EtherChannel の概要
EtherChannel は、個々のイーサネット リンクを 1 つの論理リンクにバンドルし、Catalyst 4500 シリーズ スイッチと別のスイッチまたはホスト間で最大 1600 Mbps(Fast EtherChannel 全二重)、16 Gbps(Gigabit EtherChannel)、または 40 Gbps(10 Gigabit EtherChannel)の帯域幅を可能にします。
Catalyst 4500 シリーズ スイッチ は、最大 64 個の EtherChannel をサポートしています。Catalyst 4500 シリーズ スイッチにある複数のモジュール上の(設定に互換性のある)イーサネット インターフェイスを 8 つまで使用して、1 つの EtherChannel を形成できます。各 EtherChannel のすべてのインターフェイスは同じ速度で、レイヤ 2 またはレイヤ 3 インターフェイスとして設定されている必要があります。
(注) Catalyst 4500 シリーズ スイッチに接続するネットワーク デバイスによって、1 つの EtherChannel にバンドルできるインターフェイス数が制限される場合があります。
EtherChannel 内のセグメントで障害が発生すると、障害リンク上でそれまで伝送されていたトラフィックがその EtherChannel 内の残りのセグメントに切り替えられます。セグメントに障害が発生すると、スイッチ、EtherChannel、障害リンクを特定する Simple Network Management Protocol(SNMP; 簡易ネットワーク管理プロトコル)トラップが送信されます。EtherChannel の 1 つのセグメントに着信したブロードキャスト パケットおよびマルチキャスト パケットが、EtherChannel の別のセグメントに戻されることはありません。
(注) Catalyst 4500 シリーズ スイッチのポート チャネル リンク障害のスイッチオーバーには、50 ミリ秒かかり、SONET のようなリンク障害のスイッチオーバーには十分です。
ここでは、EtherChannel の機能について説明します。
• 「ポート チャネル インターフェイス」
• 「EtherChannel の設定方法」
• 「ロード バランシング」
ポート チャネル インターフェイス
各 EtherChannel には、番号付きのポート チャネル インターフェイスが 1 つずつあります。ポート チャネル インターフェイスに適用される設定は、そのインターフェイスに割り当てられたすべての物理インターフェイスに影響します。
(注) QoS(Quality of Service)はメンバに伝播しません。デフォルトは QoS cos = 0 および QoS dscp = 0 で、ポート チャネルに適用されます。個々のインターフェイスに適用される入力および出力ポリシーは無視されます。
EtherChannel を設定したあとで、ポート チャネル インターフェイスに適用する設定は、EtherChannel に対して有効になります。一方、物理インターフェイスに適用する設定は、適用先のインターフェイスだけに有効です。EtherChannel のすべてのポートのパラメータを変更するには、ポート チャネル インターフェイスに対してコンフィギュレーション コマンドを適用してください(このようなコマンドには、Spanning-Tree Protocol(STP; スパニング ツリー プロトコル)コマンドや、レイヤ 2 EtherChannel をトランクとして設定するコマンドがあります)。
EtherChannel 設定の概要
EtherChannel を手動で設定したり、Port Aggregation Control Protocol(PAgP)を使用したり、Cisco IOS Release 12.2(25)EWA 以降のリリースでは Link Aggregation Control Protocol(LACP)を使用して EtherChannel を形成したりすることができます。EtherChannel プロトコルにより、同様の特性を持つポートが、接続されたネットワーク デバイスとのダイナミック ネゴシエーションを通じて EtherChannel を形成できます。PAgP はシスコ独自のプロトコルで、LACP は IEEE 802.3ad で定義されています。
PAgP と LACP は相互動作しません。PAgP を使用するように設定されたポートは、LACP を使用するように設定されたポートと EtherChannel を形成できず、その逆もまた不可能です。
表 18-1 に、ユーザ設定が可能な EtherChannel モードを示します。
表 18-1 EtherChannel のモード
|
|
on |
LAN ポートを無条件にチャネル化するモード。 on モードでは、 on モードの LAN ポート グループが、 on モードの別の LAN ポート グループに接続されている場合に限り、使用可能な EtherChannel が存在します。 on モードで設定されたポートはネゴシエーションを行わないため、ポート間のネゴシエーション トラフィックはありません。 |
auto |
PAgP モード。LAN ポートをパッシブ ネゴシエーション ステートにします。ポートは受信した PAgP パケットには応答しますが、PAgP ネゴシエーションは開始しません。 |
desirable |
PAgP モード。LAN ポートをアクティブ ネゴシエーション ステートにします。ポートは PAgP パケットを送信して、他の LAN ポートとのネゴシエーションを開始します。 |
passive |
