VRF-Lite の概要
VRF-Lite の機能によって、サービス プロバイダーは、VPN 間で重複した IP アドレスを使用できる複数の VPN をサポートできます。VRF-Lite は入力インターフェイスを使用して異なる VPN のルートを区別し、各 VRF に 1 つまたは複数のレイヤ 3 インターフェイスを対応付けて仮想パケット転送テーブルを形成します。VRF のインターフェイスには、イーサネット ポートなどの物理インターフェイス、または Virtual LAN(VLAN; 仮想 LAN)Switch Virtual Interface(SVI; スイッチ仮想インターフェイス)などの論理インターフェイスが有効ですが、レイヤ 3 インターフェイスは、複数の VRF に属することは常にできません。
(注) VRF-Lite インターフェイスは、レイヤ 3 インターフェイスである必要があります。
VRF-Lite には次のデバイスが含まれます。
• CE デバイスにおいて、カスタマーは、1 つまたは複数の Provider Edge(PE; プロバイダー エッジ)ルータへのデータ リンクを介してサービス プロバイダー ネットワークにアクセスできます。CE デバイスは、サイトのローカル ルートを PE ルータへアドバタイズし、PE ルータからリモート VPN ルートを学習します。Catalyst 4500 シリーズ スイッチは CE にすることができます。
• PE ルータは、スタティック ルーティング、または Border Gateway Protocol(BGP)、Routing Information Protocol バージョン 1(RIPv1)、Routing Information Protocol バージョン 2(RIPv2)などのルーティング プロトコルを使用して CE デバイスとルーティング情報を交換します。
• PE では、直接接続された VPN の VPN ルートを維持することだけが必要とされます。サービス プロバイダーのすべての VPN ルートを PE が維持する必要はありません。各 PE ルータは、直接接続されたサイトごとの VRF を維持します。このようなサイトのすべてが同一の VPN に参加する場合は、PE ルータ上の複数のインターフェイスを単一の VRF に対応付けることができます。各 VPN は、指定された VRF にマッピングされます。CE からローカルの VPN ルートが学習されると、PE ルータは Internal BGP(iBPG)を使用してその他の PE ルータと VPN ルーティング情報を交換します。
• プロバイダー ルータ(またはコア ルータ)は、CE デバイスに接続されていないサービス プロバイダー ネットワーク内のルータです。
VRF-Lite により、複数のカスタマーが 1 つの CE を共有でき、CE と PE の間には物理リンクが 1 つだけ使用されます。共有された CE は、カスタマーの別個の VRF テーブル、独自のルーティング テーブルに基づいて各カスタマーのパケットをスイッチングまたはルーティングします。VRF-Lite は、制限された PE 機能を CE デバイスに拡張して、VPN のプライバシーおよびセキュリティを支店に拡張するために、別個の VRF テーブルを維持する機能を提供しています。
図 29-1 は、各 Catalyst 4500 シリーズ スイッチが複数の仮想 CE として動作する構成を示します。VRF-Lite はレイヤ 3 機能であるため、VRF の各インターフェイスはレイヤ 3 インターフェイスである必要があります。
図 29-1 複数の仮想 CE として動作する Catalyst 4500 シリーズ スイッチ
次に、図 29-1 に示されている VRF-Lite CE 対応ネットワークのパケット転送プロセスを示します。
• CE が VPN からパケットを受信すると、CE は入力インターフェイスに基づいたルーティング テーブルを検索します。ルートが見つかると、CE はパケットを PE に転送します。
• 入力 PE が CE からのパケットを受信すると、VRF 検索を実行します。ルートが見つかると、ルータは対応する MPLS ラベルをパケットに追加して、それを MPLS ネットワークに送信します。
• 出力 PE がネットワークからパケットを受信すると、ラベルを除去し、そのラベルを使用して正しい VPN ルーティング テーブルを識別します。次に、出力 PE が通常のルート検索を行います。ルートが見つかると、PE はパケットを正しい隣接デバイスに転送します。
• CE が出力 PE からパケットを受信すると、CE は入力インターフェイスを使用して正しい VPN ルーティング テーブルを検索します。ルートが見つかると、CE はパケットを VPN 内に転送します。
VRF を設定するには、VRF テーブルを作成し、VRF に対応付けられたレイヤ 3 インターフェイスを指定します。次に、VPN、および CE と PE の間にルーティング プロトコルを設定します。BGP は、VPN ルーティング情報をプロバイダーのバックボーン上に配布するのに最適なルーティング プロトコルです。VRF-Lite ネットワークには、次の 3 つの主要なコンポーネントがあります。
• VPN ルート ターゲット コミュニティ: VPN コミュニティの他のすべてのリストです。各 VPN コミュニティ メンバに VPN ルート ターゲットを設定する必要があります。
• VPN コミュニティ PE ルータのマルチプロトコル BGP ピアリング: VPN コミュニティのすべてのメンバに VRF の到着可能性情報を伝播します。VPN コミュニティ内のすべての PE ルータに BGP ピアリングを設定する必要があります。
• VPN 転送:VPN サービスプロバイダー ネットワークのすべての VPN コミュニティ メンバ間のすべてのトラフィックを転送します。
VRF-Lite のデフォルト設定
表 29-1 に、VRF のデフォルト設定を示します。
表 29-1 VRF のデフォルト設定
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VRF |
ディセーブル。VRF は定義されていません。 |
マップ |
インポート マップ、エクスポート マップ、またはルート マップは定義されていません。 |
VRF の最大ルート |
なし。 |
転送テーブル |
インターフェイスのデフォルトは、グローバル ルーティング テーブルです。 |
VRF-Lite 設定時の注意事項
ネットワークに VRF を設定する場合に、次の点に留意してください。
• VRF-Lite が設定されたスイッチは複数のカスタマーで共有され、すべてのカスタマーが独自のルーティング テーブルを持ちます。
• カスタマーは異なる VRF テーブルを使用するので、同一の IP アドレスを再使用できます。重複した IP アドレスは、異なる VPN で使用できます。
• VRF-Lite では、複数のカスタマーが PE と CE の間で同一の物理リンクを共有できます。複数の VLAN があるトランク ポートは、パケットをカスタマーごとに分類します。すべてのカスタマーが独自の VLAN を持ちます。
