NSF/SSO スーパーバイザ エンジンの冗長構成について
ここでは、NSF/SSO を使用したスーパーバイザ エンジンの冗長構成について説明します。
• 「Cisco IOS NSF 認識および NSF 対応サポートについて」
• 「NSF/SSO スーパーバイザ エンジンの冗長構成の概要」
• 「SSO の動作」
• 「NSF の動作」
• 「シスコ エクスプレス フォワーディング」
• 「ルーティング プロトコル」
• 「NSF の注意事項と制約事項」
Cisco IOS NSF 認識および NSF 対応サポートについて
Cisco IOS NSF には 2 つの主なコンポーネントがあります。
• NSF 認識:スーパーバイザ エンジン スイッチオーバーが発生していても NSF ルータがまだパケットを転送可能なことをネイバー ルータ デバイスが検出する機能を NSF 認識といいます。レイヤ 3 ルーティング プロトコル(OSPF、Border Gateway Protocol(BGP; ボーダー ゲートウェイ プロトコル)、EIGRP)に対する Cisco IOS 拡張機能は、Cisco Express Forwarding(CEF; シスコ エクスプレス フォワーディング)ルーティング テーブルが時間切れにならないように、または NSF ルータがルートをドロップしないように、ルート フラッピングを防止するように設計されています。NSF 認識ルータは、ルーティング プロトコル情報をネイバー NSF ルータに送信します。
• NSF 機能:NSF は SSO と連動して IP パケットを転送し続けることにより、スーパーバイザ エンジン スイッチオーバーのあとのレイヤ 3 ネットワークを利用できない時間を最小限にします。レイヤ 3 ルーティング プロトコル(BGP、EIGRP、および OSPFv2)の再コンバージェンスは、ユーザが意識する必要がなく、バックグラウンドで自動的に実行されます。ルーティング プロトコルはネイバー デバイスから情報を回復し、Cisco Express Forwarding(CEF; シスコ エクスプレス フォワーディング)テーブルを再構築します。
(注) NSF は IPv6 をサポートしておらず、サポートしているのは IPv4 ユニキャストだけです。
(注) NSF 対応デバイスには、Catalyst 4500 シリーズ スイッチ、Catalyst 6500 シリーズ スイッチ、Cisco 7500 シリーズ ルータ、Cisco 10000 シリーズ ルータ、および Cisco 12000 シリーズ ルータがあります。
次に、NSF および NSF 認識ルータの一般的なトポロジを示します。
図 9-1 NSF および NSF 対応スイッチのトポロジ
Catalyst 4500 シリーズ スイッチは、NSF 機能、Enterprise Services モードでの EIGRP、OSPF、BGP プロトコルに対する NSF 認識、および IP Base モードでの EIGRP スタブに対する NSF 認識をサポートします。NSF 認識は、EIGRP スタブ、EIGRP、および OSPF プロトコルに対してはデフォルトでオンになっています。BGP の場合、手動でオンにする必要があります。
スーパーバイザ エンジンが BGP(graceful-restart コマンドを使用)、EIGRP、または OSPF ルーティング プロトコル用に設定されている場合は、ルーティング アップデートが NSF 対応ネイバー スイッチのスーパーバイザ エンジンのスイッチオーバー中に自動的に送信されます。
表 9-1 に、NSF 認識をサポートするスーパーバイザ エンジンおよび Catalyst 4500 シリーズ スイッチを示します。
表 9-1 NSF 対応スーパーバイザ エンジン
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Supervisor Engine 7-E(WS-X45-SUP7-E) |
WS-C4507R-E |
Supervisor Engine 7-E(WS-X45-SUP7-E) |
WS-C4510R-E |
Supervisor Engine 7-E(WS-X45-SUP7-E) |
WS-C4507R+E |
Supervisor Engine 7-E(WS-X45-SUP7-E) |
WS-C4510R+E |
NSF/SSO スーパーバイザ エンジンの冗長構成の概要
Catalyst 4500 シリーズ スイッチは、プライマリ スーパーバイザ エンジンで障害が発生した場合にスタンバイ スーパーバイザ エンジンが処理を引き継ぐことにより、耐障害性をサポートします。NSF は、SSO と連動して、スイッチオーバー後にユーザがネットワークを使用できない時間を最小限に抑えます。
NSF には次の利点があります。
• ネットワークのアベイラビリティの向上