LACP モード。ポートをパッシブ ネゴシエーション ステートにします。ポートは受信した LACP パケットには応答しますが、LCAP ネゴシエーションは開始しません。 |
active |
LACP モード。ポートをアクティブ ネゴシエーション ステートにします。ポートは LACP パケットを送信して、他のポートとのネゴシエーションを開始します。 |
EtherChannel の手動設定
手動で設定された EtherChannel ポートは、EtherChannel プロトコル パケットを交換しません。EtherChannel 内のすべてのポートを互換性がある設定にした場合のみ、手動で設定された EtherChannel が形成されます。
PAgP EtherChannel の設定
PAgP は、LAN ポート間で PAgP パケットを交換することにより、EtherChannel を自動的に作成します。PAgP パケットが交換されるのは、 auto モードおよび desirable モードのポート間に限られます。
このプロトコルは、LAN ポート グループの機能を動的に学習し、他の LAN ポートに通知します。PAgP は、正確に一致しているイーサネット リンクを識別すると、これらのリンクを 1 つの EtherChannel としてまとめます。形成された EtherChannel は、単一ブリッジ ポートとしてスパニング ツリーに追加されます。
auto モードおよび desirable モードでは、PAgP が LAN ポート間でネゴシエーションを行い、ポート速度やトランキング ステートなどの基準に従って EtherChannel を形成できるかどうかを判別します。レイヤ 2 EtherChannel は VLAN 数も基準として使用します。
PAgP モードが異なる場合でも、モードに互換性がある限り、LAN ポートで EtherChannel を形成できます。次に例を示します。
• desirable モードの LAN ポートは、 desirable モードの他の LAN ポートと EtherChannel を形成できます。
• desirable モードの LAN ポートは、 auto モードの他の LAN ポートと EtherChannel を形成できます。
• auto モードの LAN ポートは、双方のポートがネゴシエーションを開始しないため、 auto モードの他の LAN ポートと EtherChannel を形成できません。
IEEE 802.3ad LACP EtherChannel 設定
Cisco IOS Release 12.2(25)EWA 以降のリリースは、IEEE 802.3ad LACP EtherChannel をサポートしています。LACP は、LAN ポート間で LACP パケットを交換することにより、EtherChannel を自動的に作成します。LACP パケットが交換されるのは、 passive モードおよび active モードのポート間に限られます。
このプロトコルは、LAN ポート グループの機能を動的に学習し、他の LAN ポートに通知します。LACP は、正確に一致しているイーサネット リンクを識別すると、これらのリンクを 1 つの EtherChannel としてまとめます。形成された EtherChannel は、単一ブリッジ ポートとしてスパニング ツリーに追加されます。
passive モードおよび active モードでは、LACP が LAN ポート間でネゴシエーションを行い、ポート速度やトランキング ステートなどの基準に従って EtherChannel を形成できるかどうかを判別します。レイヤ 2 EtherChannel は VLAN 数も基準として使用します。
LACP モードが異なる場合でも、モードに互換性がある限り、LAN ポートで EtherChannel を形成できます。次に例を示します。
• active モードの LAN ポートは、 active モードの他の LAN ポートと EtherChannel を形成できます。
• active モードの LAN ポートは、 passive モードの他の LAN ポートと EtherChannel を形成できます。
• passive モードの LAN ポートは、双方のポートがネゴシエーションを開始しないため、 passive モードの他の LAN ポートと EtherChannel を形成できません。
LACP の設定に使用するパラメータは、次のとおりです。
• LACP システム プライオリティ: LACP が動作する各スイッチ上で、LACP システム プライオリティを設定できます。システム プライオリティは、自動的に設定することも、CLI を使用して設定することもできます。「LACP システム プライオリティおよびシステム ID の設定」を参照してください。LACP は、システム プライオリティとスイッチの MAC アドレスを組み合わせてシステム ID を形成します。また、これを他のシステムとのネゴシエーション時にも使用します。
(注) LACP システム ID は、LACP システム プライオリティ値とスイッチの MAC アドレスを組み合わせたものです。
• LACP ポート プライオリティ: LACP を使用するように設定されている各ポート上で、LACP ポート プライオリティを設定する必要があります。ポート プライオリティは、自動的に設定することも、CLI を使用して設定することもできます。「レイヤ 2 EtherChannel の設定」を参照してください。LACP は、ポート プライオリティとポート番号を組み合わせて、ポート ID を形成します。