• VRF-Lite は、すべての MPLS-VRF 機能(ラベル交換、Label Distribution Protocol(LDP)の隣接関係、またはラベル付きパケット)をサポートしていません。
• PE ルータでは、VRF-Lite の使用と複数の CE の使用には違いがありません。図 29-1 では、複数の仮想レイヤ 3 インターフェイスが VRF-Lite デバイスに接続されています。
• Catalyst 4500 シリーズ スイッチは、物理ポート、VLAN SVI、またはその 2 つの組み合わせを使用した VRF の設定をサポートしています。SVI は、アクセス ポートまたはトランク ポートを介して接続できます。
• カスタマーは、他のカスタマーと重複しない限り複数の VLAN を使用できます。カスタマーの VLAN は、スイッチに格納された適切なルーティング テーブルを識別するのに使用する、特定のルーティング テーブル ID にマッピングされます。
• レイヤ 3 Ternary CAM(TCAM)リソースは、すべての VRF 間で共有されます。各 VRF が十分な CAM(連想メモリ)領域を持つようにするには、maximum routes コマンドを使用します。
• VRF を使用した Catalyst 4500 シリーズ スイッチは、1 つのグローバル ネットワークと最大 64 の VRF をサポートできます。サポートされるルートの総数は、TCAM のサイズに制限されます。
• ほとんどのルーティング プロトコル(BGP、Open Shortest Path First(OSPF)、Enhanced Interior Gateway Routing Protocol(EIGRP)、Routing Information Protocol(RIP)、およびスタティック ルーティング)を CE と PE 間で使用できます。ただし、次のような理由から External BGP(EBGP)の使用を推奨しています。
– BGP は、複数の CE と通信するのに複数のアルゴリズムを必要としません。
– BGP は、異なる管理下で実行されるシステム間でルーティング情報を渡すために設計されています。
– BGP を使用すると、CE にルートのアトリビュートを譲渡することが容易になります。
• VRF-Lite は、Interior Gateway Routing Protocol(IGRP)および ISIS をサポートしません。
• VRF-Lite は、パケット スイッチング レートに影響しません。
• Cisco IOS Release 12.2(50)SG から、マルチキャストと VRF は、レイヤ 3 インターフェイスに一緒に設定できます。
• Catalyst 4500 シリーズ スイッチでは、すべての PIM プロトコル(PIM-SM、PIM-DM、PIM-SSM、PIM BiDIR)がサポートされます。
• IPv6 マルチキャスト VRF ではなく、IPv4 マルチキャスト VRF が Supervisor Engine 7-E 上でサポートされます。
• router ospf の capability vrf-lite サブコマンドは、PE と CE 間のルーティング プロトコルとして OSPF が設定されている場合に使用する必要があります。
VRF の設定
1 つまたは複数の VRF を設定するには、次の作業を行います。
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ステップ 1 |
Switch# configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
Switch(config)# ip routing |
IP ルーティングをイネーブルにします。 |
ステップ 3 |
Switch(config)# ip vrf vrf-name |
VRF 名を指定し、VRF コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 4 |
Switch(config-vrf)# rd route-distinguisher |
ルート識別子を指定して VRF テーブルを作成します。Autonomous System(AS; 自律システム)番号および任意の数(xxx:y)または IP アドレスおよび任意の数(A.B.C.D:y)のどちらかを入力します。 |
ステップ 5 |
Switch(config-vrf)# route-target { export | import | both } route-target-ext-community |
指定された VRF のインポート、エクスポート、またはインポートおよびエクスポート ルート ターゲット コミュニティのリストを作成します。AS 番号および任意の数(xxx:y)、IP アドレスおよび任意の数(A.B.C.D:y)のどちらかを入力します。 (注) このコマンドは、BGP が動作している場合にのみ有効です。 |
ステップ 6 |
Switch(config-vrf)# import map route-map |
(任意)VRF にルート マップを対応付けます。 |
ステップ 7 |
Switch(config-vrf)# interface interface-id |
インターフェイス コンフィギュレーション モードを開始して、VRF に対応付けるレイヤ 3 インターフェイスを指定します。有効なインターフェイスは、ルーテッド ポートまたは SVI です。 |
ステップ 8 |
Switch(config-if)# ip vrf forwarding vrf-name |
VRF をレイヤ 3 インターフェイスに対応付けます。 |
ステップ 9 |
Switch(config-if)# end |
特権 EXEC モードに戻ります。 |
ステップ 10 |
Switch# show ip vrf [ brief | detail | interfaces ] [ vrf-name ] |
設定を確認します。設定した VRF に関する情報を表示します。 |
ステップ 11 |
Switch# copy running-config startup-config |
(任意)コンフィギュレーション ファイルに設定を保存します。 |
(注) 次のコマンドの構文および使用方法の詳細については、このリリースのスイッチ コマンド リファレンスおよび次の URL で『Cisco IOS Switching Services Command Reference』を参照してください。
http://www.cisco.com/en/US/docs/ios/ipswitch/command/reference/isw_book.html
VRF を削除、および VRF からすべてのインターフェイスを削除するには、 no ip vrf vrf-name グローバル コンフィギュレーション コマンドを使用します。VRF から 1 つのインターフェイスを削除するには、 no ip vrf forwarding インターフェイス コンフィギュレーション コマンドを使用します。
VRF 認識サービスの設定
