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この章では、Cisco Analog Telephone Adaptor(Cisco ATA)のハードウェアおよびソフトウェアの機能について説明し、Skinny Client Control Protocol(SCCP)の概要を示します。
Cisco ATA アナログ電話機アダプタは、通常のアナログ電話機が IP ベースのテレフォニー ネットワークで動作できるようにする受話器とイーサネット間のアダプタです。Cisco ATA は、それぞれ独立した電話番号を持つ 2 つの音声ポートをサポートします。Cisco ATA 188 はさらに、RJ-45 10/100BASE-T データ ポートも備えています。
• 「Skinny Client Control Protocol の概要」
Cisco 音声パケット ゲートウェイで動作する Cisco ATA は、デジタル加入者線(DSL)、固定無線、ケーブル モデム、およびその他のイーサネット接続を介して展開されるブロードバンド パイプを使用します。
(注) 特に明記しない限り、Cisco ATA という用語は、Cisco ATA 186 と Cisco ATA 188 の両方を示します。
図1-2 SCCP ネットワークのエンドポイントとしての Cisco ATA 186
図1-3 SCCP ネットワークのエンドポイントとしての Cisco ATA 188
Skinny Client Control Protocol(SCCP)は、インターネット プロトコル(IP)を使用したリアルタイム コールと電話会議用の Cisco の規格です。SCCP を使用することで、Cisco IP Phone は H.323 環境に共存できます。Cisco CallManager が H.323 Gatekeeper または MGCP Call Agent と結合されている場合、SCCP を実行している Cisco ATA は、遠端の H.323 端末と相互運用して、オーディオ コールを確立、制御、およびクリアします。
図1-4 に SCCP ネットワークのアーキテクチャを示します。
Cisco ATA は、コンパクトで設置しやすいデバイスです。図1-5 に Cisco ATA 186 の背面パネルを示します。図1-6 に Cisco ATA 188 の背面パネルを示します。
• 2 つの RJ-11 FXS(Foreign Exchange Station)ポート:Cisco ATA は標準のアナログ電話デバイスに接続できる 2 つの独立した RJ-11 電話ポートをサポートします。各ポートは音声コールまたはファックス セッションをサポートし、2 つのポートを同時に使用できます。
(注) Cisco ATA186-I1 および Cisco ATA188-I1 の抵抗インピーダンスは 600 Ωです。Cisco ATA186-I2 および Cisco ATA188-I2 の複素インピーダンスは 270 Ω + 750 Ω // 150-nF です。インピーダンス オプションは注文時に要求されますが、これは個々のアプリケーションと適合する必要があります。適切な設定が不明な場合は、国または地域の電話機インピーダンスの要件を確認してください。
–Cisco ATA 186 には、Cisco ATA 186 を 10/100BASE-T ハブまたは別のイーサネット デバイスに接続するための RJ-45 10BASE-T アップリンク イーサネット ポートが 1 つあります。
–Cisco ATA 188 には、2 つのイーサネット ポートがあります。Cisco ATA 188 を 10/100BASE-T ハブまたは別のイーサネット デバイスに接続するための RJ-45 10/100BASE-T アップリンク ポートと、コンピュータなどのイーサネット対応デバイスをネットワークに接続するための RJ-45 10/100BASE-T データ ポートです。
(注) Cisco ATA 188 は、二重通信とスピードに対するオートネゴシエーションを実行し、10/100 Mbps の全二重動作が可能です。Cisco ATA 186 は、10 Mbps の半二重動作に固定されています。
• Cisco ATA 188 RJ-45 LED は、ネットワーク リンクとアクティビティを表示します。LED は、Cisco ATA に最初に電源投入したときに 2 回点滅し、リンクまたはアクティビティがまったくない場合には消灯します。LED は、ネットワーク アクティビティを示すときは点滅し、リンクがある場合には点灯し続けます。
• Cisco ATA 186 RJ-45 LED は、Cisco ATA に電源が投入されると点灯し、ネットワーク アクティビティを示すときは点滅します。
• ファンクション ボタン:ファンクション ボタンはユニットの上面パネルにあります(図1-7 を参照してください)。
ファンクション ボタンは、Cisco ATA に接続されている電話機の受話器をはずすと点灯します。ボタンは、Cisco ATA が設定をアップグレードしている間、細かく点滅します。
(注) ファンクション ボタンがゆっくりと点滅する場合、Cisco ATA で DHCP サーバが見つからないことを示します。イーサネット接続をチェックして、DHCP サーバが利用可能であることを確認してください。
