Cisco vWAAS on Microsoft Hyper-V
この章では、Microsoft Hyper-V で Cisco vWAAS を使用する方法を説明します。内容は次の通りです。
vWAAS on Microsoft Hyper-V について
WAAS Version 6.1.x 以降を使用する vWAAS で利用可能な Microsoft Hyper-V は、x86_64 システムに向けた、プラットフォームの仮想化を可能にするネイティブ ハイパーバイザです。Cisco vWAAS on Microsoft Hyper-V を使用すると、シスコ ネットワーキングの利点を Microsoft Windows Server Hyper-V 展開に拡張できます。これにより、使用率の向上、サーバ ワークロードの統合、コストの削減が可能です。この目的を実現するために、vWAAS on Hyper-V では、ハードウェア仮想化を使用して複数のオペレーティング システムが 1 つのホスト上で実行できるようにし、これらのオペレーティング システムで基盤となる物理ハードウェアの共有を可能にします。
vWAAS on Hyper-V では、物理 WAAS デバイスでサポートされるすべての WAN 最適化機能をサポートしています。vWAAS on Hyper-V の物理メモリは、Cisco UCS サーバによって提供されます。
Hyper-V 上の仮想マシンを仮想 WAAS Central Manager(vCM)または vWAAS として設定できます。
- vCM として構成された Hyper-V デバイスには、WAAS Central Manager と同じ機能があり、WAAS Central Manager で管理されているその他のデバイスを管理できます。
- vWAAS として構成された Hyper-V デバイスには、非 Hyper-V vWAAS と同じ機能があります。vWAAS on Hyper-V の物理メモリは、UCS サーバによって提供されます。
サポートされるプラットフォーム、ソフトウェア バージョン、ディスク タイプ
表 5-1 vWAAS on Microsoft Hyper-V でサポートされるプラットフォームとソフトウェア バージョンを記載します。
表 5-1 vWAAS on VMware ESXi でサポートされるプラットフォームとソフトウェア バージョン
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- PID:OE-VWAAS-HYPERV
- デバイス タイプ:OE-VWAAS-HYPERV
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- Cisco UCS
- Cisco UCS-E シリーズ
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- Microsoft Windows 2008 R2
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vWAAS on Hyper-V System の要件
ここでは、次の内容について説明します。
システム インフラストラクチャの要件
WAAS システムでは、vWAAS on Hyper-V を展開するために次のものが必要です。
- Microsoft Hyper-V ハイパーバイザ:ハイパーバイザは、複数のオペレーティング システムを 1 つのホスト上で実行できるようにします。vWAAS は、Hyper-V 2008 R2 以降が実行されている任意のホスト上でゲストとして動作します。
- Hyper-V 仮想スイッチ:Hyper-V 仮想スイッチは、仮想ネットワークと物理ネットワークの両方に仮想マシンを接続する、ソフトウェア ベースのレイヤ 2 スイッチです。このスイッチは、セキュリティ、分離、およびサービス レベルに対するポリシーを適用し、テナントの分離、トラフィック シェーピング、トラブルシューティングの簡素化、および悪意のある仮想マシンからの保護を実現するための機能があります。
Hyper-V サーバの役割をインストールすると、Hyper-V 仮想スイッチを Hyper-V マネージャで使用できます。
ハードウェア仮想化の要件
ここでは、vWAAS on Hyper-V のハードウェア仮想化における、CPU、ディスク、CD-ROM、およびフラッシュの要件を説明します。
- CPU:vWAAS on Hyper-V では、2、4、および 8 CPU 構成をサポートしています。vWAAS on Hyper-V では最小 CPU 制限が必要です。
(注) 異なる CPU 構成の vWAAS VM(仮想マシン)も機能しますが、推奨されません。
- vWAAS on Hyper-V のディスク サイズ:vWAAS on Hyper-V のディスク サイズは、各モデルについて、ESXi の場合と同じです。バージョン 6.x までの WAAS バージョンのディスク サイズの詳細は、第 4 章 「Cisco vWAAS on VMware ESXi」 のセクション vWAAS および vCM モデルに向けた ESXi サーバのデータストア メモリおよびディスク容量を参照してください。
- CD-ROM:vWAAS on Hyper-V では、CD-ROM デバイスで標準 ISO イメージ ファイルをサポートしています。
- フラッシュ:物理 WAAS デバイスとは異なり、vWAAS on Hyper-V では別のフラッシュ デバイスにはアクセスできません。代わりに、vWAAS フラッシュが最初のハード ディスクにインストールされ、この最初のディスクが起動にも使用されます。別のより大きなディスクでは DRE/CIFS キャッシュなどをホストします。その他のフラッシュの機能は ESXi の場合と同様にサポートされます。
