SIP と Cisco Unified Communications Manager
どのプロトコルを使用する場合も、コールを受信および発信するためには、シグナリング インターフェイス(トランク)またはゲートウェイのいずれかを作成する必要があります。SIP に関しては、SIP トランクを設定する必要があります。詳細については、『 Cisco Unified Communications Manager アドミニストレーション ガイド 』の 「トランクの設定」 を参照してください。
SIP トランクは、Cisco Unified Communications Manager ネットワークを SIP プロキシ サーバが提供する SIP ネットワークに接続します(図 40-1 を参照)。他のプロトコルと同様に、SIP コンポーネントは Cisco Unified Communications Manager アーキテクチャのデバイス層に適合します。H.323 プロトコルの場合、複数の論理 SIP トランクを Cisco Unified Communications Manager データベースに設定し、ルート グループ、ルート リスト、およびルート パターンに関連付けることができます。1 つの論理 SIP インターフェイスに障害が発生した場合に冗長性を提供できるように、他の論理 SIP インターフェイスは同一のルート グループ リストにサービスを提供します。複数の Cisco Unified Communications Manager ノードを SIP トランク デバイス プールに割り当てると、冗長性も実現できます。
SIP トランクはすべてのノードで同時に実行でき、Cisco Unified Communications Manager は指定されたノードにアクセスできる使用可能な SIP トランクからランダムに選択できます。システムは、長期間平均して、コア クラスタ内の 16 のノードすべてが均等に使用されるようにします。これにより、システム リソースがアイドル状態のノードがある一方で、持続不可能なコール負荷を処理するノードがあるという状況が生じません。
(注) SIP ICT での外部番号への折返しはサポートされていません。
図 40-1 SIP と Cisco Unified Communications Manager の相互対話
SIP トランクは、複数ポート ベースのルーティングをサポートしています。Cisco Unified Communications Manager の複数の SIP トランクがポート 5060(デフォルト)を使用でき、このデフォルトは、[SIP トランク セキュリティ プロファイルの設定(SIP Trunk Security Profile Configuration)] ウィンドウから設定できます。TCP/UDP では、SIP トランクはリモート ホストおよびローカル リスニング ポートを使用してルーティングを行います(リモート ホストは、IP、FQDN、または SRV で構成できます)。TLS では、SIP トランクは、X.509 の件名を使用してルーティングを行います。
SIP トランクの場合、Cisco Unified Communications Manager は、設定された SIP トランクの宛先アドレスと IP アドレスが一致する SIP デバイスからのコールのみを受け入れます。また、SIP メッセージが着信するポートは、SIP トランク上で設定されたポートと一致している必要があります。コールが受け入れられると、Cisco Unified Communications Manager は SIP プロファイル設定の [着信要求を新規トランクへと再ルーティングする基準(Reroute Incoming Request to new Trunk based on)] の設定値(コールが着信する SIP トランク上に設定されている)を使用して、コールを別の SIP トランクに再ルーティングするかどうかを決定します。この設定値に応じて、Cisco Unified Communications Manager は次のいずれかのタスクを実行します。
• 別の SIP トランクに再ルーティングしない。
• contact ヘッダーにある IP アドレスまたはドメイン名とポート番号を解析し、その情報がいずれかの SIP トランクと一致するかどうかを確認する。SIP トランクが見つかった場合は、コールを再ルーティングします。SIP トランクが見つからない場合は、コールが着信した SIP トランクがコールを処理します。
• Call-Info ヘッダーの IP アドレスまたはドメイン名とポート番号を解析し、パラメータ purpose=x-cisco-origIP を探し、IP アドレスとポートがいずれかの SIP トランクに一致するかどうかを確認する。SIP トランクが見つかった場合は、コールを再ルーティングします。SIP トランクが見つからない場合、またはこのパラメータが Call-Info ヘッダー内に存在しない場合は、コールが着信した SIP トランクがコールを処理します。
メディア ターミネーション ポイント(MTP)デバイス
Cisco Unified Communications Manager SIP デバイス(回線およびトランク)が常に MTP を使用するように設定できます。MTP を使用しないように設定パラメータが設定されている場合(デフォルトの場合)、Cisco Unified Communications Manager は、コールの DTMF 方式に互換性がなければ、動的に MTP を割り当てようとします。たとえば、SCCP を実行する電話機はアウトオブバンドの DTMF だけをサポートし、SIP を使用する Cisco Unified IP Phone(7905、7912、7940、7960)は RFC2833 だけをサポートしています。DTMF 方式が同一でないため、Cisco Unified Communications Manager は MTP を動的に割り当てます。しかし、RFC2833 とアウトオブバンドをサポートし、SCCP を実行する電話機(Cisco Unified IP Phone 7971 など)が SIP を使用する Cisco Unified IP Phone 7940 にコールした場合、Cisco Unified Communications Manager は、両方の電話機が RFC2833 をサポートしているので、MTP を割り当てません。それぞれの電話機で同じタイプの DTMF 方式がサポートされているので、MTP は不要です。
(注) Cisco Unified Communications Manager には SIP IP Phone 用に [メディアターミネーションポイントが必須(Media Termination Point Required)] チェックボックスが用意されていますが、SIP を実行する Cisco Unified IP Phone に対してこのチェックボックスをオンにしないでください(このチェックボックスは、サードパーティの汎用 SIP IP Phone だけに使用してください)。このチェックボックスをオンにすると、シェアドラインなど、Cisco Unified Communications Manager の機能に問題が発生することがあります。このチェックボックスがオフである場合でも、Cisco Unified Communications Manager は必要に応じて動的に MTP を挿入します。したがって、Cisco Unified IP Phone に対して [メディアターミネーションポイントが必須(Media Termination Point Required)] チェックボックスをオンにする利点はほとんどあるいはまったくありません。
メディア ターミネーション ポイントが必須(Media Termination Point Required)オプションが有効である SIP デバイスのリージョン(リージョンの関係)の設定
リージョンの関係を設定する場合は、コールに使用されるすべてのデバイスにとって十分な帯域幅のオーディオ コーデックを選択する必要があります。これには、同じリージョンのデバイスおよび別のリージョンのデバイスに対するコーデックの設定が含まれます。SIP を使用するようにトランクまたはサードパーティの電話機を設定し、[メディアターミネーションポイントが必須(Media Termination Point Required)] が有効である場合、Cisco Unified Communications Manager の管理ページの [MTP優先発信コーデック(MTP Preferred Originating Codec)] フィールドでは G.711 コーデックしか選択できません。[メディアターミネーションポイントが必須(Media Termination Point Required)] オプションが有効な SIP トランクまたは SIP を実行するサードパーティ電話機をそのリージョンのデバイス プールに割り当てる場合は、SIP デバイスと MTP デバイスの間のリージョンの関係が、G.711 と同じまたはより広い帯域幅のコーデック(G.711 コーデックまたはワイドバンド/AAC コーデック)を使用するように設定されていることを確認する必要があります。
SIP サービス パラメータ
SIP タイマーとカウンタは、異なるサーバの機能に応じて個別に設定できます。サービス パラメータの設定方法の詳細については、『 Cisco Unified Communications Manager アドミニストレーション ガイド 』の 「サービス パラメータの設定」 を参照してください。
SIP の相互運用性
SIP Interoperability Enabled サービス パラメータは Cisco CallManager サービスをサポートしますが、このパラメータによって、SIP ステーションおよび SIP トランクの Session Initiation Protocol(SIP; セッション開始プロトコル)を Cisco Unified Communications Manager がサポートするかどうかが決まります。電話機やトランクなど、SIP を実行するデバイスには、このパラメータを [True] に設定する必要があります。このパラメータを [False] に設定すると、Cisco Unified Communications Manager は SIP メッセージを無視し、SIP デバイスは機能しません。つまり、SIP を実行する電話機が Cisco Unified Communications Manager に登録できず、SIP トランクが Cisco Unified Communications Manager とやり取りできません。デフォルト値は [True] です。このパラメータの値を変更した場合は、Cisco CallManager サービスを再起動する必要があります。
SIP タイマーとカウンタ
SIP タイマーとカウンタは、設定可能なサービス パラメータとして機能します。次の表では、各種の SIP タイマーとカウンタについて説明し、それぞれのデフォルト値と範囲値を示します。
表 40-1 Cisco Unified Communications Manager がサポートする SIP タイマー
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Trying |
500 ミリ秒 |
100 ~ 1000 |
Cisco Unified Communications Manager が INVITE を再転送するまで、100 応答を待機する時間。 |
Connect |
500 ミリ秒 |
100 ~ 1000 |
Cisco Unified Communications Manager が 2xx 応答を INVITE に再転送するまで、ACK 応答を待機する時間。 |
Disconnect |
500 ミリ秒 |
100 ~ 1000 |
Cisco Unified Communications Manager が BYE 要求を再転送するまで、2xx 応答を待機する時間。 |
Expires |
180000 ミリ秒 |
60000 ~ 300000 |
INVITE 要求に与えられた有効時間。 |
rel1xx |
500 ミリ秒 |
100 ~ 1000 |
Cisco Unified Communications Manager が reliable1xx 応答を再転送するまで待機する時間。 |
PRACK |
500 ミリ秒 |
100 ~ 1000 |
Cisco Unified Communications Manager が PRACK 要求を再転送するまで待機する時間。 |
PUBLISH |
500 ミリ秒 |
100 ~ 1000 |
このパラメータには、Cisco Unified Communications Manager が PUBLISH 要求を再送信するまでの最長待機時間をミリ秒単位で指定します。応答を受信しないまま、このタイマーで指定した期間が経過した場合、Cisco Unified Communications Manager はこのタイマーが時間切れになった時点で要求を再送信します。 |
(注) SIP デバイスが TCP 転送を使用しているときにタイマーがタイムアウトすると、SIP デバイスは再転送を行いません。デバイスの再試行は、TCP に依存します。
表 40-2 Cisco Unified Communications Manager がサポートする SIP 再試行カウンタ
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INVITE |
6 |
1 ~ 10 |
INVITE の再試行回数。 |
Response |
6 |
1 ~ 10 |
RESPONSE の再試行回数。 |
BYE |
10 |
1 ~ 10 |
BYE の再試行回数。 |
Cancel |
10 |
1 ~ 10 |
Cancel の再試行回数。 |
PRACK |
6 |
1 ~ 10 |
PRACK の再試行回数。 |
Rel1xx |
10 |
1 ~ 10 |
Reliable 1xx 応答の再試行回数。 |
PUBLISH |
6 |
1 ~ 10 |
このパラメータには、Cisco Unified Communications Manager が PUBLISH メッセージを再送信する回数を指定します。 |
サポートされるオーディオ メディア タイプ
次の表は、サポートされている各種オーディオ メディア タイプの説明です。
表 40-3 サポートされるオーディオ メディア タイプ
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G.711 u-law |
PCMU |
0 |
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GSM Full-rate |
GSM |
3 |
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G.723.1 |
G723 |
4 |
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G.711 A-law |
PCMA |
8 |
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G.722 |
G722 |
9 |
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G.728 |
G728 |
15 |
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G.729 |
G729 |
18 |
annex A と B のすべての組み合わせをサポート |
RFC2833 DTMF |
テレフォニー イベント |
動的に割り当て |
利用可能な範囲は 96 ~ 127 |
AAC |
mpeg4-generic |
動的に割り当て |
利用可能な範囲は 96 ~ 127 |
ILBC |
iLBC |
動的に割り当て |
利用可能な範囲は 96 ~ 127 |
サポートされるビデオ メディア タイプ
次の表は、サポートされている各種ビデオ メディア タイプの説明です。
表 40-4 サポートされるビデオ メディア タイプ
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H.261 |
H261 |
31 |
H.263 |
H263 |
34 |
H.263+ |
H263-1998 |
利用可能な範囲は 96 ~ 127 |
H.263++ |
H263-2000 |
利用可能な範囲は 96 ~ 127 |
H.264 |
H264 |
利用可能な範囲は 96 ~ 127 |
サポートされるアプリケーション メディア タイプ
次の表は、サポートされているアプリケーション メディア タイプの説明です。
表 40-5 サポートされるアプリケーション メディア タイプ
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H.224 FECC |
H224 |
利用可能な範囲は 96 ~ 127 |
サポートされる T38fax ペイロード タイプ
次の表は、サポートされているペイロード タイプの説明です。
表 40-6 サポートされる T38fax ペイロード タイプ
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T38fax |
該当なし |
適用外 |
トランクの SIP プロファイル
