Cisco IOS IP SLA について
Cisco IOS IP SLA は、ネットワーク上でデータを送信して複数のネットワーク ロケーション間または複数のネットワーク パス上のパフォーマンスを測定します。測定においては、ネットワーク データと IP サービスをシミュレーションし、ネットワーク パフォーマンス情報をリアルタイムで収集します。Cisco IOS IP SLA は Cisco IOS デバイス間で、または Cisco IOS デバイスからリモート IP デバイス(ネットワーク アプリケーション サーバなど)に対して、トラフィックを生成し分析を行います。各種 Cisco IP SLA 動作により取得される測定結果は、トラブルシューティング、問題分析、およびネットワーク トポロジの設計に利用できます。
実行する Cisco IOS IP SLA 動作に応じて、シスコ デバイスのさまざまなネットワーク パフォーマンス統計情報がモニタリングされ、command-line interface(CLI; コマンドライン インターフェイス)MIB および Simple Network Management Protocol(SNMP; 簡易ネットワーク管理プロトコル)MIB に格納されます。IP SLA パケットには設定可能な IP レイヤおよびアプリケーション レイヤのオプションがあります。たとえば、送信元 IP アドレス、宛先 IP アドレス、User Datagram Protocol(UDP; ユーザ データグラム プロトコル)/TCP ポート番号、Type of Service(ToS; サービス タイプ)バイト(Differentiated Services Code Point(DSCP; 差別化サービス コード ポイント)および IP プレフィクス ビットを含む)、Virtual Private Network(VPN; バーチャル プライベート ネットワーク)Routing/Forwarding(VRF; VPN ルーティング/転送)インスタンス、URL Web アドレスなどが設定できます。
Cisco IP SLA はレイヤ 2 トランスポートに依存しないので、異なるネットワーク間にエンドツーエンド動作を設定して、エンド ユーザの利用環境で想定されるメトリックを最大限に反映させることができます。IP SLA は次のような一連のパフォーマンス メトリックを収集します。
• 遅延(往復と一方向)
• ジッタ(方向性あり)
• パケット損失(方向性あり)
• パケット シーケンス(パケット順序)
• パス(ホップ単位)
• 接続(方向性あり)
• サーバまたは Web サイトのダウンロード時間
Cisco IOS IP SLA は SNMP でアクセスできるので、CiscoWorks Internet Performance Monitor(IPM)のようなパフォーマンス モニタリング アプリケーションや他のサードパーティ製のパフォーマンス管理製品でも使用できます。Cisco IOS IP SLA を使用するネットワーク管理製品の詳細については、次の URL を参照してください。
http://www.cisco.com/go/ipsla
IP SLA を使用すると、次のような利点があります。
• SLA モニタリング、評価、検証
• ネットワーク パフォーマンス モニタリング
– ネットワーク内のジッタ、遅延、パケット損失の測定
– 連続的で信頼性のある予測可能な評価の提供
• IP サービス ネットワーク ヘルス アセスメントにより、既存の QoS が新しい IP サービスに十分であることを確認できる。
• エッジツーエッジ ネットワーク アベイラビリティをモニタリングして、ネットワーク リソースを予防的に検証し接続テストができる(たとえば、リモート サイトからビジネス上の重要なデータを保存するのに使用される NFS サーバのネットワーク アベイラビリティを確認できる)。
• 信頼性の高い評価を連続的に行ってネットワーク動作のトラブルシューティングを行うので、問題をただちに特定しトラブルシューティングにかかる時間を短縮できる。
ここでは、IP SLA の機能について説明します。
• 「Cisco IOS IP SLA によるネットワーク パフォーマンスの測定」
• 「IP SLA 応答側および IP SLA コントロール プロトコル」
• 「IP SLA の応答時間の計算」
• 「IP SLA 動作のスケジューリング」
• 「IP SLA 動作のしきい値のモニタリング」
Cisco IOS IP SLA によるネットワーク パフォーマンスの測定
IP SLA は、物理的なプローブを配置せずに、ネットワーク内の任意のエリア(コア、ディストリビューション、エッジ)間のパフォーマンスをモニタするために使用します。IP SLA は生成したトラフィックを使用して 2 つのネットワーク デバイス間のネットワーク パフォーマンスを測定します 図 47-1 に、送信元デバイスが宛先デバイスに生成したパケットを送信して IP SLA を開始する方法を示します。宛先デバイスでこのパケットが受信されと、IP SLA 動作のタイプに応じて、送信元に関するタイムスタンプ情報が返され、パフォーマンス メトリックが計算されます。IP SLA 動作では、UDP などの特定のプロトコルを使用して、ネットワークの送信元デバイスから宛先までの間のネットワーク測定を行います。
図 47-1 Cisco IOS IP SLA 動作
IP SLA ネットワーク パフォーマンス測定を実装するには、次の手順を実行します。
1. IP SLA 応答側がイネーブルでない場合は、イネーブルにします。
2. IP SLA の必要な動作タイプを設定します。
3. 指定した動作タイプで使用できるオプションを設定します。
