NAT/PAT のサポート
ここでは、NAT/PAT サービスを提供する Cisco ルータまたはファイアウォールにより VOSS USM および DHCP サーバが接続されている場合の IP 電話の自動登録による NAT/PAT のサポートについて説明します。内容は次のとおりです。
• 「IP 電話の自動登録による NAT/PAT のサポート」
• 「DHCP サービスのサポート状況」
• 「IP 電話自動登録による NAT/PAT サポート」
• 「NAT/PAT のサポートに関する制限事項」
IP 電話の自動登録による NAT/PAT のサポート
Release 5.1(b)、MR1 よりも前のホステッド UCS 導入では、DHCP サービスは、VOSS USM により直接管理されていました。USM は、DHCP サーバからの IP アドレス情報に基づいて、電話機のロケーションを判別します。これは、USM AutoMove 機能に依存していました。
USM が DHCP サービスを管理するとき、ホステッド UCS は、各カスタマーで DHCP サーバの集中型プールをサポートします。2 つのカスタマー ロケーションが、共通の PAT ルータに接続されている異なるサブネットにある場合は、サポートされません。これは、USM がすべてのロケーションを IP アドレス サブネットに関連付けるためです。この対処方法として、個別の IP アドレス プールを PAT ルータに作成できます。ただし、DHCP サーバおよび USM サーバが NAT/PAT ルータにより分けられている場合、この対処方法はサポートされません。
(注) 2 つのロケーションが同じサブネットを共有する場合、電話機は、この共有サブネットを使用して自動登録できません。USM GUI を介した共有サブネットの設定は、Release 5.1(b)、MR1 では無効にされていますが、バルク ローダを使用して発生することがあります。
Hosted UCS Release 5.1(b)、MR1 は、USM により管理されて いない DHCP サービスをサポートします。これにより、Cisco IOS ソフトウェア ルータ、PIX ファイアウォールまたは Adaptive Security Appliance(ASA)などの Cisco NAT/PAT デバイスにより、DHCP サーバを USM サーバと分けることができます。この場合、USM AutoMove 機能に必要な情報は、Unified CM Server により提供される Syslog メッセージを介して受信されます。
DHCP サービスのサポート状況
USM は、次の状況で、Unified CM サーバにより提供される自動登録を使用して、DHCP サービスをサポートします。
• USM サーバで稼動し、USM により管理される DHCP サービス
• 外部サーバで稼動し、USM により管理される DHCP サービス
• 外部サーバで稼動し、USM により 管理されていない DHCP サービス
• Cisco NAT/PAT デバイスにより分けられた外部サーバで稼動し、USM により管理されていない DHCP サービス(図 1 を参照)
本リリースでのサポートされない状況については、「NAT/PAT のサポートに関する制限事項」を参照してください。
図 1 NAT/PAT がサポートされる管理対象外の DHCP(IP 電話自動登録)
IP 電話自動登録による NAT/PAT サポート
図 1 に示すように、USM サーバが Unified CM から Syslog メッセージを受け取ると、AutoReg サービスは、これをログから選択して、USM で AutoCCMNewPhone トランザクションをトリガーします。このトランザクションは、次の手順を実行します。
1. トランザクションが電話機インベントリで MAC アドレスを検索し、この電話機がない場合、プロバイダー レベルでインベントリに追加します。
2. USM が電話機のロケーションを認識しない場合、トランザクションは、AutoMove トランザクションを開始し、電話機を正しいロケーションに未登録状態で移動します。
3. Unified CM から受信した Syslog メッセージの IP アドレスが、USM の IP アドレスと一致しない場合、トランザクションは、USM データベースを新しい IP アドレスで更新します。
4. 電話機がそのロケーションに未登録で、自動登録オプションが選択されている場合、トランザクションは電話機を登録します。
これで、トランザクションは完了し、電話機が、割り当てられた内線番号で USM に登録されます。
USM は、新しい電話機が追加され、そのロケーションで自動登録が有効にされている場合、これら 4 つすべての手順を実行します。既存の電話機の IP アドレスが変更された場合、手順 3 だけ実行されます。
NAT/PAT のサポートに関する制限事項
DHCP サービスが外部サーバで実行していて、USM により 管理されている 場合、DHCP サーバおよび USM サーバは NAT/PAT デバイスにより分けることは できません 。
現在、IP アドレスのオーバーラップは、各カスタマーで個別の DHCP サーバが使用されている場合だけサポートされます。
USM が DHCP サーバを管理するとき、複数のカスタマー ロケーションが、共通の PAT ルータに接続されている異なるサブネットにある場合は、サポートされません。これは、USM がすべてのロケーションを IP アドレス サブネットに関連付けるためです。この対処方法として、個別の IP アドレス プールを PAT ルータに作成できます。ただし、DHCP サーバおよび USM サーバが NAT/PAT ルータにより分けられている場合、この対処方法はサポートされません。