NSF は、ユーザのセッション情報がスイッチオーバー後も維持されるように、ネットワーク トラフィックとアプリケーションのステート情報を転送し続けます。
• 全体的なネットワークの安定
ネットワークの安定性は、ネットワーク内のルータで障害が発生してルーティング テーブルが消失したときに生成されるルート フラップ数を減らすことで改善できます。
• ネイバー ルータがリンク フラップを検出しない
スイッチオーバー中もインターフェイスはアップのままなので、ネイバー ルータはリンク フラップを検出しません(リンクがダウン後にアップに戻るということがありません)。
• ルーティング フラップの回避
SSO がスイッチオーバー時にネットワーク トラフィックを転送し続けるので、ルーティング フラップが回避されます。
• スイッチオーバーの前に確立したユーザ セッションの維持
Catalyst 4500 シリーズ スイッチは、Route Processor Redundancy(RPR)もサポートします。これらの冗長モードの詳細については、 第 5 章「RPR および SSO を使用したスーパーバイザ エンジンの冗長設定」 を参照してください。
SSO の動作
SSO は、スーパーバイザ エンジンの 1 つをアクティブに設定してもう 1 つのスーパーバイザ エンジンをスタンバイに指定し、その後これらの間で情報を同期させます。アクティブ スーパーバイザ エンジンで障害が発生したり、スイッチから取り外されたり、メンテナンスのために手動でシャットダウンされたりした場合に、アクティブ スーパーバイザ エンジンからスタンバイ スーパーバイザ エンジンへのスイッチ オーバーが発生します。
SSO を実行しているネットワーキング デバイスでは、アクティブ スーパーバイザ エンジンでの障害後にスタンバイ スーパーバイザ エンジンがいつでも制御を引き継げるように、両方のスーパーバイザ エンジンが同じ Cisco IOS ソフトウェア バージョン(ISSU アップグレード/ダウングレード プロセス中は除く)と ROMMON バージョンで動作している必要があります。また SSO スイッチオーバーでは、Forwarding Information Base(FIB; 転送情報ベース)および隣接関係エントリが維持され、スイッチオーバー後もレイヤ 3 トラフィックを転送できます。コンフィギュレーション情報とデータ構造は、アクティブ スーパーバイザ エンジンのコンフィギュレーションが変更されたときに、アクティブ スーパーバイザ エンジンからスタンバイ スーパーバイザ エンジンに同期されます。2 つのスーパーバイザ エンジン間の初期同期後に、SSO は転送情報などの両者間のステート情報を維持しています。
スイッチオーバー中に、システム制御とルーティング プロトコル実行が、アクティブ スーパーバイザ エンジンからスタンバイ スーパーバイザ エンジンに転送されます。
(注) [no] service slave-log コンフィギュレーション コマンドを使用して、すべてのエラー メッセージをスタンバイ スーパーバイザ エンジンからアクティブ エンジンに転送できることに注意してください。デフォルトでは、この機能はイネーブルに設定されています。
NSF の動作
NSF は、常に SSO とともに実行され、レイヤ 3 トラフィックの冗長機能を提供します。NSF は、そのルーティングが BGP、OSPF、および EIGRP ルーティング プロトコルでサポートされ、その転送がシスコ エクスプレス フォワーディング(CEF)でサポートされています。ルーティング プロトコルは NSF 機能と NSF 認識によって強化されています。つまり、これらのプロトコルを実行しているルータは、スイッチオーバーを検出し、ネットワーク トラフィックの転送を継続して、ピア デバイスからルート情報を回復するための必要な処理を行います。
ネットワーキング デバイスは、NSF 互換ソフトウェアを実行している場合に NSF を認識します。NSF をサポートするようにデバイスを設定した場合にデバイスは NSF 対応になります。NSF 認識ネイバーまたは NSF 対応ネイバーからルーティング情報を再構築します。
スイッチオーバー中にルーティング プロトコルが Routing Information Base(RIB; ルーティング情報ベース)テーブルを再構築している間、各プロトコルは CEF に依存してパケット転送を継続します。ルーティング プロトコルが収束したあと、CEF が FIB テーブルを更新して失効したルート エントリを削除します。その後で、CEF が新しい FIB 情報でハードウェアを更新します。
シスコ エクスプレス フォワーディング
NSF で重要となる要素は、パケット転送です。シスコのネットワーキング デバイスでは、パケット転送はシスコ エクスプレス フォワーディング(CEF)で提供されます。CEF は FIB を維持し、スイッチオーバーの時点の FIB 情報を使用してスイッチオーバー中のパケット転送を継続します。この機能は、スイッチオーバー中のトラフィックの中断を低減します。