4. しきい値条件を設定します(必要な場合)。
5. 指定した動作の実行スケジュールを設定し、しばらく動作させて統計情報を収集します。
6. Cisco IOS CLI を使用するか SNMP 機能を備えた Network Management System(NMS; ネットワーク管理システム)を使用して動作の結果を表示し、内容を確認します。
IP SLA 動作の詳細については、次の URL にアクセスして『 Cisco IOS IP SLAs Configuration Guide, Release 12.4T 』の動作に関する章を参照してください。
http://www.cisco.com/en/US/docs/ios/12_4/ip_sla/configuration/guide/hsla_c.html
スイッチでは、ゲートキーパー登録遅延動作測定を使用する VoIP サービス レベルをサポートしません。IP SLA アプリケーションを設定する前に、 show ip sla application 特権 EXEC コマンドを使用して、ご使用のソフトウェア イメージでサポートされている動作タイプを確認します。
IP SLA 応答側および IP SLA コントロール プロトコル
IP SLA 応答側は宛先のシスコ デバイスに組み込まれたコンポーネントで、IP SLA 要求パケットを予想してそれに応答します。応答側は、専用プローブがなくても正確な測定ができます。応答側は、Cisco IOS IP SLA コントロール プロトコルを使用して、待ち受けと応答を実行するポートを通知するメカニズムを提供します。宛先 IP SLA 応答側に対する送信元になれるのは、Cisco IOS デバイスだけです。
(注) IP SLA 応答側には、IP Base イメージを実行する Catalyst 4500 など、Cisco IOS レイヤ 2 の応答側に設定可能なスイッチを使用できます。応答側が完全な IP SLA 機能をサポートする必要はありません。
図 47-1 に、IP ネットワーク内での Cisco IOS IP SLA 応答側の配置例を示します。応答側は、IP SLA 動作が送信するコントロール プロトコル メッセージを所定のポートで待ち受けます。コントロール メッセージを受信すると、指定された UDP ポートまたは TCP ポートを指定された期間イネーブルにします。この期間中に、応答側は要求を受け付け、その応答を返します。ポートは IP SLA パケットに応答したあと、または所定の時間が経過するとディセーブルにされます。セキュリティの強化には、コントロール メッセージに MD5 認証を利用できます。
すべての IP SLA 動作に対応するように、宛先デバイスで応答側をイネーブルにする必要はありません。たとえば、宛先ルータですでに提供されているサービス(Telnet、HTTP など)に対して、応答側は必要ありません。IP SLA 応答側は、非シスコ デバイス上に設定できません。また、Cisco IOS IP SLA はこれらのデバイス固有のサービスに対してだけ動作パケットを送信できます。
IP SLA の応答時間の計算
スイッチおよびルータの着信パケットの処理には、他のハイ プライオリティのプロセスがあるため数十ミリ秒かかることがあります。この遅延によって応答時間が影響を受けます。テストパケット応答がキューに入って処理待ちになっていることもあるからです。このような場合、応答時間には本来のネットワーク遅延が正確に反映されません。IP SLA は、送信元デバイスおよびターゲット デバイス(応答側が使用されている場合)での処理遅延をできるだけ小さくして、正しい Round-Trip Time(RTT; ラウンドトリップ時間)が得られるようにしています。IP SLA テスト パケットにはタイムスタンプが使用されて、処理遅延の最小化を行っています。
IP SLA 応答側がイネーブルになっていると、ターゲット デバイスはパケットがインターフェイスに着信したときと送信されるときに割り込みレベルでタイム スタンプを付加できるので処理時間が削除されます。このタイム スタンプはミリ秒以下の精度で作成されます。
図 47-2 に、応答側の動作を示します。RTT を算出するために、タイム スタンプを 4 つ使用します。ターゲット ルータで応答側機能がイネーブルになっている場合、タイム スタンプ 3(TS3)からタイム スタンプ 2(TS2)を引いてテスト パケットの処理に費やした時間を求め、これをデルタ(Δ)とします。次に全体の RTT からこのデルタの値を引きます。同じ方法が IP SLA によりソース ルータでも適用されます。その場合、割り込みレベルで着信のタイム スタンプ 4(TS4)が付加されるので精度が向上します。
図 47-2 Cisco IOS IP SLA 応答側のタイム スタンプ
ターゲット デバイスに 2 つのタイム スタンプがあると、一方向遅延、ジッタ、方向性を持つパケット損失のトラッキングができるという利点もあります。ネットワークの動作は多くが非同期なので、これらの統計情報を持つことが重要です。ただし、一方向遅延測定を取り込む場合は、ソース ルータとターゲット ルータの両方に Network Time Protocol(NTP; ネットワーク タイム プロトコル)を設定し、両方のルータを同じクロック ソースに同期させる必要があります。一方向ジッタの測定の場合、クロックを同期させる必要はありません。
IP SLA 動作のスケジューリング
IP SLA 複数動作のスケジューリング機能の詳細については、次の URL で『 Cisco IOS IP SLAs Configuration Guide 』の「IP SLAs - Multiple Operation Scheduling」の章を参照してください。
