IPv6 向けスタティック ルートの実装に関する情報
• 「スタティック ルート」
• 「直接接続されているスタティック ルート」
• 「再帰スタティック ルート」
• 「完全指定のスタティック ルート」
• 「フローティング スタティック ルート」
スタティック ルート
ネットワーキング デバイスでは、手動で設定したルート情報、またはルーティング プロトコルを使用してダイナミックに学習したルート情報を使用して、パケットを転送します。スタティック ルートは、手動で設定され、2 つのネットワーク デバイス間の明示パスを定義します。ダイナミック ルーティング プロトコルとは異なり、スタティック ルートは動的に更新されず、ネットワーク トポロジが変更された場合は手動で再設定する必要があります。スタティック ルートを使用する利点は、セキュリティとリソースの効率性です。スタティック ルートでは、ダイナミック ルーティング プロトコルよりも少ない帯域幅を使用し、ルートの計算および通信に CPU サイクルが使用されません。スタティック ルートを使用する場合の主なデメリットは、ネットワーク トポロジが変更された場合に自動的に再設定されないことです。
スタティック ルートはダイナミック ルーティング プロトコルに再配布できますが、ダイナミック ルーティング プロトコルによって生成されたルートは、スタティック ルーティング テーブルに再配布できません。スタティック ルートを使用するルーティング ループの設定を回避するアルゴリズムはありません。
スタティック ルートは、外部ネットワークへのパスが 1 つしかない小規模ネットワークでは有用です。また、大規模ネットワークの場合は、より厳格な制御が必要な、他のネットワークへの特定のタイプのトラフィックやリンクにセキュリティを提供します。一般に、大半のネットワークでは、ダイナミック ルーティング プロトコルを使用してネットワーキング デバイス間の通信を行いますが、特殊なケース用として 1 つまたは 2 つのスタティック ルートを設定している場合があります。
直接接続されているスタティック ルート
直接接続されているスタティック ルートでは、出力インターフェイスだけが指定されます。宛先は、出力インターフェイスに直接接続されていると想定されるため、パケットの宛先はネクストホップ アドレスとして使用されます。次に、このような定義の例を示します。
ipv6 route 2001:0DB8::/32 ethernet1/0
この例では、アドレス プレフィクス 2001:0DB8::/32 を持つすべての宛先が、インターフェイス Ethernet1/0 を介して直接到着可能であることを指定しています。
直接接続されたスタティック ルートは、有効な IPv6 インターフェイス(つまり、アップ状態にあり、かつ IPv6 がイネーブルになっているインターフェイス)を示している場合にかぎり、IPv6 ルーティング テーブルに挿入される候補となります。
再帰スタティック ルート
再帰スタティック ルートでは、ネクストホップだけが指定されます。出力インターフェイスは、ネクストホップから得られます。次に、このような定義の例を示します。
ipv6 route 2001:0DB8::/32 2001:0DB8:3000:1
この例では、アドレス プレフィクス 2001:0DB8::/32 を持つすべての宛先が、アドレス 2001:0DB8:3000:1 を持つホストを介して到着可能であることを指定しています。
再帰スタティック ルートが有効である(つまり、IPv6 ルーティング テーブルに挿入される候補である)のは、指定したネクストホップが直接的または間接的に有効な IPv6 出力インターフェイスに解決され、ルートが自己再帰型ではなく、再帰深度が IPv6 転送の最大再帰深度を超えていない場合だけです。
ルートは、ルート自身が独自のネクストホップを解決するために使用される場合、自己再帰型となります。たとえば、IPv6 ルーティング テーブルに次のルートがあるとします。
IPv6 Routing Table - 9 entries
Codes: C - Connected, L - Local, S - Static, R - RIP, B - BGP
U - Per-user Static route
I1 - ISIS L1, I2 - ISIS L2, IA - ISIS interarea
O - OSPF intra, OI - OSPF inter, OE1 - OSPF ext 1, OE2 - OSPF ext 2
B 2001:0DB8:3000:0/16 [200/45]
次の例では、再帰 IPv6 スタティック ルートを定義します。
2001:0DB8::/32 2001:0BD8:3000:1
このスタティック ルートは、自己再帰型であるため、IPv6 ルーティング テーブルには挿入されません。スタティック ルートのネクストホップ 2001:0DB8:3000:1 は、自身が再帰ルートである(つまり、ネクストホップだけを指定する)BGP ルート 2001:0DB8:3000:0/16 を介して解決されます。BGP ルートのネクストホップ 2001:0DB8::0104 は、スタティック ルートを介して解決されます。したがって、スタティック ルートは、スタティック ルート自身のネクストホップを解決するために使用されることになります。