IP サービスはグローバル インターフェイスに設定でき、これらのサービスは、グローバル ルーティング インスタンス内で実行されます。IP サービスは、複数のルーティング インスタンスが実行されるように機能が拡張されました。これが VRF 認識サービスです。システムに設定されているすべての VRF は、VRF 認識サービスに指定できます。
VRF 認識サービスは、プラットフォームに依存しないモジュールで実行されます。VRF は、Cisco IOS の複数のルーティング インスタンスを意味します。各プラットフォームには、サポートする VRF 数に独自の制限があります。
VRF 認識サービスには、次の特徴があります。
• ユーザは、ユーザが指定した VRF で、ホストに対して ping を行うことができます。
• ARP エントリは、別々の VRF で学習されるエントリです。ユーザは、特定の VRF について、Address Resolution Protocol(ARP; アドレス解決プロトコル)のエントリを表示できます。
次のサービスは VRF 認識サービスで、VRF で認識されます。
• ARP
• ping
• Simple Network Management Protocol(SNMP; 簡易ネットワーク管理プロトコル)
• Unicast Reverse Path Forwarding(uRPF; ユニキャスト RPF)
• Syslog
• Traceroute
• FTP および TFTP
• Telnet および SSH
• NTP
(注) 次のコマンドの構文および使用方法の詳細については、このリリースのスイッチ コマンド リファレンスおよび次の URL で『Cisco IOS Switching Services Command Reference』を参照してください。
http://www.cisco.com/en/US/docs/ios/ipswitch/command/reference/isw_book.html
ARP のユーザ インターフェイス
VRF 認識 ARP を設定する手順は、次のとおりです。
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Switch# arp vrf vrf-name <ip-address> mac-address> ARPA
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指定された VRF でスタティック arp エントリを作成します。 |
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Switch# show ip arp vrf vrf-name
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指定された VRF で、ARP テーブル(スタティック エントリおよびダイナミック エントリ)を表示します。 |
ping のユーザ インターフェイス
VRF 認識 ping を実行するには、次のコマンドを入力します。
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Switch# ping vrf vrf-name ip-host
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指定された VRF で、IP ホストまたはアドレスに対して ping を実行します。 |
SNMP のユーザ インターフェイス
VRF 認識サービスを SNMP 用に設定するには、次の作業を実行します。
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ステップ 1 |
Switch#
configure terminal
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グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
Switch(config# snmp-server trap authentication vrf
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VRF で、パケットに対して SNMP トラップをイネーブルにします。 |
ステップ 3 |
Switch(config# snmp-server engineID remote host vrf vpn-instance engine-id string
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スイッチ上で、リモート SNMP エンジンの名前を設定します。 |
ステップ 4 |
Switch(config# snmp-server host host vrf vpn-instance traps community
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SNMP トラップ動作の受信先を指定し、SNMP トラップの送信に使用される VRF テーブルを指定します。 |
ステップ 5 |
Switch(config# snmp-server host host vrf vpn-instance informs community
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SNMP 通知動作の受信先を指定し、SNMP 通知の送信に使用される VRF テーブルを指定します。 |
ステップ 6 |
Switch(config# snmp-server user user group remote host vrf vpn- instance security model
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SNMP アクセスのため、VRF 上のリモート ホストにある SNMP グループにユーザを追加します。 |
ステップ 7 |
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特権 EXEC モードに戻ります。 |
uRPF のユーザ インターフェイス
VRF に割り当てられているインターフェイス上で、uRPF を設定できます。ソースのルックアップは、VRF テーブルで実行されます。
VRF 認識サービスを uRPF 用に設定するには、次の作業を実行します。
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ステップ 1 |
Switch#
configure terminal
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グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
Switch(config)#
interface
interface-id
