Netflow v9 for IPv6
この章では、NetFlow バージョン 9(v9)エクスポート フォーマットを使用して、IP バージョン 6(IPv6)トラフィック フローからデータをキャプチャしてエクスポートするために NetFlow および NetFlow Data Export(NDE; ネットフロー データ エクスポート)を設定する手順と設定の概要を示します。
機能情報の確認
ご使用のソフトウェア リリースによっては、この章に記載されている機能の中に、一部サポートされていないものがあります。最新の機能情報と注意事項については、ご使用のプラットフォームとソフトウェア リリースに対応したリリース ノートを参照してください。この章に記載されている機能の詳細、および各機能がサポートされているリリースのリストについては、「Netflow v9 for IPv6の機能情報」を参照してください。
Cisco Feature Navigator を使用すると、プラットフォーム、および Cisco ソフトウェア イメージの各サポート情報を検索できます。Cisco Feature Navigator には、 http://www.cisco.com/go/cfn からアクセスしてください。Cisco.com のアカウントは必要ありません。
Netflow v9 for IPv6 の前提条件
Netflow v9 for IPv6 機能を設定するには、ルータで Cisco IOS release 12.2(33)SRB 以降が実行されている必要があります。
Netflow v9 for IPv6 に関する情報
• 「PFC での NetFlow および NDE」
• 「NetFlow エクスポート フォーマット バージョン 9」
PFC での NetFlow および NDE
PFC での NetFlow キャッシュは、ハードウェア内でルーティングされたフローに対する統計情報をキャプチャします。
PFC は、次のいずれかのフロー マスクを使用して、NetFlow エントリを作成します。
• source-only :キャッシュには、送信元 IP アドレスごとに 1 つずつのエントリが含まれます。1 つの送信元 IP アドレスからのすべてのフローで、このエントリが使用されます。
• destination :キャッシュには、宛先 IP アドレスごとに 1 つずつのエントリが含まれます。1 つの宛先 IP アドレスへのすべてのフローで、このエントリが使用されます。
• destination-source :キャッシュには、送信元 IP アドレスと宛先 IP アドレスのペアごとに 1 つずつのエントリが含まれます。同じ送信元 IP アドレスと宛先 IP アドレス間のすべてのフローで、このエントリが使用されます。
• destination-source-interface : destination-source フロー マスク内の情報に、送信元 VLAN SNMP ifIndex が追加されます。
• full :IP フローごとに個別のキャッシュ エントリが作成されます。完全なエントリには、送信元 IP アドレス、宛先 IP アドレス、プロトコル、およびプロトコル インターフェイスが含まれます。
• full-interface : full フロー マスク内の情報に、送信元 VLAN SNMP ifIndex が追加されます。
NetFlow フロー マスクおよびフロー レコードの詳細については、『 Cisco 7600 Series Cisco IOS Software Configuration Guide, Release 12.2SR 』の「 Configuring NetFlow and NDE 」の章を参照してください。
NetFlow エクスポート フォーマット バージョン 9
どの NetFlow エクスポート バージョンでも、NetFlow エクスポート データグラムは、1 つのヘッダーと一連のフロー レコードで構成されます。ヘッダーには、シーケンス番号、レコード カウント、システム動作時間などの情報が含まれています。フロー レコードには、IP アドレス、ポート、ルーティング情報などのフロー情報が含まれています。
NetFlow バージョン 9 エクスポート フォーマットは、最新の NetFlow エクスポート フォーマットです。NetFlow バージョン 9 エクスポート フォーマットの他と異なる特徴は、 テンプレート ベースであるということです。 テンプレートにより、レコード フォーマットが拡張可能になります。NetFlow バージョン 9 エクスポート フォーマットを使用すると、将来的に、基本的なフローレコード フォーマットに並列的な変更を加えなくても NetFlow を拡張できます。
NetFlow バージョン 9 エクスポートのレコード フォーマットは、従来の NetFlow 固定フォーマット エクスポート レコードとは異なります。NetFlow バージョン 9 では、テンプレートにより NetFlow データが説明され、フロー セットに実際のデータが含まれます。このような配置によって、フレキシブルなエクスポートを可能にしています。
NetFlow バージョン 9 エクスポート フォーマットでテンプレートを使用すると、他にも次のような主要な利点があります。
• ルータまたはスイッチから、ほとんどすべての情報(レイヤ 2 ~ 7 の情報、ルーティング情報、 IP バージョン 6 (IPv6)、IP バージョン 4(IPv4)、マルチキャスト、および Multiprotocol Label Switching(MPLS; マルチプロトコル ラベル スイッチング)情報を含む)をエクスポートできる。この新しい情報により、新たなエクスポート データの活用とネットワーク動作の表示が可能になります。
• NetFlow コレクタや NetFlow 向け表示サービスを提供するアプリケーションを製造するサードパーティのビジネス パートナーは、新しい NetFlow エクスポート フィールドが追加されるたびにアプリケーションをリコンパイルする必要がない。そうしなくても、既知のテンプレート フォーマットを説明する外部データ ファイルを使用できます。
• 現在の実装を中断することなく、より短時間で NetFlow に新しい機能を追加できる。
• NetFlow は、将来的に新しいプロトコルまたは開発中のプロトコルに対しても使用できる。バージョン 9 エクスポート フォーマットは、これらのプロトコルや、データ収集に対する NetFlow ベースでないアプローチをサポートするように調整できるためです。