一般に、自己再帰型スタティック ルートの手動設定は禁止されていませんが、有用ではありません。ただし、IPv6 ルーティング テーブルに挿入された再帰スタティック ルートが、ダイナミック ルーティング プロトコルを介して学習された、ネットワークでの何らかの一時的変更の結果として自己再帰になる場合があります。このような状況が発生すると、スタティック ルートが自己再帰になった事実が検出され、そのスタティック ルートは IPv6 ルーティング テーブルから削除されます(設定からは削除されません)。以降のネットワーク変更によって、スタティック ルートが自己再帰でなくなる場合があります。この場合、そのスタティック ルートは IPv6 ルーティング テーブルに再挿入されます。
(注) Cisco IOS Release 12.2(15)T 以降のリリースでは、IPv6 再帰スタティック ルートが 1 分おきにチェックされます。したがって、再帰スタティック ルートは、そのネクストホップが有効になったあと、ルーティング テーブルに挿入されるまで最大 1 分かかる場合があります。同様に、ルートのネクストホップが無効になったあと、ルーティング テーブルからそのルートが削除されるまでに 1 分ほどかかる場合があります。
完全指定のスタティック ルート
完全指定のスタティック ルートでは、出力インターフェイスとネクストホップの両方が指定されています。この形式のスタティック ルートは、出力インターフェイスがマルチアクセス インターフェイスであり、ネクストホップを明示的に識別する必要がある場合に使用されます。ネクストホップは、指定した出力インターフェイスに直接接続されている必要があります。次の例では、完全指定のスタティック ルートの定義を示します。
ipv6 route 2001:DB8:/32 ethernet1/0 2001:0DB8:3000:1
完全指定のルートが有効である(つまり、IPv6 ルーティング テーブルに挿入される候補である)のは、指定した IPv6 インターフェイスが IPv6 対応であり、かつアップ状態となっている場合です。
フローティング スタティック ルート
フローティング スタティック ルートは、設定されたルーティング プロトコルを介して学習されたダイナミック ルートのバックアップに使用されるスタティック ルートです。フローティング スタティック ルートは、バックアップしているルーティング プロトコルよりも高い管理ディスタンスを使用して設定されます。このため、ルーティング プロトコルを介して学習されたダイナミック ルートは、フローティング スタティック ルートよりも常に優先して使用されます。ルーティング プロトコルを介して学習されたダイナミック ルートが失われると、フローティング スタティック ルートが代わりに使用されます。次に、フローティング スタティック ルートを定義する例を示します。
ipv6 route 2001:DB8:/32 ethernet1/0 2001:0DB8:3000:1 210
3 つのタイプの IPv6 スタティック ルートのいずれも、フローティング スタティック ルートとして使用できます。フローティング スタティック ルートは、ダイナミック ルーティング プロトコルよりも大きい管理ディスタンスを使用して設定する必要があります。これは、小さい管理ディスタンスが設定されたルートの方が優先されるためです。
(注) デフォルトで、スタティック ルートはダイナミック ルートよりも小さい管理ディスタンスを持っているため、スタティック ルートは、ダイナミック ルートよりも優先して使用されます。
IPv6 向けスタティック ルートの実装方法
ここでは、スタティック IPv6 ルートの設定方法について説明します。
• 「スタティック IPv6 ルートの設定」
• 「フローティング スタティック IPv6 ルートの設定:例」
• 「スタティック IPv6 ルートの設定と動作の確認」
スタティック IPv6 ルートの設定
ここでは、デフォルトのスタティック IPv6 ルート、ポイントツーポイント インターフェイスを介したスタティック IPv6 ルート、およびマルチアクセス インターフェイスに対するスタティック IPv6 ルートを設定する方法について説明します。
IPv6 でのスタティック ルート
ipv6 route コマンドを使用して、IPv6 スタティック ルートを設定します。
手順の概要
1. enable
2. configure terminal
3. ipv6 route ipv6-prefix / prefix-length { ipv6-address | interface-type interface-number [ i pv6-address ]} [ administrative-distance ] [ administrative-multicast-distance | unicast | multicast ] [ tag tag ]
手順の詳細
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ステップ 1 |
enable
Router> enable |
特権 EXEC モードをイネーブルにします。 • 必要に応じてパスワードを入力します。 |
ステップ 2 |
configure terminal
