メディア リソースの管理
Cisco Unified Communications 機能では、メディア リソースを使用する必要があります。メディア リソースは、アナンシエータ、トランスコーディング、会議、保留音、メディア ターミネーションなどのサービスを提供します。以前のリリースでは、メディア リソースが登録されているローカル Cisco Unified Communications Manager だけがこれらのリソースにアクセスでき、クラスタ内のすべての Cisco Unified Communications Manager がこれらのリソースを使用できるわけではありませんでした。メディア リソース マネージャを使用すると、クラスタ内のすべての Cisco Unified Communications Manager がこれらのメディア リソースを共有できます。
メディア リソース マネージャは、Cisco Unified Communications Manager の機能を拡張して、Cisco Unified Communications Manager がアナンシエータ、メディア ターミネーション ポイント、トランスコーディング、会議、および保留音のサービスをより簡単に展開できるようにします。クラスタ全体に分散することによってリソースは最大限に活用されるので、リソースの効率と経済性が向上します。
この章の構成は、次のとおりです。
• 「メディア リソース グループおよびメディア リソース グループ リストの設定チェックリスト」
• 「メディア リソースの概要」
• 「信頼済みリレー ポイント」
• 「メディア リソース グループ」
• 「メディア リソース グループ リスト」
• 「依存関係レコード」
• 「参考情報」
メディア リソース グループおよびメディア リソース グループ リストの設定チェックリスト
Cisco Unified Communications Manager メディア リソース グループおよびメディア リソース グループ リストは、ある特定のクラスタ内のリソースを管理する手段を提供します。これらのリソースは、会議、トランスコーディング、メディア ターミネーション、および保留音(MOH)に使用されます。
メディア リソース グループは、メディア サーバが論理グループを構成するよう定義します。必要に応じ、メディア リソース グループを地理上の場所やサイトと関連付けることができます。また、サーバの使用状況やサービスのタイプ(ユニキャストまたはマルチキャスト)を制御するためのメディア リソース グループも、必要に応じて作成できます。
メディア リソース グループ リストは、メディア リソース グループを優先順に並べたリストを指定します。アプリケーションは、メディア リソース リストに定義されている優先順に従って、必要なメディア リソースを使用可能なリソースの中から選択できます。メディア リソース グループ リストは、デバイスに関連付けられていて、メディア リソース グループの冗長化を実現しています。
表 22-1 は、メディア リソース グループおよびメディア リソース グループ リストを設定する際のチェックリストを示しています。詳細については、「参考情報」を参照してください。
表 22-1 メディア リソース グループおよびメディア リソース グループ リストの設定チェックリスト
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ステップ 1 |
メディア リソース グループを作成します。 |
『 Cisco Unified Communications Manager アドミニストレーション ガイド 』の 「メディア リソース グループの設定」 |
ステップ 2 |
メディア リソース グループにデバイスを割り当てます(順序に意味はありません)。 |
『 Cisco Unified Communications Manager アドミニストレーション ガイド 』の 「メディア リソース グループの設定」 |
ステップ 3 |
メディア リソース グループ リストを作成します(順序に意味があります)。 |
『 Cisco Unified Communications Manager アドミニストレーション ガイド 』の 「メディア リソース グループ リストの設定」 |
ステップ 4 |
メディア リソース グループをメディア リソース グループ リストに割り当てます。 |
『 Cisco Unified Communications Manager アドミニストレーション ガイド 』 の 「メディア リソース グループ リストの設定」 |
ステップ 5 |
メディア リソース グループ リストをデバイスまたはデバイス プールに割り当てます。 |
『 Cisco Unified Communications Manager アドミニストレーション ガイド 』の 「デバイス デフォルトの設定」 『 Cisco Unified Communications Manager アドミニストレーション ガイド 』 の 「デバイス プールの設定」 |
メディア リソースの概要
メディア リソース管理では、クラスタ内のすべての Cisco Unified Communications Manager がアクセスできるメディア リソースを提供しています。各 Cisco Unified Communications Manager には、メディア リソース マネージャと呼ばれるソフトウェア コンポーネントが組み込まれています。メディア リソース マネージャは、メディア ストリームが機能を果たすために接続する必要のあるメディア リソースの場所を検索します。
