Cisco 音声ゲートウェイ
Cisco CallManager は、複数のタイプの Cisco IP テレフォニー ゲートウェイをサポートしています。ゲートウェイはコール制御プロトコルを使用して、PSTN やその他の IP 非対応の通信デバイス(構内交換機(PBX)など)と通信します。
トランク インターフェイスは、ゲートウェイが time-division multiplexing(TDM; 時分割多重)シグナリングを使用して PSTN またはその他の外部デバイスと通信する方法を指定します。Cisco CallManager と Cisco ゲートウェイは、さまざまな TDM インターフェイスを使用します。ただし、サポートされる TDM インターフェイスは、ゲートウェイのモデルによって異なります。ゲートウェイの選択と設定の詳細については、『 Cisco IP テレフォニー ソリューション リファレンス ネットワーク デザイン ガイド 』を参照してください。Cisco CallManager で使用できるインターフェイスは、次のとおりです。
• Foreign Exchange Office(FXO)
• Foreign Exchange Station(FXS)
• T1 Channel Associated Signaling(CAS; チャネル連携信号)
• 基本速度インターフェイス(BRI)
• T1 PRI:North American ISDN Primary Rate Interface(PRI; 一次群速度インターフェイス)
• E1 PRI:European ISDN 一次群速度インターフェイス(PRI)
• QSIG:ISDN 標準に基づく Q シグナリング プロトコル
Cisco CallManager では、E1 CAS をサポートする H.323 ゲートウェイを使用できます。ただし、ゲートウェイで E1 CAS インターフェイスを設定する必要があります。
IP テレフォニー プロトコルについては、 「IP テレフォニー プロトコルの概要」 の章を参照してください。
次の項では、Cisco CallManager でサポートするゲートウェイの概要を説明します。
• 「スタンドアロン音声ゲートウェイ」
• 「Cisco Catalyst 4000、および Catalyst 6000 音声ゲートウェイ モジュール」
• 「H.323 ゲートウェイ」
スタンドアロン音声ゲートウェイ
ここでは、Cisco CallManager と連携させて使用する目的でサポートされている、アプリケーション固有のスタンドアロン型ゲートウェイ モデルについて簡単に説明します。
Cisco Voice Gateway 200
Cisco IP Telephony Voice Gateway(VG200)は、データ ネットワークとの接続用に 10/100BaseT イーサネット ポートを備えています。使用可能なテレフォニー接続は、次のとおりです。
• セントラル オフィス、または PBX との接続用の 1 ~ 4 つの FXO ポート
• POTS テレフォニー デバイスとの接続用の 1 ~ 4 つの FXS ポート
• PSTN との接続用の 1 個または 2 個の T1-PRI ポート、または T1-CAS ポート
• PSTN との接続用に、1 個または 2 個の E1-PRI ポート
• Cisco CallManager との MGCP または H.323 インターフェイス
–MGCP モードは、T1/E1 PRI、T1 CAS、FXS、FXO、および BRI(ユーザ側のみ)をサポートする。
–H.323 モードは、E1/T1-PRI、E1/T1-CAS、FXS、FXO、E&M、fax relay、G.711 モデムをサポートする。
MGCP VG200 と従来のボイス メッセージ システムとの統合により、Cisco CallManager は、ポートをボイスメールボックス、および接続に関連付けることができます。
Cisco Access Digital Trunk Gateway DT-24+/DE-30+
Cisco Access Digital Trunk Gateway DT-24+/DE-30+ は、次の機能を備えています。
• T1/E1-PRI(ネットワーク側またはユーザ側)
• ウィンクまたは遅延のダイヤル監視を備えた E&M シグナリングをサポートする T1 CAS 接続(DT-24+)
• ループ スタートまたはグラウンド スタート回線エミュレーションを備えた FXO
• Cisco CallManager との MGCP インターフェイス
Cisco Access Analog Station Gateway
ステーション ゲートウェイを使用すると、Cisco CallManager を、POTS アナログ電話機、IVR システム、FAX マシン、およびボイス メッセージ システムに接続できます。ステーション ゲートウェイは、FXS ポートを備えています。AS-2、AS-4、および AS-8 モデルは、それぞれ 2 つ、4 つ、および 8 つの VoIP ゲートウェイ チャネルを装備しています。
