QoS for IPv6 の実装に関する情報
IPv6 トラフィックの管理に使用できる QoS 機能に関する詳細については、次の各項を参照してください。
• 「QoS for IPv6 の実装方針」
• 「IPv6 でのパケット分類」
• 「IPv6 ネットワークでのポリシーおよびクラスベース パケット マーキング」
• 「IPv6 ネットワークでの輻輳管理」
• 「IPv6 トラフィックの輻輳回避」
• 「IPv6 環境でのトラフィック ポリシング」
QoS for IPv6 の実装方針
IPv6 パケットは、IPv4 パケットとは別のパスで転送されます。IPv6 環境でサポートされている QoS 機能には、パケット分類、キューイング、トラフィック シェーピング、Weighted Random Early Detection(WRED; 重み付けランダム早期検出)、クラスベース パケット マーキング、および IPv6 パケットのポリシングが含まれます。これらの機能は、IPv6 のプロセス スイッチング パスとシスコ エクスプレス フォワーディング スイッチング パスのどちらでも使用できます。
IPv6 環境で使用可能な QoS 機能はすべて、Modular QoS Command-Line Interface(CLI; コマンドライン インターフェイス)から管理します。Modular QoS CLI を使用すると、トラフィック クラスを定義し、トラフィック ポリシー(ポリシー マップ)を作成および設定してから、それらのトラフィック ポリシーをインターフェイスに対応付けることができます。
IPv6 が稼動しているネットワークに QoS を実装するには、IPv4 だけが稼動しているネットワークに QoS を実装する手順に従ってください。高度なレベルで QoS を実装するための基本手順は、次のとおりです。
1. QoS を必要とするネットワーク内のアプリケーションを特定します。
2. どの QoS 機能が適切であるかを判断するために、アプリケーションの特性を理解します。
3. 変更と転送がリンク レイヤ ヘッダー サイズに及ぼす影響を理解するために、ネットワーク トポロジについて理解します。
4. ネットワークに確立する基準に基づいて、クラスを作成します。具体的には、同じネットワークで IPv6 トラフィックとともに IPv4 トラフィックも伝送されている場合、IPv6 トラフィックと IPv4 トラフィックを同様に処理するか、それとも別の方法で処理し、それぞれに応じた一致基準を指定するかを決定します。両者を同様に処理する場合は、 match precedence 、 match dscp 、 set precedence 、 set dscp などの match 文を使用します。両者を別の方法で処理する場合は、match-all クラス マップ内に match protocol ip や match protocol ipv6 などの一致基準を追加します。
5. 各クラスにマーキングするためのポリシーを作成します。
6. QoS 機能を適用する際は、エッジからコアに向かって作業します。
7. トラフィックを処理するためのポリシーを構築します。
8. ポリシーを適用します。
IPv6 でのパケット分類
パケット分類は、プロセス スイッチング パスとシスコ エクスプレス フォワーディング スイッチング パスの両方で使用可能です。分類は、IPv6 precedence、Differentiated Services Control Point(DSCP)、および IPv6 アクセス リスト内に指定可能なその他の IPv6 プロトコル固有値に基づいて行うことができます。また、COS、パケット長、QOS グループなどのその他の IPv6 プロトコル固有でない値に基づいて行うこともできます。QoS を必要とするアプリケーションを決定したあとは、アプリケーションの特性に基づいてクラスを作成できます。さまざまな一致基準を使用して、トラフィックを分類できます。さまざまな一致基準を組み合せて、トラフィックを隔離、分離、および区別できます。
Modular QoS CLI(MQC)の機能拡張によって、IPv4 パケットと IPv6 パケットのどちらにも、precedence、DSCP、および IPv6 アクセス グループ値に基づく一致を作成できます。 match コマンドを使用すると、IPv4 パケットと IPv6 パケットのどちらにも、DSCP 値および precedence に基づいて一致を作成できます。設定のガイドライン、および match dscp コマンドと match precedence コマンドの説明については、「IPv6 トラフィック フローを管理するための一致基準の使用」を参照してください。
IPv6 ネットワークでのポリシーおよびクラスベース パケット マーキング
DSCP か precedence のどちらかを使用して、各トラフィック クラスを適切なプライオリティ値でマーキングするためのポリシーを作成できます。クラスベース マーキングを使用すると、トラフィック管理に対して IPv6 precedence および DSCP の値を設定できます。トラフィックは、ルータの入力インターフェイスに入るときにマーキングされます。このマーキングは、トラフィックがルータの出力インターフェイスを出るときに、トラフィックを処理(転送やキューイング)するために使用されます。トラフィックのマーキングと処理は、できるだけ送信元の近くで行ってください。
パケット マーキングには、 set dscp コマンドおよび set precedence コマンドを使用します。これらのコマンドは、IPv4 トラフィックと IPv6 トラフィックの両方を処理するように変更されています。これらのコマンドを使用する際の設定ガイドラインについては、「IPv6 パケットのマーキング基準の指定」を参照してください。