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インターフェイス コンフィギュレーション モードを開始し、設定するレイヤ 3 インターフェイスを指定します。 |
ステップ 3 |
Switch(config-if)#
no switchport
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物理インターフェイスの場合は、レイヤ 2 コンフィギュレーション モードからインターフェイスを削除します。 |
ステップ 4 |
Switch(config-if)# ip vrf forwarding vrf-name
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インターフェイス上で VRF を設定します。 |
ステップ 5 |
Switch(config-if-vrf)# ip address ip-address
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インターフェイスの IP アドレスを入力します。 |
ステップ 6 |
Switch(config-if-vrf)# ip verify unicast source reachable-via
rx allow-default
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インターフェイス上で uRPF をイネーブルにします。 |
ステップ 7 |
Switch(config-if-vrf)#
end
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特権 EXEC モードに戻ります。 |
Syslog のユーザ インターフェイス
VRF 認識サービスを Syslog 用に設定するには、次の作業を実行します。
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ステップ 1 |
Switch#
configure terminal
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グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
Switch(config)#
logging on
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ストレージ ルータ イベント メッセージのロギングを、イネーブルまたは一時的にディセーブルにします。 |
ステップ 3 |
Switch(config)#
logging host ip-address vrf vrf-name
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ロギング メッセージが送信される Syslog サーバのホスト アドレスを指定します。 |
ステップ 4 |
Switch(config)# logging buffered logging buffered size debugging
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内部バッファにメッセージを記録します。 |
ステップ 5 |
Switch(config)# logging trap debugging
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Syslog サーバに送信されるロギング メッセージを制限します。 |
ステップ 6 |
Switch(config)# logging facility facility
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ロギング ファシリティにシステム ロギング メッセージを送信します。 |
ステップ 7 |
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特権 EXEC モードに戻ります。 |
Traceroute のユーザ インターフェイス
Traceroute に対して VRF 認識サービスを設定するには、次の作業を実行します。
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traceroute vrf vrf-name ipaddress
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宛先アドレスを取得する VPN VRF の名前を指定します。 |
FTP および TFTP のユーザ インターフェイス
FTP および TFTP が VRF を認識するには、いくつかの FTP/TFTP CLI を設定する必要があります。たとえば、E1/0 などの、インターフェイスに接続されている VRF テーブルを使用する場合、特定のルーティング テーブルを使用することを [t]ftp に通知するため、CLI ip [t]ftp source-interface E1/0 を 設定する必要があります。この例では、VRF テーブルを使用して宛先 IP アドレスをルックアップします。これらの変更には下位互換性があり、既存の動作には影響を及ぼしません。つまり、インターフェイス上に VRF が設定されていない場合でも、送信元インターフェイスの CLI を使用して、特定のインターフェイスにパケットを送信できます。
FTP 接続用のソース IP アドレスを指定するには、次の作業を実行します。
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ステップ 1 |
Switch#
configure terminal
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グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
Switch(config)# [no] ip ftp source-interface interface-type interface-number
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FTP 接続用の送信元 IP アドレスを指定します。 接続が確立されたインターフェイスのアドレスを使用するには、このコマンドの no 形式を使用します。 |
ステップ 3 |
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特権 EXEC モードに戻ります。 |
インターフェイスの IP アドレスを TFTP 接続用の送信元アドレスとして指定するには、次の作業を実行します。
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ステップ 1 |
Switch#
configure terminal