vWAAS on Hyper-V の展開オプション
vWAAS on Hyper-V は、インストール可能な製品またはスタンドアロン ロールとして展開できます。
- Windows Server のインストール可能な製品としてのvWAAS on Hyper-V:Windows Server 2008 R2、Windows Server 2012、または Windows Server 2012 R2。
- Hyper-V サーバのスタンドアロン ロールとしての vWAAS on Hyper-V:Microsoft Hyper-V Server 2012 または Microsoft Hyper-V Server 2012 R2 と使用。
表 5-2 vWAAS に対する Microsoft Hyper-V および Microsoft System Center Virtual Machine Manager(SCVMM)のサポートを示します。
表 5-3 スタンドアロンまたはインストール可能な製品として展開され vWAAS および vCM on Microsoft Hyper-V でサポートされるプラットフォームを示します。
表 5-2 Microsoft Hyper-V サーバおよび SCVMM 向けの vWAAS サポート
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Microsoft Hyper-V Server 2008 |
SCVMM 2008 |
なし |
Microsoft Hyper-V Server 2008 R2 |
SCVMM 2008 R2 |
なし |
Microsoft Hyper-V Server 2008 R2 |
SCVMM 2012 または SCVMM 2012 R2 |
対応 |
Microsoft Hyper-V Server 2012 |
SCVMM 2012 または SCVMM 2012 R2 |
対応 |
Microsoft Hyper-V Server 2012 R2 |
SCVMM 2012 または SCVMM 2012 R2 |
対応 |
(注) SCVMM を Windows 2008 R2 にインストールする場合、最初に Windows 2012 または Windows 2012 R2 に登録する必要があります。
表 5-3 Hyper-V サーバまたは Windows Server の vWAAS でサポートされるプラットフォーム
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Windows Server にインストール可能な製品
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Hyper-V Server 2012 または 2012 R2
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Windows Server 2012 または 2012 R2
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UCS E シリーズおよび UCS サーバ |
UCS E シリーズおよび UCS サーバ |
UCS E シリーズおよび UCS サーバ |
vCM-100 |
vCM-100 |
vCM-100 |
vCM-500 |
vCM-500 |
vCM-500 |
vCM-1000 |
vCM-1000 |
vCM-1000 |
vCM-2000 |
vCM-2000 |
vCM-2000 |
vWAAS-150 (WAAS バージョン 6.2.1 以降については、Cisco EHWIC および NIM でサポート。) |
vWAAS-150 (WAAS バージョン 6.2.1 以降については、Cisco EHWIC および NIM でサポート。) |
vWAAS-150 (WAAS バージョン 6.2.1 以降については、Cisco EHWIC および NIM でサポート。) |
vWAAS-200 |
vWAAS-200 |
vWAAS-200 |
vWAAS-750 |
vWAAS-750 |
vWAAS-750 |
vWAAS-1300 |
vWAAS-1300 |
vWAAS-1300 |
vWAAS-2500 |
vWAAS-2500 |
vWAAS-2500 |
vWAAS-6000 |
vWAAS-6000 |
vWAAS-6000 |
vWAAS-12000 |
vWAAS-12000 |
vWAAS-12000 |
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vWAAS-50000 |
vWAAS-50000 |
vWAAS on Microsoft Hyper-V に向けた OVA パッケージ形式
ここでは、次の内容について説明します。
WAAS バージョン 5.x ~ 6.2.x の vWAAS on Hyper-V に向けた OVA パッケージ
WAAS バージョン 5.x ~ 6.2.x の vWAAS on Microsoft Hyper-V に向けて、シスコは各 vWAAS 接続プロファイル(表 5-4 に例を記載)と各 vCM 接続プロファイル(表 5-5 に例を記載)の OVA または NPE OVAパッケージを提供しています。
vWAAS on Microsoft Hyper-V に向けた Cisco OVA パッケージには次が含まれます。
- SCVMM テンプレート ファイル
- WAAS image.iso ファイル
