この製品のマニュアルセットは、偏向のない言語を使用するように配慮されています。このマニュアルセットでの偏向のない言語とは、年齢、障害、性別、人種的アイデンティティ、民族的アイデンティティ、性的指向、社会経済的地位、およびインターセクショナリティに基づく差別を意味しない言語として定義されています。製品ソフトウェアのユーザーインターフェイスにハードコードされている言語、RFP のドキュメントに基づいて使用されている言語、または参照されているサードパーティ製品で使用されている言語によりドキュメントに例外が存在する場合があります。シスコのインクルーシブランゲージに対する取り組みの詳細は、こちらをご覧ください。
このドキュメントは、米国シスコ発行ドキュメントの参考和訳です。リンク情報につきましては、日本語版掲載時点で、英語版にアップデートがあり、リンク先のページが移動/変更されている場合がありますことをご了承ください。あくまでも参考和訳となりますので、正式な内容については米国サイトのドキュメントを参照ください。
Cisco CTI ソフトウェアは、ICM ソフトウェアとエージェント デスクトップとサーバ アプリケーションをつなぐインターフェイスです。 CTI ソフトウェアはペリフェラル ゲートウェイの ACD、IVR インターフェイス ソフトウェア、および関連する ACD と連携して、コール イベントとトランザクションをトラッキングし、コール関連データやトランザクション関連データをエージェントのデスクトップ コンピュータに転送します。
CTI のプリインストール プランニングには次のタスクが含まれます。
• CTI サーバの通信およびプラットフォームのオプションの確認。
Cisco CTI の基本サーバ コンポーネントである CTI サーバを使用すれば、エージェント、コールおよびカスタマーのデータを、コールのライフサイクルを通して発生したイベントとして、サーバかワークステーション アプリケーションのどちらかまたは両方に ICM ソフトウェアで配信できます。 CTI サーバは、Peripheral Gateway(PG; ペリフェラル ゲートウェイ)で実行されるソフトウェア プロセスです。 CTI サーバは、ICM ソフトウェアのデータとサービスへの CTI ゲートウェイとして機能します。
図 6-1 に、CTI サーバ システムの例を示します。 CTI サーバは、企業内の 1 つまたは複数のコール センターで実行されます。
CTI サーバの機能の 1 つに、CTI アプリケーション サーバへのプレルート標識の転送があります。 プレルート標識は、コールがまだパブリック ネットワークまたはプライベート ネットワーク内にある(エージェントや IVR リソースにコールが接続されていない)段階で、発信者の識別情報やその他のコール属性を CTI アプリケーションに提供します。
さらに CTI サーバは、コールが応答リソース(ACD、PBX、IVR)に到着してから発信者が電話を切るまでのコール フローの各段階で発生するコール イベントやエージェントの作業状態の変更を報告します。 デスクトップ アプリケーション環境では、ターゲットのエージェント デスクトップにコールが配信されると同時に、コール イベント情報も配信されます。
CTI サーバは、TCP/IP イーサネットを使用してクライアントと通信します。 他の種類の LAN にあるクライアントと接続するために、マルチプロトコル IP ルータが使用される場合もあります。 ペリフェラル ゲートウェイのビジブル ネットワーク インターフェイスに使用される LAN を、CTI クライアントからサーバへの通信に使用することも可能です。
CTI サーバは、Cisco ACD(または VRU)PG プロセスが実行されているマシン上で実行されます。 共有プラットフォームのオプションを図 6-2 に示します。
CTI サーバは、耐障害性を持つデュプレックス構成で実装できます。 デュプレックス構成の場合、CTI サーバは 1 組のサーバ プラットフォームにインストールされます。 CTI クライアント接続で障害が発生した場合、クライアント プロセスは自動的にデュプレックス構成の CTI サーバのいずれかに再接続します。 再接続が行われても、コールの CTI クライアント履歴リストや、コール変数に対して行われたアップデートは引き続き有効です。図 6-3 は、CTI サーバのデュプレックス構成を示しています。