通常の NSF 動作中に、アクティブ スーパーバイザ エンジン上の CEF が、現行の FIB および隣接関係データベースをスタンバイ スーパーバイザ エンジン上の FIB および隣接関係データベースと同期させます。スイッチオーバーでは、最初からスタンバイ スーパーバイザ エンジン上に、アクティブ スーパーバイザ エンジン上で最新だった FIB および隣接関係データベースのミラー イメージが存在します。スタンバイ スーパーバイザ エンジン上の CEF は、アクティブ スーパーバイザ エンジン上の CEF から送信された変更を使用して、転送エンジンを最新の状態に保ちます。転送エンジンは、インターフェイスおよびデータ パスが使用可能になりしだい、スイッチオーバー後も転送を継続できます。
ルーティング プロトコルがプレフィクス単位で RIB を再び読み込み始めるため、CEF に対してプレフィクス単位のアップデートが行われます。CEF はこれを使用して FIB と隣接データベースを更新します。既存エントリと新規エントリには、最新であることを示す新しいバージョン(「エポック」)番号が付けられます。転送エンジンでは、コンバージェンス中に転送情報が更新されます。RIB が収束すると、スーパーバイザ エンジンが信号通知を行います。ソフトウェアが、現在のスイッチオーバー エポックよりも古いエポックを持つすべての FIB および隣接関係エントリを削除します。これで、FIB には最新のルーティング プロトコル転送情報が反映されます。
ルーティング プロトコル
(注) Catalyst 4500 シリーズ スイッチの場合は、ルーティング プロトコルを使用するために、Enterprise Services(entservices)レベルの Cisco IOS-XE ソフトウェア イメージが必要です。EIGRP スタブとルーテッド アクセス用の OSPF が IP Base レベルの Cisco IOS XE でサポートされます。
ルーティング プロトコルは、アクティブ スーパーバイザ エンジン上でのみ動作し、ネイバー ルータからルーティング アップデートを受信します。ルーティング プロトコルは、スタンバイ スーパーバイザ エンジンでは実行されません。スイッチオーバー後に、ルーティング プロトコルは、ルーティング テーブルを再作成するのに役立つように、NSF 認識ネイバー デバイスがステート情報を送信することを要求します。NSF は BGP、OSPF、および EIGRP プロトコルをサポートします。
(注) NSF 動作の場合、ルーティング プロトコルがルーティング情報を再構築している間、ルーティング プロトコルは CEF に依存してパケット転送を継続します。
BGP の動作
NSF 対応ルータが BGP ピアと BGP セッションを開始するときに、OPEN メッセージをピアに送信します。メッセージには、NSF 対応デバイスに「グレースフル」リスタート機能があることを示す文が含まれています。グレースフル リスタートとは、スイッチオーバー後に BGP ルーティング ピアでルーティング フラップが発生しないようにするためのメカニズムです。BGP ピアがこのステートメントを受信すると、メッセージを送信しているデバイスが NSF 対応であることを認識します。NSF 対応ルータと BGP ピアの両方は、セッション確立時に OPEN メッセージでグレースフル リスタート機能を示すステートメントを交換する必要があります。両方のピアがグレースフル リスタート機能を示すステートメントを交換しない場合、このセッションでグレースフル リスタートは行われません。
スーパーバイザ エンジンのスイッチオーバー中に BGP セッションが切断された場合、NSF 認識 BGP ピアは、NSF 対応ルータに関連したすべてのルートを失効とマーキングします。ただし、所定の時間内は、引き続きこれらのルートを転送の決定に使用します。この機能により、新しくアクティブになったスーパーバイザ エンジンが BGP ピアとのルーティング情報のコンバージェンスを待機している間にパケットが消失することを防げます。
スーパーバイザ エンジンのスイッチオーバーが発生したあと、NSF 対応ルータは BGP ピアとのセッションを再確立します。新しいセッションの確立中に、NSF 対応ルータが再起動したことを示す新しいグレースフル リスタート メッセージを送信します。
この時点で、ルーティング情報は 2 つの BGP ピア間で交換されています。この交換が完了すると、NSF 対応デバイスはルーティング情報を使用して RIB と FIB を新しい転送情報で更新します。NSF 認識デバイスは、ネットワーク情報を使用して失効したルートを BGP テーブルから削除し、これで BGP プロトコルが完全に収束します。