Cisco Access AS ゲートウェイは、Skinny Gateway Protocol を使用して Cisco CallManager と通信します。
Cisco アナログ トランク ゲートウェイ
アナログ トランク ゲートウェイを使用すると、標準 PSTN セントラル オフィス(CO)、または PBX トランクに Cisco CallManager を接続できます。トランク ゲートウェイは、FXO ポートを備えています。 AT-2、AT-4、および AT-8 モデルは、2 つ、4 つ、および 8 つの VoIP ゲートウェイ チャネルを装備しています。シグナリング タイプは、ループ スタートです。
Cisco AT ゲートウェイは、Skinny Gateway Protocol を使用して Cisco CallManager と通信します。
Cisco VG248 Analog Phone Gateway
Cisco VG248 Analog Phone Gateway は、19 インチ ラックに設置されるスタンドアロン型 48-FXS ポート製品です。このゲートウェイを使用すると、複数の構内アナログ電話機や FAX マシン、モデム、ボイス メッセージ システム、およびスピーカフォンなどを、1 つの Cisco CallManager クラスタに登録できます。
Cisco VG248 Analog Phone 接続性
Cisco VG248 Analog Phone Gateway は、Skinny Client Control Protocol を使用して Cisco CallManager と通信し、アナログ電話機に対して次の補助サービス機能をサポートできます。
• コール転送
• 会議
• コール ウェイティング(発信側番号表示機能付き)
• 保留(保留通話者間の切り替えを含む)
• 保留音楽
• 自動転送(Call forward all)
• ボイス メッセージ システムに全コール送信
• Group call pickup
• ボイス メッセージ システムのメッセージ受信のインディケータ
• 短縮ダイヤル(最大 9 個の短縮ダイヤル番号)
• リダイヤル
• Cisco fax relay
• Cisco CallManager から利用できるダイナミック ポートおよびデバイス ステータス
Cisco VGC Phone デバイス タイプ
Cisco VG248 のすべてのポートとユニットは、Cisco CallManager では、デバイス タイプ「Cisco VGC Phone」の独自のデバイスと見なされます。Cisco CallManager は、各ポートを電話機として認識し、設定します。
ファックスとモデムの接続性
Cisco VG248 は、従来のファクス マシンとモデムをサポートします。ファックス マシンを使用する場合、Cisco VG248 は Cisco fax relay テクノロジーまたは pass-through/up speed テクノロジーにより、高い信頼性を維持しながら、ファックスをネットワークに転送します。
Cisco VG248 には、pass-through モードを使用して任意のモデムを接続できます。
ボイスメールの接続性
Cisco VG248 は、48 本のアナログ回線に接続されているすべてのコールに対して、Simplified Message Desk Interface(SMDI)形式によるコール情報を生成します。また、他の Cisco VG248 から、または従来の PBX から、ボイス メッセージ システムに SMDI コール情報をパスします。メッセージ受信のインディケータに対するどのコマンドも、Cisco CallManager や任意の付加 SMDI ホストに送られます。
このメカニズムにより、SMDI ベースのボイス メッセージ システムが使用される場合、次のような多数の新規の設定が可能になります。
• Cisco CallManager と従来の PBX 間で単一のボイス メッセージ システムを共有することが可能。
• ボイス メッセージ システムと Cisco VG248 が集中型コール処理モデル内でリモートで機能することが可能。
• クラスタごとに 1 つの Cisco VG248 を使用することにより、複数のクラスタが単一のボイス メッセージ システムを使用することが可能。
• Cisco CallManager ではなく Cisco VG248 が SMDI コール情報を生成するので、単一のクラスタごとに複数のボイス メッセージ システムを設定。
Cisco VG248 Time デバイス
Cisco VG248 は、パワーサイクルや再起動に関連するリアルタイムのクロックを内蔵しています。リアルタイム クロックは、デバイスが Cisco CallManager に設定されたときに初めて設定されます。クロックは、Cisco CallManager が送信する DefineDateTime Skinny メッセージを使用して設定されます。クロックは、パワーサイクルや再起動の後で Cisco VG248 が Cisco CallManager から DefineDateTime メッセージを受信するとリセットされますが、その後は、1 時間に 1 回リセットされます。