CTI Object Server(CTI OS)は、耐障害性を持つ高性能でスケーラブルなサーバベースのソリューションで、CTI アプリケーションの導入に使用されます。 CTI OS は、Customer Relationship Management(CRM; 顧客関係管理)システム、データ マイニング、ワークフロー ソリューションなどのサードパーティ アプリケーションを統合するための単一ポイントとして機能します。
設定データがサーバで管理されるので、CTI アプリケーションのカスタマイズ、アップデート、およびメンテナンスが簡素になります。 サーバは、リモートからアクセスして管理できます。 シスコ製ソリューションを必要としないシンクライアント アプリケーションおよびブラウザベースのアプリケーションは、CTI OS で開発して導入できます。
CTI OS に組み込まれている主なコンポーネントは、次のとおりです。
• エージェントおよびスーパーバイザ用の CTI OS コンボ デスクトップ
CTI OS は CTI サーバのクライアントです。 Cisco CTI サーバに常時接続する単一の接続があります。 CTI OS はセッション、エージェント、およびコール インターフェイスを使用したクライアント接続を受け付けます。 これらのインターフェイスは、.NET、COM、Java、C++ および C で実装されているので、広範なアプリケーション開発で使用できます。 このインターフェイスは、コール制御、データ値へのアクセス、およびイベント通知の受信に使用されます。
CTI OS でサポートされるエージェントの数やその他のハードウェア構成の最新情報については、『 Cisco Intelligent Contact Management Software Release 7.0(0) Bill of Materials (BOM) 』を参照してください。ICM BOM は http://www.cisco.com/univercd/cc/td/doc/product/icm/index.htm で参照できます。
コール センター アプリケーションと ICM を統合するためのクライアント モデルは 2 つあります。 エージェント ワークステーション モデルまたは CTI ブリッジ モデルのいずれかを使用できます。
エージェント ワークステーション モデルでは、エージェントのデスクトップにあるパソコンで実行されるアプリケーションがクライアントになります。 このクライアントは、単一のエージェント テレセットに関連するコール データとコール イベントを処理します。 エージェント ワークステーション アプリケーションではエージェントの状態の変化も管理できます。
通常、着信コールを受け取ったエージェント ワークステーション アプリケーションは、ICM システムで収集されたコール データを使用して、データベースから発信者のデータを取得します。 このデータは、着信コールがエージェントに接続されるのとほぼ同時に、エージェント ワークステーションの画面に表示されます。
コールの処理中に、エージェントが一部のコール データをアップデートする場合があります。 たとえば、保険金の請求を処理するエージェントが一部のコール データに修正を加える場合、アップデートを行うことで、次のエージェントにコールが転送されても変更が失われなくなります。
エージェントは、コールの終了時にクライアントを使用して、ICM セントラル データベースに記録されている Termination_Call_Detail レコードにコール固有の整理情報を追加できます。 この整理データは、その他のデータベースで詳細なトランザクション情報を検索する際のキーとなる値として役立つ場合があります。 エージェントが、CTI クライアント ワークステーションを持つ同じ ACD 上の別のエージェントに対して電話会議やコール転送を行った場合、そのエージェントの CTI クライアントにも着信コール データ(最初のエージェントが加えたアップデートを含む)が提供されます。 別の ACD 上のエージェントに対する電話会議や転送では、変換ルートが使用されていれば、コール データがリモート CTI クライアントに提供されます。
エージェント ワークステーション アプリケーションは特定のテレセットに関連するイベントだけを処理しますが、CTI ブリッジ アプリケーションは ACD で発生するすべてのコール イベントとエージェント状態イベントを処理します。 CTI ブリッジ アプリケーションはユーザが作成するプログラムで、CTI サーバ メッセージの一部または全部を別の形式に変換または適合させます。単一の CTI ブリッジ アプリケーションが複数のエージェント デスクトップに対してこのサービスを提供します。 CTI ブリッジ アプリケーションは、コール センターですでに使用されている CTI サーバやシステム上の同様のアプリケーションとインターフェイスするように設計できます。
