者は、さまざまな理由により、RDNIS の正常な送信を保証できないことがあります。通信事業者に問い合せて、回線のエンドツーエンドで RDNIS の 送信を保証しているかどうかを確認してください。加入過多の状態になった WAN に対して AAR を使用する代わりに、単に、加入過多の状況で発信者にリオーダー トーンが再生されることもあります。
SRST モードでの Cisco Unity Connection と Cisco Unified Communications Manager Express の連動
Cisco Unity Connection は、集中呼処理と分散メッセージを持つトポロジをサポートしています。この場合、Connection サーバはリモート サイトまたは支社に配置され、中央サイトの Cisco Unified CM に登録されます。
WAN のリンクが失敗した場合、電話機は SRST デバイスとしての Cisco Unified CM Express にフォールバックします。また、Connection は SRST デバイスとしての Cisco Unified CM Express にもフォール バックできます。これにより、リモート サイトのユーザは WAN が停止している間にも自分のボイス メッセージにアクセスし、メッセージ受信インジケータ(MWI)を確認できます。Cisco Unified CM から SRST としての Cisco Unified CM(またはその逆)にフェールオーバーが発生するたびに、MWI は Connection と再同期化する必要があることに注意してください。
この設定方法の詳細については、『Integrating Cisco Unity Connection with Cisco Unified CME-as-SRST Configuration Guide』を参照してください。このドキュメントは、 http://www.cisco.com/en/US/products/sw/voicesw/ps4625/products_installation_and_configuration_guides_list.html から入手可能です。
SIP を使用した連動
Session Initiation Protocol(SIP; セッション開始プロトコル)は、IP 上のマルチメディア コールのために Internet Engineering Task Force(IEFT; インターネット技術タスク フォース)が策定した規格です。SIP はピアツーピアの ASCII ベースのプロトコルで、要求と応答を使用して 2 つ以上のエンド ポイント間の通話(またはセッション)を確立、保持、および終了します。 表 7-5 を参照してください。
表 7-5 SIP ネットワーク コンポーネント
|
|
SIP Proxy Server |
クライアントからの SIP 要求を受け取り、その要求をクライアントの代わりに転送する中間のデバイス。プロキシ サーバは SIP メッセージを受け取り、それをネットワーク内の次の SIP サーバに転送します。プロキシ サーバは、認証、許可、ネットワーク アクセス制御、ルーティング、信頼性の高い要求再転送、セキュリティなどの機能を備えています。 |
リダイレクト サーバ |
メッセージが進むべき次のホップ(1 つまたは複数)に関する情報をクライアントに提供する。その後で、クライアントは次のホップ サーバまたはユーザエージェント サーバに直接接続します。 |
登録サーバ |
現在の位置の登録を求めるユーザ エージェント クライアントからの要求を処理する。多くの場合、登録サーバはリダイレクト サーバまたはプロキシ サーバーにインストールされます。 |
電話機 |
サーバまたはクライアントのいずれかとして機能する。ソフトフォン(電話機の機能をインストールした PC)および Cisco SIP IP Phone は、SIP 要求を開始し、要求に応答することができます。 |
ゲートウェイ |
コール制御を実行する。ゲートウェイはさまざまなサービスを提供しますが、最も一般的なサービスは、SIP 通話のエンドポイントと他の種類の端末との間の変換機能です。この機能には、伝送フォーマット間の変換や通信プロシージャ間の変換が含まれます。また、ゲートウェイは音声コーデック間の変換、ビデオ コーデック間の変換、および LAN 側と交換回線網側の両方でのコール設定や切断も行います。 |
Cisco Unity Connection は、プロキシ サーバからのコールを受け入れます。Connection は、コールを認証する場合にプロキシ サーバまたはコール エージェントに依存します。
SIP は、要求/応答方式を使用してネットワーク内のさまざまなコンポーネント間の通信を確立し、最終的には複数のエンドポイント間の会議(コールまたはセッション)を確立します。1 つのコールには複数のクライアントとサーバを含めることができます。
SIP ネットワークのユーザは、次の内容によって識別されます。
• 一意の電話番号または内線番号。
• 一意の SIP アドレス。これは電子メール アドレスに似ており、sip:<userID>@<domain> の形式を使用します。ユーザ ID にはユーザ名または E.164 アドレスのいずれかを使用できます。