SIP トランクと SIP エンドポイントは、SIP プロファイルを使用します。SIP トランクは、SIP プロファイルを使用して [デフォルトMTPテレフォニーイベントペイロードタイプ(Default MTP Telephony Event Payload Type)]、[180で早期メディアを無効化(Disable Early Media on 180)]、および [着信要求を新規トランクへと再ルーティングする基準(Reroute Incoming Request to new Trunk based on)] 設定値を定義します。SIP プロファイルの詳細については、「エンドポイントの SIP プロファイル」および『 Cisco Unified Communications Manager アドミニストレーション ガイド 』の 「SIP プロファイルの設定」 を参照してください。
SIP トランク セキュリティ プロファイル
Cisco Unified Communications Manager の管理ページでは、SIP トランクのセキュリティ関連設定をグループ化し、単一のセキュリティ プロファイルとして複数の SIP トランクに割り当てることができます。セキュリティに関連する設定には、デバイス セキュリティ モード、ダイジェスト認証、および着信/発信転送タイプの設定があります。設定した値を SIP トランクに適用するには、[トランクの設定(Trunk Configuration)] ウィンドウでセキュリティ プロファイルを選択します。詳細については、『 Cisco Unified Communications Manager セキュリティ ガイド 』を参照してください。
SIP UDP ポート スロットリング
SIP UDP Port Throttle Threshold を使用すると、SIP トランクおよび SIP ステーションからの DoS(サービス拒絶)攻撃を防止するのに役立ちます。SIP ステーションや SIP トランクの UDP ポートの着信パケット レートが、設定されたしきい値を超えると、しきい値を超えたパケットが Cisco Unified Communications Manager でスロットリング(破棄)されます。これらのスロットルのしきい値は、SIP UDP ポートのみに適用され、SIP TCP ポートや TLS ポートには影響しません。
ヒント これらのパラメータ値を有効にするには、エンタープライズ パラメータ Denial-of-Service Protection Flag を [True] に設定する必要があります。
表 7 に、このしきい値に設定可能な値を示します。
表 7 SIP UDP ポート スロットリングのしきい値
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SIP Station UDP Port Throttle Threshold |
50 |
10 ~ 500 |
SIP Station UDP Port Throttle Threshold パラメータは、SIP ステーションの UDP ポート宛ての 1 つ(一意)の IP アドレスから Cisco Unified Communications Manager が 1 秒間に受信可能な最大着信パケット数を定義します。 しきい値を超えると、Cisco Unified Communications Manager はしきい値を超えたパケットをスロットリング(破棄)します。 |
SIP Trunk UDP Port Throttle Threshold |
200 |
10 ~ 500 |
SIP Trunk UDP Port Throttle Threshold は、SIP トランクの UDP ポート宛ての 1 つ(一意)の IP アドレスから SIP トランクが 1 秒間に受信できる最大着信パケット数を定義します。 しきい値を超えると、Cisco Unified Communications Manager はしきい値を超えたパケットをスロットリング(破棄)します。 |
ヒント 通常のトラフィック時に、SIP トランクの UDP ポートで 1 つの IP アドレスから着信したパケットのレートが SIP Trunk UDP Port Throttle Threshold の設定値を超えた場合は、しきい値を設定し直します。SIP トランクと SIP ステーションが同じ着信 UDP ポートを共有している場合、2 つのサービス パラメータ値の大きいほうの値に基づいて Cisco Unified Communications Manager はパケットのスロットリングを行います。これらのパラメータの変更を適用するには、Cisco CallManager サービスを再起動する必要があります。
Cisco Unified CallManager と Cisco Unified Communications Manager の各リリース間の SIP トランク
Cisco Unified Communications Manager リリース 6.0 以降および Cisco Unified CallManager リリース 4.0 以降(5.x を含む)は、SIP トランクで使用される場合、転送タイプとして TCP および UDP をサポートしています。ただし、リリース 4.x は SIP コールごとに TCP 接続を 1 つ使用します。リリース 5.x および 6.x 以降では、複数の SIP コールに同一の TCP 接続で対応できます(これは TCP 接続の再利用と呼ばれます)。
次のシスコ製品は TCP をサポートしていますが、すべてが TCP の再利用をサポートしているわけではありません(詳細については、 表 40-8 を参照してください)。
• Cisco Unified CallManager リリース 4.1:TCP 接続の再利用は不可
• Cisco Unified CallManager リリース 4.2:TCP 接続の再利用は不可
• Cisco Unified CallManager リリース 5.0(2):TCP 接続の再利用が可能
• Cisco Unified CallManager リリース 5.1(x):TCP 接続の再利用が可能
• Cisco Unified Communications Manager リリース 6.0(x) 以降:TCP 接続の再利用が可能
• Cisco IOS 12.3(8)T 以降:TCP の再利用が可能
• Cisco IOS 12.3(8)T より前:TCP の再利用は不可
表 40-8 に、Cisco Unified Communications Manager の各リリースおよび IOS ゲートウェイでサポートされる SIP トランク接続を示します。
表 40-8 SIP トランクの互換性マトリックス
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Cisco Unified CallManager リリース 4.x
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Cisco Unified CallManager 5.x および Cisco Unified Communications Manager 6.x
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Cisco Unified CallManager リリース 4.x |
UDP/TCP |
UDP のみ |
UDP のみ |
UDP/TCP |
Cisco Unified CallManager 5.x および Cisco Unified Communications Manager 6.x 以降 |
UDP のみ |
UDP/TCP |
UDP/TCP |
UDP のみ |
IOS 12.3(8)T |
UDP のみ |
UDP/TCP |
UDP/TCP |
UDP のみ |
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UDP/TCP |
UDP のみ |
UDP のみ |
UDP/TCP |
リリース 6.x 以降のシステムが複数のコールを TCP ベースの SIP トランク経由で 4.x システムに発信した場合、4.x システムはコールを 1 つだけ接続します。残りのコールは接続されません。4.x システムと 6.x 以降のシステムの間で SIP トランクを使用する場合は、[発信トランスポートタイプ(Outgoing Transport Type)] として UDP を使用するように両方のシステムを設定して、リリース 4.x システムと 6.x 以降のシステムとの間のコールが適切に接続されるようにする必要があります( 表 40-8 を参照してください)。
UDP を設定するには、Cisco Unified Communications Manager の管理ページを使用して次の作業を行います。
• Cisco Unified Communications Manager リリース 4.x システムに接続するリリース 6.0 以降のシステムでは、[SIPトランクセキュリティプロファイルの設定(SIP Trunk Security Profile Configuration)] ウィンドウで、[発信トランスポートタイプ(Outgoing Transport Type)] として UDP を選択します。
• リリース 6.x 以降のシステムに接続する Cisco Unified CallManager リリース 4.0 以降のシステムでは、[トランクの設定(Trunk Configuration)] ウィンドウで、[発信トランスポートタイプ(Outgoing Transport Type)] として UDP を選択します。
SIP トランクと転送タイプの詳細については、『 Cisco Unified Communications Manager セキュリティ ガイド 』および『 Cisco Unified Communications Manager アドミニストレーション ガイド 』を参照してください。
SIP トランクでの SIP フォーク
SIP トランク上で Cisco Unified Communications Manager によって送信されるコール設定(INVITE)要求は、SIP プロキシで複製し、複数の宛先に転送することができます(この処理はフォークと呼ばれます)。Cisco Unified Communications Manager はフォークをサポートしていますが、次の制限事項があります。
• Cisco Unified CallManager リリース 4.x は、6 つ以上の宛先からの暫定応答(180 Ringing など)を受け付けません。応答のあった最初の 5 つ以外の宛先から、成功応答(200 Ok)が返されても受け付けません。
• Cisco Unified CallManager リリース 5.x および Cisco Unified Communications Manager リリース 6.x は、21 以上の宛先からの暫定応答(180 Ringing など)を受け付けません。応答のあった最初の 20 個以外の宛先から、成功応答(200 Ok)が返されても受け付けません。
• セッション(メディア)記述を含む暫定応答(183 Session Progress)を受け付けた Cisco Unified CallManager リリース 4.x、Cisco Unified CallManager リリース 5.x、および Cisco Unified Communications Manager リリース 6.x は、同じ宛先からの成功(200 Ok)応答のみ受け付けます。セッション記述が暫定応答から成功応答に変更されても受け付けません。
• Cisco Unified CallManager リリース 4.x、Cisco Unified CallManager リリース 5.x、および Cisco Unified Communications Manager リリース 6.x が暫定応答に対して(SIP の PRACK メソッドを使用して)受信応答するように設定されている場合、Cisco Unified Communications Manager は最初に応答のあった宛先以外からの暫定応答および成功応答を受け付けません。
他の設定オプションは、Cisco Unified Communications Manager でのダウンストリーム SIP フォークのサポートには影響しません。
SIP の透過および正規化
SIP トランクは、PBX、ゲートウェイ、サービス プロバイダーなど、さまざまなエンドポイントに接続できます。各エンドポイントがそれぞれ別個に SIP プロトコルを実装することにより、固有の相互運用性問題が発生する可能性があります。SIP の透過および正規化によって、Cisco Unified Communications Manager はさまざまな PBX およびサービス プロバイダーとシームレスに相互運用できるようになります。正規化を使用すると、Cisco Unified Communications Manager を通過するときにプロトコル レベルで着信 SIP メッセージおよび発信 SIP メッセージを変更できます。透過を使用すると、Cisco Unified Communications Manager で、1 つのコール レッグから別のコール レッグにヘッダー、パラメータ、およびコンテンツ本体を渡せるようになります。
正規化
メッセージを正規化するために、Cisco Unified Communications Manager ではシステムにスクリプトを追加または更新し、これらのスクリプトを 1 つまたは複数の SIP トランクに関連付けることができます。作成する正規化スクリプトによって、既知または不明な SIP ヘッダーまたはコンテンツ本体の内容を保持、削除、または変更できます。着信メッセージの場合、正規化は、ネットワークからメッセージを受信した直後に実行されます。発信メッセージの場合、正規化は、ネットワークにメッセージを送信する直前に実行されます。正規化は、相手側にあるトランクの接続先デバイスのタイプに関係なく、Cisco Unified Communications Manager でトランクに対してスクリプトが設定されているすべての SIP トランクに適用されます。正規化はコール レッグごとに実行されます。相手側のコール レッグが SIP である必要はありません。コールには、SIP 回線から SIP トランク、SCCP から SIP トランク、MGCP から SIP トランク、H.323 から SIP トランクなどを指定できます。
スクリプト環境(さらにはコンテキスト)は、トランクがリセットされるまでトランクの有効期間を超えて保持されます。スクリプト ライターは Lua モジュールを実装して、メッセージを操作するコールバック関数のセットを提供します(inbound_INVITE、outbound_180_INVITE など)。この環境によって、SIP メッセージおよび SDP(ある場合)に一連の API 経由でアクセスできるようになります。
シスコのスクリプト環境ではメモリ消費が制御されます。設定されているメモリ使用量のしきい値をスクリプトが超えた場合、エラーが発生します。
スクリプトの作成の詳細については、『 Developer Guide for SIP Transparency and Normalization 』を参照してください。
正規化スクリプトのインポートの詳細については、『 Cisco Unified Communications Manager アドミニストレーション ガイド 』のを参照してください。
透過
透過とは、1 つのコール レッグから別のコール レッグに情報を渡す機能のことです。SIP の透過によって、専用ヘッダーなどの着信 SIP メッセージ情報が、Cisco Unified Communications Manager の片側から相手側に通過できるようになり、これによって、情報が送信 SIP メッセージに含まれるようになります。
透過的なパススルーは、SIP トランクから SIP トランクへのコールにのみ適用されます。
このリリースでは、Cisco Unified Communications Manager は次のメッセージ タイプの透過をサポートしています。
• 不明なヘッダー(パススルー)
• 不明なパラメータ(パススルー)
• 不明なコンテンツ本体(パススルー)
• 初期 INVITE、reINVITE、UPDATE、INFO、BYE、18x、200(INVITE、UPDATE)、4/5/6xx
• 可能な場合には 1 対 1 のトランザクション(つまり、reINVITE が相手側の 1 つの reINVITE を開始する)
透過の詳細については、『 Developer Guide for SIP Transparency and Normalization 』を参照してください。
SIP 正規化のトレース
Cisco Unified Communications Manager では、SIP 正規化のトレースを使用して、次の機能を実行できます。
• コールの失敗のデバッグを目的とした、正規化されなかったメッセージと正規化されたメッセージの両方のトレース
• スクリプトのデバッグを目的とした、スクリプトによるトレースの作成
• システムの保守を目的とした、予期せぬスクリプトの失敗時のトレースの作成
スクリプトおよびコールの失敗をデバッグするには、Cisco Unified サービスアビリティの [Trace Configuration] ウィンドウの [SDI Enable SIP Call Processing] チェックボックスをオンにすることによって、トレースを有効にします。このオプションを使用すると、正規化の前後で着信 SIP メッセージおよび発信 SIP メッセージをトレースできます。
