SIP 電話機設定の相違点
表B-1 では、Cisco Unified IP Phone とサードパーティ製 SIP 電話機の設定を比較してその相違点の概要を示します。
表B-1 SIP 電話機モデルの設定比較
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Cisco Unified Communications Manager のフェールオーバーとフェールバックのサポート
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Cisco Unified IP Phone 7911、7941、7961、7970、7971 |
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Cisco Unified IP Phone 7940、7960 |
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Cisco Unified IP Phone 7905、7912 |
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サードパーティ製 SIP 電話機 |
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Cisco Unified Communications Manager の管理ページを使用すると、サードパーティ製 SIP 電話機を設定できます(「サードパーティ製 SIP 電話機の設定チェックリスト」を参照)。また、管理者はサードパーティ製 SIP 電話機上で設定手順を実行する必要もあります。次の例を参照してください。
• 電話機のプロキシ アドレスを Cisco Unified Communications Manager の IP アドレスまたは Fully Qualified Domain Name(FQDN; 完全修飾ドメイン名)にする。
• 電話機の電話番号を、Cisco Unified Communications Manager の管理ページでデバイスに設定した電話番号と一致させる。
• 電話機のダイジェスト ユーザ ID(認可 ID とも呼ばれる)を、Cisco Unified Communications Manager の管理ページで設定したダイジェスト ユーザ ID と一致させる。
詳細については、サードパーティ製 SIP 電話機に付属のマニュアルを参照してください。
Cisco Unified Communications Manager がサードパーティ製電話機を識別する方法
サードパーティ製 SIP 電話機は MAC アドレスを送信しないため、ユーザ名を使用して自分自身の身元を証明する必要があります。
REGISTER メッセージには次のヘッダーが含まれています。
Authorization: Digest username="swhite",realm="ccmsipline",nonce="GBauADss2qoWr6k9y3hGGVDAqnLfoLk5",uri="sip:172.18.197.224",algorithm=MD5,response="126c0643a4923359ab59d4f53494552e"
ユーザ名 swhite は、Cisco Unified Communications Manager の管理ページの[エンドユーザの設定(End User Configuration)]ウィンドウに設定されているエンド ユーザと一致する必要があります(「エンド ユーザの設定」を参照)。管理者は、[電話の設定(Phone Configuration)]ウィンドウの[ダイジェストユーザ(Digest User)]フィールドで、サードパーティ製 SIP 電話機にユーザ(たとえば swhite)を設定します(「Cisco Unified IP Phone の設定」を参照)。
(注) 各エンド ユーザ ID は、([電話の設定(Phone Configuration)]ウィンドウの[ダイジェストユーザ(Digest User)]フィールドで)1 つのサードパーティ製電話機だけに割り当てることができます。同じエンド ユーザ ID がダイジェスト ユーザとして複数の電話機に割り当てられている場合、そのエンド ユーザ ID が割り当てられているサードパーティ製電話機は正しく登録されません。
サードパーティ製 SIP 電話機と TFTP
サードパーティ製 SIP 電話機は、Cisco Unified Communications Manager TFTP サーバを使用して設定されません。お客様が、ネイティブ電話機設定メカニズム(通常は、Web ページまたは tftp ファイル)を使用して、電話機を設定します。お客様は、Cisco Unified Communications Manager データベース内のデバイスおよび回線の設定と、ネイティブ電話機設定の同期を保つ必要があります(たとえば、電話機の内線番号 1002 と Cisco Unified Communications Manager の 1002)。さらに、回線の電話番号が変更された場合、Cisco Unified Communications Manager の管理ページとネイティブ電話機設定メカニズムの両方でその電話番号が変更されていることを確認してください。
サードパーティ製 SIP 電話機のダイジェスト認証の使用可能化
サードパーティ製 SIP 電話機のダイジェスト認証を使用可能にするには、管理者が SIP 電話機のセキュリティ プロファイルを作成する必要があります(「電話機のセキュリティ プロファイルの設定」を参照)。[SIP電話セキュリティプロファイルの設定(SIP Phone Security Profile Configuration)]ウィンドウで、[ダイジェスト認証を有効化(Enable Digest Authentication)]チェックボックスをオンにします。セキュリティ プロファイルの設定後、管理者は、[電話の設定(Phone Configuration)]ウィンドウを使用して、そのセキュリティ プロファイルを SIP 電話機に割り当てる必要があります。このチェックボックスがオフである場合、Cisco Unified Communications Manager は、エンド ユーザ ID によって電話機を識別するためにダイジェスト認証を使用し、ダイジェスト パスワードを確認しません。このチェックボックスがオンである場合、Cisco Unified Communications Manager はパスワードを確認します。