ユーザがコールを開始するときに、通常、SIP 要求は SIP サーバ(プロキシ サーバまたはリダイレクト サーバ)に移動します。要求には発信者のアドレス(From)と着信側のアドレス(To)が含まれます。
SIP メッセージは、HTML のような UTF-8 エンコーディングの ISO 10646 を使用したテキスト形式です。SIP メッセージには、アドレス情報に加えて、方式とプロトコルを指定する開始行、コールのプロパティとサービス情報を指定する多くのヘッダー フィールド、セッションの説明を含めることができるオプションのメッセージ本文が含まれます。
PIMG または TIMG 装置を使用した回線交換電話システムとの連動
Cisco Unity Connection は、回線交換電話システムと IP ネットワークの間で PIMG 装置または TIMG 装置(メディア ゲートウェイ)を使用することで、回線交換電話システムと連動できます。
PIMG 連動および TIMG 連動を使用して Connection でサポートされる回線交換電話システムの一覧については、該当するCisco Unity Connection Integration Guideを参照してください。このドキュメントは、 http://www.cisco.com/en/US/products/ps6509/products_installation_and_configuration_guides_list.html から入手可能です。
PIMG 連動の詳細
回線交換電話システムと IP ネットワークの間の PIMG 連動では、1 つまたは複数の PIMG 装置を使用します。回線交換電話システム側には、デジタル(フィーチャ セット)とアナログの両方のインターフェイスがあり、使用されるインターフェイスは Cisco Unity Connection が接続される電話システムによって異なります。IP 側には SIP のインターフェイスがあり、これを使用して Connection は PIMG 装置と通信します。Connection に対する連動は、基本的に SIP 連動です。Connection は、SIP プロトコルおよび RTP プロトコルを使用して、IP ネットワーク経由で PIMG 装置と通信します。PIMG 装置は、電話システム固有のプロトコル(デジタル、アナログ、またはシリアル)を使用して、電話ネットワーク経由で回線交換電話システムと通信します。
PIMG 連動の各タイプの概要とネットワーク接続を示す図については、「電話システム連動の動作」を参照してください。
シリアル連動
Cisco Unity Connection では、次のシリアル プロトコルをサポートしています。
• SMDI
• MCI
• MD-110
PIMG/TIMG 装置のシリアル ポートは、当初は標準の RS-232 シリアル ポートとしてではなく、管理ポートとして設計されました。したがって、電話システムとマスター PIMG/TIMG 装置との間のデータ リンクのために、カスタム シリアル ケーブルが必要です(このケーブルはシスコから入手できます)。
ポート キャパシティの増加
PIMG 装置には 8 個のポートがあります。システム ポートのキャパシティを増やすために、複数の PIMG 装置をスタックできます。たとえば、32 個のポートが必要である場合は、4 台の PIMG 装置をスタックできます。
TIMG 装置は T1-CAS をサポートする回線交換電話システムと連動しますが、ラック用に最適化された 1 つのユニットのスパンごとに 24 個の T1 ポートがあります。シングル スパン、デュアル スパン、クワッド スパンの TIMG 装置が使用可能です。
複数の連動のサポート/支社との連結
PIMG/TIMG 装置を WAN によって分割して、リモートの支社のサイトにある回線交換電話システムをサポートできます。たとえば、Cisco Unity Connection を一元化された本社に配置し、本社と支社の両方のサイトで回線交換電話システムをサポートできます。
その例として、4 つの異なる製造元(Nortel、Avaya、NEC、Siemens など)の 4 つの電話システムがあり、その 4 つの電話システムをサポートするために Connection サーバで 4 つの異なる電話システムの連動を作成すると仮定します。スタンドアロンの Connection サーバは最大 144 個のポートをサポートし、4 つの電話システムに接続します。次の例を参考にしてください。
• シアトルのサイトでは、15 台の PIMG 装置をスタックして 120 個のポートをサポートできます。
• ニューヨークのサイトでは、2 台の PIMG 装置をスタックして 16 個のポートをサポートできます。
• 東京のサイトでは、1 台の PIMG 装置を使用して 4 個のポートをサポートできます。
• ダラスのサイトでは、1 台の PIMG 装置を使用して 2 個のポートをサポートできます。
PIMG 装置には 8 個のポートが付属していますが、各装置で 8 個より少ないポートを使用できることに注意してください。
PIMG 装置を WAN で分割してリモートの電話システムをサポートする場合は、オーディオ コーデックの適切な選択、帯域幅のキャパシティ計画、および QOS の計画が必要です。PIMG 装置と Connection では、G.729a と G.711 の両方のオーディオ コーデックがサポートされます。PIMG はシスコのデバイスではなく、Dialogic 社製のデバイスであるため、ロケーション ベースの CAC の使用は適用されません。WAN 上に PIMG を配置する場合は、次のネットワークと帯域幅の要件を満たす必要があります。