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グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
Switch(config)# [no] ip tftp source-interface
interface-type
interface-number
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TFTP 接続用の送信元 IP アドレスを指定します。 デフォルトに戻すには、このコマンドの no 形式を使用します。 |
ステップ 3 |
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特権 EXEC モードに戻ります。 |
Telnet および SSH のユーザ インターフェイス
VRF 認識 Telnet および SSH を設定するには、次のコマンドを入力します。
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Switch# telnet <ip-address>/vrf vrf-name
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指定された VRF で、IP ホストまたはアドレスに対して Telnet を実行します。 |
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Switch# ssh -l <username> -vrf vrf-name ip-host
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指定された VRF で、IP ホストまたはアドレスに対して SSH を実行します。 |
NTP のユーザ インターフェイス
VRF 認識 NTP を設定するには、次のコマンドを入力します。
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Switch# ntp server vrf vrf-name ip-host
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指定された VRF で NTP サーバを設定します。 |
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Switch# ntp peer vrf vrf-name ip-host
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指定された VRF で NTP ピアを設定します。 |
マルチキャスト VRF の設定
VRF テーブル内でマルチキャストを設定する手順は、次のとおりです。
(注) 次のコマンドの構文および使用方法の詳細については、このリリースのスイッチ コマンド リファレンスおよび次の URL で『Cisco IOS Switching Services Command Reference』を参照してください。
http://www.cisco.com/en/US/docs/ios/ipswitch/command/reference/isw_book.html
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ステップ 1 |
Switch# configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
Switch(config)# ip routing |
IP ルーティングをイネーブルにします。 |
ステップ 3 |
Switch(config)# ip vrf vrf-name |
VRF 名を指定し、VRF コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 4 |
Switch(config-vrf)# ip multicast-routing vrf vrf-name |
(任意)VRF テーブルでグローバル マルチキャスト ルーティングをイネーブルにします。 |
ステップ 5 |
Switch(config-vrf)# rd route-distinguisher |
ルート識別子を指定して VRF テーブルを作成します。Autonomous System(AS; 自律システム)番号および任意の数(xxx:y)または IP アドレスおよび任意の数(A.B.C.D:y)のどちらかを入力します。 |
ステップ 6 |
Switch(config-vrf)# route-target { export | import | both } route-target-ext-community |
指定された VRF のインポート、エクスポート、またはインポートおよびエクスポート ルート ターゲット コミュニティのリストを作成します。AS 番号および任意の数(xxx:y)、IP アドレスおよび任意の数(A.B.C.D:y)のどちらかを入力します。 route-target-ext-community は、ステップ 4 で入力した route-distinguisher と同じです。 |
ステップ 7 |
Switch(config-vrf)# import map route-map |
(任意)VRF にルート マップを対応付けます。 |
ステップ 8 |
Switch(config-vrf)# interface interface-id |
インターフェイス コンフィギュレーション モードを開始して、VRF に対応付けるレイヤ 3 インターフェイスを指定します。有効なインターフェイスは、ルーテッド ポートまたは SVI です。 |
ステップ 9 |
Switch(config-if)# ip vrf forwarding vrf-name |
VRF をレイヤ 3 インターフェイスに対応付けます。 |
ステップ 10 |
Switch(config-if)# ip address ip-address mask |
レイヤ 3 インターフェイスの IP アドレスを設定します。 |
ステップ 11 |
Switch(config-if)# ip pim [sparse-dense mode | dense-mode | sparse-mode] |
VRF に関連付けられているレイヤ 3 インターフェイス上で、PIM をイネーブルにします。 |
ステップ 12 |
Switch(config-if)# end |
特権 EXEC モードに戻ります。 |
ステップ 13 |
Switch# show ip vrf [ brief | detail | interfaces ] [ vrf-name ] |
設定を確認します。設定した VRF に関する情報を表示します。 |
ステップ 14 |
Switch# copy running-config startup-config |
(任意)コンフィギュレーション ファイルに設定を保存します。 |