• LACP 管理キー: LACP は、LACP を使用するように設定された各ポートのチャネル グループ ID 番号と等しい管理キー値を自動的に設定します。管理用のキーは、ポートが他のポートと集約できる能力を定義します。他のポートに合算されるポートの能力は、次の要因によって決定します。
– ポートの物理特性(データ レート、デュプレックス能力、ポイントツーポイントまたは共有メディアなど)
– ユーザが設定したコンフィギュレーション制約
LACP は、最大数の互換ポートを EtherChannel に設定しようとします(ハードウェア上の最大許容数は 8 ポートです)。ポートをチャネルにアクティブとして組み込めない場合は、チャネル ポートで障害が発生した場合にも自動的に組み込まれません。
(注) スタンバイおよび「サブチャネル化」は LACP および PAgP でサポートされません。
ロード バランシング
EtherChannel は、チャネルのリンクに対するトラフィック負荷のバランスを取ります。つまり EtherChannel は、フレーム内のアドレスやポートで構成されるバイナリ パターンの一部を数値化し、チャネル内のリンクの 1 つを選択します。負荷のバランスを取るために、EtherChannel は、MAC アドレス、IP アドレス、またはレイヤ 4 ポート番号と、メッセージの送信元、メッセージの宛先、または両方を使用します。
最も多様な設定が可能なオプションを使用してください。たとえば、チャネルのトラフィックが単一の MAC アドレスのみに送信される場合、宛先 MAC アドレスを使用すると、常にチャネル内の同じリンクが選択されてしまいます。送信元アドレスまたは IP アドレスを使用する方が、ロード バランシングの効果が上がります。
(注) ロード バランシングは、グローバルにのみ設定可能です。したがって、すべてのチャネル(手動設定、PAgP、または LACP)は同じロード バランシング方式を使用します。
ロード バランシングについての詳細は、「EtherChannel ロード バランシングの設定」を参照してください。
EtherChannel 設定時の注意事項および制約事項
EtherChannel インターフェイスの設定に問題があると、ネットワーク ループなどの問題を回避するために、EtherChannel インターフェイスが自動的にディセーブルになります。次の注意事項と制約事項に従って、設定時に問題が起こらないようにしてください。
• すべてのモジュールのイーサネット インターフェイスはすべて、物理的に連続しているかまたは同一モジュール上といったインターフェイスに関する要件のない EtherChannel(最大 8 つのインターフェイス)をサポートしています。
• EtherChannel のすべてのインターフェイスを、同じ速度およびデュプレックス モードで動作するように設定します。
• EtherChannel のすべてのインターフェイスをイネーブルにします。EtherChannel 内のインターフェイスを 1 つダウンにするとリンク障害として処理され、そのインターフェイスのトラフィックが EtherChannel 内の残りのインターフェイスの 1 つに転送されます。
• インターフェイスの 1 つが Switched Port Analyzer(SPAN; スイッチド ポート アナライザ)宛先ポートの場合、EtherChannel は形成されません。
• レイヤ 3 EtherChannel の場合
– レイヤ 3 アドレスを、チャネルの物理インターフェイスではなく、ポート チャネル論理インターフェイスに割り当てます。
• レイヤ 2 EtherChannel の場合
– EtherChannel 内のすべてのインターフェイスを同じ VLAN に割り当てるか、またはトランクとして設定してください。
– トランク インターフェイスから EtherChannel を設定する場合は、すべてのトランクでトランキング モードとネイティブ VLAN が同じであることを確認してください。EtherChannel のインターフェイスのトランク モードが異なる、またはネイティブ VLAN が異なる場合、予期しない結果を招くことがあります。
– EtherChannel は、トランキング レイヤ 2 EtherChannel 内のすべてのインターフェイスで同じ許容範囲の VLAN をサポートしています。選択したインターフェイスの許容範囲が異なる場合、インターフェイスは EtherChannel を形成しません。
– STP ポート パス コストが異なるインターフェイスは、互換性がある設定を行っている限り、EtherChannel を形成できます。異なる STP ポート パス コストを設定しても、EtherChannel のインターフェイスの互換性は損なわれません。
• EtherChannel を設定したあとで、ポート チャネル インターフェイスに適用する設定は、EtherChannel に対して有効になります。一方、物理インターフェイスに適用する設定は、設定するインターフェイスだけに有効です。
ストーム制御はこの規則の例外です。たとえば、EtherChannel の一部のメンバにストーム制御を設定することはできません。ストーム制御はすべてのポートに対して設定するか、設定しないかのどちらかにする必要があります。一部のポートだけにストーム制御を設定した場合は、それらのポートが EtherChannel インターフェイスからドロップされます(suspended ステートになります)。したがって、ストーム制御は物理インターフェイス レベルではなく、ポート チャネル インターフェイス レベルで設定してください。
