IS-IS for IPv6 の実装に関する情報
• 「IPv6 の IS-IS 機能拡張」
IPv6 の IS-IS 機能拡張
IPv6 における IS-IS は、IPv4 における IS-IS と同じように機能し、同じ利点が多数あります。IS-IS への IPv6 の機能拡張により、IS-IS は IPv4 および OSI ルートに加えて IPv6 プレフィクスをアドバタイズできます。また、IS-IS Command-Line Interface(CLI; コマンドライン インターフェイス)の機能拡張により、IPv6 固有のパラメータを設定できます。IPv6 IS-IS では、IS-IS によってサポートされるアドレス ファミリが、OSI や IPv4 に加えて IPv6 も含まれるように拡張されています。
IPv6 における IS-IS は、シングルトポロジ モードまたはマルチトポロジ モードをサポートします。
IPv6 の IS-IS シングルトポロジ サポート
IPv6 のシングルトポロジ サポートにより、IS-IS for IPv6 を他のネットワーク プロトコル(たとえば、IPv4 や Connectionless Network Service(CLNS; コネクションレス型ネットワーク サービス))とともにインターフェイスに設定できます。すべてのインターフェイスに同じネットワーク アドレス ファミリのセットを設定する必要があります。さらに、IS-IS エリア(レベル 1 ルーティングの場合)またはドメイン(レベル 2 ルーティングの場合)内のすべてのルータがすべてのインターフェイス上で同じネットワーク レイヤ アドレス ファミリのセットをサポートする必要があります。
IPv6 のシングルトポロジ サポートを使用する場合、旧スタイルまたは新スタイルの TLV を使用できます。ただし、IPv6 プレフィクスへの到達可能性のアドバタイズに使用される TLV では、拡張メトリックを使用します。Cisco ルータでは、IPv4 用の新スタイルの TLV だけをサポートするように設定されていない場合、インターフェイス メトリックを 63 よりも大きい値に設定できません。シングルトポロジの IPv6 モードでは、設定されたメトリックは IPv4 と IPv6 の両方で常に同じです。
IPv6 の IS-IS マルチトポロジ サポート
IPv6 の IS-IS マルチトポロジ サポートにより、IS-IS は単一エリアまたはドメイン内で独立したトポロジのセットを維持できます。このモードを使用すると、IS-IS が設定されているすべてのインターフェイスで同じネットワーク アドレス ファミリのセットをサポートする必要がなくなります。また、IS-IS エリア(レベル 1 ルーティングの場合)またはドメイン(レベル 2 ルーティングの場合)内のすべてのルータで同じネットワーク レイヤ アドレス ファミリのセットをサポートする必要がなくなります。複数の SPF が設定済みのトポロジごとに 1 つずつ実行されるため、特定のネットワーク アドレス ファミリをルーティング可能にするには、エリアまたはドメイン内のルータのサブセットに接続が存在するだけで十分です。
isis ipv6 metric コマンドを使用して、IPv6 用のインターフェイスと IPv4 用のインターフェイスに異なるメトリックを設定できます。
IPv6 のマルチトポロジ サポートを使用する場合は、 metric-style wide コマンドを使用して、新スタイルの TLV を使用するように IS-IS を設定します。これは、Link-State Packet(LSP; リンクステート パケット)で IPv6 情報をアドバタイズするために使用される TLV は、拡張メトリックだけを使用するように定義されているからです。
IPv6 のシングルトポロジ サポートからマルチトポロジ サポートへの移行
エリアまたはドメイン内のすべてのルータは、同じタイプの IPv6 サポート(シングルトポロジまたはマルチトポロジ)を使用する必要があります。マルチトポロジ モードで動作しているルータは、シングルトポロジ モードのルータが IPv6 トラフィックをサポートできるかどうかを認識できないため、IPv6 トポロジに欠陥が生じます。シングルトポロジのサポートから柔軟性の高いマルチトポロジのサポートに移行するために、マルチトポロジ移行モードが用意されています。
マルチトポロジ移行モードでは、シングルトポロジの IS-IS IPv6 サポート モードで動作しているネットワークは、ルータをマルチトポロジの IS-IS IPv6 サポートに対応するようにアップグレードしている間でも動作を継続できます。移行モードでは、両方のタイプの TLV(シングルトポロジとマルチトポロジ)はすべての設定済み IPv6 アドレスについて LSP で送信されますが、ルータはシングルトポロジ モードで動作し続けます(つまり、シングルトポロジ モードのトポロジに関する制約事項が適用されます)。エリアまたはドメイン内のすべてのルータをマルチトポロジ IPv6 に対応するようにアップグレードし、移行モードで動作させたあとで、移行モードを設定から削除できます。エリアまたはドメイン内のすべてのルータがマルチトポロジ IPv6 モードで動作すると、シングルトポロジ モードのトポロジに関する制約事項は適用されなくなります。
IPv6 IS-IS のローカル RIB
IS-IS IPv6 を実行しているルータは、ローカル RIB を保持します。このローカル RIB には、ネイバーから学習した宛先へのすべてのルートが格納されています。各 SPF の最後に、IS-IS はローカル RIB に存在する宛先への最良(つまり、最小コストの)ルートをグローバル IPv6 ルーティング テーブルにインストールしようとします。
IPv6 IS-IS のローカル RIB の詳細については、「IPv6 IS-IS の設定と動作の確認」の項を参照してください。
IS-IS for IPv6 の実装方法
サポートされているルーティング プロトコルを IPv6 で設定する場合は、ルーティング プロセスを作成し、そのルーティング プロセスをインターフェイスに対してイネーブルにして、特定のネットワークに合せてルーティング プロトコルをカスタマイズする必要があります。
(注) ここでは、IPv6 IS-IS ルーティング プロセスの作成とインターフェイスに対するルーティング プロセスのイネーブル化の設定作業について説明します。IPv6 におけるプロトコルの動作は IPv4 と同じであるため、IS-IS のカスタマイズについては詳しく説明しません。IPv4 と IPv6 の設定の詳細およびコマンド リファレンス情報については、「関連資料」に記載されている資料を参照してください。