BGP ピアがグレースフル リスタート機能をサポートしていない場合、OPEN メッセージ内のグレースフル リスタート機能は無視されますが、NSF 対応デバイスとの BGP セッションは確立します。この機能により、NSF 非認識(つまり NSF 機能のない)BGP ピアとの相互運用が可能になりますが、NSF 非認識 BGP ピアとの BGP セッションではグレースフル リスタートは使用できません。
(注) NSF での BGP サポートでは、ネイバー ネットワーキング デバイスが NSF を認識できなければなりません。つまり、デバイスはグレースフル リスタート機能に対応している必要があり、セッション確立中に OPEN メッセージでその機能をアドバタイズする必要があります。NSF 対応ルータが特定の BGP ネイバーにグレースフル リスタート機能がないことを検出すると、NSF 対応セッションをそのネイバーと確立しません。グレースフル リスタート機能のある他のすべてのネイバーは、この NSF 対応ネットワーキング デバイスと NSF 対応セッションを継続します。
OSPF の動作
OSPF NSF 対応ルータがスーパーバイザ エンジンのスイッチオーバーを実行する場合、リンク ステート データベースを OSPF ネイバーと再同期するために、次の処理を実行する必要があります。
• ネイバー関係をリセットせずに、ネットワーク上の使用可能な OSPF ネイバーを再学習します。
• ネットワークのリンク ステート データベースの内容を再取得します。
スーパーバイザ エンジンのスイッチオーバー後できるだけ早く、NSF 対応ルータは OSPF NSF 信号をネイバー NSF 認識デバイスに送信します。隣接ネットワーキング デバイスは、この信号をこのルータとのネイバー関係がリセットされるべきでないことを示すインジケータとして認識します。NSF 対応ルータがネットワーク上の他のルータから信号を受信すると、ネイバー リストを再構築できます。
ネイバー関係が再確立されたあと、NSF 対応ルータはすべての NSF 認識ネイバーとのデータベースの再同期を開始します。この時点で、ルーティング情報は OSPF ネイバー間で交換されています。この交換が完了すると、NSF 対応デバイスは、ルーティング情報を使用して失効したルートを削除し、RIB を更新し、FIB を新しい転送情報で更新します。ここで OSPF プロトコルが完全に収束されます。
(注) OSPF NSF では、すべてのネイバー ネットワーキング デバイスが NSF を認識する必要があります。NSF 対応ルータが特定のネットワーク セグメントで NSF 非認識ネイバーを検出すると、そのセグメントで NSF 機能をディセーブルにします。NSF 対応または NSF 認識ルータで完全に構成された他のネットワーク セグメントに対しては、継続して NSF 機能を提供します。
EIGRP の動作
EIGRP NSF 対応ルータが NSF 再起動後に最初に再起動したときには、ネイバーはなくトポロジ テーブルは空です。ルータはインターフェイスを確立してネイバーを再取得し、トポロジとルーティング テーブルを再構築する必要があるときに、スタンバイ(今はアクティブ)スーパーバイザ エンジンから通知を受けます。ルータとピアの再起動の際は、再起動するルータへ向かうデータ トラフィックを中断せずに、これらの処理を実行する必要があります。EIGRP ピア ルータは、再起動するルータから学習したルートを維持し、NSF 再起動プロセス中もトラフィックを転送し続けます。
ネイバーによって隣接関係がリセットされないように、再起動するルータは再起動を示すために EIGRP パケット ヘッダーの新しい再起動(RS)ビットを使用します。RS ビットは、NSF 再起動中に hello パケットと初期 INIT アップデート パケットに設定されます。hello パケットの RS ビットにより、ネイバーに迅速に NSF 再起動を通知できます。RS ビットを調べない場合、ネイバーは INIT アップデートを受信するか hello ホールド タイマーの期間が満了することでしか、隣接関係のリセットを検出することができません。RS ビットがないと、ネイバーは NSF を使用して隣接関係のリセットが処理されたか、通常のスタートアップ方式で処理されたかを判断できません。
hello パケットまたは INIT パケットを受信することでネイバーが再起動の知らせを受信すると、ピア リスト内で再起動したピアを見つけ、再起動しているルータとの隣接関係を維持します。次にネイバーは、再起動しているルータに対して、最初のアップデート パケットに RS ビットを設定してトポロジ テーブルを送信します。この アップデート パケットでは、NSF を認識することが可能でルータの再起動を支援できることが示されています。ネイバーが NSF 再起動ネイバーでない場合は、hello パケットに RS ビットを設定しません。
(注) ルータが NSF を認識できていても、コールド スタートで起動されたために NSF 再起動ネイバーを支援しない場合もあります。