(注) 正規化されたメッセージのトレースでは、トランクに対して正規化スクリプトを設定している場合にのみトレースが作成されます。
デバッグを目的としてスクリプトからトレースを生成するには、Cisco Unified Communications Manager の管理の [Trace Configuration] ウィンドウの [Enable Trace] チェックボックスをオンにします。オンにすると、Lua スクリプト ライターに提供される trace.output API および trace.format API によって SDI トレースが作成されます。
(注) スクリプトをデバッグする場合のみトレースを有効にすることをお勧めします。トレースはパフォーマンスに影響を与えるため、通常の稼動状況では有効にしなでください。
SDI トレースを有効にすると、Cisco Unified Communications Manager によって、さらに次のトレースを含む SDI エラーレベルのトレースが作成されます。
• ロードに失敗したスクリプト
• スクリプトの実行エラー(引数誤り)
• 中断されたスクリプト(実行時間が長すぎた)
これらのトレースには、次の情報が含まれます。
• SIP トランク名
• Lua スクリプト名
• 失敗した Lua スクリプトの行番号(該当する場合)
• 失敗に固有の情報
トレースの有効化の詳細については、『 Cisco Unified Serviceability Administration Guide 』を参照してください。
SIP 正規化のアラーム
Cisco Unified Communications Manager によって、SIP 正規化スクリプトの使用とエラーが識別されます。つまり、スクリプトが開いたときと閉じたときのタイムスタンプ、およびエラーとリソース警告が発生したときのタイプスタンプが、システムによって保持されます。
生成されるアラームは、次のとおりです。
• SIPNormalizationScriptOpened
• SIPNormalizationScriptClosed
• SIPNormalizationResourceWarning
• SIPNormalizationScriptError
• SIPNormalizationAutoResetDisabled
これらのアラームを検索するには、Cisco Unified サービスアビリティで CallManager アラーム カタログにアクセスします。アラームの詳細については、『 Cisco Unified Serviceability Administration Guide 』を参照してください。
SIP 正規化のパフォーマンス カウンタ
シスコの SIP 正規化パフォーマンス オブジェクトには、スクリプトのステータスやエラーなど、正規化スクリプトのさまざまな面を監視できるカウンタが含まれています。スクリプトが関連付けられている個々のデバイスによって、これらのカウンタの新しいインスタンスが作成されます。デバイスとスクリプトの関連付けを解消するか、または Cisco Unified Communications Manager の管理からデバイスを削除すると、これらのカウンタのインスタンスが削除されます。
パフォーマンス カウンタの詳細については、『 Cisco Unified Real Time Monitoring Tool Administration Guide 』を参照してください。
依存関係レコード
どのトランクが特定の正規化スクリプトを使用するかを検索するには、Cisco Unified Communications Manager の管理ページの [SIP正規化スクリプト設定(SIP Normalization Script Configuration)] ウィンドウにある [関連リンク(Related Links)] ドロップダウン リスト ボックスで [依存関係レコード(Dependency Records)] を選択します。[依存関係レコード要約(Dependency Records Summary)] ウィンドウに、スクリプトを使用しているトランクに関する情報が表示されます。特定のトランクに関する詳細を検索するには、[トランク(Trunk)] リンクをクリックしてから、[依存関係レコード詳細(Dependency Records Detail)] ウィンドウでトラックの名前をクリックします。依存関係レコードがシステムで使用可能になっていない場合、[依存関係レコード要約(Dependency Records Summary)] ウィンドウにメッセージが表示されます。
依存関係レコードの詳細については、『 Cisco Unified Communications Manager アドミニストレーション ガイド 』のを参照してください。
Cisco Unified Communications Manager がサポートする SIP 機能
Cisco Unified Communications Manager は、SIP コールに関して次の機能をサポートします。
• 「SIP エンドポイントと Cisco Unified Communications Manager 間の基本コール」
• 「SIP エンドポイントと Cisco Unified Communications Manager 間の DTMF リレー コール」
• 「MTP が割り当てられた場合に開始される補助サービス」
• 「ブラインド転送時の呼び出し音」
• 「SIP エンドポイントが開始する補助サービス」
• 「拡張されたコール識別サービス」
• 「RDNIS」
• 「リダイレクション」
• 「SIP トランクでの G.Clear コーデックのサポート」
• 「SIP トランクでの Multilevel Precedence and Preemption のサポート」
• 「SIP トランクでのセキュア V.150.1 Modem over IP のサポート」
• 「SIP トランクでの G.729a コーデックと G.729b コーデックのサポート」
• 「Microsoft Exchange を使用する場合の SIP T.38 相互運用のサポート」
• 「SIP を介した QSIG トンネリングのサポート」
• 「SIP PUBLISH」
• 「SIP OPTIONS」
• 「SIP 早期オファー」
SIP エンドポイントと Cisco Unified Communications Manager 間の基本コール
この項では、3 つの基本コールのシナリオについて説明します。2 つのシナリオでは着信および発信コールについて説明し、もう 1 つのシナリオでは初期メディアの使用(コールの接続または応答の前のメディア接続)について説明します。この項では、次のコールのシナリオについて説明します。
• 「基本の発信コール」
• 「基本の着信コール」
• 「初期メディアの使用」
基本の発信コール
任意の Cisco Unified Communications Manager デバイスから SIP デバイスに発信コールを開始できます。Cisco Unified Communications Manager デバイスには、Foreign Exchange Station(FXS)ゲートウェイに接続された SCCP または SIP IP Phone またはファクス デバイスが含まれます。たとえば、SCCP IP Phone は、SIP エンドポイントにコールできます。コールに応答する SIP デバイスが、メディアの確立に対するトリガーとなります。
基本の着信コール
FXS ゲートウェイに接続された SIP IP Phone またはファクス デバイスを含む SIP ネットワーク上の任意のデバイスが、着信コールを開始できます。たとえば、SIP エンドポイントは、SCCP IP Phone へのコールを開始できます。コールに応答する SCCP IP Phone が、メディアの確立に対するトリガーとなります。
初期メディアの使用
PSTN は、初期メディアにインバンドの進行情報(呼び出しトーンまたはビジー シグナルなど)のシグナリングを提供しますが、これは SIP では行われません。発信側は、コーデック使用状況、IP アドレス、ポート番号などの Session Description Protocol(SDP; セッション記述プロトコル)情報を、発信 INVITE メッセージに含めます。この応答として、終端側は自身のコーデック、IP アドレスおよびポート番号を 183 Session Progress メッセージで送信し、初期メディアの候補であることを示します。
183 Session Progress 応答は、メッセージ本体にメディア セッションに関する情報が含まれることを示します。180 Alerting および 183 Session Progress メッセージの両方に、コールへの応答が行われる前に初期メディア セッションの確立を許可する SDP を含めることができます。
初期メディアが、接続の前に SIP エンドポイントに配信される必要がある場合、Cisco Unified Communications Manager は常に SDP を含む 183 Session Progress メッセージを送信します。Cisco Unified Communications Manager は SDP を含む 180 Alerting メッセージを生成しませんが、SDP を含む 180 Alerting メッセージの受信はサポートしています。
[SIP プロファイルの設定(SIP Profile Configuration)] ウィンドウには、[180 で早期メディアを無効化(Disable Early Media on 180)] チェックボックスがあります。ローカル呼び出し音を着信側電話機で再生し、200OK 応答の受信と同時にメディアを接続するには、このチェックボックスをオンにします。『 Cisco Unified Communications Manager アドミニストレーション ガイド 』のを参照してください。
SIP エンドポイントと Cisco Unified Communications Manager 間の DTMF リレー コール
各エンドポイントで使用されている DTMF 方式に基づいて、MTP が必要に応じて動的に割り当てられるようになりました。
Dissimilar DTMF 方式の、SIP デバイスからゲートウェイまたは IVR システムへの DTMF ディジットの転送
次の例(図 40-2)は、Primary Rate Interface(PRI; 1 次群速度インターフェイス)ゲートウェイと通信を行うために、MTP ソフトウェア デバイスが SIP を実行している電話機からのインバンド DTMF ディジットを処理する例を示しています。RTP ストリームは、ダイナミック ペイロード タイプが示すように、RFC 2833 DTMF を伝送します。
図 40-2 DTMF ディジットの転送
図 40-2 では、メディア ストリーミングから開始し、MTP デバイスは DTMF がダイナミック ペイロード タイプであることを通知されています。
1. SIP を実行している電話機は、ユーザがキーパッドで番号を入力すると、ペイロード タイプの応答を開始します。SIP を実行している電話機は、DTMF インバンド ディジット(RFC 2833 による)を MTP デバイスに転送します。
2. MTP デバイスは、インバンド DTMF ディジットを抽出し、アウトバンドのディジットを Cisco Unified Communications Manager に渡します。
3. Cisco Unified Communications Manager は、次にアウトバンドの DTMF ディジットをゲートウェイまたは Primary Rate Interface(IVR; 対話型音声応答)システムにリレーします。
Dissimilar DTMF 方式の DTMF ディジットの生成
「SIP エンドポイントと Cisco Unified Communications Manager 間の DTMF リレー コール」の説明のように、SIP は、DTMF インバンド ディジットを送信し、Cisco Unified Communications Manager はアウトバンド ディジットだけをサポートします。ソフトウェア MTP デバイスは、アウトバンドの DTMF トーンを受信し、インバンドの DTMF トーンを SIP クライアントに生成します。
図 40-3 DTMF ディジットの生成
図 40-3 では、メディア ストリーミングから開始し、MTP デバイスには DTMF ダイナミック ペイロード タイプであることが通知されています。
1. SCCP IP Phone のユーザは、キーパッドでボタンを押します。Cisco Unified Communications Manager は、SCCP IP Phone からアウトバンド ディジットを収集します。
2. Cisco Unified Communications Manager は、アウトバンド ディジットを MTP デバイスに渡します。
3. MTP デバイスは、ディジットを RFC 2833 RTP 準拠のインバンド ディジットに変換し、それを SIP クライアントに転送します。
MTP が割り当てられた場合に開始される補助サービス
システムは、SCCP エンドポイントが SIP コールで開始するすべての補助サービスをサポートしています。SCCP エンドポイントは、接続された SIP デバイスに影響を与えることなく Cisco Unified Communications Manager 内部で管理されます。当初の接続情報に加えられる変更は、Remote-Party-ID ヘッダーを使用する re-INVITE または UPDATE メッセージで更新されます。Remote-Party-ID ヘッダーの詳細については、『 SIP Extensions for Caller Identity and Privacy 』を参照してください。
「ブラインド転送時の呼び出し音」では、ブラインド転送について説明します。ブラインド転送は、Cisco Unified Communications Manager がメディア アナウンスを提供する必要があるため、補助サービスと同様に固有の動作になります。
ブラインド転送時の呼び出し音
SCCP が開始するブラインド転送では、コールが接続されてから Cisco Unified Communications Manager がトーンまたは呼び出し音を生成する必要があります。つまり、Cisco Unified Communications Manager は、ブラインド転送のメディア アナウンスを提供します。
ブラインド転送は、転送のターゲットがコールに応答する前に、転送側の電話機が発信者を宛先の回線に接続する際に行われます。ブラインド転送は、転送側の 1 つが呼び出し音の鳴っている電話機(呼び出し音が受信されている)に発信者を接続するか、または発信者を第三者に接続する前に第三者と話をする、打診転送(在席転送)とは異なります。
SCCP IP Phone が開始するブラインド転送は、最初に接続された SIP デバイス ユーザへの呼び出し音を許可します。Cisco Unified Communications Manager は、呼び出し音を実行するために、MTP デバイスとともに配置されることがあるアナンシエータ ソフトウェア デバイスを使用します。
アナンシエータを使用すると、Cisco Unified Communications Manager は、SCCP IP Phone、ゲートウェイ、およびその他の IP テレフォニー デバイスに対して事前定義されたトーンおよびアナウンスを再生できます。これらの事前定義されたトーンおよびアナウンスは、ユーザにコール ステータスに関する詳細情報を提供します。
SIP が開始するコール転送
Cisco Unified Communications Manager は、SIP が開始するコール転送をサポートし、REFER 要求または Replaces ヘッダーを含む INVITE メッセージを受信します。
コール保留
Cisco Unified Communications Manager は、SIP デバイスまたは Cisco Unified Communications Manager デバイスが開始するコール保留と取得をサポートします。たとえば、SCCP IP Phone のユーザが別のユーザが保留にしているコールを取得する場合、Cisco Unified Communications Manager は re-INVITE メッセージを SIP プロキシに送信します。re-INVITE メッセージには、現在の接続先を反映させるために、更新された Remote-Party-ID 情報が含まれています。Cisco Unified Communications Manager が最初にコールを開始した場合、Remote-Party-ID ヘッダーの Party フィールドには発信側が設定されます。そうでない場合は着信側が設定されます。Party フィールド パラメータの詳細については、「拡張されたコール識別サービス」を参照してください。
自動転送
Cisco Unified Communications Manager は、SIP デバイスまたは Cisco Unified Communications Manager デバイスが開始する自動転送をサポートします。SIP デバイスが自動転送のリダイレクションを要求すると、Cisco Unified Communications Manager が要求を処理します。Cisco Unified Communications Manager が開始する自動転送には、SIP のリダイレクション メッセージは使用されません。Cisco Unified Communications Manager は、内部でリダイレクションを処理し、Remote-Party-ID ヘッダーを介して発信側の SIP エンドポイントに接続先の情報を伝送します。