IPv6 ネットワークでの輻輳管理
トラフィックをマーキングしたあとは、そのマーキングを使用してポリシーを構築し、残りのネットワーク セグメントのトラフィックを分類できます。ポリシーを簡潔にしておく(4 クラスを越えないようにする)と、管理が容易になります。IPv6 では、クラスベース キューイングとフローベース キューイングがサポートされています。各種のキューイング オプションを設定するためにプロセスおよびタスクで使用されるコマンドおよび引数は、IP と IPv6 のどちらでも同じです。キューイング機能の設定および使用の手順については、『 Cisco IOS Quality of Service Solutions Configuration Guide 』を参照してください。
IPv6 トラフィックの輻輳回避
WRED は、Class-Based Weighted Fair Queueing(CBWFQ; クラスベース均等化キューイング)の制限を超える可能性のあるパケットに対して RED ベースのドロップ ポリシーを実装します。WRED では、(DSCP または precedence の値を使用する)クラスベース キューイングとフローベース キューイングをサポートしています。WRED コマンドは、何も変更しなくても IPv4 と IPv6 の両方に適用されます。
IPv6 環境でのトラフィック ポリシング
IPv6 での輻輳管理は、IP パケットでの輻輳管理の実装と似ています。また、IPv6 環境でキューイングおよびトラフィック シェーピング機能の設定に使用するコマンドは、IP で使用するコマンドと同じです。トラフィック シェーピングを行うと、トラフィック シェーピング機能に対して設定したパラメータで指定されているとおりに追加のパケットをキューに格納してから転送することで、パケット デキュー レートを制限できます。トラフィック シェーピングでは、デフォルトでフローベース キューイングが使用されます。パケットの分類およびプライオリティ設定には、CBWFQ を使用できます。トラフィックのコンディショニングおよびポリシングには、Class-Based Policer と Generic Traffic Shaping(GTS)、または Frame Relay Traffic Shaping(FRTS; フレーム リレー トラフィック シェーピング)を使用できます。
IPv6 環境で使用するために、ポリシングの既存の設定やコマンド使用法を変更する必要はありませんが、 police コマンドが拡張されたため、確認アクション、超過アクション、および違反アクションで次のキーワード オプションが使用されているとき、IPv4 パケットと IPv6 パケットの両方がマーキングされるようになりました。
• set-dscp-transmit
• set-precedence-transmit
QoS for IPv6 の実装方法
ここでは、一致基準を使用したトラフィックの分類方法と、一致基準を使用したトラフィック フローの管理方法について説明します。次の各項で構成されます。
• 「IPv6 ネットワークでのトラフィック分類の制約事項」(必須)
• 「IPv6 パケットのマーキング基準の指定」(必須)
• 「IPv6 トラフィック フローを管理するための一致基準の使用」(必須)
• 「パケット マーキング基準の確認」(任意)
• 「サービス ポリシーの確認」(任意)
IPv6 ネットワークでのトラフィック分類の制約事項
match dscp コマンドと match precedence コマンドが変更されたこと、および IPv6 固有の match access-group name コマンドが追加されたことを除いて、 match コマンドの機能は IPv4 と IPv6 のどちらでも同じです。
802.1Q(dot1Q)インターフェイス用の set cos コマンドと match cos コマンドは、シスコ エクスプレス フォワーディング スイッチド パケットに対してだけサポートされます。これらのオプションが使用されている場合、プロセス スイッチド パケット(ルータ生成パケットなど)はマーキングされません。
IPv6 パケットのマーキング基準の指定
ここでは、ネットワーク トラフィックを分類するためにあとでパケットのマッチングに使用される一致基準を確立します(つまり、パケットをマーキングします)。
手順の概要
1. enable
2. configure terminal
3. policy map policy-map-name
4. class { class-name | class-default }
5. set precedence { precedence-value | from-field [ table table-map-name ]}
または
set [ ip ] dscp { dscp-value | from-field [ table table-map-name ]}
手順の詳細
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ステップ 1 |
enable
Router> enable |
特権 EXEC モードをイネーブルにします。 • 必要に応じてパスワードを入力します。 |
ステップ 2 |
configure terminal
Router# configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 3 |
policy map policy-map-name
Router(config)# policy map policy1 |
指定された名前を使用してポリシー マップを作成し、QoS ポリシーマップ コンフィギュレーション モードを開始します。 • 作成するポリシー マップの名前を入力します。 |
ステップ 4 |