メディア リソース マネージャは、次のメディア リソース タイプを管理します。
• Music On Hold(MOH; 保留音)サーバ
• ユニキャスト会議ブリッジ(CFB)
• Media Termination Point(MTP; メディア ターミネーション ポイント)
• トランスコーダ(XCODE)
• アナンシエータ(ANN)
• Trusted Relay Point(TRP; 信頼済みリレー ポイント)
リソースを共有する理由は、次のとおりです。
• ハードウェアとソフトウェアの両デバイスが Cisco Unified Communications Manager に共存できる。
• Cisco Unified Communications Manager がクラスタ内で使用可能なリソースを共有し、アクセスできる。
• 類似したリソースのグループ内で Cisco Unified Communications Manager の負荷分散が行える。
• Cisco Unified Communications Manager がユーザ プリファレンスに基づいてリソースを割り当てられる。
Cisco Unified Communications Manager が初期化されると、メディア リソース マネージャが作成されます。データベースに定義されているメディア ターミネーション ポイント、保留音、トランスコーダ、会議ブリッジ、およびアナンシエータの各デバイスは、メディア リソース マネージャに登録されます。メディア リソース マネージャは、提供されているデバイスのリストをデータベースから取得し、これらのリソースを追跡するためのテーブルを作成して管理します。メディア リソース マネージャはこのテーブルを使用して、登録されているデバイスを検証します。メディア リソース マネージャは、システム内で使用できるデバイス全体をトラッキングし、また使用可能なリソースがあるデバイスもトラッキングします。
メディア デバイスの登録時に、Cisco Unified Communications Manager はこのデバイスを制御するためのコントローラを作成します。デバイスの検証後、システムはリソースをクラスタ全体に通知します。このメカニズムにより、リソースをクラスタ全体で共有できます。
リソース予約は、検索条件に基づいて行われます。指定された条件により、リソース タイプとメディア リソース グループ リストが決まります。Cisco Unified Communications Manager でリソースが不要になると、リソースの割り当て解除が行われます。割り当てと割り当て解除を行うたびに、Cisco Unified Communications Manager はリソース テーブルを更新して同期をとります。
メディア リソース マネージャは、次の主なコンポーネントと情報交換を行います。
• コール制御
• メディア制御
• メディア ターミネーション ポイント制御
• ユニキャスト ブリッジ制御
• 保留音制御
• アナンシエータ制御
• 信頼済みリレー ポイント
コール制御
コール制御ソフトウェア コンポーネントは、接続の確立や破棄などのコール処理を実行します。コール制御は、機能レイヤと対話して転送、保留、会議などのサービスを提供します。コール制御は、会議コールと保留音を実行する際に必要となるリソースのある場所を見つけるときに、メディア リソース マネージャとのインターフェイスの役割をします。
メディア制御
メディア制御ソフトウェア コンポーネントは、エンドポイントに対するメディア ストリームの作成と破棄を管理します。デバイス間を接続するメディアの要求を受け取ると、エンドポイントのタイプに応じて、メディア制御は適切なインターフェイスを設定してストリームを確立します。
メディア ターミネーション ポイントまたはトランスコーディングを設定する際に必要となるリソースのある場所を見つけるときに、メディア レイヤはメディア リソース マネージャとのインターフェイスの役割をします。
メディア ターミネーション ポイント制御
メディア ターミネーション ポイント(MTP)は、着信 H.245 ストリームから発信 H.245 ストリームへのブリッジ機能を実行します。MTP は、接続されたエンドポイントからのストリーミングが停止したときに、H.323 エンドポイントに対する H.245 セッションを維持します。MTP は、G.711 コーデックおよび G.729 コーデックをサポートしています。MTP は、G.711 a-law から mu-law へのトランスコーディングも実行できます。MTP によって、SIP トランク上で Early Offer、H.323 トランク上で Fast Start も使用可能になります。さらに、MTP が動的に挿入されることで、一般的な DTMF トランスポート メソッドをサポートしていないエンドポイントのための DTMF トランスポート変換が実行されます。