Cisco VG248 設定ファイルの更新
Cisco VG248 は、TFTP サーバに照会してデバイスの設定ファイルに対してアクセスします。設定ファイルは、Cisco VG248 の設定が Cisco CallManager 経由で変更されると、更新されます。
詳細については、『 Cisco CallManager アドミニストレーション ガイド 』の「 ゲートウェイの設定」 と「 Cisco IP Phone の設定」 、および『 Cisco VG248 Analog Phone Gateway ソフトウェア コンフィギュレーション ガイド 』を参照してください 。
Cisco IAD2400 シリーズ Integrated Access Device
Cisco IAD2420 Integrated Access Device は、インターネット プロトコル(IP)と非同期転送モード(ATM)ネットワークを介して、音声サービス、データ サービス、およびビデオ サービスを提供します。Cisco IAD 2420 を使用すると、サービス プロバイダーは、回線交換またはパケット交換網を介してトール品質音声とデータ サービスを配信できます。Cisco IAD2420 は、Cisco CallManager との MGCP インターフェイスを提供し、次の機能をサポートします。
• アナログ:POTS テレフォニー デバイス用の FXS ポート、PSTN 接続用の FXO ポート
• デジタル:T1 PRI サービスおよび T1 CAS サービス
MGCP BRI コール接続
これまで、ゲートウェイは、Cisco CallManager への H.323 シグナリングを使用して、BRI ISDN 接続の Public Switched Telephone Network(PSTN; 公衆電話交換網)インターフェイスとして機能していました。H.323 プロトコルを使用する方法には、次の欠点があります。
• プライベート ネットワークで多数のゲートウェイを展開および管理する作業は、かなりの時間を要します。これは、ゲートウェイで各 H.323 ゲートウェイとそのダイヤル プランをプロビジョニングする必要があるためです。
• IP Phone へのコールが H.323 ゲートウェイを使用すると、音声クリッピングが発生します。これは、メディアのカットスルー周期が非常に高いためです。
• コール中に Cisco CallManager の制御が失敗すると、コールが切断されます。
現在、Cisco CallManager は、 メディア ゲートウェイ コントロール プロトコル(MGCP)ゲートウェイを使用することで、PSTN への BRI ISDN 接続を処理することや、一元管理のゲートウェイ インターフェイスとして機能することが可能になっています。Cisco CallManager は、論理接続を使用して、ゲートウェイとの間で MGCP メッセージおよび ISDN Q.931 メッセージを交換します。この接続では、MGCP メッセージの交換に User Datagram Protocol(UDP; ユーザ データグラム プロトコル)を使用し、バックホール ISDN Q.931 メッセージの交換に Transmission Control Protocol(TCP; 伝送制御プロトコル)を使用します。
図 36-1 は、PSTN に接続されたリモートサイトの BRI トランク ゲートウェイに関するコール処理を一元化する一般的なシナリオを示しています。BRI トランク上で PSTN に対してコールが送信または受信される場合、Cisco CallManager とゲートウェイ(IOS ルータ ベース)は、ISDN Q.931 メッセージを WAN 経由で交換します。
図 36-1 MGCP BRI インターフェイスを使用するトポロジのシナリオ
Cisco CallManager に関連する MGCP BRI の詳細については、Cisco.com Web サイトの『MGCP-Controlled Backhaul of BRI Signaling in Conjunction with Cisco CallManager』マニュアルを参照してください。
(注) BRI ゲートウェイは、BRI トランクに対して MGCP BRI バックホールだけをサポートしています。BRI 電話機またはステーションはサポートしていません。IOS ゲートウェイは、Skinny Client Control Protocol を使用する BRI 電話機をサポートしています。
Cisco Catalyst 4000、および Catalyst 6000 音声ゲートウェイ モジュール