class { class-name | class-default }
Router(config-pmap)# class class-default |
指定されたクラス(またはデフォルト クラス)のトラフィックの処理を指定し、QoS ポリシーマップ コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 5 |
set precedence { precedence-value | from-field [ table table-map-name ]} または set [ ip ] dscp { dscp-value | from-field [ table table-map-name ]}
Router(config-pmap-c)# set dscp cos table table-map1 または Router(config-pmap-c)# set precedence cos table table-map1 |
precedence 値を設定します。 • この例は、指定したテーブル マップ内で定義されている CoS 値(およびアクション)に基づいています。 • 同じパケット内で precedence と DSCP の両方を変更することはできません。 • 指定したテーブル マップ内で定義されている CoS 値(およびアクション)に基づいて、DSCP 値を設定します。 |
トラブルシューティングのヒント
シスコ エクスプレス フォワーディングがイネーブルになっていることを確認する
show cef interface 、 show ipv6 cef 、 show ipv6 interface neighbors 、および show interface statistics コマンドを使用して、シスコ エクスプレス フォワーディングがイネーブルになっていることと、パケットがシスコ エクスプレス フォワーディングでスイッチングされていることを確認します。
パケットがシスコ エクスプレス フォワーディングでスイッチングされていることを確認する
show policy-map interface コマンドを使用して、インターフェイスごと、ポリシーごとのシスコ エクスプレス フォワーディングによるスイッチング統計情報を表示します。
IPv6 トラフィック フローを管理するための一致基準の使用
次の作業では、 match コマンドを使用して、トラフィックを、確立したポリシーとマッチングする方法を示します。複数の match 文を使用できます。クラスのタイプに応じて、すべてのクラスとマッチングするか、それともいずれかのクラスとマッチングするかを指定できます。
手順の概要
1. enable
2. configure terminal
3. class-map { class-name | class-default }
4. match precedence precedence-value [ precedence-value precedence-value ]
または
match access-group name ipv6-access-group
または
match [ ip ] dscp dscp-value [ dscp-value dscp-value dscp-value dscp-value dscp-value dscp-value dscp-value ]
手順の詳細
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ステップ 1 |
enable
Router> enable |
特権 EXEC モードをイネーブルにします。 • 必要に応じてパスワードを入力します。 |
ステップ 2 |
configure terminal
Router# configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 3 |
class-map { class-name | class-default }
Router(config-pmap-c)# class clsl |
指定されたクラスを作成し、QoS クラスマップ コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 4 |
match precedence precedence-value [ precedence-value precedence-value ] または match access-group name ipv6-access-group または match [ip] dscp dscp-value [ dscp-value dscp-value dscp-value dscp-value dscp-value dscp-value dscp-value ]
Router(config-pmap-c)# match precedence 5 または Router(config-pmap-c)# match access-group name ipv6acl または Router(config-pmap-c)# match ip dscp 15 |
precedence 値とマッチングします。precedence は、IPv4 パケットと IPv6 パケットの両方に適用されます。 または コンテンツ パケットがトラフィック クラスに属しているかどうかをチェックする IPv6 アクセス リストの名前を指定します。 または 特定の IP DSCP 値を一致基準として識別します。 |
例
次に、 match precedence コマンドを使用して IPv6 トラフィック フローを管理する例を示します。
Router# configure terminal
Enter configuration commands, one per line. End with CNTL/Z.