CTI ブリッジ アプリケーションの例としては、次のものがあります。
• メッセージ コンバータ アプリケーション。 たとえば、CTI サーバ メッセージ セットを他のテレフォニー サーバのメッセージ セットに変換するアプリケーションです。
• サーバ間通信アプリケーション。 たとえば、CTI サーバがヘルプ デスク アプリケーションの中間層サーバと直接対話できるようにするアプリケーションです。
CTI ブリッジ構成では、CTI ブリッジ アプリケーションによって既存のデスクトップ CTI アプリケーションと ICM が接続されます(図 6-4 を参照)。
(注) エージェント ワークステーション(デスクトップ)モデルで実現される機能は、CTI ブリッジ アプリケーション モデルでもすべて実現できます。 ただし、CTI ブリッジ アプリケーションがそれらの機能をサポートするように作成されている必要があります。
CTI サーバを導入するために、CTI デスクトップおよびネットワーク環境のプリインストール プランニングが必要になります。
CTI サーバを実行するマシンは、イーサネット LAN を通して CTI デスクトップ環境に接続します。 このため、CTI デスクトップ環境はイーサネット LAN 上に存在している必要があります。 トークン リングなどのその他のネットワークを CTI サーバに接続する必要がある場合は、追加のネットワーク ハードウェアが必要になることがあります。
CTI デスクトップ環境の IP ルーティング体系が、ICM システムおよび CTI サーバに順応できる必要があります。 たとえば、CTI 環境の LAN にファイアウォールを設定している場合があります。 ファイアウォールがある場合は、システム アクセスの設定やネットワーク設定の変更が必要になります。
複数のデスクトップに CTI OS または CTI デスクトップ ソフトウェア コンポーネントをインストールする場合は、配布方針を作成する必要があります。 たとえば、中央のサーバにソフトウェアを格納して、企業内の特定のデスクトップだけがソフトウェアをダウンロードできるようにする方針などが考えられます。 このような方針に基づいて複数のサイトにソフトウェアをインストールする場合は、すべてのサイトから中央のサーバにアクセスできるようにすることも必要になります。
CTI サーバは、ウェルノウン ポート番号によって、イントラネット内で実行されるアプリケーションとして識別されます。 すべての CTI クライアントおよびシステム管理者は、このウェルノウン ポートの番号を知っている必要があります。 CTI サーバのデフォルトのポート番号体系を使用しない場合は、社内の全体的なネットワーク環境に適したウェルノウン ポート番号を選択します。 ICM のセットアップを使用して、CTI サーバ PG のインストールに使用するデフォルトのポート設定を上書きできます。
Cisco CTI には自動フェールオーバー メカニズムと回復メカニズムが含まれています。 フェールオーバーが発生した場合に備えて、CTI サーバに対する障害のない確立されたネットワーク パスを各 CTI クライアントが持つようにしてください。 たとえば、各 CTI クライアントがローカル CTI サーバおよびリモート CTI サーバにアクセスできるようにプランニングを行います。
コール処理で使用するカスタマー情報を取得するためにデータベースに対してクエリーを行う CTI アプリケーションを使用する場合があります。 CTI アプリケーションによっては、「コール前」(コールがエージェントのデスクトップに到着する前)にデータベース レコードを取得する場合もあります。 また、コールがエージェントのデスクセットに到着した直後にデータベースにクエリーを行うアプリケーションもあります。 データベースへのクエリーが最も効率的かつタイムリーに行われるような方針を策定してください。
CTI サーバは、アプリケーションがコール データをリアルタイムで利用できるようにしています。 このタスクを行うために、CTI サーバ プロセスはクライアントからの要求に応じて割り込みメッセージを生成します。 すべてのメッセージには共通のメッセージ ヘッダーが含まれ、同じデータ タイプのセットが使用されます。