拡張されたコール識別サービス
この項では、Cisco Unified Communications Manager の次の SIP 識別サービスおよび Cisco Unified Communications Manager が SIP にこれらの識別サービスを伝送する方法について説明します。
• 回線識別サービス
– Calling Line Identification Presentation(CLIP)および Calling Line Identification Restriction(CLIR)
– Connected Line Identification Presentation(COLP)および Connected Line Identification Restriction(COLR)
• 名前識別サービス
– Calling Name Identification Presentation(CNIP)および Calling Name Identification Restriction(CNIR)
– Connected Name Identification Presentation(CONP)および Connected Name Identification Restriction(CONR)
Cisco Unified Communications Manager では、これらの識別サービスを提供するための柔軟な設定オプションにより、コールごとの設定や、SIP シグナリング インターフェイスごとの静的な事前設定を行うことができます。
CLIP および CNIP
Cisco Unified Communications Manager は、Cisco Unified Communications Manager からの初期 INVITE メッセージの From ヘッダーおよび Remote-Party-ID ヘッダーに発信側回線(または番号)および発信者名の表示情報を含めます。From ヘッダーのフィールドは、要求の発信側を示します。Cisco Unified Communications Manager は、18x、200、および re-INVITE メッセージの Remote-Party-ID ヘッダーを使用して、接続先の名前および識別情報を伝送します。Remote-Party-ID ヘッダーには、発信者 ID およびプライバシーの詳細も含まれます。発信者 ID サービスの場合、Cisco Unified Communications Manager は、Remote-Party-ID ヘッダーの Party フィールドに発信側を設定します。
(注) Remote-Party-ID ヘッダーの詳細については、『Cisco IOS SIP Configuration Guide』を参照してください。
例:
Bob Jones(外部電話番号=8005550100)が SIP シグナリング インターフェイスにダイヤルアウトします。From ヘッダーおよび Remote-Party-ID ヘッダーには、次の内容が含まれます。
From: “Bob Jones” <sip:8005550100@localhost>
Remote-Party-ID: “Bob Jones”<8005550100@localhost; user=phone>; party=calling;screen=no;privacy=off
CLIR および CNIR
発信側回線(または番号)および発信者名の制限設定は、SIP シグナリング インターフェイス レベルまたはコール単位で行われます。SIP トランク レベルの設定は、コール単位の設定より優先されます。コールごとに設定するには、『 Cisco Unified Communications Manager アドミニストレーション ガイド 』の 「ルート グループの設定」 を参照してください。
また、発信側回線および発信者の制限は、それぞれ個別に設定できます。たとえば、番号だけを制限し、名前の表示を許可するように選択できます。
例 1
発信者名を制限した場合、Cisco Unified Communications Manager は、From ヘッダー内の発信者名を設定可能な文字列に設定します。Cisco Unified Communications Manager によって、Remote-Party-ID ヘッダーの表示フィールドには実際の名前が含まれるように設定されますが、Privacy フィールドは次のように name に設定されます。
From: “Anonymous” <sip:8005550100@localhost>
Remote-Party-ID: “Bob Jones”<sip:9728135001@localhost; ;user=phone>; party=calling;screen=no;privacy=name
例 2
発信番号を制限した場合、Cisco Unified Communications Manager は、From ヘッダーの発信側回線を省略します。ただし、Cisco Unified Communications Manager は、Remote-Party-ID ヘッダーには発信側回線を含め、Privacy フィールドを privacy=uri に設定します。
From: “Bob Jones” <sip:@localhost>
Remote-Party-ID: “Bob Jones”<sip:8005550100@localhost; ;user=phone>; party=calling;screen=no;privacy=uri
例 3
発信者の名前および番号を制限した場合、Cisco Unified Communications Manager は、Remote-Party-ID ヘッダー の Privacy フィールドを privacy=full に設定します。
From: “Anonymous” <sip:localhost>
Remote-Party-ID: “Bob Jones”<sip:8005550100@localhost;user=phone>; party=calling;screen=no;privacy=full
COLP および CONP
Cisco Unified Communications Manager は、接続先回線および名前の識別を補助サービスとして使用し、発信側に接続先の番号と名前を提供します。From ヘッダーのフィールドは、要求の発信側を示します。Cisco Unified Communications Manager は、18x、200、および re-INVITE メッセージの Remote-Party-ID ヘッダーを使用して、接続先の情報を伝送します。Cisco Unified Communications Manager は、Remote-Party-ID ヘッダーの Party フィールドに着信側を設定します。
例 1
Cisco Unified Communications Manager は、宛先アドレスが 800555 の INVITE メッセージを受信します。Cisco Unified Communications Manager は、次のように接続先の名前を 18x および 200 メッセージに含めます。
Remote-Party-ID: “Bob Jones”<98005550100@localhost; user=phone>; party=called;screen=no;privacy=off
COLR および CONR
SIP トランク レベルまたはコール単位で接続先回線(または番号)および名前の制限を設定できます。SIP トランク レベルの設定は、コール単位の設定より優先されます。コールごとに設定するには、『 Cisco Unified Communications Manager アドミニストレーション ガイド 』の 「ルート グループの設定」 を参照してください。
発信者 ID サービスと同様に、ユーザは接続先の番号と名前をそれぞれ個別に制限できます。
例 1
Cisco Unified Communications Manager は、Remote-Party-ID ヘッダーの表示フィールドには実際の名前が含まれるように設定しますが、Privacy フィールドを privacy=name に設定します。
Remote-Party-ID: “Bob Jones”<8005550100@localhost; user=phone>; party=called;screen=no;privacy=name
例 2
接続先の番号を制限した場合、Cisco Unified Communications Manager は、Remote-Party-ID ヘッダーには接続先の番号を組み込みますが、Privacy フィールドを privacy=uri に設定します。
Remote-Party-ID: “Bob Jones”<8005550100@localhost; user=phone>; party=called;screen=no;privacy=uri
例 3
接続先の名前と番号を制限した場合、Cisco Unified Communications Manager は、Remote-Party-ID ヘッダーの Privacy フィールドを privacy=full に設定します。
Remote-Party-ID: “Bob Jones”<8005550100@localhost; user=phone>; party=called;screen=no;privacy=full
RDNIS
Cisco Unified Communications Manager は、初期 INVITE メッセージの SIP Diversion ヘッダーを使用して、利用可能な RDNIS 情報を伝送します。
(注) コールが DN からボイスメール サーバまたはボイスメール サービスにリダイレクトされる場合、そのサーバまたはサービスが、SIP トランクを使用する Cisco Unified Communications Manager と連動しているときは、電話機のボイスメール プロファイルのボイスメールボックス マスクに基づいて SIP の Diversion ヘッダーの転送番号が変更されます。この処理が実行されるのは、Cisco Unified Communications Manager サーバではメールボックスの選択に Diversion ヘッダーが使用されるためです。
リダイレクション
次のシナリオは、[SIP プロファイルの設定(SIP Profile Configuration)] ウィンドウの [アプリケーションによるリダイレクト(Redirect by Application)] チェックボックスをオフにした場合の動作です。以前は、SIP ネットワークからのリダイレクションは SIP スタック レベルで処理され、システムはリダイレクション応答内の連絡先へのリダイレクション要求をすべて受け取り、リダイレクション応答を受信した同じトランクへ転送していました。コールのリダイレクト方法を処理または制限するための追加ロジックが、参照されたり適用されたりすることはありませんでした。たとえば、発信 INVITE への 3xx 応答内のリダイレクション接続先が Cisco Unified Communications Manager に登録済みの電話機で、スタックがリダイレクションを処理している場合、コールは Cisco Unified Communications Manager 電話機へ直接ルーティングされずに、同じトランクへリダイレクトして戻されていました。制限された電話番号(国際電話番号など)へリダイレクトされると、スタック レベルでのリダイレクション処理により、コールがブロックされずにルーティングされます。
[SIP プロファイルの設定(SIP Profile Configuration)] ウィンドウにある [アプリケーションによるリダイレクト(Redirect by Application)] チェックボックスをオンにし、このオプションを SIP トランクに設定すると、Cisco Unified Communications Manager の管理者は次のことができます。
• 特定のコーリング サーチ スペースを、3xx 応答内で受信したリダイレクト接続先に適用する。
• コールが正しくルーティングされるよう、リダイレクト接続先に番号分析を適用する。
• サービス パラメータで設定できるリダイレクション(再帰リダイレクション)の番号を制限することで、DOS 攻撃を防止する。
• リダイレクションの実行中に、別の機能を起動できるようにする。
詳細については、『 Cisco Unified Communications Manager アドミニストレーション ガイド 』のおよび 「トランクの設定」 を参照してください。
SIP トランクでの G.Clear コーデックのサポート
G.Clear(クリア チャネル)コーデックを使用すると、SIP トランクおよび Cisco Unified Communications Manager を使用する音声ネットワークを通じて、Digital Signal 0(DS-0)データ回線のタンデム スイッチングを実現できます。G.Clear コーデックは、G.711 コーデックとほぼ同等の 64 kb/s の帯域幅(IP パケットのオーバーヘッドは含まず)を使用します。Cisco Unified Communications Manager は、音声コールのコーデックを選択し、メディア テーブルでの G.Clear コーデックの優先順位を G.711 mulaw コールおよび G.711 alaw コーデックよりも高くします。
G.Clear コーデックまたは G.729 コーデックが必要となるのは、リージョンの内部です。リモート リージョンへのコールには、他の低帯域幅コーデックを使用します。G.729 コーデックは音声用に最適化されており、使用帯域幅が G.Clear コーデックよりも大幅に小さくなります。G.Clear コーデックは、低帯域幅のリージョン内で実行することを明示的に許可することのみを目的としたオプションです。
G.Clear コーデックのコールでは、IP パケットのヘッダーに個別の DiffServ コード ポイント(DSCP)値が必要です。これは従来の音声コーデックおよびビデオ コールと異なり、MLPP 優先順位によって一意にタグ付けされる必要があります。これらの機能には、サービス パラメータが適用されます。
G.Clear コーデックのコールは、RTP ダイナミック ペイロード タイプ 125 を使用して、ゲートウェイを通じて一貫性が維持されます。このダイナミック ペイロード タイプは、Cisco Unified Communications Manager を使用して静的に割り当てられます。
G.Clear コーデックの SIP トランク サポートにより、クラスタ間での運用が実現されます。このコーデックは、SIP Session Description Protocol(SDP)メッセージでサポートされるメディア タイプとしてネゴシエートされ、RTP ペイロード タイプ 125 に静的に符号化されます。
(注) G.Clear コーデックは、メディア ターミネーション ポイントではサポートされません。
別の T1 PRI トランク上の VoIP ネットワークから発信される着信 ISDN データ コール(制限デジタル情報および無制限デジタル情報)に対する ISDN ベアラ機能は、サポートされています。
図 40-4 に、G.Clear コーデックを有効にした SIP トランクの一般的な配置を示します。
図 40-4 G.Clear Codec による SIP トランクの配置
SIP トランクで G.Clear コーデックを有効にするには、2 つの SIP サービス パラメータ SIP Route Class Naming Authority および SIP Clear Channel Data Route Class Label を使用します。SIP Route Class Naming Authority パラメータは、SIP シグナリングで使用される、ルート クラスを表すラベルの名前付け機関および名前付けコンテキストを表します。この値には、名前付け機関が所有するドメインの名前を指定します。デフォルトは cisco.com です。
特定のルート クラス値をシグナリングするため、Cisco Unified Communications Manager は、ドメイン名と適切なルート クラス ラベル(SIP Clear Channel Data Route Class Label サービス パラメータで定義されたもの)を SIP シグナリングに組み込みます。
SIP Clear Channel Data Route Class Label は、SIP シグナリングにおけるクリア チャネル データのルート クラスを表します。このパラメータと SIP Route Class Naming Authority パラメータによって、SIP クリア チャネル データのルート クラス値を表す完全なシグナリング構文が作成されます。デフォルトは ccdata です。
ルート クラス シグナリングが有用となるのは、ルート クラスおよびクリア チャネル データ ルート クラスに基づいてルーティング決定を行う TDM ネットワークとインターワーキングする場合です。このパラメータで指定されたデフォルト ドメイン名は、シスコ スイッチ間の相互対話に適用されます。このパラメータは、ベンダー(または配置)固有の要件に応じて変更できます。遠端のスイッチは、このパラメータで設定されたものと同一の値を受信します。