Router(config)# class-m c1
Router(config-cmap)# match precedence 5
Router(config)# policy p1
Router(config-pmap)# class c1
Router(config-pmap-c)# police 10000 conform set-prec-trans 4
パケット マーキング基準の確認
パケット マーキングが正常に行われることを確認するには、show policy コマンドを使用します。このコマンドの出力の注目すべき情報は、合計のパケット数とマーキングされたパケット数の差です。
police 10000 1500 1500 conform-action set-prec-transmit 4 exceed-action drop
Router# configure terminal
Enter configuration commands, one per line. End with CNTL/Z.
Router(config)# interface serial 4/1
Router(config-if)# service out p1
Router# show policy interface s4/1
Service-policy output: p1
Class-map: c1 (match-all)
5 minute offered rate 0 bps, drop rate 0 bps
10000 bps, 1500 limit, 1500 extended limit
conformed 0 packets, 0 bytes; action: set-prec-transmit 4
exceeded 0 packets, 0 bytes; action: drop
conformed 0 bps, exceed 0 bps violate 0 bps
Class-map: class-default (match-any)
5 minute offered rate 0 bps, drop rate 0 bps
show policy-map interface コマンド出力内のパケット カウンタの解釈
発信インターフェイスでの送信輻輳中、パケットは、インターフェイスが送信可能な速度より速く到達します。シスコの Modular QoS CLI で作成されたサービスポリシーの結果を監視する場合に役立つ show policy-map interface コマンドの出力の解釈方法を理解しておくと便利です。
輻輳は通常、高速な入力インターフェイスが相対的に低速な出力インターフェイスに供給する場合に発生します。一般的な輻輳ポイントは、LAN に面したイーサネット ポートおよび WAN に面したシリアル ポートを持つブランチオフィス ルータです。LAN セグメントのユーザが 10 Mbps のトラフィックを生成すると、それが 1.5 Mbps の帯域幅を持つ T1 に供給されます。
機能的には、輻輳の定義は、インターフェイス上で送信リングがいっぱいになることです(リングとは、特殊なバッファ制御構造のことです)。それぞれのインターフェイスは、1 対のリング、つまりパケット受信用の受信リングとパケット送信用の送信リングをサポートしています。リングのサイズは、インターフェイス コントローラやインターフェイスまたは Virtual Circuit(VC; 仮想回線)の帯域幅によって異なります。次の例に示すように、 show atm vc vcd コマンドを使用して、PA-A3 ATM ポート アダプタ上の送信リングの値を表示します。
ATM5/0.2: VCD: 3, VPI: 2, VCI: 2
VBR-NRT, PeakRate: 30000, Average Rate: 20000, Burst Cells: 94
AAL5-LLC/SNAP, etype:0x0, Flags: 0x20, VCmode: 0x0
OAM frequency: 0 second(s)
InARP frequency: 15 minutes(s)
InPkts: 0, OutPkts: 0, InBytes: 0, OutBytes: 0
InFast: 0, OutFast: 0, InAS: 0, OutAS: 0
InPktDrops: 0, OutPktDrops: 0
CrcErrors: 0, SarTimeOuts: 0, OverSizedSDUs: 0
Cisco IOS(レイヤ 3 プロセッサとも呼ばれる)およびインターフェイス ドライバは、パケットを物理メディアに移動する際に送信リングを使用します。この 2 つのプロセッサは、次のように連携します。
• インターフェイスは、インターフェイス レートまたはシェイプド レートに応じてパケットを送信します。
• インターフェイスは、物理ワイヤへの送信を待機するパケットの格納場所であるハードウェア キューまたは送信リングを維持します。
• ハードウェア キューまたは送信リングがいっぱいになると、インターフェイスはレイヤ 3 プロセッサ システムへの明示的なバック プレッシャを提供します。インターフェイスは、送信リングがいっぱいになっているためインターフェイスの送信リングへのパケットのデキューを停止するようレイヤ 3 プロセッサに通知します。レイヤ 3 プロセッサは、超過パケットをレイヤ 3 キューに格納します。