マルチ VRF CE 内でマルチキャストを設定する方法については、『Cisco IOS IP Multicast Configuration Guide, Release 12.4』を参照してください。
VRF を削除、および VRF からすべてのインターフェイスを削除するには、 no ip vrf vrf-name グローバル コンフィギュレーション コマンドを使用します。VRF から 1 つのインターフェイスを削除するには、 no ip vrf forwarding インターフェイス コンフィギュレーション コマンドを使用します。
VPN ルーティング セッションの設定
VPN 内のルーティングは、サポートされるルーティング プロトコル(RIP、OSPF、または BGP)、またはスタティック ルーティングで設定できます。ここで表示する設定は OSPF 用ですが、その他のプロトコルでもプロセスは同じです。
VPN に OSPF を設定するには、次の作業を行います。
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ステップ 1 |
Switch# configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
Switch(config)# router ospf process-id vrf vrf-name |
OSPF ルーティングをイネーブルにし、VPN 転送テーブルを指定して、ルータ コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 3 |
Switch(config-router)# log-adjacency-changes |
(任意)隣接ステートの変更を記録します。これがデフォルトの状態になります。 |
ステップ 4 |
Switch(config-router)# redistribute bgp autonomous-system-number subnets |
BGP ネットワークから OSPF ネットワークに情報を再配布するようにスイッチを設定します。 |
ステップ 5 |
Switch(config-router)# network network-number area area-id |
OSPF が動作するネットワーク アドレスとマスク、およびそのネットワーク アドレスのエリア ID を定義します。 |
ステップ 6 |
Switch(config-router)# end |
特権 EXEC モードに戻ります。 |
ステップ 7 |
Switch# show ip ospf process-id |
OSPF ネットワークの設定を確認します。 |
ステップ 8 |
Switch# copy running-config startup-config |
(任意)コンフィギュレーション ファイルに設定を保存します。 |
OSPF ルーティング プロセスから VPN 転送テーブルの対応付けを解除するには、 no router ospf process-id vrf vrf-name グローバル コンフィギュレーション コマンドを使用します。
CE ルーティング セッションへの BGP PE の設定
CE ルーティング セッションに BGP PE を設定するには、次の作業を行います。
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ステップ 1 |
Switch# configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
Switch(config)# router bgp autonomous-system-number |
その他の BGP ルータに渡された AS 番号で BGP ルーティング プロセスを設定し、ルータ コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 3 |
Switch(config-router)# network network-number mask network-mask |
BGP を使用してアナウンスするネットワークおよびマスクを指定します。 |
ステップ 4 |
Switch(config-router)# redistribute ospf process-id match internal |
OSPF 内部ルートを再配布するようにスイッチを設定します。 |
ステップ 5 |
Switch(config-router)# network network-number area area-id |
OSPF が動作するネットワーク アドレスとマスク、およびそのネットワーク アドレスのエリア ID を定義します。 |
ステップ 6 |
Switch(config-router-af)# address-family ipv4 vrf vrf-name |
PE から CE のルーティング セッションの BGP パラメータを定義し、VRF アドレス ファミリ モードを開始します。 |
ステップ 7 |
Switch(config-router-af)# neighbor address remote-as as-number |
PE と CE ルータの間の BGP セッションを定義します。 |
ステップ 8 |
Switch(config-router-af)# neighbor address activate |
IPv4 アドレス ファミリのアドバタイズメントをアクティブ化します。 |
ステップ 9 |
Switch(config-router-af)# end |
特権 EXEC モードに戻ります。 |
ステップ 10 |
Switch# show ip bgp [ ipv4 ] [ neighbors ] |
BGP 設定を確認します。 |
ステップ 11 |
Switch# copy running-config startup-config |
(任意)コンフィギュレーション ファイルに設定を保存します。 |
BGP ルーティング プロセスを削除するには、 no router bgp autonomous-system-number グローバル コンフィギュレーション コマンドを使用します。ルーティングの特性を削除するには、キーワードとともにコマンドを使用します。
VRF-Lite の設定例
図 29-2 は、図 29-1 と類似したネットワークの物理接続を簡略化した例です。OSPF は、VPN1、VPN2、およびグローバル ネットワークで使用されるプロトコルです。BGP は、CE と PE の接続に使用されます。次の例のコマンドは、CE スイッチ S8 を設定する方法を示し、スイッチ S20 および S11 の VRF 設定、およびスイッチ S8 のトラフィックに関連する PE ルータ コマンドが含まれます。その他のスイッチの設定のコマンドは含まれていませんが、類似したものになります。
図 29-2 VRF-Lite の設定例
スイッチ S8 の設定
スイッチ S8 上のルーティングをイネーブルにし、VRF を設定します。
Switch# configure terminal
Enter configuration commands, one per line. End with CNTL/Z.