• ポート セキュリティがイネーブルである物理インターフェイスは、ポート セキュリティが EtherChannel 上でもイネーブルである場合にのみ、レイヤ 2 EtherChannel に加入できます。イネーブルでない場合、コマンドは CLI によって拒否されます。
• 802.1X ポートに EtherChannel は設定できません。
EtherChannel の設定
ここでは、EtherChannel を設定する手順について説明します。
• 「レイヤ 3 EtherChannel の設定」
• 「レイヤ 2 EtherChannel の設定」
• 「LACP システム プライオリティおよびシステム ID の設定」
• 「EtherChannel ロード バランシングの設定」
• 「EtherChannel からのインターフェイスの削除」
• 「EtherChannel の削除」
(注) インターフェイスが正しく設定されていることを確認してください(「EtherChannel 設定時の注意事項および制約事項」を参照)。
ポート チャネル論理インターフェイスの作成
(注) IP アドレスを物理インターフェイスから EtherChannel に移動させるには、ポート チャネル インターフェイスを設定する前に物理インターフェイスから IP アドレスを削除する必要があります。
レイヤ 3 EtherChannel 用のポート チャネル インターフェイスを作成するには、次の作業を行います。
|
|
|
ステップ 1 |
Switch(config)#
interface port-channel
port_channel_number
|
ポート チャネル インターフェイスを作成します。 port_channel _number の値の範囲は 1 ~ 64 です。 |
ステップ 2 |
Switch(config-if)#
ip address
ip_address mask
|
EtherChannel に IP アドレスおよびサブネット マスクを割り当てます。 |
ステップ 3 |
|
コンフィギュレーション モードを終了します。 |
ステップ 4 |
Switch#
show running-config interface port-channel
port_channel_number
|
設定を確認します。 |
次に、インターフェイス port-channel 1 を作成する例を示します。
Switch# configure terminal
Switch(config)# interface port-channel 1
Switch(config-if)# ip address 172.32.52.10 255.255.255.0
次に、インターフェイス port-channel 1 の設定を確認する例を示します。
Switch# show running-config interface port-channel 1
Building configuration...
ip address 172.32.52.10 255.255.255.0
物理インターフェイスのレイヤ 3 EtherChannel としての設定
物理インターフェイスをレイヤ 3 EtherChannel として設定するには、各インターフェイスで次の作業を行います。
|
|
|
ステップ 1 |
Switch(config)#
interface {
fastethernet |
gigabitethernet |
tengigabitethernet }
slot /
port
|
設定する物理インターフェイスを選択します。 |
ステップ 2 |
Switch(config-if)#
no switchport
|
このインターフェイスをレイヤ 3 ルーテッド ポートにします。 |
ステップ 3 |
Switch(config-if)#
no ip address
|
この物理インターフェイスに IP アドレスが割り当てられていないことを確認します。 |
ステップ 4 |
Switch(config-if)#
channel-group
port_channel_number
mode {active | on |
auto | passive |
desirable }
|
ポート チャネルでインターフェイスを設定し、PAgP または LACP モードを指定します。 PAgP を使用する場合、キーワード auto または desirable を入力します。 LACP を使用する場合は、キーワード active または passive を入力します。 |
ステップ 5 |
|
コンフィギュレーション モードを終了します。 |
ステップ 6 |
Switch#
show running-config interface port-channel
port_channel_number
Switch#
show running-config interface {
fastethernet |
gigabitethernet |
tengigabitethernet }
slot /
port
Switch#
show interfaces {
fastethernet |
gigabitethernet |
tengigabitethernet }
slot /
port
etherchannel
Switch#
show etherchannel 1 port-channel
|
設定を確認します。 |
次に、ファスト イーサネット インターフェイス 5/4 および 5/5 を、port-channel 1、PAgP モード desirable に設定する例を示します。
Switch# configure terminal
Switch(config)# interface range fastethernet 5/4 - 5 (Note: Space is mandatory.)