Router# configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 3 |
ipv6 route ipv6-prefix / prefix-length { ipv6-address | interface-type interface-number [ i pv6-address ]} [ administrative-distance ] [ administrative-multicast-distance | unicast | multicast ] [ tag tag ]
Router(config)# ipv6 route ::/0 serial 2/0 |
スタティック IPv6 ルートを設定します。 • デフォルトのスタティック IPv6 ルートは、シリアル インターフェイス上で設定されます。 • この表の直後の構文例で、スタティック ルートを設定するための ipv6 route コマンドの特別な使用法を参照してください。 |
例
「手順の詳細」に含まれている構文例に加えて、次の構文例では、さまざまなタイプのスタティック ルートを設定するための ipv6 route の使用法を示しています。
ポイントツーポイント インターフェイスを介して直接接続されているスタティック ルートの構文例
次に、ポイントツーポイント インターフェイスを介して直接接続されているスタティック ルートを設定する例を示します。
Router(config)# ipv6 route 2001:0DB8::/32 serial 0
ブロードキャスト インターフェイス上の直接接続されたスタティック ルートの構文例
次に、ブロードキャスト インターフェイス上の直接接続されたスタティック ルートを設定する例を示します。
Router(config)# ipv6 route 2001:0DB8::1/32 ethernet1/0
ブロードキャスト インターフェイス上の完全指定のスタティック ルートの構文例
次に、ブロードキャスト インターフェイス上の完全指定のスタティック ルートを設定する例を示します。
Router(config)# ipv6 route 2001:0DB8::1/32 ethernet1/0 fe80::1
再帰スタティック ルート
次の例では、出力インターフェイスの自動的な取得元となる、指定のネクストホップ アドレスにスタティック ルートが設定されています。
Router(config)# ipv6 route 2001:0DB8::/32 2001:0DB8:2002:1
フローティング スタティック IPv6 ルートの設定:例
ここでは、フローティング スタティック IPv6 ルートを設定する方法について説明します。
手順の概要
1. enable
2. configure terminal
3. ipv6 route ipv6-prefix / prefix-length { ipv6-address | interface-type interface-number [ i pv6-address ]} [ administrative-distance ] [ administrative-multicast-distance | unicast | multicast ] [ tag tag ]
手順の詳細
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ステップ 1 |
enable
Router> enable |
特権 EXEC モードをイネーブルにします。 • 必要に応じてパスワードを入力します。 |
ステップ 2 |
configure terminal
Router# configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 3 |
ipv6 route ipv6-prefix / prefix-length { ipv6-address | interface-type interface-number [ i pv6-address ]} [ administrative-distance ] [ administrative-multicast-distance | unicast | multicast ] [ tag tag ]
Router(config)# ipv6 route 2001:0DB8::/32 serial 2/0 201 |
スタティック IPv6 ルートを設定します。 • この例では、フローティング スタティック IPv6 ルートが設定されます。管理ディスタンス 200 が設定されています。 • デフォルトの管理ディスタンスは、次のとおりです。 – 接続されているインターフェイス:0 – スタティック ルート:1 – Enhanced Interior Gateway Routing Protocol(EIGRP)サマリー ルート:5 – external Border Gateway Protocol(eBGP; 外部ボーダー ゲートウェイ プロトコル):20 – 内部 Enhanced IGRP:90 – IGRP:100 – Open Shortest Path First:110 – Intermediate System-to-Intermediate System(IS-IS):115 – Routing Information Protocol(RIP; ルーティング情報プロトコル):120 – Exterior Gateway Protocol(EGP; 外部ゲートウェイ プロトコル):140 – EIGRP 外部ルート:170 – 内部 BGP:200 – 不明:255 |
