RMON の設定
この章では、Catalyst 4500 シリーズ スイッチにリモート ネットワーク モニタリング(RMON)を設定する方法を説明します。RMON は、RMON 適合コンソール システムとネットワーク プローブ間で交換可能な統計情報と機能のセットを定義する標準モニタリング仕様です。RMON は、総合的なネットワーク障害診断、計画、およびパフォーマンス調整情報を提供します。
(注) ここで使用するコマンドの構文および使用方法の詳細については、次の URL にある『Cisco IOS Configuration Fundamentals Command Reference』Release 12.4 を参照してください。
http://www.cisco.com/univercd/cc/td/doc/product/software/ios124/124tcr/tcf_r/index.htm
この章の内容は、次のとおりです。
• 「RMON の概要」
• 「RMON の設定」
• 「RMON ステータスの表示」
RMON の概要
RMON は、さまざまなネットワーク エージェントとコンソール システムでネットワーク モニタリング情報を交換できる Internet Engineering Task Force(IETF; インターネット技術特別調査委員会)の標準モニタリング仕様です。スイッチで RMON 機能を Simple Network Management Protocol(SNMP; 簡易ネットワーク管理プロトコル)エージェントとともに使用して、接続しているすべての LAN セグメントでスイッチ間のすべてのトラフィック フローを監視できます。
図49-1 リモート モニタリングの例
スイッチは次の RMON グループ(RFC 1757 で定義)をサポートします。
• 統計情報(RMON グループ 1) ― インターフェイス上のイーサネット、ファスト イーサネット、およびギガビット イーサネットの統計情報を収集
• 履歴(RMON グループ 2) ― イーサネット、ファスト イーサネット、およびギガビット イーサネット インターフェイスについて、指定したポーリング間隔で、統計情報の履歴グループを収集
• アラーム(RMON グループ 3) ― 特定の MIB(管理情報ベース)オブジェクトを指定した間隔で監視し、指定した値(上昇しきい値)でアラームをトリガーし、別の値(下限しきい値)でアラームをリセットします。アラームはイベントとともに使用できます。アラームがトリガーしたイベントによってログ エントリや SNMP トラップを生成できます。
• イベント(RMON グループ 9) ― アラームによってイベントがトリガーされたときのアクションを指定します。ログ エントリや SNMP トラップの生成があります。
Cisco IOS Release 12.2(31)SG でサポートされるスイッチはハードウェア カウンタを使用して RMON データを処理します。このため、効率的なモニタリングが可能で、処理パワーは少なくて済みます。
RMON の設定
ここでは、スイッチに RMON を設定する方法を説明します。内容は次のとおりです。
• 「デフォルトの RMON 設定」
• 「RMON アラームとイベントの設定」
• 「インターフェイス設定する RMON 収集」
デフォルトの RMON 設定
デフォルトでは RMON はディセーブルです。アラームやイベントは設定されていません。
RMON だけがスイッチでサポートされています。
RMON アラームとイベントの設定
CLI(コマンドライン インターフェイス)または SNMP 適合の NMS(ネットワーク管理ステーション)を使用すると、スイッチに RMON を設定できます。NMS で汎用 RMON コンソール アプリケーションを使用して RMON のネットワーク管理機能を利用することを推奨します。スイッチで SNMP を設定して、RMON MIB オブジェクトにアクセスできるようにする必要もあります。詳細については、「SNMP の設定」を参照してください。
RMON アラームおよびイベントをイネーブルにするには、次の作業を実行します。
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ステップ 1 |
configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
rmon alarm number variable interval { absolute | delta } rising-threshold value [ event-number ] falling-threshold value [ event-number ] [ owner string ] |
MIB オブジェクトにアラームを設定します。 • number には、アラーム番号を指定します。有効範囲は 1 ~ 65535 です。 • variable には、監視する MIB オブジェクトを指定します。 • interval には、アラームが MIB 変数をモニタする時間を秒単位で指定します。有効範囲は 1 ~ 4294967295 秒です。 • それぞれの MIB 変数を直接テストするには absolute キーワードを指定します。MIB 変数のサンプルの変化をテストするには delta キーワードを指定します。 • value には、アラームがトリガーする値とリセットする値を指定します。 value の上昇しきい値と下限しきい値の有効範囲は、-2147483648 ~ 2147483647 です。 • (任意) event-number には、上昇しきい値または下限しきい値を超過する際にトリガーするイベント番号を指定します。 • (任意) owner string には、アラームのオーナーを指定します。 |
ステップ 3 |
rmon event number [ description string ] [ log ] [ owner string ] [ trap community ] |
RMON イベント テーブルで RMON イベント番号に関連付けられたイベントを追加します。 • number には、イベント番号を指定します。有効範囲は 1 ~ 65535 です。 • (任意) description string には、イベントの説明を指定します。 • (任意)イベントがトリガーされた際に RMON ログ エントリを生成するには、 log キーワードを使用します。 • (任意) owner string には、このイベントのオーナーを指定します。 • (任意) community には、このとラップに使用する SNMP コミュニティ ストリングを指定します。 |
ステップ 4 |
end |
特権 EXEC モードに戻ります。 |
ステップ 5 |
show running-config |
入力を確認します。 |
ステップ 6 |
copy running-config startup-config |
(任意)コンフィギュレーション ファイルに設定を保存します。 |