• インターフェイスが送信リング上のパケットを送信してリングを空にすると、パケットを格納するために十分なバッファが再び利用可能になります。インターフェイスはバック プレッシャを解放し、レイヤ 3 プロセッサはインターフェイスへの新しいパケットをデキューします。
この通信システムの最も重要な側面は、インターフェイスが送信リングがいっぱいであることを認識し、レイヤ 3 プロセッサ システムからの新しいパケットの受信を制限するということです。したがって、インターフェイスが輻輳状態になった場合、ドロップの決定は、送信リングの First In, First Out(FIFO; 先入れ先出し)キュー内のランダムな後入れ先ドロップ決定から、レイヤ 3 プロセッサによって実装される IP レベルのサービス ポリシーに基づいたディファレンシエーテッド決定に移行されます。
パケット数および一致パケット数
サービス ポリシーは、レイヤ 3 キューに格納されているパケットにだけ適用されます。 表 1 に、レイヤ 3 キューに格納されるパケットを示します。ローカルに生成されたパケットは常にプロセス スイッチド パケットとなり、インターフェイス ドライバに渡される前にまずレイヤ 3 キューに送信されます。ファスト スイッチド パケットおよびシスコ エクスプレス フォワーディング スイッチド パケットは、送信リングに直接送信され、送信リングがいっぱいになったときにだけレイヤ 3 キューに入れられます。
表 1 パケット タイプおよびレイヤ 3 キュー
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ローカルに生成されたパケット(Telnet パケットおよび ping を含む) |
あり |
あり |
プロセス スイッチングが行われる他のパケット |
あり |
あり |
シスコ エクスプレス フォワーディング スイッチングまたはファストスイッチングが行われるパケット |
あり |
なし |
次の例では、これらのガイドラインが show policy-map interface コマンド出力に適用されています。4 つの主要なカウンタを太字で示しています。
Router# show policy-map interface atm 1/0.1
Service-policy output: cbwfq (1283)
Class-map: A (match-all) (1285/2)
28621 packets, 7098008 bytes
5 minute offered rate 10000 bps, drop rate 0 bps
Match: access-group 101 (1289)
Output Queue: Conversation 73
Bandwidth 500 (kbps) Max Threshold 64 (packets)
(pkts matched/bytes matched) 28621/7098008
(depth/total drops/no-buffer drops) 0/0/0
Class-map: B (match-all) (1301/4)
2058 packets, 148176 bytes
5 minute offered rate 0 bps, drop rate 0 bps
Match: access-group 103 (1305)
Output Queue: Conversation 75
Bandwidth 50 (kbps) Max Threshold 64 (packets)
(pkts matched/bytes matched) 0/0
(depth/total drops/no-buffer drops) 0/0/0
Class-map: class-default (match-any) (1309/0)
5 minute offered rate 0 bps, drop rate 0 bps
表 2 に、例に太字で示されているカウンタを定義します。
表 2 show policy-map interface 出力内のパケット カウンタ
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28621 packets, 7098008 bytes |
クラスの基準に一致するパケットの数。このカウンタは、インターフェイスが輻輳しているかどうかにかかわらず、増分します。 |
(pkts matched/bytes matched) 28621/709800 |
インターフェイスが輻輳していたときの、クラスの基準に一致するパケットの数。つまり、インターフェイスの送信リングがいっぱいになり、ドライバと L3 プロセッサ システムが連携して、サービス ポリシーが適用される L3 キューに超過パケットを入れました。プロセス スイッチド パケットは常に L3 キューイング システムを通過するため、「一致パケット」カウンタが増分することになります。 |
Class-map: B (match-all) (1301/4) |
これらの番号は、CISCO-CLASS-BASED-QOS-MIB Management Information Base(MIB; 管理情報ベース)で使用される内部 ID を定義します。現行リリースの Cisco IOS では、この値は show policy-map コマンド出力に表示されません。 |
5 minute offered rate 0 bps, drop rate 0 bps |