次の各項の作業では、IPv6 IS-IS の設定方法を示します。一覧内の各作業は、必須と任意に分けています。
• 「シングルトポロジ IS-IS for IPv6 の設定」(必須)
• 「マルチトポロジ IS-IS for IPv6 の設定」(任意)
• 「IPv6 IS-IS のカスタマイズ」(任意)
• 「IPv6 IS-IS ルーティング プロセスへのルートの再配布」(任意)
• 「IS-IS レベル間での IPv6 IS-IS ルートの再配布」(任意)
• 「IPv6 プロトコル サポートの整合性検査のディセーブル化」(任意)
• 「IPv6 IS-IS の設定と動作の確認」(任意)
シングルトポロジ IS-IS for IPv6 の設定
IPv6 IS-IS プロセスを作成し、インターフェイスに対して IPv6 IS-IS サポートをイネーブルにするには、次の作業を実行します。
IS-IS の設定では、2 つの作業を実行します。まず、IS-IS ルーティング プロセスを作成します。この作業では、プロトコルに依存しない IS-IS コマンドを使用します。次に、インターフェイスにおける IS-IS プロトコルの動作を設定します。
制約事項
IPv6、IPv4、または IPv6 と IPv4 の両方の IS-IS シングルトポロジ サポートを使用する場合は、IPv6 と IPv4 の両方をレベル 1、レベル 2、またはレベル 1 とレベル 2 の両方の IS-IS インターフェイスに設定できます。ただし、IPv6 と IPv4 の両方を同じインターフェイスに設定する場合は、両方で同じ IS-IS レベルを実行する必要があります。つまり、指定したイーサネット インターフェイス上で IS-IS レベル 2 だけを実行するように IPv6 が設定されている場合、IPv4 を同じインターフェイス上で IS-IS レベル 1 だけを実行するように設定することはできません。
手順の概要
1. enable
2. configure terminal
3. router isis area-tag
4. net network-entity-title
5. exit
6. interface type number
7. ipv6 address { ipv6-address / prefix-length | prefix-name sub-bits / prefix-length }
8. ipv6 router isis area-name
手順の詳細
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ステップ 1 |
enable
Router> enable |
特権 EXEC モードをイネーブルにします。 • 必要に応じてパスワードを入力します。 |
ステップ 2 |
configure terminal
Router# configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 3 |
router isis area-tag
Router(config)# router isis area2 |
指定した IS-IS ルーティング プロセスの IS-IS をイネーブルにし、ルータ コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 4 |
net network-entity-title
Router(config-router)# net 49.0001.0000.0000.000c.00 |
ルーティング プロセスの IS-IS Network Entity Title(NET)を設定します。 • network-entity-title 引数には、IS-IS エリアのエリア アドレスとルータのシステム ID を指定します。 」の章を参照してください。 |
ステップ 5 |
exit
Router(config-router)# exit |
ルータ コンフィギュレーション モードを終了し、グローバル コンフィギュレーション モードに戻ります。 |
ステップ 6 |
interface type number
Router(config)# interface Ethernet 0/0/1 |
インターフェイスのタイプおよび番号を指定し、インターフェイス コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 7 |
ipv6 address { ipv6-address / prefix-length | prefix-name sub-bits / prefix-length }
Router(config-if)# ipv6 address 2001:0DB8::3/64 |
インターフェイスに割り当てられている IPv6 ネットワークを指定し、インターフェイスで IPv6 処理をイネーブルにします。 」を参照してください。 |
ステップ 8 |
ipv6 router isis area-name
Router(config-if)# ipv6 router isis area2 |
指定した IPv6 IS-IS ルーティング プロセスをインターフェイスに対してイネーブルにします。 |
マルチトポロジ IS-IS for IPv6 の設定
IPv6 でマルチトポロジ IS-IS を設定するには、次の作業を実行します。
マルチトポロジ IS-IS for IPv6 を設定するときに transition キーワードを使用すると、IS-IS IPv6 のシングルトポロジ SPF モードで作業しているユーザは、マルチトポロジ IS-IS へのアップグレード中でも作業を継続できます。すべてのルータに transition キーワードを設定したら、各ルータで transition キーワードを削除できます。移行モードがイネーブルになっていない場合、シングルトポロジ モードで動作しているルータとマルチトポロジ モードで動作しているルータ間の IPv6 接続は確立できません。
マルチトポロジ IS-IS へのアップグレード中は既存の IPv6 トポロジを引き続き使用できます。オプションの isis ipv6 metric コマンドを使用すると、マルチトポロジ モードでの動作時に IPv6 トラフィックと IPv4 トラフィックのリンクコストを区別できます。