表 1 に、NetFlow バージョン 9 エクスポート パケット ヘッダー フォーマットを示します。
表 1 NetFlow バージョン 9 エクスポート パケット ヘッダーのフィールド名および説明
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0 ~ 1 |
Version |
このパケット内にエクスポートされた NetFlow レコードのバージョン。バージョン 9 の場合、この値は 0x0009 です。 |
2 ~ 3 |
Count |
このパケット内に含まれる FlowSet レコード(テンプレートおよびデータ)の数。 |
4 ~ 7 |
System Uptime |
このデバイスが最初に起動されてからの経過時間(ミリ秒)。 |
8 ~ 11 |
UNIX Seconds |
0000 Coordinated Universal Time(UTC; 協定世界時)1970 以降の秒数。 |
12 ~ 15 |
Sequence Number |
このエクスポート デバイスにより送信されたすべてのエクスポート パケットのインクリメンタル シーケンス カウンタ。この値は累積値であり、ミスされたエクスポート パケットがあるか調べるために使用できます。 これは NetFlow バージョン 5 およびバージョン 8 のヘッダーから変更された点です。NetFlow バージョン 5 およびバージョン 8 では、この数値は「合計のフロー」を表していました。 |
16 ~ 19 |
Source ID |
Source ID フィールドは 32 ビットの値であり、特定のデバイスからエクスポートされた各フローの固有性を保証するために使用されます(Source ID フィールドは、NetFlow バージョン 5 およびバージョン 8 のヘッダーでの engine type フィールドおよび engine ID フィールドに相当します)。このフィールドのフォーマットは、ベンダーに固有です。シスコの実装においては、最初の 2 つのバイトは将来の拡張用に予約されており、常に 0 となります。バイト 3 は、エクスポート側デバイスのルーティング エンジンに関する固有性を提供します。バイト 4 は、エクスポート側デバイスの特定のラインカードまたは Versatile Interface Processor に関する固有性を提供します。コレクタ デバイスは、送信元 IP アドレスと Source ID フィールドを組み合せて使用して、着信した NetFlow エクスポート パケットを特定デバイス上の NetFlow の固有インスタンスと関連付ける必要があります。 |
図 1 に、NetFlow バージョン 9 エクスポート フォーマットを使用してデータをエクスポートする一般的な例を示します。
図 1 NetFlow バージョン 9 エクスポート フォーマット パケットの例
NetFlow エクスポート フォーマット バージョン 9 およびエクスポート フォーマット アーキテクチャの詳細については、『 NetFlow version 9 Flow-Record Format 』を参照してください。
Netflow v9 for IPv6 の設定方法
手順の概要
1. enable
2. configure terminal
3. ipv6 unicast-routing
4. mls flow { ip | ipv6 } { destination | destination-source | full | interface-destination-source | interface-full | source }
5. mls nde sender
6. ip flow-export version 9
7. ip flow-export destination { ip-address | hostname } udp-port
8. interface type number
9. ipv6 address ip-address/mask
手順の詳細
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ステップ 1 |
enable
Router> enable |
特権 EXEC モードをイネーブルにします。 • 必要に応じてパスワードを入力します。 |
ステップ 2 |
configure terminal
Router# configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 3 |
ipv6 unicast-routing
Router(config)# ipv6 unicast-routing |
IPv6 ユニキャスト データグラムの転送をイネーブルにします。 |
ステップ 4 |
mls flow { ip | ipv6 } { destination | destination-source | full | interface-destination-source | interface-full | source }
Router(config)# mls flow ipv6 interface-full |
IPv6 トラフィックの NetFlow フロー マスクを指定します。 |
ステップ 5 |
mls nde sender
Route(config)# mls nde sender |
ルータでグローバルに NDE をイネーブルにします。 (注) エクスポートされるトラフィックの宛先を指定するまで、NDE はデータのエクスポートを開始しません。エクスポートされるトラフィックの宛先は、手順 7 で指定します。 |
ステップ 6 |
ip flow-export version 9
Router(config)# ip flow-export version 9 |
NetFlow バージョン 9 エクスポート フォーマットを使用するように NDE を設定します。 |
ステップ 7 |
ip flow-export destination { ip-address | hostname } udp-port
Router(config)# ip flow-export destination 172.16.10.2 88 |
NetFlow コレクタの IP アドレスまたはホスト名と、NetFlow コレクタがリスニングする UDP ポートを指定します。 |