(注) Cisco Unified Communications Manager は、サードパーティ製 SIP 電話機からの Transport Layer Security(TLS)をサポートしません。
DTMF 受信
DTMF 受信を要求するには、Cisco Unified Communications Manager の管理の[電話の設定(Phone Configuration)]ウィンドウに表示される[DTMF受信が必要(Require DTMF Reception)]チェックボックスをオンにします。
サードパーティ製 SIP 電話機用のライセンス
サードパーティ製 SIP 電話機のライセンスには、次の制限が適用されます。
• [Third-party SIP Device(Basic)]:ビデオ コールはサポートされません。ビデオの実行は、オファー/アンサー プロセスの中で発生します。ビデオのネゴシエーションが許可されない SIP デバイスからのオファーまたはアンサーの中で、ビデオ関連メディアが提供された場合、コールのビデオに関連しない部分だけが発信先に展開されます。同様に、メディアのネゴシエーションが許可されない SIP エンドポイントは、Cisco Unified Communications Manager から送信された SDP のビデオ関連メディアを受信しません。
• [Third-party SIP Device(Advanced)]および[Third-party SIP Device(Basic)]:Cisco 固有の SIP 拡張はサポートされません。サポートされない Cisco 固有の SIP 拡張には、サービス URI、ヘッダー拡張、ダイアログ サブスクリプション、リモート コール制御の専用 mime タイプなどがあります。Cisco Unified Communications Manager は、拡張機能の使用が許可されない SIP 電話機から送信された、サービス要求 URI(コール ピックアップ URI、ミートミー サービス URI など)を使用する要求を拒否します。サービス URI は、SIP プロファイルで指定します。プロファイルは、SIP デバイスに割り当てられます。Cisco Unified Communications Manager は、Cisco 固有の SIP 拡張の使用を要求する機能をブロックします。
(注) Cisco Unified Communications Manager ライセンス ポリシーに従い、サードパーティ製ワイヤレス SIP クライアントまたはデバイスは、[Third-Party SIP Device(Advanced)]に設定してください。
Cisco SIP 拡張の詳細については、シスコの営業担当者にお問い合せください。
Cisco Unified Communications Manager リリース 5.0 からリリース 6.0(1)への移行
Cisco Unified Communications Manager リリース 5.1(1)以降では、サードパーティ製の基本および拡張 SIP 電話機の特性がいくつか変更されています。このような特性としては、Cisco Unified Communications Manager の管理ページの[電話番号の設定(Directory Number Configuration)]ウィンドウに表示される[Maximum Number of Calls per Device]、[Default Maximum number of calls per DN]、[Default Busy Trigger per DN]の各フィールドに対する変更があります。詳細については、 表B-2 および 表B-3 を参照してください。
表B-2 サードパーティ製基本 SIP 電話機の電話番号移行に関する変更
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[Maximum Number of Calls Per Device] |
8 |
2 |
[Default Maximum Number of Calls per DN] |
4 |
2 |
[Default Busy Trigger per DN] |
2 |
2 |
表B-3 サードパーティ製拡張 SIP 電話機の電話番号移行に関する変更
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[Maximum Number of Calls Per Device] |
64 |
16 |
[Default Maximum Number of Calls per DN] |
4 |
2 |
[Default Busy Trigger per DN] |
2 |
2 |
リリース 5.0 で設定したサードパーティ製 SIP 電話機があり、リリース 6.0(1)以降に移行またはアップグレードした場合、これらのデバイスはアップグレード後もリリース 5.0 で設定された値を保持します。ただし、DN 設定値を変更する必要が生じた場合は、各 DN の最大コール数とデフォルト ビジー トリガーの値を変更する必要があります。
サードパーティ製基本 SIP 電話機の場合、変更する必要がある回線の値は 1 つだけです。ただし、サードパーティ製拡張 SIP 電話機の場合は、DN 関連の設定を変更する前に、デバイスからの回線の分離が必要になることがあります。これは、4 回線を超える回線が設定されていた場合に発生する可能性があります。シナリオの例を示します。