http://www.cisco.com/en/US/docs/ios/ipsla/configuration/guide/12_4t/sla_12_4t_book.html
IP SLA 動作を設定する場合、統計情報の取り込みとエラー情報の収集を開始するように動作をスケジュールする必要があります。スケジューリングには、すぐに動作を開始する方法と、月、日、時刻を指定して開始する方法があります 。pending オプションを使用して、あとで動作を開始するように設定します。pending オプションは動作の内部状態の 1 つで、SNMP を使用して表示することができます。トリガーを待つ反応(しきい値)動作の場合にも、この pending 状態を使用します。IP SLA 動作を 1 度に 1 つスケジュールすることも、複数スケジュールすることもできます。
Cisco IOS CLI または CISCO RTTMON-MIB を使用すると、1 つのコマンドで複数の IP SLA 動作をスケジューリングできます。複数の動作を等間隔で実行するようにスケジューリングすれば、IP SLA モニタリングのトラフィック量を制御できます。IP SLA 動作を分散することで CPU 使用率を最小にすることができるので、ネットワークのスケーラビリティが向上します。
IP SLA 動作のしきい値のモニタリング
Cisco IOS IP SLA 動作でしきい値を使用する詳細については、次の URL で『Cisco IOS IP SLAs Configuration Guide』の「IP SLAs--Proactive Threshold Monitoring」の章を参照してください。
http://www.cisco.com/en/US/docs/ios/ipsla/configuration/guide/12_4t/sla_12_4t_book.html
SLA モニタリングを適切に使用するには、何らかの異常が予想される場合にすぐに通知されるメカニズムにする必要があります。IP SLA は次のようなイベントが発生すると SNMP トラップを送信できます。
• 接続の損失
• タイムアウト
• RTT しきい値
• 平均ジッタしきい値
• 一方向パケット損失
• 一方向ジッタ
• 一方向平均オピニオン評点
• 一方向遅延
IP SLA のしきい値が超過した場合に、もう 1 つ IP SLA 動作をトリガーさせて、さらに分析を行うこともできます。たとえば、頻度を増やしたり、ICMP パス エコーや ICMP パス ジッタ動作を開始させてトラブルシューティングを行うことができます。
設定するしきい値のタイプとレベルの決定は複雑になる場合があり、ネットワークで使用されている IP サービスの種類によっても変わってきます。
IP SLA 動作の設定
(注) ここでは、利用可能なすべての動作に関する設定情報を説明するわけではありません。設定情報の詳細については、『Cisco IOS IP SLAs Configuration Guide』を参照してください。ここでは、応答側の設定、UDP ジッタ動作の設定(応答側が必要)、ICMP エコー動作の設定(応答側は不要)などの動作例を説明します。IP Base イメージを実行しているスイッチは、IP SLA 応答側の機能だけをサポートしています。完全な IP SLA 機能を使用する場合は、スイッチで IP サービス イメージを実行している必要があります。
他の動作の設定に関する詳細については、次の URL で『 Cisco IOS IP SLAs Configuration Guide 』を参照してください。
http://www.cisco.com/en/US/docs/ios/ipsla/configuration/guide/12_4t/sla_12_4t_book.html
ここでは、次の情報について説明します。
• 「デフォルト設定」
• 「設定時の注意事項」
• 「IP SLA 応答側の設定」
• 「UDP ジッタ動作を使用した IP サービス レベルの分析」
• 「ICMP エコー動作を使用した IP サービス レベルの分析」
デフォルト設定
IP SLA 動作は設定されていません。
設定時の注意事項
詳しい説明と設定手順については、次の URL で『 Cisco IOS IP SLAs Configuration Guide, Release 12.4T 』を参照してください。
http://www.cisco.com/en/US/docs/ios/ipsla/configuration/guide/12_4t/sla_12_4t_book.html
スイッチは、このマニュアルで説明する IP SLA コマンドや動作をすべてサポートしているわけではありません。スイッチがサポートしているのは、UDP ジッタ、UDP エコー、HTTP、TCP 接続、ICMP エコー、ICMP パス エコー、ICMP パス ジッタ、FTP、DNS、および DHCP を使用する IP サービス レベル分析です。また、複数動作のスケジューリングおよび予防的しきい値モニタリングもサポートしています。ゲートキーパー登録遅延動作測定を使用する VoIP サービス レベルはサポートしていません。
IP SLA アプリケーションを設定する前に、 show ip sla application 特権 EXEC コマンドを使用して、ご使用のソフトウェア イメージでサポートされている動作タイプを確認します。
次に、コマンドの出力例を示します。
Switch# show ip sla application
Version: 2.2.0 Round Trip Time MIB, Infrastructure Engine-II
Time of last change in whole IP SLAs: 22:17:39.117 UTC Fri Jun