スタティック IPv6 ルートの設定と動作の確認
ここでは、スタティック IPv6 ルートの設定と動作を確認するための情報を表示する方法について説明します。
show ipv6 static コマンドを使用して、一連のスタティック ルート、および各ルートのインストール ステータス、つまり各ルートのエントリが IPv6 ルーティング テーブルに表示されるかどうかを示します。
show ipv6 route コマンドを使用して、インストールされたルートが IPv6 ルーティング テーブルに存在し、各ルート定義が、予想されるコストとメトリックを反映していることを確認します。設定したスタティック ルートが IPv6 ルーティング テーブルに表示されない場合は、テーブル内に別の送信元から(ルーティング プロトコルからなど)のより小さい管理ディスタンスが存在する可能性があります。ルーティング テーブルに対するこのような変更は、スタティック ルートにデフォルトでない管理ディスタンスを指定した場合にだけ発生します。
より小さい管理ディスタンスが存在する場合、スタティック ルートは「フローティング」となり、ルーティング プロトコルを介して学習されたルートが失われた場合にだけルーティング テーブルに挿入されます。より小さい管理ディスタンスがルーティング テーブルに存在しない場合は、スタティック ルートが使用されます。
detail キーワードを指定した show ipv6 static コマンドを使用して、不一致の原因を識別します。たとえば、スタティック ルートが直接スタティック ルートである場合、そのインターフェイスはダウンしているか、または IPv6 がそのインターフェイス上でイネーブルになっていない可能性があります。
手順の概要
1. enable
2. show ipv6 static [ ipv6-address | ipv6-prefix / prefix-length ][ interface interface-type interface-number ] [ recursive ] [ detail ]
または
show ipv6 route [ ipv6-address | ipv6-prefix / prefix-length | protocol | interface-type interface-number ]
3. debug ipv6 routing
手順の詳細
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ステップ 1 |
enable
Router> enable |
特権 EXEC モードをイネーブルにします。 • 必要に応じてパスワードを入力します。 |
ステップ 2 |
show ipv6 static [ ipv6-address | ipv6-prefix / prefix-length ][ interface interface-type interface-number ] [ recursive ] [ detail ] または show ipv6 route [ ipv6-address | ipv6-prefix / prefix-length | protocol | interface-type interface-number ]
Router# show ipv6 static または
Router# show ipv6 route static |
IPv6 ルーティング テーブルの現在の内容を表示します。 • これらの例は、IPv6 スタティック ルートを表示する 2 つの方法を示しています。 |
ステップ 3 |
debug ipv6 routing
Router# debug ipv6 routing |
IPv6 ルーティング テーブルの更新およびルート キャッシュの更新に関するデバッグ メッセージを表示します。 |
例
ここでは、次の出力例について説明します。
• 「コマンド構文でオプションが指定されていない場合の show ipv6 static コマンドの出力例」
• 「IPv6 アドレスおよびプレフィクス コマンドを含む show ipv6 static コマンドの出力例」
• 「show ipv6 static interface コマンドの出力例」
• 「show ipv6 static recursive コマンドの出力例」
• 「show ipv6 static detail コマンドの出力例」
• 「show ipv6 route コマンドの出力例」
• 「debug ipv6 routing コマンドの出力例」
コマンド構文でオプションが指定されていない場合の show ipv6 static コマンドの出力例
このコマンドでオプションが指定されていない場合、IPv6 ルーティング テーブルにインストールされているルートは、次の例で示すように、アスタリスクでマーク付けされます。
Code: * - installed in RIB
* 2001:0DB8:3000:0/16, interface Ethernet1/0, distance 1