次のエンティティはサポートされていないか、無効になります。
• G.Clear コーデックを使用する H.323 ICT は、サポートされていません。
• G.Clear コーデックを使用する Skinny Client Control Protocol(SCCP)デバイスは、サポートされていません。
• G.Clear コーデックを使用する T1 および E1 CAS は、サポートされていません。
• G.Clear コーデックを使用する RSVP は、サポートされていません。
• E1 トランクでの MLPP はサポートされていません。
• 発信 G.Clear コーデック コールでのエコー キャンセレーションおよびゼロ抑止は無効になります。
• ITU H.244 で定義されている個々の DS-0 回線のボンディングは、端末装置が実行します。このため、VoIP ネットワークを通過し、個々の DS-0 回線を整列するためのフレームはサポートされていません。
• Cisco Unified Communications Manager の FastStart のオプションおよび [メディアターミネーションポイントが必須(Media Termination Point Required)] オプションは、G.Clear が有効になっている場合は適用されません。
G.Clearコールに対する早期オファー
Cisco Unified Communications Manager は、G.Clear データ コール(クリア チャネル)に対する制限付き早期オファーをサポートしています。G.Clear コールに対する早期オファー機能により、メディア ターミネーション ポイントを使用せずにデータ コールをネゴシエートする早期オファーを実行可能なサードパーティの SIP エージェントをサポートできます。MTP は、G.Clear コーデックをサポートしていません。
SIP デバイスに対して、[メディアターミネーションポイントが必須(Media Termination Point Required)] と [G.Clearコールに対する早期オファー(Early Offer for G.Clear Calls)] の両方を有効にすると、G.Clear コーデックがオファー内に存在する場合でも、MTP が割り当てられません。MTP が割り当てられるのは、コールが G.Clear ではなく、MTP が必要な場合だけです。
G.Clear コールに対する早期オファー機能は、標準ベースの G.Clear (CLEARMODE) と、CCD、G.nX64、X-CCD などの Cisco 独自の Session Description Protocol(SDP; セッション記述プロトコル)の両方をサポートしています。
[G.Clearコールに対する早期オファー(Early Offer for G.Clear Calls)] を有効または無効にするには、Cisco Unified Communications Manager の管理の [SIPプロファイルの設定(SIP Profile Configuration)] ウィンドウで次のいずれかのオプションを選択します。
• 無効(デフォルト)
• CLEARMODE
• CCD
• G.nX64
• X-CCD
SIP トランクでの Multilevel Precedence and Preemption のサポート
Cisco Unified Communications Manager の管理機能は、SIP トランクで Multilevel Precedence and Preemption(MLPP)を使用する Voice over Secured IP(VoSIP)ネットワークをサポートしています。Resource Priority ヘッダーおよび SIP の Reason ヘッダーがメッセージに追加されます。SIP シグナリングに関係するリソースは、Cisco Unified Communications Manager によって優先順位が設定されます。これは、緊急の場合または輻輳が発生した場合に、これらのリソースを解放してネットワークが機能できるようにするためです。リソース優先名前空間ネットワーク ドメインおよびリソース優先名前空間リストを設定することで、必要に応じて優先順位設定を有効にできます。
リソース優先名前空間ネットワーク ドメイン
SIP シグナリングのリソース優先名前空間ネットワーク ドメインは、レガシー TDM MLPP ネットワークで使用される ISDN プレシデンス Information Element(IE; 情報要素)および ISDN User Part(ISUP; ISDN ユーザ パート)プレシデンス パラメータと似ています。
リソース優先名前空間ネットワーク ドメインは発信コールに含まれており、コールを SIP トランクに転送するためのトランスレーション パターンまたはルート パターンに基づいています。次のメッセージには、設定済みのリソース優先名前空間ネットワーク ドメインが含まれています。
• INVITE
• UPDATE
• REFERrefer
着信コールでは、このネットワーク ドメインが許容ネットワーク ドメインのリストと比較されます。着信コールのネットワーク ドメインが検証されるのは、コールが Cisco Unified Communications Manager エンドポイントで終端する場合のみです。他のコール タイプの場合、このネットワーク ドメインは、いずれもローカル設定と照合して検証されません。許容されるネットワーク ドメインの設定は、SIP プロファイルに追加されている必要があります。
SIP トランクは、更新されたプレシデンス シグナルおよび次の補助サービスに応答できます。
• プレシデンス コール待機
• コール転送
• 自動転送
• 3 方向コール
次のヘッダー、マッピング、およびキューイングはサポートされていません。
• Accept-Resource-Priority ヘッダー
• PRACK および ACK への RP ヘッダーの挿入
• 名前空間の間での優先順位のマッピング
• コール キューイング、およびその他の MLPP 以外のサービス
SIP トランクでのセキュア V.150.1 Modem over IP のサポート
セキュア V.150.1 のサポートは、SIP トランクおよびクラスタ間 SIP トランクを介した IP Secure Terminal Equipment(STE)とレガシー(BRI またはアナログ)STE 間での Modem over IP(MoIP)通信に基づいていました。SIP トランクは、発信コールの Session Description Protocol(SDP; セッション記述プロトコル)情報を転送し、着信コールの MoIP SDP 情報が受信されたときは Cisco Unified Communications Manager に通知します。デバイスは、SIP を使用して V.150.1 セキュア コールをネゴシエートすることで、クラスタ間でコールを発信できます。
(注) SIP トランクでの MoIP については、設定は不要です。
SIP トランクでの G.729a コーデックと G.729b コーデックのサポート
G.729a および G.729b は、SIP トランクを通じて開始されるコールに使用可能な、低帯域幅のコーデックです。この機能を必要とするのは、遅延メディア コールをサポートせず、G.711 などの高帯域幅コーデックを使用しないエンドポイントであることに注意してください。
早期提供コールの場合は、MTP が事前に割り当てられている必要があるため、この機能を使用するには、外部の MTP デバイスまたはトランスコーダ デバイスを設定する必要があります。ソフトウェア MTP は、SIP トランクでの G.729 をサポートしていません。
この機能は、4 つの G.729 コーデック(G.729、G.729a、G.729b、および G.729ab)をすべてサポートしていますが、システムでは、G.729 と G.729a、および G.729b と G.729ab を区別できません。したがって、これらのコーデックを SIP トランクに対して設定するためのオプションは、Cisco Unified Communications Manager の管理ページでは 2 つのみ提供されます(G729/G729a と G729b/G729ab)。
SIP トランクに G.729 コーデックが適用されるのは発信コールのみで、着信コールには影響しません。コール中に、システムがコーデックを G.729 から他のコーデックに切り替えることはできません。
Microsoft Exchange を使用する場合の SIP T.38 相互運用のサポート
T.38 標準は、IP ネットワークを使用した Group 3 ファクシミリ(ファクス)通信のための ITU-T 勧告に基づいています。Cisco Unified Communications Manager には、Microsoft Exchange との T.38 相互運用が実装されており、コールをオーディオから T.38 ファクスに切り替えることができます。
次に、Microsoft Exchange Server がファクス機へのコールを確立する手順を示します。
a. Exchange サーバが、ファクス機とのオーディオ コールを確立します。
b. ファクス機が、ファクス トーン(CNG)を Exchange サーバに送信します。
c. Exchange サーバがファクス トーンを認識し、コールを T.38 ファクス(または T.38 ファクス リレー)コールとして再ネゴシエートしようとします。
Cisco Unified Communications Manager の管理を使用して、T.38 ファクス通信をサポートする SIP プロファイルを設定できます。このプロファイルは、SIP トランクにのみ適用され、SIP を実行する電話機およびエンドポイントには適用されません。
SIP を介した QSIG トンネリングのサポート
Cisco Unified Communications Manager では、IP ネットワーク上の SIP トランクを介して、別の Cisco Unified Communications Manager または QSIG-SIP ゲートウェイに向かう QSIG メッセージと SIP メッセージ間のインターワーキングをサポートし、QSIG コールと Message Waiting Indication(MWI; メッセージ受信のインジケータ)、コール転送、自動転送、折返し、Call Completion、パス変換、ID サービスなどの QSIG 機能をサポートします。これらの機能を受け入れるために、Cisco Unified Communications Manager では、トンネル化プロトコルとして QSIG を使用する SIP トランクを設定できます。SIP トランクの設定の詳細については、『 Cisco Unified Communications Manager アドミニストレーション ガイド 』のを参照してください。
(注) SIP ゲートウェイから着信する Remote-Party-ID(RPID)ヘッダーが QSIG コンテンツに干渉し、これによって折返し機能で予期せぬ動作が発生する可能性があります。QSIG コンテンツへの干渉を防ぐには、SIP ゲートウェイで RPID ヘッダーを無効にします。
トランク サービス タイプとして Cisco Intercompany Media Engine(IME)を選択して SIP トランクを作成する場合、[トンネル化プロトコル(Tunneled Protocol)] フィールドのデフォルトは [QSIG] になります。Cisco IME トランクで QSIG 機能を動作させるには、トンネル化プロトコルを QSIG にする必要があります。Cisco IME トランクの詳細については、『 Cisco Intercompany Media Engine Installation and Configuration Guide 』を参照してください。
(注) Cisco Unified Communications Manager は、Cisco IME トランクでの折返しについては、接続維持モードのみをサポートしています。
SIP PUBLISH
SIP PUBLISH は、IP Phone のプレゼンス情報を Cisco Unified Communications Manager リリース 6.0 以降から Cisco Unified Presence リリース 6.0 以降に SIP トランク経由で送信するための最適なメカニズムを提供します。このメカニズムによって、パフォーマンスが向上します。また、サイレントやモビリティなどの回線ごとのプレゼンス情報も提供します。サポートされるのは発信 PUBLISH だけです(Cisco Unified Communications Manager リリース 6.0 以降は、プレゼンスに関して Cisco Unified Presence Release 1.0 と通信するときに SUBSCRIBE/NOTIFY を使用します)。
PUBLISH は、イベント状態を発行するための SIP メソッドです。イベント状態をユーザ エージェントから発行するためのフレームワークは、RFC 3903 で規定されています。発行先となるのは、このイベント状態を集約し、関係するパーティに SIP Events フレームワークを通じて配信するエンティティです。RFC 3903 に記述されているメカニズムを拡張すると、適切なイベント パッケージで処理される任意のイベント状態を発行することができます。
また、RFC 3903 は、プレゼンス ユーザ エージェントによってプレゼンス集約側にプレゼンス状態を発行するための、このフレームワークの厳格な使用方法も定義しています。
SIP トランクは、Cisco Unified Communications Manager に登録されている電話機のプレゼンス情報を Cisco Unified Presence と連携して提供します。リリース 5.0 では、Cisco Unified Presence はプレゼンス情報を Cisco Unified CallManager から SIP 登録メカニズムを通じて取得していました。
Cisco Unified Communications Manager から Cisco Unified Presence への相互対話は、SIP 登録メカニズムが使用されている場合は正常に機能しますが、このメカニズムはパフォーマンスの低下の原因になります。Cisco Unified Communications Manager と Cisco Unified Presence の両方が、監視対象となる電話機ごとに、それぞれ個別の登録ダイアログを維持する必要があります。さらに、1 台の電話機を 2 人のユーザが監視し、各ユーザの監視ルールが異なっている場合、Cisco Unified Presence は同じ番号に関する 2 つの SUBSCRIBE 要求を Cisco Unified Communications Manager SIP トランクに発行します。
Cisco Unified Communications Manager リリース 6.0 以降では、SIP トランクは PUBLISH を Cisco Unified Presence とのプレゼンス相互対話のメカニズムとして使用できます。Cisco Unified Communications Manager は Event Publication Agent(EPA; イベント発行エージェント)として動作し、管理対象の電話機のプレゼンス情報を発行します。Cisco Unified Presence は Event State Compositor(ESC; イベント状態集約システム)として動作し、発行されたプレゼンス情報を受信および集約して、監視者の電話機の表示を更新します。
Cisco Unified Communications Manager および Cisco Unified Presence の高レベル アーキテクチャの概要
図 40-5 に、Cisco Unified Communications Manager、Cisco Unified Presence、および Cisco Unified IP Phone がどのように連携して動作するかを示します。
• Cisco Unified Communications Manager がすべての IP Phone を管理し、Cisco Unified Communications Manager が SIP または SCCP インターフェイスを使用して電話機を制御します。
• IP Phone と Cisco Unified Presence の間には HTTP インターフェイスも存在します。このインターフェイスは、電話機の画面を更新するために Cisco Unified Presence で使用されます。また、ユーザのログイン/ログアウト アクティビティの検出にも使用されます。
• SIP トランク インターフェイスは、プレゼンス データを Cisco Unified Communications Manager と Cisco Unified Presence の間で交換するために使用されます。
図 40-5 SIP PUBLISH の高レベル アーキテクチャ
Cisco Unified Communications Manager の管理における PUBLISH の設定のヒント
Cisco Unified Communications Manager の管理で SIP トランクを PUBLISH 用に設定するときは、次の設定のヒントを参考にしてください。