Media Resource Manager(MRM; メディア リソース マネージャ)は、Cisco Unified Communications Manager クラスタ内のトランスコーダのリソース予約を行います。トランスコーダは、ハードウェア ベースでデジタル信号処理(DSP)を使用する別タイプのメディア リソースです。DSP リソースは MTP 機能もサポートしています。Cisco Unified Communications Manager は、MTP とトランスコーダの同時登録をサポートし、単一コール内の MTP とトランスコーダの機能を同時にサポートします。トランスコーダは、あるコーデックによるストリームを取り込み、圧縮タイプを他のタイプにトランスコーディング(変換)します。たとえば、G.711 コーデックのストリームを取り込み、そのストリームを G.729 ストリームにリアルタイムでトランスコーディング(変換)できます。さらに、トランスコーダは MTP 機能も備えているので、必要に応じて H.323 エンドポイントに対して補助サービスを使用可能にする際に使用できます。
Cisco Unified Communications Manager に登録されているそれぞれのメディア ターミネーション ポイント デバイス、およびそれぞれのトランスコーダに、Cisco Unified Communications Manager はメディア ターミネーション ポイント制御プロセスを作成します。このメディア ターミネーション ポイント制御プロセスは、初期化時にデバイス マネージャに登録されます。デバイス マネージャは、メディア ターミネーション ポイント制御プロセスが使用可能かどうかをクラスタ全体に通知します。
アナンシエータ制御
アナンシエータにより、Cisco Unified Communications Manager は前もって記録されたアナウンス(.wav ファイル)およびトーンを Cisco Unified IP Phone、ゲートウェイ、およびその他の設定可能なデバイスに対して再生することができます。アナンシエータは、Cisco Unified Communications Manager Multilevel Precedence and Preemption(MLPP)と連携して動作し、Cisco Unified Communications Manager から発信者にコールの失敗理由についてアラートを出せるようになります。また、アナンシエータは一部の転送されたコールおよび会議用のトーンを再生することもできます。
Cisco Unified Communications Manager に登録されているアナンシエータごとに、Cisco Unified Communications Manager はアナンシエータ制御プロセスを作成します。このアナンシエータ制御プロセスは、初期化時にデバイス マネージャに登録されます。デバイス マネージャは、アナンシエータ制御プロセスが使用可能かどうかをクラスタ全体に通知します。
ユニキャスト ブリッジ制御
ユニキャスト ブリッジ(CFB)は、一般的には会議ブリッジと呼ばれ、着信ユニキャスト ストリームを混合して複合出力ストリームにする機能を実行します。ユニキャスト ブリッジは、アドホック会議とミートミー会議を Cisco Unified Communications Manager に実装するためのリソースを提供します。
Cisco Unified Communications Manager に登録されているユニキャスト ブリッジ デバイスごとに、Cisco Unified Communications Manager はユニキャスト制御プロセスを作成します。このユニキャスト制御プロセスは、初期化時にデバイス マネージャに登録されます。デバイス マネージャは、ユニキャスト ストリーム リソースが使用可能かどうかをクラスタ全体に通知します。
保留音制御
保留音(MOH)は、保留中の通話者をオーディオ サーバにリダイレクトする機能です。Cisco Unified Communications Manager に登録されている保留音サーバ デバイスごとに、Cisco Unified Communications Manager は保留音制御プロセスを作成します。この保留音制御プロセスは、初期化時にデバイス マネージャに登録されます。デバイス マネージャは、保留音リソースが使用可能かどうかをクラスタ全体に通知します。保留音は、ユニキャストとマルチキャストの両方のオーディオ ソースをサポートします。
追加情報
「参考情報」を参照してください。
信頼済みリレー ポイント
Cisco Unified Communications システムは、ネットワーク仮想環境に配置することができます。Cisco Unified Communications Manager では、信頼済みリレー ポイント(TRP)を挿入できます。仮想ネットワーク内に VoIP を展開する場合、最初のステップとなるのは、メディア パスへの TRP の挿入です。
基盤となるネットワーク インフラストラクチャは、ネットワーク設計の全般にわたって、主要な共有設備の 1 つになります。お客様の使用環境でネットワーク インフラストラクチャ仮想化のサポートが必要となる状況は、数多くあります。たとえば、次のような場合です。
• インターネットへのゲスト アクセス
• パートナー アクセス
• 部署または部門の分割
• 子会社化、企業統合、および企業買収
• アプリケーションの分離(データと音声)
これらに対応するアプリケーションでは、ネットワーク デバイス間およびネットワーク デバイス上で、トラフィックが持続的に分離されることが要件になります。