前提条件
IS-IS for IPv6 の設定後、次の手順を実行します。
手順の概要
1. enable
2. configure terminal
3. router isis area-tag
4. metric-style wide [ transition ] [ level-1 | level-2 | level-1-2 ]
5. address-family ipv6 [ unicast | multicast ]
6. multi-topology [ transition ]
手順の詳細
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ステップ 1 |
enable
Router> enable |
特権 EXEC モードをイネーブルにします。 • 必要に応じてパスワードを入力します。 |
ステップ 2 |
configure terminal
Router# configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 3 |
router isis area-tag
Router(config)# router isis area2 |
指定した IS-IS ルーティング プロセスの IS-IS をイネーブルにし、ルータ コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 4 |
metric-style wide [ transition ] [ level-1 | level-2 | level-1-2 ]
Router(config-router)# metric-style wide level-1 |
IS-IS を実行しているルータを、新スタイルの TLV だけを生成して受け入れるように設定します。 |
ステップ 5 |
address-family ipv6 [ unicast | multicast ]
Router(config-router)# address-family ipv6 |
IPv6 アドレス ファミリを指定し、アドレス ファミリ コンフィギュレーション モードを開始します。 • unicast キーワードには、IPv6 ユニキャスト アドレス ファミリを指定します。 address-family ipv6 コマンドで unicast キーワードが指定されていない場合、ルータはデフォルトでユニキャスト IPv6 アドレス ファミリのコンフィギュレーション モードになります。 |
ステップ 6 |
multi-topology [ transition ]
Router(config-router-af)# multi-topology |
マルチトポロジ IS-IS for IPv6 をイネーブルにします。 • オプションの transition キーワードを指定すると、IS-IS IPv6 ユーザはマルチトポロジ モードへのアップグレード中に引き続きシングルトポロジ モードを使用できます。 |
IPv6 IS-IS のカスタマイズ
IPv6 IS-IS の新しい管理ディスタンス、IPv6 IS-IS でサポートされる等価コスト パスの最大数、IPv6 IS-IS のサマリー プレフィクス、およびデフォルトの IPv6 ルート(::/0)をアドバタイズする IS-IS インスタンスを設定するには、次の作業を実行します。Partial Route Calculation(PRC; 部分的なルート計算)間のホールドダウン時間と、マルチトポロジ IS-IS の使用時に Cisco IOS ソフトウェアが SPF 計算を実行する頻度の設定方法についても説明します。
ネットワークに合せて IPv6 の IS-IS マルチトポロジをカスタマイズできますが、多くの場合、その必要はありません。この機能のデフォルトは、ほとんどのカスタマーや機能の要件を満たすように設定されています。デフォルトを変更する場合は、IPv4 のコンフィギュレーション ガイドや IPv6 コマンド リファレンスを参照して、該当する構文を探してください。
手順の概要
1. enable
2. configure terminal
3. router isis area-tag
4. address-family ipv6 [ unicast | multicast ]
5. default-information originate [ route-map map-name ]
6. distance value
7. maximum-paths number-paths
8. summary-prefix ipv6-prefix / prefix-length [ level-1 | level-1-2 | level-2 ]
9. prc-interval seconds [ initial-wait ] [ secondary-wait ]
10. spf-interval [ level-1 | level-2 ] seconds [ initial-wait ] [ secondary-wait ]
11. exit
12. interface type number
13. isis ipv6 metric metric-value [ level-1 | level-2 | level-1-2 ]
手順の詳細
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ステップ 1 |
enable
Router> enable |
特権 EXEC モードをイネーブルにします。 • 必要に応じてパスワードを入力します。 |
ステップ 2 |
configure terminal
Router# configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 3 |
router isis area-tag
Router(config)# router isis area2 |
指定した IS-IS ルーティング プロセスの IS-IS をイネーブルにし、ルータ コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 4 |
address-family ipv6 [ unicast | multicast ]
Router(config-router)# address-family ipv6 |