• SIP の [トランクの設定(Trunk Configuration)] ウィンドウで、Cisco Unified Presence(宛先アドレス)にアクセスするように SIP トランクを設定します。
ヒント マルチノード クラスタでの分散処理のパフォーマンスを最大限まで高めるには、デフォルトのデバイス プールを使用するように SIP トランクを設定することをお勧めします。
• Cisco CallManager サービスの [サービスパラメータ設定(Service Parameters Configuration)] ウィンドウにある [CUP PUBLISH Trunk] フィールドで、設定済みの SIP トランクを選択します。
• Cisco Unified Presence エンド ユーザを設定し([ユーザ管理(User Management)] > [エンドユーザの設定(End User Configuration)])、ライセンス ユニットをユーザに割り当てます([システム(System)] > [ライセンス(Licensing)] > [機能割り当て(Capabilities Assignment)])。
• エンド ユーザをライン アピアランスに関連付けます([デバイス(Device)] > [電話の設定(Phone Configuration)])。[電話の設定(Phone Configuration)] ウィンドウで、ユーザが Cisco Unified Presence へのアクセスに使用する DN をクリックします。[エンドユーザの関連付け(Associate End Users)] ボタンをクリックします。[ユーザの検索と一覧表示(Find and List Users)] ウィンドウで、Cisco Unified Presence にアクセスするエンド ユーザを選択します。
(注) 1 つのライン アピアランスを 5 人までのエンド ユーザに関連付けることができます。
• SIP Trunk PUBLISH での DND サポート:DND は、リリース 6.0 以降ではデバイス単位で適用されます。このため、デバイスが DND 状態に移行した場合、このデバイスに関連付けられている Cisco Unified Presence 対応のすべてのライン アピアランスが発行される可能性があります。デバイスが DND 状態に移行した場合は、DND に加えてビジー/アイドル ステータスも一緒に発行されるため、Cisco Unified Presence で柔軟にデータを処理することができます。
• シェアドライン:電話機 A と電話機 B が DN 1000 を共有している場合、ユーザが電話機 A の受話器を取って回線 1000 上でコールを発信すると、Cisco Unified Communications Manager は回線 1000 がビジーであることを Cisco Unified Presence に通知します。この情報によって、監視者は DN 1000 のすべての回線がビジーになっていると誤解します。電話機 B の回線 1000 はアイドルのままであるため、これは正確な情報を表していません。Cisco Unified Communications Manager は、電話機 A の回線 1000 がビジーであることを Cisco Unified Presence に通知します。リリース 6.0 以降では、Cisco Unified Communications Manager はライン アピアランス別に発行を行います。システムは、ライン アピアランスを(DN とデバイスの)ペアと見なします。
• 複数パーティション:Cisco Unified Communications Manager は DN のプレゼンス ステータスを発行し、DN が関連付けられているパーティションも示します。
• ユーザ名の関連付け:シェアドラインと複数パーティションがサポートされている場合、Cisco Unified Presence は、電話機ごとに 1 つの DN という前提で動作できません。また、Cisco Unified Communications Manager システム全体にわたって 1 つのパーティションという前提で動作することもできません。リリース 6.0 以降では、ライン アピアランスをエンド ユーザに関連付けることができるため、ライン アピアランスに関連付けられているエンド ユーザに代わって SIP トランクがそのライン アピアランスのステータスを発行します。つまり、このステータスを使用して Cisco Unified Presence 対応の回線を識別できます。ライン アピアランスがエンド ユーザに関連付けられている場合、システムは Cisco Unified Presence 対応であると見なされます。したがって、そのライン アピアランスのプレゼンス情報が発行されます。
PUBLISH のサービス パラメータ
PUBLISH の設定には、次の Cisco CallManager サービス パラメータが使用されます。
• CUPS PUBLISH Trunk
• Default PUBLISH Expiration Timer
• Minimum PUBLISH Expiration Timer
• Retry Count for SIP Publish
• SIP Publish Timer
Serviceability のパフォーマンス カウンタ
Cisco Unified サービスアビリティは、PUBLISH に関連する次のパフォーマンス カウンタを収集し、表示します。
• SIP_StatsPublishIns
• SIP_StatsPublishOuts
• SIP_StatsRetryPublishOuts
• SIP_StatsRetryRequestsOut
Cisco Unified CallManager リリース 5.x には次のパフォーマンス カウンタがありますが、これらの値は PUBLISH 機能の影響を受けます。
• SIP_SummTotalOutReq
• SIP_SummTotalInRes
• SIP_StatsRetryRequestsOut
セキュリティ上の推奨事項
RFC 3903 では、アクセス制御、DoS 攻撃(サービス拒絶攻撃)、リプレイ アタック、および中間者攻撃などの問題に対処するため、TLS とダイジェスト認証の使用が推奨されています。Cisco Unified Communications Manager および Cisco Unified Presence は TLS とダイジェスト認証をサポートしているため、リリース 6.0 での変更点はありません。管理者は、Cisco Unified Communications Manager および Cisco Unified Presence で TLS とダイジェスト認証を設定し、有効にすることができます。また、IPSec を TLS の代替手段として使用することもできます。
BAT のサポート
Cisco Unified Presence ユーザを Cisco Unified Communications Manager に移行する場合は、次の BAT ツールが役立ちます。
• BAT では、Cisco Unified Communications Manager を 5.x から 6.0 以降にアップグレードした後に、すべての Cisco Unified Presence ライセンス取得済みユーザ、それらのユーザのプライマリ内線番号、およびそれらのユーザに関連付けられるデバイス ライン アピアランスを検証するためのツールが提供されます。このツールが必要になるのは、(すべてのバックエンド登録が削除され、Cisco Unified Presence ユーザの新しいライン アピアランス ベースのプレゼンスを使用できるようにする必要があるため)Cisco Unified Presence のアップグレードまたは移行中に Cisco Unified Communications Manager に接続するときです。移行を実行するため、BAT はエクスポート機能と更新機能を使用します。エクスポート csv の形式は、User ID、Device、Directory Number、および Partition です。最後の 3 つのカラムがライン アピアランスを形成します。
• エクスポート ウィンドウおよび更新ウィンドウにアクセスするには、[一括管理(Bulk Administration)] > [ユーザ(Users)] > [ラインアピアランス(Line Appearance)] > [ラインアピアランスのエクスポート(Export Line Appearance)] および [一括管理(Bulk Administration)] > [ユーザ(Users)] > [ラインアピアランス(Line Appearance)] > [ラインアピアランスの更新(Update Line Appearance)] を選択します。
• エクスポート ウィンドウおよび更新ウィンドウには、[CUPユーザのラインアピアランスのみエクスポート(Export line appearances for CUP users only)] チェックボックス(および [CUPユーザのラインアピアランスのみ更新(Update line appearance for CUP users only)] チェックボックス)があります。このチェックボックスをオンにすると、Cisco Unified Presence ユーザのエクスポート操作または更新操作が実行されます。Cisco Unified Presence ユーザ以外のユーザは、エクスポートおよび更新されません。
SIP OPTIONS
Cisco Unified Communications Manager で SIP OPTIONS メソッドを使用すると、SIP トランクでリモート宛先のステータスを追跡できます。発信の OPTIONS を送信して着信応答メッセージを確認することにより、リモート ピアで新しい要求を受信する準備が整っているかどうかを SIP トランクが認識します。SIP トランクは到達不能なリモート ピアに対して新しいコールの設定を試行しません。このアプローチによって、迅速なフェールオーバーが可能になります。
Cisco Unified Communications Manager では、SIP トランク上のキープアライブ メカニズムとして SIP OPTIONS を使用します。Cisco Unified Communications Manager は、SIP トランク上の設定済み宛先アドレスに、定期的に OPTIONS 要求を送信します。リモート SIP デバイスが応答に失敗するか、または SIP エラー応答を返信すると、Cisco Unified Communications Manager は設定に応じて、他のトランクを使用するかまたは別のアドレスを使用することによって、コールの再ルーティングを試行します。
OPTIONS 要求はコールのコンテキスト外に配置されます。そのため、コールが SIP トランク上になくても、Cisco Unified Communications Manager は要求によって障害を検出できます。このアプローチを使用すると、後続のコールをより迅速に再ルーティングできます。SIP OPTIONS メソッドにより、コールが再ルーティングされる前に、長時間タイムアウトしたり再試行が遅延したりすることがなくなります。
Cisco Unified Communications Manager 設定のヒント
Cisco Unified Communications Manager の管理で OPTIONS を使用できるように SIP トランクを設定する場合は、次の設定のヒントを参考にしてください。
• SIP OPTIONS を有効にするには、SIP プロファイルを設定します(Cisco Unified Communications Manager の管理で [デバイス(Device)] > [デバイスの設定(Device Settings)] > [SIPプロファイル(SIP Profile)] メニュー オプションを使用します)。標準 SIP プロファイルをコピーして、そのコピーの名前を(OPTIONS プロファイルなどに)変更します。[サービスタイプ \"なし(デフォルト)\" のトランクの接続先ステータスをモニタするためにOPTIONS Pingを有効にする(Enable OPTIONS Ping to monitor destination status for trunks with service type \"None (Default)\")] チェックボックスをオンにします。SIP OPTIONS は、デフォルトでは無効になっています。
• 作成した SIP プロファイルで、必要に応じて 2 つの要求タイマーを更新します。1 つ目のタイマーは SIP トランクがサービス中または部分的にサービス中のときに使用され、2 つ目のタイマーは SIP トランクがサービス中ではないときに使用されます。Cisco Unified Communications Manager は、設定済みのトランスポート プロトコル(UDP、TCP など)を使用して、SIP トランクの設定済み宛先アドレスに対して SIP OPTIONS 要求を開始します。
(注) 要求タイマーの期限が切れると、Cisco Unified Communications Manager は、以前に送信したすべての OPTIONS 要求の返信を受信済みであるかどうかを確認します。以前の OPTIONS 要求に対する応答をまだ待機している場合、Cisco Unified Communications Manager は、新しい OPTIONS 要求を送信しません。そのため、複数の同時 OPTIONS 要求によってネットワークに負荷がかかるということはありません。
• 作成した SIP プロファイルで、SIP OPTIONS の再試行タイマーとカウンタを設定します。
• SIP トランクを設定します(まだ設定していない場合)。SIP トランクのトランク サービス タイプには、[なし(デフォルト)] を指定する必要があります。コール制御ディスカバリ、クラスタ間のエクステンション モビリティ、Intercompany Media Services などのダイナミック SIP トランクはサポートされません。
• [トランクの設定(Trunk Configuration)] を使用して、宛先情報を設定します。複数の宛先を設定できます。宛先アドレスが(ドット付き IP アドレスではなく)ホスト名として設定されており、複数のアドレスが戻される場合、応答が受信されるまで、戻りアドレス宛に OPTIONS メッセージが送信されます。すべての戻りアドレスが使用され尽くす前に応答が受信されなかった場合、SIP トランクには、ターゲットがダウン状態であることを示すマークが付けられます。
(注) SIP トランクの場合、Cisco Unified Communications Manager は DNS SRV ごとに最大で 16 個、DNS ホスト名ごとに最大で 10 個の IP アドレスをサポートします。IP アドレスの順序は DNS 応答によって異なり、各 DNS クエリーで同一になることがあります。OPTIONS 要求は、DNS SRV レコード(SIP トランクで設定)が 16 を上回る数の IP アドレスに解決されるごと、またはホスト名(SIP トランクで設定)が 10 を上回る数の IP アドレスに解決されるごとに、別のリモート宛先セットに送信されることがあります。そのため、リモート宛先のいずれかのステータス変更ではなく、DNS クエリーの解決方法の変更が原因で、SIP トランクのステータスが変更されることがあります。
• OPTIONS ping を有効にした SIP プロファイルを SIP トランクに割り当てます。
SIP トランクの宛先に複数の IP アドレスが含まれるか、宛先が複数の IP アドレスに解決される場合、コール ルーティングはランダム選択アルゴリズムを使用して、SIP トランク上の次のコール用の宛先 IP アドレスを選択します。SIP OPTIONS がトランクに対して有効になっている場合、選択した IP アドレスの状態情報によって、INVITE を送信するか、または次の宛先に進むかが決定されます。
SIP OPTIONS およびセキュア SIP トランク
SIP OPTIONS メソッドでは、SIP トランク セキュリティ プロファイルで [転送タイプ(Transport Type)] 設定が [TLS] に設定されているセキュア SIP トランクをサポートしています。他の要求または応答(INVITE など)とは異なり、Cisco Unified Communications Manager は、OPTIONS 要求または応答については [X.509の件名(X.509 Subject Name)] の設定(SIP トランク セキュリティ プロファイルで設定)を確認しません。そのため、OPTIONS 要求または応答に基づいてリモート宛先に使用可能のマークを付けることはできますが、コール設定要求(INVITE など)が理由コード 403 Forbidden で失敗することがあります。OPTIONS 要求を送信する Cisco Unified Communications Manager か、OPTIONS 要求を受信して応答する Cisco Unified Communications Manager のいずれかで [X.509の件名(X.509 Subject Name)] を誤って設定すると、この障害が発生することがあります。
次の 2 つのシナリオについて考えてみます。
シナリオ 1