この値を変更し、より瞬間的な値にするには、 load-interva l コマンドを使用します。最小値は 30 秒ですが、 show policy-map interface コマンド出力に表示される統計情報は、10 秒ごとに更新されます。このコマンドは特定の瞬間におけるスナップショットを提供するため、統計情報はキュー サイズの一時的な変更を反映していないことがあります。 |
輻輳がない場合、超過パケットをキューイングする必要はありません。輻輳が発生した場合、パケット(シスコ エクスプレス フォワーディング スイッチド パケットおよびファスト スイッチド パケットを含む)は、レイヤ 3 キューに入れられる可能性があります。輻輳管理機能を使用する場合、インターフェイスに累積されるパケットは、インターフェイスがそれらのパケットを送信するように解放されるまでキューイングされます。そのあと、割り当てられた優先順位およびインターフェイスに対して設定されたキューイング メカニズムに従ってスケジュールされます。
通常、パケット カウンタの方が、一致パケット カウンタよりもはるかに大きくなります。2 つのカウンタの値がほぼ等しい場合、インターフェイスが大量のプロセス スイッチド パケットを受信しているか、または重度に輻輳しています。確実に最適なパケット転送を行うために、この両方の条件を調査する必要があります。
カンバセーション番号の割り当て
ルータは、サービス ポリシーが適用されたときに作成されたキューに対してカンバセーション番号を割り当てます。次に、キューおよび関連情報を表示する例を示します。
Router# show policy-map interface s1/0.1 dlci 100
Output Queue: Conversation 72
Bandwidth 16 (kbps) Packets Matched 0
(pkts discards/bytes discards) 0/0
Output Queue: Conversation 73
Bandwidth 60 (%) Packets Matched 0
(pkts discards/bytes discards/tail drops) 0/0/0
drops: class random tail min-th max-th mark-prob
Output Queue: Conversation 74
Bandwidth 40 (%) Packets Matched 0 Max Threshold 64 (packets)
(pkts discards/bytes discards/tail drops) 0/0/0
Maximum Number of Hashed Queues 64 Max Threshold 20 (packets)
各クラスに対して報告される情報には、次のものが含まれます。
• クラス定義
• 適用されるキューイング方式
• 出力キュー カンバセーション番号
• 使用されている帯域幅
• 廃棄されたパケット数
• 廃棄されたバイト数
• ドロップされたパケット数
class-default クラスは、トラフィックが、ポリシー マップ内にポリシーが定義されている他のクラスの一致基準を満たしていない場合に、そのトラフィックが誘導される宛先のデフォルト クラスです。 fair-queue コマンドを使用すると、IP フローをソートおよび分類するダイナミック キューの数を指定できます。あるいは、ルータは、インターフェイスまたは VC 上の帯域幅から導出したデフォルトのキュー数を割り当てます。いずれの場合も、サポートされる値は 2 の累乗(16 ~ 4096 の範囲)です。
表 3 に、インターフェイスおよび ATM Permanent Virtual Circuit(PVC; 相手先固定接続)のデフォルト値を示します。
表 3 インターフェイス帯域幅の関数としてのデフォルトのダイナミック キュー数
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64 kbps 以下 |
16 |
64 kbps より大きく、128 kbps 以下 |
32 |
128 kbps より大きく、256 kbps 以下 |
64 |
256 kbps より大きく、512 kbps 以下 |
128 |
512 kbps より大きい |
256 |
表 4 に、ATM PVC 帯域幅に関連するデフォルトのダイナミック キュー数を示します。
表 4 ATM PVC 帯域幅の関数としてのデフォルトのダイナミック キュー数
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128 kbps 以下 |
16 |
128 kbps より大きく、512 kbps 以下 |
32 |
512 kbps より大きく、2000 kbps 以下 |
64 |
2000 kbps より大きく、8000 kbps 以下 |
128 |
8000 kbps より大きい |
256 |
WFQ に予約されているキューの数に基づいて、Cisco IOS ソフトウェアは、 表 5 に示すようにカンバセーションまたはキューの番号を割り当てます。
表 5 キューに割り当てられるカンバセーション番号
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1 ~ 256 |
一般的なフローベースのトラフィック キュー。ユーザが作成したクラスに一致しないトラフィックは、class-default およびフローベースのキューの 1 つに一致します。 |