少なくとも 1 つのピア ルータが NSF を認識できる場合、再起動ルータはアップデートを受信しデータベースを再構築します。次に再起動ルータは、ルーティング情報ベース(RIB)を通知できるように収束されているかどうかを調べる必要があります。各 NSF 認識ルータは、テーブルの内容が終わりであることを示すために、最後のアップデート パケットで End of Table(EOT)マーカーを送信する必要があります。EOT マーカーを受信すると、再起動ルータは収束していることがわかります。ここで再起動ルータがアップデートを送信し始めることができます。
NSF 認識ピアは、再起動ルータから EOT 表示を受信したときにいつ再起動ルータが収束したかを認識します。次にピアは、再起動ネイバーを送信元としてルートを検索するために、トポロジ テーブルをスキャンします。ピアは、ルートのタイムスタンプと再起動イベントのタイムスタンプを比較して、ルートがまだ使用可能かどうかを判断します。次に、ピアはアクティブになり、再起動されたルータで使用できなくなったルートの代替パスを検索します。
再起動ルータがすべての EOT 表示をネイバーから受信した場合、または NSF 収束タイマーが満了した場合、EIGRP は RIB にコンバージェンスを通知します。EIGRP は RIB コンバージェンス信号を待機し、待機しているすべての NSF 認識ピアに対してトポロジ テーブルをフラッディングします。
NSF の注意事項と制約事項
NSF/SSO には次のような制約事項があります。
• NSF の動作では、デバイスに SSO を設定しておく必要があります。
• NSF/SSO は、IP バージョン 4 トラフィックおよびプロトコルのみをサポートします。IPv6 トラフィックはサポートしていません。
• Virtual Redundancy Router Protocol(VRRP; 仮想ルータ冗長プロトコル)は SSO を認識しないので、通常の動作中にアクティブ スーパーバイザ エンジンとスタンバイ スーパーバイザ エンジン間でステート情報が維持されません。VRRP と SSO は共存できますが、いずれも別々に機能します。VRRP に依存しているトラフィックは、スーパーバイザ エンジンのスイッチオーバー時に VRRP スタンバイに切り替わる場合があります。
• BGP NSF に参加しているすべてのネイバー デバイスは、NSF 対応で、BGP のグレースフル リスタート用に設定されている必要があります。
• 仮想リンクの OSPF NSF はサポートされていません。
• 同じネットワーク セグメントにあるすべての OSPF ネットワーキング デバイスは、NSF を認識できる必要があります(NSF ソフトウェア イメージを実行している必要があります)。
• IETF の場合は、すべてのネイバー デバイスが NSF 認識ソフトウェア イメージを実行している必要があります。
NSF/SSO スーパーバイザ エンジンの冗長構成の設定
ここでは、NSF 機能の設定作業について説明します。
• 「SSO の設定」
• 「CEF NSF の設定」
• 「CEF NSF の確認」
• 「BGP NSF の設定」
• 「BGP NSF の確認」
• 「OSPF NSF の設定」
• 「OSPF NSF の確認」
• 「EIGRP NSF の設定」
• 「EIGRP NSF の確認」
SSO の設定
NSF をサポートしているプロトコルで NSF を使用するには SSO を設定する必要があります。SSO を設定するには、次の作業を行います。
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ステップ 1 |
Switch(config)# redundancy |
冗長コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
Switch(config-red)# mode sso |
SSO を設定します。このコマンドを入力すると、スタンバイ スーパーバイザ エンジンがリロードされ、SSO モードで動作が開始されます。 |
ステップ 3 |
Switch(config-red)# end |
EXEC モードに戻ります。 |
ステップ 4 |
Switch# show running-config |
SSO がイネーブルになっていることを確認します。 |
ステップ 5 |
Switch# show redundancy states |
動作中の冗長モードを表示します。 |
(注) IOS-XE ソフトウェアが LAN Base レベルで動作している場合は、sso キーワードがサポートされません。
次に、SSO にシステムを設定し、冗長ステートを表示する例を示します。
Switch# configure terminal
Enter configuration commands, one per line. End with CNTL/Z.