Unified CM 1 は SIP トランクを介して Unified CM 2 に OPTIONS 要求を送信し、200 OK 応答を受信します。Unified CM 2 の SIP トランク セキュリティ プロファイルの [X.509の件名(X.509 Subject Name)] が誤って設定されています。そのため、Unified CM 1 では Unified CM 2 に使用可能のマークが付きます。INVITE が Unified CM 1 から Unified CM 2 に送信されると、Unified CM 2 は Unified CM 1 に 403 Forbidden メッセージを送信します。図 40-6 に、このシナリオを示します。
図 40-6 宛先での X.509 の件名の確認における障害
シナリオ 2
Unified CM 1 は SIP トランクを介して Unified CM 2 に OPTIONS 要求を送信し、200 OK 応答を受信します。Unified CM 1 の SIP トランク セキュリティ プロファイルの [X.509の件名(X.509 Subject Name)] が誤って設定されていても、Unified CM 1 は Unified CM 2 に使用可能のマークを付けます。この場合、Unified CM 1 から Unified CM 2 への INVITE 要求は失敗します。図 40-7 に、このシナリオを示します。
図 40-7 発信元での X.509 の件名の確認における障害
SIP OPTIONS とダイジェスト認証
SIP トランクに対してダイジェスト認証が有効になっている場合(対応する SIP トランク セキュリティ プロファイルで [ダイジェスト認証を有効化(Enable Digest Authentication)] チェックボックスがオンになっている)、OPTIONS 要求に対する 401(未許可)応答を受信した時点で、リモート宛先に使用可能のマークが付けられます。401 応答を受信した後、OPTIONS はダイジェスト認証ともに再送信されます。リモート側からのクレデンシャル確認時に、OPTIONS 要求に対する 200 OK 応答が受信されます。
SIP レルム(最初の 401 応答の受信時)またはダイジェスト クレデンシャルが不一致(リモート側)の場合の OPTIONS 要求では、リモート宛先に使用可能のマークが付けられていても、後続の INVITE 要求が失敗します。
サービスアビリティ アラーム
SIP OPTIONS をサポートしているアラームは、次のとおりです。
• SIPTrunkOOS
• SIPTrunkPartiallyISV
• SIPTrunkISV
参考情報
• 『 Cisco Unified Communications Manager アドミニストレーション ガイド 』の 「SIP プロファイルの設定」
• 『Cisco Unified Communications Manager Managed Services Guide』
SIP 早期オファー
サードパーティ製の SIP デバイスとの相互運用性を拡張するために、Cisco Unified Communications Manager では、発信側エンドポイントのメディア機能およびメディア ポート情報が使用可能な場合に、MTP を必要とせずに発信ボイスおよびビデオ コールに対する早期オファーを有効にするように、SIP トランクを設定できます。
発信側コール設定
発信側コールを早期オファー トランク用に設定するには、Cisco Unified Communications Manager に発信側デバイスのメディア ポート、コーデック、および発信側デバイスの IP アドレス(使用可能な場合)を含む SDP を組み込み、発信者のメディア情報が使用不可の場合にのみ早期オファー用の MTP を挿入して、複数のコーデックをサポートする MTP の挿入時に複数のコーデックをアドバタイズします。以前のリリースでは、管理者が発信 SIP トランクで MTP の必須または E2E RSVP を有効にしている場合にのみ、Cisco Unified Communications Manager は早期オファー SDP を提供していました。早期オファー機能によって、より高い割合の発信の早期オファー SIP トランク コールが MTP を必要とせずに発信されるため、必要な MTP リソースの数が減り、サードパーティ製の PBX との相互互換性が向上します。
Cisco Unified Communications Manager では、次のいずれかのデバイスのコール開始時に、早期オファー(MTP を必要としない)をサポートします。
• SIP 電話機
• SCCP v20 でサポートされている SCCP 電話機。getPort 機能を使用してメディア ポート情報を提供
• MGCP ゲートウェイ
• 着信の H323 FastStart コール
• 着信の早期オファー SIP トランクコール
(注) メディア ポート情報を使用できないエンドポイント(H323 SlowStart コール、遅延オファー SIP コール、従来の SCCP 電話機など)の場合、Cisco Unified Communications Manager はこれまでどおりに MTP を割り当て、初期 INVITE で SDP を提供します。
(注) 上記のリストにあるデバイスから開始されたコールについては、DTMF/コーデックの不一致、着信または発信トランクで TRP が必須、発信側で MTP が必須などの他の理由により MTP が必要になることがあります。
通話中設定
Cisco Unified Communications Manager は、基本的な保留/再開操作などの通話中の操作や、転送や会議などの補助サービスを実行しているときのサードパーティ製デバイスとの相互運用性も拡張します。以前のリリースの Cisco Unified Communications Manager では、非アクティブ SDP(a=inactive 属性)を含む INVITE を送信してメディア パスの中断を示し、遅延オファー INVITE を送信して保留音を挿入するかメディア ストリームを再開し、さらに 200 OK に送受信オファー SDP が含まれることを想定していました。サードパーティ製デバイスは、200 OK で送受信オファー SDP ではなく非アクティブ オファー SDP を提供することが多いため、メディア パスが非アクティブ状態のままになり、コールが破棄されます。
Cisco Unified Communications Manager では、Cisco Unified Communications Manager によって通話中 INVITE での非アクティブ SDP または送信専用 SDP の送信が禁止されるように、早期オファー SIP トランクのパラメータを設定できます。このパラメータが有効の場合、Cisco Unified Communications Manager は、保留中または他機能の起動中に既存のメディア ストリームを中断せずに、SIP トランク デバイスを MOH またはアナンシエータ デバイスに直接接続します。同様に、Cisco Unified Communications Manager は、MOH またはアナンシエータ ストリームを中断せずに、コール再開時に SIP トランク デバイスを回線側デバイスに直接接続します。遠端のメディア ストリームが非アクティブに設定されないようにすることによって、Cisco Unified Communications Manager で常にメディア パスを再開できるようにする必要があります。
(注) 保留/再開時または補助サービスのメディア再開時に、サードパーティの SIP デバイスとの相互運用性で問題が発生している場合にのみ、非アクティブ SDP または送信専用 SDP の禁止を設定する必要があります。この設定を有効にした場合、Cisco Unity Connection などの特定のエンドポイントが動作しないことがあります。
GetPort 機能のサポート
Cisco Unified Communications Managerでは、SIP トランクに接続されているデバイスで GetPort 機能がサポートされている場合に、SIP トランク上の初期コールまたは通話中コールの遅延オファー INVITE に応答する送受信 SDP も提供しています。Cisco Unified Communications Manager は、SIP トランクが早期オファー用に設定されているかどうかに関係なく、この機能を提供します。デバイスで GetPort 機能がサポートされていない場合、Cisco Unified Communications Manager では送受信オファーを提供するための別の MTP は挿入しません。
コールが接続された後、Cisco Unified Communications Manager が SCCP デバイスまたは MTP からのオーディオ/ビデオ/データ ポートの受信を待機する時間を変更するには、Port Received Timer After Call Connection サービス パラメータを設定します。このパラメータで指定された時間が経過する前に、Cisco Unified Communications Manager でビデオ ポートの受信に失敗すると、コールは最初に双方向オーディオでのみ確立されます。双方向ビデオは、別のオファー/アンサー トランザクションが完了した後、確立されることがあります。このタイマーで指定された時間が経過する前に、Cisco Unified Communications Manager でオーディオ ポートの受信に失敗すると、Cisco Unified Communications Manager は別のオファー/アンサー トランザクションを試行して、オーディオとビデオの両方の双方向メディア パスを確立します。
タイマーの時間を増やすと、Unified CM でポート情報を受信できる時間が長くなりますが、コールの開始時またはコール中にオーディオ/ビデオが遅延する場合があります。発信側デバイスが CAST プロトコル バージョン 3 を使用している CTI または Unified Video Advantage アプリケーションの場合、アプリケーションで接続を開いてポート情報を取得するために必要な時間と適合するように、タイマーを調整することが必要になる場合があります。
早期オファーの制限事項および相互作用
早期オファー機能に適用される制限事項および相互作用は、次のとおりです。
• 早期オファー機能を使用するには、MTP で IOS バージョン 15.1(2)T 以降を使用している必要があります。
• SRTP およびビデオ:Cisco Unified Communications Manager では、発信側デバイスの機能に応じて、初期 INVITE の SDP でセキュアなオーディオ機能やビデオ機能をアドバタイズできます。
• End-to-End(E2E; エンドツーエンド)の RSVP:E2E RSVP では、初期 INVITE に SDP を含めることによって早期オファーを提供するため、早期オファー機能と E2E RSVP 機能を [SIPプロファイルの設定(SIP Profile Configuration)] ウィンドウで同時に指定することはできません。[RSVP Over SIP] ドロップダウン リスト ボックスで [E2E] を選択すると、[音声コールとビデオコールに対する早期オファーのサポート(必要な場合はMTPを挿入)(Early Offer support for voice and video calls (insert MTP if needed))] チェックボックスは無効になります。
• Single Number Reach(SNR; シングル ナンバー リーチ):設定時にメディア機能が使用可能になっている SIP 電話機、SCCP v20 電話機、または発信側デバイスから、トランクの Single Number Reach(SNR; シングル ナンバー リーチ)宛先へのコールが開始されると、INVITE SDP に発信側デバイスの IP アドレスとポートが含められます。SNR トランク コールに早期オファーを提供するために MTP が必要な場合、別々の MTP ポートがそれぞれの SNR 宛先に割り当てられます。
• IPv6:Cisco Unified Communications Manager は、SIP トランクに早期オファーが設定されていても、次の IPv6 シナリオの場合は遅延オファー INVITE を送信します。
– SIP トランクが IPv6 専用モードで設定されている。
– 発信側デバイスが IPv6 専用モードになっている。
– SIP トランクがデュアル モードで、ANAT が有効になっている。
– SIP トランクがデュアル モードで、メディア アドレス設定が IPv6 である。
• 遅延オファー SIP コールと早期オファーのインターワーキングの場合、Cisco Unified Communications Manager は MTP を挿入して、発信コール レッグで SDP を提供します。INVITE にはオーディオ回線のみが含まれます。発信レッグで送信される INVITE には、オーディオ メディア回線のみが含まれます。発信側ビデオ機能およびデバイスの暗号化キーは、タンデム クラスタでは使用できないため、オーディオまたはビデオ メディア回線には暗号化属性がありません。結果として、発信 INVITE SDP には、MTP の IP とオーディオ ポートが含まれ、オーディオ メディア回線の SRTP キーや属性は含まれず、ビデオ メディア回線も含まれません。
• SlowStart H323 コールと早期オファーのインターワーキングの場合、Cisco Unified Communications Manager は MTP を挿入して、発信コール レッグで SDP を提供します。INVITE にはオーディオ回線のみが含まれます。発信レッグで送信される INVITE には、オーディオ メディア回線のみが含まれます。発信側ビデオ機能およびデバイスの暗号化キーは、タンデム クラスタでは使用できないため、オーディオまたはビデオ メディア回線には暗号化属性がありません。結果として、発信 INVITE SDP には、MTP の IP とオーディオ ポートが含まれ、オーディオ メディア回線の SRTP キーや属性は含まれず、ビデオ メディア回線も含まれません。Cisco Unified Communications Manager では、メディア カットスルー後に H323 レッグからビデオ TCS を受信すると、Call Admission Control(CAC; コール アドミッション制御)でビデオが許可されており、割り当て済みの MTP でパススルーとマルチメディアがサポートされている場合には、ビデオも含まれるようになります。
• Cisco Unified Communications Manager は、次のシナリオの場合に遅延オファー INVITE を送信します。
– 通話中のメディア再ネゴシエーション
– コール保留:MOH サーバがネゴシエートされたオーディオ コールと同じコーデックをサポートしていないことがあるため、Cisco Unified Communications Manager は MOH を挿入する場合、通話中に遅延オファー INVITE を送信します。Cisco Unified Communications Manager では、メディアを再ネゴシエートするために、遠端の完全なコーデック リストを必要とします。
– コール再開
(注) 回線側デバイスでコール転送を開始してコールを離れると、Cisco Unified Communications Manager は 1 つまたは 2 つのトランク レッグを接続して、通話中に遅延オファー INVITE を送信します。遅延オファー INVITE を使用することにより、転送の結果として 2 つのトランク コール レッグが接続されたときに、ビデオや SRTP などの機能が破棄されずにすみます。
• 次の状況のいずれかが発生した場合、Cisco Unified Communications Manager で遅延オファー INVITE が送信されるか、または発信コールが失敗します。
– 割り当て済みの MTP、トランスコーダ、または TRP で getPort 機能がサポートされていない場合に、発信 SIP トランク レッグが早期オファーに対して有効になっていると、Cisco Unified Communications Manager は早期オファーを提供するための別のメディア リソースを割り当てません。
– SIP トランクで [信頼できるリレーポイントを使用(Use Trusted Relay Point)] の設定が有効になっており([デバイス(Device)] > [トランク(Trunk)])、割り当て済みのメディア リソースで TRP 機能がサポートされていないか、またはメディア ポートの提供に失敗している場合、Cisco Unified Communications Manager は別のメディア リソースを割り当てません。この状況は、MTP または RSVP エージェントが TRP に設定されていない場合に発生します。
– Fail Call If MTP Allocation Fails サービス パラメータまたは Fail Call If TRP Allocation Fails サービス パラメータの設定に応じて、Cisco Unified Communications Manager で遅延オファーが送信されるか、またはコールが失敗します。
• 早期オファー SIP トランク上の打診コール レッグで帯域内呼び出し音またはアナウンスを提供するブラインド転送で呼び出し音を提供するように、SIP トランクに UPDATE および PRACK を設定してください。トランクが PRACK に対して有効になっていない場合、または遠端のデバイスで UPDATE がサポートされていない場合、転送される側は呼び出し音を受信しません。