Estimated system max number of entries: 15801
Estimated number of configurable operations: 15801
Number of Entries configured : 0
Number of active Entries : 0
Number of pending Entries : 0
Number of inactive Entries : 0
Supported Operation Types
Type of Operation to Perform: 802.1agEcho
Type of Operation to Perform: 802.1agJitter
Type of Operation to Perform: dhcp
Type of Operation to Perform: dns
Type of Operation to Perform: echo
Type of Operation to Perform: ftp
Type of Operation to Perform: http
Type of Operation to Perform: jitter
Type of Operation to Perform: pathEcho
Type of Operation to Perform: pathJitter
Type of Operation to Perform: tcpConnect
Type of Operation to Perform: udpEcho
IP SLAs low memory water mark: 21741224
IP SLA 応答側の設定
IP SLA 応答側は、完全な IP SLA 機能をサポートしていないレイヤ 2 スイッチ(例: Cisco ME 2400 スイッチ)などの Cisco IOS ソフトウェアベース デバイスでだけ利用可能です。
ターゲット デバイス(動作ターゲット)上で IP SLA 応答側を設定するには、次の手順を実行します。
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ステップ 1 |
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グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
ip sla responder
{
tcp-connect
|
udp-echo
}
ipaddress
ip-address
port
port-number
|
スイッチを IP SLA 応答側として設定します。 オプションのキーワードの意味は次のとおりです。 • tcp-connect :応答側の TCP 接続動作をイネーブルにします。 • udp-echo :応答側の UDP エコー動作またはジッタ動作をイネーブルにします。 • ipaddress ip-address :宛先 IP アドレスを入力します。 • port port-number :宛先ポート番号を入力します。 (注) IP アドレスおよびポート番号は、IP SLA 動作の送信元デバイスに設定されている IP アドレスおよびポート番号と一致する必要があります。 |
ステップ 3 |
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特権 EXEC モードに戻ります。 |
ステップ 4 |
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デバイスの IP SLA 応答側設定を確認します。 |
ステップ 5 |
copy running-config startup-config
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(任意)コンフィギュレーション ファイルに設定を保存します。 |
IP SLA 応答側をディセーブルにするには、 no ip sla responder グローバル コンフィギュレーション コマンドを入力します。次に、デバイスを UDP ジッタ IP SLA 動作の応答側に設定する例を示します。UDP ジッタ IP SLA 動作については、このあとの手順で説明します。
Switch(config)# ip sla responder udp-echo 172.29.139.134 5000
UDP ジッタ動作を使用した IP サービス レベルの分析
ジッタは、インターパケット遅延のばらつきです。送信元から宛先に複数のパケットが連続して 10 ミリ秒間隔で送信された場合、ネットワークが正しく動作していれば宛先でも同じパケット群を 10 ミリ秒間隔で受信するはずです。しかしネットワークに遅延があると(キューイング、別ルートでの到着など)、パケット間の到着遅延は 10 ミリ秒よりも長くなったり短くなったりすることがあります。ジッタ値がプラスの場合には、パケットが 10 ミリ秒より長い間隔で到着したことを意味します。パケットが 12 ミリ秒間隔で到着した場合、ジッタ値は +2 ミリ秒となり、パケットが 8 ミリ秒間隔で到着した場合、ジッタ値は -2 ミリ秒となりますが、プラスのジッタ値は望ましくありません。ジッタ値は 0 が理想的です。
IP SLA UDP ジッタ動作は、ジッタのモニタリングのほかにも多目的のデータ収集動作に使用できます。パケット IP SLA は搬送パケットを生成し、送信元ターゲットと動作ターゲット間でシーケンス情報の送受信とタイム スタンプの送受信を行います。これらに基づいて、UDP ジッタ動作は次のデータを測定します。
• 方向別ジッタ(送信元から宛先へ、宛先から送信元へ)