Switch(config)# redundancy
Switch(config-red)# mode sso
Switch# show redundancy states
peer state = 8 -STANDBY HOT
Redundancy Mode (Operational) = sso
Redundancy Mode (Configured) = sso
client_notification_TMR = 30000 milliseconds
keep_alive TMR = 9000 milliseconds
keep_alive threshold = 18
CEF NSF の設定
ネットワーキング デバイスが SSO モードで動作している間、CEF NSF 機能はデフォルトで動作します。したがって設定作業は不要です。
CEF NSF の確認
CEF が NSF に対応していることを確認するには、 show cef state コマンドを入力します。
CEF switching enabled/running
universal per-destination load sharing algorithm, id DEA83012
dCEF disabled/not running
universal per-destination load sharing algorithm, id DEA83012
RF Progression blocked: never
CEF NSF sync: disabled/not running
No slots are ISSU capable.
No slots are ISSU capable.
No slots are ISSU capable.
No slots are ISSU capable.
No slots are ISSU capable.
No slots are ISSU capable.
No slots are ISSU capable.
BGP NSF の設定
(注) BGP NSF に参加しているすべてのピア デバイスに BGP のグレースフル リスタートを設定する必要があります。
BGP で NSF を設定するには、次の作業を行います(各 BGP NSF ピア デバイスでこの手順を繰り返します)。
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ステップ 1 |
Switch# configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
Switch(config)# router bgp as-number |
BGP ルーティング プロセスをイネーブルにして、スイッチをスイッチ コンフィギュレーション モードにします。 |
ステップ 3 |
Switch(config-router)# bgp graceful-restart |
BGP のグレースフル リスタート機能をイネーブルにして、BGP の NSF を開始します。 BGP セッションが確立されたあとにこのコマンドを入力した場合、BGP ネイバーと機能を交換するためにセッションを再起動する必要があります。 再起動スイッチとすべてのピアでこのコマンドを入力します。 |
BGP NSF の確認
BGP の NSF を確認するには、BGP のグレースフル リスタートが SSO 対応ネットワーキング デバイスとネイバー デバイスに設定されているかどうかを確認する必要があります。これを確認するには、次の作業を行います。
ステップ 1 show running-config コマンドを入力して、「bgp graceful-restart」が SSO 対応スイッチの BGP 設定に表示されていることを確認します。
Switch# show running-config
neighbor 10.2.2.2 remote-as 300
ステップ 2 各 BGP ネイバーでステップ 1 を繰り返します。
ステップ 3 SSO デバイスとネイバー デバイスで、グレースフル リスタート機能に advertised and received と表示されているかどうかを確認し、グレースフル リスタート機能のあるアドレス ファミリを確認します。アドレス ファミリが表示されていない場合、BGP NSF も発生しません。
Switch# show ip bgp neighbors
BGP neighbor is 31.31.31.7, remote AS 1, internal link
BGP version 4, remote router ID 7.7.7.7
BGP state = Established, up for 00:02:38
Last read 00:00:38, last write 00:00:35, hold time is 180, keepalive interval is 60 seconds
Route refresh: advertised and received(new)
Address family IPv4 Unicast: advertised and received
Default minimum time between advertisement runs is 0 seconds
............................................................