• 回線ごとに最大コール数 = 4、ビジー トリガー = 2 で、拡張電話機に 6 本の回線が設定されている。
• リリース 6.0 にアップグレードした後は、DN を変更する前に、デバイスの最大コール数を 16 に減らす必要がある。この電話機の現在の値は 24(6 回線× 4)。このデバイスは、実質的に負のゾーンに存在している(16 - 24)。
• ユーザは、デバイスから 2 つの回線を分離する必要がある。
• デバイスから 2 つの回線を分離した後、残りの 4 回線について、最大コール数およびビジー トリガーを適切な値に設定して、DN 特性を変更できる。
• 分離した回線を再び接続する。
サードパーティ製 SIP 電話機の設定チェックリスト
表B-4 に、Cisco Unified Communications Manager の管理ページを使用して手動でサードパーティ製 SIP 電話機を設定する手順を示します。
表B-4 サードパーティ製 SIP 電話機の設定チェックリスト
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ステップ 1 |
電話機に関する次の情報を収集します。 • MAC アドレス • 電話機の物理的なロケーション • 電話機に関連付ける Cisco Unified Communications Manager ユーザ • パーティション、コーリング サーチ スペース、およびロケーションの情報(使用する場合) • 電話機に割り当てる回線および関連 DN の数 |
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ステップ 2 |
十分なデバイス ライセンス ユニットが使用可能かどうかを調べます。不足している場合は、追加のデバイス ライセンス ユニットを購入してインストールします。[Third-Party SIP Devices(Basic)]は 3 つのデバイス ライセンス ユニットを消費し、[Third-Party SIP Devices(Advanced)]は 6 つのデバイス ライセンス ユニットを消費します。 |
「ライセンス ユニットの計算方法」 「ライセンス ファイルの取得」 |
ステップ 3 |
ダイジェスト ユーザにするエンド ユーザを設定します。
(注) サードパーティ製 SIP 電話機が認可 ID(ダイジェスト ユーザ)をサポートしない場合は、サードパーティ製電話機の DN と一致するユーザ ID を持つユーザを作成してください。たとえば、1000 という名前のエンド ユーザを作成し、電話機に 1000 という DN を作成します。このユーザを電話機に割り当てます(ステップ 9 を参照)。
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「エンド ユーザの設定」 |
ステップ 4 |
SIP プロファイルを設定します。または、デフォルト プロファイルを使用します。SIP プロファイルは、[電話の設定(Phone Configuration)]ウィンドウを使用して SIP 電話機に追加されます。
(注) サードパーティ製 SIP 電話機は、[SIPプロファイルの設定(SIP Profile Configuration)]ウィンドウの[SIPプロファイル情報(SIP Profile Information)]セクションだけを使用します。
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「SIP プロファイルの設定」 「Cisco Unified IP Phone の設定」 |
ステップ 5 |
電話機のセキュリティ プロファイルを設定します。ダイジェスト認証を使用するには、新しい電話機セキュリティ プロファイルを設定する必要があります。自動登録用に提供されている標準のノンセキュア SIP プロファイルの 1 つを使用する場合は、ダイジェスト認証を使用可能にできません。 |
「サードパーティ製 SIP 電話機のダイジェスト認証の使用可能化」 「電話機のセキュリティ プロファイルの設定」 『 Cisco Unified Communications Manager セキュリティ ガイド 』 |
ステップ 6 |
[新規電話を追加]ウィンドウから[Third-party SIP Device(Advanced)]または[Third-party SIP Device(Basic)]を選択して、サードパーティ製 SIP 電話機を追加し、設定します。
(注) [Third-party SIP Device(Basic)]は 1 つの回線をサポートし、3 つのライセンス ユニットを消費します。[Third-party SIP Device(Advanced)]は、8 つの回線とビデオをサポートし、6 つのライセンス ユニットを消費します。
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「Cisco Unified IP Phone の設定」 |
ステップ 7 |
電話機に対して回線(DN)を追加し、設定します。 |
「電話番号の設定」 |
ステップ 8 |
[エンドユーザの設定(End User Configuration)]ウィンドウで、[デバイスの割り当て(Device Associations)]を使用して SIP 電話機を選択し、サードパーティ製 SIP 電話機をユーザに関連付けます。 |
「エンド ユーザとデバイスとの関連付け」 |
ステップ 9 |
[電話の設定(Phone Configuration)]ウィンドウの[ダイジェストユーザ(Digest User)]フィールドで、ステップ 3 で作成したエンド ユーザを選択します。 |
「電話機の設定値」 |
ステップ 10 |
サードパーティ製 SIP 電話機に対して、電源を供給し、ネットワーク接続を装備して確認し、ネットワーク設定値を設定します。 |
SIP 電話機に付属のアドミニストレーション ガイドを参照してください。 |
ステップ 11 |
サードパーティ製 SIP 電話機でコールを発信します。 |
サードパーティ製 SIP 電話機に付属のユーザ ガイドを参照してください。 |