Cisco Catalyst 4000 および Catalyst 6000 ファミリー スイッチのいくつかのテレフォニー モジュールは、テレフォニー ゲートウェイの役割を果たします。次の音声ゲートウェイ モジュールを使用すると、既存の Cisco Catalyst 4000 または Cisco Catalyst 6000 ファミリ デバイスを使用して、ネットワーク内で IP テレフォニーをインプリメントできるようになります。
• ラインカードである Catalyst 6000 音声ゲートウェイは、任意の Cisco Catalyst 6000、または Catalyst 6500 シリーズ スイッチに取り付けます。
• Catalyst 4000 アクセス ゲートウェイ モジュールは、任意の Catalyst 4000 または Catalyst 4500 シリーズ スイッチに取り付けます。
Cisco Catalyst 6000 8 Port Voice T1/E1 and Services Module
Cisco Catalyst 6000 8-Port Voice T1/E1 and Services Module は、次の機能を備えています。
• 8 個のポートは、次の機能を提供
–PSTN とのデジタル T1/E1 接続(DT-24+/DE-30+ と同じ機能を持つ T1/E1-PRI または T1 CAS)
–トランスコーディングと会議用のデジタル シグナル プロセッサ(DSP)リソース
• Cisco CallManager との MGCP インターフェイス
• ボイスメール システムへの接続(T1 CAS を使用)
ユーザは、T1 モジュール上のポートを T1 接続に使用するか、音声サービス用のネットワーク リソースとして使用するかを自由に選択できます。同様に、E1 モジュールは、E1 接続に使用するか、またはネットワーク リソースとして使用できます。ポートは、T1/E1 インターフェイスとして機能するか、またはトランスコーディングや会議をサポートします。
(注) どちらのモジュールも、任意のポート上で DSP 機能をサポートします。しかし、T1 モジュールは、E1 ポート用に設定できません。また、E1 モジュールは、T1 ポート用に設定できません。
FXS ポートが設定され MGCP によって制御される Cisco ゲートウェイと同様に、Cisco 6608 T1 CAS ゲートウェイは、フックフラッシュ転送をサポートします。フックフラッシュ転送は、ボイスメール システムなどのデバイスが別の宛先へ転送を行えるようにするシグナリング手順の定義です。デバイスは T1 CAS ゲートウェイを介して Cisco CallManager に接続されていますが、フックフラッシュ手順を実行してコールを別の宛先へ転送します。Cisco CallManager は、ブラインド転送でコールを移動することにより、フックフラッシュに応答します。コール転送が完了すると、オリジナル コールをデバイスに接続した音声チャネルが解放されます。
(注) フックフラッシュ転送をサポートしているのは、E&M T1 ポートのみです。
Cisco Catalyst 6000 24 Port FXS Analog Interface Module
Cisco Catalyst 6000 24 Port FXS Analog Interface Module は、次の機能を備えています。
• 24 ポート RJ-21 FXS モジュール
• V.34/V.90 モデム、ボイス メッセージ システム、IVR、POTS
• Cisco fax relay
• Cisco CallManager との MGCP インターフェイス
Catalyst 6000 24 Port FXS Analog Interface Module は、アナログ電話機、会議室のスピーカフォン、および FAX マシンとの接続用に、24 個の FXS ポートを備えています。また、SMDI を使用してポートをボイス メッセージ内線番号に関連付けることにより、従来のボイス メッセージ システムにも接続できます。
FXS モジュールは、従来のアナログ デバイスを IP ネットワークに接続できるようにします。アナログ デバイスは、トール バイパス アプリケーション用の IP ネットワーク インフラストラクチャを利用し、SCCP IP Phone や H.323 エンド ステーションなどのデバイスと通信できます。FXS モジュールは、IP WAN 上で圧縮 FAX 伝送をできるようにする fax relay もサポートし、他のデータ アプリケーション用に貴重な WAN 帯域幅を保持します。
Cisco Communication Media Module
Catalyst 6500 回線カードである Cisco Communication Media Module(CMM)は、組織が既存の TDM ネットワークを IP 通信ネットワークに接続できるように、T1 ゲートウェイと E1 ゲートウェイを提供します。Cisco CMM は、PSTN への接続も提供します。Cisco CallManager への MGCP インターフェイスを提供する Cisco CMM には、次のインターフェイスおよびサービス モジュールを設定できます。