(Remaining output deleted)
OSPF NSF の設定
(注) OSPF NSF に参加しているすべてのピア デバイスは OSPF NSF を認識できるようにする必要があります。NSF ソフトウェア イメージをデバイスにインストールすれば自動的に認識するようになります。
OSPF NSF を設定するには、次の作業を行います。
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ステップ 1 |
Switch# configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
Switch(config)# router ospf processID |
OSPF ルーティング プロセスをイネーブルにして、スイッチをルータ コンフィギュレーション モードにします。 |
ステップ 3 |
Switch(config-router)# nsf |
OSPF の NSF 動作をイネーブルにします。 |
OSPF NSF の確認
OSPF の NSF を確認するには、NSF 機能が SSO 対応ネットワーキング デバイスに設定されているかどうかを確認する必要があります。OSPF NSF を確認するには、次の作業を行います。
ステップ 1 show running-config コマンドを入力して、「nsf」が SSO 対応デバイスの OSPF 設定に表示されていることを確認します。
Switch# show running-config
network 192.168.20.0 0.0.0.255 area 0
network 192.168.30.0 0.0.0.255 area 1
network 192.168.40.0 0.0.0.255 area 2
ステップ 2 show ip ospf コマンドを入力して NSF がデバイスでイネーブルであることを確認します。
Routing Process "ospf 1" with ID 187.1.1.1
Start time: 00:02:07.532, Time elapsed: 00:39:05.052
Supports only single TOS(TOS0) routes
Supports Link-local Signaling (LLS)
Supports area transit capability
Router is not originating router-LSAs with maximum metric
Initial SPF schedule delay 5000 msecs
Minimum hold time between two consecutive SPFs 10000 msecs
Maximum wait time between two consecutive SPFs 10000 msecs
Minimum LSA interval 5 secs
Minimum LSA arrival 1000 msecs
LSA group pacing timer 240 secs
Interface flood pacing timer 33 msecs
Retransmission pacing timer 66 msecs
Number of external LSA 0. Checksum Sum 0x000000
Number of opaque AS LSA 0. Checksum Sum 0x000000
Number of DCbitless external and opaque AS LSA 0
Number of DoNotAge external and opaque AS LSA 0
Number of areas in this router is 1. 1 normal 0 stub 0 nssa
Number of areas transit capable is 0
External flood list length 0
IETF Non-Stop Forwarding enabled
restart-interval limit: 120 sec
IETF NSF helper support enabled
Cisco NSF helper support enabled
Reference bandwidth unit is 100 mbps
Number of interfaces in this area is 3 (1 loopback)
Area has no authentication
SPF algorithm last executed 00:08:53.760 ago
SPF algorithm executed 2 times
Number of LSA 3. Checksum Sum 0x025BE0
Number of opaque link LSA 0. Checksum Sum 0x000000
Number of DCbitless LSA 0
Number of indication LSA 0
EIGRP NSF の設定
EIGRP NSF を設定するには、次の作業を行います。
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ステップ 1 |
Switch# configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
Switch(config)# router eigrp as-number |
EIGRP ルーティング プロセスをイネーブルにして、スイッチをルータ コンフィギュレーション モードにします。 |
ステップ 3 |
Switch(config-router)# nsf |
EIGRP NSF をイネーブルにします。 「再起動」スイッチとすべてのピアでこのコマンドを入力します。 |
EIGRP NSF の確認
EIGRP の NSF を確認するには、NSF 機能が SSO 対応ネットワーキング デバイスに設定されていることを確認する必要があります。EIGRP NSF を確認するには、次の作業を行います。
ステップ 1 show running-config コマンドを入力して、「nsf」が SSO 対応デバイスの EIGRP 設定に表示されていることを確認します。
Switch# show running-config
ステップ 2 show ip protocols コマンドを入力して NSF がデバイスでイネーブルであることを確認します。
Switch# show ip protocols
*** IP Routing is NSF aware ***
Routing Protocol is "ospf 1"
Outgoing update filter list for all interfaces is not set
Incoming update filter list for all interfaces is not set
Number of areas in this router is 1. 1 normal 0 stub 0 nssa
Routing on Interfaces Configured Explicitly (Area 0):
Routing Information Sources:
Gateway Distance Last Update
Distance: (default is 110)
Routing Protocol is "bgp 601"
Outgoing update filter list for all interfaces is not set
Incoming update filter list for all interfaces is not set
IGP synchronization is disabled
Automatic route summarization is disabled
Address FiltIn FiltOut DistIn DistOut Weight RouteMap
Routing Information Sources:
Gateway Distance Last Update
Distance: external 20 internal 200 local 200