アラームをディセーブルにするには、設定したアラームごとに no rmon alarm number グローバル コンフィギュレーション コマンドを使用します。設定したすべてのアラームを一度にディセーブルにすることはできません。イベントをディセーブルにするには、 no rmon event number グローバル コンフィギュレーション コマンドを使用します。アラームおよびイベントの詳細と相互作用については、RFC 1757 を参照してください。
任意の MIB オブジェクトにアラームを設定できます。次に、 rmon alarm コマンドを使用して RMON アラーム番号 10 を設定する例を示します。このアラームはディセーブルになるまで MIB 変数 ifEntry.20.1 を 20 秒ごとに監視し、変数の上昇または下降の変化をチェックします。 ifEntry.20.1 の値が MIB カウンタにおいて 15 以上増加すると(たとえば 100000 から 100015 になると)、アラームがトリガーされます。次にアラームはイベント番号 1 をトリガーします。このイベント番号は rmon event コマンドで設定します。ログ エントリや SNMP トラップなどをイベントに含めることができます。 ifEntry.20.1 の値が変化しない場合は、アラームがリセットされてふたたびトリガーできるようになります。
Switch(config)# rmon alarm 10 ifEntry.20.1 20 delta rising-threshold 15 1 falling-threshold 0 owner jjohnson
次に、 rmon event コマンドを使用して RMON イベント番号 1 を作成する例を示します。イベントは High ifOutErrors として定義され、イベントがアラームによってトリガーされるとログ エントリが生成されます。ユーザ jjones は、このコマンドでイベント テーブルに作成された列のオーナーです。次も、イベントがトリガーされると SNMP トラップを生成する例です。
Switch(config)# rmon event 1 log trap eventtrap description “High ifOutErrors” owner jjones
インターフェイス設定する RMON 収集
収集情報を表示するには、まず RMON アラームおよびイベントを設定する必要があります。
インターフェイスのグループ履歴統計情報を収集するには、次の作業を実行します。
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ステップ 1 |
configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
interface interface-id |
履歴を収集するインターフェイスを指定して、インターフェイスコンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 3 |
rmon collection history index [ buckets bucket-number ] [ interval seconds ] [ owner ownername ] |
指定したバケット数と期間での履歴収集をイネーブルにします。 • index には、統計情報の RMON グループを指定します。有効範囲は 1 ~ 65535 です。 • (任意) buckets bucket-number には、RMON 統計情報収集履歴グループに必要なバケットの最大数を指定します。指定できる範囲は 1 ~ 65535 です。デフォルトは 50 バケットです。 • (任意) interval seconds には、ポーリング サイクルの時間を秒単位で指定します。 • (任意) owner ownername には、RMON 統計情報グループのオーナー名を指定します。 履歴収集をディセーブルにするには、 no rmon collection history index インターフェイス コンフィギュレーション コマンドを使用します。 |
ステップ 4 |
end |
特権 EXEC モードに戻ります。 |
ステップ 5 |
show running-config |
入力を確認します。 |
ステップ 6 |
show rmon history |
スイッチの履歴テーブルの内容を表示します。 |
ステップ 7 |
copy running-config startup-config |
(任意)コンフィギュレーション ファイルに設定を保存します。 |
インターフェイスのグループ イーサネット統計情報を収集するには、次の作業を実行します。
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ステップ 1 |
configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
interface interface-id |
統計情報を収集するインターフェイスを指定して、インターフェイスコンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 3 |
rmon collection stats index [ owner ownername ] |
インターフェイスの RMON 統計情報収集をイネーブルにします。 • index には、RMON 統計情報グループを指定します。有効範囲は 1 ~ 65535 です。 • (任意) owner ownername には、RMON 統計情報グループのオーナー名を指定します。 グループ イーサネット統計情報の収集をディセーブルにするには、 no rmon collection stats index インターフェイス コンフィギュレーション コマンドを使用します。 |
ステップ 4 |
end |
特権 EXEC モードに戻ります。 |
ステップ 5 |
show running-config |
入力を確認します。 |
ステップ 6 |
show rmon statistics |
スイッチの統計情報テーブルの内容を表示します。 |
ステップ 7 |
copy running-config startup-config |
(任意)コンフィギュレーション ファイルに設定を保存します。 |
RMON ステータスの表示
RMON ステータスを表示するには、 表49-1 に示す特権 EXEC コマンドのいずれかを使用します。
表49-1 RMON ステータスの表示コマンド
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show rmon |
一般的な RMON 統計情報を表示します。 |
show rmon alarms |
RMON アラーム テーブルを表示します。 |
show rmon events |
RMON イベント テーブルを表示します。 |
show rmon history |
RMON 履歴テーブルを表示します。 |
show rmon statistics |
RMON 統計情報テーブルを表示します。 |