Switch(config-if)# no switchport
Switch(config-if)# no ip address
Switch(config-if)# channel-group 1 mode desirable
(注) range キーワードの詳細については、「インターフェイスの範囲設定」を参照してください。
次に、ファスト イーサネット インターフェイス 5/4 の設定を確認する例を 2 つ示します。
Switch# show running-config interface fastethernet 5/4
Building configuration...
interface FastEthernet5/4
channel-group 1 mode desirable
Switch# show interfaces fastethernet 5/4 etherchannel
Port state = EC-Enbld Up In-Bndl Usr-Config
Channel group = 1 Mode = Desirable Gcchange = 0
Port-channel = Po1 GC = 0x00010001 Pseudo-port-channel = Po1
Port indx = 0 Load = 0x55
Flags: S - Device is sending Slow hello. C - Device is in Consistent state.
A - Device is in Auto mode. P - Device learns on physical port.
Timers: H - Hello timer is running. Q - Quit timer is running.
S - Switching timer is running. I - Interface timer is running.
Hello Partner PAgP Learning Group
Port Flags State Timers Interval Count Priority Method Ifindex
Fa5/4 SC U6/S7 30s 1 128 Any 55
Partner Partner Partner Partner Group
Port Name Device ID Port Age Flags Cap.
Fa5/4 JAB031301 0050.0f10.230c 2/45 1s SAC 2D
Age of the port in the current state: 00h:54m:52s
次に、インターフェイス port-channel 1 を設定したあとで、インターフェイスの設定を確認する例を示します。
Switch# show etherchannel 1 port-channel
Port-channels in the group:
Age of the Port-channel = 01h:56m:20s
Logical slot/port = 10/1 Number of ports = 2
GC = 0x00010001 HotStandBy port = null
Port state = Port-channel L3-Ag Ag-Inuse
Ports in the Port-channel:
Time since last port bundled: 00h:23m:33s Fa5/6
レイヤ 2 EtherChannel の設定
レイヤ 2 EtherChannel を設定するには、 channel-group コマンドでイーサネット インターフェイスを設定します。これにより、ポート チャネル論理インターフェイスが作成されます。
(注) channel-group コマンドでレイヤ 2 イーサネット インターフェイスを設定すると、Cisco IOS ソフトウェアはレイヤ 2 EtherChannel のポート チャネル インターフェイスを作成します。
レイヤ 2 イーサネット インターフェイスをレイヤ 2 EtherChannel として設定するには、各インターフェイスで次の作業を行います。
|
|
|
ステップ 1 |
Switch(config)#
interface {
fastethernet |
gigabitethernet |
tengigabitethernet }
slot /
port
|
設定する物理インターフェイスを選択します。 |
ステップ 2 |
Switch(config-if)#
channel-group
port_channel_number
mode {active | on |
auto | passive |
desirable }
|
ポート チャネルでインターフェイスを設定し、PAgP または LACP モードを指定します。 PAgP を使用する場合、キーワード auto または desirable を入力します。 LACP を使用する場合は、キーワード active または passive を入力します。 |
ステップ 3 |
|
コンフィギュレーション モードを終了します。 |
ステップ 4 |
Switch#
show running-config interface {
fastethernet |
gigabitethernet }
slot /
port
Switch#
show interface {
fastethernet |
gigabitethernet |
tengigabitethernet }
slot /
port
etherchannel
|
設定を確認します。 |
次に、ファスト イーサネット インターフェイス 5/6 および 5/7 を、port-channel 2、PAgP モード desirable に設定する例を示します。
Switch# configure terminal
Switch(config)# interface range fastethernet 5/6 - 7 (Note: Space is mandatory.)
Switch(config-if-range)# channel-group 2 mode desirable
Switch(config-if-range)# end
(注) range キーワードの詳細については、「インターフェイスの範囲設定」を参照してください。
次に、インターフェイス port-channel 2 の設定を確認する例を示します。
Switch# show running-config interface port-channel 2
Building configuration...
switchport access vlan 10
次に、ファスト イーサネット インターフェイス 5/6 の設定を確認する例を 2 つ示します。
Switch# show running-config interface fastethernet 5/6
Building configuration...
interface FastEthernet5/6
switchport access vlan 10
channel-group 2 mode desirable
Switch# show interfaces fastethernet 5/6 etherchannel
Port state = EC-Enbld Up In-Bndl Usr-Config
Channel group = 1 Mode = Desirable Gcchange = 0
Port-channel = Po1 GC = 0x00010001
Port indx = 0 Load = 0x55
Flags: S - Device is sending Slow hello. C - Device is in Consistent state.
A - Device is in Auto mode. P - Device learns on physical port.