• PSTN または PBX 接続用には、6 ポート T1 インターフェイス モジュール
• PSTN または PBX 接続用には、6 ポート E1 インターフェイス モジュール
• POTS テレフォニー デバイスの接続用には、24 の FXS インターフェイス モジュール
Cisco Catalyst 4000 Access Gateway Module
Cisco Catalyst 4000 Access Gateway Module は、Cisco CallManager への MGCP または H.323 ゲートウェイ インターフェイスを提供します。このモジュールには、次のインターフェイスおよびサービス モジュールを設定できます。
• FXS および FXO 用の 6 個のポート
• T1-PRI、T1-CAS、または E1-PRI 用の 2 個の T1/E1 ポート
Cisco Catalyst 4224 Access Gateway Switch
Cisco Catalyst 4224 Access Gateway Switch は、小規模な営業所向けのシングルボックス ソリューションを提供します。Catalyst 4224 は、オンボード デジタル シグナル プロセッサ(DSP)リソースを使用して、スイッチング、IP ルーティング、音声ゲートウェイ サービスを提供します。Catalyst 4224 には、マルチフレックス音声と WAN インターフェイス カードで設定できる 4 つのスロットがあり、最大 24 のポートを提供します。これらのポートは、次の音声機能をサポートします。
• POTS テレフォニー デバイス用の FXS ポート
• PSTN 接続用の FXO ポート
• T1 PRI、E1 PRI、および T1 CAS サービス用の T1 ポートまたは E1 ポート
Cisco Catalyst 4224 Access Gateway Switch は、Cisco CallManager への MGCP または H.323 インターフェイスを提供します。
H.323 ゲートウェイ
H.323 デバイスは、H.323 通信標準に準拠し、LAN およびその他のパケット交換網を介したビデオ会議を可能にします。 H.323 をサポートするサード パーティ製 H.323 デバイス、またはその他の Cisco デバイス(たとえば、Cisco 2600 シリーズ、3600 シリーズ、または 5300 シリーズのゲートウェイ)をビデオ会議に追加できます。
Cisco IOS H.323 ゲートウェイ
Cisco IOS H.323 ゲートウェイ(たとえば、Cisco 2600、3600、1750、3810 V3、7200、7500、AS5300、および VG200)は、すべてのルーティング機能を備えています。サポートされている音声ゲートウェイの機能と設定については、ゲートウェイ タイプごとの資料を参照してください。
T.38 Fax Relay
リアルタイム Group 3 FAX ドキュメントをインターネット プロトコル(IP)経由で転送するときは、International Telecommunications Union Telecommunication Standardization Sector(ITU-T)勧告の T.38 Fax Relay が使用されます。T.38 標準は、インターネット対応の T.38 FAX デバイスと T.38 IP FAX ゲートウェイが使用する IP ネットワーク プロトコルを定義します。T.38 Fax Relay for VoIP H.323 機能により、Cisco ゲートウェイや他のベンダーのゲートウェイで、標準ベースの fax relay プロトコルがサポートされます。
T.38 Fax Relay 機能は、複数の Cisco ゲートウェイで使用可能な標準ベースの fax relay プロトコルを提供します。T.38 Fax Relay プロトコルは標準ベースであるため、リアルタイムの fax relay 機能が必要な混合ベンダー ネットワークにおいて、Cisco ゲートウェイおよびゲートキーパーが、サードパーティ製の T.38 対応ゲートウェイおよびゲートキーパーと相互運用できるようになります。
Cisco CallManager は、音声接続を使用して T.38 FAX コールを処理します。発信側ゲートウェイが FAX を送信する場合、ゲートウェイが最初の音声コールを確立します。終端側ゲートウェイが、応答側 FAX マシンの生成する FAX トーンを検出します。VoIP H.323 コールがスタックした後、H.245 手順を使用して T.38 モード要求を開始します。コールの反対側が T.38 モード要求を確認すると、最初のオーディオ チャネルが閉じ、T.38 Fax Relay チャネルが開きます。FAX 転送が完了すると、コールが切断されます。
発信 FastStart コール接続