• 方向別パケット損失
• 方向別遅延(一方向遅延)
• 往復遅延(平均 RTT)
データの送信と受信でパスが異なる(非対称)ことがあるため、方向別データを使用してネットワークの輻輳などの問題が発生している場所を簡単に特定します。
UDP ジッタ動作では合成(シミュレーション)UDP トラフィックを生成し、送信元ルータからターゲット ルータに多数の UDP パケットを送信します。パケットのサイズ、パケット同士の間隔、繰り返し頻度は任意です。デフォルトでは、ペイロードサイズ 10 バイトのパケット フレームを 10 個、10 ミリ秒ごとに生成し、60 秒ごとに動作を繰り返します。これらのパラメータは、提供する IP サービスが最もよくシミュレートされるように設定します。
(注) IP SLA 精度マイクロ秒機能は、マイクロ秒の精度を提供するわけではなく、タイムスタンプの精度がマイクロ秒というだけです。
一方向遅延を正確に測定するには、送信元デバイスとターゲット デバイスの間でクロックの同期(NTP などにより提供される)が必要です。一方向ジッタとパケット損失を測定する場合は、クロックを同期する必要はありません。送信元デバイスとターゲット デバイスの間でクロックが同期していない場合、一方向ジッタとパケット損失のデータは戻されますが、UDP ジッタ動作による一方向遅延測定は 0 の値が戻ります。
(注) 送信元デバイス上で UDP ジッタ動作を設定する前に、ターゲット デバイス(動作ターゲット)上で IP SLA 応答側をイネーブルにしておく必要があります。
送信元デバイス上で UDP ジッタ動作を設定するには、次の手順を実行します。
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ステップ 1 |
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グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
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IP SLA 動作を作成し、IP SLA コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 3 |
udp-jitter {
destination-ip-address |
destination-hostname }
destination-port [
source-ip {
ip-address |
hostname }] [
source-port
port-number ] [
control {
enable |
disable }] [
num-packets
number-of-packets ] [
interval
interpacket-interval ]
|
IP SLA 動作を UDP ジッタ動作として設定し、UDP ジッタ コンフィギュレーション モードを開始します。 • destination-ip-address | destination-hostname :宛先 IP アドレスまたはホスト名を指定します。 • destination-port :宛先ポート番号を 1 ~ 65535 の範囲で指定します。 • (任意) source-ip { ip-address | hostname }:送信元 IP アドレスまたはホスト名を指定します。送信元 IP アドレスまたはホスト名を指定しない場合、IP SLA は宛先に最も近い IP アドレスを選択します。 • (任意) source-port port-number :送信元ポート番号を 1 ~ 65535 の範囲で指定します。ポート番号を指定しない場合、IP SLA は利用可能なポートを選択します。 • (任意) control :IP SLA 応答側への IP SLA コントロール メッセージの送信をイネーブルまたはディセーブルにします。デフォルトでは、IP SLA 応答側との接続を確立するために、宛先デバイスに IP SLA コントロール メッセージが送信されます。 • (任意) num-packets number-of-packets :生成するパケット数を入力します。指定できる範囲は 1 ~ 6000 です。デフォルトは 10 です。 • (任意) interval inter-packet-interval :パケットの送信間隔をミリ秒で指定します。指定できる範囲は 1 ~ 6000 です。デフォルトは 20 ミリ秒です。 |
ステップ 4 |
|
(任意)指定した IP SLA 動作を繰り返す間隔を設定します。指定できる範囲は 1 ~ 604800 秒です。デフォルトは 60 秒です。 |
ステップ 5 |
|
UDP ジッタ コンフィギュレーション モードを終了し、グローバル コンフィギュレーション モードに戻ります。 |
ステップ 6 |
ip sla monitor schedule
operation-number [
life {
forever |
seconds }] [
start-time {
hh :
mm [:
ss ] [
month day |
day month ] |
pending |
now |
after
hh:mm:ss ] [
ageout
seconds ] [
recurring ]
|
