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この章では、ONS 15216 EDFA3 光リピータの概要を紹介します。この概要を読み、装置に関する基本情報を把握してから作業を進めてください。
• 1.3 構成図
Erbium-Dope Fiber Amplifier(EDFA; エルビウム添加光ファイバ増幅器)は、光/電子(O/E)および電子/光(E/O)変換をバイパスして、光レーザー光を直接増幅する光リピータです。EDFA では、処理済み、すなわち要素エルビウムを「添加」した光ファイバの短波長を使用します。信号を伝送するレーザーがこの光ファイバに信号を流すと、エネルギーが加えられて信号レベルが上がる、すなわち増幅されます。
光ファイバ システムにおいて、絶対的に透過的なファイバ材料はありません。したがって、光ファイバが転送する赤外線の光は、材料を伝わっていくにしたがって減衰します。この減衰が原因で、光ファイバ スパンが約 100 km を超える場合、リピータの使用が必要になります。
EDFA の動作波長範囲は C 帯域全体を上回るので(1530 ~ 1560 nm)、Wave Division Multiplexing(WDM; 波長分割多重)を適用するコスト効率のよいソリューションが得られます。O/E-E/O リジェネレータを使用するときに、各再生サイトで個々の WDM チャネルおよび各チャネルの O/E-E/O ペアの逆多重化および多重化が必要な場合、ONS 15216 EDFA3 はすべての WDM 信号をまとめて再生できます。
ONS 15216 EDFA3 は光デバイスであり、安全対策に配慮する必要があります。安全情報の詳細については、 付録A「適合認定」 を参照してください。
警告 光ファイバ接続を開放しなければならない作業を行うのは、レーザーの安全要件について訓練を受けた保守担当者に限定する必要があります。ここで指定されている以外の制御を行ったり、調整または手順を実行したりすると、危険な放射を浴びる可能性があります。
警告 ONS 15216 EDFA3 を扱う人は、決してレーザー光に目や身体をさらしたり、鏡面状のものからの反射を浴びたりしてはなりません。また、100 mm 以内の距離である種の光学機器(拡大鏡、顕微鏡)を使用してレーザー出力を見ると、眼を傷める可能性があります。
警告 入力パワーのないときに、光ファイバを切断したり、接続が外れたりした場合でも、ONS 15216 EDFA3 には -3.5 dBm の光出力パワーが存在します。
警告 光ファイバを取り扱うときには、すべての指示ラベルおよび警告ラベルに従ってください。目を傷めないために、光ファイバまたはコネクタの中を、決して直接のぞき込まないでください。
Transaction Language 1(TL1)コマンドを使用すると、レーザー エネルギー レベルを引き上げることができます。TL1 コマンドを使用するときには、レーザー エネルギーを浴びないように、必要な予防策を講じてください。図1-1 および図1-2 に、レーザーの安全性に関する警告を示します。
図1-3 に、ONS 15216 EDFA3 の構成図を示します。コントロール プロセッサは、I2C プロトコルを使用してゲイン ブロック光モジュールと通信し、外部通信用に TL1 および Simple Network Management Protocol(SNMP; 簡易ネットワーク管理プロトコル)エージェントを実行します。TL1 および SNMP インターフェイスは 2 つのイーサネット ポート上で利用できます。TL1 インターフェイスは、シリアル EIA/TIA-232(RS-232)インターフェイスでも利用できます。コントロール プロセッサもアラーム LED を管理します。
図1-4 に、光モジュールの構成を示します。
図1-4 ONS 15216 EDFA3 光ゲイン ブロック
光ゲイン ブロックは 2 ステージからなる増幅器です。信号は COM-RX ポートから入り、最初のステージで増幅されます。その後、蓄積された波長分散が DC-TX ポートと DC-RX ポートの間に配置された Dispersion Compensation Unit(DCU; 分散補償ユニット)によって補償されます。信号はさらに、増幅器の第 2 ステージで増幅され、COM-TX ポートから出ていきます。MON ポートは出力信号の監視用に用意されています。実際の装置の図については、図2-3 を参照してください。