* 2001:0DB8:4000:0/16, via nexthop 2001:0DB8:1:1, distance 1
2001:0DB8:5000:0/16, interface Ethernet3/0, distance 1
* 2001:0DB8:5555:0/16, via nexthop 2001:0DB8:4000:1, distance 1
2001:0DB8:5555:0/16, via nexthop 2001:0DB8:9999:1, distance 1
* 2001:0DB8:5555:0/16, interface Ethernet2/0, distance 1
* 2001:0DB8:6000:0/16, via nexthop 2001:0DB8:2007:1, interface Ethernet1/0, distance 1
IPv6 アドレスおよびプレフィクス コマンドを含む show ipv6 static コマンドの出力例
ipv6-address または ipv6-prefix / prefix-length 引数が指定されている場合、そのアドレスまたはネットワークのスタティック ルートに関する情報だけが表示されます。次に、IPv6 プレフィクス 2001:0DB8:200::/35 を入力した場合の show ipv6 static コマンドの出力例を示します。
Router# show ipv6 static 2001:0DB8:5555:0/16
Code: * - installed in RIB
* 2001:0DB8:5555:0/16, via nexthop 2001:0DB8:4000:1, distance 1
2001:0DB8:5555:0/16, via nexthop 2001:9999:1, distance 2
* 2001:0DB8:5555:0/16, interface Ethernet2/0, distance 1
show ipv6 static interface コマンドの出力例
インターフェイスが指定されている場合、指定されたインターフェイスを発信インターフェイスとして使用するスタティック ルートだけが表示されます。 interface キーワードは、 show ipv6 static コマンドで指定した IPv6 アドレスおよびプレフィクスを含めて使用することも、含めずに使用することもできます。
Router# show ipv6 static interface ethernet3/0
Code: * - installed in RIB
show ipv6 static recursive コマンドの出力例
recursive キーワードが show ipv6 static コマンドで指定されている場合、再帰スタティック ルートだけが表示されます。 recursive キーワードは、 interface キーワードと相互排他的ですが、コマンド構文に含まれる IPv6 プレフィクス付きでも IPv6 プレフィクスなしでも使用できます。
Router# show ipv6 static recursive
Code: * - installed in RIB
* 2001:0DB8:4000:0/16, via nexthop 2001:0DB8:1:1, distance 1
* 2001:0DB8:5555:0/16, via nexthop 2001:0DB8:4000:1, distance 2
2001:0DB8:5555:0/16, via nexthop 2001:0DB8:9999:1, distance 3
show ipv6 static detail コマンドの出力例
detail キーワードが指定されている場合、次の追加情報も表示されます。
• 有効な再帰ルートの場合は、出力パス セットおよび最大解決深度
• 無効な再帰ルートの場合は、ルートが有効でない理由
• 無効なダイレクト ルートまたは完全指定のルートの場合は、ルートが有効でない理由
Router# show ipv6 static detail
Code: * - installed in RIB
* 2001:0DB8:3000:0/16, interface Ethernet1/0, distance 1
* 2001:0DB8:4000:0/16, via nexthop 2001:0DB8:2001:1, distance 1
Resolves to 1 paths (max depth 1)
2001:0DB8:5000:0/16, interface Ethernet3/0, distance 1
* 2001:0DB8:5555:0/16, via nexthop 2001:0DB8:4000:1, distance 1
Resolves to 1 paths (max depth 2)
2001:0DB8:5555:0/16, via nexthop 2001:0DB8:9999:1, distance 1
Route does not fully resolve
* 2001:0DB8:5555:0/16, interface Ethernet2/0, distance 1
* 2001:0DB8:6000:0/16, via nexthop 2001:0DB8:2007:1, interface Ethernet1/0, distance 1