個々の IP SLA 動作のスケジューリング パラメータを設定します。 • operation-number :RTR エントリ番号を入力します。 • (任意) life :動作の実行を無期限( forever )に設定するか、 秒 数で指定します。指定できる範囲は 0 ~ 2147483647 です。デフォルトは 3600 秒(1 時間)です。 • (任意) start-time :情報の収集を開始する時刻を入力します。 – 開始時刻を指定する場合は、時、分、秒(24 時間表記)、月日を入力します。月を入力しない場合、デフォルトで当月が使用されます。 – pending を入力した場合、開始時刻を指定するまで情報収集は行われません。 – now を入力した場合、すぐに動作が開始されます。 – after hh:mm:ss と入力した場合、指定した時刻が経過すると動作が開始されます。 • (任意) ageout seconds :情報をアクティブに収集していない場合、動作をメモリに常駐させておく時間を秒数で入力します。指定できる範囲は 0 ~ 2073600 秒です。デフォルトは 0 秒です(常駐したまま)。 • (任意) recurring :毎日、動作を自動的に実行します。 |
ステップ 7 |
|
特権 EXEC モードに戻ります。 |
ステップ 8 |
show ip sla configuration [
operation-number ]
|
(任意)すべての IP SLA 動作または指定した IP SLA 動作に関する設定値を、すべてのデフォルト値を含めて表示します。 |
ステップ 9 |
copy running-config startup-config
|
(任意)コンフィギュレーション ファイルに設定を保存します。 |
IP SLA 動作をディセーブルにするには、no ip sla operation-number グローバル コンフィギュレーション コマンドを入力します。次に、UDP ジッタ IP SLA 動作の設定例を示します。
Switch(config)# ip sla 10
Switch(config-ip-sla)# udp-jitter 172.29.139.134 5000
Switch(config-ip-sla-jitter)# frequency 30
Switch(config-ip-sla-jitter)# exit
Switch(config)# ip sla schedule 5 start-time now life forever
Switch# show ip sla configuration 10
IP SLAs, Infrastructure Engine-II.
Type of operation to perform: udp-jitter
Target address/Source address: 1.1.1.1/0.0.0.0
Target port/Source port: 2/0
Request size (ARR data portion): 32
Operation timeout (milliseconds): 5000
Packet Interval (milliseconds)/Number of packets: 20/10
Type Of Service parameters: 0x0
Operation frequency (seconds): 30
Next Scheduled Start Time: Pending trigger
Randomly Scheduled : FALSE
Entry Ageout (seconds): never
Recurring (Starting Everyday): FALSE
Status of entry (SNMP RowStatus): notInService
Threshold (milliseconds): 5000
Number of statistic hours kept: 2
Number of statistic distribution buckets kept: 1
Statistic distribution interval (milliseconds): 20
ICMP エコー動作を使用した IP サービス レベルの分析
ICMP エコー動作では、シスコ デバイスと IP を使用する任意のデバイスとの間のエンドツーエンド応答時間を測定します。応答時間は、ICMP エコー要求メッセージを宛先に送信してから ICMP エコー応答を受信するまでの時間を測定して算出します。お客様の多くは、送信元 IP SLA デバイスと宛先 IP デバイスとの間の応答時間の測定に、IP SLA ICMP ベース動作、社内 ping テスト、または ping ベースの専用プローブを使用しています。IP SLA ICMP エコー動作と ICMP ping テストは同じ仕様に準拠しているので、どちらの方法でも同じ応答時間が得られます。
(注) この動作では、IP SLA 応答側をイネーブルにしておく必要はありません。
送信元デバイス上で ICMP エコー動作を設定するには、次の手順を実行します。
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ステップ 1 |
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グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
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IP SLA 動作を作成し、IP SLA コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 3 |
icmp-echo {
destination-ip-address |
destination-hostname } [
source-ip {
ip-address |
hostname } |
source-interface
interface-id ]
|