大規模な WAN トポロジ上で IP Phone から発信されたコールの場合、着信側がオフフックにしてコールに応答すると、音声クリッピングが発生する可能性があります。H.323 トランクまたはゲートウェイが Cisco CallManager サーバから分離している場合、コールのセットアップ時に H.245 メッセージが多数交換されるため、大幅な遅延が発生する可能性があります。
FastStart 機能を使用すると、2 者間でメディア接続を完了するのに必要な情報が、コール セットアップの H.225 部分で交換されます。また、この交換により、H.245 メッセージが不要になります。接続する際は、コールのセットアップ時に 1 回の往復 WAN 遅延が発生します。また、着信側がコールに応答しても、発信側は音声クリッピングを受信しません。
Cisco CallManager は、H.323 発信 FastStart コールを発信するために、Media Termination Point(MTP; メディア終端ポイント)を使用します。Cisco CallManager は、MTP を割り当て、受信チャネルを開くことで、発信 FastStart コールを開始します。次に、H.323 Fast Connect 手順により、FastStart 要素を含む SETUP メッセージが着信側エンドポイントに送信されます。FastStart 要素には、MTP の受信チャネルに関する情報が含まれています。
着信側エンドポイントが H.323 Fast Connect 手順を許可し、FastStart 要素を含む CALL PROCEEDING、PROGRESS、ALERT、または CONNECT メッセージを送信します。Cisco CallManager は、FastStart 要素を受信するとすぐにメディアを接続して、通常の H.245 メッセージ交換で発生する遅延を回避します。
着信側エンドポイントで H.323 Fast Connect 手順を拒否するには、CONNECT メッセージおよびそれ以前のすべてのメッセージで FastStart 要素を返さないようにします。この場合、Cisco CallManager はそのコールを通常コールとして処理し、以後のメディア カットスルーに MTP を使用します。
(注) Fast Connect 手順を使用して T.38 Fax Relay コールを直接確立することはできません。
Outbound FastStart 機能には MTP が必要です。コールのセットアップ時に MTP を使用できない場合、コールは FastStart および補助サービスを使用せずに継続されます。すべてのコールで FastStart だけを使用するには、「Fail call if MTP allocation fails」パラメータを設定します。このパラメータは、Cluster Wide Parameters (Device-H323) の下にあります。このパラメータを True に設定した場合、MTP を使用できないときは、システムがコールを拒否します。
関連項目
『 Cisco CallManager アドミニストレーション ガイド 』の「 H.323 ゲートウェイの設定値」
音声ゲートウェイ モデルの要約
表 36-1 では、 Cisco CallManager がサポートしている Cisco 音声ゲートウェイを要約しています。また、ゲートウェイ コントロール プロトコル、トランク インターフェイス、およびポート タイプについての情報も記載しています。
表 36-1 サポートされている音声ゲートウェイ、プロトコル、トランク インターフェイス、およびポートの要約
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Cisco 1750 |
H.323 (H.225) |
FXS FXO |
POTS ループ スタートまたはグラウンド スタート |
Cisco 1880 |
MGCP |
FXS FXO T1 CAS T1 PRI E1 BRI |
Cisco 3810 V3 |
H.323 (H.225) |
T1 CAS E1 CAS |
T1 CAS E1 CAS |
Cisco 2600 シリーズ |
MGCP、H.323、 または SCCP (MGCP のみ QSIG をサポート) |
FXS FXO T1/E1 PRI T1 CAS QSIG(Cisco 2600 シリーズのゲートウェイすべてが QSIG をサポートしているわけではありません。ゲートウェイのマニュアルを参照してください)。 |
POTS ループ スタートまたはグラウンド スタート T1/E1 PRI E&M T1/E1 PRI MGCP BRI SCCP BRI(269x を含みます) |
Cisco 2811、2821、2851 |
MGCP |
T1 CAS T1 PRI E1 FXS FXO |
ループ スタートまたはグラウンド スタート |
FXS FXO T1/E1 PRI T1 CAS QSIG(Cisco 3600 シリーズのゲートウェイすべてが QSIG をサポートしているわけではありません。ゲートウェイのマニュアルを参照してください)。 |