- フラッシュ用の仮想ハード ディスク(VHD)ファイル
- SCVMM に向けた PowerShell 展開スクリプト
- スタンドアロン ホストに向けた PowerShell 展開スクリプト
(注) vWAAS 向けのハイパーバイザ OVA、zip、tar.gz ファイルのリストについては、Cisco Wide Area Application Services(WAAS)ダウンロード ソフトウェア ページを参照し、vWAAS で使用している WAAS ソフトウェア バージョンを選択してください。
表 5-4 WAAS バージョン 5.x ~ 6.2.x の vWAAS on Hyper-V に向けた OVA パッケージ形式の例
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Cisco Hyper-V 150 パッケージ ファイル NPE 用 Cisco Hyper-V 150 パッケージ ファイル |
- Hv-Cisco-vWAAS-150-6.2.3d-b-68.zip
- Hv-Cisco-vWAAS-150-6.2.3d-npe-b-68.zip
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Cisco Hyper-V 200 パッケージ ファイル NPE 用 Cisco Hyper-V 200 パッケージ ファイル |
- Hv-Cisco-vWAAS-200-6.2.3d-b-68.zip
- Hv-Cisco-vWAAS-200-6.2.3d-npe-b-68.zip
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Cisco Hyper-V 750 パッケージ ファイル NPE 用 Cisco Hyper-V 750 パッケージ ファイル |
- Hv-Cisco-vWAAS-750-6.2.3d-b-68.zip
- Hv-Cisco-vWAAS-750-6.2.3d-npe-b-68.zip
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Cisco Hyper-V 1300 パッケージ ファイル NPE 用 Cisco Hyper-V 1300 パッケージ ファイル |
- Hv-Cisco-vWAAS-1300-6.2.3d-b-68.zip
- Hv-Cisco-vWAAS-1300-6.2.3d-npe-b-68.zip
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Cisco Hyper-V 2500 パッケージ ファイル NPE 用 Cisco Hyper-V 2500 パッケージ ファイル |
- Hv-Cisco-vWAAS-2500-6.2.3d-b-68.zip
- Hv-Cisco-vWAAS-2500-6.2.3d-npe-b-68.zip
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表 5-5 WAAS バージョン 5.x ~ 6.2.x の vCM に向けた Cisco OVA パッケージ形式
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Cisco Hyper-V 100N パッケージ ファイル NPE 用 Cisco Hyper-V 100N パッケージ ファイル |
- Hv-Cisco-100N-6.2.3d-b-68.zip
- Hv-Cisco-100N-6.2.3d-npe-b-68.zip
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WAAS バージョン 6.4.1 以降の vWAAS on Hyper-V に向けた統一 OVA パッケージ
WAAS バージョン 6.4.1 以降の vWAAS on Microsoft Hyper-V の場合、シスコはそのハイパーバイザのすべての vWAAS モデルに向けて、NPE または非 NPE バージョンの WAAS イメージ用の単一の、統一された OVA を提供します。
各統一 OVA パッケージは、特定のハイパーバイザでの実行準備が整った事前設定済みの仮想マシン イメージです。各統一 OVA パッケージ ファイルに向けた起動スクリプトは、要求される設定の WAAS でvWAAS を起動するためのモデルおよびその他のパラメータを提供します。
次に、Microsoft Hyper-V に向けた統一 OVA および NPE OVA パッケージ ファイルのファイル名の例を示します。
- OVA—Cisco-HyperV-vWAAS-Unified-6.4.1-b-33.zip
- NPE OVA—Cisco-HyperV-vWAAS-Unified-6.4.1-b-33-npe.zip
Microsoft Hyper-V に向けた統一 OVA パッケージには次のファイルが含まれます。
- SCVMM テンプレート ファイル
- WAAS image iso
- フラッシュ用の仮想ハードディスク ファイル
- SCVMM 向けの PowerShell 展開スクリプトと一連のテンプレート.xml ファイル
- スタンドアロン ホストに向けた PowerShell 展開スクリプトと一連のテンプレート.xml ファイル
Microsoft Hyper-V での vWAAS のインストール
ここでは、次の内容について説明します。
WAAS バージョン 5.x ~ 6.2.x の vWAAS での vWAAS on Hyper-V のインストール