IP SLA 動作を ICMP エコー動作として設定し、ICMP エコー コンフィギュレーション モードを開始します。 • destination-ip-address | destination-hostname :宛先 IP アドレスまたはホスト名を指定します。 • (任意) source-ip { ip-address | hostname }:送信元 IP アドレスまたはホスト名を指定します。送信元 IP アドレスまたはホスト名を指定しない場合、IP SLA は宛先に最も近い IP アドレスを選択します。 • (任意) source-interface interface-id :この動作の送信元インターフェイスを指定します。 |
ステップ 4 |
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(任意)指定した IP SLA 動作を繰り返す間隔を設定します。指定できる範囲は 1 ~ 604800 秒です。デフォルトは 60 秒です。 |
ステップ 5 |
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UDP ジッタ コンフィギュレーション モードを終了し、グローバル コンフィギュレーション モードに戻ります。 |
ステップ 6 |
ip sla schedule
operation-number [
life {
forever |
seconds }] [
start-time {
hh :
mm [:
ss ] [
month day |
day month ] |
pending |
now |
after
hh:mm:ss ] [
ageout
seconds ] [
recurring ]
|
個々の IP SLA 動作のスケジューリング パラメータを設定します。 • operation-number :RTR エントリ番号を入力します。 • (任意) life :動作の実行を無期限( forever )に設定するか、 秒 数で指定します。指定できる範囲は 0 ~ 2147483647 です。デフォルトは 3600 秒(1 時間)です。 • (任意) start-time :情報の収集を開始する時刻を入力します。 – 開始時刻を指定する場合は、時、分、秒(24 時間表記)、月日を入力します。月を入力しない場合、デフォルトで当月が使用されます。 – pending を入力した場合、開始時刻を指定するまで情報収集は行われません。 – now を入力した場合、すぐに動作が開始されます。 – after hh:mm:ss と入力した場合、指定した時刻が経過すると動作が開始されます。 • (任意) ageout seconds :情報をアクティブに収集していない場合、動作をメモリに常駐させておく時間を秒数で入力します。指定できる範囲は 0 ~ 2073600 秒です。デフォルトは 0 秒です(常駐したまま)。 • (任意) recurring :毎日、動作を自動的に実行します。 |
ステップ 7 |
|
特権 EXEC モードに戻ります。 |
ステップ 8 |
show ip sla configuration [
operation-number ]
|
(任意)すべての IP SLA 動作または指定した IP SLA 動作に関する設定値を、すべてのデフォルト値を含めて表示します。 |
ステップ 9 |
copy running-config startup-config
|
(任意)コンフィギュレーション ファイルに設定を保存します。 |
IP SLA 動作をディセーブルにするには、 no ip sla operation-number グローバル コンフィギュレーション コマンドを入力します。次に、ICMP エコー IP SLA 動作の設定例を示します。
Switch(config)# ip sla 12
Switch(config-ip-sla)# icmp-echo 172.29.139.134
Switch(config-ip-sla-echo)# frequency 30
Switch(config-ip-sla-echo)# exit
Switch(config)# ip sla schedule 5 start-time now life forever
Switch# show ip sla configuration 22
IP SLAs, Infrastructure Engine-II.
Type of operation to perform: echo
Request size (ARR data portion): 28
Operation timeout (milliseconds): 5000
Type Of Service parameters: 0x0
Operation frequency (seconds): 60
Next Scheduled Start Time: Pending trigger
Randomly Scheduled : FALSE
Entry Ageout (seconds): never
Recurring (Starting Everyday): FALSE
Status of entry (SNMP RowStatus): notInService
Threshold (milliseconds): 5000
Number of statistic hours kept: 2
Number of statistic distribution buckets kept: 1
Statistic distribution interval (milliseconds): 20
Number of history Lives kept: 0
Number of history Buckets kept: 15
History Filter Type: None