• G.729a オーディオ コーデックの場合、各ボイス メッセージ ポートで 32.76 Kbps 以上の保証帯域幅(イーサネット、20 バイトのペイロード、5 パーセントのオーバーヘッドを想定)。
• G.711 オーディオ コーデックの場合、各ボイス メッセージ ポートで 91.56 Kbps 以上の保証帯域幅(イーサネット、160 バイトのペイロード、5 パーセントのオーバーヘッドを想定)。
• Network Address Translation(NAT; ネットワーク アドレス変換)を実装しているネットワーク デバイスがない。
PIMG 装置が WAN によって分割されている場合、適切な QOS トラフィックによってコール制御とメディア トラフィックの優先順位を付け、PIMG 装置を起点とするボイス トラフィックにマーク付けします。PIMG 装置の Call Control QOS Byte と RTP QOS Byte に次の値を設定します。
• Call Control QOS Byte フィールドに 104 と入力します。
• RTP QOS Byte フィールドに 184 と入力します。
PIMG 装置の Call Control QOS Byte および RTP QOS Byte フィールドには、QOS ビット フラグを表す 10 進数の値を定義することに注意してください。これらの値は、IPv4 TOS または Differentiated Services Codepoint(DSCP)として解釈されます。詳細については、Dialogic 社が提供している『Dialogic 1000 and 2000 Media Gateway Series User's Guide』を参照してください。
複数の電話システムとの連動
Cisco Unity Connection は、Connection サーバまたはアクティブ/アクティブのサーバ ペア(Connection クラスタ)ごとにサポートされている最大ポート数までの範囲で、必要な数の電話システムをサポートします。 http://www.cisco.com/en/US/docs/voice_ip_comm/connection/7x/integration/misc/guide/cuc7xintmultiple.html から入手可能な『Multiple Phone System Integration Guide for Cisco Unity Connection 7.x』を参照してください。
複数の電話システムと連動させる場合の要件
複数の電話システムと連動させる場合、Cisco Unity Connection には次の要件があります。
• すべての電話システムと Connection サーバの要件を満たしていること。 http://www.cisco.com/en/US/products/ps6509/products_installation_and_configuration_guides_list.html で該当するCisco Unity Connection Integration Guideを参照してください。
• Connection サーバに、電話システムと接続するための十分な数のボイス メッセージ ポートがあること。ポート数は Connection のライセンス ファイルで有効にされているポート数を超えないようにしてください。
• Connection が Cisco Unified CM とは別のサーバにインストールされていること。Connection が Cisco Unified Communications Manager Business Edition (CMBE) として Cisco Unified CM と同じサーバにインストールされている場合、複数の連動はサポートされません。
代行内線番号
ユーザごとに、プライマリ内線番号に加えて代行内線番号を設定できます。代行内線番号は、ユーザ電話機上の複数回線着信表示の処理など、さまざまな理由で使用できます。また、代行内線番号は、携帯電話、自宅の電話、または職場の別のサイトなどの別のデバイスからの Cisco Unity Connection への発信がより便利になります。
代行内線番号の電話番号を指定すると、Connection はその番号からのすべての通話をプライマリ内線番号からの通話の処理と同じ方法で処理します(ANI または発信者 ID が電話システムから Connection に伝えられると仮定します)。つまり、Connection は代行の電話番号をユーザ アカウントと関連付け、その番号からの通話が発生した場合、Connection はパスワードを入力してログオンするようにユーザに要求します。
代替 MWI
最大 10 個の内線番号でユーザの新しいメッセージをアクティブにする場合に、代替 MWI をアクティブにするように Cisco Unity Connection を設定できます。たとえば、内線 1001 に残されたメッセージは、内線 1001 と 1002 の MWI でアクティブにすることができます。
Connection は MWI を使用してユーザに新しいボイス メッセージがあることを警告します。MWI は、新規電子メール、ファックス、または受信確認メッセージの通知には使用されません。