IPv6 アドレス ファミリを指定し、アドレス ファミリ コンフィギュレーション モードを開始します。 • unicast キーワードには、IPv6 ユニキャスト アドレス ファミリを指定します。 address-family ipv6 コマンドで unicast キーワードが指定されていない場合、ルータはデフォルトでユニキャスト IPv6 アドレス ファミリのコンフィギュレーション モードになります。 |
ステップ 5 |
default-information originate [ route-map map-name ]
Router(config-router-af)# default-information originate |
(任意)デフォルトの IPv6 ルートを IS-IS ルーティング ドメインに挿入します。 • route-map キーワードと map-name 引数には、IPv6 デフォルト ルートがアドバタイズされる条件を指定します。 • route map キーワードを省略すると、IPv6 デフォルト ルートは無条件にレベル 2 でアドバタイズされます。 |
ステップ 6 |
distance value
Router(config-router-af)# distance 90 |
(任意)IPv6 ルーティング テーブル内の IPv6 IS-IS ルートの管理ディスタンスを定義します。 • value 引数は、10 ~ 254 の整数です(値 0 ~ 9 は、内部で使用するために予約されています)。 |
ステップ 7 |
maximum-paths number-paths
Router(config-router-af)# maximum-paths 3 |
(任意)IPv6 IS-IS がサポートできる等価コスト ルートの最大数を定義します。 • このコマンドは、IPv6 Border Gateway Protocol(BGP; ボーダー ゲートウェイ プロトコル)と Routing Information Protocol(RIP; ルーティング情報プロトコル)もサポートしています。 • number-paths 引数は、1 ~ 64 の整数です。 BGP のデフォルトは 1 本のパス、IS-IS と RIP のデフォルトは 16 本のパスです 。 |
ステップ 8 |
summary-prefix ipv6-prefix / prefix-length [ level-1 | level-1-2 | level-2 ]
Router(config-router-af)# summary-prefix 2001:0DB8::/24 |
(任意)レベル 1-2 ルータがサマリーをアドバタイズするときに直接レベル 1 プレフィクスをアドバタイズするのではなく、レベル 1 プレフィクスをレベル 2 で集約できるようにします。 • summary-prefix コマンドの ipv6-prefix 引数は、RFC 2373 に記載された形式にする必要があり、16 ビット値をコロンで区切った 16 進でアドレスを指定します。 • prefix-length 引数は、アドレスのうち連続する上位何ビットがプレフィクス(アドレスのネットワーク部)を構成するかを示す 10 進数値です。10 進数値の前にスラッシュ記号が必要です。 |
ステップ 9 |
prc-interval seconds [ initial-wait ] [ secondary-wait ]
Router(config-router-af)# prc-interval 20
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(任意)マルチトポロジ IS-IS for IPv6 の PRC 間のホールドダウン時間を設定します。 |
ステップ 10 |
spf-interval [ level-1 | level-2 ] seconds [ initial-wait ] [ secondary-wait ]
Router(config-router-af)# spf-interval 30
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(任意)Cisco IOS ソフトウェアがマルチトポロジ IS-IS for IPv6 の SPF 計算を実行する頻度を設定します。 |
ステップ 11 |
exit
Router(config-router-af)# exit |
アドレス ファミリ コンフィギュレーション モードを終了し、ルータをルータ コンフィギュレーション モードに戻します。 • この手順を繰り返して、ルータ コンフィギュレーション モードを終了し、ルータをグローバル コンフィギュレーション モードに戻します。 |
ステップ 12 |
interface type number
Router(config-router)# interface Ethernet 0/0/1 |
インターフェイスのタイプおよび番号を指定し、インターフェイス コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 13 |
isis ipv6 metric metric-value [ level-1 | level-2 | level-1-2 ]
Router(config-if)# isis ipv6 metric 20
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(任意)マルチトポロジ IS-IS for IPv6 メトリックの値を設定します。 |
IPv6 IS-IS ルーティング プロセスへのルートの再配布
手順の概要
1. enable
2. configure terminal
3. router isis area-tag
4. address-family ipv6 [ unicast | multicast ]
5. redistribute source-protocol [ process-id ] [ include-connected ] [ target-protocol-options ] [ source-protocol-options ]
手順の詳細
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ステップ 1 |
enable
Router> enable |
特権 EXEC モードをイネーブルにします。 • 必要に応じてパスワードを入力します。 |
ステップ 2 |