Switch(config)# ip routing
Switch(config)# ip vrf v11
Switch(config-vrf)# rd 800:1
Switch(config-vrf)# route-target export 800:1
Switch(config-vrf)# route-target import 800:1
Switch(config)# ip vrf v12
Switch(config-vrf)# rd 800:2
Switch(config-vrf)# route-target export 800:2
Switch(config-vrf)# route-target import 800:2
スイッチ S8 上でループバックおよび物理インターフェイスを設定します。ファスト イーサネット インターフェイス 3/5 は、PE へのトランク接続です。インターフェイス 3/7 および 3/11 は、VPN に接続します。
Switch(config)# interface loopback1
Switch(config-if)# ip vrf forwarding v11
Switch(config-if)# ip address 8.8.1.8 255.255.255.0
Switch(config)# interface loopback2
Switch(config-if)# ip vrf forwarding v12
Switch(config-if)# ip address 8.8.2.8 255.255.255.0
Switch(config)# interface FastEthernet3/5
Switch(config-if)# switchport trunk encapsulation dot1q
Switch(config-if)# switchport mode trunk
Switch(config-if)# no ip address
Switch(config)# interface FastEthernet3/8
Switch(config-if)# switchport access vlan 208
Switch(config-if)# no ip address
Switch(config)# interface FastEthernet3/11
Switch(config-if)# switchport trunk encapsulation dot1q
Switch(config-if)# switchport mode trunk
Switch(config-if)# no ip address
スイッチ S8 上で使用される VLAN を設定します。VLAN 10 は、CE と PE の間で VRF 11 によって使用されます。VLAN 20 は、CE と PE の間で VRF 12 によって使用されます。VLAN 118 および 208 は、それぞれスイッチ S11 およびスイッチ S20 を含む VPN の VRF に使用されます。
Switch(config)# interface Vlan10
Switch(config-if)# ip vrf forwarding v11
Switch(config-if)# ip address 38.0.0.8 255.255.255.0
Switch(config)# interface Vlan20
Switch(config-if)# ip vrf forwarding v12
Switch(config-if)# ip address 83.0.0.8 255.255.255.0
Switch(config)# interface Vlan118
Switch(config-if)# ip vrf forwarding v12
Switch(config-if)# ip address 118.0.0.8 255.255.255.0
Switch(config)# interface Vlan208
Switch(config-if)# ip vrf forwarding v11
Switch(config-if)# ip address 208.0.0.8 255.255.255.0
VPN1 および VPN2 に OSPF ルーティングを設定します。
Switch(config)# router ospf 1 vrf vl1
Switch(config-router)# redistribute bgp 800 subnets
Switch(config-router)# network 208.0.0.0 0.0.0.255 area 0
Switch(config-router)# exit
Switch(config)# router ospf 2 vrf vl2
Switch(config-router)# redistribute bgp 800 subnets
Switch(config-router)# network 118.0.0.0 0.0.0.255 area 0
Switch(config-router)# exit
CE から PE のルーティングに BGP を設定します。
Switch(config)# router bgp 800
Switch(config-router)# address-family ipv4 vrf vl2
Switch(config-router-af)# redistribute ospf 2 match internal
Switch(config-router-af)# neighbor 83.0.0.3 remote-as 100
Switch(config-router-af)# neighbor 83.0.0.3 activate
Switch(config-router-af)# network 8.8.2.0 mask 255.255.255.0
Switch(config-router-af)# exit
Switch(config-router)# address-family ipv4 vrf vl1
Switch(config-router-af)# redistribute ospf 1 match internal
Switch(config-router-af)# neighbor 38.0.0.3 remote-as 100
Switch(config-router-af)# neighbor 38.0.0.3 activate
Switch(config-router-af)# network 8.8.1.0 mask 255.255.255.0
Switch(config-router-af)# end
スイッチ S20 の設定
CE に接続するように S20 を設定します。
Switch# configure terminal
Enter configuration commands, one per line. End with CNTL/Z.
Switch(config)# ip routing
Switch(config)# interface Fast Ethernet 0/7
Switch(config-if)# no switchport
Switch(config-if)# ip address 208.0.0.20 255.255.255.0
Switch(config)# router ospf 101
Switch(config-router)# network 208.0.0.0 0.0.0.255 area 0
Switch(config-router)# end
スイッチ S11 の設定
CE に接続するように S11 を設定します。
Switch# configure terminal
Enter configuration commands, one per line. End with CNTL/Z.