257 ~ 263 |
Cisco Discovery Protocol(CDP; シスコ検出プロトコル)および内部の高優先順位フラグでマーク付けされたパケット用に予約されています。 |
264 |
プライオリティ クラス(priority コマンドで設定されたクラス)用に予約されているキュー。 show policy-map interface の出力でクラスの「Strict Priority」値を探してください。プライオリティ キューでは、ダイナミック キューに 8 を加算した数値に等しいカンバセーション ID が使用されます。 |
265 以上 |
ユーザ作成クラス用のキュー。 |
サービス ポリシーの確認
この作業では、一致パケット カウンタおよびサービス ポリシーをテストします。トラフィック フローがポリシーの入力パラメータまたは出力パラメータに一致することを確認します。たとえば、FTP サーバからファイルをダウンロードすると、受信方向に輻輳が発生します。これは、サーバが大きい MTU サイズのフレームを送信し、クライアント PC が小さい Acknowledgment(ACK; 確認応答)を返すためです。
この作業の開始前に、大きいサイズの ping および多数の ping を使用した拡張 ping で輻輳をシミュレートします。また、FTP サーバから大きいサイズのファイルのダウンロードを試行します。そのファイルは「障害となる」データであり、インターフェイス帯域幅をいっぱいにします。
手順の概要
1. enable
2. configure terminal
3. interface atm slot/0. subinterface-number {multipoint | point-to-point}
4. ip address ip-address mask [ secondary ]
5. pvc [ name ] vpi / vci [ ces | ilmi | qsaal | smds ]
6. tx-ring-limit ring-limit
7. service-policy { input | output } policy-map-name
手順の詳細
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ステップ 1 |
enable
Router> enable |
特権 EXEC モードをイネーブルにします。 • 必要に応じてパスワードを入力します。 |
ステップ 2 |
configure terminal
Router# configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 3 |
interface atm slot/0. subinterface-number { multipoint | point-to-point }
Router(config)# interface atm 1/0.1 point-to-point} |
インターフェイス コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 4 |
ip address ip-address mask [ secondary ]
Router(config-if)# ip address 10.1.1.1 255.255.255.0 |
テストするインターフェイスの IP アドレスを指定します。 |
ステップ 5 |
pvc [ name ] vpi / vci [ ces | ilmi | qsaal | smds ]
Router(config-if)# pvc cisco 0/5 |
ATM PVC に名前を作成または割り当てます。任意で、ATM PVC にカプセル化タイプを指定し、インターフェイス ATM-VC コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 6 |
tx-ring-limit ring-limit
Router(config-if-atm-vc)# tx-ring-limit 10
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インターフェイスの送信リングのサイズを縮小します。この値を小さくすると、Cisco IOS ソフトウェアでの QoS の使用が加速されます。 • 2600 および 3600 シリーズ ルータの場合は、リング制限をパケット数として指定します。7200 および 7500 シリーズ ルータの場合は、メモリ パーティクル数として指定します。 |
ステップ 7 |
service-policy { input | output } policy-map-name
Router(config-if-atm-vc)# service-policy output policy9
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入力インターフェイスまたは VC、あるいは出力インターフェイスまたは VC に、そのインターフェイスまたは VC のサービス ポリシーとして使用するポリシー マップを対応付けます。 • 一致パケット カウンタはキューイング機能の一部であり、出力方向に対応付けられたサービス ポリシーに対してだけ使用できることに注意してください。 |