show ipv6 route コマンドの出力例
次の例では、 show ipv6 route コマンドを使用して、ポイントツーポイント インターフェイスを介したスタティック ルートの設定を確認しています。
IPv6 Routing Table - 9 entries
Codes: C - Connected, L - Local, S - Static, R - RIP, B - BGP
U - Per-user Static route
I1 - ISIS L1, I2 - ISIS L2, IA - ISIS interarea
O - OSPF intra, OI - OSPF inter, OE1 - OSPF ext 1, OE2 - OSPF ext 2
次の例では、 show ipv6 route コマンドを使用して、マルチアクセス インターフェイス上のスタティック ルートの設定を確認しています。IPv6 リンクローカル アドレス(FE80::1)が、ネクストホップ ルータです。
IPv6 Routing Table - 11 entries
Codes: C - Connected, L - Local, S - Static, R - RIP, B - BGP
U - Per-user Static route
I1 - ISIS L1, I2 - ISIS L2, IA - ISIS interarea
O - OSPF intra, OI - OSPF inter, OE1 - OSPF ext 1, OE2 - OSPF ext 2
IPv6 ルーティング テーブル内のすべてのスタティック ルートを表示するには、次のように、protocol 引数の値として static を指定して show ipv6 route static コマンドを使用します。
Router# show ipv6 route static
IPv6 Routing Table - 330 entries
Codes: C - Connected, L - Local, S - Static, R - RIP, B - BGP
U - Per-user Static route
I1 - ISIS L1, I2 - ISIS L2, IA - ISIS interarea
S 3FFE:C00:8011::/48 [1/0]
via 2001:0DB8:2002:806B, Null
debug ipv6 routing コマンドの出力例
次の例では、 debug ipv6 routing コマンドを使用して、IPv6 RIP ルートが削除された場合の、IPv6 ルーティング テーブルへのフローティング スタティック ルートのインストールを確認します。フローティング スタティック IPv6 ルートは、以前は管理ディスタンス値 130 を使用して設定されていました。RIP ルートはデフォルトで 120 の管理ディスタンスを持つため、バックアップ ルートは、フローティング スタティック ルートとして追加されており、RIP ルートが優先されるルートになります。RIP ルートが削除されると、フローティング スタティック ルートが IPv6 ルーティング テーブルにインストールされます。
Router# debug ipv6 routing
*Oct 10 18:28:00.847: IPv6RT0: rip two, Delete 2001:0DB8::/32 from table
*Oct 10 18:28:00.847: IPv6RT0: static, Backup call for 2001:0DB8::/32
*Oct 10 18:28:00.847: IPv6RT0: static, Add 2001:0DB8::/32 to table
*Oct 10 18:28:00.847: IPv6RT0: static, Adding next-hop :: over Serial2/0 for 2001:0DB8::/32, [130/0]
IPv6 向けスタティック ルートの実装の設定例
スタティック ルートは、さまざまな目的に使用できます。一般的な使用方法は、次のとおりです。
• 手動集約
• トラフィック廃棄
• デフォルトの固定ルート
• バックアップ ルート
多くの場合、Cisco IOS ソフトウェアには、同一の目的を果たすための代替メカニズムが用意されています。スタティック ルートを使用するか、またはいずれかの代替メカニズムを使用するかは、ローカルの状況によって決まります。
• 「例:手動集約の設定」
• 「例:トラフィック廃棄の設定」
• 「例:デフォルトの固定ルートの設定」
• 「フローティング スタティック IPv6 ルートの設定:例」
例:手動集約の設定
次に、RIP にアドバタイズされるローカル インターフェイス プレフィクスを集約するために使用するスタティック ルートの例を示します。スタティック ルートは、廃棄ルートとしても機能し、パケットのうち、ルータで受信され、宛先が 2001:0DB8:1::/48 で、より詳細なインターフェイス プレフィクスではカバーされないパケットを廃棄します。
Router# configure terminal
Enter configuration commands, one per line. End with CNTL/Z.