configure terminal
Router# configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 3 |
router isis area-tag
Router(config)# router isis area2 |
指定した IS-IS ルーティング プロセスの IS-IS をイネーブルにし、ルータ コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 4 |
address-family ipv6 [ unicast | multicast ]
Router(config-router)# address-family ipv6 |
IPv6 アドレス ファミリを指定し、アドレス ファミリ コンフィギュレーション モードを開始します。 • unicast キーワードには、IPv6 ユニキャスト アドレス ファミリを指定します。 address-family ipv6 コマンドで unicast キーワードが指定されていない場合、ルータはデフォルトでユニキャスト IPv6 アドレス ファミリのコンフィギュレーション モードになります。 |
ステップ 5 |
redistribute source-protocol [ process-id ] [ include-connected ] [ target-protocol-options ] [ source-protocol-options ]
Router(config-router-af)# redistribute bgp 64500 metric 100 route-map isismap |
ルートを指定したプロトコルから IS-IS プロセスに再配布します。 • source- protocol 引数には、 bgp 、 connected 、 isis 、 rip 、または static のいずれかのキーワードを指定できます。 • ここでは、この作業に関連する引数およびキーワードだけを指定しています。 |
IS-IS レベル間での IPv6 IS-IS ルートの再配布
この作業では、ある IS-IS レベルで学習した IPv6 ルートを別のレベルに再配布する方法を示します。
手順の概要
1. enable
2. configure terminal
3. router isis area-tag
4. address-family ipv6 [ unicast | multicast ]
5. redistribute isis [ process-id ] { level-1 | level-2 } into { level-1 | level-2 } distribute-list list-name
手順の詳細
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ステップ 1 |
enable
Router> enable |
特権 EXEC モードをイネーブルにします。 • 必要に応じてパスワードを入力します。 |
ステップ 2 |
configure terminal
Router# configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 3 |
router isis area-tag
Router(config)# router isis area2 |
指定した IS-IS ルーティング プロセスの IS-IS をイネーブルにし、ルータ コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 4 |
address-family ipv6 [ unicast | multicast ]
Router(config-router)# address-family ipv6 |
IPv6 アドレス ファミリを指定し、アドレス ファミリ コンフィギュレーション モードを開始します。 • unicast キーワードには、IPv6 ユニキャスト アドレス ファミリを指定します。 address-family ipv6 コマンドで unicast キーワードが指定されていない場合、ルータはデフォルトでユニキャスト IPv6 アドレス ファミリのコンフィギュレーション モードになります。 |
ステップ 5 |
redistribute isis [ process-id ] { level-1 | level-2 } into { level-1 | level-2 } distribute-list list-name
Router(config-router-af)# redistribute isis level-1 into level-2 |
IPv6 ルートをある IS-IS レベルから別の IS-IS レベルに再配布します。 • デフォルトでは、レベル 1 のインスタンスによって学習されたルートは、レベル 2 のインスタンスによって再配布されます。 にする必要があります。ここでは、この作業に関連する引数とキーワードだけを指定します。 |
IPv6 プロトコル サポートの整合性検査のディセーブル化
IPv6 シングルトポロジ モードでプロトコルサポートの整合性検査をディセーブルにするには、次の作業を実行します。
シングルトポロジの IS-IS IPv6 では、同じアドレス ファミリ セットを実行するようにルータを設定する必要があります。IS-IS は hello パケットに対して整合性検査を実行し、設定されているアドレス ファミリのセットが異なる hello パケットを拒否します。たとえば、IPv4 と IPv6 の両方の IS-IS を実行しているルータは、IPv4 または IPv6 だけの IS-IS を実行しているルータとの隣接を形成しません。アドレス ファミリが一致しないネットワークで隣接を形成できるようにするには、IPv6 アドレス ファミリ コンフィギュレーション モードで adjacency-check コマンドをディセーブルにする必要があります。このコマンドは、特殊な状況でだけ使用する設計になっています。この作業を設定する前に、次の注意事項をお読みください。
(注) no adjacency-check コマンドを入力すると、ネットワーク設定に悪影響が及ぶ可能性があります。no adjacency-check コマンドは、すべてのルータ上で IPv4 IS-IS を実行し、IPv6 IS-IS をネットワークに追加して、移行中にすべての隣接を保持する必要がある場合にだけ入力してください。IPv6 IS-IS の設定が完了したら、設定から no adjacency-check コマンドを削除してください。