• 以前のリリースと同様に、オファー SDP 内のコーデックの順序は変更できません。Cisco Unified Communications Manager は内部リストに基づいて、一般的には高いものから低いものとなるようにコーデックを並べます。この問題を回避するには、SIP 正規化スクリプトを作成して、オファー SDP 内のコーデックの順序を並べ替えます。
トレース
次に、早期オファー コールのトラブルシューティングに役立つトレースの例を示します。
SIP トランクのトレース
001685280 |2010/05/25 13:50:31.980 |100 |AppInfo |||SIPCdpc(1,100,67,9)||1,100,67,9.1^*^*|//SIP/SIPCdpc(1,67,9)/ci=30801944/ccbId=14961/scbId=0/StartTransition: requireInactiveSDPForMidcallMediaChange=0, isTrunkEnabledForVoiceEO=1
(注) 1 は、このコールに対して早期オファーが有効になっていることを示し、0 は早期オファーが無効になっていることを示します。
001685289 |2010/05/25 13:50:32.001 |100 |SdlSig |PolicyAndRSVPRegisterReq |wait |RSVPSessionMgr(1,100,91,1) |SIPCdpc(1,100,67,9) |1,100,49,1.100206^172.18.199.61^SEP001319ACCA00 |[R:N-H:0,N:0,L:0,V:0,Z:0,D:0] CI= 30801944 Branch= 0 reg=Default cap=0 loc=0 MRGLPkid=1db1ba42-9575-e3dc-ba78-fb11d56db546 PrecLev=5 VCall=F VCapa=F VCapCount=0 regiState=0 medReq=0 dataCapFl=2 IsEmccD=F EmccDName=to-ccm84 rcId= ipMode=0 eoType=2 getPort=F sRTP=F cryptocap=0 tm=16 DTMF(wantRecep=1 provOOB=1 suppMeth=1 Cfg=1 PT=0 reqMed=0) hInCodec=F distMed=F mediaEP=F rsvpQoSType=0 qosFallback=F status=0 sipOfferNeededInd=T hasSDP=F geolocInfo={geolocPkid=, filterPkid=, geolocVal=, devType=8}
(注) eoType の値は、なし(0)、G.Clear に対する早期オファー(1)、音声およびビデオに対する早期オファー(2)、G.Clear 音声およびビデオに対する早期オファー(3)です。
001685353 |2010/05/25 13:50:32.087 |100 |SdlSig |PolicyAndRSVPRegisterRes |outCall_waitRSVPRes |SIPCdpc(1,100,67,9) |RSVPSession(1,100,93,5) |1,100,49,1.100207^172.18.199.61^SEP001319ACCA00 |[R:N-H:0,N:0,L:0,V:0,Z:0,D:0] CI= 30801944 Branch= 0 Status=1 rsvpPol=1 vCall=F e2eRSVPInserted=F eoStatus=1 hasSDPMsg=T RSVPAgent: confID =0 ci =0 capCt =0 reg= mtpType =2 agentCt =0 agentAllo =0 RemoAgent=F DevCap=0 ipAddrMode=0
(注) eoStatus の有効な値は、なし(0)、音声およびビデオに対する早期オファー(1)、G.Clear に対する早期オファー(2)、遅延オファーの続行(3)、失敗したコール(4)です。
早期オファー コールに関与している StationD(SCCP デバイス)のトレース
001685325 |2010/05/25 13:50:32.064 |100 |SdlSig |DeviceMediaInfoReq |restart0 |StationD(1,100,50,13) |RSVPSession(1,100,93,5) |1,100,49,1.100206^172.18.199.61^SEP001319ACCA00 |[R:N-H:0,N:0,L:0,V:0,Z:0,D:0] CI= 30801943 confID=30801943 callRefID=30801943 counter=1 mediaType=1 iptype=0 PPID=16777217 reqCode=1
001685327 |2010/05/25 13:50:32.064 |100 |SdlSig |StationPortReq |restart0 |StationD(1,100,50,13) |StationCdpc(1,100,51,1) |1,100,49,1.100206^172.18.199.61^SEP001319ACCA00 |[R:N-H:0,N:0,L:0,V:0,Z:0,D:0] confID=30801943 PPID=16777217 CI=30801943 transportType=1 addrType=0 mediaType=1 .
SCCPv20 デバイスからの応答は、次のとおりです。
001685328 |2010/05/25 13:50:32.081 |100 |AppInfo |||StationInit(1,100,49,1)||1,100,49,1.100207^172.18.199.61^SEP001319ACCA00|StationInit: (0000013) PortRes IpAddr=0x399eb00, Port=31780, RTCPPort=0, confID=30801943, PPID=16777217
001685330 |2010/05/25 13:50:32.081 |100 |SdlSig |StationPortRes |outgoing_call_proceeding3 |StationCdpc(1,100,51,1) |StationD(1,100,50,13) |1,100,49,1.100207^172.18.199.61^SEP001319ACCA00 |[R:N-H:0,N:0,L:0,V:0,Z:0,D:0] CI=30801943 confID=30801943 ptpID=16777217 ipaddr=0x{ac,12,c7,3d,0,0,0,0,0,0,0,0,0,0,0,0} port=31780 =.type=0 . RTCPPort=0 mediaType=1
001685331 |2010/05/25 13:50:32.082 |100 |SdlSig |DeviceMediaInfoRes |wait |RSVPSessionMgr(1,100,91,1) |StationCdpc(1,100,51,1) |1,100,49,1.100207^172.18.199.61^SEP001319ACCA00 |[R:N-H:0,N:0,L:0,V:0,Z:0,D:0] CI= 30801943 confID=30801943 callRefID=30801943 mediaType=1 iptype=0 PPID=16777217 reqCode=1 port=31780 RTCPPort=0 ipAddrType=0 ipv4=172.18.199.61 status=0
MTP アプリケーションが必要な場合の早期オファー コールのメディア レイヤ トレース
001686458 |2010/05/25 13:50:48.535 |100 |SdlSig |AuEarlyOfferConnectReq |waitForAll |MediaCoordinator(1,100,125,1) |RSVPSession(1,100,93,6) |1,100,49,1.100222^172.18.201.82^SEP0014F2E982F1 |[R:N-H:0,N:0,L:0,V:0,Z:0,D:0] Party1: CI=30801945 capCount=7 region=Default xferMode=4 mrid=0 audioId=0 videoCap=F dataCap=2 activeCap=0 cryptoCapCount=0 flushIns=0 dtmCall=0 dtmPrimaryCI=0 IFPid=(0,0,0,0) dtMedia=F honorcodec=F EOType=0 MohType=0 Party2: CI=30801946 capCount=0 region=Default xferMode=16 mrid=0 audioId=0 videoCap=F dataCap=2 activeCap=0 cryptoCapCount=0 flushIns=0 dtmCall=0 dtmPrimaryCI=0 IFPid=(0,0,0,0) dtMedia=F honorcodec=F EOType=2 MohType=0 videoCall=F confID =0 ci =0 capCt =0 reg= mtpType =2 agentCt =0 agentAllo =0 RemoAgent=F DevCap=0 ipAddrMode=0 mtpInsReason=32 hasSDP=F
(注) mtpInsReason の有効な値は、なし(0)、TRP 側 B(1)、TRP 側 A(2)、トランスコーダ側 A(4)、MTP 側 A(8)、DTMF 不一致(16)、早期オファー(32)です。
001686676 |2010/05/25 13:50:48.646 |100 |SdlSig |AuEarlyOfferConnectReply |wait |RSVPSession(1,100,93,6) |MediaCoordinator(1,100,125,1) |1,100,49,1.100223^172.18.197.154^MTP_sinise |[R:N-H:0,N:0,L:0,V:0,Z:0,D:0] ciParty1=30801945 ciParty2=30801946 devicePidParty1=(1,100,50,3) devicePidParty2=(1,100,67,10) err=0 videoFlag=F hasSDP=T.
(注) メディア リソース割り当ての失敗に対する有効なエラーコードの値は、エラーなし(0)、TRP 割り当て側 B(1)、TRP 側 A(2)、トランスコーダ側 A(3)、MTP 側 A(4)、DTMF 不一致の MTP(5)、早期オファーの MTP(6)です。
早期オファーの問題のトラブルシューティング
早期オファーの問題をトラブルシューティングする方法については、 表 40-9 を参照してください。
表 40-9 早期オファーの問題のトラブルシューティング
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早期オファー SIP トランクの初期発信 INVITE に SDP が含まれない。 |
1. 早期オファー トランクに関連付けられている SIP の [音声コールとビデオコールに対する早期オファーのサポート(Early Offer support for voice and video calls)] チェックボックスがオンになっていることを確認します。 2. SIP トランクが IPv6 専用モードのトランクでもデュアルモードのトランクでもなく、ANAT またはメディア設定が IPv6 に設定されていることを確認します。 3. 発信側デバイスが IPv6 専用デバイスではないことを確認します。 4. SCCP v20 よりも前のデバイスまたは H323 SlowStart デバイスからコールが開始されている場合、あるいはこれが遅延オファー着信コールの場合、MTP 割り当てが実行されていることを確認します。 5. 発信者または SIP トランクのメディア リソース グループ リストに使用可能な MTP があることを確認します。MTP ファームウェアで getPort 機能がサポートされていることを確認します。MTP イメージで getPort 機能がサポートされていない場合は、より新しいイメージ(IOS リリース 15.1(2)T 以降)にアップグレードします。 6. SCCP v20 発信側デバイスの場合、デバイスが StationPortRes/DeviceMediaInfoRes でメディア ポートを提供していることを確認します。提供していなかった場合は、タイムアウト イベント(GetPortResponseTimer または TimeoutWaitingForPortInfo)を確認します。 |
早期オファー SIP トランクの発信コールが失敗する。Cisco Unified Communications Manager が INVITE を送信しない。 |
1. SCCP v20 よりも前のデバイスまたは H323 SlowStart デバイスまたは遅延オファー着信トランクからコールが開始されている場合、MTP 割り当てが実行されていること、およびその MTP で SCCP v20 がサポートされていることを確認します。 2. MTP 割り当てに失敗している場合は、次のうちの 1 つまたは複数を実行します。 – Fail Call Over SIP Trunk If MTP Allocation Fails サービス パラメータの設定を確認し、[ False ] に設定します。 – SIP トランクまたはデフォルト プールに関連付けられているメディア リソース グループ リストに MTP を含めます。 3. MTP イメージで getPort 機能がサポートされていない場合は、より新しいイメージ(IOS リリース 15.1(2)T 以降)にアップグレードします。 4. SCCP v20 デバイスからコールが開始されている場合は、SCCP 回線デバイスからの StationPortRes を待機している間に、Cisco Unified Communications Manager がタイムアウト(通常、2 秒後)していないかどうかを確認します。タイムアウトしていた場合、SCCP デバイスをリセットしたり、電話機のログを収集したりする必要があります。また、Fail Call Over SIP Trunk If MTP Allocation Fails サービス パラメータの設定も確認します。Cisco Unified Communications Manager で遅延オファー INVITE を送信する場合は、パラメータを [ False ] に設定します。 |
早期オファー SIP トランクの発信コールに、常に 1 つのコーデックと MTP の IP アドレスおよびポートを含む SDP が含まれる。 |
1. このトランクの [トランクの設定(Trunk Configuration)] ウィンドウで、[メディアターミネーションポイントが必須(Media Termination Point Required)] チェックボックスがオフになっていることを確認します。 2. このトランクの [トランクの設定(Trunk Configuration)] ウィンドウで、[メディアターミネーションポイントが必須(Media Termination Point Required)] チェックボックスがオフになっている場合は、メディア リソースが割り当てられているかどうかを確認します。メディア リソースはローカル RSVP、トランクで有効な TRP、早期オファー、DTMF 不一致、またはコーデック不一致に割り当てることができます。 3. メディア リソースがパススルー コーデック用に設定されていることを確認します。 |
MTP が初期コールに挿入されている場合に、初期コールでビデオが表示されない。 |
1. このトランクの [トランクの設定(Trunk Configuration)] ウィンドウで、[メディアターミネーションポイントが必須(Media Termination Point Required)] チェックボックスがオフになっていることを確認します。 2. Cisco Unified Communications Manager の MTP が割り当てられていないことを確認します。Cisco Unified Communications Manager の MTP では、ビデオ パススルーをサポートしていません。 3. IOS MTP が割り当てられている場合は、IOS MTP がパススルー コーデックを使用して設定されていることを確認します。IOS MTP はビデオ パススルーをサポートしています。 4. ロケーション コール アドミッション制御でビデオ コールが許可されていることを確認します。 |
MTP がコールに挿入されている場合に、コールが非セキュアになる。 |
1. このトランクの [トランクの設定(Trunk Configuration)] ウィンドウで、[メディアターミネーションポイントが必須(Media Termination Point Required)] チェックボックスがオフになっていることを確認します。 2. IOS MTP がパススルー コーデックを使用して設定されていることを確認します。 3. コールが H323 SlowStart デバイスまたは遅延オファー トランクから開始されていないことを確認します。 |