表6-1 は、メッセージ データの特性に基づいてメッセージを大まかに分類したものです。
CTI サーバは、コール センターおよび CTI アプリケーションの環境に応じて、異なる量のメッセージ トラフィックを PG に対して生成します。 会社の CTI アプリケーション環境における一般的なコール シナリオを文書化して、適切な帯域幅を用意し、適切なサーバ プラットフォームを準備してください。
(注) セッション管理メッセージについては、『Cisco ICM Software CTI Server Message Reference Guide』の最新バージョンを参照してください。
CTI サーバのメッセージ トラフィックを見積るため、会社の CTI アプリケーション環境における一般的なコール シナリオを文書化します。 これは、CTI サーバと CTI アプリケーション環境を結ぶリンクで発生する可能性のあるメッセージ トラフィックをすべて明らかにすることを目的としています。
• コールが、コール データの設定要求などのコール処理を受ける。
データ通信接続においては、CTI サーバと CTI アプリケーション環境の間で発生するメッセージ トラフィックを処理するのに十分な帯域幅を確保する必要があります。 たとえば、56 Kbps の接続は会社の環境に適しているでしょうか。
コール シナリオの作成は、CTI サーバと CTI アプリケーション環境の間のリンクで発生するメッセージ負荷と必要な帯域幅を見積るのに役立ちます(たとえば、56 K、256 K、またはそれ以上)。
CTI サーバ プラットフォームについては、メッセージ アクティビティを処理できるだけの CPU の処理速度と RAM を確保する必要があります。 CTI サーバ用にハイエンドの Cisco CTI サーバ/PG プラットフォームが必要になる場合があります。
コール制御とは、ACD の外部のアプリケーションがプログラムによって通話コールを制御する能力のことを指します。 たとえば CTI アプリケーションは、コールを保留したり、転送したり、コールを切ることができます。
ファーストパーティ コール制御では、CTI アプリケーションが制御できるのは、CTI アプリケーションが実行されているコンピュータに物理的に接続されているテレセットだけです。 ファーストパーティ コール制御では、コンピュータと、電話機およびその他のアドオン ハードウェアとの間に物理的な接続が必要になります(図 6-5 を参照)。
CTI サーバ製品はサードパーティ コール制御をサポートしています。 ACD/テレセット ドメインの外側から行われるコール制御のことを、サードパーティと呼びます。 サードパーティ コール制御では、コンピュータとテレセットとの間に物理的な接続はありません(図 6-6 を参照)。
デスクトップ CTI アプリケーションは LAN を通して Cisco CTI サーバと通信します。 すると CTI サーバが、ACD と通信して、コール制御要求を送信します。 このモデルでは、CTI アプリケーションは特定のテレセットにバインドされていません。 CTI アプリケーションは、ACD および CTI サーバに接続されているすべてのテレセットを制御できます。
(注) サードパーティ コール制御は、すべてではありませんが、ほとんどの ACD でサポートされています。
使用する ACD に応じて、次のすべての(または、ほとんどの)テレフォニー機能をクライアント アプリケーションで実行できます。
実装するペリフェラルの種類とそのサポートによって、CTI の機能性のレベルは変わります。 たとえばペリフェラルの種類によって、利用できるクライアント制御要求やコール イベント タイプが異なることがあります。 また、CTI 関連の制約事項や実装の違いがある場合もあります。 サードパーティのスイッチやデバイスとインターフェイスする CTI クライアント アプリケーションを作成する場合は、これらの違いを考慮する必要があります。 たとえば、
• Rockwell Galaxy には CTI サーバのサポートがありません。
• Siemens Rolm 9751 CBX では CTI サーバはサポートされていませんが、スクリーンポップ アプリケーションはサポートされています。
CTI のプリインストール プランニングの一環として、クライアント制御およびサードパーティ コール制御に対する ACD のサポートを確認する必要があります。