vWAAS on Hyper-V は、Microsoft Virtual Machine Manager(VMM)を使用して、仮想ディスク(VHD)ファイルと共にインストールされます。インストール中に、事前に設定およびインストールされた vWAAS イメージを Hyper-V にインポートするオプションがあります。インストールが完了したら、「vWAAS on Hyper-V の有効化および登録」に説明されている手順に従って有効化および登録プロセスを完了します。
ここでは、次の内容について説明します。
VHD テンプレートを使用した vWAAS on Hyper-V のインストール
vWAAS で使用可能な 7 つの VHD テンプレートがあり、そのうち 4 つの VHD テンプレートを vCM で使用できます。
事前設定されたモデルベースの VHD ファイルを展開用にインポートできます。VHD テンプレートを使用した Hyper-V のインストールの詳細については、シスコの代理店にお問い合わせください。
VHD テンプレートを使用して vWAAS on Hyper-V をインストールするには、次の手順に従います。
ステップ 1 SCVMM2012 または 2012 R2 コンソールがインストールされているコンピュータに vWAAS パッケージをダウンロードします。
ステップ 2 vWAAS パッケージを展開します。
ステップ 3 SCVMM コンソールにログインします。
ステップ 4 SCVMM に表示される [PowerShell] ウィンドウを起動します。
ステップ 5 展開された vWAAS パッケージに含まれる次の PowerShell スクリプトに移動します。
“.\Cisco-vWAAS-model-name-6.0.0-ISO\Cisco-vWAAS-model-name-6.0.0-ISO”
ステップ 6 PowerShell スクリプト“deploy-vwaas-model-name”を実行します。
ステップ 7 展開スクリプトによって要求される手順に従います。
ステップ 8 vWAAS-12000 または vWAAS-50000 モデルを使用する展開では、NUMA(Non-Uniform Memory Access)構成の最大メモリ量に少なくとも RAM サイズ以上の値を MB 単位で入力する必要があります。そうでない場合、デバイスは起動できません。
(注) ステップ 9 に示された方法で最大メモリ量を入力する作業は、(ステップ 1 ~ステップ 7 に示された方法で)Hyper-V に vWAAS を展開した後に行ってください。
ステップ 9 最大メモリ量を入力するには、次の手順に従います。
a. SC VMM コンソールから、[Hardware] > [Processor] > [NUMA] に移動します。
b. [NUMA Configuration] 画面が表示されます。
c. [Maximum amount of memory (MB)] フィールドに、メモリ量を MB 単位で入力します。
- vWAAS-12000 では、12288 MB 以上の値を入力します。
- vWAAS-50000 では、49152 MB 以上の値を入力します。
WAAS バージョン 6.4.1 以降に向けた vWAAS on Hyper-V のインストール
WAAS 6.4.1 以降の vWAAS で Microsoft Hyper-V を展開するには、次の手順に従ってください。
ステップ 1 次に示すように、Hyper-V 用の Cisco WAAS インストーラで vWAAS または vCM モデルの番号を入力します。
----- Cisco WAAS Installer for vWAAS -----
Enter vWAAS/vCM model number to install [ ]:
ステップ 2 自動化された Hyper-V パッケージの生成により、zip ファイル内のすべての vWAAS モデル テンプレート XML ファイルがコピーされます。入力に基づいて、対応する XML テンプレートが登録され、指定した vWAAS モデルの展開に使用されます。
vWAAS on Hyper-V の有効化および登録
vWAAS on Hyper-V は、WAAS Central Manager(CM)を通じて管理します。vWAAS on Hyper-V では、WAAS デバイスでサポートされるすべての機能をサポートしています。
このセクションでは、vWAAS on Hyper-V をアクティブ化および登録する方法を説明します。インストールの情報は、Microsoft Hyper-V での vWAAS のインストールを参照してください。
Hyper-V vWAAS 仮想マシン(VM)が Hyper-V で起動すると、Hyper-V インターフェイスおよび WAAS CM IP アドレスの設定など、基本的なブート設定情報を入力するよう求められます。
vWAAS on Hyper-V を有効化して登録するには、次の手順に従います。
ステップ 1 vWAAS インターフェイスの IP アドレスとゲートウェイを設定します。また、必要に応じて、name-server、domain-name、およびその他の静的ルートを設定します。
ステップ 2 必要に応じて、WCCP 代行受信を設定します。WCCP 代行受信の設定の詳細については、「WCCP 代行受信」を参照してください。appnav-controller 代行受信の場合、設定は必要ありません。
ステップ 3 WAAS Central Manager の IP アドレスを設定して、vWAAS を WAAS Central Manager に登録できるようにします。
ステップ 4 Hyper-V vWAAS は WAAS CM に接続して自身を登録します。Hyper-V vWAAS が正常に登録されると、稼働中と見なされ、接続が最適化されます。