Timers: H - Hello timer is running. Q - Quit timer is running.
S - Switching timer is running. I - Interface timer is running.
Hello Partner PAgP Learning Group
Port Flags State Timers Interval Count Priority Method Ifindex
Fa5/6 SC U6/S7 30s 1 128 Any 56
Partner Partner Partner Partner Group
Port Name Device ID Port Age Flags Cap.
Fa5/6 JAB031301 0050.0f10.230c 2/47 18s SAC 2F
Age of the port in the current state: 00h:10m:57s
次に、インターフェイス port-channel 2 を設定したあとで、インターフェイスの設定を確認する例を示します。
Switch# show etherchannel 2 port-channel
Port-channels in the group:
Age of the Port-channel = 00h:23m:33s
Logical slot/port = 10/2 Number of ports in agport = 2
GC = 0x00020001 HotStandBy port = null
Port state = Port-channel Ag-Inuse
Ports in the Port-channel:
Time since last port bundled: 00h:23m:33s Fa5/6
LACP システム プライオリティおよびシステム ID の設定
LACP システム ID は、LACP システム プライオリティ値とスイッチの MAC アドレスを組み合わせたものです。
LACP システム プライオリティおよびシステム ID を設定するには、次の作業を行います。
|
|
|
ステップ 1 |
Switch(config)#
lacp system-priority
priority_value
|
(LACP で任意)LACP システム プライオリティおよびシステム ID を設定します。 有効な値は 1 ~ 65535 です。数値が大きいほど、プライオリティは低くなります。デフォルト値は 32768 です。 |
Switch(config)#
no system port-priority
|
デフォルト値に戻します。 |
ステップ 2 |
|
コンフィギュレーション モードを終了します。 |
ステップ 3 |
|
設定を確認します。 |
次に、LACP システム プライオリティを設定する例を示します。
Switch# configure terminal
Switch(config)# lacp system-priority 23456
Mod Ports Card Type Model Serial No.
----+-----+--------------------------------------+-----------------+-----------
1 2 1000BaseX (GBIC) Supervisor(active) WS-X4014 JAB063808YZ
2 48 10/100BaseTX (RJ45) WS-X4148-RJ JAB0447072W
3 48 10/100BaseTX (RJ45)V WS-X4148-RJ45V JAE061704J6
4 48 10/100BaseTX (RJ45)V WS-X4148-RJ45V JAE061704ML
M MAC addresses Hw Fw Sw Status
--+--------------------------------+---+------------+----------------+---------
1 0005.9a39.7a80 to 0005.9a39.7a81 2.1 12.1(12r)EW 12.1(13)EW(0.26) Ok
2 0002.fd80.f530 to 0002.fd80.f55f 0.1 Ok
3 0009.7c45.67c0 to 0009.7c45.67ef 1.6 Ok
4 0009.7c45.4a80 to 0009.7c45.4aaf 1.6 Ok
次に、設定を確認する例を示します。
最初にシステム プライオリティが表示され、次にスイッチの MAC アドレスが表示されます。
EtherChannel ロード バランシングの設定
(注) ロード バランシングは、グローバルにのみ設定可能です。したがって、すべてのチャネル(手動設定、PAgP、または LACP)は同じロード バランシング方式を使用します。
EtherChannel ロード バランシングを設定するには、次の作業を行います。
|
|
|
ステップ 1 |
Switch(config)# [
no ]
port-channel
load-balance {
src-mac |
dst-mac |
src-dst-mac |
src-ip |
dst-ip |
src-dst-ip |
src-port |
dst-port |
src-dst-port }
|
EtherChannel ロード バランシングを設定します。 EtherChannel ロード バランシングをデフォルト設定に戻すには、 no キーワードを使用します。 |
ステップ 2 |
|
コンフィギュレーション モードを終了します。 |
ステップ 3 |
Switch#
show etherchannel load-balance
|
設定を確認します。 |
ロード バランシングのキーワードは次のとおりです。
• src-mac : 送信元 MAC アドレス
• dst-mac : 宛先 MAC アドレス
• src-dst-mac : 送信元および宛先 MAC アドレス