Switch(config)# ip routing
Switch(config)# interface Gigabit Ethernet 0/3
Switch(config-if)# switchport trunk encapsulation dot1q
Switch(config-if)# switchport mode trunk
Switch(config-if)# no ip address
Switch(config)# interface Vlan118
Switch(config-if)# ip address 118.0.0.11 255.255.255.0
Switch(config)# router ospf 101
Switch(config-router)# network 118.0.0.0 0.0.0.255 area 0
Switch(config-router)# end
PE スイッチ S3 の設定
スイッチ S3(ルータ)上では、次のコマンドはスイッチ S8 への接続だけを設定します。
Router# configure terminal
Enter configuration commands, one per line. End with CNTL/Z.
Router(config)# ip vrf v1
Router(config-vrf)# rd 100:1
Router(config-vrf)# route-target export 100:1
Router(config-vrf)# route-target import 100:1
Router(config)# ip vrf v2
Router(config-vrf)# rd 100:2
Router(config-vrf)# route-target export 100:2
Router(config-vrf)# route-target import 100:2
Router(config)# interface Loopback1
Router(config-if)# ip vrf forwarding v1
Router(config-if)# ip address 3.3.1.3 255.255.255.0
Router(config)# interface Loopback2
Router(config-if)# ip vrf forwarding v2
Router(config-if)# ip address 3.3.2.3 255.255.255.0
Router(config)# interface Fast Ethernet3/0.10
Router(config-if)# encapsulation dot1q 10
Router(config-if)# ip vrf forwarding v1
Router(config-if)# ip address 38.0.0.3 255.255.255.0
Router(config)# interface Fast Ethernet3/0.20
Router(config-if)# encapsulation dot1q 20
Router(config-if)# ip vrf forwarding v2
Router(config-if)# ip address 83.0.0.3 255.255.255.0
Router(config)# router bgp 100
Router(config-router)# address-family ipv4 vrf v2
Router(config-router-af)# neighbor 83.0.0.8 remote-as 800
Router(config-router-af)# neighbor 83.0.0.8 activate
Router(config-router-af)# network 3.3.2.0 mask 255.255.255.0
Router(config-router-af)# exit
Router(config-router)# address-family ipv4 vrf vl
Router(config-router-af)# neighbor 83.0.0.8 remote-as 800
Router(config-router-af)# neighbor 83.0.0.8 activate
Router(config-router-af)# network 3.3.1.0 mask 255.255.255.0
Router(config-router-af)# end
VRF-Lite ステータスの表示
VRF-Lite の設定およびステータスに関する情報を表示するには、次のコマンドのいずれかを入力します。
|
|
Switch# show ip protocols vrf vrf-name |
VRF に対応付けられたルーティング プロトコル情報を表示します。 |
Switch# show ip route vrf vrf-name [ connected ] [ protocol [ as-number ]] [ list ] [ mobile ] [ odr ] [ profile ] [ static ] [ summary ] [ supernets-only ] |
VRF に対応付けられた IP ルーティング テーブル情報を表示します。 |
Switch# show ip vrf [ brief | detail | interfaces ] [ vrf-name ] |
定義された VRF インスタンスに関する情報を表示します。 |
Switch# show ip mroute vrf instance-name <a.b.c.d | active | bidriectional| count | dense| interface | proxy | pruned | sparse | ssm | static | summary> |
定義された VRF インスタンスに関する情報を表示します。 |
次に、VRF インターフェイスのマルチキャスト ルート テーブル情報を表示する例を示します。
Switch# show ip mroute vrf mcast2 234.34.10.18
IP Multicast Routing Table
Flags: D - Dense, S - Sparse, B - Bidir Group, s - SSM Group, C - Connected,
L - Local, P - Pruned, R - RP-bit set, F - Register flag,
T - SPT-bit set, J - Join SPT, M - MSDP created entry,
X - Proxy Join Timer Running, A - Candidate for MSDP Advertisement,
U - URD, I - Received Source Specific Host Report,
Z - Multicast Tunnel, z - MDT-data group sender,
Y - Joined MDT-data group, y - Sending to MDT-data group
V - RD & Vector, v - Vector
Outgoing interface flags: H - Hardware switched, A - Assert winner
Interface state: Interface, Next-Hop or VCD, State/Mode
(*, 234.34.10.18), 13:39:21/00:02:58, RP 1.1.1.1, flags: BC
Bidir-Upstream: Vlan134, RPF nbr 172.16.34.1
Vlan45, Forward/Sparse-Dense, 00:00:02/00:02:57, H
Vlan134, Bidir-Upstream/Sparse-Dense, 13:35:54/00:00:00, H
(注) この出力の情報の詳細については、次の URL の『Cisco IOS Switching Services Command Reference』を参照してください。
http://www.cisco.com/en/US/docs/ios/ipswitch/command/reference/isw_book.html