トラフィックの分割は、Virtual Routing and Forwarding(VRF; 仮想ルーティングおよび転送)などの概念に置き換えることができます。VRF では、複数のルーティング テーブル インスタンスが同一のルータ上に共存できます。仮想ネットワークの場合、これらの各ルーティング ドメイン(つまり VRF)は、通常はデータセンターを経由せずに直接通信できません。これは、Cisco Unified Communications などのアプリケーションにとっては難しい状況です。データ VRF ドメイン内のデバイス、たとえば PC 上で動作しているソフトウェア エンドポイントが、データセンター内のメディアをヘアピニングしたり、音声 VRF およびデータ VRF を互いに直接公開したりすることなく、音声 VRF ドメイン内のハードウェア電話機と直接通信する必要があります。
この項の構成は、次のとおりです。
• 「サービス品質の適用」
• 「信頼済みリレー ポイントのサービス パラメータ」
• 「Cisco Unified Communications Manager での TRP の挿入」
追加情報
「参考情報」を参照してください。
サービス品質の適用
シスコの音声ネットワークでは、Cisco Discovery Protocol(CDP)を使用している Cisco Unified IP Phone をスイッチが検出します。スイッチは、Cisco Unified IP Phone から送信されるパケットの DiffServ コード ポイント(DSCP)マーキングを信頼します。CDP はセキュアではなく、PC から簡単に複製できるため、通常、スイッチは PC から到達するトラフィックを信頼しません。Cisco Unified Communications Manager が承認したトラフィックだけを DSCP でマーキングすることは事実上不可能なため、PC から到達するパケットは、Best Effort に再マーキングされます。
この問題を解決するため、Cisco Unified Communications Manager は、PC 上で動作しているソフトフォンの前面に信頼済みリレー ポイント(TRP)を挿入し、エンドポイントからのメディア ストリームが TRP を強制的に通過できるようにします。TRP は、Cisco Unified Communications Manager からの指示に従って DSCP を再マーキングします。スイッチは、TRP から送信されるメディア パケットを優先し、信頼します。図 22-1 に、TRP を使用してサービス品質(QoS)を適用する方法を示します。
図 22-1 TRP による QoS の適用
追加情報
「参考情報」を参照してください。
信頼済みリレー ポイントのサービス パラメータ
Cisco Unified Communications Manager は、信頼済みリレー ポイントについて、次のサービス パラメータを使用します。
• Fail Call If Trusted Relay Point Allocation Fails
このサービス パラメータは [Clusterwide Parameters (System - General)] セクションにあり、使用可能な信頼済みリレー ポイント(TRP)リソースがない場合に、TRP を必要とするコールの処理を許可するかどうかを決定します。有効な値は、True(使用可能な TRP リソースがない場合、コールは失敗する)または False(使用可能な TRP リソースがない場合もコールを処理する)です。
管理者は、システムが TRP をどのように使用しているかに基づいて、システムで最適となる値を選択する必要があります。サービス品質(QoS)の適用に TRP が使用されている場合、Cisco Unified Communications Manager では、TRP リソースが使用不可であってもコールを確立できます。ただし、コールに適切な DiffServ コード ポイント(DSCP)マーキングが付加されません。
追加情報
「参考情報」を参照してください。
Cisco Unified Communications Manager での TRP の挿入
Cisco Unified Communications Manager から見た場合、信頼済みリレー ポイント(TRP)は、TRP を必要とするエンドポイント デバイスの常に直近に配置されます。次に、TRP の挿入に関する要件の概要を示します。
• 管理者は、[共通デバイス設定(Common Device Configuration)] ウィンドウの [信頼できるリレーポイントを使用(Use Trusted Relay Point)] チェックボックスを設定します。メディアの終端となるすべてのデバイスの設定ウィンドウで、[信頼できるリレーポイントを使用(Use Trusted Relay Point)] ドロップダウン リストを [オン(On)]、[オフ(Off)]、[デフォルト(Default)] のいずれかに設定して、TRP をどの時点で挿入するかを Cisco Unified Communications Manager に指示します。