ファンクション ボタンを押すと、音声設定メニューにアクセスできます。音声設定メニューの詳細については、「音声設定メニュー」を参照してください。
この項では、Cisco ATA がサポートするプロトコルとサービスに関する次のトピックを取り上げます。
• 「基本サービス」
Cisco ATA は、Skinny Client Control Protocol(SCCP)Rev. 3.0 および 3.1 をサポートします。
Cisco ATA は、次の音声コーデックをサポートします(他のネットワーク デバイスがサポートするコーデックについては、それぞれのデバイスで確認してください)。
低ビットレートのコーデックで動作している場合、Cisco ATA は 2 つの G.723.1 接続または 1 つの G.729 接続をサポートできます。G.723.1 または G.729 の選択は、スタティックに設定する必要があります。G.723.1 が低ビットレートのコーデックである場合、FXS ポートごとに 1 つの G.723.1 接続が割り当てられます。G.729 が使用される場合、1 つの FXS ポートだけが G.729 を使用できます。詳細については、「LBRCodec」および「ConnectMode」を参照してください。
SCCP に加えて、Cisco ATA は次のシグナリング プロトコルをサポートします。
• メディア ゲートウェイ コントロール プロトコル(MGCP)
SCCP と MGCP は、同じソフトウェア イメージを共有します。SIP と H.323 も、SCCP/MGCP イメージとは別のソフトウェア イメージを共有します。SCCP から別のシグナリング イメージへと異なるプロトコルにわたるアップグレードを行う場合は、 付録E「異なるプロトコル間でのアップグレードの実行」 を参照してください。
Cisco ATA がサポートするその他のプロトコルは、次のとおりです。
Cisco ATA 基本サービスのリストと各サービスを設定するパラメータについては、表3-5を参照してください。
• 設定可能なトーン(ダイヤル トーン、ビジー トーン、確認トーン、リオーダー トーン、コール待機トーン)
• IP アドレス割り当て:DHCP 提供またはスタティックに設定
• Cisco CallManager TFTP サーバ、Web ブラウザ、または音声設定メニューによる Cisco ATA の設定
Cisco ATA は、次の 2 つのモードのファックス サービスをサポートします。ファックス信号は G.711 コーデックを使用して送信されます。
• ファックス パススルー モード:自動 G.711A-law または G.711µ-law 切り替えによる Receiver-side Called Station Identification(CED)トーン検出。
• ファックス モード:Cisco ATA は G.711 専用のデバイスとして設定されます。
Cisco ATA ファックス パラメータを設定する方法は、どのネットワーク ゲートウェイが使用されているかによって異なります。デフォルトのファックス パラメータ値を変更することが必要になる場合もあります(「FAX サービスの設定とデバッグ」を参照してください)。
(注) ファックス送信が成功するかどうかは、ネットワーク状態と、その状態に対するファックス モデムの応答によって決まります。ネットワークは、適度に低いネットワーク ジッタ、ネットワーク遅延、およびパケット損失率を備える必要があります。
この項では、コール前またはコール中に Cisco ATA で実行できる電話サービスの概要について説明します。これらのサービスをエンドユーザが使用するための手順については、 付録A「通話前サービスおよび通話中サービスの使用方法」 を参照してください。
(注) この項に掲載されているサービスは、Cisco CallManager にサポートされています。Cisco IOS Telephony Service(ITS)がサポートするサービスについては、ITS のマニュアルを参照してください。
表1-1 に、SCCP プロトコルに対して Cisco ATA がサポートするコール前サービスを示します。また、 表1-1 では、各サービスをユーザが使用するための手順が説明されている参照先も示しています。
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SCCP プロトコルのコール中サービスを開始および使用する方法は、モードによって異なります。コール中サービスを起動するには、次の 3 つのモードを使用できます。
モードは、ConnectMode パラメータのビット 28 および 29 を使用して設定できます(「ConnectMode」を参照してください)。
表1-2 に、3 つの各モードに対して Cisco ATA がサポートするコール中サービスを示します。また、 表1-2 では、各サービスをエンドユーザが使用するための手順が説明されている参照先も示しています。
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表1-3 に、一般的な Cisco CallManager 環境に Cisco ATA を設置して、操作できるように設定するために必要な基本手順を示します。