手順の概要
1. enable
2. configure terminal
3. router isis area-tag
4. address-family ipv6 [ unicast | multicast ]
5. no adjacency-check
手順の詳細
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ステップ 1 |
enable
Router> enable |
特権 EXEC モードをイネーブルにします。 • 必要に応じてパスワードを入力します。 |
ステップ 2 |
configure terminal
Router# configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 3 |
router isis area-tag
Router(config)# router isis area2 |
指定した IS-IS ルーティング プロセスの IS-IS をイネーブルにし、ルータ コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 4 |
address-family ipv6 [ unicast | multicast ]
Router(config-router)# address-family ipv6 |
IPv6 アドレス ファミリを指定し、アドレス ファミリ コンフィギュレーション モードを開始します。 • unicast キーワードには、IPv6 ユニキャスト アドレス ファミリを指定します。 address-family ipv6 コマンドで unicast キーワードが指定されていない場合、ルータはデフォルトでユニキャスト IPv6 アドレス ファミリのコンフィギュレーション モードになります。 |
ステップ 5 |
no adjacency-check
Router(config-router-af)# no adjacency-check |
hello パケットに対して実行される IPv6 プロトコル サポートの整合性検査をディセーブルにし、既存の隣接を保持したまま IPv6 を IPv4 だけのネットワークに導入できるようにします。 • adjacency-check コマンドはデフォルトでイネーブルになっています。 |
IPv4 サブネットの整合性検査のディセーブル化
隣接の形成時に IPv4 サブネットの整合性検査をディセーブルにするには、次の作業を実行します。Cisco IOS ソフトウェアは、以前から hello パケットに対する検査を実行し、IPv4 アドレスが存在することと、そのサブネットが hello パケットの送信元のネイバーと一致することを確認しています。この検査をディセーブルにするには、ルータ コンフィギュレーション モードで no adjacency-check コマンドを使用します。ただし、マルチトポロジ IS-IS が設定されている場合、この検査は自動的に抑制されます。これは、マルチトポロジ IS-IS では、LAN 上のすべてのルータで共通のプロトコルがサポートされているかどうかに関係なく、ルータによって隣接が形成されることが必要となるためです。
手順の概要
1. enable
2. configure terminal
3. router isis area-tag
4. no adjacency-check
手順の詳細
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ステップ 1 |
enable
Router> enable |
特権 EXEC モードをイネーブルにします。 • 必要に応じてパスワードを入力します。 |
ステップ 2 |
configure terminal
Router# configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 3 |
router isis area-tag
Router(config)# router isis area2 |
指定した IS-IS ルーティング プロセスの IS-IS をイネーブルにし、ルータ コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 4 |
no adjacency-check
Router(config-router-af)# no adjacency-check |
hello パケットに対して実行される IPv6 プロトコル サポートの整合性検査をディセーブルにし、既存の隣接を保持したまま IPv6 を IPv4 だけのネットワークに導入できるようにします。 • adjacency-check コマンドはデフォルトでイネーブルになっています。 |
手順の概要
1. enable
2. show ipv6 protocols [ summary ]
3. show isis [ process-tag ] [ ipv6 | * ] topology
4. show clns [ process-tag ] neighbors [ interface-type interface-number ] [ area ] [ detail ]
5. show clns area-tag is-neighbors [ type number ] [ detail ]
6. show isis [ process-tag ] database [ level-1 ] [ level-2 ] [ l1 ] [ l2 ] [ detail ] [ lspid ]
7. show isis ipv6 rib [ ipv6-prefix ]
手順の詳細
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ステップ 1 |
enable
Router> enable |
特権 EXEC モードをイネーブルにします。 • 必要に応じてパスワードを入力します。 |
ステップ 2 |
show ipv6 protocols [ summary ]
Router# show ipv6 protocols |
アクティブな IPv6 ルーティング プロセスのパラメータと現在の状態を表示します。 |
ステップ 3 |