ONS 15216 EDFA3 光増幅器を使用すると、次世代の全光ネットワークに移行できます。ONS 15216 EDFA3 の機能は次のとおりです。
• 真の可変ゲイン:EDFA3 は、レーザー ポンプパワーを変更し、各ゲイン セットポイントのノイズ値を最適化することによって、ゲインを変化させます。
• Mid Access Loss(MAL; 中間アクセス損失)ポート:EDFA3 には、2 つのステージ間に DCU を挿入する場合に使用できるポートが 2 つあります。この機能があるので、EDFA3 は 10 Gbps のアプリケーションに適しています。
SNMP コマンドを発行するには、SNMP マネージャを組み込む必要があります。サードパーティの SNMP マネージャには、Cisco Transport Manager(CTM)、HP OpenView Network Node Manager(NNM)、Open Systems Interconnection(OSI)NetExpert などがあります。このマニュアルにおける SNMP コマンドの説明は、CTM の使用を想定しています。
次に、ONS 15216 EDFA3 の主要な機能を示します。
• ゲインの平滑性を保証するVariable Optical Attenuation(VOA; 可変光減衰器)
• Amplified Spontaneous Emissions(ASE; 増幅時自発放射)補償
• 信号損失検出、任意の入力ポートにおけるアラーム生成、高速パワー ダウン制御、セーフパワー モードにおける最大出力パワーの引き下げによる光安全保護機能
以下、ONS 15216 EDFA3 の一部の機能について説明します。
EDFA3 が定ゲイン モードで動作していて、増幅器の入力側でチャネル数が突然変化した場合、増幅器がゲインを一定に保つためにポンプパワーを再調節するまでに、有限の時間が生じます。また、EDFA3 が定出力パワー モードで動作している場合は、増幅器の反転分布が新しい値に適応するまでに、有限の時間が生じます。この動的動作は、ビット エラーを引き起こす可能性があるので望ましくありません。ONS 15216 EDFA3 では、過渡抑制機能を使用して、一時的なゲインを減らし、増幅器が変化からの回復に要する時間を短縮します。その結果、add/drop アプリケーションに適した増幅器になります。
ONS 15216 EDFA3 は、定出力パワー モードまたは定ゲイン モードで動作可能です。定出力パワー モードで稼働している場合、増幅器は入力パワーに関係なく、出力パワーを一定に保ちます。このモードの場合、増幅器は本質的に飽和型増幅器として動作し、入力チャネル数の変化に応じてチャネルごとの出力パワーが変化します。
定ゲイン モードの場合は逆に、入力チャネル数が突然変化しても、増幅器の出力におけるチャネルパワーは一定のままです。その結果、リンク トラフィックの変化に対して復元力のある光リンクが得られます。増幅器を操作しなくても、光リンクに対してチャネルの追加または削除が可能です。また、増幅器が定ゲイン モードで動作している場合は、リンク チャネルの一部の障害に対してリンクに復元力があるので、残ったチャネルが同じチャネル パワーでリンク上を伝送されます。
真の可変ゲインは、ミッドステージ VOA の調整に加えて、レーザーのポンプパワーを変化させることによって、ゲイン範囲全体にわたり、ハイパワー出力、低ノイズ、およびフラット ゲインを同時に維持します。
定ゲインは、入力パワーの変化が検出された時点でポンプパワーを調節する、自動制御回路を使用して実現されます。ONS 15216 EDFA3 は、定ゲイン モード動作がデフォルトです。ONS 15216 EDFA3 の 2 種類の動作モードは、次のとおりです。
ONS 15216 EDFA3 には 2 種類のゲイン範囲があります。
• 標準ゲイン範囲(5 ~ 21 dB)。このゲイン範囲では、内部 VOA の自動調節によってゲインが平滑になります。
• 拡張ゲイン範囲(21 ~ 38.5 dB)。このレンジの場合、増幅器ではゲインの平滑性を制御できず、有限ゲイン チルトが発生します。