ステップ 5 次に、vWAAS が WAAS CM に正常に登録できないシナリオを示します。
- Hyper-V vWAAS を WAAS CM に登録できない場合、アラームが生成され、接続は最適化されません。この問題を解決するためにサポートが必要な場合は、シスコ テクニカル サポート(TAC)にお問い合わせください。
- Hyper-V vWAAS は WAAS CM に正常に登録されましたが、シャットダウンまたは電源オフにより接続が失われます。vWAAS が引き続き機能している場合、オフライン状態で接続の最適化が続行されます。
- Hyper-V vWAAS の登録を解除すると(cms deregister EXEC コマンドを使用)、サービスから削除されます。
ステップ 6 vWAAS on Hyper-V がデバイス上で動作するようになると、WAAS CM に次のようなデバイス情報が表示されます。
- Hyper-V デバイスは、[Devices] > [All Devices] リストの [Device Type] に、OE-VWAAS として表示されます。
- Hyper-V デバイスは、[Devices] > [device-name] > [Dashboard] に「OE-VWAAS-HYPER-V」として表示されます。
vWAAS on Hyper-V のトラフィック代行受信方式
ここでは、次の内容について説明します。
vWAAS on Hyper-V のトラフィック代行受信について
vWAAS が Hyper-V ホストに展開されると、WAE デバイスは Hyper-V ホストによって置き換えられます。スイッチまたはルータ内の WAAS トラフィック代行受信機能を変更する必要はありません。また、WCCP プロトコルは、vWAAS Hyper-V 展開内の vWAAS VMware ESXi 展開と同じように動作します。
vWAAS on Hyper-V の WAN 高速化機能は、物理 WAN 高速化 WAE デバイスで提供されるものと同じものです。また、1 つ以上の Hyper-V ホストに複数の vWAAS を展開して、エッジまたはコアのいずれかに WAAS ファームを形成することができます。
WCCP 代行受信
WCCP 代行受信、WCCP GRE または WCCP L2 は、すべての vWAAS on Hyper-V 展開でサポートされています。
WAE の代行受信方式として WCCP を選択するには、次のおおまかな手順に従います。各手順の詳細については、『 Cisco Wide Area Application Services Configuration Guide 』を参照してください。
(注) 次の手順を実行する前に、『Cisco Wide Area Application Services Configuration Guide』の説明に従って、基本的な WCCP 用にルータを設定しておく必要があります。
ステップ 1 WAAS Central Manager メニューから、[Devices] > [device-name] を選択します。
ステップ 2 [Configure] > [Interception] > [Interception Configuration] を選択します。[Interception Configuration] ウィンドウが表示されます。
[Interception Method Settings] 領域
ステップ 3 [Interception Method] ドロップダウン リストから [WCCP] を選択して、vWAAS デバイス上で WCCP 代行受信を有効にします。
[WCCP Settings] 領域
ステップ 4 デバイス上で WCCP を有効化するには、[Enable WCCP Service] チェックボックスをオンにします。
ステップ 5 [WCCP] を選択すると、[Service Type] フィールドに [TCP Promiscuous] が表示されます。
ステップ 6 [Service ID1] フィールドに、WCCP サービス ペアの最初のサービス ID と、1 ~ 99 の ID 番号を指定します。送信後に、[Service ID2] フィールドには、[Service ID1] よりも 1 つ大きいペアの 2 番目のサービス ID と、2 ~ 100 の ID 番号が表示されます。
ステップ 7 WCCP TCP 無差別サービスに関連付けるルータとして WAE のデフォルト ゲートウェイを使用するには、[Use Default Gateway as WCCP Router] チェックボックスをオンにします。
このチェックボックスがオフの場合、[WCCP Routers] フィールドを使用して、ルータの IP アドレスをスペースで区切って入力し、1 つ以上のルータのリストを指定することができます。
[WCCP Assignment Settings for Load Balancing] 領域
ステップ 8 (任意)[Assignment Method] ドロップダウン リストから、使用する WAE ロード バランシング割り当て方式の種類を選択します([Mask] または [Hash])。
- マスク割り当て方式の選択:カスタム マスクを使用するには、[Source IP Mask] フィールドに送信元 ID マスクの値を入力します。範囲は、16 進数で 00000000 ~ FE000000 です。デフォルトは F00 です。[Destination IP Mask] フィールドに送信先 IP マスクの値を入力します。範囲は、16 進数で 0000000 ~ FE000000 です。デフォルトは 0 です。