NAT/PAT をサポートするための Unified CM のプロビジョニング
ここでは、Cisco NAT/PAT デバイスを介して USM サーバに接続される IP 電話をサポートするための Unified CM サーバのプロビジョニングに必要な設定について説明します。内容は次のとおりです。
• 「自動登録」
• 「自動登録の設定」
自動登録
自動登録は、新しいデバイスが IP 電話ネットワークに接続されている場合、自動的に電話番号を割り当てます。自動登録が有効されている場合、Cisco Unified CM が、ネットワークに接続される新しい各電話機に未使用の番号を割り当てることができるように、電話番号の範囲が指定されます。新しい電話機がネットワークに接続されると、Cisco Unified CM は、指定範囲で次に使用できる電話番号を割り当てます。自動登録された電話機に電話番号が割り当てられると、その電話機は、新しいロケーションに移動されます。割り当てられた電話番号は変わりません。このタスクは、Unified CM Syslog メッセージを USM サーバに送信することで行われます。このタスクは、「IP 電話自動登録による NAT/PAT サポート」で説明するように、電話機をロケーションに移動するトランザクションを自動的にトリガーします。
自動登録の設定
Unified CM サーバで自動登録を設定するには、次の手順を実行します。
手順
ステップ 1 設定が必要な Unified CM サーバに接続します。
ステップ 2 [System] > [Cisco Unified CallManager] を選択します。
ステップ 3 図 9-2 に示す画面が表示されます。
図 9-2 自動登録:Unified CM の設定
ステップ 4 [Auto-registration Disabled on this Cisco Unified CallManager] チェックボックスが選択されていないことを確認します。
この手順をすべての Unified CM サーバで実行します。
ステップ 5 [System] > [Cisco Unified Call Manager Group] を選択します。
ステップ 6 [Name] フィールドにグループを入力して、[Auto-registration Cisco Unified CallManager Group] チェックボックスをオンにします。
ステップ 7 [System] > [Enterprise Parameters Configuration] 画面を選択します。
ステップ 8 [Auto-registration Phone Control Protocol] プルダウン選択リストから正しいプロトコル(SIP または SCCP)を選択します。
(注) この手順を Unified CM 5.1 以降で実行します。Unified CM 4.X は、SCCP プロトコルだけをサポートしています。
ステップ 9 Unified CM Syslog メッセージを USM サーバに送信するには、[Cisco Unified CallManager] > [Alarm Configuration] を選択します。
ステップ 10 [Remote Syslogs] セクションで、[Server Name] フィールドに USM サーバの IP アドレスを入力します。
ステップ 11 [Save] をクリックします。
NAT/PAT をサポートするための USM のプロビジョニング
ここでは、Cisco NAT/PAT デバイスにより IP 電話に接続されている場合に USM サーバで必要な設定について説明します。内容は次のとおりです。
• 「USM Webmin の設定」
• 「USM プロバイダーの設定」
• 「USM カスタマーの設定」
• 「USM ロケーションの管理」
USM Webmin の設定
USM Webmin を使用して必要な設定を完了するには、次の手順を実行します。
手順
ステップ 1 USM Webmin にアクセスします。
ステップ 2 [VossManager Tools] > [VossManager configuration editor] を選択します。
図 9-3 に示す画面が表示されます。
図 9-3 USM Webmin Syslog の設定
ステップ 3 [Accept syslog events from external systems (like call Manager)] プルダウン選択リストから [Yes] を選択します。
ステップ 4 [USM Tools] > [USM Auto Inventory and Move Phones] を選択します。
ステップ 5 [Logfile Path] フィールドで、次のパスを入力します。
/data/intdhcp/allmessages
ステップ 6 [Start] および [Auto-start] をクリックします。
ステップ 7 USM サーバをリブートするには、[USM Tools] > [USM environment tuneup tool] を選択します。
(注) USM サーバ設定を変更したら、変更を有効にするためサーバをリブートする必要があります。
ステップ 8 [Reboot] をクリックします。USM サーバがリブートし、新しい設定が有効になります。
ステップ 9 USM サーバの正しい Syslog 設定を確認するには、管理者ユーザ名およびパスワードを使用して、USM サーバの SSH セッションを確立します。
ステップ 10 USM サーバにより受信されたメッセージを表示するには、次のコマンドを入力します。
ステップ 11 設定をテストするには、Unified CM サーバで電話機をリセットして、 tail -f allmessages コマンドを再入力します。