• 管理者は、[メディアターミネーションポイントの設定(Media Termination Point Configuration)] ウィンドウおよび [トランスコーダの設定(Transcoder Configuration)] ウィンドウで [信頼できるリレーポイント(Trusted Relay Point)] チェックボックスを設定します。管理者が個々のデバイスを設定するときに、このチェックボックスをオンにした場合、Cisco Unified Communications Manager はデバイスが TRP として使用可能であると認識します。管理者は、デバイスを Cisco Unified Communications Manager で TRP として設定する場合、TRP とコールに関係するエンドポイントとの間に、適切なネットワーク接続およびネットワーク構成を配置する必要があります。TRP が呼び出されたときに必要な接続が存在しない場合、オーディオ コールまたはビデオ コールは確立されません。
• サービス パラメータ Fail Call If Trusted Relay Point Allocation Fails が適用されます。詳細については、「信頼済みリレー ポイントのサービス パラメータ」を参照してください。
• エンドポイント、またはデバイスに関連付けられているデバイス プールのいずれかで [信頼できるリレーポイント(Use Trusted Relay Point)] チェックボックスがオンになっている場合は、Cisco Unified Communications Manager がそのエンドポイント用の TRP を挿入する必要があります。Cisco Unified Communications Manager が TRP の割り当てに失敗し、Fail Call If Trusted Relay Point Allocation Fails サービス パラメータが True に設定されている場合、コールは失敗します。
• エンドポイントの [メディアターミネーションポイントが必須(Media Termination Point Required)] チェックボックスおよび [信頼できるリレーポイントを使用(Use Trusted Relay Point)] チェックボックスがいずれもオンになっている場合、Cisco Unified Communications Manager は、TRP を兼ねている MTP を割り当てます。次の表に、このような MTP/TRP を管理者が割り当てていない場合のコール ステータスを示します。コールのステータスには、Fail Call If Trusted Relay Point Allocation Fails サービス パラメータおよび Fail Call if MTP Allocation Fails サービス パラメータの値も影響します。
Fail Call If TRP Allocation Fails
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Fail Call If MTP Allocation Fails
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True |
True |
はい |
True |
False |
はい |
False |
True |
はい(H.323 エンドポイントで MTP が必要な場合)いいえ(SIP エンドポイントで MTP が必要な場合) |
False |
False |
いいえ |
• コールで RSVP が有効になっている場合、Cisco Unified Communications Manager は TRP を兼ねている RSVPAgent を最初に割り当てようとします。このような TRP がない場合は、別の TRP デバイスが RSVPAgent とエンドポイントの間に挿入されます。
• コールでトランスコーダが必要になり、TRP を必要とするエンドポイントと同じ側に割り当てる必要がある場合、Cisco Unified Communications Manager は TRP を兼ねているトランスコーダを最初に割り当てようとします。このような TRP がない場合は、別の TRP デバイスがトランスコーダとエンドポイントの間に挿入されます。
• 次の表に、Fail Call If Trusted Relay Point Allocation Fails サービス パラメータおよび Fail Call If MTP Allocation Fails サービス パラメータがいずれも False に設定されている場合のコールの動作を示します。動作に関係するのは、[メディアターミネーションポイントが必須(Media Termination Point Required)] と [信頼できるリレーポイントを使用(Use Trusted Relay Point)] の設定、およびリソース割り当てのステータスです。
[メディアターミネーションポイントが必須(Media Termination Point Required)]
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[信頼できるリレーポイントを使用(Use Trusted Relay Point]
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はい |
はい |
TRP 割り当て済み |
パススルーのサポートが存在しないため、オーディオ コールのみ。 |
はい |
はいまたはいいえ |
MTP のみ |
オーディオ コールのみ。TRP のサポートはありません。 |
はい |
はいまたはいいえ |