• src-ip : 送信元 IP アドレス
• dst-ip : 宛先 IP アドレス
• src-dst-ip : 送信元および宛先 IP アドレス(デフォルト)
• src-port : 送信元レイヤ 4 ポート
• dst-port : 宛先レイヤ 4 ポート
• src-dst-port : 送信元および宛先レイヤ 4 ポート
次に、送信元および宛先 IP アドレスを使用するように EtherChannel を設定する例を示します。
Switch# configure terminal
Switch(config)# port-channel load-balance src-dst-ip
次に、設定を確認する例を示します。
Switch# show etherchannel load-balance
EtherChannel Load-Balancing Configuration:
EtherChannel Load-Balancing Addresses Used Per-Protocol:
Non-IP: Source XOR Destination MAC address
IPv4: Source XOR Destination IP address
IPv6: Source XOR Destination IP address
EtherChannel からのインターフェイスの削除
EtherChannel からイーサネット インターフェイスを削除するには、次の作業を行います。
|
|
|
ステップ 1 |
Switch(config)#
interface {
fastethernet |
gigabitethernet |
tengigabitethernet }
slot /
port
|
設定する物理インターフェイスを選択します。 |
ステップ 2 |
Switch(config-if)#
no channel-group
|
ポート チャネル インターフェイスからインターフェイスを削除します。 |
ステップ 3 |
|
コンフィギュレーション モードを終了します。 |
ステップ 4 |
Switch#
show running-config interface {
fastethernet |
gigabitethernet |
tengigabitethernet }
slot /
port
Switch#
show interface {
fastethernet |
gigabitethernet |
tengigabitethernet }
slot /
port
etherchannel
|
設定を確認します。 |
次に、ファスト イーサネット インターフェイス 5/4 および 5/5 を、port-channel 1 から削除する例を示します。
Switch# configure terminal
Switch(config)# interface range fastethernet 5/4 - 5 (Note: Space is mandatory.)
Switch(config-if)# no channel-group 1
EtherChannel の削除
EtherChannel を削除すると、メンバ ポートがシャットダウンされ、チャネル グループから削除されます。
(注) EtherChannel をレイヤ 2 からレイヤ 3 に、またはレイヤ 3 からレイヤ 2 に変更する場合、EtherChannel を削除し、適切な設定で再び作成する必要があります。
EtherChannel を削除するには、次の作業を行います。
|
|
|
ステップ 1 |
Switch(config)#
no interface port-channel
port_channel_number
|
ポート チャネル インターフェイスを削除します。 |
ステップ 2 |
|
コンフィギュレーション モードを終了します。 |
ステップ 3 |
Switch#
show etherchannel summary
|
設定を確認します。 |
次に、port-channel 1 を削除する例を示します。
Switch# configure terminal
Switch(config)# no interface port-channel 1
EtherChannel の Virtual Switch System への表示
Catalyst 4500 シリーズ スイッチは拡張 PAgP をサポートします。Catalyst 4500 シリーズ スイッチが PAgP EtherChannel 経由で Catalyst 6500 シリーズ Virtual Switch System(VSS)に接続されている場合は、Catalyst 4500 シリーズ スイッチが、自動的に、デュアルアクティブ検出用のこの EtherChannel 上で拡張 PAgP を使用して、VSS クライアントになります。この VSS クライアント機能は、Catalyst 4500 シリーズ スイッチのパフォーマンスに影響を与えることはなく、ユーザによる設定も必要ありません。
次の内容について説明します。
• 「VSS クライアントの概要」
• 「EtherChannel リンクの VSS への表示」
Virtual Switch System
Cisco Catalyst 6500 シリーズ VSS 1440 は、ネットワーク コントロール プレーンおよび管理の観点から、1 つの論理ネットワーク エンティティに、2 つの Cisco Catalyst 6500 シリーズ スイッチを組み合わせることができます。Cisco VSS では、1 つのシャーシがアクティブな仮想スイッチに指定され、システム全体における 1 つの管理ポイントとして動作します。その他のシャーシはスタンバイ仮想スイッチに指定されます。2 つのシャーシは、Virtual Switch Link(VSL)と呼ばれる特別なリンクで 1 つにバインドされています。VSL は 2 つのシャーシ間の内部信号および制御情報を伝送します。