ONS 15216 EDFA3 のミッドステージ アクセス ポート(DC-TX および DC-RX)を使用して、EDFA3 内部で増幅器のステージ間に配置された Dispersion Compesation(DC; 分散補償)デバイスを接続します。増幅器のステージ間に DC を配置することによって、EDFA3 は光リンク損失バジェットを損なうことなく、10 Gbps ネットワークと両立します。これはネットワークの設計者にとって 2 つの利点があります。
• 個々のスパンにおいて、最小限許容可能な信号対雑音比を維持するために必要な増幅器の数が減少することによる、ネットワーク コストの削減
DC デバイスの挿入損失は、3 ~ 9 dB の範囲内でなければなりません。
DC デバイスを使用しない場合は、ミッドステージ アクセス ポートを 4 dB インライン減衰器とともにパッチする必要があります。これは、ゲイン平滑化のために使用しなければならないファームウェア制御の VOA が、3 dB の最小挿入損失を前提に設計されているからです。DC デバイスまたは 4 dB の減衰器のどちらかを使用して DC-TX ポートに DC-TX ポートをパッチしなかった場合、EDFA3 は正常に動作しません。
ONS 15216 EDFA3 は、内部 VOA を自動的に調節してゲインを平滑化し、波長レンジ全体にわたって一定のゲインが保証されるようにします。
アナログおよびデジタル通信において、信号対雑音比は電気的なバックグラウンド ノイズに対する光信号の強さを表す尺度であり、通常はデシベル(dB)で示します。
光増幅器は必ず、増幅した信号に光ノイズを加えます。EDFA における主要なノイズ源は、ASE です。増幅器によって追加されたノイズ量は通常、Noise Figure(NF; ノイズ値)という最小感度で計測します。光増幅器では、NF はゲインによって決まります(通常、ゲインが低くなると値が高くなる)。ONS 15216 EDFA3 では、ゲインが 21 dB を上回る場合、ワーストケースの NF は 6.5 dB です。
ONS 15216 EDFA3 には、ネットワーク オペレータおよびクラフト担当者が使用できる TL1 インターフェイスがあります。この TL1 インターフェイスは、回線指向インターフェイスであり、クラフト担当者やネットワーク オペレータが Network Element(NE; ネットワーク要素)および NE 内のカードを維持できるようにします。ONS 15216 EDFA3 では TL1 インターフェイスを使用します。詳細については 第7章「TL1 のターンアップ」 、 第6章「TL1 コマンドの概要」 、および 第8章「TL1 コマンドおよび自律メッセージ」 を参照してください。
ONS 15216 EDFA3 は MIB を使用して、管理情報の定義を格納し、ネットワーク システムをリモートで監視、設定、および制御できるようにします。
1 つの MIB は、SNMP を使用して管理できる一連のネットワーク オブジェクトに関する公式な記述です。その他の MIB はすべて、基本 MIB の拡張です。MIB または拡張 MIB は、管理可能なネットワーク エンティティ セットごとに存在します。
ONS 15216 EDFA3 には 7 つの LED があります。
• 前面および背面イーサネット ソケットごとに LED × 2
このうち、POWER、FAIL、Loss of Signal(LOS; 信号損失)の 3 つの LEDは、ONS 15216 EDFA3 前面パネルの左側にあります。2 つのイーサネット LED は、各イーサネット ソケットの上部左右にあります。モジュールがオンになると、LED テストが実行されます。
各 LED の詳細については、「アラーム LED」を参照してください。
ONS 15216 EDFA3 にはイーサネット ハブが実装されています。1 つのハブ ポートは Control Processor(CP; コントロール プロセッサ)と接続され、他の 2 つのポートは前面と背面に 1 つずつあり、RJ-45 コネクタを使用してユーザが利用できます。したがってユーザは、1 つのイーサネット ポート上で装置に接続し、もう 1 つを使用して、デイジーチェーン構成に配置された他の装置に通信をカスケードできます。
ONS 15216 EDFA3 のハブは、ポート極性の反転を検出して修正します。ハブを経由するあらゆるデータの再調整も行います。