この製品のマニュアルセットは、偏向のない言語を使用するように配慮されています。このマニュアルセットでの偏向のない言語とは、年齢、障害、性別、人種的アイデンティティ、民族的アイデンティティ、性的指向、社会経済的地位、およびインターセクショナリティに基づく差別を意味しない言語として定義されています。製品ソフトウェアのユーザーインターフェイスにハードコードされている言語、RFP のドキュメントに基づいて使用されている言語、または参照されているサードパーティ製品で使用されている言語によりドキュメントに例外が存在する場合があります。シスコのインクルーシブランゲージに対する取り組みの詳細は、こちらをご覧ください。
このドキュメントは、米国シスコ発行ドキュメントの参考和訳です。リンク情報につきましては、日本語版掲載時点で、英語版にアップデートがあり、リンク先のページが移動/変更されている場合がありますことをご了承ください。あくまでも参考和訳となりますので、正式な内容については米国サイトのドキュメントを参照ください。
プレルーティングを行う場合は、IntereXchange Carrier(IXC; 長距離通信会社)のインテリジェント コール ルーティング ネットワークに ICM Enterprise Edition ソフトウェアがアクセスできる必要があります。 宅内装置は、長距離通信会社の提供するインテリジェント ネットワーク サービスを利用して、ネットワーク レベルのコール ルーティングに参加します。 ICM ソフトウェアは、Cisco Network Interface Controller(NIC; ネットワーク インターフェイス コントローラ)を使用して、1 つまたは複数のネットワークに接続します。
• キャリアの選択。 シスコは複数のキャリアのネットワーク インターフェイスをサポートしています。 ICM ソフトウェアでは、1 社または複数のキャリアを使用できます。
• 適用するネットワーク リンク耐障害性のタイプの選択。 ネットワーク インターフェイスやキャリアのインテリジェント ネットワークへのリンクに耐障害性を適用することが重要です。
• インテリジェント ネットワーク サービスの発注。 シスコ製 NIC の要件を確認したら、インテリジェント ネットワーク サービスを発注し、キャリアやシスコと共同してサービスをオンラインにします。
Network Interface Controller(NIC; ネットワーク インターフェイス コントローラ)は、ICM ソフトウェアと IXC インテリジェント ネットワークの間のインターフェイスです。 NIC は、ネットワーク コントロール リンクを使用して IXC ネットワークと通信します。 通常これらのリンクは、キャリアのインテリジェント ネットワーク サービスの一部として提供されています。
シスコでは、各キャリア ネットワーク用の NIC を個別に提供しています。 たとえば、Sprint 社のフリー ダイヤル サービスを使用している場合は、シスコの提供する Sprint NIC が ICM システムに搭載されています。 ICM は、Sprint NIC を使用して Sprint インテリジェント ネットワーク サービスとのインターフェイスを行います。 AT&T と Sprint の両方のキャリアを利用している場合は、AT&T NIC と Sprint NIC が ICM システムに搭載されています。
図 3-1 は、IXC ネットワークと ICM NIC のやり取りを示しています。
図 3-1 では、説明をわかりやすくするために、NIC を独立したコンピュータとして示しています。 実際には、NIC は ICM ソフトウェア プラットフォーム(たとえば CallRouter マシンや Logger マシン)上にソフトウェアとして実装されています。 ICM ソフトウェア リリース 4.1 以降の場合は、SS7 ネットワーク用の ICM ネットワーク ゲートウェイを実装できます。 ICM ネットワーク ゲートウェイは、ICM シグナリング アクセス ネットワーク上に別のノードとして実装されます。 このノードが実装されていると、NIC ソフトウェアを CallRouter マシンにインストールできます。
図 3-1 に示すとおり、ネットワークと ICM の間のメッセージ フローは、発信者がフリーダイヤル番号をダイヤルしたときに始まります (1) 。
どの IntereXchange Carrier(IXC; 長距離通信会社)がその特定の番号を転送し、コールを IXC スイッチに転送するかは、Local Exchange Carrier(LEC; 地域通信会社)が決定します (2) 。
IXC スイッチは、ネットワーク データベースにクエリーを発行してコールをどこにルーティングするかを決定する間、コールを一時的に保留します (3) 。
ネットワーク データベースは、クエリーを NIC に転送して、インテリジェント ルーティングの決定を要求します (4) 。
NIC のソフトウェア プロセスが要求を受信し、要求を標準形式に変換して ICM CallRouter プロセスに転送します (5) 。
ICM ソフトウェアは、適切なコール ルーティング スクリプトを選択して、コンタクト センター ネットワーク全体のエージェントのスキルと最新のリアルタイム ステータスを評価し、最善の宛先アドレスを NIC に返します (6) 。
ICM ソフトウェアが指定した宛先にコールを接続するように、ネットワークが発信元の IXC スイッチに指示します (8) 。 キャリアがコールを接続するのにかかる合計時間はさまざまです。 ただし、ICM ソフトウェアがルート要求の処理に費やす追加の時間は、通常 0.5 秒未満です。