- ハッシュ割り当て方式の選択:送信元 IP アドレスにハッシュ割り当て方式を指定するには、[送信 IP のハッシュ:(Hash on Source IP:)] チェックボックスをオンにして、[Service ID1] または [Service ID2] を選択します。送信元 IP をチェックすると、対応する送信先 IP が自動的に選択されます([宛先 IP のハッシュ:(Hash on Destination IP:)] チェックボックスの [Service ID2] または [Service ID1])。
[WCCP Redirect and Egress Settings] 領域
ステップ 9 [Redirect Method] ドロップダウン リストから、[WCCP GRE] または [WCCP L2] を選択します。
ステップ 10 [Egress Method] ドロップダウン リストから、[L2] または [IP Forwarding] を選択します。
[Advanced WCCP Settings] 領域
ステップ 11 デバイスが起動したときやデバイスに新しいトラフィックが再割り当てされる際に、TCP フローを維持し、過剰な負荷がかかるのを防止するには、[Enable Flow Protection] チェックボックスをオンにします。フロー リダイレクションの詳細については、『 Cisco Wide Area Application Services Configuration Guide 』の「Information about WCCP Flow Redirection on WAEs」の項を参照してください。
ステップ 12 [Flow Protection Timeout] フィールドで、フローの保護が有効になる時間(秒)を指定します。デフォルトは 0 で、これはタイムアウトなしでフローの保護が有効なままになることを意味します。
ステップ 13 [Shutdown Delay] フィールドで、選択したデバイスが WCCP の正常なシャットダウンの実行を待つ最大時間(秒)を入力します。値の範囲は 0 ~ 86400 秒です。デフォルトは 120 秒です。
ステップ 14 [Failure Detection Timeout] ドロップダウン リストから、障害検出タイムアウト値を選択します(30 秒、15 秒、または 9 秒)。デフォルトは 30 秒です。障害検出タイムアウト値によって、ルータが WAE 障害を検出する時間が決定されます。
ステップ 15 [Weight] フィールドで、ロード バランシングに使用される重みを指定します。重み値の範囲は 0 ~ 10000 です。
- サービス グループ内の WAE の全重み値の合計が 100 以下である場合、重み値はそのまま、ロード バランシングのためにデバイスにリダイレクトされる合計負荷に対する比率(%)となります。
- サービス グループ内の WAE の全重み値の合計が 101 ~ 10000 の間である場合、重み値は、サービス グループでのアクティブな WAE すべての合計の重み付けの割合として扱われます。
ステップ 16 [Password] フィールドで、クラスタ内の WAE と指定したサービス用のルータの間の安全なトラフィックに使用するパスワードを指定します。クラスタ内の他のすべての WAE とルータを同じパスワードで有効にします。パスワードの長さは、8 文字以内です。スペース、左一重引用符(‘)、二重引用符(“”)、パイプ(|)、または疑問符(?)の文字は使用しないでください。
[Confirm Password] フィールドに、パスワードを再入力します。
ステップ 17 [Submit] をクリックして、設定を保存します。
AppNav コントローラの代行受信
AppNav 代行受信は、すべての vWAAS on Hyper-V 展開でサポートされ、現在の ESXi vWAAS モデル内と同じように動作します。
AppNav 代行受信を使用すると、vWAAS ノードは、AppNav 展開内の AppNav コントローラ(ANC)から最適化されたトラフィックを受信できます。vWAAS VM が AppNav 展開に含まれており、AppNav クラスタ内で WAAS ノード(WN)として構成されている場合、AppNav コントローラの代行受信方式を設定する必要があります。これらの WN は ANC からのトラフィックのみを受信し、ルータから直接トラフィックを受信することはありません。
AppNav を代行受信方式として選択するには、次の手順に従います。
ステップ 1 WAAS Central Manager メニューから、[Devices] > [device-name] を選択します。
ステップ 2 [Configure] > [Interception] > [Interception Configuration] を選択します。[Interception Configuration] ウィンドウが表示されます。
ステップ 3 [Interception Method] ドロップダウン リストから [appnav-controller] を選択して、vWAAS デバイス上で appnav コントローラの代行受信を有効にします。
ステップ 4 [Submit] をクリックします。
vWAAS on Hyper-V の動作ガイドライン
ここでは、次の内容について説明します。
vWAAS の展開、UCS-E のアップグレード、Windows Server の更新
注意
同じ Hyper-V ホスト上で複数の vWAAS を平行して展開すると、VHD を作成するときに利用できる空き領域がないことが原因で予期せぬ結果が発生する可能性があります。それぞれの vWAAS モデルに必要な十分な空きディスク容量があることを確認しない限り、Hyper-V で複数の vWAAS を平行して展開しないことをお勧めします。