show isis [ process-tag ] [ ipv6 | * ] topology
Router# show isis topology |
すべてのエリア内の IS-IS を実行しているすべての接続済みルータのリストを表示します。 |
ステップ 4 |
show clns [ process-tag ] neighbors [ interface-type interface-number ] [ area ] [ detail ]
Router# show clns neighbors detail |
End System(ES; エンド システム)、Intermediate System(IS; 中継システム)、および Multitopology IS-IS(M-ISIS; マルチトポロジ IS-IS)ネイバーを表示します。 |
ステップ 5 |
show clns area-tag is-neighbors [ type number ] [ detail ]
Router# show clns is-neighbors detail |
IS-IS ネイバーの IS-IS 隣接情報を表示します。 • detail キーワードを使用すると、ネイバーの IPv6 リンクローカル アドレスが表示されます。 |
ステップ 6 |
show isis [ process-tag ] database [ level-1 ] [ level-2 ] [ l1 ] [ l2 ] [ detail ] [ lspid ]
Router# show isis database detail |
IS-IS リンクステート データベースを表示します。 • この例では、 detail キーワードを使用して、各 LSP の内容を表示します。 |
ステップ 7 |
show isis ipv6 rib [ ipv6-prefix ]
Router# show isis ipv6 rib |
IPv6 のローカル RIB を表示します。 |
例
• show ipv6 protocols コマンドの出力例
• show isis topology コマンドの出力例
• show clns is-neighbors コマンドの出力例
• 「show clns neighbors コマンドの出力例」
• show isis database コマンドの出力例
• show isis ipv6 rib コマンドの出力例
show ipv6 protocols コマンドの出力例
次の例では、 show ipv6 protocols コマンドを使用して、アクティブな IPv6 ルーティング プロセスのパラメータと現在の状態に関する出力情報を表示しています。
Router# show ipv6 protocols
IPv6 Routing Protocol is "connected"
IPv6 Routing Protocol is "static"
IPv6 Routing Protocol is "isis"
Redistributing protocol static at level 1
L2: 2001:0DB8:33::/16 advertised with metric 0
L2: 2001:0DB8:44::/16 advertised with metric 20
L2: 2001:0DB8:66::/16 advertised with metric 10
L2: 2001:0DB8:77::/16 advertised with metric 10
show isis topology コマンドの出力例
次の例では、 show isis topology コマンドを使用して、すべてのエリア内の IS-IS を実行しているすべての接続済みルータに関する出力情報を表示しています。
Router# show isis topology
IS-IS paths to level-1 routers
System Id Metric Next-Hop Interface SNPA
0000.0000.000D 20 0000.0000.00AA Se1/0/1 *HDLC*
0000.0000.000F 10 0000.0000.000F Et0/0/1 0050.e2e5.d01d
0000.0000.00AA 10 0000.0000.00AA Se1/0/1 *HDLC*
IS-IS paths to level-2 routers
System Id Metric Next-Hop Interface SNPA
0000.0000.000A 10 0000.0000.000A Et0/0/3 0010.f68d.f063
0000.0000.000B 20 0000.0000.000A Et0/0/3 0010.f68d.f063
0000.0000.000D 30 0000.0000.000A Et0/0/3 0010.f68d.f063
0000.0000.000E 30 0000.0000.000A Et0/0/3 0010.f68d.f063
show clns is-neighbors コマンドの出力例
次の例では、 show clns is-neighbors コマンドを使用して、ローカル ルータによって他の IS-IS ネイバーとの必要なすべての IS-IS 隣接が形成されていることを確認するための出力情報を表示しています。ネイバーの IPv6 リンクローカル アドレスを表示するには、 detail キーワードを指定します。
Router# show clns is-neighbors detail
System Id Interface State Type Priority Circuit Id Format
0000.0000.00AA Se1/0/1 Up L1 0 00 Phase V
Area Address(es): 49.0001
IPv6 Address(es): FE80::YYYY:D37C:C854:5
0000.0000.000F Et0/0/1 Up L1 64 0000.0000.000C.02 Phase V
Area Address(es): 49.0001
IPv6 Address(es): FE80::XXXX:E2FF:FEE5:D01D
0000.0000.000A Et0/0/3 Up L2 64 0000.0000.000C.01 Phase V
Area Address(es): 49.000b
IPv6 Address(es): FE80::ZZZZ:F6FF:FE8D:F063