Router(config)# interface ethernet0/0
Router(config-if)# ipv6 address 2001:0DB8:2:1234/64
Router(config)# interface ethernet1/0
Router(config-if)# ipv6 address 2001:0DB8:3:1234/64
Router(config)# interface ethernet2/0
Router(config-if)# ipv6 address 2001:0DB8:4:1234/64
Router(config)# interface ethernet3/0
Router(config-if)# ipv6 address 2001:0DB8::1234/64
Router(config-if)# ipv6 rip one enable
Router(config)# ipv6 router rip one
Router(config-rtr)# redistribute static
Router(config)# ipv6 route 2001:0DB8:1:1/48 null0
00:01:30: %SYS-5-CONFIG_I: Configured from console by console
Router# show ipv6 route static
IPv6 Routing Table - 3 entries
Codes: C - Connected, L - Local, S - Static, R - RIP, B - BGP
U - Per-user Static route
I1 - ISIS L1, I2 - ISIS L2, IA - ISIS interarea, IS - ISIS summary
O - OSPF intra, OI - OSPF inter, OE1 - OSPF ext 1, OE2 - OSPF ext 2
ON1 - OSPF NSSA ext 1, ON2 - OSPF NSSA ext 2
例:トラフィック廃棄の設定
インターフェイス null0 をポイントするようにスタティック ルートを設定することで、特定のプレフィクスへのトラフィックを廃棄できます。たとえば、プレフィクス 2001:0DB8:42:1/64 へのすべてのトラフィックを廃棄する必要がある場合は、次のスタティック ルートが定義されます。
Router# configure terminal
Enter configuration commands, one per line. End with CNTL/Z.
Router(config)# ipv6 route 2001:0DB8:42:1::/64 null0
00:05:44: %SYS-5-CONFIG_I: Configured from console by console
例:デフォルトの固定ルートの設定
デフォルトのスタティック ルートは、多くの場合、単純なルータ トポロジで使用されます。次の例では、ルータは、イーサネット 0/0 を介してそのローカル サイトに接続され、Serial2/0 と Serial3/0 を介して主要な企業メッセージに接続されます。非ローカル トラフィックはすべて、2 つのシリアル インターフェイスを介してルーティングされます。
Router(config)# interface ethernet0/0
Router(config-if)# ipv6 address 2001:0DB8:17:1234/64
Router(config)# interface Serial2/0
Router(config-if)# ipv6 address 2001:0DB8:1:1234/64
Router(config)# interface Serial3/0
Router(config-if)# ipv6 address 2001:0DB8:2:124/64
Router(config)# ipv6 route ::/0 Serial2/0
Router(config)# ipv6 route ::/0 Serial3/0
00:06:30: %SYS-5-CONFIG_I: Configured from console by console
Router# show ipv6 route static
IPv6 Routing Table - 7 entries
Codes: C - Connected, L - Local, S - Static, R - RIP, B - BGP
U - Per-user Static route
I1 - ISIS L1, I2 - ISIS L2, IA - ISIS interarea, IS - ISIS summary
O - OSPF intra, OI - OSPF inter, OE1 - OSPF ext 1, OE2 - OSPF ext 2
ON1 - OSPF NSSA ext 1, ON2 - OSPF NSSA ext 2
例:フローティング スタティック ルートの設定
多くの場合、フローティング スタティック ルートは、接続の問題が発生した場合にバックアップ パスを提供するために使用されます。次の例では、ルータは、Serial2/0 を介したネットワーク コアへの接続を持ち、IS-IS を介してルート 2001:0DB8:1:1/32 を学習しています。Serial2/0 インターフェイスに障害が発生するか、またはルート 2001:0DB8:1:1/32 が IS-IS を介して学習されなくなった(ネットワークのいずれかの箇所で接続が失われていることを示します)場合、トラフィックはバックアップ ISDN インターフェイスを介してルーティングされます。
Router# configure terminal
Enter configuration commands, one per line. End with CNTL/Z.
Router(config)# interface ethernet0/0
Router(config-if)# ipv6 address 2001:0DB8:17:1234/64
Router(config)# interface Serial2/0
Router(config-if)# ipv6 address 2001:0DB8:1:1234/64
Router(config-if)# ipv6 router isis
Router(config)# router isis
Router(config-router)# net 42.0000.0000.0000.0001.00
Router(config-router)# exit
Router(config)# interface BRI1/0
Router(config-if)# encapsulation ppp
Router(config-if)# ipv6 enable
Router(config-if)# isdn switch-type basic-net3
Router(config-if)# ppp authentication chap optional
Router(config-if)# ppp multilink
Router(config)# dialer-list 1 protocol ipv6 permit
Router(config)# ipv6 route 2001:0DB8:1::/32 BRI1/0 200
00:03:07: %SYS-5-CONFIG_I: Configured from console by console
2001:0DB8:5000:)/16, interface Ethernet3/0, distance 1