信頼性の高いスループットを確保するために、Cisco UCS-E シリーズ 160S-M3 の Windows Server 2012 R2 Hyper-V の vWAAS で、次を実行することをお勧めします。
vWAAS on Hyper-V の NTP 設定の構成
Network Time Protocol(NTP)を使用すると、WAAS ネットワーク内の異なる地域にあるデバイスの日時設定を同期できます。これは正しいシステム動作とモニタリングのために重要です。vWAAS on Hyper-V で NTP を設定すると、時間は NTP サーバから取得されて更新されます。
注意
vWAAS on Hyper-V のシステム クロックが他の WAAS デバイスのシステム クロックと同期していることを確認するため、特に、vWAAS on Hyper-V をリロードした後は、[Time synchronization] オプションをオフにする必要があります。このオプションは、vWAAS on Hyper-V で使用しているシステム(System Center Virtual Machine Manager(SC VMM)または Hyper-V Manager)でオフにする必要があります。
NTP 設定の [Time Synchronization] オプションをオフにするには、次の手順に従います。
ステップ 1 SC VMM または Hyper-V Manager の [Time Synchronization] オプションをオフにします。
SC VMM から:
a. [vWAAS VM] を選択します。
b. [Settings] > [Management] > [Integration Services] の順に選択します。
c. [Time synchronization] オプションがオフになっていることを確認します。
d. [OK] をクリックします。
Hyper-V Manager から:
a. [vWAAS VM] を選択します。
b. [Properties] > [Hardware Configuration] > [Advanced] > [Integration Services] の順に選択します。
c. [Time synchronization] オプションがオフになっていることを確認します。
d. [OK] をクリックします。
Hyper-V の高可用性機能
vWAAS on Hyper-V には、次のような複数の高可用性ソリューションが用意されています。
ライブ マイグレーション
Hyper-V ライブ マイグレーションでは、ユーザに対する VM の可用性に影響を与えずに実行中の VM を移動します。これは、移行する VM のメモリを宛先の物理ホストに事前コピーすることで実現されます。ライブ マイグレーションを開始する管理者またはスクリプトは、ライブ マイグレーションの宛先となるコンピュータを指定します。ライブ マイグレーションによって影響を受けることはないため、ゲスト オペレーティング システムに特別な設定は必要ありません。
次の 3 つの方法を使用してライブ マイグレーションを開始できます。
- フェールオーバー クラスタ コンソール
- Virtual Machine Manager 管理コンソール(Virtual Machine Manager が、ライブ マイグレーションをサポートするように構成された物理ホストを管理している場合)
- PowerShell または WMI スクリプト
ライブ マイグレーションを開始して完了するまでのワークフローを次に示します。
- ホストとの接続を作成します:送信元の物理ホストは、宛先の物理ホストとの間に TCP 接続を作成します。これは、VM の設定データを宛先の物理ホストに転送するのに使用されます。VM の基本構造が宛先の物理ホストでセットアップされ、宛先の VM にメモリが割り当てられます。
- ワーキング セットを宛先ホストにコピーします:ワーキング セットと呼ばれる、移行する VM に割り当てられたメモリが、宛先の物理ホストにコピーされます。このメモリは、移行する VM のワーキング セットとして参照されます。メモリのページ サイズは 4 kB です。
- 変更されたメモリ ページをマークします:ワーキング セット内で使用済みのページが、宛先の Hyper-V 物理ホストにコピーされます。送信元の物理ホスト上の Hyper-V は、ワーキング セットを宛先の物理ホストにコピーするだけでなく、ワーキング セット内のページをモニタします。ライブ マイグレーション中に、移行する VM がメモリ ページを変更すると、Hyper-V はそのページを変更済みとして追跡してマークします。
- 変更されたメモリ ページをコピーします:ライブ マイグレーション中に、Hyper-V はメモリのコピー処理を数回繰り返します。コピー処理のたびに、宛先の物理ホストにコピーする必要がある変更されたページは少なくなっていきます。最後のメモリのコピー処理では、残りの変更されたメモリ ページを宛先の物理ホストにコピーします。
送信元の物理ホストは、VM のレジスタおよびデバイスの状態を宛先の物理ホストに転送します。ライブ マイグレーションのこの段階では、送信元と宛先の物理ホストの間で利用可能なネットワーク帯域幅が、マイグレーションの速度を左右します。したがって、1 ギガビット イーサネットが推奨されます。
(注) この段階で転送されるページ数は、VM がどの程度アクティブにメモリ ページに対するアクセスと変更を行っているかによって決まります。変更されたページが多いと、VM のマイグレーション時間も長くなり、すべてのメモリ ページを宛先の物理ホストに転送することになる可能性もあります。