ステップ 12 Unified CM サーバの電話機をリセットした後で生成された Syslog メッセージが、USM サーバにより受信されることを確認します。
外部サーバの DHCP サービスの設定
外部サーバで稼動する DHCP サービスを設定するには、外部 DHCP サーバの Webmin で次の手順を実行します。
手順
ステップ 1 [Voss ManagerTools] > [VossManager Configuration] を選択します。
ステップ 2 [Select functional role of this machine] プルダウン選択リストから [IP Director + Telephony DHCP (Primary)] を選択します。
ステップ 3 [Save Configuration] および [Apply Configuration] をクリックして、設定を保存および適用します。
ステップ 4 [USM Tools] > [USM Auto Inventory and Move Phones] を選択します。
ステップ 5 [USM URL or IP address] に、USM サーバの IP アドレスまたは URL を入力します。
ステップ 6 [Save] および [Start] をクリックして、設定を保存して、AutoMove 機能を起動します。
USM DHCP の設定
USM により管理される DHCP サーバの設定は、DHCP サービスが USM サーバで稼動している場合でも、外部サーバで稼動している場合でも似ています。ただし、DHCP サービスが USM サーバ マシンで稼動している場合は USM サーバの IP アドレスを使用します。DHCP サービスが異なるマシンで稼動している場合は外部サーバの IP アドレスを使用します。
図 9-4 に、DHCP サービスを設定する USM GUI で使用される画面を示します。
図 9-4 USM DHCP の設定
DHCP サーバが USM で定義されたら、サーバがロードおよび同期化されていることを確認します。
USM プロバイダーの設定
Unified CM サーバからの自動登録要求を USM サーバが受信するように設定するには、次の手順を実行します。
手順
ステップ 1 [Setup Tools] > [Global Settings] > [AutoCCMNewPhoneProvider] を選択します。
ステップ 2 自動登録デーモンがレポートを生成するプロバイダーを選択します。
ステップ 3 [Setup Tools] > [Global Settings] > [PAT-IP-Reuse] を選択します。
ステップ 4 [Current Setting] チェックボックスを有効にします。
この設定は、電話機が同じ IP アドレス(PAT)で登録される場合に使用されます。
ステップ 5 [Provider] > [Select a provider] > [Preferences] > [ProviderAllowAutoPhoneInventory] を選択します。
ステップ 6 [Current Setting] チェックボックスを有効にします。
これにより、USM は、自動登録により検出された電話機を電話インベントリに自動的に追加します。
USM カスタマーの設定
USM サーバで必要なカスタマー設定を完了するには、次の手順を実行します。
手順
ステップ 1 AutoMoveCustomer オプションを有効にするカスタマーを選択します。
図 9-5 に示す画面が表示されます。
図 9-5 Customer Management
ステップ 2 [Preferences] をクリックします。
ステップ 3 [AutoMoveCustomer] をクリックします。
ステップ 4 [Current Setting] チェックボックスを有効にします。
ステップ 5 [Preferences and Settings] 画面で、[XML-PhoneAutoRegistration] をクリックします。
ステップ 6 [Current Setting] チェックボックスを有効にします。
ステップ 7 [Preferences and Settings] 画面で、[ShowCorporateDir] をクリックします。
ステップ 8 [Current Setting] チェックボックスを有効にします。
USM ロケーションの管理
ステップ 1 AutoMove 機能を有効にする必要があるロケーションを選択します。
ステップ 2 [Preferences] をクリックして、[Preferences and Settings: Location] 画面から [AutoFeatureLocation] オプションを選択します。
ステップ 3 COS1International24Hour など、適切な機能グループを選択します。
ステップ 4 [Preferences and Settings: Location] 画面から、[AutoMoveLocation] オプションを選択します。
ステップ 5 [Current Setting] チェックボックスを有効にします。
ステップ 6 [Preferences and Settings: Location] 画面から、[AutoRegister] オプションを選択します。
ステップ 7 [Current Setting] チェックボックスを有効にします。
ステップ 8 [Preferences and Settings: Location] 画面から、[AutoRegisterLowestLocation] オプションを選択します。
ステップ 9 [Current Setting] フィールドで、Unified CM サーバで使用される開始電話機内線番号を入力します。
ステップ 10 設定の変更を保存して、USM サーバをリブートし、新しい設定を有効にします。