サポートされている基本的なキャリア接続と、対応する ICM ソフトウェアのルーティング クライアント(NIC)およびネットワーク転送プロトコルを、表 3-1 に示します。 SS7IN NIC は、多数のキャリア SS7 INAP インターフェイスで使用されていることに注意してください。
クライアント |
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ICM システムの一部について、耐障害性の方針をすでに決めている場合もあることでしょう。 たとえば、デュプレックス構成の分散型 ICM セントラル コントローラを使用し、各コール センターの PG をデュプレックス構成にする方針を、すでに決めているかもしれません。 NIC やインテリジェント ネットワーク アクセス リンクに耐障害性を適用することも、それと同じく重要になります。 キャリアのインテリジェント ネットワークに接続できなければ、ICM システムによるプレルーティングは行えません。 通常、これらのリンクが失われると、キャリア ネットワークで設定されているデフォルト ルーティング プランに従ってルーティングされます。
(注) ICM システムの耐障害性の詳細については、『ICM Administration Guide for Cisco ICM Enterprise Edition』を参照してください。
NIC に耐障害性を適用する目的は、単一障害点を排除するための保護レベルを追加することにあります。 キャリア ネットワークから ICM システムへの接続に適用する耐障害性のタイプを選択するには、次の重要度の順序に従います。
• 最初に、シスコ製 NIC からキャリアのインテリジェント ネットワークへの冗長リンクを使用します。
• 次に、冗長リンクがある場合は、さまざまなファシリティでこれらのリンクをプロビジョニングします。 これにより、ネットワーク接続に、さらに別のレベルの耐障害性を追加できます。
• NIC が ICM CallRouter プラットフォームで稼働している場合は、CallRouter をデュプレックス構成にすれば、NIC プロセスもデュプレックス構成になります。
NIC に適用する耐障害性のタイプは、IXC インテリジェント ネットワーク アクセスのためにプロビジョニングする必要があるリンクの数に関係します。
IXC ネットワークへの冗長リンクを設定する必要があります。 つまり、NIC から IXC インテリジェント ネットワークへは 1 本のリンクではなく、2 本のリンクをプロビジョニングする必要があります。 IXC ネットワークに対して 1 本のリンクしかない場合は、その部分が単一障害点(障害が発生するとシステムのコール ルーティングが停止してしまうエリアまたはノード)になります。
冗長リンクを使用することによって、IXC ネットワーク接続の信頼性が増し、重要な耐障害性レベルがシステムに追加されます。図 3-2 は、IXC ネットワークへの冗長リンクを使用したシンプレックス構成の ICM セントラル コントローラと NIC を示しています。
図 3-2 では、NIC、CallRouter、および Logger がシンプレックス構成なので、単一障害点はまだ存在しています。 シンプレックス構成のセントラル コントローラと NIC は、単に例として示しているものです。 このようなシンプレックス構成は、サービスが長く中断しても許されるような、ミッション クリティカルでないシステム(ラボ環境やデモ システムなど)だけで使用します。
主要な IXC では、インテリジェント ネットワークへの冗長リンクがサポートされています。 アクセス リンクのオプションの詳細については、ご利用のキャリアにお問い合せください。
ネットワークの停止に対する保護をさらに強化するためには、多様なネットワーク ファシリティに対するネットワーク リンクをプロビジョニングする必要があります。 多様なリンクを使用することにより、別の単一障害点(この場合は、回線障害)によって IXC ネットワークに接続できなくなるリスクを減らすことができます。 たとえば、ある T1 回線上に 1 本のアクセス リンクをプロビジョニングし、別の T1 回線上に他のアクセス リンクをプロビジョニングします。 多様なリンクを用意すれば、回線全体が失われるような障害からネットワークを保護できます。
図 3-3 は、冗長リンクとルートの多様性を確保した、シンプレックス構成の ICM システムを示しています。
この例では、回線障害が発生した場合や IXC Point Of Presence(POP; ポイント オブ プレゼンス)が失われた場合に対する保護を講じることで、さらに高度な耐障害性を実現しています。 NIC は 1 か所ですが、冗長リンクによって 2 つの異なる POP に接続されています。 1 つの IXC POP が(自然災害などで)機能しなくなっても、もう 1 本のリンクを使用して別の POP 経由で IXC ネットワークにアクセスできます。
主要なキャリアでは、ルートの多様性を確保するためのオプションが提供されています。 複数の POP で処理されるようにリンクを構成することについて、ご利用のキャリアとご検討ください。 IXC と Local Exchange Carrier(LEC; 地域通信会社)の両方で、多様な回線が使用されていることを確認する必要があります。 LEC によっては、NIC から IXC POP(つまり「ラスト マイル」の区間)のリンクの多様性に、ある程度の制約が生じる場合もあります。 多くの場合、この制約は、コール センターが大都市にあるか地方にあるかによって異なります。