POTS ループ スタートまたはグラウンド スタート T1/E1 PRI E&M T1/E1 PRI MGCP BRI(364x と 366x のみ) SCCP BRI(3625 と 3645) 2600、3625、および 3645 も SCCP BRI をサポートしています。ただし、MGCP BRI のみを記載しています。 |
Cisco 3725 |
FXS(SCCP モードのみでサポート) FXO T1/E1 PRI T1 CAS QSIG |
POTS ループ スタートまたはグラウンド スタート T1/E1 PRI E&M T1/E1 PRI MGCP BRI(SCCP モードのみでサポート) |
Cisco 3745 |
FXS(SCCP モードのみでサポート) FXO T1/E1 PRI T1 CAS QSIG |
POTS ループ スタートまたはグラウンド スタート T1/E1 PRI E&M T1/E1 PRI MGCP BRI(SCCP モードのみでサポート) |
Cisco 3825、3845 |
MGCP |
FXS FXO T1 CAS T1 PRI |
ループ スタートまたはグラウンド スタート |
Cisco 7200 |
H.323 (H.225) |
T1/E1 CAS T1/E1 PRI |
T1/E1 CAS T1/E1 PRI |
Cisco 7500 |
H.323 (H.225) |
T1/E1 CAS T1/E1 PRI |
T1/E1 CAS T1/E1 PRI |
Cisco AS5300 |
H.323 (H.225) |
T1/E1 CAS T1/E1 PRI |
T1/E1 CAS T1/E1 PRI |
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Cisco Voice Gateway 200 (VG200) |
FXO FXS T1/E1 PRI T1 CAS QSIG |
ループ スタートまたはグラウンド スタート POTS T1/E1 PRI E&M T1/E1 PRI |
Cisco Access Digital Trunk Gateway DE-30+ |
E1 PRI QSIG |
E1 PRI E1 PRI |
Cisco Access Digital Trunk Gateway DT-24+ |
T1 PRI T1 CAS FXO QSIG |
T1 PRI E&M ループ スタートまたはグラウンド スタート T1 PRI |
Cisco Access Analog Trunk Gateway (AT-2、AT-4、AT-8) |
Skinny Gateway Protocol |
FXO |
ループ スタート |
Cisco Access Analog Station Gateway (AS-2、AS-4、AS-8) |
Skinny Gateway Protocol |
FXS |
POTS |
Cisco VG248 Analog Phone Gateway |
Skinny Client Control Protocol |
FXS |
POTS |
Cisco IAD2420 |
MGCP |
FXS FXO T1 PRI T1 CAS QSIG |
POTS ループ スタートまたはグラウンド スタート T1 PRI E&M T1 PRI |
Cisco Catalyst 音声ゲートウェイ モジュール
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Cisco Catalyst 4000 Access Gateway Module(WS-X4604-GW) |
FXS FXO T1 CAS T1/E1 PRI QSIG |
POTS ループ スタートまたはグラウンド スタート E&M T1/E1 PRI T1/E1 PRI |
Cisco Catalyst 4224 Voice Gateway Switch |
FXS FXO T1/E1 PRI T1 CAS QSIG |
POTS ループ スタートまたはグラウンド スタート T1/E1 PRI E&M T1/E1 PRI |
Cisco Catalyst 6000 8-Port Voice T1/E1 and Services モジュール(WS-X6608-T1) (WS-X6608-E1) |
T1/E1 PRI T1 CAS QSIG |
T1/E1 PRI E&M、ループ スタート、グラウンド スタート T1/E1 PRI |
Cisco Catalyst 6000 24-Port FXS Analog Interface モジュール(WS-X6624-FXS) |
MGCP |
FXS |
POTS |
Cisco Communication Media Module (WS-X6600-24FXS) (WS-X6600-6T1) (WS-X6600-6E1) |
MGCP |
FXS T1 PRI T1 CAS E1 PRI |
POTS T1 PRI E&M E1 PRI |