デュアルアクティブ シナリオ
VSS での障害シナリオの 1 つは dual-active と呼ばれ、VSL に全面的な障害が生じた場合に発生します。この場合、どちらの仮想スイッチも他方のステータスを認識できません。アクティブ仮想スイッチの観点からは、スタンバイ シャーシを認識できなくなります。スタンバイ仮想スイッチも、アクティブなシャーシに障害が発生したものと見なし、SSO スイッチオーバー経由でアクティブ ステートに移行します。そのため、同じ構成のアクティブ仮想スイッチがネットワーク上に 2 つ存在することになり、IP アドレスとブリッジ ID が重複します。このシナリオが続くと、ネットワーク トポロジおよびトラフィックに悪影響を及ぼします。
拡張 PAgP を使用したデュアルアクティブ検出
デュアルアクティブ シナリオを検出するメカニズムの 1 つは、拡張 PAgP(PAgP+)に基づくものです。特に VSS は、現在のアクティブ仮想スイッチの ID を含む Type-Length-Value(TLV)を使用して、スケジュールされた PAgP メッセージを定期的に送信します(図 18-1)。VSL が全面的な障害が生じると、スタンバイ仮想スイッチは、拡張 PAgP デュアルアクティブ検出がイネーブルになっているすべてのポート チャネルで、自身の ID を含めた TLV を使用して非同期 PAgP メッセージを即時に送信します(図 18-2)。EtherChannel リンク経由で両方の VSS コンポーネントに接続されたリモート スイッチ(VSS クライアント)は、受信したすべてのアクティブ ID と保存されているアクティブ ID と比較します。アクティブ ID が一致した場合、リモート スイッチは格納されたアクティブ ID を含む TLV を、定期的にスケジュールされた PAgP メッセージにある VSS に返します。アクティブ ID が一致しない場合、リモート スイッチは新しいアクティブ ID を格納し、新しいアクティブ ID を含む TLV と非同期 PAgP メッセージを即時に送信します。リモート スイッチから新しいアクティブ ID を受け取ると、元のアクティブ仮想スイッチはデュアルアクティブ シナリオを検出し、適切なアクションを実行します。
図 18-1 VSS の通常動作での拡張 PAgP
図 18-2 VSS のデュアルアクティブ シナリオでの拡張 PAgP
Catalyst 4500 シリーズ スイッチは、リモート スイッチとしてステートフル VSS クライアントをサポートします。具体的には、現在のアクティブ仮想スイッチの ID は、アクティブ スーパーバイザ エンジンから Catalyst 4500 シリーズ スイッチの冗長スーパーバイザ エンジンへ同期されます。これにより、アクティブ スーパーバイザ エンジンが冗長スーパーバイザ エンジンにスイッチオーバーするときもデュアルアクティブ検出が中断しないようにします。
EtherChannel リンクの VSS への表示
設定済みの PAgP ポート チャネルのデュアルアクティブ検出機能を表示するには、show pagp port_channel_number dual-active コマンドを使用します。
これは次の項目を示します。
• スイッチがデュアルアクティブ検出のために拡張 PAgP を使用するかどうか。
Catalyst 4500 スイッチでは、「PAgP dual-active detection enabled」の後に常に「Yes」が表示される必要があります。
• 設定済みの PAgP EtherChannel が Catalyst 6500 スイッチ VSS に接続しているかどうか。
この EtherChannel が VSS に接続されていない場合は、「Partner Version」の下に「N/A」が表示されます。それ以外の場合は、VSS に実装されている拡張 PAgP デュアルアクティブ検出のバージョンが表示されます。
• このスイッチは、接続された VSS でデュアルアクティブ シナリオを検出できます。
設定済みの EtherChannel が、同じバージョンの拡張 PAgP デュアルアクティブ検出を使用する Catalyst 6500 シリーズ VSS に接続されている場合にのみ、「Dual-Active Detect Capable」の下に「Yes」と表示されます。
(注) ネイバー スイッチの名前(Partner Name)およびこの EtherChannel が接続しているポート(Partner Port)も表示されます。
Catalyst 4500 スイッチが、同じバージョンの拡張 PAgP デュアルアクティブ検出を使用する Catalyst 6500 シリーズ VSS に接続している場合、スイッチはデュアルアクティブ シナリオを検出できます。
Switch# show pagp 1 dual-active
PAgP dual-active detection enabled: Yes
PAgP dual-active version: 1.1
Dual-Active Partner Partner Partner
Port Detect Capable Name Port Version
Gi6/5 Yes VSS Gi1/8/1 1.1
Gi6/6 Yes VSS Gi2/8/1 1.1
Catalyst 4500 スイッチが、Catalyst 6500 シリーズ VSS に接続していない場合、スイッチはデュアルアクティブ シナリオを検出できません。
Switch# show pagp 1 dual-active
PAgP dual-active detection enabled: Yes
PAgP dual-active version: 1.1
Dual-Active Partner Partner Partner
Port Detect Capable Name Port Version
Gi6/5 No Switch Fa6/5 N/A
Gi6/6 No Switch Fa6/6 N/A