show clns neighbors コマンドの出力例
次の例では、 show clns neighbors コマンドに detail キーワードを指定して、End System(ES; エンド システム)ネイバーと Intermediate System(IS; 中継システム)ネイバーの両方に関する詳細な出力情報を表示しています。
Router# show clns neighbors detail
System Id Interface SNPA State Holdtime Type Protocol
0000.0000.0007 Et3/3 aa00.0400.6408 UP 26 L1 IS-IS
IP Address(es): 172.16.0.42*
0000.0C00.0C35 Et3/2 0000.0c00.0c36 Up 91 L1 IS-IS
IP Address(es): 192.168.0.42*
0800.2B16.24EA Et3/3 aa00.0400.2d05 Up 27 L1 M-ISIS
IP Address(es): 192.168.0.42*
IPv6 Address(es): FE80::2B0:8EFF:FE31:EC57
0800.2B14.060E Et3/2 aa00.0400.9205 Up 8 L1 IS-IS
IP Address(es): 192.168.0.30*
show isis database コマンドの出力例
次の例では、 show isis database コマンドに detail キーワードを指定して、他のルータから受信した LSP とそれらのルータがアドバタイズしている IPv6 プレフィクスに関する詳細な出力情報を表示しています。
Router# show isis database detail
IS-IS Level-1 Link State Database
LSPID LSP Seq Num LSP Checksum LSP Holdtime ATT/P/OL
0000.0C00.0C35.00-00 0x0000000C 0x5696 325 0/0/0
Area Address: 47.0004.004D.0001
Metric: 10 IS 0000.0C00.62E6.03
Metric: 0 ES 0000.0C00.0C35
0000.0C00.40AF.00-00* 0x00000009 0x8452 608 1/0/0
Area Address: 47.0004.004D.0001
Topology: IPv4 (0x0) IPv6 (0x2)
Metric: 10 IS 0800.2B16.24EA.01
Metric: 10 IS 0000.0C00.62E6.03
Metric: 0 ES 0000.0C00.40AF
IPv6 Address: 2001:0DB8::/32
Metric: 10 IPv6 (MT-IPv6) 2001:0DB8::/64
Metric: 5 IS-Extended cisco.03
Metric: 10 IS-Extended cisco1.03
Metric: 10 IS (MT-IPv6) cisco.03
IS-IS Level-2 Link State Database:
LSPID LSP Seq Num LSP Checksum LSP Holdtime ATT/P/OL
0000.0000.000A.00-00 0x00000059 0x378A 949 0/0/0
IPv6 Address: 2001:0DB8:1:1:1:1:1:1
Metric: 10 IPv6 2001:0DB8:2:YYYY::/64
Metric: 10 IPv6 2001:0DB8:3:YYYY::/64
Metric: 10 IPv6 2001:0DB8:2:YYYY::/64
Metric: 10 IS-Extended 0000.0000.000A.01
Metric: 10 IS-Extended 0000.0000.000B.00
Metric: 10 IS-Extended 0000.0000.000C.01
Metric: 0 IPv6 11:1:YYYY:1:1:1:1:1/128
Metric: 0 IPv6 11:2:YYYY:1:1:1:1:1/128
Metric: 0 IPv6 11:3:YYYY:1:1:1:1:1/128
Metric: 0 IPv6 11:4:YYYY:1:1:1:1:1/128
Metric: 0 IPv6 11:5:YYYY:1:1:1:1:1/128
0000.0000.000A.01-00 0x00000050 0xB0AF 491 0/0/0
Metric: 0 IS-Extended 0000.0000.000A.00
Metric: 0 IS-Extended 0000.0000.000B.00
show isis ipv6 rib コマンドの出力例
次の例では、 show isis ipv6 rib コマンドの出力を示しています。アスタリスク(*)は、IS-IS ルートとしてマスター IPv6 RIB にインストールされているプレフィクスを示します。各プレフィクスのあとにすべてのパスが優先順に表示されています。つまり、先頭に最適なパス、そのあとに次善パスが表示されています。
Router# show isis ipv6 rib
IS-IS IPv6 process "", local RIB
via FE80::210:7BFF:FEC2:ACC9/Ethernet2/0, type L2 metric 20 LSP [3/7]
via FE80::210:7BFF:FEC2:ACCC/Ethernet2/1, type L2 metric 20 LSP [3/7]
via FE80::202:7DFF:FE1A:9471/Ethernet2/1, type L2 metric 10 LSP [4/9]
via FE80::210:7BFF:FEC2:ACC9/Ethernet2/0, type L1 metric 20 LSP [C/6]
via FE80::210:7BFF:FEC2:ACCC/Ethernet2/1, type L1 metric 20 LSP [C/6]
via FE80::210:7BFF:FEC2:ACC9/Ethernet2/0, type L2 metric 20 LSP [3/7]
via FE80::210:7BFF:FEC2:ACCC/Ethernet2/1, type L2 metric 20 LSP [3/7]