割り当てなし |
H.323 エンドポイントで [メディアターミネーションポイントが必須(Media Termination Point Required)] チェックボックスがオンになっている場合、補助サービスは無効になります。 |
いいえ |
はい |
TRP 割り当て済み |
エンドポイントの機能に応じて、オーディオ コールまたはビデオ コール、およびコール アドミッション制御(CAC)。補助サービスも機能します。 |
いいえ |
はい |
割り当てなし |
オーディオ コールまたはビデオ コール。補助サービスも機能しますが、TRP のサポートはありません。 |
• ほとんどの場合、TRP はユーザがコールに応答した後に割り当てられます。したがって、TRP が割り当てられていないためにコールが失敗した場合、ユーザがコールに応答すると速いビジー トーンが聞こえます(MTP を必須とした SIP 発信レッグ、および H.323 発信 FastStart は例外です)。
追加情報
「参考情報」を参照してください。
メディア リソース グループ
Cisco Unified Communications Manager メディア リソース グループおよびメディア リソース グループ リストは、ある特定のクラスタ内のリソースを管理する手段を提供します。これらのリソースは、会議、トランスコーディング、メディア ターミネーション、および保留音(MOH)に使用されます。
メディア リソース グループは、メディア サーバが論理グループを構成するよう定義します。必要に応じ、メディア リソース グループを地理上の場所やサイトと関連付けることができます。また、サーバの使用状況やサービスのタイプ(ユニキャストまたはマルチキャスト)を制御するためのメディア リソース グループも、必要に応じて作成できます。
メディア リソースを設定した後でメディア リソース グループを定義しない場合、メディア リソースはすべてデフォルト グループに属することになるため、ある特定クラスタ内にあるすべての Cisco Unified Communications Manager はすべてのメディア リソースで使用できます。
ヒント Cisco IP Voice Media Streaming Application を無効化すると、メディア リソース グループから関連デバイス(アナンシエータ、会議ブリッジ、保留音、およびメディア ターミネーション ポイント)が削除されます。削除によってメディア リソース グループが空になると、サービスを無効にすることができません。この場合、サービスを無効化する前に、メディア リソース グループを削除する必要があります。
メディア リソース グループ リスト内のメディア リソース グループからリソースを選択する際には、次の規則が適用されます。
• メディア リソース グループ リストの最初にあるメディア リソース グループを検索して、要求されたリソースを探す。見つかった場合は、リソース ID を戻す。
• 要求されたリソースが見つからなかった場合は、メディア リソース グループ リスト内で次にあるメディア リソース グループを検索する。一致が見つかった場合は、リソース ID を戻す。
• メディア リソース グループ リスト内のどのメディア リソース グループにも要求されたタイプのリソースがない場合、リソース マネージャはデフォルト グループ内のリソースの使用を試みる。
例
デフォルトの Cisco Unified Communications Manager メディア リソース グループは、次のメディア リソースから構成されています。MOH1、MTP1、XCODE1、XCODE2、および XCODE3 です。トランスコーダを必要とするコールの場合、この Cisco Unified Communications Manager はデフォルト メディア リソース グループ内のトランスコーダ間で負荷を均等に振り分けます。トランスコーダを必要とする着信コールに対しては、次の順序で割り当てが行われます。
追加情報
「参考情報」を参照してください。
メディア リソース グループ リスト
メディア リソース グループ リストは、メディア リソース グループを優先順に並べたリストを指定します。アプリケーションは、メディア リソース リストに定義されている優先順に従って、必要なメディア リソースを使用可能なリソースの中から選択できます。メディア リソース グループ リストは、デバイスに関連付けられていて、メディア リソース グループの冗長化を実現しています。
メディア リソース グループ リストの選択には、次の規則が適用されます。
• メディア リソース グループ リストは、[メディアリソースグループリストの設定(Media Resource Group List Configuration)] ウィンドウ内で設定され、デバイスまたはデバイス プールのどちらかに割り当てられる。
• コール処理は、メディア リソース グループ リストが選択されている場合に限り、メディア リソース グループ リストをデバイス レベルで使用する。リソースが見つからない場合、コール処理はデフォルトの割り当てからリソースを取得できる。
• メディア リソース グループ リストがデバイス レベルで選択されていない場合だけ、コール処理はデバイス プール内のメディア リソース グループ リストを使用する。リソースが見つからない場合、コール処理はデフォルトの割り当てからリソースを取得できる。