- ライブ マイグレーションを完了します:変更されたメモリ ページが宛先の物理ホストにすべてコピーされると、宛先の物理ホストには移行された VM の最新のワーキング セットが保持されます。移行された VM のワーキング セットは、その VM のライブ マイグレーション プロセスを開始したときのものとまったく同じ状態で、宛先の物理ホストに存在します。
(注) プロセスのこのフェーズの前であれば、ライブ マイグレーション プロセスをいつでもキャンセルできます。
- 移行された VM のメモリおよびストレージの制御を転送します:VHD ファイルやパススルー ディスクなど、移行された VM に関連付けられたストレージの制御と、メモリ(ワーキング セット)の制御が、宛先の物理ホストに転送されます。
- 移行された VM をオンラインにします:移行された VM は、宛先の物理ホスト上でオンラインに戻ります。
NIC チーミング
個々の Hyper-V ポートまたは仮想ネットワーク アダプタで障害が発生すると、仮想マシンの接続が失われる可能性があります。この問題を防ぐために、複数の仮想ネットワーク アダプタが NIC(ネットワーク インターフェイス カード)チーミング構成で使用されます。これにより、複数の物理ネットワーク インターフェイス間で高可用性とロード バランシングの双方を実現できます。NIC チーミングは、ネットワーク アダプタ チーミング テクノロジーや LBFO(ロード バランシング フェールオーバー)とも呼ばれています。
vWAAS on Hyper-V の場合、Windows Server 2012 で NIC チーミングを使用すると、複数の仮想スイッチに接続された仮想ネットワーク アダプタを仮想マシンで設定することができ、その仮想スイッチの元でネットワーク アダプタが切断されても、接続が維持されます。Windows Server 2012 での NIC チーミングは、チーム内で最大 32 個のネットワーク アダプタをサポートします。
NIC チーミングでは、2 つの仮想スイッチをセットアップして、それぞれのスイッチを独自の SR-IOV 対応ネットワーク アダプタに接続することができます。NIC チーミングは、次の 2 つの方法のいずれかで動作します。
- 各仮想マシンは、1 つまたは両方の SR-IOV ネットワーク アダプタから仮想機能をインストールできます。アダプタの切断が発生しても、トラフィックは接続を失うことなく、プライマリ仮想機能からバックアップ仮想機能にフェールオーバーできます。
- 各仮想マシンは、1 つのネットワーク アダプタからの仮想機能と、仮想機能を使用しない他のスイッチへのインターフェイスを備えることができます。仮想機能に関連付けられたネットワーク アダプタが切断された場合、トラフィックは接続を失うことなく、他のスイッチにフェールオーバーできます。
Akamai Connect を使用した、Hyper-V 上での vWAAS-50000 向け GPT ディスク フォーマットの設定
次のリストは、Akamai Connect を使用した vWAAS-50000 向け vWAAS on Hyper-V のディスク要件を示します。
- 4 GB フラッシュ
- 48 GB Kdump
- 1500 GB
- ディスク用 850 GB(Akamai Connect 用)
Windows サーバでは MBR フォーマットを採用しているため、パーティション C: 内で 2 TB 以上のディスク サイズを検出できません。そのため、2 TB を超えるディスク サイズを構成するには、パーティション D: を GPT(GUID Partition Table)フォーマットで作成する必要があります。
HDD を MBR フォーマットから GPT フォーマットに変換するには、次の手順を実行します。
ステップ 1 HDD の 1 つのパーティションに Windows をインストールします。
ステップ 2 インストールが完了した後で、新しいボリュームを作成して新しいディスク パーティションを作成します。
a. Windows のコマンド プロンプトを右クリックして、[Run as Administrator] をクリックします。
b. diskpart コマンドを入力して、DiskPart コマンド モードに入ります。
c. DISKPART プロンプトで、create volume コマンドを入力してディスク上に新規ボリュームを作成します。
ステップ 3 DISKPART プロンプトで、list disk コマンドを入力してディスクと関連情報(サイズ、使用可能な空き領域、ディスクがベーシックかダイナミックかどうかを含む)のリストを表示します。
ステップ 4 フォーマットを変換するディスクのディスク番号をメモします。
ステップ 5 DISKPART プロンプトで、select disk disk-number コマンドを入力します。
ステップ 6 DISKPART プロンプトで clean コマンドを入力して、ディスク上のすべてのセクタをゼロに指定します。
(注) clean コマンドはディスク上のすべてのデータを削除します。
ステップ 7 DISKPART プロンプトで convert gpt コマンドを入力して、ディスク フォーマットを GPT フォーマットに変換します。
ステップ 8 GPT フォーマットを使用すると、RAID-5 を使用した論理ディスクの処理、RAID-1 を使用した論理ディスクの処理、ディスクのホットスワップのサポートなどを含む、HDD の RAID 機能を設定することができます。Cisco WAAS 向け RAID サポートに関する詳細情報については、『 Cisco Wide Area Application Services Configuration Guide 』を参照してください。