集中型ボイス メッセージ
Cisco Unity Connection は、電話システムを使用した集中型ボイス メッセージをサポートしており、Avaya DCS、Nortel MCDN、Siemens CorNet などの専用プロトコルや、QSIG または DPNSS などの規格ベースのプロトコルなど、さまざまな電話システム間ネットワーキング プロトコルをサポートしています。集中型ボイス メッセージは電話システムとそのインターフォン システム ネットワークの機能であり、ボイス メールではないことに注意してください。Connection は、電話システムとそのインターフォン システム ネットワーキングが正しく設定されている場合に、集中型ボイス メッセージをサポートします。
集中型ボイス メッセージに関連する電話システムについて説明する場合、基本的に 2 つの種類があります。
• メッセージ センター PINX :電話システムがボイス メッセージ システムをホストします(電話システムはボイス メッセージ システムに直接接続されます)。
• ユーザ PINX :電話システムはボイス メッセージ システムからリモートの場所に存在します(電話システムはボイス メッセージ システムに直接接続されません)。
集中型ボイス メッセージは、ネットワーク接続されている電話システム環境内のすべてのユーザにボイス メッセージ サービスを提供します。Connection は、メッセージ センター PINX 上でホストとなることができ、メッセージ センター PINX とすべてのユーザの PINX 電話システムが適切にネットワーク接続されている場合に、企業内のすべてのユーザにボイス メッセージ サービスを提供します。
集中型ボイス メッセージ設定が存在する場合、次に示す最低レベルの機能をサポートするには、適切なインターフォン システム ネットワーキング プロトコルが存在する必要があります。
• Message waiting indication(MWI; メッセージ受信インジケータ)。
• 転送。正しい発信者 ID と着信者 ID がボイス メッセージ システムに送信されることを保証します。
• 宛先変更。正しい発信者 ID と着信者 ID がボイス メッセージ システムに送信されることを保証します。
ボイス メッセージ システムがどのように使用されるかに応じて、他の機能が必要になる場合もあります。たとえば、自動応答機能も提供する場合は、ヘアピンコールを防ぐために、パス置換機能が必要となります。
すべての電話システムがメッセージ センター PINX として機能できるわけではありません。メッセージ センター PINX として機能できない電話システムの場合、Connection を Cisco Unified Communications Manager に移動して、Cisco Unified CM をメッセージ センター PINX として機能させ、回線交換電話システムを ユーザ PINX として機能させることを検討します。
集中型ボイス メッセージ環境で Connection を Cisco Unified CM でメッセージ センター PINX として機能するホストとして設定する場合の詳細については、次を参照してください。
• アプリケーション ノート『Cisco CallManager 4.1-Voicemail Interoperability: Cisco Unity 4.0(4) with Cisco CallManager 4.1(2) Configured as Message Center PINX Using Cisco Catalyst 6608 T1 Q.SIG with MGCP』。このドキュメントは、 http://www.cisco.com/en/US/docs/voice_ip_comm/cucme/pbx/interop/notes/414111.pdf から入手可能です。
• Cisco Interoperability Portal にある、Cisco Unified Communications Manager とさまざまな回線交換電話システムの間の QSIG トランクの設定についての適切なアプリケーション ノート。このドキュメントは、 http://www.cisco.com/en/US/netsol/ns728/networking_solutions_products_generic_content0900aecd805b561d.html から入手可能です。
Connection と回線交換電話システムで集中型ボイス メッセージを導入する場合、回線交換電話システムが Connection をホストできるメッセージ センター PINX として機能できるかどうかの判断はお客様により異なることに注意してください。お客様は、MWI、転送、宛先変更、パス置換などの必要な機能がサポートされているかどうかも確認する必要があります。
Cisco Unified CM クラスタ間のクラスタ間トランクは、Annex M.1 機能を使用することで QSIG に対応できます。これにより、Connection は 1 つの Cisco Unified CM クラスタと連動できます。Connection と連動するクラスタのポートは、他のクラスタの電話機用の MWI のオン/オフの切り替え専用にすることができます。