メディア リソース グループ リストを使用してリソースをタイプ別にグループ化する例
次のリストのとおりに、すべてのリソースを 3 つのメディア リソース グループに割り当てます。
• SoftwareGroup メディア リソース グループ:MTP1、MTP2、SW-CONF1、SW-CONF2
• HardwareGroup メディア リソース グループ:XCODE1、XCODE2、HW-CONF1、HW-CONF2
• MusicGroup メディア リソース グループ:MOH1、MOH2
RESOURCE_LIST という名前のメディア リソース グループ リストを作成し、SoftwareGroup、HardwareGroup、MusicGroup という順でメディア リソース グループを割り当てます。
結果:この配置では、会議が必要になると Cisco Unified Communications Manager はソフトウェア会議リソースを最初に割り当てられるため、ハードウェア会議はすべてのソフトウェア会議リソースが枯渇するまで使用されません。
メディア リソース グループ リストを使用してリソースをロケーション別にグループ化する例
次のリストのとおりに、リソースを 4 つのメディア リソース グループに割り当てます。
• DallasSoftware:MTP1、MOH1、SW-CONF1
• SanJoseSoftware:MTP2、MOH2、SW-CONF2
• DallasHardware:XCODE1、HW-CONF1
• SanJoseHardware:XCODE2、HW-CONF2
CM1 と CM2 は、Cisco Unified Communications Manager を指定します。
DALLAS_LIST メディア リソース グループ リストを作成し、メディア リソース グループを DallasSoftware、DallasHardware、SanJoseSoftware、SanJoseHardware の順番で割り当てます。
SANJOSE_LIST メディア リソース グループ リストを作成し、メディア リソース グループを SanJoseSoftware、SanJoseHardware、DallasSoftware、DallasHardware の順番で割り当てます。
Dallas CM1 の電話機に DALLAS_LIST の使用を割り当て、San Jose CM2 の電話機に SANJOSE_LIST の使用を割り当てます。
結果:この配置では、CM1 の電話機は SANJOSE_LIST のリソースを使用する前に DALLAS_LIST のリソースを使用します。
メディア リソース グループ リストを使用して会議リソースへのアクセスを制限する例
デフォルト グループにリソースを残さずに、リストのとおりすべてのリソースを 4 つのグループに割り当てます。
• MtpGroup:MTP1、MTP2
• ConfGroup:SW-CONF1、SW-CONF2、HW-CONF1、HW-CONF2
• MusicGroup:MOH1、MOH2
• XcodeGroup:XCODE1、XCODE2
NO_CONF_LIST という名前のメディア リソース グループ リストを作成し、メディア リソース グループを MtpGroup、XcodeGroup、MusicGroup の順番で割り当てます。
デバイス設定では、デバイスのメディア リソース グループ リストとして NO_CONF_LIST を割り当てます。
結果:このデバイスは、会議リソースを使用できません。つまり、このデバイスに利用可能なリソースは、メディア ターミネーション ポイント、トランスコーダ、アナンシエータ、および音楽の各リソースに限られます。
追加情報
「参考情報」を参照してください。
依存関係レコード
どのメディア リソース グループ リストがメディア リソース グループに関連付けられているかを検索するには、Cisco Unified Communications Manager の管理ページの [メディアリソースグループの設定(Media Resource Group Configuration)] ウィンドウにある [依存関係レコード(Dependency Records)] リンクをクリックします。メディア リソース グループ リストについて詳細な情報を検索するには、レコード タイプをクリックして [依存関係レコード詳細(Dependency Records Detail)] ウィンドウを表示します。
どの電話機またはトランクがメディア リソース グループ リストに関連付けられているかを検索するには、Cisco Unified Communications Manager の管理ページの [メディアリソースグループリストの設定(Media Resource Group List Configuration)] ウィンドウにある [依存関係レコード(Dependency Records)] リンクをクリックします。
依存関係レコードがシステムで有効にされていない場合は、[依存関係レコード要約(Dependency Records Summary)] ウィンドウにメッセージが表示されます。
依存関係レコードの詳細については、『 Cisco Unified Communications Manager アドミニストレーション ガイド 』の 「依存関係レコード」 を参照してください。
追加情報
「参考情報」を参照してください。