ステップ 8 |
interface type number
Router(config)# interface fastethernet 1/1 |
NetFlow をイネーブルにするインターフェイスを指定し、インターフェイス コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 9 |
ipv6 address ip-address/mask
Router(config-if)# ipv6 address 2001:0DB8:AB::2/64 |
インターフェイスで IPv6 アドレスを設定します。 |
例
show mls nde コマンドの次の出力により、ルータで NDE がイネーブルになっていることを確認できます。
Router# show mls nde
NetFlow Data Export enabled
Exporting flows to 10.30.30.2 (12345) 172.16.10.2 (88)
Exporting flows from 10.4.9.149 (58970)
Version: 9
Layer2 flow creation is disabled
Layer2 flow export is disabled
Include Filter not configured
Exclude Filter not configured
Total NetFlow Data Export Packets are:
0 packets, 0 no packets, 0 records
Total NetFlow Data Export Send Errors:
IPWRITE_NO_FIB = 0
IPWRITE_ADJ_FAILED = 0
IPWRITE_PROCESS = 0
IPWRITE_ENQUEUE_FAILED = 0
IPWRITE_IPC_FAILED = 0
IPWRITE_OUTPUT_FAILED = 0
IPWRITE_MTU_FAILED = 0
IPWRITE_ENCAPFIX_FAILED = 0
NetFlow Aggregation Disabled
Netflow v9 for IPv6の設定例
ここでは、次の設定例を示します。
• 「例:NetFlow v9 for IPv6 機能の設定」
例:NetFlow v9 for IPv6 機能の設定
次に、NetFlow エクスポート フォーマット バージョン 9 を使用して、IPv6 トラフィックに NetFlow および NDE のルータを設定する例を示します。
mls flow ipv6 interface-full
ip flow-export destination 172.16.10.2 88
interface FastEthernet1/1
ipv6 address
2001:0DB8::1/64
その他の関連資料
規格
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この機能に関連付けられている規格はありません。 |
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RFC
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RFC 3954 |
『Cisco Systems NetFlow Services Export Version 9』 |
シスコのテクニカル サポート
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右の URL にアクセスして、シスコのテクニカル サポートを最大限に活用してください。 以下を含むさまざまな作業にこの Web サイトが役立ちます。 ・テクニカル サポートを受ける ・ソフトウェアをダウンロードする ・セキュリティの脆弱性を報告する、またはシスコ製品のセキュリティ問題に対する支援を受ける ・ツールおよびリソースへアクセスする - Product Alert の受信登録 - Field Notice の受信登録 - Bug Toolkit を使用した既知の問題の検索 ・Networking Professionals(NetPro)コミュニティで、技術関連のディスカッションに参加する ・トレーニング リソースへアクセスする ・TAC Case Collection ツールを使用して、ハードウェアや設定、パフォーマンスに関する一般的な問題をインタラクティブに特定および解決する この Web サイト上のツールにアクセスする際は、Cisco.com のログイン ID およびパスワードが必要です。 |
http://www.cisco.com/en/US/support/index.html |
Netflow v9 for IPv6の機能情報
表 2 に、このモジュールで説明した機能をリストし、特定の設定情報へのリンクを示します。
プラットフォームのサポートおよびソフトウェア イメージのサポートに関する情報を検索するには、Cisco Feature Navigator を使用します。Cisco Feature Navigator により、どのソフトウェア イメージが特定のソフトウェア リリース、機能セット、またはプラットフォームをサポートするか調べることができます。Cisco Feature Navigator には、 http://www.cisco.com/go/cfn からアクセスします。Cisco.com のアカウントは必要ありません。
(注) 表 2には、一連のソフトウェア リリースのうち、特定の機能が初めて導入されたソフトウェア リリースだけが記載されています。その機能は、特に断りがない限り、それ以降の一連のソフトウェア リリースでもサポートされます。
表 2 Netflow v9 for IPv6 の機能情報
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Netflow v9 for IPv6 |
12.2(33)SRB 15.0(1)S |
Netflow v9 for IPv6 機能を使用すると、IPv6 トラフィックの NetFlow フロー情報のエクスポートが可能になります。 この機能のサポートは、12.2(33)SRB で Cisco 7600 シリーズ ルータに追加されました。 |
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